応用行動分析を学んでいる方ならパチンコ理論は耳にした方は多いと思います。パチプロでない限りは、パチンコはトータルでは負けるものと相場が決まっています。そうでなければパチンコ屋さんは倒産しているはずです。それを知りながらも、「私だけは違う!儲けられる!」とつぎ込んでいく仕組みがパチンコ理論です。パチンコでフィーバーするとジャンジャン球が出てきて、脳内に報酬ホルモンのドーパミンもバンバン出てきて気持ちいいのです。あの気持ちよさをもう一度という生理的欲求とあわせて、フィーバーはたまにごく稀に法則性もなく実現するから、今度こそ当たるかもしれないという動機を強く作るのです。これを部分強化といいます。
部分強化の王様は変動比率スケジュール(Variable Ratio schedule:VR)と言い、強化子が与えられる条件が変動する回数のスケジュールです。回数が固定している法則性があるものを固定比率スケジュール、ないものを変動比率スケジュールといいます。変動比率スケジュールで獲得された行動は、高頻度で自発され、消去されにくい傾向があります。ほとんどのギャンブルが変動比率スケジュールで強化されていきます。
さて、これを不適切行動に置き換えると、大声を出したり、奇声を上げたり、地べたにひっくり返ったり、嘘をついたりすると、たま~に要求が実現します。しかも実現しない日もあるので、これは法則性がなく変動比率スケジュールと言えます。つまり、このパターンは、変動比率スケジュールで獲得された部分強化の行動であり、高頻度で自発され、消去されにくい傾向があるのです。いわゆるパチンコ理論による「しつこく繰り返される不適切行動」がこれにあたるわけです。この部分強化された行動をどう消去すればいいか、以前もすこし応用行動分析の投稿「応用行動分析を支援に生かす (7/23)」で書きましたが、次回に考えてみたいと思います。
固定比率スケジュール(Fixed Ratio schedule:FR)
変動比率スケジュール(Variable Ratio schedule:VR)