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1. 「だいじょうぶ3組」 (2013配給:東宝)

投稿日時: 2020/02/10 staff4

5年3組の担任としてやってきたのは、生まれつき手足のない先生、赤尾慎之介。「フツーって何?」「1番を目指す意味は?」個性豊かな28人の子どもたちと先生は、様々な出来事を通して生きていくために本当に大切なことに気づいていきます。
「五体不満足」で多くの人の共感を呼んだ乙武洋匡さんの初の小説「だいじょうぶ3組」が映画化されたものです。赤尾先生役は実際に3年間の小学校教員経験もある乙武さん本人です。しかし、決してドキュメンタリー風ではなく、役者になりきって懸命に“演じている”ところがとてもいいです。赤尾先生の補助教員・白石優作にはTOKIOの国分太一さんです。教師の仕事を1度挫折したという役柄ですが、赤尾先生とともに子どもたちの問題に関わりながら、自分自身も成長していきます。

撮影場所が滋賀県にある豊郷小学校の旧校舎、ヴォーリスが設計した「東洋一の小学校」。京都アニメーション制作のアニメ「けいおん!」でも舞台なったモデルです。その美しさと格調の高さには目を見張ります。広い廊下、公園のような前庭、ウサギとカメのいる階段の手すり、教会のような講堂etc。そこで繰り広げられる、オーディションで選ばれた子どもたちの自然体の演技が、何ともほほえましく見る者の心を温めてくれます。

金子みすゞの詩「わたしと小鳥とすずと」の学習で、赤尾先生の配ったプリントにはこう書かれていた。「私は〔  〕だ(できない)けど、〔  〕なん(できるん)だよ。」自分はそれなりの能力とよい面を持った大切な存在なんだという自尊感情の確認。現代の日本の子どもたちはこの自尊感情がとても低い傾向にあるといいます。みんなちがって、みんないい。「感動ポルノ」に気をつかうより、このメッセージのほうが百倍説得力があります。