幼児や学童に集団発生「アタマジラミ症」 普通のシャンプーで寄生予防
2021年5月11日【読売新聞】
皮膚のトラブルでは、大阪医科薬科大の森脇真一教授(59)に聞きます。(聞き手・東礼奈)
◇皮膚のトラブル(15)アタマジラミ症洗髪で予防
「アタマジラミ症」は、頭部のみに寄生する「アタマジラミ」が、頭皮から血を吸うことによって起きる虫刺症です。初期は無症状ですが、寄生する成虫が増えれば、頭がかゆくなってきます。頭同士の接触や、ブラシ、帽子、寝具、タオルなどの共用でうつるため、季節を問わず幼児や学童間で集団発生します。
成虫の体長は2~3ミリ。卵は1ミリくらいで、毛髪の中に白く見えます。しかし、しっかり固着しているので、引っ張ってもなかなか取れません。
虫や卵を拡大鏡で観察すれば、容易にアタマジラミ症を診断できます。学校からの指示で受診される子も多く見られます。治療では、家庭用殺虫剤と同じ成分の「フェノトリン」が配合された市販のシャンプーやパウダーを使います。ただし、成虫と幼虫にしか効きません。卵は1週間で 孵化ふか するので、3日に1度、3~4回繰り返します。
最近、沖縄ではフェノトリンが効かないアタマジラミが増えており、本土でも、その割合が5%を占めることが確認されています。フェノトリンを使いながら、成虫や卵を物理的に駆除できる「すきぐし」で髪を根気よくとかすことも必要です。すきぐしはインターネットなどでも購入できます。
男児では髪を短くすることも有効です。普通のシャンプーで洗髪すれば寄生を予防できるので、集団発生があれば頻繁にお子さんの頭部をチェックし、しっかり洗ってあげましょう。
アタマジラミ症は軽い湿疹やフケ症とも似ていますが、自己判断は禁物です。症状や、周囲での流行状況などから「もしかして」と思ったときは、すぐに皮膚科の受診をお願いします。
【略歴】
森脇真一(もりわき・しんいち)
皮膚科専門医。大阪医科大卒。京都大、浜松医科大などを経て2009年から現職。医学博士。
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昔はプールで集団発生することが多かったですが、最近は子どもの洗髪が管理できない家庭が増えてくる中で発生する事も少なくないようです。特にボディーイメージが弱く、かつ、物事の段取りが苦手な発達障害の子どもの場合、頭を濡らすだけだったり、シャンプーを表面につけるだけで隅々まで洗えていないことが多いです。また、女子の場合はアニメの憧れでロングヘアーにするのですが、自分のイメージだけで伸ばしているので鏡を見てチェックすることも少なく、櫛で整髪したりのケア管理も不十分で、気が付くとアタマジラミが発生することがあります。
基本はショートヘアーの方がボディーイメージも持ちやすいし、洗う順序も多くないのでお勧めです。どうしてもロングを子どもが主張する場合は、洗髪の際に大人が介入する(日常的に手伝う)ことを条件にして認める場合もあります。これから汗ばむ毎日です。武漢風邪よりもアタマジラミの方が他人の帽子やタオルの接触感染に注意しなければなりません。帰宅してきたら髪の毛の生え際のチェックをしてあげることも大事かもしれません。