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みんなちがってみんないい

てんかん(その4)

抗てんかん薬の多くは、脳全体の働きを抑える作用があり、飲む量が増えると眠気やふらつきなどの副作用を起こしやすいことが知られています。また、飲みはじめの早い時期にみられる副作用として発疹などのアレルギー反応、長期間の服用では、肝機能の低下、白血球減少、脱毛などがあります。また、抗てんかん薬によって、体重増加、食欲低下、体重減少、発汗低下、歯肉増殖などの副作用が出ることもあります。

ただし、副作用の起こり方は人によって違うので、同じ薬を同じ量飲んでいても、同じように副作用が起こるとは限りません。一般に薬を初めて飲むときには、副作用を避けるために少ない量から始め、薬の効果や副作用を確認しながら徐々に増やしていきます。また、定期的な血中濃度測定や血液検査などをチェックして副作用を避けるようにします。

血中濃度測定は、飲んだ薬がどの程度血液中に入ったかを調べるものです。人は同じ薬を飲んでも、体重や年齢、性別、薬の飲み方(回数や量など)などで薬が腸から血液に入る量が変わってきます。そして、吸収された後も、薬が体の隅々にいきわたり方、薬の効き方、尿や便などを通じて体外へ出ていく量が人によって違うため、抗てんかん薬の血中濃度は変わってきます。

しばらく発作が止まっていたり、副作用を心配するあまり、本人や家族の判断で薬を飲まなかったり、回数を減らしたりして、てんかんの症状を悪化させてしまうことがあります。患者さんが医師の処方どおりに服薬することを「コンプライアンス(服薬遵守)が良好である」といいます。最近では、単に処方で定められたように薬を服用するコンプライアンスよりも、本人自身が十分納得して治療のために積極的に薬を服用する「アドヒアランス」という言葉が使用され、治療が医師からの一方的なものではなく、本人や家族と協力して行われるという考え方が定着しつつあります。薬は納得したうえで指示されたとおりに飲み、副作用が心配なときは素人判断せずに主治医に相談することが大事です。

感情表現は社会的産物

感情のコントロールは家族や先生、近所の人など身の回りの人からのフィードバックから学びます。嬉しい、悲しいといった感情は基本的に主観的であり、自分自身の感情状態を知るのは自分だけです。「スキップしそうなくらいワクワクしている感情は”嬉しい”という感情」「涙がこぼれ落ちそうで気持ちが沈む感情は”悲しい”という感情」という風に感情状態に名前をつけます。また、感情をコントロール出来るようになるためには、環境からのフィードバックが欠かせません。

例えば、子どもがおもちゃ屋さんで欲しいおもちゃがあったけど、買ってもらえず、怒って床に転げまわる時。大人が「おもちゃが欲しかったんだね」となだめたり、「怒っちゃったんだね。でも、床で転げまわったらだめだよ」と諭したりすることで、子どが落ち着き、「自分の思い通りにならなくてイライラする感情は”怒り”で、おもちゃを買ってもらえなくても、床でジタバタしたらダメなんだな」と感情に名前があることを知り、感情をコントロールすることが必要だということを学びます。

しかし、このとき大人が大声で怒鳴ったり、過度な罰を与えてしまうと、子どもにとって効果的なフィードバックとはならず、過度の罰によって引き起こされた強い恐怖で必要以上に自分の感情を押し殺すようになる可能性があります。このようなフィードバックに関して、研究者らは大人の適切なレベルでの抑制が子供の正常な感情表出につながると論じました。つまり、大人の抑制が強すぎると、自分の感情を押し殺す傾向が強くなり、抑制が弱すぎると、過剰な感情表出をする傾向になる可能性があるということです。

また、どのような場面でどんな感情表出をすれば良いのかというのも周りのフィードバックから学びます。例えば、プレゼントをもらった時に嬉しそうにすると、プレゼントをくれた人も喜びますが、不満そうにすると、プレゼントをくれた人が悲しそうな顔をします。このようなフィードバックを受けることで、「プレゼントをもらった時は、嬉しい顔をした方がいいんだ!」と感情を表すときの規則を学んでいくのです。

子どもの感情の表現は、このように大人や周囲の人からフィードバックされ社会的価値として学習されはじめてコントロールされる、極めて社会的な産物なのです。

リタリコ

最近youtubeのCMによく出て来るリタリコ就労支援。障害者向け就労支援サービスでは、全国600社以上の企業をインターン先として紹介することで、障害者やその親がそれまで気づかなかった適性を発見するチャンスを増やしています。発達障害などの「生きづらさ」を抱えた子どもの学習支援では、気持ちのコントロールや友人との付き合い方などのソーシャルスキルを、一人一人異なる方法で教えています。放デイ事業にも乗り出し、リタリコ独特のアレンジでトップを走り続けています。

2005年に仙台市で創業。本社を東京都目黒区に移し、2017年には東証1部に上場。社員約1600人を擁し、障害者支援分野では国内最大手。成長を牽引しているのは社長の長谷川敦弥さん(33)です。障害者支援や子育て支援、教育をはじめ、福祉、医療、環境、地域活性化などの分野で、社会が抱える課題をビジネスの力で解決することを目指す起業家が、最近どんどん生まれています。

リタリコの鮮やかなウェブサイトは、「儲からない」「地味」という福祉のイメージを覆します。長谷川さんは、名古屋大学理学部を卒業後の2008年に新卒でリタリコに入社しました。当時はほぼ無名で東京の社員は十数人。営業職などを経て、翌2009年には社長に就任。いまリタリコが掲げるビジョン「障害のない社会をつくる」は、長谷川さんの体験から生まれたものです。

岐阜県多治見市の出身。幼稚園の頃から集団生活が苦手、言う事を聞かない子どもで、中高生時代も学校のルールや教師の教えを疑問に思うことが多く、それらを変えようと発言したり行動したりして「気持ち悪い」と言われたり、嫌がらせに暴力を振るわれたりしたそうです。

大学1年のアルバイトで働いた焼き肉店のオーナー夫妻が、「いい声してる」「お客さんに好かれる」「行動力がある」と、否定され続けた長谷川さんのすべてを評価してくれたのです。「敦弥くんには世界を良くする力があるかもしれない」「東京かニューヨークに行ってみなさい」という夫妻の言葉に背中を押されて大学を休学。上京して3年間、IT企業で働き「ITはすごい。これをゲームや戦争ではなく困っている人のために使いたい。そうすれば若くても、社会をいい方向に変えられる」と思ったそうです。

東京で出会った政治家や起業家は、常識に縛られるのが苦手で、周りからちょっと浮いていた学生時代の自分とうり二つであることも発見したそうです。社会起業家を育成するNPO法人や若者に議員事務所でのインターンシップを斡旋するNPO法人など現代を代表する社会起業家たちは、長谷川さんの社会を変えていこうという強烈な思いを感じたといいます。

学校では、創造性を発揮すればするほど規則を破る迷惑行為として非難されるけど、社会を変えていくのはそういう人。人と違うのはいいことで、そういう個性を大事にできる社会の仕組みや教育をつくりたいと思うようになったそうです。障害は人ではなく、社会の側にある。それをなくしていくことが目標と言いいます。

売上高は約90億。「ビジネスはあくまで手段。うまくやりたいという願望はゼロ」と言い切る長谷川さんだが、上場したことで信頼度が上がり提携話も舞い込むなど、チャンスは圧倒的に広がっています。利用者から「不思議だけど自分たちが認められた気分になりました」と言われたことが何より嬉しいそうです。そして、一社では、社会は変わらない。リタリコが自己犠牲ではなく『ビジネス』としての持続可能性を示すことで、障害者支援はニッチな市場でビジネスとして成り立たないと尻込みしていた人や企業にどんどん参入してもらい、新しい支援ビジネスを生み出すことが必要だと語ります。

視覚障害支援(その1)

視覚障害者はひとりで買い物に行けないのでは?と、思う方がいるかもしれません。けれど、最近ではサービスカウンターやコンシェルジュを設置するスーパー、デパートが増えてきました。商品の場所や値段を教えてくれるだけでなく、なかには新鮮な野菜を選んでくれたり、必要な量を見てくれたりと、さまざまな配慮をしてもらえるお店もあるのです。

見えないのではなく、見えにくい人の場合、値札が読めなくて困ることが多いそうです。そういう人は、携帯型の拡大読書機を使ったり、最近ではスマートフォンで写真を撮って拡大したりと、工夫して買い物をしています。ただ、店内写真撮影お断りのお店では、店員さんに声をかけておかないと誤解されることもありますので注意が必要です。
拡大読書機やスマートフォンがなくとも、商品を顔に近づければ見える人もいます。「あの人、お肉のパックを顔に押し当てている!」などと驚くことがあるかもしれませんが、もしかしたら値札の表示を見ようと一生懸命な視覚障害者の可能性もあります。

白杖を持っていないと、なかなか視覚障害者とは分かりづらいです。でも、社会には見えない人、見えにくい人も大勢いて、ひとりで買い物に出かけることもあります。もし見ることに困っていそうな人がいれば、お店の人に手伝ってあげるように伝えるだけでも助かります。

視覚障害者で点字を使える方は約10%です。点字は文字のひとつで、使いこなすためには、まったく新しい文字をイチから覚える必要があります。先天性の視覚障害者であれば、子どものころから点字を習う機会もあるでしょう。けれど、中途視覚障害者にとって、点字はなかなか難しい道具・文字です。

ですから視覚障害者であっても、「点字が読めないので音声で聞きたい」「字で読みたい(活字を音声に変換するソフトがあります)」という人がたくさんいることを知ってください。もちろん点字は街中さまざまなところで使われているので、習得した方がいいです。特にエレベーターの階数表示や、切符を買うときのボタンなど、数字だけでも読めると便利です。ただ、ITが普及した現代では、点字が読めなくてもデジタルデータが代行してくれることが増えました。長い時間をかけ訓練する必要がないことは、とてもいいことです。ITを視覚障害のために活用する道具や方法が標準的になっていくと思います。

また、行政が発行する案内は点字が用意されていることが多いです。公務員試験などでも点字の受験が可能になっています。反面、パソコンを使った受験にはまだ制約があるようです。点字ではありませんが、シャンプーの容器にはブツブツした突起がついていて、コンディショナーと区別できるのをご存知ですか。ほかにも、牛乳パックの頭には切れ目がついおり、目を閉じていても見分けがつきます。こういったユニバーサルデザインのものは身近にたくさんあるので、ぜひ探してみてください。

視覚障害支援(その2)

見えなくても使える便利グッズ
音声で聞けるもの、触ってわかるもの、見やすいもの、見やすくするものといった、視覚障害者の生活を助けてくれる便利グッズはたくさんあります。

わくわく用具ショップ「視覚障害者用商品カタログ」

なかには、押すだけで調味料を量れるキッチン用品や、音声を聞いて操作できる電化製品などが紹介されています実は、最近では100円ショップでも似た機能の商品が販売されているのです。もちろん普通の雑貨屋さんでも視覚障害者にとって便利なものを見つけることがあります。つまり、便利グッズは視覚障害者だけが使用する特別なものではないのですね。見えにくくなった高齢者、文字の読めない子どもなど誰もが扱えるからこそ、便利で身近なものなのです。これらは、ユニバーサルデザインと考えていいかもしれません。

ガイドヘルパー
視覚障害者が外出する際、ガイドヘルパーに付き添ってもらうという方法があります。この制度は通勤・通学には利用できませんが、買い物や通院、旅行などへの外出や活動を介助するものです。ヘルパーは移動や排泄・食事の介護、代筆・代読、危険回避のための支援などを行ってくれます。これまで家族に付き添ってもらっていた視覚障害者のなかには、「家族に迷惑をかけて悪い」「頻繁に外出するのは気兼ねする」と、外出を控えていた人がいました。いまではこの制度を使うことで、自分の好きなときに外出できるようになったのです。

ガイドヘルパーを利用するには事業所に登録し、予約をしないといけないので、急な外出には間に合わないということがあります。また、1ヶ月の利用時間数に制限があり、計画的に利用しないといざというとき外出できません。利用料がかかるため「経済的負担が増えた」という声もあります。しかし「好きなときに好きなだけ出かけたい!」と考え、白杖を持ってひとりで外出できるよう歩行訓練を受ける人は増えてきています。行きなれた場所へはひとりで、はじめて行く・介助が必要だと思う場所へはガイドヘルパーと一緒に、と使い分けるようになっているそうです。
6面すべて白一色のルービックキューブです。各面の感触が異なるため、手触りで面を判断し、そろえていきます。

視覚障害支援(その3)

白杖(はくじょう)を持っている人がいたら、「目の見えない人が歩いている」と思うかもしれません。ですが、白杖は全盲の人だけでなく、見えにくい人も持っている道具です。たとえば、視力は良くても視野が狭い障害の人がいます。この場合、足もとが見えにくい、横から人が急に出てくる、といったことから危険が生じるため白杖を持つことが勧められます。つまり、白杖は目が見えない・見えにくい人であれば誰もが使用できるのです。

白杖の選び方や基本的な使用ルールは歩行訓練士さんから指導されることが多く、きちんと歩き方を習得すれば安全にひとり歩きできるようになります。もちろん、白杖を持っているからといって、ひとりでどこへでも行けるわけではありません。知らない場所や道に迷ったときなど、助けを必要としている場合もあるかもしれません。もし白杖を持っている人を見かけ、時間に余裕があったら「何かお手伝いできることはありませんか?」と声をかけてください。「いまはひとりで大丈夫です」と言われたら、「お気をつけて」でいいのです。「道に迷っています。駅はどちらでしょうか」などと聞かれたら、その人が必要としているお手伝いをします。視覚障害者にとって親切なひとことは、次の外出の勇気へとつながっていきます。

白杖は字のとおり白い杖ですが、形状や長さのなどの違いで100種類以上あると言われています。一般的にひとりで出歩く人は直杖(まっすぐ長い杖)を持つことが多いです。必要なときだけ使用する、または予備として持ち歩く人用に折りたたみ式のものもあります。最近では、カラフルなグリップに換えたり、マスコットや鈴をつけたり、シールを貼って自分だけのデコ白杖にアレンジする人も増えました。これは、おしゃれとしてだけでなく、自分の白杖を見分ける工夫でもあります。

視覚障害者が横、または斜め前を歩く人の腕や肩を持って歩くのを見かけたことないでしょうか。これを「手引き」と呼びます。手引きする人は専門の資格を持ったガイドヘルパーだけではありません。地域のボランティアや家族、友人が行っている場合もあります。視覚障害者だからと言って必ず白杖を持って歩くわけではなく、ひとりひとり歩きやすい方法や道具が異なります。

たとえば、ひとり歩きに慣れている人は、手引きをされると歩くペースを崩し、逆に危険なことがあります。特に階段では、手すりや壁をつたう方が安全に歩ける人が多いです。手引きする人・される人で身長差がある場合、腕と肩、どちらが持ちやすいか最初に確認するとスムーズにいくと思います。それから、視覚障害者は急に手を引っぱられたり、背中を押されると恐怖を感じる人が多いです。

視覚障害者も全員が歩行訓練を受けているわけではありません。なかには手引きのされ方を知らない人もいます。安全な誘導には、まず声を交わすことが大切です。そうすることで、お互いに気づくことがあります。また、男性のガイドヘルパーが少ないため、女性ヘルパーが視覚障害者の男性をガイドするケースは少なくありません。その際、女性ヘルパーがトイレの中まで付き添うこともあります。洗面台や便器の位置を確認するだけなのでご理解ください。

 

同期のサクラ

「同期のサクラ」と言うドラマが人気を呼んでいます。ルールを守るのは大切なことです。しかし、そのルールに反発する人がいるのに従わせようとすることで、様々な社会的関係を崩してしまうことがあります。いわゆる「正義感が強い」と言われる人たちの行動です。緊急性や、例外というものに全く融通がきかなくて、そのルールを人に押し付けてしまうこともあります。おそらく、このドラマは高機能ASDの言動をまねた脚本だと思います。(鋭く他者感情を読むなど当てはまらないところも多いですが・・・)ASDの子どもたちもこうした融通の利かない正義で自分自身が苦しむ場合も少なくないです。

赤信号で渡ってはいけない。列に横入りしてはいけない。制服を崩して着てはいけない。このように守らないといけないルールもあります。そのルールを守っていない人に何も考えずに「ダメだよ!!!」と注意をしにいってしまいます。相手が大人であっても、上級生でも下級生でも、怖そうな人であっても、誰にでも後先を考えずに行動してしまいます。正論が正解というわけではない、ルールは社会や関係を守るためにある、ルールのために人間がいるわけではない事の理解がしにくいのです。「ルールがあるんだから、守ります」と、周りにもルールを強制してしまおうとするときもあります。どうしても許せない。どうしても直接注意しないと気が済まない。どちらが合っているのかを、はっきりさせないと気が済まない場合が多く、お友達とぶつかるときもあります。相手の人格を否定してしまうほど攻撃的になってしまう子もいます。

自分が正しいのになんで?と、結果的に嫌がられたり、生きづらくなってしまったり、苦しみを抱えてしまったりします。しかし、学校の先生には気に入られる事があったりします。なぜなら進んで憎まれ役をしてくれ、決まりをみんなに伝えてくれる、良い子だという評価になりやすいからです。だから余計に仲間の気持ちが読む訓練ができません。そして、大人がいなくなった時、異質を締め出して自分たちの帰属感を高めようとする、いわゆるいじめという集団からの総攻撃に合うこともあります。

許せない!のは自分にも言えることで、金曜日に上履きを持って帰るルールがあって、もし、子ども本人が持ち帰りを忘れるとします。そうなるとルールを破ってしまった子と、自分で決めてしまうのです。そして、ルールを破ってしまったことを自分で許せずに泣いてしまうとか、癇癪を起してしまったりと。ルールに柔軟性がないというのは、自分自身も苦しめることになるのです。

身近なルールを互いに守るには「信頼」関係が必要です。これは大人から教えてもらえません。「当たり前」なのでわざわざ教えないのです。お友達を仲良くするってそもそも、どうしたらいいのかと言うのも同じです。挨拶をするのはなぜなのか。貸してと声をかけるのはなぜなのか。ありがとうというのはなぜなのか。ごめんなさいという意味はなぜなのか。一緒に遊ぶ意味はなんなのか。お名前を覚えるのはなぜなのか。なんとなく親がしているからだとか意味を分からずに、挨拶をしたりしている子どもも多いです。

どこから、どこまでの線が仲がいいのかというラインですら、人それぞれです。自分は自分。人は人。という感覚がなく。僕が思ったから、あの子も思ってると、相手に思いを強制する場合があります。相手には相手の意見があって、それが正しいと自分が思わない時だってあるという感覚が必要なのです。でも、それを相手に「悪いことだからダメなんだよ!」というのはたんなる押し付けになるのです。ここは本当に難しくて大人でも分かり合えないときもあります。集団が大きくなればなるほど権力関係と同調意識が支配し、通常なら間違ったことが正しいとされる時すらあります。むしろ、社会はその方が多いのでさらに彼らは混乱するのです。

ルールを守ることで必死になると、関係性という大切なところを見落とします。なぜルールが出来たのか、なぜルールを守らないといけないのかルールは例外があります。なんらかの考えがあってルールを破るわけです。(ルールは破らない方がいいですが)ルールが先にあるわけではなく、人間を守るために、ルールが存在すると根気強く教え、自分と他人とは考え方も全て違うのだと、形式的に理解させることも必要だと思います。線引きが上手くいかなければ、どうしても「私がこうなのに、なんで守らないの?」となってしまいがちです。そこを、自分は自分、他人は他人、だから違う事もあるし違って当たり前だと教えます。

また、基礎となる「信頼関係があるのか」「相手に好きだと思ってもらっているか」「尊敬をされているか」などの関係性が整っているか、また関係性を作る努力をしているのか。とっても難しいことですが人間は関係性がないと、人の話を聞くことが出来ないのだと教えます。本来、ルールとは誰かに言われて守るものではなく、自分で理解し自分で守るもので、強制する事は難しいことだと話していきます。

自家中毒

子どもの自家中毒とは、本質的に大人の偏頭痛の症状と似ています。子どもでも大人同様偏頭痛の症状は現れ、数時間で軽快するものの、周期的に嘔吐や頭痛を繰り返すことから、周期性嘔吐症とも呼ばれています。子どもは自分に起きている症状を周りの大人へうまく説明することが難しい場合も多く、具合が悪そうだとしても、それが頭痛症状による嘔吐(もしくは吐き気)だと見分けることが難しい場合もあります。

自家中毒(周期性嘔吐症)とは、ケトン体が原因で起こります。通常私たちは、ブドウ糖という糖分を燃やして体を動かすエネルギーを作っていますが、自家中毒症の場合は、ブドウ糖をエネルギー源として利用する回路がうまく働かなくなり、脂肪が主なエネルギー源になります。脂肪がエネルギー源として急に燃えると、その過程でケトン体という物質ができます。ケトン体は酸性の物質で、体に溜まると、吐き気、頭痛、腹痛を催し、脳の嘔吐中枢を刺激し、頻回に吐くようになります。2歳から10歳ぐらいの子どもは、ブドウ糖や脂肪の代謝に関する脳の中枢や、自律神経の機能が安定していません。自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は体の活動時や緊張している時に、副交感神経はリラックスしている時に優勢に働きます。子どもに限らず私たちは、交感神経が活発に働くと、脂肪の代謝が盛んになります。この年齢の子どもに肉体的、精神的なストレスが加わると、ストレスに過敏な子は交感神経が優位になり、エネルギー源がブドウ糖から脂肪に代わり、ケトン体が体に溜まって、自家中毒症特有の症状が現れます。

子どもの自家中毒(周期性嘔吐)症は自覚症状が主となるため、自分の症状をはっきりと説明できる年齢にならないと判断が難しいということはもちろんありますが、聞いただけではそれが頭痛からくる嘔吐や気分の悪さだと判断し辛い場合も多くあります
【子どもの自家中毒(周期性嘔吐症)の例】
①「気持ちが悪い」と言い、ぐったりする
②しばしば吐き「お腹が痛い」と訴える
③部活動(運動系)をすると頭痛や吐き気が起こる
④「登校が嫌」等、一見親の注意を引きたいだけのように見える
③の運動をすると頭痛や吐き気が起こるパターンは、運動が自家中毒を誘発している可能性がありますので、運動量と頭痛の関係性を観察する必要があります。また④のように原因をはっきり伝えられないことにより、誤解を生じてしまうパターンもあります。学校にいても、急に授業中に症状が出て保健室で休むものの、数時間で軽快するため下校時には元気になっていることから、学校が嫌なのでは、と教師から心配される場合もあると聞きます。子どもの頭痛症状というのは、様々な原因や症状、その表現の仕方、またそれぞれの子どもの性格によっても慎重に判断をする必要があります。

子どもで自家中毒(周期性嘔吐症)のように、偏頭痛の症状を訴える場合、三半規管の感度が良すぎるため、車酔いがひどく、バスでの遠足などに行けない場合も少なくないです。その場合は三半規管の感度を落とすような薬を処方することにより、多少症状を和らげることもできる場合もあります。

 

読字障害チェックリスト

読字障害チェックリストはたくさんありますが、簡単なものがあったので紹介します。全ての質問に「Yes」か「No」で答えてください。
1. 右か左かを混乱することがありますか?
2. 地図を読んだり、知らない土地を歩き回ったりするのにわからなくなることがありますか?
3. 音読するのは苦手ですか?
4. 本を1ページ読むのに、普通より長くかかりますか?
5. 自分が読んだ言葉の意味を思い出すのに苦労することがありますか?
6. 長い本を読むのが苦手ですか?
7. つづり方(書き取り)は苦手ですか?
8. あなたの書く字は読みにくいですか?
9. 多くの人の前で話をするときに混乱してしまうことがありますか?
10. 電話で受けた伝言を、人に正確に伝えることが苦手ですか?
11. 長い単語を口にしなければならないとき、正しい順序で発音することができますか?
12. 紙や鉛筆を使わずに、頭の中だけで計算することは苦手ですか?
13. 電話をかける時に、番号を押し間違えることがよくありますか?
14. 1年の月の名前を順番にすらすらと言うことができますか?
15. 1年の月の名前を逆に言っていくことができますか?
16. 日付や時間を混乱し、アポイントメントを忘れてしまうことがありますか?
17. 小切手を書くときに、間違えることがよくありますか?
18. 図形を見分けるのが難しかったり、区別がつかないことがありますか?
19. 95と59など、乗り物などの番号を間違えることがよくありますか?
20. 掛け算の九九を覚えるのは苦手でしたか?
以上の質問に9つ以上「Yes」と答えた方は、読字障害を抱えている可能性があります。要は短期記憶とワーキングメモリー、あと日本語は音だけでなく漢字で意味が取れ発見しにくいので、読みの流暢性や速度を見ています。いわゆる形が読みにくいという視知覚の問題だけでの読み障がいは少なく、視知覚の問題は書き障がいで顕在化しやすいと思われます。

読み書き障害の簡単な指導方法

Dyslexia には音韻処理障害を背景とする解読(文字を音に戻す=デコーディング)の障害があります。従って、まずは平仮名一文字が楽にスムーズに読めるようにする解読指導を行います。もっとも簡単な方法は五十音順指導です。「あ、あいうえお。あか、かきくけこ。あかさ、さしすせそ。・・・」と五十音表を意識して暗唱します。どこでつまづいたかフィードバックしてもらい。その後50音ひらがなと50音カタカナを書きます。これを3回繰り返して終了です。こつは読むも書くも流暢さを目指すことです。半年で効果が表れるといいます。

さらに精度を上げた訓練法は、解読指導は平仮名一文字を書いたカードを準備し、それを順不同に子どもに示して音読させます。なるべく早く読むように教示して、スムーズに読めた文字を A、少し考え込んだり、間違えて言い直したりしたものを B、正しく読めなかったものを C に分類して記録しておきます。そして B と C だけを何度も音読する練習をします。

1 日 1 回、 5 分を目安にします。練習の最後にもう一度すべての文字を読ませて、同じように分類し、「A が何枚増えたね、 B と C が何枚減ったね」と練習の成果を示すなどして励ますとよいです。この解読指導は 3 週間を目安にして毎日練習します。様々な研究で効果があることが確認されています。この解読指導によって習得していない文字を覚えますし、曖昧に覚えている文字の誤読を減らすことができます。症状の重い症例では、拗音を外した直音だけで練習し、そのあとで拗音を加えるとよいです。これを簡便にするための音読アプリも提供されています。アプリの検索で、「音読指導アプリ」と検索すると見つかります。iPad やスマートフォンで簡単に指導ができます。

解読指導によってある程度、音読が上達したら、今度は語彙指導をします。語彙指導は、国語の教科書に載っている単語や語句のなかで、指導を受ける子が知らない単語や語句を選び、その読み方を聞かせ、意味を教え、例文つくりをするというものです。文章独特の単語や語句をしっかりと覚えることで、文章を読むときの速度が向上することが期待できます。これも研究で確認されています。教材は学校生活の様子などを描いたSST関連の絵カードが良いと思います。

つまり解読指導によって誤読を減らし、語彙指導によって音読速度を改善します。語彙指導の効果が表れるには時間が必要です。症例によっては 1 年以上かかることも少なくありません。焦らず、あきらめず、根気よく続けます。また本の読み聞かせが言葉と言葉のネットワークを形成するのに役立ちます。ご家庭で絵本の読み聞かせを毎日すると、このネットワークが形成されて意味を理解しながら読むことを大いに助けますし、その延長として子どもが本好きになり ます。本が好きになって自分で読み始めることが最終的なゴールとなります。

dyslexia は音韻処理障害を背景とする常染色体優性遺伝の疾患です。本来は医師が診断し言語聴覚士が治療すべき疾患です。しかし、まだまだ学校教育の問題としか見られていません。小児や精神に関係する医療関係者にも、行動の問題だけでなく、読み書きの問題に関心を持って欲しいと思います。