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国立に立ち上がったスカイツリー パラ閉会式「多様性の象徴」に
国立に立ち上がったスカイツリー パラ閉会式「多様性の象徴」に[連載・ツリーとともに](2)
2022/01/07 【読売新聞】
昨年9月5日午後8時、新宿区の国立競技場。13日間にわたって世界中の人々を魅了した障害者アスリートたちによる祭典・東京パラリンピックの閉会式が始まった。
国旗の掲揚や君が代の斉唱が厳かに終わった後、各国選手団の旗手が入場。横たわった東京スカイツリーのオブジェに近づき、手のひらサイズの円形の鏡を次々に貼り付けていく。
無数の鏡でキラキラ光るスカイツリー。パフォーマーたちが引っ張り起こそうとするが、あえなく倒れてしまう。多くの人たちが加わり、さらに選手たちの声援が後押しとなって、スカイツリーはついに立ち上がった。全ての違いが輝く街「ダイバーシティー」の完成。それを祝うように、スタジアムから一斉に花火が打ち上がった。
鏡は大会で輝きを放った選手たちの象徴で、選手たちが東京の街に輝きを与える――。総合演出を手がけた小橋賢児さん(42)は式を見届けると、「あらゆることをやりつくした。みんなの願いが通じたようだ」と感涙にむせんだ。
考え抜き行き着いたのは「調和のとれた不協和音」
パラリンピック閉会式の演出依頼は突然だった。本番まで1年もない時期、スマートフォンに大会関係者からメッセージが届いた。「まさか自分が……」と鳥肌が立った。
子役の頃から俳優として活躍してきた。ただ、俳優業をこのまま続けることに不安を抱き、27歳で休業。米国へ留学した。大陸を横断中、フロリダ州で野外コンサートに出掛けた時のこと。みすぼらしい服装の人もそうでない人も、いろんな肌、いろんな国の何万という人たちが体を揺らしてともに音楽を楽しんでいた。「違いを持つ人たちも、互いに共鳴しあえる場が作れるんだ」。演出の世界へ進み、10年あまりの歳月が過ぎていた。
パラリンピックという、異なる障害を持つ選手たちが競い合う場をどう表現するか。数週間考え続け、たどりついたテーマが「調和のとれた不協和音」だった。強さや速さを追い求めるだけではなく、個々の違いをありのままに出すことで、人々が感動を共有できる場になるはず、とのメッセージを込めた。
東京スカイツリーなら国立のフィールドで
このテーマを国立競技場のフィールドで形にする方法は、大道具の職人にいたるまですべての制作スタッフから意見を募った。
あるスタッフが口にした「東京スカイツリーなら、高いところから広く選手の活躍を届けられる」というアイデアに思わず膝を打った。
新型コロナウイルス感染防止のため、海外からやってくる選手たちは、競技以外は選手村から出ることさえ許されない。閉会式で東京の街並みを出現させれば、選手たちをそこへ案内できる。ツリーの白いフォルムは、何色にも染まる「多様性の象徴」にも見えた。ツリーのオブジェの周りにカラフルな毛糸やフリル、バルーンでビルや花々、橋を作り、個性を表現した。
本番を迎えるまで、ゲストの出演交渉が決裂したり、コロナ禍で出演者が大勢集まる機会が減ったりと多くの困難に直面した。それでも「楽しむことが大切」という信念は曲げず、現場のスタッフたちには笑顔で接することを心がけた。
スタッフや出演者らは、障害者のために振り付けを工夫し、夜遅くまでパフォーマンスの練習を繰り返すなど、要求に応えてくれた。「違いを認め合い、心からやりたいことができるのは素晴らしい」と心の底から感じた。
大会後、3年後に催される大阪・関西万博のイベント統括を任せられた。「また人生を豊かにするような、出会いが生まれるといいな」。どうやってもう一度、世界に日本をアピールしようか、心を躍らせている。
歌舞伎にも 絵本にも
東京のシンボルとなったスカイツリーは、イベントにとどまらず、舞台や書籍など幅広い分野で登場するようになった。
ツリー開業を前に、浅草の隅田川沿いに仮設された芝居小屋「平成中村座」では、歌舞伎の演目中、舞台奥の大扉が開くと、隅田川越しにスカイツリーが借景になる演出が行われた。
また、2012年出版の絵本「ゆめのスカイツリー」(金の星社)では、子どもたちが夢で見たという、パリのエッフェル塔を肩車したり、月に届くほど背が伸びたりするツリーが描かれている。16年リオデジャネイロ五輪の閉会式では、東京をPRするショーでツリーの模型が登場した。
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オリパラ閉幕からほんの3か月程しかたたないのに、遠い過去のように感じます。それでも、競泳男子100平山口の世界新金メダルやボッチャ杉村の金メダル、メダリストにはならなかったけどパラアスリートの奮闘に対する感動は鮮明に覚えています。パラの開会式も閉会式も世界的に高い評価を得たのも嬉しいことです。
裏舞台で懸命に働いていた関係者の方々の思いもこの記事で知ることができました。オリパラ開会前は、障害者いじめに関与していたという演出者の話で炎上して開催そのものが危ぶまれていましたが、パラのイベントでしっかりリカバリーできて胸をなでおろした関係者は少なくなかったと思います。
思えば開催を前にして、オリパラの開催を危ぶむような報道が続きました。森会長の不適切発言も議事録をよく読むと、女性は優秀な方が多いので、今度も女性理事を入れてほしいという趣旨の発言でした。女性の話が長いという旨が趣旨ではないことは全文を読めば分かることですが、メディアはこれを切り取って書き立て、オリパラ反対の政治家たちも後に続きました。
気になるのは、フェミニズムや少数民族擁護、少数者の権利擁護の看板が大きな政治家ほど、20世紀にあり得ない女性権利の侵害や民族弾圧、人権侵害について批判の発信が弱いことです。たかがオリパラの会長発言とは言いませんが、森会長を罵ったメディアや政治家が、アフガンのアクンザダ師や中国の習近平について執拗に批判している姿は見たことがありません。タリバーンや中国共産党の人権侵害を暴き非難しても視聴率や支持率向上にはつながらないからだと思います。こうして、同じ事でも一方を非難し、他方は非難しないことを二重基準=ダブルスタンダードとか二枚舌とかいいます。
オリパラをはじめとするスポーツ競技は多様性社会を保障する民主主義の象徴でもあります。冬季北京五輪は来月ですが、パラ開催式に中国がどんな演出をするのか見てみたいものです。片方で人権蹂躙や国際法を平気で破りながら、もう片方で民族自決と国際平和などと嘯く二枚舌は共産主義国家や独裁国家のお家芸です。多様性社会を映し出したスカイツリーはこうした二枚舌の言動も包み隠さず映し出します。
ボードゲームの「先生」に転身 元小学校教員が専門店
ボードゲームの「先生」に転身 元小学校教員が専門店 三郷
2022年1月11日 【朝日新聞】
大人も子どもも楽しめるボードゲームの魅力を発信する店が埼玉県三郷市にある。店主の小野貴弘さん(48)は元小学校教員。クラス活動にボードゲームをとり入れたことがきっかけで「どっぷりはまって店まで出してしまった」。各地の愛好者が店に集まり、交流の場にもなっている。
みさと団地センターモール商店街の一角にある「さいころテーブル」。棚には約300種類の国内外のボードゲームやカードゲームが並び、購入したり有料で遊んだりできる。「ゲームというと勝敗を競うイメージが強いけど、一緒にミッションを達成する全員協力型もある。自分に合ったゲームを案内します」と小野さん。
2019年6月に開店する前は、約20年間、都内の小学校に勤めていた。ボードゲームとの出会いは8年前。発達障害などのある子どもが通う少人数学級を担任した時、ボードゲーム好きの同僚に勧められてクラス活動にとり入れてみた。すると、「子どもたちが見違えるように生き生きしたんです」。
推理系のカードを使って駆け引きする「ハゲタカのえじき」では、勝ち負けで驚くほど盛り上がる。それだけでなく、感情の起伏の激しい子どもでも、ルールを学んで気持ちを抑えられるようになる。コミュニケーション力と社会性を育む効果を実感し、「こんな面白いものがあったのか」と小野さん自身が夢中になった。
やがてボードゲームを紹介するブログを開設し、豊富な知識と解説がネットの話題に。「自分のやりたいことを追求したい」と思い切って19年3月に教員を辞め、3カ月後には自宅近くの団地の空き店舗を見つけて開店にこぎつけた。
異例の転身から2年半余り。この間、コロナ禍で休業した時もあったが、看板に「3さいから99歳まで」と掲げた通り、客層はじわじわと拡大しているという。
土日祝日は親子連れ客が多いが、平日の夜は大人の客が中心となる。いつしか愛好者が連絡を取り合って毎週金曜日に集まるようになった。
昨年12月17日の夜は30~40代の男女11人が参加。小野さんお勧めのボードゲームを楽しんだ。
話をやりとりしながら違うお題のカードを持つ人を当てるコミュニケーション型ゲーム「ワードウルフ」では、プレーヤー同士の心理を探り合うスリリングな会話が熱を帯びた。
春日部市から参加した30代男性は「初めてのゲームでも、店主がわかりやすく説明してくれる。気配りも上手で、さすが元小学校の先生です」と話す。
小野さんにとっても、店が小さな社交場となることは想定外だったそうだ。「ボードゲームは人が顔を合わせてはじめて成立する。ある意味でぜいたくな時間を提供しているのかもしれませんね」
店は通常、火・水定休。詳細はホームページ(https://saikoro-table.com/別ウインドウで開きます)。(米沢信義)
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良い先生だったのだろうという事がよく分かります。40代前半で教員に見切りをつけて店を出すあたりがかっこ良すぎます。ボードゲームやカードゲームにはまり込む大人は結構いますが、感心したのはボードゲーム屋一本で店を開いたところです。場所代一人15分100円で20席程、平日は16時から22時までの6時間、席稼働率が3分の1なら1日2万円の売上です。20日間営業で40万円、固定経費と新しいボードゲームを仕入れたら一人でギリギリ生活の勘定です。教員時代の収入は得られません。それでも店を開くなんてかっこいい!
放デイで、ボードゲームをたくさん用意して社会性を育みますというキャッチはあちこちで見かけますが、ボードゲームだけで社会性が育めるなら苦労はないです。ただ、子どもが自発的に興味を持つ遊びは学びが多いというのは事実です。そして最も必要なのは、子どもが興味のあることを度真剣に取組んでいる大人の存在です。子どもは遊びでも仕事でも真剣な大人が好きです。ジャンルはそれがボードゲームだろうがサッカーだろうがなんでもいいのです。その大人がやる事喋ることが全て憧れになります。
こうした大人の存在をカリスマティックアダルトと呼びます。ちょっと性格変だけど岩石にめちゃくちゃ詳しい先生や、Nゲージを語らせると一日中しゃべっている爺さんや、野山に行くと滅茶苦茶元気になる野外親父とか、引きこもっているけどファイナルファンタジーの生き字引と言われるおっちゃんなどはその道の子供の絶大な支持を受けています。そうですか小野先生やっぱり学校やめて道を究めますか。そうだろうなぁ。
「助言しない」意識変革を
「助言しない」意識変革を
2022/1/12 【産経WEST】
「私は臨床心理士なので、具体的なアドバイスはしない」。困難を抱える子供や保護者の支援を担う心理の専門職、スクールカウンセラー(SC)への取材を重ねる中で、何度も聞いたセリフだ。だが文部科学省は問題解決のため、SCに対して保護者に助言をするよう明確に求めている。それが、なぜそうなるのかと驚いた。
SCという名称の固有の資格はなく、文科省によると、現在のSCの大半は臨床心理士の有資格者だ。臨床心理士が心療内科などで行うカウンセリングでは、相談者が自分の考え方のクセといった問題に自ら気づけるよう、本人の話に傾聴して共感を示し、内省を促す手法が主体とされる。この一面においては、「臨床心理士はアドバイスはしない」のだろう。
だが臨床心理士の資格は個人的な背景にすぎず、自治体から採用されてSCになったのなら、「SC」としての責務を全うしてもらわなければならない。文科省の有識者会議によるガイドラインは、子供にはカウンセリング、保護者には助言をするよう明記している。このガイドラインを基に各自治体が作成する活動指針も、同様のはずだ。
保護者は悩みや不安を抱え、すがる思いで相談に訪れる。それなのに、カウンセリング手法で話を聞いて共感されるだけでは、解決の糸口すらつかめない。中学生の長女が不登校になった愛知県の女性(53)は、SCから「本人が登校する気になるのを待ちましょう」と言われるばかりで、何をして待てばいいかの助言もなく不安を募らせたという。だが、取材に「臨床心理士として言えるギリギリが、『待ちましょう』だ」と答えたSCもいた。
もちろん取材では、子供の抱える問題の原因を見立て、積極的に助言するSCにも出会った。メールで連載への感想を寄せてくれたSCの女性(56)も、保護者との面談のたびに必ず助言をするといい、「子育て期はあっという間。保護者の悩みに今、対応して解決しなければならない」と話した。だが、そんなSCはむしろ少数派だとの声もあった。
SCには心理分析の知識だけでなく、教員と連携するためのコミュニケーション能力などさまざまな資質が求められる。財務省は今年度、各省の事業の有効性や効率性を調べる「予算執行調査」で、SCについて「資質の向上が最需要事項」と指摘した。
だが、「うまく助言できない」のではなく「助言しない」と決めているのであれば、資質以前の問題だ。文科省と自治体は今一度、SCの職務内容を周知徹底してほしい。SC側も、学校にかかわる専門職として求められている役割が何かを改めて考え、意識を変える必要があるのではないか。(藤井沙織)
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傾聴して指示はしない、カウンセリング理論の基本です。ただ、保護者は生徒と親子関係にあり保護者が影響を与えている場合があるとは言え当事者ではないですから、「助言しない」という理由が不明です。「子どもに助言しない」と言う助言はありですが、親にも教員にも助言しないと頑なに拒むカウンセラーがいるとすれば、その方自身が社会性の課題を抱えていると考えるべきです。そもそも導入時から臨床心理士を学校に迎え入れるのに、傾聴だけするカウンセラーで教育相談に役に立つのかと言う議論がありました。
この懸念を抑えて押し切ったは、かつての文化庁長官河合隼雄さんの力が大きいです。不登校や引きこもり相談のパイオニアであった河合さんが臨床心理士会をてこにSCを定着させたという経緯があるのです。秘密を守ることは子どもとの信頼関係を築く第一歩ではありますが、全てではありません。他の大人とも情報共有することを子どもが安心して理解できるようにするのもSCの仕事です。
SCには生徒のカウンセリング業務以外にコンサルテーション(助言)業務が課されています。対象は保護者と学校関係者です。ところが、この人たちに向かって「助言しない」と言ったら業務放棄です。一度決めたら修正できない「お役所仕事」で全ての公立学校にSCを文科省は置いたのですが、とうとう現場の不満が爆発し、財務省の経費削減路線と合わさって「SCは役に立たない」大合唱が始まったわけです。
SC採用の際に臨床心理士会の心理士ならフリーパスと言う採用の仕方にも問題があります。今は少なくなりましたが、子どもの特性によっては傾聴が役に立たないことを知らない臨床心理士もいるのです。そして、子どものカウンセリングと関係者への助言はセットにして効果が上がるのは当たり前のことです。助言しないと言うSCは辞めてもらえばいいのです。制度そのものと運用(採用方法)の問題をすり替えないでほしいと思います。
感染再拡大 新学期迎えた学校 感染対策を徹底して授業再開
感染再拡大 新学期迎えた学校 感染対策を徹底して授業再開
01月12日 【NHK】
新型コロナウイルスの感染が再拡大するなか、東京都内の学校では新学期を迎え、受験を控える6年生の児童もいることから、感染対策を徹底して授業を再開しています。
このうち、東京・大田区の区立出雲小学校では11日から3学期が始まりました。学校では、登校時の感染対策として、昇降口で教師がサーモグラフィーを使って児童の体温を測定し、発熱している人がいないか確認しています。
また、中学受験を控えた児童がいる6年生をはじめ、各教室では担任が1人1人、児童とその家族の体調に問題がないかどうか聞き取ったあと、児童は消毒して入室していました。12日は毎年この時期に行われている学校の開校記念の催しもありましたが、リモートでの開催となり、児童たちは教室の前の大画面を通じて校長の話を聞いていました。
また、毎年恒例の新年の書き初めの授業は、日にちを分散したうえで、スペースを確保しやすい体育館を活用し、できるだけ間隔を空けて行われていました。
学校行事にも引き続き影響が及んでいて、去年9月からことし3月に延期された6年生の1泊2日の校外学習も今後の感染状況を見ながら実施の可否を判断したいとしています。
中学受験を控えた6年生の男子児童は「受験まで1か月を切っているのでコロナだけでなく風邪などをひかないように引き続き気を引き締めて感染予防に努めたいです。行事が開かれない可能性もありますが、日頃からの友達と過ごす今の時間を大切にしていきたいです」と話していました。
関眞理子校長は「オミクロン株は感染力が強いとのことなので、小さな症状でも配慮するよう家庭に声かけしています。コロナ禍の生活に子どもたちも不安を感じているのでケアをしていきたい。健康で安全安心な学校生活を送れるよう、先生を含め、健康管理や感染対策をしっかり行うことを心がけています」と話しています。
文部科学省は厚生労働省とともに大学受験を控える受験生向けに作成した「受験生のみなさんへ」という文書をホームページに掲載していて、感染リスクをできる限り減らすための対策を紹介しています。
このなかでは体調がおかしいときには外に出ない自主的に検温をする外出は最小限にとどめるこまめな消毒といった受験生本人がとる基本的な感染対策のほか、受験生がいる家庭内で心がけることも掲載されています。
まず、家庭内で普段から心がけることとしてはお互いに体調を確認しあって症状がある場合は早めに医療機関を受診すること受験生の家族は会食など、外出先で感染リスクのある行動をできるだけ減らすこと家族での食事の際にも可能な範囲で距離を確保することなどをあげています。
また、もし、体調が悪い家族がいる場合には同じ部屋での食事や睡眠を避け、難しい場合は距離を保つ工夫をすること家族での会話の際にもマスクを着用することなどをあげています。
そのうえで文書では新型コロナウイルスは誰でも感染する可能性があり、感染した人を責めることなくみずからを守る行動を心がけるよう呼びかけています。
首都圏の1都3県の私立中学高等学校協会などによりますと、埼玉県では今月10日から千葉県では今月20日以降、東京都と神奈川県では来月1日以降、それぞれ私立中学の一般入試が行われます。
中学受験の模試や受験情報のとりまとめを行っている「首都圏模試センター」の調べによりますと今月6日の時点で、首都圏の1都3県の私立中学校の少なくとも70校以上が、新型コロナウイルスに感染するなどして試験を受けられなくなった人のため、追試を予定しているということです。
また、およそ18校は追試などの対応が可能かどうか学校に相談してほしいとしているということです。
首都圏模試センターは「今後の感染状況によっては、追試などの対応をとったり、入試について変更する学校も出てくると思うので志望校のホームページをこまめに確認してほしい」と話しています。
今月15日からは2日間の日程で「大学入学共通テスト」が行われるなど、首都圏では今後、高校入試や大学入試もピークを迎えます。
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中学受験まで感染リスクの管理を行う、これが今の東京の実情だと言う事がよくわかる記事です。東京では平均2割程度ですが文京区や港区では4割ほどの子どもが私立中学に行くので中学受験は珍しいことではありません。全国平均で1割程度ですから、乙訓地域では各クラスで3~4名が東京港区のクラスでは15名以上が私学に進学する感じです。
大学入試では、感染や濃厚接触で共通テストが受験できなければ各大学で試験をするように通達した事が不公平になるのではないかという議論が起こっています。理由は共通テストの点数で各大学は足きりをするのに対象者はそれをスルーできるからだそうです。筆者も含め昭和生まれの約半数は試験一発勝負の世代なので事態の重大さがわからないのですが、平成生まれの人たちはすぐに気づいたようです。
それにしても、オミクロン株の症状は風邪引きと酷似していると症例も集まってきているのに、感染者数ばかりを強調しNHKも事実上他のメディアと同じく煽っている感があります。一気に広がると入院施設が対応できないからと言いますが、次の山が来ると専門家も政治家も一様に表明していたのに、以前と全く同じ発言をして無策に悪びれる様子もありません。
そもそもエボラ出血熱と同じ扱いの2類相当を、インフルエンザ並みの5類相当に修正すれば通常の対応に戻せたはずでした。結局、重症化しないという症状に関係なく制限を強くすればするほど支持率が上がるというポピュリズムがそれも許さなかったということです。沖縄はオミクロン拡大で緊急事態宣言の要請をしていましたが、重症者は僅かでした。この騒ぎ方も、世界中で広がっている感染を米軍基地の責任にして政治的に煽っている感じがします。必要以上の制限をして必要のない休校休所で子どもを巻き込まないで欲しいと思います。
学校ができることは手洗いうがいを励行することです。重症例がほとんどないのに、新しい株が出るたびに行事を止めたり特別な措置をしていては、この先教育も福祉も成り立ちません。メディアの取り上げ方も、感染者が増えた増えたと騒いで不安を煽るのは、そろそろ終わりにしてほしいと思います。大事なのは症状と予防法をデータを示して正しく説明することだと思います。
若者が帰りたくなるまちを作る...0歳~100歳まで“ごちゃまぜ”の世代間交流を実現させた
若者が帰りたくなるまちを作る...0歳~100歳まで「ごちゃまぜ」の世代間交流を実現させたある病院の挑戦【群馬】
2022/01/14【FNNプライムオンライン】
群馬県の人口約5万人の小さな自治体で、地域の病院が子どもから高齢者、障がいのある人まで一体的にケアする取り組みが行われている。政府が進めようとする「地域包括ケアシステム」を先駆けて実践するこの病院とは?現地を取材した。
「0歳から100歳まで地域で支えるんです」
「ここでは0歳から100歳、すべての年齢を地域で支えるんです」
群馬県沼田市で2021年11月に開設した地域共生型施設「SONATARUE(以下ソナタリュー)」。筆者に施設を案内してくれた担当者はこう語った。
ソナタリューは1階に足湯や温泉、レストランにカフェ、アスレチック公園があり、一見アミューズメント施設のようだが、実は障がいのある人の生活や就労の拠点であり、障がいのある子どもたちの学童クラブもある。
この施設を開設したのは、沼田市にある医療法人大誠会内田病院(以下内田病院)だ。内田病院はいまから30年以上前に来るべき高齢社会を見据えて、当時としては珍しかった医療と介護の連携を開始した。
その後内田病院は福祉の分野にも進出し、いま医療・介護・福祉を一体化させた取り組みを行っている。ソナタリューもその1つであり、内田病院は人口5万人足らずの沼田市で、子どもから高齢者まで安心して暮らせるまちづくりの拠点となっている。
学童保育が足りないなら自分たちでつくる
安心のまちづくりにチャレンジしているのが、内田病院グループの理事長を務める田中志子さんだ。田中さんの父親は内田病院の創始者であり、当時としては珍しく介護分野に乗り出した。そのきっかけを田中さんはこう語る。
「父は1976年に有床のクリニックを開業したのですが、10年ほど経つと入院患者さんの年齢層が上がって長期入院になり、軽度の介護施設みたいな感じになりました。そこで父は1988年に当時始まったばかりの老健施設(※)を建てたのです」
(※)介護老人保健施設。介護が必要な高齢者の自立支援などを行う、病院と施設等との中間施設
父親を継いで理事長に就任した田中さんは、「誰もが生きがいをもって安心してくらせるまちづくりを」と福祉の分野にも進出した。
「2006年にNPO法人をつくりました。当初は自宅にいる一人暮らしの高齢者に配食をしていたのですが、子育て中の病院の職員が『学童保育が足りなくて働けない』というので、『では学童を作ろう』と。そのうち外部の子どもも預かるようになり、障がいのある子どもが大変そうだとこちらも預かることになりました。当初は公費が頂けず赤字続きでしたね」
居場所のない高齢者と子どもが”ごちゃまぜ”に
その後保育園やデイサービスも始めた田中さんは、高齢者から子ども、障がいのある人へのサービスを同じ施設内で行うことを決めた。こうして2017年に開設した「いきいき未来のもり」には、保育園、学童クラブのほか、障がいのある子どもを対象とした児童発達支援事業と放課後等デイサービス、要介護認定された高齢者のデイサービスが混在している。
田中さんはこう語る。
「施設は保育園の子どもがデイサービスを通らないと園庭に行けないような設計にしました。そうすると子どもはおじいちゃん、おばあちゃんに1日2回は会えて挨拶もできる。こうして“ごちゃまぜ”にすると、家で居場所がなくなっていたおばあちゃんが子どもたちの運動会のお花を作ったり、認知症の人が赤ちゃんと交流したり。また重い自閉症の子どもが健常者と交わる中で、普通クラスに通えるようになったりもしました」
“ごちゃまぜ”な世代間交流が生まれる施設
そして2021年11月に開設したのが前述のソナタリューだ。田中さんがソナタリューを作ろうと思ったのは、初めて障がいのある子を預かったときだ。
「お母さんたちがとても感謝してくれたのですが、『特別支援高校卒業後に住むところや働くところが無い』と言われて。それから16年が経って、障がいのある人のグループホームとショートステイをやっと始めることができたのですが、商業施設のように誰もが行きたがる施設にしようと考えたのです」
ここでは障がいのある人が健常の人と一緒にパンを焼き、足湯には園児もリハビリの人も、地域の人も観光客も来る。
「結果的に本当に“ごちゃまぜ”な世代間交流が自然と生まれるのです」(田中さん)
人口約5万人のまちが国に先駆ける地域ケア
いま政府は「地域包括ケアシステム」の構築を進めている。これは高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしをおくることを目的としたものだ。
内田病院は、医療だけにとどまらず介護や福祉の分野まで取り組み、まさに子どもから高齢者、障がいのある人が安心して暮らせるまちづくりを行っている。
ではなぜ田中さんは、これまで難しいと思われていた包括ケアに挑戦するのか?
「沼田市は人口が5万人程度、うちも10年前は職員300人規模の医療法人グループでした。しかし現在は600人を超える職員がいます。だからこそ『こういうやり方をすると人が集まってきて、満足度が高いエリアになる』という発信ができれば、同じ規模の自治体のモデルになれるんじゃないかと。私たちは地域への反映に約20年かかりましたけど、このノウハウがあれば他の地域でも2年くらいでやって頂けるかのではないか思っているんです」
若者が帰りたい、残りたいまちづくりとは
さらに田中さんは「実はもう1つ理由があって」と続ける。
「これは本当にエゴでしかないのですが、私には子どもが3人いますが、赤ちゃんの時にとにかく可愛くて手放したくなかった。だから子どもたちが仮に都会に行っても帰ってきたい、残りたいまちを20年かけてでもつくろうというのが発端だったんです(笑)。だから誰もが楽しく働く場所があって、子どもを育てやすい環境があって、住みたくなるまちをつくろうと。おかげさまで子どもたちは皆、ふるさとに帰る予定です」
田中さんは若い職員に「要介護者を増やさないことは社会保障費を必要以上に上げないことになる。それは自分たちの未来のためなのだから、我が事としてやりなさい」と言っているという。
医療・介護・福祉を一体化させ、子どもから高齢者まで安心して暮らせるまちをつくる。そんなまちになれば、若者が帰りたいふるさとが日本中に生まれるだろう。
【執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款】
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医療から出発して老人介護や精神医療から就労支援にまで拡張していくケースはよく見ますし、学童保育や放デイにまで拡大していくのは、発達障害医療から放デイと言う形で最近ちょくちょくあります。町ごと丸抱えというのは地方ならではの取組だと思います。云わば地方でこうした芋づる式に必要だから作ろうと考えて実現できるかどうかは経営者次第だということです。
医療が福祉分野に拡大していくのは穿った見方をすれば、医療ニーズが変わってくる中で顧客(患者)を離さない取組とも言えますが、それが職員の新しい職域を開発し地域の雇用ニーズを作り出し地方を活性化することにつながるなら良いことです。本来なら行政や議会が動いて地域インフラの設計図は描くことが理想ですが、既得権益にがんじがらめの政治家や今まで通り路線の役所に任せていたらいつまでたっても実現しません。
医療法人が一定の資本力を得て、地域に資本投資して地域のインフラを整備していく話は、テレビでは地元の事など目もくれず合理主義を持ち込んだ儲け主義の理事らが画策していくというドラマ展開が多いのですが、田中理事長のような方もいるのだと強く発信してほしいと思います。
しかし、その起点が医療法人である必要はありません。地域で大きくなった企業は地域にたくさんの従業員がいます。その従業員の家族には子どもや老人もいれば障害のある人もいます。乙訓地域は世界に知られる資本力の強い大企業も多いです。地元の大企業が必要な地域インフラを拡大して持続可能な地域社会を作るように動き出せば、新しい共生社会のモデルを作ることも可能です。重要なのは法人トップの事業理念だということを田中理事長は教えてくれています。