すてっぷでは空気清浄機を稼働しています。この清浄機の正面パネルはコバルトグリーンの水流が渦巻いている様子が見えるようになっています。この輝く水流をいつまでもいつまでも楽しむ子どもたちがいます。引き込まれてうっとりするようです。私も小さいとき水道の流れに見とれたり洗濯機の渦巻きをいつまでも見ていた記憶があります。心が穏やかかになるのです。これを最近ではスヌーズレン効果というそうです。
スヌーズレンとは、オランダ語で「クンクン匂いを嗅ぐ」、「うとうとする」という用語を組み合わせた造語で、外界を探索することや心地よくまどろむ状態を示すものです。もとは1970年代にオランダで重い知的障害がある人の余暇活動として始まりました。
この活動を行う空間スヌーズレンルームには、光・音・匂い・振動・触覚の素材等、感覚を優しく刺激するものが効果的に配置してあります。
利用者はこの空間で、自ら好きな感覚を楽しみ、誰からも指示されない特別な時間を過ごします。
アロマセラピー、タッチングケア、音楽療法等の温かな治療が注目され始めた1980年代、それらを一つにまとめようという動きの中でスヌーズレンはヨーロッパを中心に発展してきました。
昨今では、世界30カ国以上に広がり、その人にとって心地よい感覚刺激を通じたアプローチをすることで、思考・感情・行動を変化させていく治療的なものとしても用いられています。
スヌーズレンを構成する要素は、(1)利用者、(2)ケアする人、(3)環境の3つです。
現在ヨーロッパでスヌーズレンルームはこのような目的で使用されています。
●重い障害や病気がある人の余暇活動
●精神障害者・発達障害児へのプレイセラピー
●認知症の老人へのケア
●心理的に不安定な人の情緒安定のため
●自発性・コミュニケーション力を養う探索活動として
●子どもたちがゆったりしたペースで過ごせる時空間として
このような使用目的でコミュニティセンターや保育園にも広がっており、日本でも様々な場所での活用が期待できます。