みんなちがってみんないい
褒め上手
子どもを褒めるという事は、子どもとの信頼関係を築くのに必要不可欠です。子どもは褒められたり、認められたりすることで人を信頼し、自分に対しても「自分は自分でいいんだ」という自己肯定感を抱くことができます。この自己肯定感が高い子どもは、気持ちが安定し、何かにつまずいて凹むことがあっても復元力が強いです。逆に、怒られたり、否定ばかりされた子どもというのは、この自己肯定感が育ちにくく、気持ちが不安定で、問題行動を起こしやすくなってしまいます。上手に褒めるためには、まず褒めるべき行動を分ける必要があります。
ペアレントトレーニング理論では、子どもの行動を「好ましい行動」「減らしたい行動」「無くしたい行動」の3つに分けて考えます。そして次に「減らしたい行動」や「無くしたい行動」をしたときの「代わりにとって欲しい行動」を考えます。例えば、家の中を運動場の様にして走り回ったりしているのを改善するには
好ましい行動 =「家ではおとなしく遊ぶ」
減らしたい行動 =「家を運動場のようにして遊ぶ」
多動の子の動きを激しく制限するのは難しいので、体をいっぱい動かせる部屋でトランポリンと鉄棒とバランスボールをおいて、いつでもそこで遊べるようにします。体をいっぱい動かしたい時は、その部屋で遊ぶように声掛けをするようにします。代わりにとって欲しい行動 = 「運動遊びは運動遊び用の部屋でする」のです。ただ大人しく遊びなさいと怒るだけでは何も解決しませんし、何度も激しく怒っって行動を変えようとする事は子どもの自己肯定感を低くしてしまい、他の問題行動につながってしまう可能性があります。なーんだと思われた方が多いと思います。うちは家が狭いから無理と思われた方も少なくないと思います。でも、親の思い通りに子どもを従わせるなんて不可能とあきらめた方がいいのです。譲り合いの精神が大事であって、どっちが偉いかなんてマウンティングしなくてもいいのです。要は環境を作り変えて、お互いに新しいルールを作ってウィンウィンの関係を作るのです。
代わりにとって欲しい行動を上手に促すためには、親子の信頼関係がとても重要です。だから、子どもの「良いところ探し」と「褒めること」をまずはしっかりとする必要があるのですが、褒めるポイントが少なすぎてどうすれば褒められるんだろうと困る方も少なくありません。褒めるのは、子どもが100%出来た時じゃなくてもいいいのです。理想の25%を達成できていれば、その25パーセントを褒めてあげてください。例えば子どもにお風呂の掃除を頼んだ時、子どもは言われた通りに洗ったのですが泡がまだ落ち切っていませんでした。この場合、多くの親は「洗えてないじゃないか」「もっとちゃんと綺麗に洗いなさい」と言うのですが、子どもは「洗った」のです。25点くらいはあげられるのです。つまり、25パーセントを褒めるという事は、「洗った」「洗ってくれた」という出来ている行動に注目してそこを褒めることが重要なのです。怒られてばかりいる子は、褒めるハードルをもっともっと下げてあげればいいのです。
例えば、鉛筆さえ持とうとしない宿題嫌いの子どもには「宿題しなさい」ではなく、ちょっとでも宿題に取り組もうとしたら「やる気を出せたね」と、すぐに褒めればいいのです。食事中に食べ歩く子どもなら、座って食べられている時にすぐ褒めてあげます。この25パーセントルール、最初はうまくできないのですが、出来ていることに注目すればだんだんできるようになってきます。自分にも25%ルールで褒めれば、誰でも褒め上手になれるのです。