教員確保に退職した経験者を再び採用する制度導入へ 山梨県
12月06日 【NHK】
優秀な教員の確保が全国的な課題となる中、県は介護や育児で一度教員を退職した経験者を再び採用する制度を新しく導入する方針を示しました。
文部科学省によりますと、令和元年度に実施された公立学校の教員採用選考試験の全国平均の倍率は3.9倍と前の年度を下回っていて、近年、全国的に倍率の減少が課題となっています。
6日、県議会で行われた2日目の代表質問で、「未来やまなし」の議員が、こうした状況を受けて、介護などの家庭の事情で退職した教員経験者の再雇用について、県は今後どのように取り組んでいくか質問しました。
これについて、県教育委員会の三井孝夫教育長は、山梨県では平成28年度から昨年度までの5年間で、83人の教員が介護や育児を理由として定年を待たずに退職していると明らかにしました。
そのうえで、「確実に優秀な職員を確保するという視点から、教員経験者が再び学校現場で活躍できる仕組みを作ることは非常に有効だ」として、一般の選考検査とは別に、介護や育児の理由で山梨県で退職した経験者を再び採用するための新たな制度を設ける方針を示しました。
県によりますと、新たな制度では、一般とは違う受けやすい形の試験の形式にすることを検討していて、早ければ来年度からの実施を目指すということです。
--------------------------------
倍率が下がった理由から人材確保を考えず、若手がダメなら退職教員で補充しようとする安易な発想で持続可能な人材確保ができるか疑問です。学校には教師になりたくても、講師をしながら採用試験の勉強ができないハンディがあって、採用されない有能な若手だってたくさんいるのですから、まずそこに手を付ける気はないのでしょうか。確かに、倍率が下がれば採用される職員の学力的なレベルは落ちます。しかし、ペーパーテストの得点が高くても、ブラックな学校や保護者との対人関係に疲れ果てて数年で辞めていく教員も少なくありません。
教委が今やるべきことは、教員が定時で帰宅でき、有給休暇も平日で消化できるように補充人員を学校にそろえておくことです。少々賃金が安定していても、無報酬で時間外労働を強いられるような働き方が続いたままでは、人手不足の今日で採用倍率があがるほうが不思議です。授業時間と準備時間が半々くらいで、生徒指導もチームでクラス指導にあたる体制を作ったり、保護者クレームも専門職を置いたりチームで受ける体制を作らないと今の学校は「やってられない」のです。
倍率低下から、新しい学校を作ろうと言う夢を語るのではなく、職場がブラックすぎて子育てや介護が続けられなかった退職職員をまたぞろ採用しようと言うのですから、退職教員がそのまま集まるはずがありません。現在の再任用制度を使って教員を継続する人材に優秀な人材が残りにくいのは、そうした教員の多くは燃え尽きてしまっているからだと言われます。辞めた職員の声を生かして、教育は百年先の投資なのですから、資金も投入して夢のある働きやすい職場を作るべきです。