”担任”なくしました 小学校で「教科担任制」導入 先生チームで支援「相性問題軽減、専門性も発揮」/兵庫・丹波市
8/3(月) 11:04配信【丹波新聞】
兵庫県丹波市の中央小学校が今年度、4、5、6年生の高学年で、学級担任制に代わり、教科担任制を導入した。中学校のように教科ごとに教師が代わる。教師5人で4学級を担任するもので、1年間を通して固定した学級を担任する教師はいない。同校は、「管理・統制」から「自律・個別最適化」を目指しており、西田隆之校長(55)は「従来より教師は半歩引き、子どもたちが自分たちで考え、課題を解決し、問題を乗り越える力を培うための試み」と説明している。
教師5人でつくる「高学年団」が、4年生(2学級)、5、6年生(各1学級)の計4学級を受け持つ。
国語は南里奈さん、算数は足立浩基さん、理科・体育は梅田拓人さん、社会、外国語は藤井千歳さん、音楽・図工と算数補助は高橋祐子さんが担当する。この顔ぶれで、各学級のホームルームも担当するが、1年間の固定ではなく、すでに3度代わっている。
同校は、学年団という関わり方をすることで、多くの教師の価値観に触れる機会が持て、問題によって相談する教師を代えるなど、児童が考えて行動するようになることを期待しているほか、児童と教師の相性問題の軽減、教師が自身の専門性を発揮し、授業の質の向上が図れると考えている。
算数担当の足立さん(38)は、「例えば6年生が分数を学ぶ時期に5年生は小数の学習をする。教材が全部手元にあるので、『5年生のときのことを振り返ってみよう』と出題ができる。複数学年を持つことで、どこでつまずいたのかが確認できる。上の学年、下の学年のプリントを自由に使って自習できるようにもしている」と、教科担任制のメリットを語る。国語担当の南さん(32)は、「今教えていることが、1年後のここにつながるんだなと、教えるイメージを持ちやすい。1時限ごとに教師が代わるので、休み時間に食い込んで、切りの良いところまで進めることはできない。時間配分を気にしている」と言う。一方、従来の担任のように一日中、同じ児童と接しないため、変化を見逃さないよう生活面での情報共有を教師間で密にする必要があるという。
印象に残る教師が「恩師」に
足立さんらを学校改革で知られる東京・麹町中学校に派遣し、同校の若手教師らと意見交換した上、兵庫教育大学の宇野宏幸教授の助言を受け、1年半かけて準備した。西田校長は「私たち世代は担任と言えば、ドラマ『金八先生』のようなイメージだが、支援してくれる大人チームのようなものに変わる。その中で、困っているときに相談にのってくれたり、ほめられたことがうれしいと印象に強く残る教師を『恩師』と、児童が思うのかもしれない」と話している。2年後には全国の小学校で教科担任制が始まる見通しで、今後、各校で具体的な検討が進む。
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義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方について文科省は、令和4年(2022年)をめどに小学校高学年からの教科担任制を本格的導入すべきとしています。 小学校高学年の児童の発達の段階、外国語教育など専門性の向上を踏まえたもので、今後は教科担任制に必要な教員数の確保や小中学校の連携について検討を進めていくそうです。
この発想は、学力向上と働き方改革の両方からでてきたそうです。小学校で全教科の準備をするには放課後の時間は短かすぎます。教える教科数を少なくして専門的に指導することは大事なことです。正直、新しく入った英語やプログラミング、ダンスの指導をどの先生も準備するなんてオバーワークもいいところです。だったら、教科制の中高のレベルは高いのかと言われそうですが、これはこれでクラブ問題や生徒指導問題という別の問題があるので、簡単に比べることはできません。
チームで指導しようとするならば良い結果がでるでしょうし、教科の砦の中に教員が埋没すれば中高の教科制の悪いところと同じ結果になるでしょう。それでも、自然科学や社会科学の魅力や、芸術やスポーツの奥深さを伝えるには専門性を要します。それが好きな先生しか伝えることができないと思うのです。そうした先生は必ず凸凹発達の子どもたちのカリスマティックアダルトとしても輝いてくれるはずだと思うのです。