北九州市の事例は、今後どこでも発生すると思われます。北九州市では、濃厚接触者は症状がない限り2週間の自宅待機のみを促してきました。ドライブスルー検査などPCR検査の受け入れ体制が充実してきたので、北九州市は感染症状のない子どもも全て、PCR検査を実施するようになったのです。つまり、今までも濃厚接触者を検査をすればその程度は存在していたことになります。学校が始まれば当然感染の可能性があります。従って、感染ゼロリスクで学校を開けるのは不可能なのです。感染率を下げるには接触回数を減らすしかありません。つまり、登校回数を減らすしかないのです。
ただ、こんなことをイタチごっこのようにやっていてもきりがありません。どこかで、子どもたちの教育保障と感染リスクヘッジのバランスの決断をする時が来ます。そして、PCR検査が万能のように主張される識者の方もおられますが、軽症や無症状であればあるほど陽性的中率は7割から5割以下に落ちていくので、検査陰性でも安心などとは全く言えないのです。子どもにとってはほとんど害のない感染と高齢者にとっては高リスクの感染をどうバランスをとるのかと言う決断がいるのだと思います。
---------------------------------
北九州市「第2波」発生2週間 学校、病院…試行錯誤続く
2020/6/6 6:00 【西日本新聞】
北九州市が新型コロナウイルス「第2波」発生を最初に発表してから6日で2週間となる。登校が始まっていた小中学校で児童生徒の感染が相次ぎ確認されたことで、全市的な分散登校に逆戻り。複数の大規模病院でクラスター(感染者集団)が発生し、救急患者の円滑な受け入れにも黄色信号がともる。今後、波及の恐れがある他地域の対策モデルとなれるのか。同市が直面する課題は多い。
■休校か登校か
北九州市を襲った新型コロナ「第2波」では、市内の小中5校の児童生徒が感染。これを受けた市教育委員会の対応は、一斉休校ではなく分散登校だった。「子どもたちのリスク低減は必要だが、心と体を育てる場でもある学校の継続も使命。バランスに悩んだ」。田島裕美教育長は決断に苦慮したことを明かす。小倉南区の小学校ではクラスターの疑い例も発生したが、市保健福祉局の永富秀樹局長は「現段階で国内の小学校での集団感染例はない。子どもから子どもへの感染と推定されているが、特定に至っていない」と慎重な言い回しだ。市に派遣されている厚生労働省のクラスター対策班が「教室内感染」と判断した場合、再開した全国の学校への影響が大きいためだ。市危機管理参与で、救急救命九州研修所の郡山一明教授は「児童らの感染は濃厚接触者のPCR検査をしっかりやって初めて分かってきたこと」とした上で「症状は軽症か無症状。『3密』の度合いを下げられる分散登校を選んだ」と説明する。市は今回、小中学生の感染発表に際し、性別などを非公表とする対応に切り替えた。加藤勝信厚労相は、5日の閣議後会見で「感染症は誰でも感染しうる。子どもたちや医療従事者への偏見、差別はあってはならない」と強調した。
■救急患者1.5倍
「1日の救急患者の受け入れが最近1・5倍に増えた」。市内の医療関係者は疲れ切った様子で語った。多くの急患を受け入れている北九州総合病院など三つの大規模病院でクラスターが発生したことで、別の病院に救急搬送が集中する課題が急浮上した。「第2波」の渦中、熱などの症状がない救急搬送の高齢患者らを念のため調べると、相次いで感染が判明。救急医療の最前線は、増加する急患とそこからの感染防止に神経をすり減らしている。市消防局によると、現時点で「搬送遅れなどの影響は出ていない」とする一方、同市などは市周辺の6医療機関にも急患受け入れの依頼を5日から本格化させ、「救急医療体制の逼迫(ひっぱく)」の回避へ力を注ぐ。市立八幡病院の伊藤重彦院長は「重症以外での救急外来を避けてほしい。軽症者は、まずかかりつけ医や電話相談をお願いしたい」と呼び掛けている。このほか、「警戒中の医療機関で、どうしてクラスターになったのか」など検証すべき課題は山積み。感染経路不明者の確認も市内全域で続き、一定規模の市中感染が疑われている。(竹次稔、一瀬圭司、山下航)