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<学校ICT時代>海外の現状

<学校ICT時代>海外の現状を本紙特派員がリポート

2021年2月25日 05時00分 【中日新聞】

全国の小中学生に1人1台のタブレット端末かパソコンを配備し、通信環境を整える政府の「GIGAスクール構想」。新型コロナウイルスに伴う臨時休校を受けて計画が前倒しされ、大半の自治体で2020年度中に配備が完了する見通しだ。ただ、世界の中で日本は教育現場での情報通信技術(ICT)の活用が進んでいるわけではない。各国の現状について本紙特派員がリポートする。

米国ネット環境格差が課題
米国はオバマ政権が2016年に「コンピューター・サイエンス・フォー・オール」を掲げ「幼稚園から高校まで全生徒がコンピューター科学を学び、技術を身に付ける」ため各州や学区への資金支援を表明。トランプ政権も継続した。
米調査機関の昨春の調査で全米の中高生の49%が過去1年でコンピューター科学を学校で学び、46%が週1時間以上だったと回答。メリーランド州のある学校では中1で3次元デザインを学び、高1ではプログラミングで簡単なゲームアプリを作製。学校には安価なノート型パソコンが生徒の人数分備えられ、各授業で日常的に使用し、宿題提出もパソコン上で行っている。
ただ、デジタル環境の整備は各州や各学区でばらつきが大きい。さらに新型コロナで自宅でのオンライン授業が一般化したことで、パソコンやネット環境が不十分な家庭との格差が問題になった。
バージニア州の高校でコンピューター科学を教えていたリア・ガラノスさんは「コンピューターへのアクセスを確保するだけでなく、コンピューターが人生をどう変えることができるかを子どもたちに示すことが重要だ」と語る。(ワシントン・金杉貴雄)

タイ語学の勉強に活用も
使い込まれ、傷も目立つタブレットだがジェシリンさん(14)にとって、教科書が並ぶ書棚であり、図書館だ。「故郷の歴史物語が好き」と頁(ページ)を繰る。出稼ぎの両親を追い、4年前に生まれ育ったミャンマーから隣国タイ・バンコクへ。週6日は縫製工場で働き、日曜にNGOの学習センターに通う。タイ語の発音は貸与されたタブレットから耳で覚え、みるみる上達した。
貧富の格差が世界有数のタイ。6〜17歳の3割近く、260万人もが経済的な事情などで正規の学校に通えない。ジェシリンさんのような移民の子や、学校の整備が行き届かない少数民族地域は多い。国連教育科学文化機関(ユネスコ)が政府や通信会社の協力を取り付け、3年ほど前からタブレット支給やオンライン学習の導入を進めている。
アプリにはタイ語学習のテキストに加え、ミャンマー語や少数民族文字で書かれた各科目の教科書、物語など1000冊以上を収録。随時、更新され「楽しんで勉強するきっかけになる」と学習センター副所長ヤニーニさん(49)。ジェシリンさんは「将来はパソコンを使ってオフィスで働くのが夢」とはにかんだ。(バンコク・岩崎健太朗、写真も)

フランスモデル校で効果検証
「この計算問題に挑戦してみたいのは誰?」。フランス・パリ郊外のレシェーン小学校。1年生の教室で一斉に手が挙がった。指名された児童が電子黒板と向き合う。投影されたタイマーの時間内に全問正解し、喝采を浴びた。担任のマルティーヌ・カバン教諭は「電子黒板のおかげで低学年でも飽きずに授業に取り組める」と手応えを話す。
効果は昨春のコロナ第1波による都市封鎖(ロックダウン)中にも表れた。児童らは自宅のパソコンなどで遠隔授業を受けたが、電子黒板への慣れから、画面上の問題に抵抗感がなかったという。
だが、この環境を享受できる児童や生徒は限られる。仏政府の2018年の公立校調査で電子黒板を使う小学生は4%にとどまる。タブレット端末の配布率は中学校では51%だが、小学校では12%。北欧やバルト3国など欧州の先進国からは大きく遅れている。
昨秋にレシェーン小を視察したブランケール教育相は、2700万ユーロ(約34億円)規模のデジタル教育モデル地区事業を発表。2県の公立校にタブレットやウェブカメラを配備して効果を検証し、来年以降の全国展開を目指すという。(パリ・谷悠己、写真も)

韓国「双方向授業」56%に
IT大国を誇る韓国は昨年4月から新型コロナ対策で小中高校の登校を制限し、オンライン授業を拡大した。政府が低所得家庭への端末提供や通信接続を全面支援。IT教育に精通した人材も多いと自信を示したが、当初は集中力が続かない子が続出した。
教育省は、教員と子どもがネット上でやりとりする「双方向授業」の比率を昨年7月の15%から、10月に56%に高める改善策を実施。兪銀恵(ユウネ)教育相は今年1月、「教員研修、良質な教育コンテンツの開発を続ける」と述べた。
競争社会で、富裕層の子ほど塾や習い事に通う傾向もある。教員1万人が対象の調査では、79%が「オンライン授業で、学習格差が拡大した」と回答した。
地域教育も注目される。ソウル市の中区教育支援センターは昨夏から、地域の童話作家や人気ユーチューバー、料理研究家ら多彩な講師を招いたオンライン授業を開講。10人前後の定員に小中学生が殺到し、毎回ほぼ満員に。担当の朴珠熙(パクジュヒ)さんは「コロナ禍で行き場のない子らに学ぶ機会を提供する必要性が増した。字幕や音響など編集技術も高めてもっと楽しませたい」。(ソウル・相坂穣、写真も)

※ICT=InformationandCommunication Technology(情報通信技術)の略

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海外でもネックは家庭のネット環境です。地域や家庭のネット環境が整備されればバンコクでのユネスコ支援のように移民の子弟でも自国の言語で知識を得たり、端末そのものが現地語との翻訳機になり教育格差を緩和するツールにもなります。しかし、家庭の経済格差がネット環境格差に直結するような状態を放置していると、教育格差はさらに広がっていくということです。日本では約12%(子ども約100万人)の家庭にWifi環境がないと言われており無策のままです。

現在、端末自体はアンドロイドの安物なら1万円台、IOSでも3万円台で購入できます。端末の年数劣化や陳腐化は避けられませんが4年は使えますし公費で保障するなら出費は0円です。しかし、ネット環境はWifi環境を作る光回線だと様々なキャッシュバック販売が展開されているとはいえ使い続けるとなれば月3000円程度を払い続けることになります。家庭WiFiは電気ガス水道の光熱費と同じような存在です。なくてもすぐには困りませんが、それはガスや電気も昔はそうでした。今やそれが贅沢だという人がいないように、高速通信回線も同じなのです。

確かに、Wifi回線は家族も使うものですから公費負担と言うわけにはいかないものかもしれません。しかし、携帯電話のように学校制度を利用する子弟がいれば半額という割引制があれば無Wifi家庭は激減すると思います。結局は将来の利用者を獲得できるのですから会社には損はないはずです。ICT教育の正念場が家庭と地域のGIGAネット環境の整備の段階に移ってきているのです。あげ足取りの国会論戦をやめて真剣に国のICT環境の整備について議論してほしいものです。

 

僕の髪誰かのためにヘアドネーション

僕の髪誰かのためにヘアドネーションに挑戦中石巻・鹿又小5年佐々木君

2021年02月24日 10:43【河北新報】

病気や事故で頭髪を失った子どもたちに無償提供される医療用ウィッグ(かつら)のために髪の毛を寄付する「ヘアドネーション」に、石巻市鹿又小5年の佐々木佑真君(10)が挑戦している。「誰かのために」と、強い思いで伸ばし続ける髪は、長い部分は45センチほどになった。小学校を卒業する来年まで、50センチ以上を目標にしている。

佐々木君は、テレビ番組でヘアドネーションを知ったことをきっかけに約2年前に髪を伸ばし始めた。番組は小学生ぐらいの男の子がヘアドネーションに挑戦する内容で、「自分もやってみたい、寄付してあげたいと思った」という。母の吏(つかさ)さん(35)は「自分で決めて気が付いたら伸ばしていた」と振り返る。

髪は背中の真ん中まで伸び、学校には一つに結んで行く。赤ちゃんの時から丸刈りだった佐々木君は長い髪の洗い方も結び方も分からなかったが、練習してできるようになった。洗った髪を乾かすには20~30分かかり、少しでも良い状態で寄付できるようトリートメントもしている。

初めの半年ほどは、学校でからかわれたり公園で女の子に間違われたりして落ち込むこともあったが、伸ばすことはやめなかった。吏さんは漫画に登場する長髪のキャラクターの魅力を伝え、「切らない」と固い決意を口にする佐々木君を励ました。事情を知る同級生や先生が周囲に説明してくれたこともあり、理解は広まっていった。

佐々木君は発達障害があり、吏さんは「自分にとっての普通が一般的な感覚と違い、男の子の髪が長くても違和感がない。自分でやろうと思う男の子はなかなかいないと思う」と話す。

へアドネーションには31センチ以上の長さが必要とされ、50センチ以上あればロングヘアなどにもできる。佐々木君は50センチ超えを目指す。

中学校の校則では長髪が認められない可能性があり、伸ばすのは小学校卒業までと決めている。佐々木君は「人のためになると思えば続けられる。大切に使ってもらえたらうれしい」と話す。

吏さんは「ヘアドネーションに限らず、変わったことをしている人がからかわれることがなくなるといい。本人も頑張って良かったと思ってほしい」と見守る。

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講師「何でわからへんねん」、泣きじゃくる男児…発達障害ある小5に暴言

2021年02月23日 10時38分 読売新聞

大阪市立小学校の20歳代の男性講師が授業中、発達障害のある5年生の男児(10)に「何でわからへんねん」などと暴言を繰り返していたことがわかった。男児に当時の様子を尋ねると動揺して泣き出すといい、学校は両親に謝罪。市教委は事実関係を確認したうえで、男性講師の処分を検討する。

学校や保護者によると、男児は算数と国語については特別支援学級で授業を受けている。男性講師は1月20日、特別支援学級での授業中に算数のドリルを解いていた男児に「問題をちゃんと読んでみろ」「前にもやったのに覚えてないんか」などと何度も怒声を浴びせた。

次の授業時間になっても男児が泣きじゃくっていた様子に気付いた女性教諭が校長らに伝え、問題が発覚。暴言について男性講師は学校の調査に対し、「(男児の)解答が違っていたので腹が立った。障害を理解せず、自分本位のペースで授業を進めてしまい、申し訳ない」と話しているという。

男性講師は1月26日から学校を休暇中で、2月15日には校長らとともに両親と対面し、謝罪した。母親は読売新聞の取材に「息子は問題の意味を理解できず苦しんでいたのに、高圧的な言動で追い込んだのは許せない」と話している。

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子どものみずみずしい感性と社会に貢献したいという気持ちや、それを微笑ましく見守る保護者の存在に温かいものを感じます。一方で、子どもの気持ちや子どもに注ぐ家族の視線は全く感じていないと思わせる教員の言動、社会的未熟さにはがっかりします。

普通、自分が出した課題を子どもが理解しないのは自分の見立てや力量の問題なのに、「私が正しい。子どもが問題だ」と感じている教員は彼だけではありません。一人では解けない宿題を学校で一度指導したからと繰り返し出題する教員も、怒りはしないけれども結果としては子どもを貶めている意味では変わらないと思います。

勉強がわからなくて辛かったり、友達にいじめられて悲しい思いをしている一方で、みずみずしい感性や素直な気持ちを子どもから感じる教員であれば、自分の出した課題ができないからと怒鳴ったり、一度教えたことだからと一人ではできない課題を宿題に何度も出せないはずです。

Minecraftカップ2020

Minecraftカップ2020全国大会、「未来の学校」をマイクラ上で発表。全13作品のAWARDが決定!
「未来の学校」をテーマに、SDGsやSociety5.0など未来を考えてマイクラで作品をつくるコンテストを開催。

2021年2月22日 20時00分【MCCUP運営委員会】

2021年2月21日(日)Minecraft Education Editionのプログラミング作品コンテストMinecraft カップ 2020全国大会 最終審査会を実施、Minecraftのワールド上で表彰式を実施いたしました。
Minecraftカップ2020全国大会は、世界各国の教育現場で活用されている「Minecraft: Education Edition」を使用し、テーマにあわせたワールドをつくる建築コンテストです。2回目になる今回は、「未来の学校」をテーマに、Society5.0・SDGsなど、未来を考える課題を生徒たちが調べて表現しました。

総エントリー者数は1770名、応募総数は483作品の中から最終審査会で、全13作品のAWARDを受賞した作品が決定しました。2021年2月21日(日)に行われた最終審査会では、全国からあつまったファイナリストと審査員がオンライン上でプレゼンテーションと審査を行いました。

■Minecraftカップ2020全国大会 AWARD発表ページ
https://minecraftcup.com/awards/

【大賞】
未来への5つの約束~キレイな水と渓谷の洞窟学校~ 浦添昴さん(沖縄県)

【優秀賞】
◆小学校低学年部門
レッドストーン小学校 ピョコ太郎さん(福岡県)
◆小学校高学年部門
エネルギーが学べる学校その名はたかさご小学校 しょうたさん(埼玉県)
◆中学生部門
未来の学びの島! TSUBASAさん(沖縄県)
◆高校生部門
科学と社会の学校~学問とICTと自然の融合~ なおぴえさん(埼玉県)


【審査員賞】
◆大西一平賞
光る学校 高田豊彬さん(大阪府)
◆Kazu賞
ゆっぴースクール 須崎有哉さん(徳島県)
◆神谷加代賞
未来地区小学校 Kouさん(福岡県)
◆鈴木寛賞
未来の学校 かずねさん(東京都)
◆タツナミシュウイチ賞
電気学校 たけるさん(東京都)
◆髙崎正治賞
未来の学校~気候変動に強く、地産地消に取り組む学校~ リュウトラゴンさん(奈良県)
◆コロコロコミック賞
天空の学校西洋のお城と日本のお城 吉川岳人さん(静岡県)

【特別賞】
◆Microsoft賞
Sea school YYK_/さん(青森県)
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優秀賞は驚くようなち密さで構成されています。プレゼン動画の本人も普通の小学生には見えず独特な個性や才能を感じさせます。家に帰って宿題を全部終えてからの時間を費やし、半年間あまりここに情熱を傾けたんだなぁと思います。ぜひ子どもたちにも見てほしい作品です。

緊張リセット 癒やし空間

緊張リセット 癒やし空間 七尾の障害児施設に整備

2021年2月20日 05時00分【中日新聞】

色が変わる装置、水槽など RCが協力
七尾鹿島手をつなぐ育成会(NPO法人)が運営する七尾市小島町の児童発達支援・放課後等デイサービス施設「ほうぷ子どもの家」(大谷済美センター内)に、知的障害者らの癒やし空間「スヌーズレン」の部屋が整備された。七尾ロータリークラブ(RC)の寄付で実現。施設を利用する子どもたちが楽しんでいるという。県内でも徐々に広がるリラックス空間として、知的障害者らの充実した余暇活動に生かしていく。(室木泰彦)

育成会会員は約百人。同施設では現在、特別支援学校に通う児童、生徒ら約十人が夕方に帰宅するまでの放課後を過ごす。高校卒業まで利用できるが定員は十人ほど。マンツーマンかそれに近い指導が必要で、定員以上を受け入れると丁寧な対応が困難になるためという。今回施設スタッフの発案で、外国で長い歴史と実績があるスヌーズレン導入を検討し、七尾RCが協力した。

施設一階の部屋を改修し整備。円柱型水槽は中の水が泡とぐるぐる回転し、魚の模型が本物のようにリアルに泳ぐように見える。球形の光る装置は触ると色が変わる。ビニール状の柔らかいひも状の物が縦横無尽に伸びる造形物などはさわり心地も楽しめる。

いずれも色が青や赤、黄、紫色などに次々と変わるため部屋全体の雰囲気の変化も楽しめるほか、香りを出す装置もある。施設によると、知的障害者らは学校などでずっと体がこわばる緊張した時間を過ごすため、この空間にいる時は光などの刺激を体感しながら力が抜けたリラックスした時間を過ごせる。ドアを閉め個室として利用できるよう、使用中か分かるボードも入り口に設置した。

十九日、七尾RCの木下義隆会長から整備費用に充てる寄付十五万円を受け取った育成会の三谷芳夫会長と八崎(はっさき)和憲副会長は「障害者への社会の理解は進んでいるが、まだまだ課題も多い。新設備による“静の支援”で障害者が成長できるように努めたい」と感謝した。七尾RCは石田朗(あきら)副会長、伊藤隆行幹事が同席した。

【メモ】スヌーズレン=オランダ語「スヌッフレン(くんくん匂いをかぐ)」と「ドゥーズレン(くつろいでうとうとする)」からの造語。重い障害者も楽しめるよう光や音、匂い、振動、温度、素材の触感などの設備を組み合わせリラックス空間を設けるなどの理念や取り組み。1970年代にオランダの知的障害者施設で始まり認知症の人、発達障害の子どもなどに活用され日本国内も普及。障害者がどんな刺激を好むか空間で一緒に過ごしながら共有できる効果が期待される。県内でも設置する施設が徐々に増えている。
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スヌーズレンはこのブログでも3回ほど掲載(Snoezelen:2019/10/16) しました。場所が必要なのとウォーターベッド等の備品が高いので放デイには贅沢品ですが、箱の中にイルミネーションを貼り付けて入ったりかぶったりして楽しむスヌーズレンBOXならどこの放デイでも簡単にできます。

スヌーズレンは、治療法でも、教育法でもありません。支援者は、治療効果や発達支援を一方的に求めることはせず、障害を持つ人のオープンな楽しみ方をありのままに受け入れ、一緒に楽しみます。スヌーズレンは、障害を持つ人が、自分で選択し、自分のペースで楽しむための、人生の大切な時間だという考え方です。「施設によると、知的障害者らは学校などでずっと体がこわばる緊張した時間を過ごす・・・」とありますが、学校の中にもこういう空間は必要でそれは障害のない人にも必要なものです。のんびり過ごすことは普通の事だという発想の切り替えが必要です。

「校長がブレーキになってはいけない」 文科相

学校ICT「校長がブレーキになってはいけない」 文科相

2021年2月19日【教育新聞】

国立教育政策研究所(国研)の調査報告で、校長らトップのリーダーシップの有無が学校間や自治体間のICT格差に大きな影響を与えている実態が明らかになったことについて、萩生田光一文科相は2月19日の閣議後会見で、「間違っても校長先生たちがブレーキになってはいけない」と述べ、学校のICT活用に向けて自治体の教育長や校長ら学校管理職がリーダーシップを発揮するよう要請した。また、1人1台端末の整備を受けた学校のICT活用について「ミニマムスタンダードを全国で共有してほしい」として、文科省が指針を示す考えを改めて表明した。

萩生田文科相は「学校においてICTを積極的に活用していくためには、まさに校長先生、あるいは自治体の教育長が、その有効性を理解し、教職員と認識を共有するとともに、ICT環境の整備や教職員を支援する外部人材の確保などに努める必要がある。その果たすべき役割は大きい」と指摘。文科省として、これまでさまざまな会議などを通じて自治体の教育長にICT活用の必要性を伝え、校長ら学校管理職に対しても教職員支援機構を通じて研修を実施している現状を説明した。

校長が従来の伝統的な授業にこだわる傾向が強いとICT活用が遅れるとの報告内容について、「校長先生が定年まであと数年で、今まで積み上げてきた指導方法や、自分の価値観をしっかり持っていればいるほど、4月から始まるICT教育に違和感を持つ先生もいると思う。ただ、間違いなく時代が変わってきている。間違っても校長先生たちがブレーキになってはいけない」と述べ、ICT活用に慎重な学校管理職に意識変革を促した。

ICT活用を全国の小中学校に浸透させるアプローチとして、萩生田文科相は「(文科省が)ガイドラインをしっかり出し、その中でミニマムスタンダードとして『ここまではちゃんと使いましょうね』という内容を全国で共有してほしい。このことは教育長や校長会にも徹底をしていきたい」と述べ、1人1台端末の整備を受けた学校のICT活用について文科省が指針を示す考えを改めて表明した。

続いて「設置者である自治体や、学校の責任者である校長先生の判断で、(端末の)『持ち帰りはダメ』という学校が出てくる可能性も否定できない。そんなときに、われわれ(文科省)は『いや、持ち帰らせてやってくれ』と指導助言はできるけれども、最終的にルールは学校や自治体が決めなければならない」と、1人1台端末の具体的な運用ルールは学校や自治体に権限があることを確認。「4月から初めて全国で同じ条件が整うので、グッドプラクティスは横展開をどんどんしていきたいし、問題が発生すれば『それは気を付けましょうね』というのも共有していきたい」と話した。

こうした流れを説明した上で、校長や教育長らリーダー層に対し、「せっかく環境が変わってきたので、その時代の変化をしっかり受け止めていただき、いいリーダーシップを発揮していただきたい」と述べ、学校のICT活用に率先して取り組むよう求めた。

萩生田文科相は2月16日の会見で、1人1台端末の家庭への持ち帰りについて3月末までにチェックリストを示す考えを表明している。文科省では、端末の家庭への持ち帰りのほか、端末の使用による視力など健康への影響や、保護者に伝えるべき事項などを整理して、一定の指針をまとめる方針。

国研の調査報告は、コロナ禍の学校におけるオンライン授業やICT活用の実態を調べ、促進要因と阻害要因を分析したもの。露口健司・愛媛大学大学院教授が2月16日に行われた教育改革国際シンポジウムで報告した。

それによると、教育長や校長がアクティブ・ラーニングなど新しい授業形態に積極的な場合にはICT活用が進み、逆に学校管理職である校長が従来の伝統的な授業や平等分配にこだわる傾向が強いと、ICT活用が遅れていることが判明。教育長や校長らトップのリーダーシップの有無が、学校間や自治体間のICT格差に大きな影響を与えていることが分かった。

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この間、ICT教育がらみのネタが続いていますが、新春から生徒全員タブレット導入の自治体もあることから、放デイのサポートの仕方も変わり柔軟な対応が求められるので必要な情報を発信していきます。記事にもあるように例え文科省や自治体の教育長が指導助言したにせよ、最終判断は校長が決めるのです。システムがよくわからず職員に丸投げする管理職はまだましですが、タブレットはポータビリティが大事なのに紛失しては責任問題と金庫の中にタブレットを厳重に保管しようとする管理職は必ず出てきます。

かつて各学校にPCが配備されるとき同じような現象がありました。パソコン室がなければ高価なPCが保管できないと思った管理職や教育委員会事務局が大勢いました。パソコン室作るくらいならそのお金でLANを構内に配備して各教室で使えるようにすればよかったのに、パソコン室に絨毯引いて裸足で上がらせる学校もあったりしました。

結局、ネットワークが大事だと知っている教職員やPTA役員でたまたまシステムエンジニアのお父さんがいて、このままじゃ子どもが学べないと職員とお父さんが協力して校内中にLANケーブルを張り巡らした学校は少なくありません。確かにケーブルが壁にむき出しで見栄えは悪かったですが、目の前に操作できるPCがあることは子どもにとってとても大事な環境でした。

考えてみると、ICT教育だけでなく様々な教育課題で管理職や事務局が無知だと、何でも進まないのです。特別支援教育や発達障害教育も未だにそうです、学校間に自治体間にかなりの格差があります。当然、その下で働く職員も同じです。優れた指揮と環境の下では優れたスタッフが育ちます。