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ICT を活用した個に応じた指導法

京都府の教員研修先は京都府総合教育センターです。ここが、昨年3月に発行した「ICT を活用した個に応じた指導法の研究(3 )」がホームページに公開されています。

序文はこんな風です。
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平成 28 年4月1日に、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法) が施行され、公立学校(園)では、合理的配慮の提供が義務となりました。また、 平成 29 年3月には小学校及び中学校学習指導要領、 平成 30 年7月には高等学校学習指導要領が告示されました。新学習指導要領では、 各教科等で学習上の困難に応じた指導内容や指導方法の工夫について記述され、具体的な例として ICT 機器の活用についても触れられています。
そして、 平成 30 年度からは、小学校、中学校及び義務教育学校における通級による指導を受けている児童生徒の増加や、中学校卒業後の生徒の高等学校等への進学状況などを踏まえ、高等学校における通級による指導が制度化されました。

このように特別支援教育をめぐって大きな変化の時代にある中、 京都府総合教育センターでは、 読み書きに困難のある児童生徒の中には、 ICT 機器を読み書きの代替機能として活用することで、 うまく学習することができる児童生徒がいるのではないかと考え、 平成 28 年度は 6 校、 平成 29 年度は 14 校の通級指導教室で、 対象児童生徒のべ 38 名の御協力を得て、 プロジェクト研究に取り組んできました。

平成 28 年度に、 京都府内(京都市を除く 。)全小中学校の特別支援教育コーディネーターと通級による指導担当の先生方を対象に行った調査(302 校から回答) によると、読み書きに困難がある児童生徒がほとんどの学校に在籍しているということが分かった一方で、 ICT機器の活用については、代替え機能として活用しているケースはほとんどないが、効果的な指導を知りたいという意見が多いという状況の中で、 この研究はスタートしました。平成 28 年度の実践及び調査研究により、 ICT 機器を使った効果的な指導や実践を具体的に情報提供することが必要であることを再確認しました。 平成 29 年度のプロジェクト研究において、アセスメント、 ICT 機器を含めた具体的な指導方法の実際や評価の在り方、通常の学級との連携の在り方に関する研修の機会の必要性などの課題が明確になるとともに、 学習意欲の向上、学習内容の理解、自らが効果を実感する等の変容が見られるなどの成果がありました。

こうした 2 年間のプロジェクト研究の成果と課題を踏まえ、 今年度は学習支援の充実はもとより、 通級による指導から通常の学級での学習へ「つなげる」 ことや、小学校から中学校へと「つなげる」ことを目的として取り組みました。 これは、 多くの先生方や児童生徒の皆さんの御協力により得た成果を、広く活用していただくためには何が必要なのかを明らかにしていく ことでもあります。この冊子を、 児童生徒の将来の姿につながる「今」の支援を考えるための資料として、御活用いただければ幸いです。
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そして、この研究の助言者になってきた東大の近藤先生はこう締めくくっています。
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近年、教員の過重労働や疲弊の現状が世間にも知られるようになりました。 3 年間、学校、教室やその周辺の多くの課題に直面しながらも、 ICT を一つの手段として活用し、目の前にいる児童生徒一人一人の学ぶ機会の保障に奔走してくださった、プロジェクトに参加された研究協力員の先生方、総合教育センターの先生方に深く感謝いたします。微力ながら指導助言者を務めましたが、私自身にとって、学び多き日々でした。

一方で、上述したように、今回の研究事業のような取組が存在した故になんとか実現できたことや、課題感が大きく残され、今後の継続的な取組が期待されることも明らかになりました。今後、インクルーシブ教育が発展していく中で、多数派の生徒の学び方と、それ以外の学び方を必要とする児童生徒の間では、両者を共に包摂できるユニバーサルな学びの場が拡大していくことは間違いないでしょう。

しかし同時に、両者のコンフリクト(対立)がなくなるわけでもないこともまた、真実です。これも繰り返しになりますが、コンフリクトは忌避するべきことではなく、両者が相互理解を深めて望ましいあり方に向かうために、歓迎すべき対話の入り口でもあります。そしてそのような対話の場は、すべての子どもたちと私たち教員にとって、学びに満ちた機会でもあります。「個別のニーズのある児童生徒の教育保障に ICT を活用する」という切り口が、合理的配慮のみならず、その学びの機会を目に見えるものにする一助となることを祈っています。

近藤武夫
東京大学先端科学技術研究センター

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残念ながら、この事業所がお世話になっている学校では、読み書き困難に対して子どもたちがタブレットを頼りにしている形跡はいまだにありません。タブレットと言えばYOUTUBEを見るものだと理解している子どもばかりです。どうして先生方の研修先のセンターと学校ではこうも開きがあるのかと、利用者の保護者の方から聞かれることがあります。私は、若く志のある教員がおられてもまだまだ少数なので、同調圧力に負けているのと違うかなと返しています。その背中を押し、伝統を重んじる大勢の先生方を説得するのは、学校のトップである管理職の先生しかいません。