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1. 特別支援学校のICT環境整備を共生社会モデルに 文科省会議

投稿日時: 2021/11/12 staff4

「特別支援学校の環境整備を共生社会モデルに」 文科省会議

2021年11月11日【教育新聞】

教育格差特別支援教育
特別支援教育の新たな学びに対応した学校施設の在り方を検討する、文科省の有識者会議の第2回会合が11月11日、オンラインで開かれ、ICT活用を見据えた学校施設の整備をテーマに、中野泰志臨時委員(慶應義塾大学経済学部教授)が報告した。中野臨時委員は、特別支援教育でのICT活用は困難さを軽減するためにいち早く進められてきた経緯に触れながら、視覚障害や聴覚障害など多様な障害を包括できるインフラ整備が教室内外で必要だと指摘。「特別支援学校の環境整備は共生社会のモデルとなるように進めるべきだ。一般社会をけん引する特別支援学校を目指してほしい」と提言した。

オンラインで行われた特別支援教育の施設の在り方を検討する会議
新たに設置された「特別支援教育の在り方を踏まえた学校施設部会」(部会長・上野淳東京都立大学名誉教授)では、▽特別支援学級と通常の学級の子供が共に学ぶ活動への対応▽ICT利活用による特別支援教育の質の向上▽医療的ケアが必要な児童生徒への対応――などについて議論を進めている。

国立特別支援教育総合研究所で主任研究官などを務めた中野臨時委員は、視覚障害や聴覚障害などのある児童生徒にとって、AI活用のナビゲーションシステムなどを搭載したICT機器は欠かせない重要なツールになっているとして、教室だけでなく学校のどこでもスマホでネット接続できる環境が必要だと指摘。こうした障害種別に応じて必要な機材が活用できる「情報保障」として、高速ネットワークや電源に加え、遮光カーテンや静かな環境への配慮も求められると強調した。

さらに非常時に聴覚障害者に文字で知らせるデジタルサイネージや、主体的な学びのためには寄宿舎などでも学習できるネット接続環境なども必要になると説明。「多様な障害を包括できる環境整備を進めて特別支援学校を共生社会のモデルとし、一般社会をけん引する形を目指してほしい」と提言した。

 これに対する質疑では、委員から「小中学校の1人1台端末は進んでいるが、障害のある子供に同じタブレット端末が配られがちで、配慮についてどう考えるべきか」「ICT環境整備について、普通学校での展開と特別支援学校の展開についてどう考えるか」といった質問が出された。

中野臨時委員は「障害の特性に応じた端末が配られているかというと、必ずしもそうなっていない。通常学級に在籍する子供も授業場面で使えるような個別の合理的配慮は不可欠だと思う。また、ICT環境整備については、理念として特別支援学校が模範になるべきで、まず重点的に整備して地域の学校に広げる形が望ましいと思う」と答えた。

同部会では、来月にかけて先進的な施設を視察した上で議論を重ね、今年度中に報告書を取りまとめて、同省の学校施設整備指針の改訂に反映させる。

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中央官庁で話されている事と、地方の現場では意識の格差を大きく感じてしまいます。高等部の生徒には10年以上前から、就学奨励費として親の代理で学校が申し込めば誰でもタブレット端末が購入できるようになっていましたが、それでも学校のWiFi環境が悪くてわざわざ無線ルーターを教室までに持って行って接続するような事が続きました。それでも、小中学生には配布されず、少ない学校予算の中からタブレットや周辺機器を購入していました。

今でも、学校中がWiFi環境にある所は数えるほどだと思います。それなのに、個々の障害にカスタマイズされたICT機器だのAI活用のナビゲーションシステムだの防災に役立てるデジタルサイネージ(電子看板)だのを学校環境に用意してはどうかという提案が現場とはあまりに違ってぶっ飛んでいて驚きました。そもそも、個性や障害に応じてカスタマイズするにもその知識を持つ人が配置されていません。

現場とかけ離れたあまりにも能天気な話とは思いましたが、障害のある人の学校にこそICTが縦横無尽に活かされることは賛成です。全ての子どもが端末を携帯し個性に応じてスケジュールやコミュニケーションデバイスとして使えるならどんなに素敵だろうと思います。ただし、教員の「便利遣い」ではさすがにカスタマイズやオーダーメイドの道は開けません。テクノロージーの普及と開発にはその道のプロフェッショナルが各校に複数は必要です。