<新型コロナ>登校中に「なぜ学校に行くのか」クラスター確認の佐賀工高生に誹謗、専門家「批判筋違い」
1/21 8:45 【佐賀新聞】
佐賀県内の小中高校で初めて新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が確認された佐賀市の佐賀工業高で、学校や生徒に対して「なんで学校に行けるの」「どんな指導をしてきたのか」などの誹謗(ひぼう)中傷が寄せられている。専門家は「感染した人を敵視したり、批判したりするのは筋違い」と話している。
佐賀工業高には19日午前中から、数十件の電話が寄せられたという。学校が生徒に行った聞き取りでは「通学する列車の中で避けられた」「制服で佐賀工業高の生徒だとすぐに分かる。周囲からの目線が気になった」などの声が上がった。保護者から「職場にしばらく来ないでくれと言われた」という連絡もあったという。
同校は19日から、感染が確認された1、2年生をオンライン授業にしたが、20日からは3年生でも実施するように切り替えた。生徒たちには、会員制交流サイト(SNS)で誤解を招く内容を書かないことなどを指導していくとしている。副島政史校長は、これまで以上に感染対策を徹底していくとした上で「安全で安心した生活を早く取り戻せるようにしていきたい」と話した。
■「自分事として捉えて」
人権問題を研究する佐賀大教育学部の吉岡剛彦教授(法哲学)は「感染した人をウイルスと同一視する傾向がなかなか改まらない」と指摘し、「誰が感染してもおかしくない状況で、自分が攻撃対象になる可能性もある。自分事として捉えてほしい」と警鐘を鳴らす。(小部亮介)
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<こちら報道部>学校名、報じる理由感染拡大防止へ正確な情報
1/21 9:29 【佐賀新聞】
新型コロナウイルスに関し、佐賀市の佐賀工業高でクラスター(感染者集団)が発生したことを伝える記事(19日付20面)で、複数の読者から「なぜ学校名を出したのか」「大きく報道されたことで、生徒たちが変な目で見られる」といった意見が寄せられました。
新型コロナは県内でも感染が拡大傾向にあり、1月に入ってからは学校や保育所などでもクラスターが発生しています。コロナ報道に関しては当初から「正しく恐れ、防ぐ」というスタンスで、感染拡大を防止するための正確な情報を出すように努めています。
学校名を報じた今回を含め、感染確認の情報については佐賀県の発表に基づいて記事化しています。特にクラスターに関しては関係者が多くなるため、学校名などの情報を伝えることで、気になっている人が外出を控えたり自ら検査を受けたりして感染拡大の抑止につながると考えています。正確な情報を示すことで、誤った情報の拡散やデマを防ぐことにもつながります。
興味本位で個人を特定する動きや当事者らに対する誹謗(ひぼう)中傷は、あってはならないことは当然です。一方で、情報を社会で共有しておくことも重要です。
報道部では人権に配慮しつつ、常に当事者がいることに想像を巡らせながら、今後もさまざまな視点で感染抑止に向けた情報を伝えていきます。(報道部デスク・林大介)
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関西地方は武漢風邪のテレビ報道について、煽りすぎではないかという自重ムードがまだあるのですが、地方局は全国ネットで東京からの放送がそのまま流れてくることで、東京ほど深刻ではないのに東京と同じように視聴者が考えてしまう傾向があるそうです。それにしても感染はお互いさまだというように考えられないところが不思議ですが、自宅で高齢者と生活していて心配のあまりの言動かもしれません。
でも、専門家でなくても筋違いなことはわかるので、生徒や学校をバッシングする原因を作ったのは、新聞社の学校クラスター実名報道のせいだと、佐賀新聞にもクレームがあったのです。それに対し新聞社は「感染拡大を防止するための正確な情報を出すように努力している。県が公開しているものを報道しただけで、実名を隠せばかえって誤った情報が流れる可能性がある。」と言います。
後者の事実を報道するメリットについては正しいと思います。しかし、感染の仕組みや事実について正しい情報を報道しているとは思えません。都会の満員電車の中ですら感染していない事実や、休校すれば解決するような感染状況ではなく休校のデメリットが大きいとしているWHOやユネスコ、政府発表の事実を学校クラスタ報道で同時に取り上げてはいません。日本は欧米の4パーセント弱の感染状況であることもあまり報道は触れません。実名報道が悪いのではなく、実名報道するなら今回のような誤解が生じないように徹底的に報道するメディアの責任を感じていると書くべきだったと思います。メディアが開き直ると民主社会は腐っていきます。