文科省企画、教員の魅力発信「#」窮状訴える投稿相次ぎ「炎上」
2021/3/30 【毎日新聞】
教員志望者が減る中、教員を目指す若者たちに仕事の魅力を伝えようと、文部科学省が教員たちの声をツイッターなどのネット交流サービス(SNS)で広げる企画を立ち上げたところ、当初の思惑と異なり、教員からは過酷な労働環境を訴える投稿が相次いだ。
萩生田光一文科相は30日の閣議後記者会見で、「『こんな職場に若い学生は来ない方がいい』みたいな意見もあって戸惑いを感じている」としつつ、「投稿いただいた先生がたの思いをしっかり受け止め、学校の『働き方改革』を進めていかなければならないとの意を強くした」と語った。
企画名は「『#教師のバトン』プロジェクト」。現場の先生たちが教育活動に懸ける思いなどを教員を目指している学生や社会人に知ってもらおうと、文科省の若手職員たちが発案した。
学校の日常の一コマや創意工夫、ちょっといい話などを「#(ハッシュタグ)教師のバトン」と付けてツイッターなどに投稿してもらおうというもので、今月26日にスタートした。
ところが、いざ投稿を呼びかけてみると、現場の窮状を訴える書き込みが相次いだ。
「20年間で削減された仕事は座高測定とギョウ虫検査しかありません」
「明日で退職です。朝から晩まで働きました。今思うと、失ったものがあまりにも多かった」
「教員の善意に甘え、保護者や社会にそんたくし、教員を守らなかった」と文科省の対応を批判する書き込みもあった。
こうした「炎上」を受け、文科省は29日、SNS上で「教員の皆さんの置かれている厳しい状況を再認識するとともに、改革を加速化させていく必要性を強く実感しています」「ご指摘いただいた通り、改革の質・量ともに全く十分ではありません」「いただいたご意見を分析し、本格的な改革につなげたいと考えております」などと釈明した。
文科省の2016年度の調査では小学校で3割以上、中学校では6割近い教員が「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業をしていることが明らかになっている。
文科省は教員の負担軽減を図ろうと、中学校や高校の土日の部活動を学校管理下から外し、23年度から段階的に地域活動に移行させるほか、10年に1度の講習を義務づける教員免許更新制の抜本的見直しを中央教育審議会に諮問している。【大久保昂】
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以前にも「学校があてにされなくなった今、我こそはとオールマイティーの優秀な人材が集まるとは思えません」(教科担任制 02/10)と述べましたが、現場の少なくない職員も「この職業は勧められない」と思っているのです。こんなものをツイッターで公開すれば必ず炎上すると予測の立たない文科省官僚の感覚も相当現場とズレていることを露呈しました。確かに忙しいこともありますが、忙しくても自分の職業に誇りを持つ事はできます。一番の炎上の理由は、学校が現代に残る保守的な村社会の一つで、その障壁が変革を阻み未来を見えにくくしていることが大きいのかもしれません。
能力に見合っただけの評価もされないし、何が能力かも示されない中では、役人社会のように失敗をしないことが大事です。新しいことに取組んだりリスクのあることには近づけないような仕事は魅力がありません。民間の方がはるかに自由に創造的にリスクも背負って取組んでおり魅力的です。教員は教える専門職なのに総合職のようにあれもこれも仕事もこなさなければなりません。もちろん専門職なのですから、実践の結果が出せないなら子どもから選ばれなくなる仕組みが必要です。昔通りでは学校は変わらないのも事実です。教師が教師としてリスペクトされるにはまず教員を真の専門職とする学校制度に変えるべきだと思います。