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フラッシュバック
フラッシュバック (flashback) とは、強いトラウマ体験(心的外傷)を受けた場合に、後になってその記憶が、突然、そして非常に鮮明に思い出されたり、同様に夢に見たりする現象です。突然怖い目にあった時の心的外傷後ストレス障害(PTSD)や急性ストレス障害の特徴的な症状のうちの1つです。これは単に嫌な事を思い出すというレベルの現象ではなく治療の対象といわれています。
フラッシュバックという用語は過去に起こった事で、その記憶が無意識に思い出されて、それが現実に起こっているかのような感覚が非常に激しいときに特に使われます。フラッシュバックが起きた場合には、必ずしも映像や音が存在する記憶とは限らず、「恐怖」などといった感情や味覚、痛覚など、感覚の衝撃として発生することもあります。
フラッシュバックは、幼児期に経験した外傷体験を言語的に認識する能力を持たないまま記憶し、それでもなお忘れられない場合にも起こります。この、体験を取り込むことに失敗する現象のことを解離といいます。この記憶はまともに意識に上らないため、時間が経っても薄れません。また、フラッシュバック性の記憶はその鮮明さにも関わらず言葉で表現することが困難です。さらに時間とともに原記憶よりも鮮明さは増す傾向が強いのです。
幼年期のトラウマの体験者は、これらの感情の記憶を意識化しないまま持っている可能性もあり、そしてフラッシュバックにおいてそれらを再経験する可能性があります。ASDの方達の中にも対人関係理解の混乱時の苦痛の思い出が、その後フラッシュバックを引き起こす原因になることがあります。このフラッシュバックの治療は、行動療法の脱感作療法や認知行動療法がありますがいずれも言葉理解や表出が必要なので、言語表出レベルが低い方には大変難しいです。当時の恐怖のきっかけになるようなことを避ける予防策を取りながら、EMDRなどの新しい脱感作療法を行うことが必要と言われています。
フラッシュバックは、現在の本人の関係者が努力をしていないからでも、楽しいことが少ないから生じるものでもありません。何かのきっかけで電子レンジで解凍されるように生じる精神医学的な現象として捉える必要があります。被虐待の経験者に多いことからもわかるように、ASDへの特性を無視した対応は、虐待と同じPTSDの原因になる可能性があることを理解することが彼らのフラッシュバックを予防していくことにつながると思います。