みんなちがってみんないい
親子の関係性の悪循環を理解する
通常、親子の関係性に問題がある場合、親子の関わりや行動に悪循環が生じているものです。子どもが問題行動を起こす→親が頭ごなしに叱る→子どもは、「どうせダメな子なんだ。」と思い、反抗したり、反省する意欲を持てなかったりする→親は、子どもの態度にガッカリし、態度に出してしまう→子どもは、ますます意欲をなくして反抗する(最初に戻る)。ペアレントトレーニングを受ける親は、子どもへの関わり方や関係性に悩みや不安があり、改善意欲を持っていますが、目の前の出来事への対応に手いっぱいで、悪循環に気づいていないことが少なくありません。そのため、まずは、親子の関係性の悪循環に目を向けるところから始めます。
日常生活における子どもの行動について、以下の3つに分類します。
1.好ましい(増やしたい)行動:家事を手伝う、学校の準備をする、兄弟の面倒を見るなど
2.好ましくない(減らしたい)行動:宿題をしない、好き嫌いをする、言うことを聞かないなど
3.許しがたい(絶対に止めさせたい)行動:他人に対する暴力、自傷行為、物を壊すなど
子どもが好ましくない行動や止めさせたい行動について、状況や頻度、親の対応、子どもの反応を思い出し、言語化もしくは文章化して、冷静かつ客観的に振り返ります。そして、親の関わり方のポイントを学習するとともに、実際に子どもが問題行動を起こした場面をロールプレイで再現し、学習したことを実践してみます。一方で、好ましい行動についても、状況、親の対応、子どもの反応を書きだします。その上で、子どもの心に響く褒め方や、子どもの良いところを見つけるコツを学習します。
例えば、嫌がる子どもに宿題をさせる時や、おもちゃを片付けさせる時などは、親子げんかになったり、子どもが言うことを聞かなかったりしやすいものです。こうした場面で、子どもが自発的に好ましい行動(親がさせたい行動)を取れるような、上手な指示の出し方や、子どもが指示を聞かなかった時の対応について学習します。
ペアレントトレーニングが発達障害の子どもを持つ親のトレーニングとして注目され、たくさんの親が興味関心を持つようになるにつれて、いくつかの誤解も生じています。ペアレント(親)トレーニング(訓練)という名前から、問題のある親を指導するものだと誤解している人がいます。しかし、ペアレントトレーニングは、「悩みや不安が強くてうまく発揮できていないけれど、親が元々持っている「子どもを育てる力」」を引き出すためのトレーニングで、親を問題視して指導するためのものではありません。また、ペアレントトレーニングのカリキュラムには、「無視をする」という内容が含まれています。しかし、ペアレントトレーニングにおける無視は、子どもが自分の行動が好ましくないことだと気づかせるための行動で、いじめや児童虐待で問題となる無視とは意味合いが異なります。また、子どもが好ましくない行動を止めるとすぐ褒めるなど、子どもの心をケアするためのテクニックも同時に学習します。
興味のある方はスタッフまで。