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1. 鬼門のガールズトーク

投稿日時: 2019/12/17 staff4

小学生2、3年生ぐらいまでは、女子も男子も混ざって一緒に鬼ごっこしたり、遊具であそんだり、ドッジボールしたり、あまり男女に別れて遊ぶこともなく、遊びの内容も女子と男子でそんなに違いはありません。ASDの子も人数合わせみたいな感じで誘われたりして、特に仲良くなくてもなんとなく参加しています。ASDの子にとってはけっこうそれが楽しかったという話が少なくないです。ASDの子はコミュニケーション、特に雑談は苦痛ですが、子供の外遊びは、会話はほとんどしなくてもいいからです。ただ、ルールに従って、ひたすら走ったり、追いかけたり、純粋に身体を動かすことを楽しめばよいからです。追われるドキドキ感や追う楽しさ、遊具を使って体が浮く感覚など、努力せずともみんなと同じ感覚を共有できるので、自然と楽しさを共感できるし、自然と互いに笑顔になることができ、なんとなく、心が通じ合ったような感覚を得られます。

女子は男子よりもコミュニケーションにおける成長が早いです。小学4年生ぐらいから、女子は男子のように体育館や外で体を動かす遊びをしなくなります。そんなことよりも、好きなアイドルの話や少女漫画の話、ドラマの話、好きな男子の話、おしゃれの話など、雑談の方が楽しくなってきます。休み時間や放課後は、男子はほとんど外か体育館で遊ぶのに、女子はほとんど教室で仲が良いグループ同士で固まり、雑談に興じているのが全国の標準的な姿です。友達がいないASD女子にとっては、この時期から困った状況になります。

今までは、誰とも仲良くなくても、なんとなく一緒に遊んで笑い合えたのに、雑談となると、仲良くないとグループに参加できないし、なんとなくグループに参加できたとしても、雑談ができず、みんなの話にも興味が持てず、わけのわからない話がどんどん展開されるのをただオロオロしながら聞くのが精一杯と言う状況が続きます。そもそも、共感力が低く、コミュニケーションレベルも低いと「会話を楽しむ」という行為の意味がわからないし、なぜ会話することが楽しいのかも全然わからないので、何が楽しい?男子はいいな…と女子のコミュニケーションレベルの成長に全くついていけず、ASD女子はなんともいえない孤独感を感じるようになります。

外遊びや体育館遊びでの交流がなくなると、友達がいなく雑談もできないASD女子にとっては、クラスの同級生との交流の手段が完全になくなり、さらに孤独な学校生活になります。こうなると、学校は何の楽しさもない、ただただ勉強するだけの場となり、本当につまらない場所となります。それどころか、つまらないだけでなく、コミュニケーションや雑談が必要な状況もあり、激しい苦痛も伴う場所にもなります。

この苦痛を取り除くためには、コミュニケーション力や他者感情を読む訓練をすればいいのでしょうか?私は違うと思います。こうした人がいることを男子も女子も子どもも教員も保護者も、みんなが当たり前のように知り、ガールズトークより外遊びの好きな高学年女子がいること、別に人が嫌いじゃなくて話すことが苦手な人がいることを、早い段階から知識として学び、仲間に入りたくても入れない仲間をそのまま受容する人間性を培う学校に一日も早く変わって欲しいと強く願います。