みんなちがってみんないい
高文脈型コミュニケーションと低文脈型コミュニケーション
日本人と米国人のミックスの子どもで使う主言語がどちらかによって、行動や心理発達まで変わってくるといいます。
『すてっぷを見に行くね。』と言うと、日本人だったら言ってる本人が行くのだろうとすぐ想像がつきます。しかし、英語を母国語に持つ人は、『誰が行くの?』と聞き返してきます。食後『テーブルを片付けといて。』と頼むと、『テーブルは重くて動かせない。』と返事されます。端折った日本語表現も悪いのですが、テーブルは誰でも重くて動かせませんし、その上にあるものだと分かるはずです。また、『そこ、拭いといて。』と言うと、『そこじゃ分らん。』と返事が返ってきますし、『テーブルだ。』と返事をすると、近くにあったティッシュで拭き始めました。『テーブルは台布巾で拭くものだ。』と話すと、『言わないと貴方が考えていることは分らない。』と反論されます。英語圏人には、とにかくいちいち説明する必要があるのです。
コミュニケーションには、"HC" High Context Communication(高文脈型コミュニケーション)と"LC" Low Context Communication(低文脈型コミュニケーション)があり、日本語は高文脈型に属します。
高文脈型は、集団主義的な考えを持つ文化で生まれ、非言語のコミュニケーションが多いことが特徴です。人間関係が密接で情報が共有されるため、言葉以外の文脈や状況までコミュニケーションの前提としています。また、全体との協調や調和を大事にするため、主体的でない間接表現が多く、遠まわしで曖昧な言い回しが多いのです。
英語は低文脈型に属します。低文脈型は個人主義的な考えを持つ文化から生まれており、個性を重視した主体的なコミュニケーションに価値をおく言語です。よって、伝達される情報は言葉の中にすべて入っており、逆に語られない言葉にはメッセージが存在しない事になります。
自分の考えを言葉にはっきり出すため、分りきった内容でもいちいち言葉として表現する必要があり日本人にはストレスに感じる部分も多くあります。英語はお互いの意思を一つ一つ言葉で確認し合う低文脈型の文化圏で発達した言語であることを意識する必要があります。
このように文化が先か言語が先かは今となっては卵と鶏で、どちらが先と言えないですが、言語スタイルと思考パターンやコミュニケーションパターンはセットとなるということです。だったらバイリンガルの人はどうなるんでしょう?どちらかの言葉を主で考えているという答えが多いようです。
文脈のとらえ方が使用言語によって違うというのは、子どもたちとのコミュニケ―ションでも考えさせられることです。子どもは低文脈型ですからいちいち言語(シンボルやサイン含む)にする必要がありますし、いちいち表出させないとそれで伝わったと勘違いして育つ可能性もあります。