スマホ利用増 悩む学校・・・子供視力低下 「1日2時間」制限も
2021/07/29 【読売新聞】
子供の視力低下が止まらない。新型コロナウイルスによる一斉休校や外出自粛で、スマートフォンなどデジタル端末に触れる時間が長くなったことが一因とみられ、専門家は屋外での活動や端末の利用制限などの必要性を訴えている。
東京都文京区の「こひなた眼科」では昨春の一斉休校後、近視の子供が例年より2割増えたという。藤巻拓郎医師(53)は「自宅でのスマホゲームや動画視聴、オンライン学習などが増えたためでは」とみており、「1日2時間を目安に学校で屋外活動を行うことや、端末の利用時間の制限が必要だ」と指摘する。
総務省によると、スマホでのネット利用率は年々増えており、昨年8月末時点で6~12歳が40・6%、13~19歳は81・4%に上った。
学校現場は、子供のスマホ利用に歯止めをかけようと頭を悩ませる。東京都内のある公立中では、各生徒にスマホなどの利用時間を「1日2時間まで」などと目標を決めさせ、自制を促している。スマホなどを使わない「ノーメディアデー」を設ける学校もある。
一方、コロナ禍で全小中学生への学習用端末の配備が前倒しされた。今年度からは大規模なデジタル教科書の実証事業が行われており、全国の約4割の小中学校(約1万2200校)で利用されている。授業で端末を使う時間が増えると見込まれる中、学校現場からは「授業中、端末の画面に目を近づけて集中している児童が何人もいて驚いた。視力に影響しないか」(東京都内の公立小学校長)など、心配する声も聞かれる。
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「スマホ脳」でのデジタルデバイス叩きもそうですが、何でもスマホや電子媒体が悪いという単純な帰結が多いので気になります。現代社会でデジタルデバイス(ICT機器)抜きに学習や仕事が成り立つのでしょうか?この手の報道は科学的な根拠はなく心配だけを煽ります。予防法も「時間制限」だけに単純化していますが、正しい使い方に触れていないので注意が必要です。眼から近い距離での作業は、紙の本を読むことも、電子デバイスを使って文を読むことも、極端なことを言ってしまえば机に向かって勉強をすることも、基本的には近視が進む原因になります。
スマホが問題視されているのは、長時間手元を見続けているとか、電子書籍のように文字を読むだけじゃなく、ゲームのようにチカチカするものをやっていることが多いからだと思います。デジタルデバイスが眼にとってどう影響があるのかは、デジタルデバイスを使って、「何を」「どうやって」見ているかにもよるので、デジタルデバイス自体が眼に悪い、と結論づけることはできません。
デジタルデバイスで文字を読むことが、紙の本を読むことに比べて、ことさらに眼に悪いということはありません。勉強をがんばることと、近視にならないことはなかなか両立しないことです。必要であれば紙の本であろうと、電子媒体の文字であろうと読むべきだと思います。電子書籍、電子媒体が今後主流になることは間違いないと思いますので、それを「眼に悪そう」という先入観で止めるのではなく、正しく使えばいいと思います。アメリカでは以下のようにしてデジタルデバイスによる近視予防法が提唱されています。
1.適切な距離を保つ
適切な距離とは、60センチくらいです。これは大体大人の腕の長さに保つということです。あまり近すぎたり、遠すぎたりするとピント調節に労力を要し非常に眼が疲れます。
2.グレア(眩しさ)を調節する
モニターが明るすぎたり、暗すぎたりすると眼が疲れます。光の量を調節する事が大切です。
3 .休憩を取る
長時間本を読んだり、モニターを見続けると眼精疲労になります。これ対しては「20-20-20ルール」というものがあり、20分ごとに20フィート(6メートル)先のものを20秒間見るという作業です。遠くのものを見ることによって、眼の緊張が取れます。
4.ドライアイ対策
モニターを見続けると眼が渇き、ドライアイの症状が悪化します。自覚のないドライアイの方も少なくありません。ドライアイ点眼薬をこまめに点し、保湿をしましょう。
5.部屋を明るくする
モニターを見る際に、周囲が暗いと余計に疲れます。周囲の照明を調節することが大切です。
このように5つのポイントを守ることで、モニターによる眼精疲労を防ぎ、延いては眼を守る行動をとることができます。日本近視学会の「親子で学ぶ近視サイト」というHPもあるので正しい知識を持ってICT機器を使うことが大切だと思います。