みんなちがってみんないい
神経性やせ症
拒食症(神経性やせ症)は、異常な食行動を来す摂食障害の1つです。食べ物を極端に制限する摂食制限型と、たくさん食べてしまったあとに吐いたり下剤を使ったりする過食・排出型に分けられます。思春期の女性に多く見られるのは摂食制限型で、最近は低年齢化が進んでいます。
拒食症では、体重が少しでも増えることに極端な恐怖があり、十分な栄養がとれなくなってしまいます。そのため低栄養につながり、貧血、無月経、低身長などのほか、不整脈や低血糖によって死に至ることもあります。睡眠障害やうつ、自殺の危険もあります。
拒食症になりやすいのは、「努力家で優等生タイプ」「自己主張が苦手で不安や不満をため込みやすい」といったタイプです。進級や進学などの環境の変化、いじめや受験の失敗、失恋といった挫折などが発症のきっかけになります。食事の量が極端に減るほかに、「家族と食事をしない」「食べ物を細かく分ける」「食べていないのに活発に活動・運動する」「極端に体重が減ってきた、または体重の増え方が悪い」などが拒食症のサインです。サインを見逃さず早期に発見して、適切な治療を受けることが大切です。拒食症が疑われる場合は、15歳以下なら小児科を、それより上なら心療内科や精神科を受診します。
治療の柱となるのは、栄養療法と心理療法です。栄養療法は、栄養状態を改善して、健康的な体重に戻すのが目的です。低栄養で生命の危険がある場合は入院が必要になります。心理療法では、拒食という手段に頼らなくても人生とうまくつきあっていけるような考え方やノウハウを身につけさせます。
子どもの拒食症に対する心理療法では、極端な考え方や捉え方を修正する認知行動療法と、家族に子どもへの接し方を学んでもらい一緒によくなる方法を考えていく家族療法が広く行われています。子どもが拒食症になると、母親は自分の育て方が悪いと考えがちですが、それは間違いです。無理やり食べさせたり、不安をぶつけたり、食事や体型のことで注意したりせず、温かく寄り添うように見守ってあげます。家族だけで不安を抱え込まずに、医療機関を上手に利用し、医療者と一緒に解決策を考えていきます。
原始反射
赤ちゃんが産まれてすぐ、突然前触れもなくビクッとすることがあります。この動きは「モロー反射」と呼ばれています。
モロー反射とは、赤ちゃんが大きな音などの急な刺激に対して驚き、手足を大きくびくつかせ、何かに抱きつこうとする反射のことをいいます。オーストリアのエルンスト・モロー医師が発見した新生児特有の「原始反射」の一つといわれています。
赤ちゃんの顔を正面にして寝かせ、頭を支えて少し引き起こし、急に支えていた手を緩めると、赤ちゃんは誰かに抱きつき守ってもらおうと手を突っ張ります。本能的な反応なので、無意識のうちに行っているものです。モロー反射は、赤ちゃんの神経が未発達な生後4ヶ月頃まで見られます。この反応がなくなる頃に、首すわりなど首の動きが可能になるといわれています。
神経の発達過程の一つともいわれており、何度も繰り返しビクッと反応する赤ちゃんもいれば、気づかない程度の反応の赤ちゃんもいます。モロー反射は、赤ちゃんの意志とは関係なく反応するので、寝かしつけて布団に降ろしたときのわずかな刺激や、大人が気にしないような音でも反応してしまいます。それがきっかけで急に目を覚まし、大泣きしてしまうケースが多く、何度も繰り返すことに頭を悩ませる方も少なくありません。
モロー反射は、赤ちゃんが母親から離れないように探している仕草ともいわれ、咄嗟に手を伸ばしてもママが見つからないことで泣いてしまうという説もあります。そんなときは、お腹の中にいた頃のような、体を丸めた姿勢で抱きしめてあげます。落ち着きを取り戻して、再び寝てくれることもあります。
また、頻繁にモロー反射を繰り返し、続けて眠ることができないときは、おくるみを使うのがおすすめです。慣れないときは、少し大きめのバスタオルか、専用のおくるみを使うと良いです。モロー反射には個人差があり、手を伸ばしたまま声を出すなど、親が少しびっくりするほどの反応を見せる赤ちゃんも少なくありません。
モロー反射が激しいと、よく点頭てんかんや低血糖、頭蓋内出血を疑うことがありますが、親の手を掴めば治まったり、おくるみを巻いて落ち着いたりする場合はあまり心配がないといわれています。普段の様子が変わりなければ、様子を見ます。心配な場合は、1ヶ月検診などのときに医師に聞いてみると良いです。
点頭てんかんの場合、足を伸ばして手を上にあげ、体を曲げるという特徴的な症状が出ます。思い当たる反応がある場合や、それ以外で普段と異なる反応があったり、抱っこをしても治まらなかったりする場合は、小児科に一度相談します。
また稀ですが、モロー反射がなさ過ぎる場合は、新生児黄疸のひとつである核黄疸や、まったくない場合は鎖骨骨折をしていることもあるといわれています。
モロー反射をはじめとする原始反射は発達状態のバロメーターです。この点から、原始反射が強く残存している場合、脳機能への問題が考えられます。そしてそれが発達障害の兆候である可能性もあるといわれます。モロー反射が長く続くということは、外からの刺激に毎回反応してしまう、つまり刺激に対して敏感な状態が続くと解釈できます。そのため、以下の発達障害のような傾向が見られることがあります。
・音や光をはじめとする刺激に対する感覚過敏
・ADHDの症状がみられる(多動、不注意、衝動性)
・社会的未熟さ(新しい状況・環境への参加対応が難しい)
必ずしもモロー反射が長く続く=発達障害である、というわけではありません。しかし、モロー反射をはじめとする原始反射が長く続けば続くほど何らかの問題がある可能性が高まります。いざというときのために、日頃から子どもの動作をよく観察したり、場合によっては記録したりすることが大切です。
モロー反射とは0~4ヶ月で見られる原始反射の一種です。大きな刺激を受けた時に身体をびくっとさせ、両手を広げてしがみつくようにする動作は赤ちゃんならではのとても可愛らしい動作です。また、ただかわいい動作であるだけでなく、モロー反射をはじめとした原始反射は子どもの発達状態の一つの重要な指標となります。原始反射の始まりと終わりの時期や動作の特徴などで子どもの発達状態に問題がないか気づくきっかけになることがあります。
またこの原始反射を統合する運動を促すことで発達障害の症状の軽減を図ろうという民間療法もありますが、エビデンスは確立していません。ただ、この考え方は昔からよく似た発想での治療法がいくつもありますので、あながち無視はできません。要は運動によって正しい動きを作っていくことは身体の発達に良いことですし、不器用と言われる子どもたちが楽しみながら運動を学ぶはとてもいいことだとは思います。
危機管理
新型コロナウィルス騒動で、WHOや政府の初期対応への批判がメディアを賑わせています。WHOの事務局長の母国が中国の経済支援を受けた恩義から、非常事態宣言を遅らせたのではないかという批判、日本政府の渡航制限が他国に比べ緩いのは安全保障より経済を優先する国柄が出たのではないかという批判です。危機管理は決断力、リスク管理は計算力と言われますが、実際にはその両方が必要とされています。
「リスク管理」(Risk Management)の基本は、想定されるリスクが“起こらないように”、そのリスクの原因となる事象の防止策を検討し、実行に移すことです。リスク管理では、想定されるあらゆるリスクを徹底的に洗い出し、そのリスクが発生したらどのような影響があるかを分析します。そして、それぞれのリスクについて発生を抑止するための方策を検討し、影響度の大きさに従ってプライオリティをつけて、リスク防止策を実行します。つまり、究極のリスク管理は、想定されるリスクを予め抑え込んでしまうことと言えます。
一方、「危機管理」(Crisis Management)は、危機が発生した場合に、その負の影響を最小限にするとともに、いち早く危機状態からの脱出・回復を図ること、つまり必ず起きる事を前提とするのが基本となります。もちろん、防げる危機であればその発生を防ぐことが望ましいのですが、自然災害や外部要因による人的災害や事故などの中には、自助努力で防ぎえないものも多くあります。危機管理においても、リスク管理と同様に、起こりうる危機やそれに伴うリスクをリストアップすることが必須となります。しかし、危機管理の大きな特徴は、危機が発生したときに何をすればその災害や影響を最小化できるか(減災)、危機からの早期回復のためには何をすればよいかということが、検討の中心になるということです。
危機は「いつか必ず起きる」という大前提に立って検討を進めることが危機管理の第一歩です。不確定な低い確率で起きることを人は受け止めにくいものです。正常化バイアスと言って危機から目を背けるのは、人間の判断に起こりがちな心理だと言います。事故は自分のところでは起こらない、災害は他の地域で起こることだと思いたいのです。事故は起きる、災害は必ず来るという前提で事を始めるのがリスク管理を含めた危機管理です。そして、事が起これば情報の公開と思い切った早い決断が重要と言えます。
令和元年度保護者及び自己評価集計結果(公表)
今年度の保護者の皆様からの評価アンケートと事業所の自己評価の集計結果を報告します。
環境・体制整備では活動スペースが十分ではないというご意見が保護者から3割、職員から4割ありました。設置基準は満たしているものの、通常学校の利用者が増えて手狭になっているので、新事業所の立ち上げを考えています。また、職員の専門性については資格など保護者に詳しく紹介して周知したいと思います。
業務改善では、評価については第三者評価委員を委嘱していくことを検討していきます。研修については、正規職員が日曜日以外フル稼働しているのでシフト制導入によって週休二日制にしていくことや、当面は第4土曜を休所日にして自己研鑽できるよう検討していきます。
適切な支援の提供では、標準化されたアセスメントツールは知能検査をはじめ読み書き障害検査等を準備していますが、契約時の保護者との合意がなされていないので重要説明事項に加え保護者了解を得たいと思います。また、非常勤職員の方に支援計画などが十分周知されていない件については回議などで情報共有していきます。
関係機関や保護者との連携では、学校との情報共有は現場レベルで常時行っていますが、非常勤職員への周知が不十分なので文書で情報共有したいと思います。就学前や卒業後の連携については相手方からの求めがない限りは連携できていませんが、相談事業所とも協議して連携強化を検討していきます。地域の児童とは公園遊びなどで自然に交流している現状でよいと考えています。ペアトレについては契約内容にするのか希望制にするのかも含めて検討が必要ですが、事業所内相談支援加算月1回35単位では困難だと考えます。
保護者への説明等では、苦情処理の制度が契約時には説明しているが周知されていないようなので連絡帳を見れば制度が分かるようにしておくなどの工夫をします。会報は月刊、ホームページは営業日毎日更新へと改善し、昨年の2割から今年9割の方に評価を得ることができました。
非常時の対応については、昨年同様半数以下の低い評価のままです。今年度中にまずは非常時訓練を実施し、毎年2回の訓練とその報告を欠かさず行いたいと思います。職員レベルでは非常時・虐待・身体拘束・アレルギー・ヒヤリハットについてマニュアルによる周知徹底を図ります。
以上、これらの課題を改善するために職員一同努力していきたいと思います。保護者の皆さんの御理解御協力をよろしくお願いいたします。
令和2年2月15日
育ちの広場すってぷ職員一同
魅力的な声
表情豊かな歌声、深夜ラジオの心に染みる語り口……。ふと耳にした魅力的な声に、思わず耳をそばだてたことがあります。人の声は、私たちの心に思いのほか強く影響を与える。うっとりするような声に心が軽やかになったり、もっと聞いていたいと感じる一方、ゾワッとする声で不快感を覚えることもあります。影響するのは他人の声だけではありません。声は、自分の心とも密接につながっているといいます。
誰でも、その人本来のいい声を持っています。全身を使って深い呼吸をすると、体のゆがみや滞りが取れて、自然にいい声が出ます。そんな声が体の中に響くと、声を出すだけで全身が気持ちいいし、心も心地よさで満たされます。もちろん、いい声を聞いた相手にも心地よさが伝わります。
声は「体」「心」「呼吸」と直結します。いい声が出る体は凝りやゆがみがなく、呼吸も深いです。自分と相手を心地よくするので、人間関係のストレスも解消できます。しかし、実際にそんな声を出している人は少ないです。それは、私たちの体がいろいろなクセを抱えているからです。姿勢のクセ、動作のクセ……。体のどこかが常に緊張し、不自由にゆがんでいます。緊張を手放せない体は、それ自体がストレス源として知らず知らずのうちに気分を落ち込ませ、いらだたせます。
そして深く呼吸できない体が発する声は、詰まった感じで通りが悪いです。そんな声は、相手にも不快な感じを与えがち。会話は弾みにくいし、いい関係を築くのに余計な苦労がいります。いつも人間関係で悩むという人は、声の出し方の問題なのです。「声の響き」という実感をバロメーターにすれば、体の変化を自分で感じやすいです。今の声が普通と思っているから気づいていないけれども、滞りが取れて声がスコンと通れば気持ちいい事が実感できます。
いい声が出る体は、ベースに心地よさが宿り、気分が安定します。呼吸が深く、ストレスに強くなり、多少のことでは心が揺らぎにくいです。重要なのは深い呼吸とゆっくり吐く息です。そしてその声が、周りの人にも心地よさを広げます。まさにいいことずくめです。これが、子どもの支援には欠かせないのです。