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みんなちがってみんないい

発達障害の男子高校生が、カードゲームを続ける理由…普段は、他人とのコミュニケーションが苦手

発達障害の男子高校生が、カードゲームを続ける理由…普段は、他人とのコミュニケーションが苦手

 

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引用記事元が長いので割愛させていただきます。

記事ではコミュニケーションが苦手な高校生がカードゲームの中だと相手の気持ちを読もうとしたり相手の反応を見て自分の出すカードを考え、苦手なことでも好きなことの中でなら出来ることもある、と書かれていました。

じゃんぷの中や同法人のすてっぷの中でもボードゲームを用いて子ども達が遊ぶことがあります。同じようにその中で子どもたち同士でワイワイとゲームをしながらコミュニケーションを取ります。遊びの中でSST(ソーシャルスキルトレーニング)に取り組んでいる訳ですね。ブログの中でもいくつか紹介していると思います。

さて、筆者も恥ずかしながらこの年でカードゲームをしています。そこで出会う人たちの中には「コミュニケーションが苦手なんだろうな」と感じることもあります。常に自分のことばかり話す人、ずっと黙っている人(SNS上では多弁)、醬油の染みがついた部屋着のままでも気にしない人…等々

お世辞にも「カードゲームをしたらコミュニケーションが上手になる!」とは言えませんが、一つの方法として良いのでしょう。それで友達の輪が広がり、外に出るようになった、といった事例もあります。あまり大っぴらにするような趣味ではないですが、プラスの影響を与えることもあります。ただ最近はポケモンカードやワンピースカードの大流行で普段カードゲームをやらないような層が入ってきました。普通に歓迎をすればよいのでしょうが、プライドなのか何なのか、それを排除しようとする動きがなぜかあります。所謂「陽キャ」を自分たちのテリトリーに入れたくないのでしょうが…これではまだコミュニケーションが出来るようになる、とは言えないですね。

「リエゾン」第6話「子どもにも見せたい」と反響 読み書きが苦手なSLDの子の問題に「すごく勉強...

「リエゾン」第6話「子どもにも見せたい」と反響 読み書きが苦手なSLDの子の問題に「すごく勉強になる」

山崎育三郎が主演するドラマ「リエゾン-こどものこころ診療所-」(テレビ朝日系)の第6話が、24日に放送された。(※以下、ネタバレあり)

 児童精神科医の佐山卓(山崎)は、共に働く言語聴覚士の堀凛(志田未来)から、いとこの宮内春香(山田真歩)のことを相談される。

 子連れ同士で再婚した春香は、夫の息子の優太(石塚陸翔)との接し方に悩んでいた。さらに、佐山が優太を診察し、検査をしたところ、読み書きが苦手なSLD・限局性学習症であることが分かる。

 凛から教わったトレーニングを始めた優太だったが、それでも学校の授業では苦労していたため、佐山はタブレットを使った学習方法を提案する。

 春香は、早速学校に相談するが、担任教師からは「優太くんだけが特別扱いとなると、『ずるい』と感じるお子さんが出てくるかもしれない。いじめにつながる可能性も否定できない」と言われ、許可は下りなかった。

 そんな中、優太は学校で散々なテストの結果を同級生にからかわれ、けんかになってしまう。

 放送終了後、SNS上には、「学校の対応にイライラした。SLDの子がタブレットを使うことが特別扱いにならないように、生徒に説明するのが担任の仕事だろう」「SLDの子がタブレットを使うのは、足の不自由な人が補助具を使ったり、目の悪い人が眼鏡をかけたりするのと同じなのだと思った」「ステップファミリーは難しいこともたくさんあるけれど、実の父よりも考えたり、悩んだりしている、いいお母さんだった。一緒に悩んで乗り越えて、親子になっていくんだね」などの感想が投稿された。

 このほか、「SLDについて、すごく勉強になった。深夜枠での放送はもったいない。たくさんの親と子に見てほしい」「『リエゾン』はゴールデンタイムに放送するべき。子どもにも見せて、凸凹がある子や多様性について、まずは理解してもらうことが大事だと思う」といった声も、多く寄せられた。

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先日紹介した「リエゾン」の最新話で学習障害について取り上げられていました。

作中では学校でのタブレットの使用を「いじめに繋がるかもしれない。」と断られています。確かにまだICTの導入が出来ていない学校もあるかもしれませんが、最近は多くの学校でICTを活用した学習が行われています。

1人1台のタブレットを使い、読み書きが苦手な子どもでもフリック入力や音声入力を使って自分の考えや意見をまとめ、それを交流することが出来ます。筆者が勤めていた自治体では「ロイロノート・スクール」を使用していましたが、授業中の子ども同士の交流によく活用していました。理科の実験の様子をリアルタイムで交流しながら子ども同士で学び合うなど、今までやりたかったけれど出来なかったことが出来るようになったと思っています。

全ての読み書き障害の子どもにICTが合うという訳ではありませんが、その子が自分にとってやりやすい一つの方法になりうると思います。またそれはこれからどんどん広がっていくでしょう。

ASDで会話が一方通行になる6歳 母娘の困難にどう寄り添う?『リエゾン』

ASDで会話が一方通行になる6歳 母娘の困難にどう寄り添う?『リエゾン』2023/02/03 06:30

引用元記事

俳優の山崎育三郎が主演を務めるテレビ朝日系金曜ナイトドラマ『リエゾン-こどものこころ診療所-』第3話がきょう3日(毎週金曜23:15~※一部地域除く)に放送される。

『リエゾン-こどものこころ診療所-』第3話より=テレビ朝日提供
今作は郊外の児童精神科クリニック「さやま・こどもクリニック」を舞台に、自らも発達障害=凸凹(でこぼこ)を抱える院長・佐山卓(山崎)と研修医・遠野志保(松本穂香)のコンビが、発達障害を抱える子どもとその家族に真っすぐに向き合い、寄り添っていく姿を描く医療ヒューマンドラマ。


「さやま・こどもクリニック」で研修を始めた志保は、診察する前に患者が来院した経緯などを聞き取る予診を任せてもらえることに。緊張しながらも張り切る志保が担当することになったのは、会話が一方通行になる6歳の女の子・柿崎希(沢田優乃)。小学校入学を前に母・柿崎貴子(黒川智花)は不安な様子だったが、診断の結果、ASD(自閉スペクトラム症)であることを伝えると大きく動揺する。そこで佐山は、まず療育を受けることを提案。その療育を担当するのが、志田未来演じるクリニックとリエゾン(=連携)の関係を敷いている言語聴覚士の堀凛だ。普段はロリータファッションに身を包んでいるが、話し方は男前で強気な性格。そのギャップに志保は一瞬怯むが、2人はタッグを組み、小競り合いを見せながらも共に真っ直ぐ全力で希の療育に向き合っていく。やがて希と貴子が直面してしまう困難にどう寄り添っていくのか。

第3話では「さやま・こどもクリニック」の庭に植えられている“スノードロップ”の花が度々登場し、物語の鍵となっていく。佐山の亡き叔母・佐山りえ(風吹ジュン)は生前にスノードロップの前で、あることを佐山に伝えていた。その言葉は佐山の胸に深く刻まれ、クリニックを継ぐことを決意するきっかけに。果たして「さやま・こどもクリニック」設立に隠された秘密とは。さらにスノードロップは、希や希の家族にもある影響を与えていく。

SNSでは毎回子役の演技も話題となっているが、第3話では6歳にして大河ドラマ『青天を衝け』(21年)や『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』、『NICE FLIGHT!』(22年)などの話題作に出演してきた沢田が登場。沢田演じる希はおしゃべりが大好きな女の子だが、誰彼構わず話しかけては会話が一方通行に。沢田がセリフ量の多い難役を全力で演じきる姿にも注目だ。

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発達障害をテーマにした漫画を原作にした実写ドラマです。(原作・原案など ヨンチャン、竹村優作 作画 ヨンチャン 出版社 講談社)

引用記事に載っている3話はもう放送終了しています。見よう見ようと思いつつ見れていなかったので筆者は昨夜『TVer』で1~3話まで一気見しました。主人公の一人はASD,もう一人はADHDを抱える児童精神科医で,相談に来る親子の悩みを少しずつ解いてく様子を描くヒューマンドラマです。

子ども達から「俺(私)って発達障害なん?アホなん?」と聞かれると「凸凹があるだけよ。」と伝えています。(以前ここのブログを書いていた先生からそう教えて頂きました。)このドラマの中でもそのように言っており,発達障害を抱える子ども,保護者の悩みを丁寧に描いていると感じました。

昨今,発達障害が社会に認知されつつありますが,作中で「『発達障害』という言葉だけが一人歩きしているのではないか。」というセリフがあったように発達障害という存在は認知されてもそれを理解,支援するというのはまだまだこれからなのではないか,と感じることもあります。こういったドラマきっかけでも,その本質を理解し支援しようとする方が少しでも増えれば,と思います。

発達障害学生の就職率は学生全体と比較して半数程度 支援乏しく苦労、ロールモデルも少ない実情〈A...

発達障害学生の就職率は学生全体と比較して半数程度 支援乏しく苦労、ロールモデルも少ない実情〈AERA〉

日本学生支援機構の調査によると、ここ10年で障害のある学生数は4倍になり、なかでも発達障害は6倍に増えた。各大学が発達障害学生への支援に取り組み始めているが、就職支援はまだ手探り。全学生の就職率と比べて、発達障害学生の就職率はかなり低い現実がある。2022年12月19日号の記事を紹介する。 【グラフ】発達障害のある学生の就職率は?
*  *  *  発達障害学生支援は全国の大学で広がっている。日本学生支援機構の調査でも、45.4%の大学が特性に応じた配慮依頼文書を配布していると回答。38.1%が専門家によるカウンセリングを実施するなど、授業や学生生活をサポートしている様子がわかる。  ところが、「進路・就職指導」になると数字が大きく下がるのが実情だ。就職支援情報を提供していると答えたのは、全体の20.3%。さらに、キャリア教育を実施しているのは17.6%にとどまった。  支援の乏しさは就職率にも影響している。大卒就職者の割合を見ると、2021年の大学生の就職率が76.2%だったのに対して、発達障害のある学生は41.5%。発達特性のない学生にとっても大きな負荷がかかる就活の場面で、発達障害学生の多くが苦労している現実がある。立命館大学衣笠キャリアオフィスの中原真さんはこう指摘する。 「授業や学生生活は環境配慮でうまく適応できても、自分が労働力を提供し、その対価として給料をもらうという雇用契約のなかで働くというイメージもわきづらい傾向にあります」  社会で自分が役立つのかや、向いている業界や企業がわからず働く姿が想像できない。マルチタスクが求められる就活で、そんな不安が募り、ストレスがかかってしまうという。  学生の不安を解消するために、立命館では個別相談などで企業の募集要項を一緒に見ながら、働き方への理解を深める支援も実施。就労時に希望する配慮や、その上で企業にどう貢献できそうかを整理し、最後には学生が自分の言葉で語れるようになることを目指してサポートする。

■診断名が「バイアス」へ

 キャリア支援のなかで重視するのは、困り事や特性を診断名のみで判断しないこと。カテゴリーを当てはめてしまうと、表層的な支援に陥るおそれがあるという。中原さんはこう話す。

「診断名に関わらず特性は重なり合うこともあり、単純なカテゴライズがバイアスになってしまう。個別相談では、本人が口に出すことはもちろん、背景にあるものまで目を向けて支援するように努めています」

 18年には、障害者雇用促進法が改正され、発達障害を含む精神障害者が雇用義務の対象になった。だが、課題もある。

「発達障害を持ちながら働いているロールモデルがまだ少ないと感じています」(中原さん)

 企業と障害者雇用について情報交換をしても、ホームページを見ても、紹介されているのは身体障害者の社員が多いのだという。同大障害学生支援室のヒューバート眞由美さんは言う。

「これまでは障害者雇用の大半が身体障害だったため、精神・発達の方を雇用するノウハウがまだ十分ではなく、企業にとっても大きなチャレンジになっているのだと思います。大学としては、学生と企業と一緒に成功体験を重ね、互いに成長できればと思っています」

■ファーストペンギンに

 その成功体験の第一歩になったのが、10年前に卒業した一人の女子学生との出会いだ。

 発達障害学生の就労支援に取り組みたい思いはあったが、まだ手探りの状態だったヒューバートさん。支援内容がその学生に合うかどうかもわからない。それでも一緒に頑張りたいと、思い切って学生に提案した。すると、学生は群れから最初に海に飛び込むペンギンになぞらえこう言った。

「私はファーストペンギンですね」

 学生はもちろん、大学にとっても先が見えない状況での取り組みだ。不安もあったが、一緒に就労支援事業所を訪ね歩き、学生は無事就職。以来、発達障害学生への支援も少しずつ整ってきた。(編集部・福井しほ)

※AERA 2022年12月19日号より抜粋

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じゃんぷに18時以降の子ども達と将来の話をすることがあります。「僕はプログラムの仕事してみたいな。」と明確なビジョンを持っている子もいれば「俺はどうせ働けへんわ…」と悲観的になっている子もいます。

今,社会の中で発達障害への理解が広まっています。ただ記事中にもあるように精神障害への理解はまだまだのようです。精神障害を持っている方は一見なんともないように見えるので専門の知識がないと適切な支援をするのが難しいのでしょう。

そういった中で手探りながらも意欲的に取り組んでいる企業があることは素晴らしいです。「スターバックス」や「ユニクロ」も障害者雇用に積極的な企業として有名です。

ユニクロといえば初任給が30万になるということで話題になっています。今度は障害者雇用の賃金問題が解決していくような動きがあるとよいですね。

公立の小中学生8.8%に発達障害の可能性 文科省調査

公立の小中学生8.8%に発達障害の可能性 文科省調査

 通常学級に通う公立小中学校の児童生徒の8・8%に発達障害の可能性があることが13日、文部科学省の調査で明らかになった。10年前の前回調査から2・3ポイント上昇し、35人学級なら1クラスに約3人が読み書き計算や対人関係などに困難があるとみられる。このうち約7割が各学校で「特別な教育的支援が必要」と判断されていなかった。文科省は「特別支援教育の知識がある教員が少なく、適切な支援ができていない可能性がある」としている。

 調査は今年1~2月、全国の公立小中高校の通常学級に在籍する子ども約8万8500人を抽出し、学級担任らが子どもの発達障害を診断するチェックシートに回答(回収率84・6%)。知的発達に遅れはなくても、学習面や行動面に著しい困難を示す子どもへの支援を検討するため、学習障害(LD)▽注意欠陥多動性障害(ADHD)▽高機能自閉症――の三つについて評価した。医師の診断や、専門家チームの判断によるものではない。

 三つのいずれかに該当する小中学生は8・8%。質問項目などが異なるため、単純比較できないが、初調査の2002年(6・3%)と前回調査の12年(6・5%)より比率が上がった。文科省は「保護者や教員の間で発達障害への理解が深まり、以前は『落ち着きがない子』と見過ごしてきたようなケースを認知できるようになった」と分析する。

 個別に見ると、LDに6・5%▽ADHDに4・0%▽高機能自閉症に1・7%――が該当し、障害が重複するケースもあった。

 学年別では、小1=12・0%▽小5=8・6%▽中1=6・2%▽中3=4・2%――など学年が上がるにつれて発達障害の可能性がある子どもの割合は減少する傾向があった。文科省は、「多動」など一部の症状は成長とともに落ち着く傾向があるためとみている。

 調査では、支援状況も聞いた。校長や教員らが支援体制を検討する「校内委員会」によって、「特別な支援が必要」と判断されている割合は28・7%(前回18・4%)だった。また、通常学級に在籍しつつ、別室などで一部だけ特別な授業を受ける「通級指導」を受けているのは10・6%(同3・9%)、個別の支援計画を作成しているのは18・1%(同7・9%)など前回より割合は上昇した。

 だが、この10年で広く一般でも発達障害への理解が深まったことを考えると、上昇率は「高くない」(文科省の担当者)という。

 高校生の調査は今回初めてで、三つのいずれかに該当したのは2・2%。高校進学などに伴い特別支援学校を選ぶ生徒がいることも割合が低い要因とみられる。

 調査に関わった有識者会議座長の宮崎英憲・東洋大名誉教授(全国特別支援教育推進連盟理事長)は「学校全体で支援の取り組みを進める必要があるが、校内委員会の検討自体がなされていない可能性がある。外部機関に教員が支援を相談しやすい体制づくりも必要だ」とした。

 ◇特別支援、精通した教員が不足

 発達障害の可能性がある公立小中学校の子どもに支援が届きづらいことの背景には、特別支援教育に精通した教員の不足がある。明治学院大の海津亜希子教授(障害科学)は「管理職の意識に温度差があり、校内委員会が形骸化している学校もある」とも指摘する。

 公立小中学校の8割に特別支援学級が設置されているが、校長の7割以上が特別支援教育に携わった経験がないまま学校運営を担っている。このため文科省は今年3月に都道府県教委などへの通知で、新規採用教員が10年以内に特別支援学級の担任などを複数年経験し、管理職登用の際にも経験を考慮するよう求めた。

 ただ、養成は一定の時間がかかる上に、特別支援教育を経験した人材が増えても、公立学校で慢性化している教員不足の課題は残る。

 40代の男性教諭が勤務する東京都内の公立小学校では、校内委員会が週1回開かれるなど管理職の理解はあるという。だが、発達障害に限らず、家庭での虐待やネグレクトなど配慮が必要な子どもは多く「クラスの4分の1ほどはいる。きめ細かく見守るには20人学級くらいでないと難しい」と話す。特別支援教育にも携わってきたが、「『発達障害』の支援に何が必要かの判断は、経験があっても簡単ではない」と語った。

 海津教授によると、読み書きなどの学習障害は、授業中に歩き回るといった行動面の困難よりも目立たないが、早期に見つけて授業を工夫したり、通級指導につなげたりすることで改善するケースは多いという。

 今回の調査結果から、全国に発達障害の可能性がある小中学生は約80万人と推定される。海津教授は「『通級指導』などを専門的に担える教員の免許制度を創設したり、支援の予算を増やしたりするなど、国や自治体は抜本的な対策をとるべきだ」と指摘した。【深津誠】

 ◇発達障害

 先天的な脳の働き方の違いにより、幼い頃から行動や情緒に特徴が表れる。読み書きや計算、推論などを苦手とする学習障害(LD)▽不注意や多動・多弁、衝動的な行動がある注意欠陥多動性障害(ADHD)▽対人関係が苦手で特定の事柄へのこだわりが強い高機能自閉症――などを含む。学校で周囲の適切なサポートがないと、不登校やいじめにつながる恐れがある。

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筆者の体感だと個別の指導計画や個に応じた支援計画のある子どもは小学校に10%いる感覚です。

記事内で指摘のあったように特別支援に詳しい教員の少ない学校だと形だけのものになってしまい,支援が行き届かないことがあります。また,それ以上にそれを作成しているのは学級の担任です。日々の授業の計画,校務分掌に加えこれも作成しなければなりません。中々しっかりと作成することも難しい場合もあります。

年々発達障害に対する理解が広まっています。それに対し,教員はどんどんと減っています。教員全体の母数が減る=意欲のある教員も減る,ということです。

せっかく発達障害への認知が広がり,理解がされてきたところなのにこれでは意味がありません。「教員」という仕事への悪いイメージがなくなるような改革を期待しています。

視覚障害者はどうやってゲームをするのか ― 「ポケモン」は泣き声で暗記し、ボヨンというSEでマ...

 

 

視覚障害者はどうやってゲームをするのか ― 「ポケモン」は泣き声で暗記し、ボヨンというSEでマップを把握。「無双」はシステムがバリアフリー

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今回は記事の部分が長いので引用せず,リンクを貼りました。興味のある方は読んでみてください。

11月18日(金)にポケモンシリーズ最新作『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』が発売されます。筆者はバイオレット,最初のポケモンはクワッスを選ぼうかと思っています。子どもが「ポケモン欲しい!」と話している家庭もあるのではないでしょうか。

さて,上の記事では視覚障害者がゲームをどのように楽しんでいるのか,というものです。上の記事では「視覚障害者が遊べるゲームはまだまだ少ない」とありました。SE(効果音)で自分がどの場所にいるのかを把握し,ストーリーを進めているようです。近年流行している「スプラトゥーン」や「APEX」といったFPSゲームはさらに難しいかもしれません。

しかし任天堂は「障害のある方も楽しめるように」という努力や工夫をしている企業だと感じることがあります。映画館で聴覚障害者の方向けにポケモンの映画を字幕付きで上映をしたり,テレビの副音声で視覚障害のある方にも内容がわかるようアニメを放映するなどをしています。

筆者が小学校4年生の担任をしていた時,子ども達と話し合って1年間の総合的な学習の時間のテーマが「バリアフリー」に決まりました。調べ学習をする中で子ども達に「身近なバリアフリーを調べてくること」と宿題を出したことがあります。クラスの子どもの内一人が「先生!ポケモンの新しいゲーム(ソードシールド)がYoutubeで紹介されてたんやけどな、音無しでも内容分かるねん!これってバリアフリーなんかな?」と伝えてくれました。クラスで見て「あ~確かに~」となりましたが,真相はわかりません。しかしインクルーシブ社会に有名な企業が協力しようとしている姿勢が見えることはとても良いことです。さて,今回の紹介映像はどうでしょうか?映像のみ,音声のみでも理解できるでしょうか?

『silent』で話題!音声認識アプリ開発は「難聴の友人に自分の声を文字で伝えるため」

現在、放送中の木曜劇場『silent』(フジテレビ)で使用されている音声認識アプリ「UDトーク」が話題となっています。

若年発症型両側性感音難聴を発症し耳が聞こえなくなった想(目黒蓮)と会話をする際、紬(川口春奈)や湊斗(鈴鹿央士)が使用するアプリで、自分が話したことがスマホの画面に文字となって表示されるというもの。

第2話で、紬と想がカフェで会話をするシーンで初お目見えし、第3話、第4話でも登場。筆談やLINEでやりとりするよりスムーズに意思疎通ができるアプリへの反響は大きく、放送後、すぐさま「UDトーク」の公式Twitterも反応しました。

アプリは、開発者の青木秀仁氏が難聴の友人ができたことがきっかけで、「自分の声を文字で伝えるため」に作ったもので、今でも「本当にあんな(ドラマのような)感じで使っていますよ」とコメントしています。

使用上のポイントは「話し手が使うこと」。第2話で、紬が自分のスマホにダウンロードしたアプリを起動し自ら使う流れが「よかった」とも綴っています。

『silent』で取り上げられたことについて、「ドラマで取り上げられることで耳が聞こえない人に話を伝える手段として『手話』『筆談』に加えて『音声認識』が選択肢として加わった気がします。ベストではなくベター。どれか一つに決めるのではなく、自分が伝えたい相手に伝わる手段をそのつど自分で選んでいきたいですよね」(10月24日投稿Twitterより)と歓迎しました。

その後も第3話、第4話と「UDトーク」が効果的に使われ、さらに反響があったことで、10月30日には、「開発者が解説する!話題のドラマ『silent』UDトークのシーン別使い方解説」という動画を公開。

青木氏が劇中での使用について、シーンごとに丁寧に解説しています。

“話し手が相手に伝えたいことを伝えるため”のアプリ
動画の終盤では、青木氏が「耳が聞こえない人とのコミュニケーション・ツールは手話だけではない」と、その多様さについても解説。

耳が聞こえない人がみな手話ができると思うのは間違いで、手話ができず、(話し手の)口型を読んで理解する人、多少の聴力があり補聴器で音を頼りにしながら、口型を読み、さらに手話も取り入れるといった人もいるように、手段はさまざまなのだといいます。

さらに、障がいには「医学モデル」と「社会モデル」があるとも。

「医学モデル」は、実際に障がいのある目や耳といったところが原因で課題が浮上する、という考え方。一方の「社会モデル」は、「暮らす社会のほうに障がいがある」という考え方だと説明。

特に、聴覚障がいについては、「あらゆる動画に字幕があったり、話し手が伝えるために何か工夫をするとか、そういうことをいろいろやっていけば、聴覚障がいの課題はほとんど解決するんじゃないか、と僕は思っています」と主張。

「UDトーク」に関しても、「障がい者の方の役に立つ」「自立支援のためのアプリ」などと紹介されることには否定的で、「障がい者の人が頑張ることでもないんです」と強調します。

「『UDトーク』は、“話し手が相手に伝えたいことを伝えるため”のアプリ。まず、これを忘れないでいてほしいのと、その立場に立って使うと、めちゃめちゃ使いやすいと思います」と改めて「話し手が使う」ことが前提だと説いています。

今後も劇中での登場が予想される「UDトーク」。どんな会話が展開されるのか楽しみです。

「UDトーク」公式サイト:https://udtalk.jp/

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今期最も注目されているドラマ「silent」です。筆者は川口春奈目当てでドラマを見始めました。

このドラマの主要人物である想(目黒蓮)は後天的に聴覚障害者になり,主に手話を使ってコミュニケーションを取っています。ただ高校時代の友人たちは手話が使えないのでコミュニケーションが取れません。そこで音声認識アプリを使ってコミュニケーションを取ります。

劇中で使用していたアプリは実際にあるもので「UD(ユニバーサルデザイン)トーク」というアプリです。

前回のブログ(T先生とY先生のお茶の間話~国語編~ : 10/31)でも書きましたが筆者とY先生の間で「ユニバーサルデザイン」という単語が研究テーマのようなものになっており,今回これを取り上げました。

こういったアプリが広まり,様々な人がコミュニケーションを取れる時代がになってきていることを実感しています。

筆者が教員時代,難聴の子どもが在籍している学校に勤めていた時,交流学習で私の教室に来て一緒に学習したことを覚えています。その時は「視覚支援!」の意識をして授業を組み立てていました。しかし子ども同士で話し合いをする時などの場面でどうすればよいかを考えていましたが結局何もできなかった苦い記憶があります。「UDトーク」のようなアプリを使えば,もっと子ども同士の学び合いを深められたのでは,と当時の自分に教えたいですね。

eスポーツで障害の固定観念を打ち破れ

eスポーツで障害の固定観念を打ち破れ

【9月11日 AFP】

岩手県に住む畠山駿也(Shunya Hatakeyama)さん(28)は、対戦型格闘ゲーム「ストリートファイター(Street Fighter)」のプレーヤーだ。キャラクターを自在に操り、複雑なコマンドを打ち込み必殺技を繰り出す。彼のために設計された特別なコントローラーを駆使して。

 体から筋肉が少しずつ奪われていく難病、筋ジストロフィーを患う畠山さんは、両手でコントローラーを握るかわりに顎でアナログスティックを動かす。eスポーツに身体的障害の有無は関係ないことを証明しているプレーヤーの一人だ。

 全盲の北村直也(Naoya Kitamura)さん(28)は、音を頼りに格闘ゲーム「鉄拳7(Tekken 7)」の闘いに挑んでいる。活況なeスポーツ界で才能を発揮することが、障害者に対する社会の偏見をなくす一助になればと願う。

 北村さんはAFPの取材中に「鉄拳7」のキャラクター、ラッキー・クロエ(Lucky Chloe)の目まぐるしい攻撃を実演して見せた。「どういう技が飛んできたかすべて音で聞いて判断して動いています」

 世界中で人気を博すeスポーツ界は年間10億ドル(約1420億円)を超える収益を生み出している。五輪競技の正式種目になる可能性があるとの見方も出ている。

 障害のあるプレーヤーが活躍する場を増やそうと、加藤大貴(Daiki Kato)さん(41)は2016年、eスポーツを通じた障害者支援事業を行う「ePara(イーパラ)」を設立した。

 同社は畠山さんや北村さんらプレーヤーを雇用し、ウェブサイト運営やゲームイベントの企画といった業務を任せる一方、ゲームのためのトレーニング時間を設けている。

 畠山さんは「ストリートファイターV」で、誰もがエントリー可能なオープン形式の大会に参加することが多い。格闘ゲームの魅力は「ハンディキャップやいろいろなハードルを越えて、いろんな相手と対戦できる」ことだと言う。

 大会に出る時に「障害があるかどうか」は関係がないと畠山さんは話す。「自分のプレーで人を感動させられるようにできればいい」

■特別仕様のコントローラー

 進行性筋ジストロフィー患者の畠山さんは、6歳のころから車いすで生活している。

 格闘ゲームはずっと好きだったが年を追うごとに筋力が低下し、ついにはコントローラーを握れなくなってしまった。

 打ちのめされた畠山さんは、一度は格闘ゲームを諦めた。6年がたった頃、顎で操作できる特別仕様のコントローラーを友人とともに設計した。昨年のことだ。動かせる指先でコンピューターのキーボードも使いながらゲームを始めると、すぐに感覚がよみがえったという。

 今では障害のある他のプレーヤーのコーチも務め、複雑なコンボや個々のキャラクター対策を教えている。

「もし格闘ゲームをやっていなかったら、困難にぶつかったときに解決策を探そうとしなかったと思う」と畠山さんは振り返る。

 普段は呼吸補助器を装着し、電動車いすで生活をしている畠山さん。「ゲームの中だけは本当に自由に動くことができて、格闘ゲームでキャラを操作するために不自由さを感じることはほぼない」と話す。

 eParaの加藤さんは、障害のあるゲーマー向け市場の拡大を確信している。「聴覚障害の人でも全盲の人でも遊べるように、プレーヤーが増えれば企業が対応するようになっていく」

■「一緒のルール、一緒の大会」

 加藤さんは、eスポーツを通じて障害のある人たちの才能を知ってもらいたいと思っている。日本では「障害者のことを知る機会が少ない」と感じている。

 小眼球症のために生まれつき目が見えない北村さんは、障害者は「助けなければいけない」存在だという考え方を変えるためにeスポーツが役立つと言う。

「パソコンを使うのはめっちゃ得意ですよ」と北村さん。「目が見える人よりできるところもある」

「支援されるだけじゃなく(中略)場合によっては協力できることもある。お互いに協力し合えるんだよ」

 五輪の正式な種目として導入されることが期待されるeスポーツ。しかし、オリンピックとパラリンピックとを分ける必要性について、加藤さんは首をかしげる。

「車いすであろうとなかろうと、一緒のルール、一緒の大会でプレーできる」

 そこがeスポーツの面白いところだと、力を込めた。

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近年eスポーツへの注目が日に日に増しています。

福祉業界でも「e-Sports」は大変注目されています。年齢性別を問わず参加でき,少しの操作でプレイできること。またリハビリや社会参加への観点からも医療や福祉業界にも浸透し始めているのです。ゲームを通じて社会に参加,コンピュータースキルの取得や向上というメリットも大きいといえます。

筋ジストロフィー患者でもあるパク・スンヒョン選手(韓国)に代表されるように,障害を持ったe-Sportsのプロ選手が、世界各国から続々と誕生しています。eSportsは、医療・福祉業界においても、ますます盛り上がりを見せているのです。 

発達障害の特性とeSportsは相性が良いと言われています。普段チームで物事に取り組んでいる時に周りを気にせず自分のしたいことをしてしまったり,寝てしまったりすることがある方でもゲーム,eSportsの分野になれば自分の得意を活かして大活躍することがあります。

 以下一部ディーキャリアより抜粋

〇「好きなこと」に対する集中力
発達障害の特性のひとつとして、興味を引かれたこと、好きなことへの集中力が
非常に高い傾向があります。集中力を発揮するまでの過程は特性によって
個人差があり異なりますが、ゲームスキルの向上やクリア目標達成に対して、
高い集中力を発揮するのです。

〇他者との難解なコミュニケーションが少ない
e-Sportsの選手は、競技以外の時でも「ゲーム」が仕事。スキルアップなどに多くの

時間を費やします。スポーツのアスリートでいうところの「トレーニング」です。
そのため、オフィスワークで必要な難解で複雑なコミュニケーションを
あまり必要としません。
このことは、発達障害の方にとって弱みが現れる場面が少なく、
とても良い環境といえるでしょう。

 〇勝敗、スコア、など結果や成果がはっきりしている
e-Sportsは、ほとんどのタイトル(種目)は、その場で勝敗やスコアなど
成果が明確になるものばかり。オフィスワークや営業といった業務のように、
自分の仕事に対しての不安感が少なく、また、成果が明確になるため、
すぐに飽きてしまう特性でも続けられるという利点があります。

〇スキルアップへのこだわり / 地道な作業への集中(ASD特性)
ASDの特性のひとつとして挙げられるのが、「特定の事柄に対して非常に強いこだわり」を
持つことです。e-Sportsにおいても、技術向上や戦略・攻略のために、探求力や努力が必要であり、
ASD特性の強みが遺憾なく発揮されます。

また、バトルサバイバルゲームのような、展開によっては我慢強さを
求められる場面の多いタイトルや、パズルゲームのような緻密さを
求められるタイトルに対しても、ASDの特性は非常に高い集中力を発揮するので、
とても相性が良いといえるのです。

〇クエストやバトルを優位に進める独特な発想 (ADHD・SLD特性)
ADHDの特性では、クリエイティブな感性が強く、誰も考えつかない発想を生み出しやすいと言われています。この特性はe-Sportsでも大いに活かすことができ、相手の予測を上回る戦略で相手の隙を突いたり、想像を超えたスキルフルなプレイで戦いを有利に進めたりと、
能力を発揮する可能性が高いのです。

(一部「ディーキャリア」より抜粋、引用)

もちろん中毒性や依存等,注意することも多々あります。しかし障害のある方も他の人と同じステージに立って活躍できる場があることはこれからのインクルーシブ社会で大事なことだと考えています。まだまだ日本は海外に比べるとeSportsは広まっていないですが,良い方向で広がっていくことを期待しています。

障害者ファッションでパリコレへ 福祉業界からのチャレンジ

障害者ファッションでパリコレへ 福祉業界からのチャレンジ

2022年05月30日(月曜日) 18:43 サンテレビNEWS

おしゃれのチカラで障害者と福祉業界のイメージを変えようと奮闘する男性が尼崎市にいます。
アパレル業界からではなく福祉業界から挑む、規格外の挑戦とは?

小浜英博アナウンサー「土曜日です。人手が多い梅田にやってきました。こちらである方が、記者会見を行うそうなんです。ある大きな夢に挑戦するというこちらの方。スカート姿という個性的なファッション。ラメが入ったキラキラの眉。一体何者なのでしょうか?」

平林景さん「これは必ず時代を動かす時代の扉を開くひとつのきっかけになる」

尼崎市の平林景さん。44才。尼崎市内で、発達障害の子などが通う放課後等デイサービスを4つ運営しています。

平林さん「自分の身近な人に発達障害を持った方がいらっしゃったので、そういう方たちが通えるように。長所を強烈に伸ばせるような」

元々美容師で、おしゃれが大好きだった平林さん。

人生をかけて取り組んでいるのが…。

平林さん「福祉におしゃれをかけあわせて世の中の障害や福祉業界に対するイメージを明るく華やかにする」

2019年、同じ志を持つ仲間と日本障がい者ファッション協会を設立。年齢・性別、障害の有無に関係なく、おしゃれを楽しめるブランド「ボトモール」を立ち上げました。

こちらの巻きスカートはマジックテープやゴムを使用。車いすでも脱ぎ着きしやすくなっています。

廃生地を利用したこちらのジャケットは、車いすに座ってもしわにならない、丈が短いものや、袖にチャックがついたもの。

開発した商品は、東京や大阪などの百貨店で期間限定販売を行った他、一部の商品は、障害者が働く施設で縫製を行い、働き甲斐や雇用を生み出しています。

平林さん「車いすユーザーだけではなくて、かなり性別も年齢もだいぶ幅広い形でご購入して頂いた」「(就労施設での取り組みは)1つの地域から日本全国にそういったものが広がってきたら世の中変わっていくと思う」

さらに、障害者などが働くレストランの制服や、兵庫教育大とコラボしたジェンダーレスの制服を制作。

また、SNSでは自らのファッションや思いを発信。では実際はどんな人なのでしょうか?

谷口藍さん「彼自身も公表しているがADHDの診断をうけていまして、衝動性が強い。やると決めたらやる。しかもすぐに。ただ、その分ワーキングメモリーっていって記憶できる容量が少ない。本人も自覚しているが。色々すぐ忘れてしまう。それを周りが色々サポートしたり、本人も努力しながらやっている」

平林さん「あくまで発達障害っていう部分は、その人の凸(長所)凹(短所)の部分が激しいだけの部分なので、得手もあれば不得手もある。得手を強みに変えていけば」

福祉の専門家として、発達障害の当事者として、仲間たちと発表した夢は…。

平林さん「誰もが心躍るファッションをパリから発信する」

その夢とは、車いすファッションでパリコレに出展するというもの。

パリコレには、有名ブランドだけでなく、新人デザイナーなどが行うショーもあり、費用や場所を用意できれば、誰でも出展が可能です。

しかし、見る目が厳しいファッションの本場で、多額の費用をかけてまでショーを行うことは、大きな挑戦となります。

平林さん「ショーのテーマはif(もしも)車いすが当たり前の世の中だったら、どんなファッションが生まれていたのか、流行っていたのか、その世界を表現したいを思っている」

ショーのコンセプトは、「ネクストUD(ユニバーサルデザイン)」「着やすく、おしゃれで、かっこいい」から新たな価値と流行を生み出すとして、9月27日、フランスのパリ日本文化会館で実施。

モデルは、障害の有無を問わず10人ほどになる見込みで、現地と日本で募集。

詳細は、6月1日にHPで発表です。

平林さん「僕はこれをやることによっていまの世の中の当たり前だったり、偏見だったり、この時代を子どもたちに引き継ぎたくない。このタイミングで1回けりをつけないといけない時期」

おしゃれが変える福祉の未来。アパレルではなく福祉の世界からパリコレへと挑みます。

平林さん「楽しさだったりワクワクだったり、明るいものが世の中を変えていく原動力になると思う」

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久しぶりの「みんなちがってみんないい」のコーナーです。こちらも不定期になると思いますが,よろしくお願いします。

さて,今までにも一度「ボトモール」について取り上げたことがありました。(「福祉×オシャレで世の中を変える」 身体障害者の声から生まれたブランド「ボトモール」: 02/03  )

この記事の中では「ネクストUD(ユニバーサルデザイン)」という言葉がありました。「もし車いすが当たり前の世の中だったらどんなファッションだったのか」「着やすく、おしゃれで、かっこいい」と話しています。

近年では男性がウィメンズのアイテムを着用する,女性がメンズのアイテムを着用する,ということが当たり前になってきました。ユニクロ,GU,無印良品等ではそのために女性用のボトムスもある程度男性が着用できる,またはその逆の想定で商品を作っていることもあります。初めから「男女兼用」といった商品もあります。筆者が服を調べていて「おっ、これいいな」と思ったものが男女兼用の商品,ということも少なくありません。このようにファッション業界では「ジェンダーレス」がどんどん広まっています。

 それの次に「様々な人が着れる服」という「ネクストユニバーサルデザイン」の服がファストファッションの店頭に並ぶ時代が来ればな,と思います。身体障害者の方以外にも触覚過敏の人でも着れるような素材で出来た服なども出てくるかもしれません。

発達障害・不登校… 中高生支える放課後デイ 佐賀市内に4月

発達障害・不登校... 中高生支える放課後デイ 佐賀市内に4月

2022年3月30日 【朝日新聞】

発達障害やメンタル不調がある中高生を支援する放課後等デイサービス「ユニスクさが」が4月1日、佐賀市栄町に開所する。学校に行きづらかったり、進学や就職に不安を持ったりする生徒が、コミュニケーション力を高める訓練などを通じて復学や進学、将来的には就職を目指す。

運営するのは一般社団法人ユニバーサル人材開発研究所。研究所代表理事で公認心理師、大野博之さん(58)によると、月~金曜日の原則午後3時半~同7時と土曜日の午後1時半~同3時に実施する。

利用するのは発達障害や適応障害などの診断を受けた中高生が対象で、定員は10人。大野さんらスタッフ計5人が子どもたちを支援する。

子どもたちは、学校などでの人間関係を円滑に進めるための「コミュニケーション訓練」や、調理や清掃、洗濯などを体験学習する「ライフスキルトレーニング」などを受講する。

放課後等デイサービス事業は、児童福祉法に基づく福祉サービスで6~18歳が対象となる。県障害福祉課によると、県内には約170カ所の施設がある。

大野さんによると、利用者を中高生に絞って、復学や進学、就職のいずれかを明確に目指すケースは珍しいという。

利用料は、居住する自治体に受給者証を発行してもらえば、原則自己負担は1割ですむ。大半が月額4600円になるという。

大野さんは「学校に行きづらさを感じる子に対し、社会で生き抜く力を身につけさせたい」と話している。問い合わせは、ユニスクさが(0952・37・7744)へ。(林国広)

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乙訓地域の小学校に通う子どもで社会性支援のニーズに応える放デイは収容数の上では足りてきたと感じます。これもカウントの仕方によるのですが、週2~3回程度の利用ニーズの子どもは受入れる放デイがあるようです。ただ、これも子どもによっては、学童保育などで適応できず毎日必要な子どもから、学童保育に徐々に移行するレベルの利用量や、スキルチェックで週1回程度の利用まで色々あります。

しかし、読み書き障害を含む学習障害がありそれが原因で学校に行きづらくなっている子どもへの認知特性に合わせた読み書きの支援を行うところは地域にはほとんどありません。読み書き障害だけの子どもの場合聡明な子どもも少なくないので、中学年くらいまでは丸暗記して理解しているとか、自分で書きの方略を編み出して満点は取れなくてもそこそこの点数をとっている子がいます。しかし、高学年になると自分で読まない事には理解ができない学習レベルになってきますし、新出漢字も大量に出てくるので授業で丁寧に教えることはなくなり、この子たちは足がかかりをなくして落ちていきます。

なんとか低空飛行でも中学レベルにたどり着いた子どもでも、中学の勉強は基本が「自学自習」です。授業だけで理解できると教師も思っていませんから、読み書きに問題を持つ子どもはどんどんドロップアウトします。残っているのは大容量の記憶だけで乗り越えてきた子です。そんな子でも高校レベルの英語になると流石に記憶容量がパンクします。そして、小さいころから告知もされず頑張ってきた彼らは思うのです。他の人はもっと頑張っているから自分より成績が良いのだと思っています。努力しても努力しても報われない中で彼らが学ぶものは「頑張っても無駄」という人生訓です。

読み書き障害も、早期発見が基本ですが、現状では「学びの遅い子」や「低学力児」としてしか見られておらずその原因まで遡及して障害を見つけられる子どもは多くはありません。学力が低くい理由を怠学のせいや家庭の事情として片づけられ、授業態度が悪いなど素行が不適切なら特支級へと勧められる場合が少なくありません。そして、いつの間にか特支級の子だから学力が低いのは当たり前と本末転倒の理由付けがなされます。その陰に潜んでいる学習障害をなかなか見つけてもらえないのです。

このようにして、中学まで頑張ってきた子も、特支級だから読み書きが遅いのは当たり前と思われてきた子も、通常の学習方法では不向きな認知特性を学校で見つけてもらえないのです。仮に見つけてもらっても、通級指導教室には知的遅れのない読み書き障害のリスク児は児童全体の1割以上もいるし、ASD等他の課題を持つ子の支援もあるので、発見しても毎日のフォローはできません。また、通級にたどり着くまでには「ゆっくりなら読み書きできるから問題ない」という担任や家族の誤解が障壁となることもあります。

地域で学習障害に対して中学高校も支援してくれるシステムも必要ですが、学習障害支援を正面から掲げているのは、当法人の「学びの広場じゃんぷ」くらいしか見当たりません。それも新年度を迎えるというのにほぼ満員の利用状況ですし、じゃんぷでも高校生までは手が伸ばせていません。本当は週2回程度の支援が必要でも出来ない状態の子どももたくさんいます。記事の放デイは、どちらか言うと生活型の支援です。しかし、今必要なのは、痒いところに手が届く認知特性にフィットした学習支援です。学校生活の7割以上の時間を占める学習に工夫して取組み、失敗しても諦めずにまた支援を得て工夫して前進して行くことは、成長の上で大きな意味があると思うからです。

療育型放デイは個別支援が多いので人手や手間がかかる割には収益が低く、確かな支援ができるという知名度が上がるまでは経営が難しいのでなかなか増えません。しかし、子どもたちのニーズに応える地域での療育を、学校・家庭と連携して実現しなければ「頑張っても無駄」と思う子どもたちを減らすことはできません。知能検査や読み書き検査ができ、読み書き障害にASDやADHDが合併している場合の対応もわかっている「じゃんぷ」タイプの療育型放デイが、地域にもっともっと欲しいです。じゃんぷが地域に切り拓いた細い道を、今度は太く広げる事業が必要だと感じています。

愛知県で初めて開校へ 知的障害と肢体不自由どちらも受け入れる特別支援学校 西尾市

愛知県で初めて開校へ 知的障害と肢体不自由どちらも受け入れる特別支援学校 西尾市

3/29(火) 【CBCテレビ】

知的障害者と体の不自由な子ども、どちらも受け入れる特別支援学校が、愛知県で初めて開校します。

愛知県西尾市の「愛知県立にしお特別支援学校」は、県内初となる、知的障害と肢体不自由、どちらの児童・生徒にも対応する特別支援学校です。

4月1日の開校を前に29日、内覧会が開かれ、愛知県の大村知事や関係者ら約30人が真新しい施設を見学しました。

校舎には愛知県産のヒノキやスギが使われ、壁には西尾市の名産品などの楽しいイラストも描かれています。

また、全ての児童・生徒が交流するための施設「ふれあいホール」も備えています。

(にしお特別支援学校 神本聡・校長)
「(障害の異なる児童・生徒が)授業や行事の交流を通して、お互いを理解しあうこと。すべての教職員がどの子に対しても、適切な指導を行えること(が“この学校”の意義)」

これまで安城市の特別支援学校は教室不足が、岡崎市の学校は長距離通学者が多いことが課題でしたが、今回の開校で、これらの解消にもつながると期待されています。

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京都の人たちにしてみれば、知・肢の総合は当たり前のことです。京都府は縦長に広く、肢体不自由校と知的障害校を分けるとそれぞれの校区が広すぎて通学に支障が大きいので、1979年の養護学校義務制頃から事実上総合化していました(正確には知的障害だけの桃山養護学校を閉じた2011年から)。京都市は総合養護学校と名称変更した2004年から知・肢総合となっています。

今頃、愛知で珍しそうに報道されてもなんだかなぁとも思います。愛知でも決して地の利の良い支援学校ばかりではないはずなのに、新設学校を作るまで事実上放置されていたという事です。今後既存の支援学校が総合化される可能性は報道されてないのでそのままだということです。ただ、知的障害と肢体障害の学校を分けるのが全国的には標準です。お隣の大阪府も兵庫県も滋賀県も別々です。その結果、長時間通学の問題や医療的ケアを必要とする子どもの課題が肢体不自由学校に集中します。

障害種で学校を分けるメリットは、身体の障害の重い子がゆったり過ごせたり、職員が専門的知識を獲得しやすいという面があります。ただ、知的障害学校のASD児対応などを見ていると専門的支援を御存知ないように見える教員もいて、学校を分けたことが専門性の担保にはならない気もします。

さらに通学時間は身体に障害のある人が不公平と言えるほどの通学時間をかけて登校しています。このことについて自治体はもっと考えるべきです。できれば、通常学校に専門性の高い教員が来て特別支援教育を実現し、皆が同じ学校で学ぶのが理想なのです。ですから、通学時間は長いし専門性も人それぞれでは困るのです。テレビ局は官制発表を右から左に流すような報道ではなく、こういう課題にも焦点を当てて取材し放送してほしいと思います。

 

【第94回アカデミー賞】作品賞は「コーダ あいのうた」 聴覚障害を抱える家族を支える少女を力強く描く

【第94回アカデミー賞】作品賞は「コーダ あいのうた」 聴覚障害を抱える家族を支える少女を力強く描く

3/28(月) 【映画.com】

第94回アカデミー賞授賞式が3月27日(現地時間)、米ロサンゼルスで開催され、シアン・ヘダー監督作「コーダ あいのうた」が作品賞に輝いた。Apple TV+によるオリジナル作品で、動画配信系の作品初の受賞作。男性のろう者の俳優でトロイ・コッツァーが初めて助演男優賞を受賞した。

【感動の瞬間】男性のろう者の俳優で初 助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァー

2014年製作のフランス映画「エール!」のリメイク作で、家族の中でただ1人の健聴者である少女の勇気が、家族やさまざまな問題を力に変えていく姿を描いたヒューマンドラマ。テレビシリーズ「ロック&キー」などで注目の集まるエミリア・ジョーンズが主人公ルビー役を演じ、「愛は静けさの中に」のオスカー女優マーリー・マトリンら、実際に聴覚障害を持つ俳優たちがルビーの家族を演じた。

かつて「キャバレー」(73)で主演女優賞を獲得している大女優ライザ・ミネリから作品賞タイトルが読み上げられると、キャストと製作陣は会場の観客から拍手を表現する手話で祝福された。

助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーらキャスト陣、手話通訳者とともに壇上に上がったプロデューサーのフィリップ・ルスレは「歴史を刻むことができました。候補となった他の作品も素晴らしいものでした。初日からキャストとクルーは大変でした。大きな問題が山積みでしたが、船は浮かび続けました。素晴らしい船長、素晴らしいプロデューサー、そしてキャスト。皆が愛する家族をスクリーンに作り上げてくれました」と、各方面への感謝の言葉と共に、数々の困難を乗り越え手にした栄冠に万感の思いを述べた。

海の町でやさしい両親と兄と暮らす高校生のルビー。彼女は家族の中で1人だけ耳が聞こえることから、家族の耳となり、家業も手伝っていた。新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、 ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対する……。今回、第94回米アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚色賞の3部門にノミネート。ルビーの父親フランク役を務めたトロイ・コッツァーは、男性のろう者の俳優で初めてオスカー候補になった。

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やっぱりアメリカ映画は直球勝負が最高です。前回、ドライブ・マイ・カー アカデミー賞4部門ノミネート: 03/08を掲載した後、最有力候補の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」と「ベルファスト」を観ましたが、今一つしっくりこない感があって、アカデミー賞発表の直前に第3候補の「コーダ あいのうた」を観に行きました。前回、「ドライブ・マイ・カー」のパク・ユリムの手話の語りが美しく温かいと書きましたが、今回の「コーダ あいのうた」の手話は力強く情熱的で、何よりカッコいいのです。アカデミー作品賞の受賞はとても納得のいくものでした。

役者本人も聴覚障害者である父役トロイ・コッツァーと家族で唯一の聴者である娘役エミリア・ジョーンズのハイライトシーンは障害を超越した親子愛を深く深く映し出します。いわゆるヤングケアラーの彼女は、ろう者漁師の漁業無線通訳者として家族のために午前3時から働いています。この家族から離れることはできないと、バークリー音楽大学への進路を諦めかけます。が、星空の下でのハイライトシーンで、父の思いの全てを受けとめた彼女は巣立ちを決意します。クライマックスは、試験会場に忍び込んできた家族に彼女は手話をつけて歌い出します。曲は「青春の光と影」(原題: Both Sides, Now)。ジョニ・ミッチェルが作詞作曲した大ヒット曲です。

この力強く情熱的な手話と歌がスクリーンから観客に直球で届く感覚は映画を観た人しかわからないものだと思います。「ドライブ・マイ・カー」の国際長編映画賞は嬉しいものでしたが、その感動をはるかに凌いだのが「コーダ あいのうた」の鑑賞後の気持ちでした。アメリカ映画は真っ直ぐなのがいいと久々に感じた映画でした。メディアは聴覚障害者の俳優を交えたダイバーシティな撮影経緯の素晴らしさを報じていますが、何よりも娘役エミリア・ジョーンズの歌声を聴いてほしいと思います。ちょっと日本映画では太刀打ちできないなぁと、ハリウッドの底力を見せつけられました。

 

NIPT 新出生前診断を全ての妊婦に知らせる新指針への不安 差別や排除が助長されないか

NIPT 新出生前診断を全ての妊婦に知らせる新指針への不安 差別や排除が助長されないか 細川暁子

2022年3月24日 【東京新聞】

NIPTは今 新出生前診断を考える(3)

陽性確定の9割が中絶を選んでいた
新出生前診断(NIPT=Noninvasive prenatal genetic testing)を受けた妊婦のうち、陽性が確定した人の9割が中絶―。日本医学会が認定した、検査の実施施設でつくるNIPTコンソーシアムが行った調査は、厳しい現実を浮き彫りにした。

NIPTは、妊婦の血液から、ダウン症など胎児の疾患の可能性を推定する検査だ。調査によると、2013年4月~2021年3月に検査を受けた10万1218人のうち、陽性だったのは1827人。羊水検査などで陽性が確定したのは1397人で、そのうち1261人が中絶を選んでいた。

「安易に受けていい検査ではない」
障害がある子どもを育てる親たちの思いは複雑だ。

ダウン症の息子(5つ)がいる名古屋市内の女性(35)は「検査を受ける人の気持ちは理解できる」と言う。生まれてすぐにダウン症と分かった息子には心臓の疾患があり、生後3カ月で手術をした。

「もし2人目も障害があったら、上の子の世話ができない」。現在、生後11カ月の次男の妊娠が分かった際、女性はうれしさとともに、大きな不安に襲われた。そこで、認定施設でNIPTを受けた。

結果が出るまでには約2週間かかる。その間も、おなかに宿った命は育っていく。陽性ならどうするか。胸がつぶれそうだった。わずか10ミリリットルの血液を腕から採取すれば終わるNIPT。認定施設だけでも年間約1万5000人に実施されているが「私と家族の心の負担は重かった。安易に受けていい検査ではない」と声を絞りだした。

「検査しなかったの?」に傷ついて
「娘さん、妊娠中に検査しなかったの?」。あるとき、名古屋市内の女性(44)の母親に、知人が問いかけたという。小学3年になる女性の長男(9つ)はダウン症だ。そのやりとりを母親から聞いた際は傷ついた。まるで長男の存在を否定されたように思えた。

これまでNIPTの経験はない。第2子となる長女(4つ)を妊娠したときも受けなかった。「もうダウン症の子がいるんだから、育て方は分かっている」と夫は言った。「どんな子でも育てよう」と二人で決めた。

「事情は一人一人違うし、NIPTを受ける、受けないに正解はない」。ただ、これだけは思う。「障害がある本人や家族が『肩身が狭い』と感じる世の中にしてはいけない」

障害児への支援とセットでなければ
NIPTについて、国や日本産科婦人科学会(日産婦)はこれまで、妊婦には積極的に知らせない姿勢を取ってきた。しかし、国も関わった日本医学会の運営委員会が2月に示した新指針では、母子手帳を配布する際、チラシで全ての妊婦に知らせる方針が示された。正確な情報を提供し、日産婦の指針を守らない無認定施設に妊婦が流れないようにするのが目的という。

一方で無認定施設への罰則はなく、新指針はむしろ検査を促進するとの見方も強い。「全妊婦に知らせる方向にかじを切ったことで、命の選別にもつながる検査に強い『お墨付き』が与えられた印象がある」。そう話すのは生命倫理を専門とする北里大の斎藤有紀子准教授(59)だ。その上で「障害や病気がある人への差別や排除が助長されるのではないか」と危惧する。

「NIPTの広がりと、障害がある子どもを支える制度や情報提供の充実はセットでないといけない」と強調。「具体的にNIPTの何を妊婦に伝えるのか。国と医学会には開かれた議論が求められる」
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がん予防のために、ガンマーカーで血液検査をし、がんの種類を見つけ画像診断で場所を特定しごく小さながん細胞のうちに取り除くがん治療と、出生前検診を同じようには比較できないですが、命を守るか命を間引くかに決定的な違いがあります。もちろん、一昔前は弱い胎児は流産して自然淘汰されていました。それを人類の英知で弱い胎児の命でも守ることができるようになりました。しかし、その子が健康に育つかどうかは医療が進歩すればするほど高いリスクがあります。

この記事ではダウン症など遺伝疾患の胎児の早期発見についての考え方を取り上げています。確かにダウン症や一部の染色体異常にも知的障害が生じたり、寿命が短かったりすることがあります。しかし、知的に遅れているから、命が短いから不幸だと言うのは当事者の意見ではありません。大昔、貧しい家族の食い扶持を減らすとして、子捨てや子殺し、姥捨て山で老人を捨てるのと大して変わらない話だと思えてなりません。NIPTの結果が陽性で子どもが可愛そうだから堕胎するという最も大きな背景には、家族が今の時代を暮らすうえで子育ては負担が大きいと感じているからだと思います。

障害のある子がいても、経済的余裕と豊かな社会的支援があれば堕胎を選択する人たちは減ると思います。もちろん母体が危険にさらされるような事態が予め分かっているなら出産は避けるべきですが、染色体異常の陽性反応だけで堕胎を選ぶような行為は個人の問題ではなく、社会体制全体の問題として議論すべきです。将来は、DNA検査によってIQや生存年齢、がんの罹患率や痴ほう率まで分かるようになると言います。ならば、数値的に思わしくない人は子どもを持たない方がよいというところまで行きつくかも知れません。どこかで歯止めになる大きな議論が必要だと思います。

校庭に住民も出入り自由 神戸唯一「学校公園」変わる姿 子どもの安全考慮、境界にフェンス設置

校庭に住民も出入り自由 神戸唯一「学校公園」変わる姿 子どもの安全考慮、境界にフェンス設置

2022/3/24 【神戸新聞NEXT】

神戸市内で唯一、校内グラウンドと校外の公園との境に仕切りがなく、保護者や住民が自由に校内に立ち入ることができた成徳小学校(神戸市灘区備後町1)で、敷地の境にフェンスが設置され、学校の内外が区切られた。これまでグラウンドは「学校公園」の愛称で住民に開放され、早朝や放課後は近隣住民が自由に出入りしていた。文字通り、地域に開かれた学校を象徴した光景が姿を消した。

■走り回る児童の横で…

平日の昼休み、グラウンドを走り回る児童のすぐ横で、住民が成徳公園の清掃や花壇の水やりを行う。本来はグラウンドも住民がジョギングなどで自由に利用できるが、登校から下校までは立ち入らないというマナーが地域で浸透した。

しかし、校内にいる児童の安全を守るため、校内外の敷地を区切るフェンスが設けられた。今後は3カ所の扉を教職員が開閉し、授業時間中は閉めるが、放課後や休日は開け放ち、これまでと同様に地域に開放する。

■「人の輪がフェンスの代わり」     

成徳小は1995年8月に新校舎が完成した。教員らから「フェンスがなければ公園も含めてグラウンドが広くなり、子どもがたくさん遊べる」と意見があり、当初は予定されたフェンスを設置しなかった。

同校によると、阪神・淡路大震災直後は、市内で高倉台小(同市須磨区)、若宮小(同)も敷地を区切るフェンスがない小学校だったが、現在は成徳小だけが残っていたという。

これまでも、2001年に大阪教育大付属池田小学校の児童殺傷事件が起きた際などに防犯上の心配があったが、「人の輪がフェンスの代わりになる」として、住民の見守りで安全を支えてきた。しかし、衝動的に校外に飛び出してしまう児童などもいて、保護者と教職員の不安はぬぐえなかった。

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公園をめぐる問題はこれだけではないです。2019年、神戸祇園小学校の校庭の広さが児童数に見合っていなかったとして、市が近隣の公園を校庭として拡幅する工事を進めていたところ、公園を利用していた住民からの反発が記事になっていました。つまり統廃合で子どもが増えたからと公園を校庭にするのはけしからんという話です。開放は危険だと言ってはフェンスで仕切り、校庭が狭いからと言っては公園を潰しと、神戸だけではなく土地のない自治体は皆公営の空間問題で頭を悩ませています。

どこの自治体でも同じですが、高度経済成長期に住民が都市部やその周辺に移り住み、家屋を驚くべき速度で建てまくった結果、都市の区画整備などとても追いつかず、とにかくどんどん増える人口に対応して学校建設やごみ処理、上下水道の敷設で精いっぱいだったのが都市や衛星都市の実情です。ようやく都市の人口増加も一息つくと、今度は子どもの減少で学校の空き教室が目立ち始めて、統廃合して空いた学校跡地に文化施設や公園を作るフェイズに入ってきています。

そうなると、共有していた公園と校庭も少し余裕が出てくる中で、「何かあったらどうする」という「脅しと怯え」の中で、子どものいる空間はできるだけ区切るのが当たり前になってきます。近所のおばちやんおっちゃんと自然に交流する中で住民と子どもの双方が獲得する社会性より、何万分の1の学校襲撃の可能性の防御をフェンスに託します。

なんだかなぁと思いますが、校庭に花を植えに来た人たちも「何かあっても私たちでは何もできない」とフェンス仕切りを認めざるを得ません。襲撃の抑止には、個別の防備と集団的自衛の両方が効果的に働く時に抑止効果は高まるのですが、「何かあったら」の殺し文句には勝てません。

 

ロシア ウクライナ侵攻 子どもたちにどう教えるか 学校で模索

ロシア ウクライナ侵攻 子どもたちにどう教えるか 学校で模索

2022年3月22日 【NHK】

ロシアによるウクライナ侵攻が続く現状に、不安や疑問を抱く子どももいることから、学校現場でどう教えていくべきか、各地で模索が始まっています。

“意見を出し合う授業” 東京の小学校 
このうち、東京 日野市の日野第四小学校では、ウクライナ情勢に関する不安を抱え込まないよう、高学年を対象に意見を出し合う授業に取り組んでいます。

5年生の道徳の授業では、まず教員が、東京オリンピックで日野市はウクライナのホストタウンだったことや、地元企業の工場がロシアにあること、東日本大震災では両国から日本に支援があったことを紹介しました。

そのうえで、現状への思いや平和な社会に必要なことを話し合う時間が持たれ、児童からは「意見がぶつかっても戦争や暴力以外の方法がある」といった意見が出されていました。

男子児童は「子どもで力がないから助けられない。話し合いで解決すべきなのに戦争が起きてしまい悲しい」と話していたほか、別の男子児童は「交流のあるウクライナで多くの人が命を失っていて、自分のことのように思いました」と話していました。

閏井研司教諭は「認め合う大切さなど、日頃学んできたこととは逆の『戦争』が起きてしまい、子どもたちは漠然とした不安を感じているように思います。『戦争』について話してはいけないと思っている雰囲気も感じたので、まずは考えを出し合うことが大切だと思っています」と話していました。
“遠い国の遠いできごとでなく 私たちの問題として” 横浜の高校 
一方、さまざまな国にルーツがある生徒も学ぶ、横浜市の県立横浜国際高校では、生徒から「ウクライナのことを学びたい」という声が寄せられたことから、歴史の教員が授業を行いました。

この中では、両国の歴史を踏まえたうえで、日本にいるウクライナ人とロシア人の思いを伝える記事やウクライナ情勢に関する歴史の専門家の考察、情報の捉え方を考える資料を読み込み、議論しました。

各班では「いま苦しんでる人がいるのに、それを放置して無知のままでいるのがいちばん怖い」とか、「『国』と『個人』を同じように扱い誹謗中傷が起きているが、情報をうのみにせず自分で考えることが大事だ」といった意見が出ていました。

また、「国の指導者や歴史学者の意見も大事だが、SNSが普及したいまだからこそ、個人個人の声から考えることも大事」などと議論を深めていました。

女子生徒は「ウクライナの状況に無力感を持っていましたが、結論に至らなかったとしても自分の中で考えを持ち、情報を得て知識を深めて、友達と意見を共有することが私にできることだと思えました」と話していました。

徳原拓哉教諭は「ウクライナやロシアと大きな主語で語られますが、学校の友達にも関わることなので、遠い国の遠いできごとではなく、いま目の前で起きている私たちの問題として、迷いも含めて共有して一緒に考えていけたらと思っています」と話しています。

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今起こっていることを、子どもたちに理解できる程度に情報提供することは大事なことです。ただ、戦争はいけないことだという道徳的な話に終始すると、それが分からない人たちにはどう対応するのかという袋小路に陥ってしまいます。戦争の悲惨な事実を伝えるとともに、戦争は安全保障の同盟関係がないところで生じやすく、均衡した戦力や双方が同盟関係で守られている国同士は例え紛争が生じても戦争に拡大しにくいという事実を歴史教育や世界史教育の中で教える必要があります。

そして、残念ながら、世界には理性の通じない国もあり、国連の常任理事国なのに国際ルールも無視してしまう国が存在することを伝えなければなりません。そんな無法者が暴れ出すのを抑止するのはどいう方法があるのか、リアリティーのある柔軟な討議をすることで子どもたちの不戦の知恵は育てられていくのだと思います。そのことは、必ず自分たちの暮らしを守る政治への関心に繋がり、若者の選挙行動にも成果は表れてくるはずです。

戦火の下、自分と同じ世代の生身の子どもたちがミサイル攻撃に傷ついていることについての悲しさを交流することも重要ですが、どうすれば無法者を抑止できるのかというところに関心が向くようにしてこそ平和教育と言えます。武力も含む抑止力について子どもにも考えさせてみる事が未来の安全保障の一歩につながります。現実に生じている事なのに特定の内容については議論しないというタブーを作ると袋小路にはまって無力感や無関心を生み出だしてしまいます。世界は良き方向に変える事ができると子どもたちが信じられるようにするためには、まずは大人たちがタブーなしの議論を行う事が必要です。

京都駅に響いたウクライナ国歌 駅ピアノで「自由に魂ささげ」

京都駅に響いたウクライナ国歌 駅ピアノで「自由に魂ささげ」

2022/3/21【毎日新聞】

ロシア軍の侵攻が続くウクライナを応援しようと、プロやアマチュアの音楽家らが20日、京都駅ビル(京都市下京区)7階の東広場にあるグランドピアノの伴奏で、ウクライナ国歌とベートーベンの「交響曲第9番(第九)」の一部を合唱した。参加した約40人は、ウクライナへの一日も早い平和の訪れを願った。【福富智】

声楽家の山本昌代さん=奈良県平群町=らが呼び掛けた。山本さんは「音楽は人を励ますことができる。ウクライナの首都キエフと姉妹都市である京都市からの応援が伝わればうれしい」と話した。呼び掛けに対し大勢の人が参加を希望したが、新型コロナウイルス対策で多くを断わらざるを得なかったという。演奏は動画でも配信した。

ウクライナ国歌の「自由のために魂と身体をささげる」「私たちは私たちの土地を治めよう」との歌詞の内容を紹介した後、合唱が始まった。合唱にはウクライナ出身者も参加。京都市国際交流協会職員のオレーナ・シガルさんは「国歌を一緒に歌うことは励ましになる。戦争が始まりショックだ。一日も早く戦争が終わってほしい」と述べた。大阪市の会社員、マリヤ・ボドナルさんは「ウクライナは今、非常にひどい状況だ。みんなと一緒に歌えて感動した」と話した。

ピアノは2019年10月、山本さんが理事長を務める一般社団法人「まほろば芸術ラボ」(奈良県桜井市)が寄贈。ピアノ教室で多くの子どもたちが奏でたピアノで、駅ビルではコンサートやイベントなどで使われている。

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国歌を歌うことを、侵略戦争時の歌、天皇賛美の歌だと嫌う人がいます。中には、式場で自らの国歌ヘイトの表現として着席して歌わない教員もいます。教え子に、表現の自由こそ民主主義だと教えたいのだと思います。国旗や国歌をヘイト表現する人たちが参加する卒業式や入学式は、君が代を国歌と認めている人は、国が分断されているようで嫌な気分にさせられます。帝国主義者の歌と日本国歌をヘイトする人たちは、ウクライナ国家なら反戦の歌として侵略反対の歌として歌うのかもしれません。

ウクライナの人たちは祖国や故郷を破壊しないでほしいと国歌を歌います。同胞を殺さないでほしいと歌います。それに憤り立ち向かう人々や兵士を応援して歌います。国歌や国旗は祖国の象徴です。それを歌うだけで国民が一つになる記号です。その記号にあれこれの意味づけを始めれば国民は一つにはまとまれません。国旗や国歌に様々な理由をつけてヘイトする人たちはそれを目指しているのかもしれません。国が一つにまとまらず祖国の自衛すらできないようにしたいのかもしれません。

みんなでウクライナ国歌を一緒に歌ったマリヤさんの感動は、自国の国歌すら認めない人たちは得ることはできないと思います。BS・NHKで放送される「駅ピアノ・空港ピアノ・街角ピアノ」は静かな人気番組です。今回のウクライナ国歌が演奏された場所は、「京都駅ピアノ」としても放送がされた場所です。悲しい時、嬉しい時、ピアノが弾ける人は自分の好きな曲を弾いて表現できていいなと、ピアノが弾けない人も魅了する番組です。人は人の思いを音楽で共感することができる生き物です。

ウクライナの障害者へ「とにかく生き延びて」祈りの詩…日本の協議会代表がつむぐ

ウクライナの障害者へ「とにかく生き延びて」祈りの詩...日本の協議会代表がつむぐ

2022/03/18 【読売新聞】

ロシアの侵攻でウクライナにいる障害者の身を案じた日本障害者協議会代表で、視覚障害のある藤井克徳さん(72)=写真=が1編の詩を作った。「とにかく生き延びてほしい」との祈りを込めた詩は、ウクライナ語やロシア語にも翻訳され、知人らを通じて拡散。ウクライナの障害者団体から、藤井さんに感謝の言葉が届いたという。

詩のタイトルは「連帯と祈り ウクライナの障害のある 同胞はらから へ」。「戦争は、障害者を邪魔ものにする」で始まり、「戦争は、障害者の明日を真っ黒に塗りたくる」と言葉を紡いでいる。

藤井さんは、戦争下では障害者の存在が軽視されやすいと考え、ウクライナの障害者の状況を憂慮していた。同協議会のホームページに掲載したほか、多くの当事者に届けたいと、知人に拡散を依頼したところ、14日にウクライナの障害者団体でつくる「ウクライナ障害者国民会議」の関係者から、受け取ったことを伝える感謝のメールがあった。「日本の障害者団体が私たちとともにいることは、とても重要なこと」と書かれており、自分たちのホームページに詩を掲載するという。

藤井さんは「障害者は平和でないと生きづらい。侵攻がすぐにでも終わってほしい」と話している。

(以下、詩の全文)

連帯と祈り

ウクライナの障害のあるはらから へ
戦争は、障害者を邪魔ものにする
戦争は、障害者を置き去りにする
戦争は、優生思想をかきたてる
大量の障害者をつくり出す最大の悪、それが戦争
朝一番のニュースを恐る恐る
キエフの包囲網がまた狭まった
教会も文化財も悲鳴を上げて崩れ落ちる
禁じ手が ほご にされ原子力発電所から火の手
殺し合いでなく話し合いを
侵攻でなく停戦を
停戦でなく平和を
青い空と黄色の豊作に似合うのは平和
私たちは祈ります
西北西の方角をじっとみつめながら
心の中から希望が切り離されないように
とにかく生き延びてほしい
戦争は、障害をたちどころに重くする
戦争は、障害者の尊厳を軽々と奪い去る
戦争は、障害者の明日を真っ黒に塗りたくる
早いうちに、否、この瞬間に終わらせなければ
もう一度くり返す
とにかく生き延びてほしい
たとえ、食べ物を盗んでも
たとえ、敵兵に救いを乞うてでも
遠い遠い、でも魂はすぐ そば の日本より

 ふじいかつのり(NPO法人日本障害者協議会)

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ウクライナのマリウポリ市は「一日平均50~100個の爆弾が落ちている」として「約35万人が防空壕や地下室に避難している」と伝えています。ロシア軍は子どもを含む数百人の民間人が避難したマリウポリのある劇場を爆撃して国際的な非難を浴びました。特に、劇場の前と後ろにロシア語で「子どもたち(дети)」を意味する言葉が白色で大きく書かれてあったにもかかわらず、ロシア軍がこの建物を爆撃したことが明らかになっています。

殺人鬼プーチンに藤井さんの声は届くのかと言われれば大変困難だと言わざるを得ません。命を守るためには降参すればいい白旗を上げればいいという人もいます。特に日本人に降伏論が多いのは、日本が米軍に占領され悲惨な目にはあっていないからかもしれません。それも、北方領土を除く全土に米軍だけが進駐したからです。ドイツのように北海道と東日本がソ連軍に進駐されていれば、降伏論を言い出す人は少なかったのかも知れません。

旧東ドイツは言論の自由を奪われ、自由を唱える者はプーチンをはじめとするKGB秘密警察に暗殺されてきました。日本に進駐したGHQも言論の自由は奪いましたがそれは僅かな間だけでした。社会主義の看板を下ろしたはずのロシアやベラルーシは今も人権を抑圧しています。東欧の社会主義を経験した人たちは自由を奪われることがいかに恐ろしいか良く知っているのです。子どもの命すら何とも思わずに爆撃する殺人者プーチンに降伏すれば何が起こるのかウクライナ人は良く知っているのだと思います。

教員の腕次第、まるで「学校ガチャ」 オンライン活用、広がる学校格差 教育現場の課題は…

教員の腕次第、まるで「学校ガチャ」 オンライン活用、広がる学校格差 教育現場の課題は...

2022/3/18【神戸新聞NEX】

教育のオンライン化が急速に進む中、学校間で活用度合いが異なるという格差が行政課題として浮上している。兵庫県西宮市では全国に先駆けて教員へのパソコン配備や教室への大型テレビ設置などを進めてきたが、授業で使いこなせる教員はまだ少なく、市教育委員会は習熟度アップに向けた研修に苦慮。教員の腕次第で子どもの学びが変わるという意味で「学校ガチャ」との言葉も聞かれる。(村上貴浩)

「○○という文章があります。何を意味しているのでしょう」

西宮市内の市立小学校。黒板ではなく大型テレビ画面に国語の読解問題が示され、児童たちがタブレット端末に答えを書き込んでいく。クイズ番組さながらに全員の解答が画面上に映しだされると、担任の男性教員(50)が続けた。

「では、みんなの答えをもとに考えてみましょう」

新型コロナの感染拡大で2年前から学校の臨時休校が相次いだことを受け、文部科学省はICT(情報通信技術)を活用した家庭学習も視野に入れ、2025年度末を予定していたタブレット端末の配備を前倒しした。そんな中、西宮市教委は20年夏から準備を始め、21年3月までに配備を終えた。

「端末を使えば思考や答えを瞬時に共有することができる。算数や理科の授業でも計算の見直しがすぐにできるため深い学びにつながる」と男性教員は手応えを語る。

男性は2004年ごろから独自にパソコンでアニメーションを授業に取り入れるなど積極的にICTを活用。しかし、ここまで使いこなせる教員はまれだ。

市教委は、端末の活用法などについてまとめた「GIGAスクール・スタートパッケージ」を策定し、オンラインの指導例を示しているが、授業のやり方は学校に任せている。

男性は「実態は、どこも手探り状態。『他の学校ではタブレットを活用して授業をやっているのに、うちの学校ではしていない』という保護者の声も聞く」と話した。
     ◆   ◆
そんな状況を、子どもがどんな親の下に生まれるかは運次第で、その家庭環境に人生が左右されるといった新語「親ガチャ」に掛けて「学校ガチャ」と呼ぶ保護者もいる。

パソコン作業が苦手な教員にとっては、端末用の資料を作るだけで大きな負担だ。市内の教員からは「完全に仕事が上乗せされている」との嘆きも聞こえる。

西宮市教委は端末配備に合わせて教員向けの研修を本格化。担当者が各学校に出向き、教科書に載るQRコードを読み取って利用したり、ビデオ端末機能を使って学級会を開いたりと基本的な使い方を伝える。

「パソコン作業は教員によって得手不得手がある。学校、教師で『差』ができているという課題は認識している」と担当者。「どんな授業をするかという基準を先進的な教員に合わせることは難しい。研修を通じて全体の習熟度を底上げしていくしかない」と話す。

■校舎の改善着実に前進 必要度増す貧困世帯支援

西宮市の教育現場は「オンライン教育の推進」という新時代の対応に追われる一方で、ここ数年、「小中学校の校舎改善」と「教育機会の格差解消」という二つの課題解決にも力を注いできた。

市内の学校施設の多くは阪神・淡路大震災による財政的な影響から大規模改修などが遅れ、市は2018年度に「学校施設長寿命化計画」を策定した。

同市教育委員会によると、中でも遅れの目立った「洋式トイレ化」を本格化させると、整備率は17年の約41%から2021年には50%を超え、2年後の24年度には60%に達する見込みだ。

また18年から小中学校の体育館への空調設置を始めると、20年度には全中学校で整備。21年度からは小学校に取りかかり、25年度には完了する見通しという。

一方、西宮市は子育て世代の流入が多く、18年に三田市を抜いて「県内で最も若いまち」となる陰で、低所得世帯への教育支援が課題となっている。

西宮市は小中学生と高校生のそれぞれを対象にした給付奨学金について、他市に比べて申請できる基準所得のハードルを低く設定。高校生対象では追加申請をすれば「オンライン学習通信費給付金」も受けることができるようにした。

「文教住宅都市」を掲げ、民間調査の「住みたい街ランキング」で関西1位になるなど人気の高まる西宮市。市長選は20日に告示され、子どもの教育環境を巡る論戦にも注目が集まる。

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親も教師も「子どもの運次第」という表現が「親ガチャ」「学校ガチャ」です。学校は教師の力量で子どもの学力差がつくのは昔からです。そもそも学校での学力形成をあてにできないから塾が繁盛するのです。そして、塾にも善し悪しがあるので「塾ガチャ」です。月謝が高い塾の方が良い教師をそろえていますから、結局、ばらつきはあるものの、親の収入によって子どもの学力は決まるのです。ですから、学校教育の質がある程度平準化しない限りは「親ガチャ」によって学力は決まるということになります。

ただ、ICTを使った教育は下手な大人の指導より効果があると言われています。どんなものでも100%効果があるものはありませんが、ICTとAIを利用すればBIGデーターから解析してある程度の学習支援のタイプ分けができるので下手な教師より臨機応変な支援が実現すると思います。記事にあるのは、ICTを利用した教育技術の高い教員の話です。パソコンが使えるから、子どもの指導技術が全て高いという事ではありませんが、理解しやすい授業展開ができるのは間違いないです。

教育支援に尽力する西宮市ですが、その一方で6年生のクラスの9割が一人の児童をいじめ不登校になっているのに担任が事態に気づかないばかりか、秘密を条件に親からこの相談を受けた教委が、親の了解もなく情報を学校に伝えてしまうという失態がテレビ報道されていました。学校教育というのは統一性がなかなか担保できない事業です。学校は商店街のようなもので、教員は様々な店の店主と同じで、校長や管理職は商店街の役員のようにお願いに回る事しかできない仕組み、という例えがあります。デパートや大型店のように社員をコントロールできないのです。しかし、学習指導のICT導入は支援の格差を埋めていく大きな可能性を持っていることは間違いないと思います。

「辞書に見当たらない」から×? 先生によって大きく異なる漢字の採点基準

「辞書に見当たらない」からバツ? 先生によって大きく異なる漢字の採点基準

2022.03.16【朝日新聞】

SNSでたびたび話題になる漢字の「とめ・はね・はらい」の問題。実は気にする必要がないという〝ファイナルアンサー〟は文化庁の指針で出ているのに、学校現場では知られていません。なぜなのでしょうか。教員養成に携わる棚橋尚子・奈良教育大教授に聞きました。

たなはし・ひさこ/1959年生まれ。兵庫教育大大学院学校教育研究科教科・領域教育専攻言語系コース修士課程修了。公立中学校、国立大付属小学校の教員、奈良教育大教育学部助教授を経て現職。専門は国語科教育学。

「文化庁の字体・字形指針を理解」は教師の4割だけ
――漢字には様々な字形があり、細かな「とめ・はね・はらい」を気にする必要はないということは、2016年に文化庁が出した「常用漢字表の字体・字形に関する指針」で示されています。このことは、教育現場ではあまり知られていないようです。

日本漢字学会が昨年、小・中学校、高校などの教師587人に聞いた調査では、指針について内容を理解しているのは4割ほどで、存在を知らないという人も2割いました(図1)。思ったよりも知られていないという印象です。多くの先生にとって、指針はご自身の仕事とはかけ離れたところにあるという認識なのかもしれません。

先生たちはみんな、自分の中に理想の教育の姿を持っています。だからこそ外野の意見を受け付けないところもある。漢字学会には「学校の先生の厳しい指導が漢字嫌いを助長している」と憤っている研究者も少なくありませんが、現場の先生からすれば、ただ子どもたちに漢字の力をつけたいという善意からやっていることだと考えます。ベテランの先生ほど長年慣れた指導から脱却できないということもあるかもしれません。

私は小・中学校で教えた経験もあるので、どちらの立場も理解できます。自分自身の経験から言うと、指導は細かくてもかまいませんが、テストなどの採点は、だいたい書けていれば正解としていいのではないでしょうか。漢字の字形の柔軟な評価については、学習指導要領解説にも記載されています。入試の採点が厳しいから緩められないという声も聞きますが、2010年に出された「文部科学大臣政務官通知」は大学入試での漢字の評価は柔軟にするよう求めていることから、少なくとも大学入試はかなり緩くなっているはずです。漢字の字形の細かな正誤より、漢字を使うことの有用性や喜びを認識させられる漢字指導になってほしいものです。

――先生たちはテストで何を採点基準にしているのでしょうか。

漢字学会の同じ調査では、テストを採点する際に、何を正しい形の根拠としているかも聞いています。その結果、8割近くが「教科書の文字」でした。

教科書の文字は、中学校では少し前まで明朝体のフォントが使われていましたが、明朝体は手書きの文字とはかなり差があることから、現在は中学校でもほぼ教科書体フォントが使われています。ただ、ひと口に教科書体といっても出版社によって細部の形が異なります。

調査では様々な手書きの漢字について、どう採点するかも聞いていますが、正誤がかなり割れていました(図2)。「他の漢字と誤解する余地がない」漢字は○にするという意見もあれば、「辞書に見当たらない」漢字は×といった判断もありました。「丸をつけて、余白に正しいものを書く」「長短については指導をしているので、指導したところができていない場合は減点」というコメントもありました。先生によって採点基準がかなり異なることが分かります。

私は、かねてよりテストの採点基準について「緩いコース」と「厳しいコース」を作って、子ども自身にエントリーしてもらって採点してはどうかと提案しています。このアイデアは現場の先生たちには、あまり評判が良くありません。「公平」でないことが受け入れられないのかもしれません。しかし、子どもたちが自分で自分の漢字学習を振り返るためにもこの方法は有効なのではないでしょうか。

漢字は学力全般にかかわる
――漢字の指導のあり方についてはどう考えますか。漢字ドリル任せになっていませんか。

授業時数が限られているので、漢字は学年が上がるにつれて家庭学習で身につけていく傾向が強まります。1年生は学校で1字1字筆順から丁寧に教えますが、高学年になると字数が多く、授業だけでは扱いきれないのでドリル任せという先生が増えます。授業で教えて細かく注意したわけでもないのに、テストの評価ばかり厳しいのはおかしいですよね。

――漢字ドリルに加え、ノートに同じ漢字を繰り返し書くという宿題が多いようです。繰り返し書かせるという指導が「漢字嫌い」を増やしているのでは?

小学校中学年くらいまでは漢字を書けるようになること自体が子どもたちにとって、一種誇らしいことでもあることと、発達段階的にも繰り返し学習がさほど苦にならない傾向があることにより、それほど嫌がらないのですが、高学年ともなると、何度も書くのが無意味に思える子が増えるようです。ただ、高学年で学ぶ漢字は、ほとんどがそれまでに習った漢字や構成要素の組み合わせです。繰り返し書くことを嫌がらない中学年までに、基本的な漢字をしっかり身につけておくことが大事です。つまり、漢字学習の成否は小学校中学年までの漢字学習のあり方に連動しているのです。

学習障害があるお子さんなどには別の手立てを講じる必要がありますが、漢字はやはり手を動かして習得するのが基本。嫌がらないように仕向ける工夫が求められます。書店には様々な工夫がされた漢字教材が並んでいるので、試してみるのもいいかもしれません。また、「一つの漢字につき何回」と書く回数を提示する先生もいますが、自分で書けるようになったと思える回数を子どもに自ら決めさせることも漢字学習の主体性を保障する意味から大事かと思います。そのうえで、漢字の形声的要素や偏旁冠脚などの知識が動員できるといいと思います。

――これからの時代に漢字を学ぶ意味は何でしょうか。

漢字ができないと文章の読解ができず、学力全般にかかわってきます。公立の学校で定員割れしている高校での例ですが、「山月記」のような難解なテキストを回避する事態が常態化していたことがありました。文章を解釈する以前に、そもそも漢字が読めないのです。そこで、総ルビのテキストを使ったところ、教師の期待以上の深い解釈ができたと聞きました。この事例からは学習における漢字の読み書きの重要さがわかります。早い段階で「漢字嫌い」にさせないようにすることが大事です。

漢字学習が「書き」に偏りすぎていることにも問題があります。これからはもっと「読み」に力を入れるべきです。ふりがなも活用し、気軽に読ませてほしい。お勧めしたいのは、国語以外の教科の教科書を音読すること。すべての子どもの手にある教科書は子どもたちにとって最も身近な活字媒体です。国語の教科書には出てこない様々な単語に触れることができ、言葉に対する興味や関心を広げることにもつながります。

葉山 梢 EduA編集部 記者
1977年生まれ、北九州市出身。朝日新聞北海道支社、新潟総局、東京本社社会部などを経て現職。鉄道好きでマイペースな小5男子と、好奇心旺盛でしっかり者の小3女子の2児の母。ツイッターアカウントは @kzehym

漢字学習関連のシリーズ(3/4~ )
https://www.asahi.com/edua/author/11003210

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すてっぷで子どもたちの宿題を見ていると、漢字の繰り返し書きが宿題になっているのは定番で見ます。気になっているのは、繰り返し書きは良いけれども子どもたちは本が読めているのかが気になっています。記事にもあるように、漢字学習は書くことが重視されすぎていて、読んで意味を掴むことが等閑になっています。

しかも、放デイ利用の子どもの中には、読みに困難のある子が多いですから、書くことばかりトレーニングしても読みや意味を掴んでいなければ時間の無駄になるばかりか、やってもやっても効果が上がらないので、学習性無力感に苛まれることになります。まずは、正確な読みのアセスメント、特に速度・流暢性を見てあげて欲しいと思います。

読み書きが苦手な子に対して、この子は読めますと言う学校の先生方のコメントを良く聞きますが、それはゆっくりなら苦労しながら読めているだけであり、学習に生かせるようなレベルではない場合が多いのです。読めるというのは、つっかえずにすらすら読める、苦労せずにすらすら読める事を指します。人のエネルギーにも限りがあります。10ある力を読むことに8割以上使うと意味を理解する力が残ってない図式を思い浮かべて欲しいと思います。

書くことも同じです、書くことに8割もの力を使うと、論理を考えたり文を構成することにエネルギーが回せなくなります。書くことにもすらすら書ける流暢性が必要です。もしも、いくらトレーニングしても多くのパワーを使う苦労が軽減されていないなら、考えることにパワーを回すように仕向けるのが合理的配慮です。書く代わりにキーボードを使う、音声入力を使うなどして文字を書くことの苦役から解放してあげたほうが良い場合もあります。これは障害がなくても同じことが言えます。漢字の止め跳ねエネルギーと思考のエネルギーはトレードオフの関係なので調整が必要で子どもによって違うのです。

小1男児、トイレに連れられ児童8人から殴られ蹴られる…学校側は保護者に「ポピュラーな遊び」

小1男児、トイレに連れられ児童8人から殴られ蹴られる...学校側は保護者に「ポピュラーな遊び」

3/15(火)【読売新聞】

仙台市立小学校の男子児童がいじめを受けて不登校になったとして、市教育委員会は、いじめ防止対策推進法で定める「重大事態」と認定する方針を固めた。児童の欠席日数は認定の目安となる30日を超え、15日で連続50日に上る。市教委は「事実確認で時間がかかっている」として、対応の遅れを認めている。

保護者によると、小1の男子児童は昨年12月15日、時間内に食べ終わらなかった給食を昼休みに食べていた時、同級生にトイレへ連れて行かれ、児童8人から胸や背中などを殴ったり蹴られたりしたという。受診した小児科で「全身打撲」「急性ストレス反応疑い」で全治4週間と診断された。

学校に対して調査を求めた保護者によると、学校側からは「ポピュラーな遊びだった」「加害者側もたたかれた」などと回答され、いじめは否定されたという。男子児童は同16日から不登校が続いている。

保護者は市教委に話し合いを求め、今月4日に状況を説明した。これを受けて市教委は「いじめがあったという前提で、学校内で詳しい状況を確認している」として、重大事態として第三者を含む「いじめ調査委員会」を学校に設け、調査する。

事案の発生から3か月が経過し、保護者は「子どもが学校へ行けない日が続いている。市教委は実態を正しく確認して説明してほしい」と求める。学校側は14日、読売新聞の取材に対し、「個別案件には答えられない」としている。

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こんな杜撰なクレーム対応は民間ではあり得ません。最低限の機能を果たさないポンコツ商品にクレームを付けたら「商品の仕様です」と弁解されたら金返せと言われるのがオチです。子どもが教師の視界から外れたところでいじめられているのに、「ポピュラーな遊び」と弁明する事は、これが「わが校の仕様です」と言っているに等しいです。一言、「ご心配おかけして申し訳ありません。すぐに調査し指導します」と言えなかったのでしょうか。

「申し訳ない」この一言が言えない学校関係者は少なくありません。そして、子どもの行動は学校の責任ではないと思っているような言動が目立ちます。もちろん、学校には様々な子どもが通学していることは親も承知です。しかし、様々な子どももがいるからこそ、心身の安全の確保は大人の責任なのです。教員の指導が行き渡らなかった、学校の管理が行き渡らなかったという発想が出来ない人が少なくないような気がします。

結果として、校長も自分の責任だと言わないので「上の人出して」ということにつながります。教育委員会に親がクレームを言うのは、親がクレーマー化しているからではありません。クレーマーと言うのは、些細な事を捻じ曲げてクレームにして業務をしつこく中断させる行動をとる人を言います。「申し訳ありません」「すぐに改善します」の対応がなく、言い訳に終始するから教育委員会に持ち込まれるというケースがほとんどです。学校の常識は世の中の非常識といわれる所以を学校関係者は考えるべきだと思います。その非常識さが逆に本当のクレーマーの餌食にもなっているのです。教員は、苦情対応を含む教育サービスを売り物にし、その対価を報酬としてもらっていると考えて欲しいものです。

学校HP、コロナ禍後に保護者の満足度上がる

学校HP、コロナ禍後に保護者の満足度上がる

2022年3月14日【日本教育新聞】

学校が家庭向けに発信する情報について、印刷機関連企業などで構成する民間団体が保護者を対象として行なった調査で、学校が開設しているホームページへの満足度は新型コロナウイルス感染症が広がってから向上していることが分かった。プリント類の満足度は依然として高かったが、コロナ禍が始まってからはやや下がった。

この調査は令和2年の1~2月と11月に実施。小・中学生、高校生の子どもがいる人を対象とし、初回は1000件、2回目は1030件の回答を集計した。インターネットモニターから回答を募った。

学校からの連絡の手段について、「プリント(紙)」「メール」「学校のホームページ」を挙げ、それぞれ「とても満足」または「満足」と答えた割合を比べたところ、「学校のホームページ」は中学生の保護者が19・5ポイント増の58・5%と大きく伸びた。小学生、高校生の保護者も増えていた。

「プリント(紙)」は、中学生の保護者で6・2ポイント減となるなど、各学校種ともに、低下したが依然としてホームページを上回った。

調査を行ったビジネス機械・情報システム産業協会のデジタル印刷機部門では、プリント類は、五感を刺激する情報伝達手段であるとして、優位性があるとの見方を示した。

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学校ホームページは当事業所も良く閲覧します。学校の短縮下校時間が何時なのかを確認することが多いです。原則は保護者からの連絡を待つのですが、学校の連絡文書を紛失されたり記憶違いがあったりで、事業所からも学校のホームページから下校時刻を検索することは少なくないのです。

各校の学校のホームページを閲覧していると、ホームページの発信や更新にかなりの差があり、学校の年間行事計画すら掲載されないところから、毎月の学校だよりで次月の下校時間やお知らせが事前に定期的にアップされているところまで様々なのです。当事業所が把握しているところでは、年間行事計画や次月の予定が掲載されている学校は7割程度というところです。

残る3割のうちわけは、保護者パスワードがあれば閲覧できるシステムになっているものが1割、あとの2割はそもそもホームページの整備ができておらず、更新も管理職が思いついたようにしているという学校のHPがあります。プリントを配布しているのだからそれ以上はなくてもよいサービスだという考えもありますが、プリントは持ち歩けないし、紛失の可能性もあるものですから、ネットが検索できるのはありがたいのです。

公立学校は「ネットコモンズ」という当ホームページでも使っている無償のホームページシステムが使われているので、操作は極めて簡単で担当者さえ更新の仕事をしていれば、プリントされた配布物をPDF化してアップするのは数分でできる作業です。このHPシステムはスマホでも閲覧できるシステムなので、学校だよりなど予定は積極的にアップしてもらえると、保護者にも関係者にもとても役立ちます。もちろんプリントの現物はもらった感があって大事なのは変りないので、当事業所でも印刷お便りの「すてっぷ通信」は欠かせません。

議員のマスク拒否、法廷闘争に 口元切り取りは正当な権利?挑発?

議員のマスク拒否、法廷闘争に 口元切り取りは正当な権利?挑発?
3/11(金) 【毎日新聞】

コロナ禍でマスク着用を拒否する地方議員の行動が物議を醸す中、北海道白糠町では法廷闘争に発展している。原告の福地裕行町議(71)は「法的根拠なく、着用を強要するのは違法」と主張。一方の町側は、自ら口元を切り取ったマスク姿で議場に現れたことに「挑発行為」と戸惑いを隠さない。ただ、着用拒否を巡る見解はさまざまで、町議の行動を問題視する識者がいる一方で、「必ずしもマスクが善ではない」とする識者もいる。【高橋由衣、本間浩昭】

「裁判所ではマスクの着用を推奨しております」。釧路地裁で10日開かれた第1回口頭弁論の冒頭、新谷祐子裁判長がこう呼び掛けると、法廷内に沈黙が流れた。だが、マスクをせずに入廷した福地町議は気に留める様子もなく、しばらくして新谷裁判長は意見陳述を促した。

福地町議は一礼後、眼鏡を外して陳述書を手にし、「ワクチン接種とマスク着用を強要し、同調圧力によって応じない者に差別と偏見が全国に広がった」「問題提起するため未着用を決めた」などと読み上げ、審理は終結。判決言い渡しは29日午前10時に決まった。

訴状などによると、2020年3月、町議会は全員協議会で、マスク着用などの感染対策をとることを「申し合わせ事項」として確認。当時、福地町議もマスクを着けていたが、その後に一転した。

同町関係者などによると、福地町議は21年6月の特別委員会で着用を拒否し、他の町議の反発を受けて審議が中断。自身が委員長を務めた同7月の委員会でも着用せず、他の委員が離席して委員会は空転した。

その4日後に開かれた臨時会では議長から退席を命じられ、議場を退出。議会事務局職員に不織布マスクとハサミを要求し、口元を四角く切り取った手製の「マスク」を着用して再び議場に現れた。「それはマスクではない」と議長から発言禁止を告げられると、「マスクだよ、これ。なんで認めないの」と激高したという。

福地町議は同8月、法的根拠なくマスク着用を強制され、発言禁止の処分を受けたとして、町側を相手に20万円の損害賠償とマスクをせず議会で発言する権利の確認などを求めて提訴した。代理人の木原功仁哉弁護士(大阪弁護士会)によると、マスクの着用を巡る議員の提訴は全国初。

福地町議は訴訟で「公益性のための活動を制限するのは違憲、違法だ」と主張。「マスク着用は子どもの発達障害を引き起こす。症状がある人に推奨する程度にとどめるべきだ」と訴える。

これに対し、町側は「マスク着用は全員協議会で協議し、感染対策の自主的な取り組みとして全員が合意した」などと請求棄却を求めている。臨時会の進行に支障を来した上、飛沫(ひまつ)対策に無意味な切り取りマスクをしたのは「議会を挑発し、愚弄(ぐろう)していると言われても仕方ない行為」と非難する。

福地町議は毎日新聞の取材に「マスクの効果を疑問に思っていた。メディアに出ない専門家の話を聞くなどさまざまな勉強をして、着用が有効であるというエビデンス(証拠)はないとの確信に至った」と未着用に至った経緯を説明。現在、フェースシールドを着用して議会に出席しているのは「本当はしたくないが、しないと発言できない」と話した。

一連の騒動を識者はどう見るか。

中央大の佐々木信夫名誉教授(行政学)は「集票活動の一環のようで、政治利用が透けて見える。『民意を鏡のように反映する』という地方議会の仕組みからして、住民に誤った情報を流布する活動になりかねない」と危惧する。さらに「反マスク運動を展開するなら、被害が広がった場合に議会人としてどう責任を取るのかを示した上で、反マスク運動の有効性を証明すべきだ」と指摘する。

同志社大の中谷内一也教授(リスク心理学)は、福地町議ら地方議員のマスク着用拒否に「何のメリットがあるのか分からない」と首をかしげる。一方で、「感染対策に反対する主張には一理あるものもある。どんな対策にもメリットとデメリットがあり、トレードオフ(何かを得るために何かを失う)の関係がある。必ずしもマスクをすることが善、ワクチン接種が正解とは思わない」と話す。

また、「前例のない事象で、先のことが正確に分かる人はいない。専門家も過去のデータを基に将来の評価をしており、不確実性を含んでいる。自己判断する上で、この人が言っているから絶対に『正しい』『間違っている』という考え方には注意が必要」と指摘する。

地方議員のマスク拒否を巡っては、大分県臼杵(うすき)市の若林純一市議が議会でマスク着用を強制され、発言を許されなかったのは違法などと21年11月に提訴し、係争中。今年2月には、広島県呉市の谷本誠一市議が釧路空港から羽田空港に向かう旅客機内で着用を拒んで出発が1時間以上遅れ、市議会は辞職勧告決議案を可決している。

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この記事で、「マスク着用は子どもの発達障害を引き起こす」と福地議員が言ったか、記者がそう表現したかはわかりませんが、明らかな間違いなので訂正してほしいと思います。発達障害の人が感覚過敏でマスクがつけられない場合があるのは良く知られたことですが、マスク着用が原因で発達障害にはなりません。取材の段階で気が付いてほしい間違いです。こういう基本的なところで間違われると、正論を示しても誰も信用しなくなります。

マスクの着用について議会ともめている議員は、北海道と広島県と大分県の3名の地方議員です。広島県の議員は飛行機搭乗にマスク拒否をしてフライト時間を遅らせた結果、議会で辞職勧告がなされました。大分の議員は福地議員と似ていて議会でマスク着用を強制すべきものではないと反発し、この二人は裁判を起こしています。身に着けるものは、表現の自由とも重なり他者に制限を加えるべきものではありません。しかし、議会なのですからそんな子どもじみたパフォーマンスをするより、言論で戦えば良いのではないかという意見もあります。

マスクは、新型コロナ感染症が流行するまでは、健康な人が着用しても予防効果はないというのがWHOの正式見解でした。インフルエンザの予防のために感染者がマスクをするとある程度周囲への予防効果があるとは言われていました。しかし、インフルエンザ・ウィルスとコロナ・ウィルスは種類の違うウィルスですから、予防方法が同じかどうかは分かっていません。

世界がマスクに注目し始めたのは、日本の感染率の低さを見て、日本人はマスクをしているから感染が低いのではないかという憶測が起こりWHOもそれを根拠なく追認してからです。国内では、スーパーコンピューター「富岳」の飛沫シミュレーションをテレビ放映したことで、コロナウィルスが飛沫感染で広がるという印象を国民に与えました。

結局、かなり離れていても飛沫を吸い込むことは分かったのですが、それを吸い込んで感染するのかどうかの研究結果はいまだにありません。そもそも、コロナウィルスは感染者の排泄物の接触感染との研究成果がサーズウィルスの流行の時から積み上げられており、この説は覆されてはいないのです。トイレやトイレに持ち込むスマホ等を消毒しないと感染は広がるのです。クラスター感染は全て多数の人が使う共同トイレのある所で発生しているのがその根拠と言います。

科学的な根拠がないのに、一律に強制してマスク着用を求めるのはおかしいというのが3議員の主張です。これ自身は筋が通った話で、地方議会が強制力のある形で市民の代表者である議員の表現の自由を奪うべきではありません。もしも、法制化するなら欧米のように政府が決める事です。ところが日本の憲法の建付けではこういう強制が出来ないと言うのですから、それならば地方議会が政府や憲法を越えるべきではありません。

我が国は同調圧力によって個人を押さえつける癖が強く、根拠のないことでもみんなで渡れば怖くないという事が多いです。PCR検査もWHOが35回増幅で良いというものを45回も増幅して感染力のない1匹ほどのウィルスを見つけて陽性とし、いつの間にか感染者にすり替えられてしまいますが、医師会でこの事を指摘する人はほとんどいません。さすがに11歳以下のワクチン接種は「同調圧力をかけてまでやる必要はない」と東京医師会が言い出しました。感染が広がった最初の頃はデータがないのである程度非科学的な行動も仕方がないです。けれども、もう2年も経ったのですから、やり方を変える事が大事です。が、これも我が国が最も苦手とするところです。

(社説)特別支援学校 教室の不足 見過ごせぬ

(社説)特別支援学校 教室の不足 見過ごせぬ

2022年3月10日 【朝日新聞】

ひとつの部屋をカーテンで仕切り、別々のクラスで使うのは珍しくない。体育館や廊下にパーティションなどを立て、教室にしている例も全国で100近く報告された――。

障害のある子が通う公立の特別支援学校の教室が足りず、様々な策を講じて学びの場を確保している様子が、文部科学省の調査でわかった。

昨年10月時点で不足数は3740にのぼる。国と自治体は連携して、教育環境の改善に力を尽くさなければならない。

原因は通う子どもの数の増加だ。特別支援学校は07年、複数の障害を持つ子に対応できる態勢をとるため、盲・ろう・養護の各学校を一本化してできた。1学級の人数はおおむね10人以下で、障害に応じた専門的な教育や、卒業後を見すえた自立のためのサポートを行う。

かねて言われているように、障害のある子が地元の学校に通い、そうでない子と一緒に学ぶ意義は双方にとって大きい。一方で、手厚い指導を評価・期待して特別支援学校を選ぶ保護者も多く、昨年の児童・生徒は約14万6千人と、発足当初の07年に比べて3割以上増えた。

教職員の確保もさることながら、より深刻な問題が教室不足だ。文部科学省は各自治体に対し、学校の新増設や改修にかかる経費を国が補助する制度を利用するなどして、対処するよう求めてきた。改善傾向が見られた時期や地域もあるが、用地の確保が難しい都市部を中心に、抜本解決にはほど遠い。

とりわけ心配なのは9割以上を占める知的障害のある子だ。聴覚や視覚への刺激を減らして授業に集中させたいのに、間仕切り方式では隣の「教室」から声や物音が聞こえるなどして、支障が出ているという。

文科省は昨秋、特別支援学校の設置に必要な施設や、校舎・運動場の面積などに関する最低基準を初めてつくった。しかし既にある学校には適用されず、努力義務にとどまる。

20~24年度をこうした既存施設の改修に取り組む集中期間とし、費用の国庫補助率を3分の1から2分の1に引き上げる施策をとっているが、どこまでの進展が見込めるか。政府は状況を見ながら、期間の延長を柔軟に検討してほしい。

統廃合で閉鎖された校舎などの活用も、管轄する自治体や部署の垣根を越えて積極的に進めるべきだ。通学環境の整備や人員のやり繰り、地域の協力の取りつけと課題は多いが、手をこまぬいてはいられない。

障害の有無にかかわらず、全ての子どもに学びの場を確保・提供する。それは行政の最も大切な責務のひとつだ。

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支援学校の過密問題は喫緊の課題と言われてもう10年以上が経過しており、余りにも遅い対応です。もちろん、新設の支援学校を建設するにはそれなりの準備が必要ですが、新設を待つだけでは事態はどんどん深刻化していきます。地域の学校には空き教室が目立ち、統廃合まで考えている小学校も少なくないです。この空き教室を利用する発想はあるのですが、支援学校の多くは都道府県立、小中学校は市町立という学校管轄の権限問題で前に進みません。

こういう緊急避難的な場合は政府が政令を出すなど法律を調整する手段をとるべきです。補助金だけを増やしてもその効果はすぐには出てきません。ただ、行政は法に従うしかできませんから、こういうことは議員の役割、政治の出番だと思います。保護者や現場の職員はもっと地方議員から国会議員まで上手に働きかけるべきではないかと思います。

特別支援教育が大事にしてきたものは、通常学級にも在籍する発達障害児への対応、インクルーシブ教育や就労支援の充実です。しかし、インクルーシブ教育が前進したとは思えません。通常教育から発達障害を見つけだして支援学級入級を勧め、その結果、支援学級にいた中重度の子どもたちが特別支援学校に行くことが余儀なくされるというインクルージョンとは逆の状態が続き、支援学校の過密を生み出しているように思います。

本来は、通常学校の全ての教職員が特別支援教育の技術を身に着けることで、障害のある子への対応がどこでもできるようになり、障害のない子への対応力も高まり、子どもたちも人権感覚を身に着けいじめをも減少させていくというバラ色の学校の未来像を描いていたはずです。政府文科省はもう一度この目的に基づいて過密問題を見直してほしいと思います。

赤穂特別支援学校で体罰の60代教諭を停職 兵庫県教委

赤穂特別支援学校で体罰の60代教諭を停職 兵庫県教委

03月08日【NHK】

兵庫県教育委員会は、特別支援学校の複数の児童をたたくなどした60代の教諭など、合わせて3人を停職や減給などの懲戒処分としました。

このうち停職1か月の処分となったのは赤穂特別支援学校に勤める60代の教諭です。
県教委によりますと、教諭は去年6月から先月にかけて、担任をしていた高学年クラスの児童あわせて4人に対し、注意や言うことを聞かなかったとして背中をたたいたり、おでこを指ではじいたりするなどあわせて6回にわたって体罰などを行ったということです。

教諭は県教委の聞き取りに「体罰を加える意図はなかったが、どうしても言うことを聞かせたい時にしてしまった。やり方は不適切だった」と話したということで、自主退職する予定だということです。

このほか60代と20代の臨時講師2人については、児童の腹部を蹴る体罰や、酒に酔って通行人の女性の腕や肩をつかむなどの不適切な行為を行ったとして減給処分としました。

県教育委員会の稲次一彦 教職員課長は「教員の配慮に欠ける言動により傷つけてしまった児童・保護者のみなさまに心からおわび申し上げます。特別な支援を要する児童・生徒の指導については、いま一度、研修を行うよう各学校長と市町教育委員会に指導してまいりたい」と話していました。

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また、兵庫県です。メディアは体罰という言葉をやめて暴行・傷害と言えばいいのです。兵庫県は教育に限らず神戸の放デイでも、先日公判で「体罰」に対する有罪判決がおりたばかりです。姫路市の暴言・暴行教諭は懲戒免職後、刑事告訴がされたという話は聞きません。北海道旭川のいじめ自殺事件もですが、日教組の強い自治体ほど学校が治外法権化していると感じます。教育3法を変えて教育委員会がお飾りになっている状態は改善されつつありますが、教員の労働組合が政治勢力に大きく関与している自治体で、学校不祥事が目立つことが気になります。

今回は60「代」の教諭ですから、再任用教諭ということになります。再任用教諭とは定年後年金が満額支給される65歳まで再雇用される教員の事をいいます。60歳になっても子どもに手を上げるような教員は、そもそも若い時から特別支援の教育技術も研鑽していない教員ではないかと思います。再任用教員は退職時に在任校の学校長が定年後も教諭として働けることを保障することが必要です。ところが、職場の中で指導力不足教員と大半が認めるような教員でも、触法等の理由がない限り簡単に再任用を認めてしまうようです。

また、日頃体罰をしなかった教員が突然60歳になってから体罰を行う事は考えにくく、体罰で従わせていた経過が以前からあったはずです。もしくは、通常学校の再任用教員は勤まらないと考えた管理者が担当児童数の少ない特別支援学校へ配置し、特別支援の必要な子どもへの対応が分からず体罰に及ぶというケースが考えられます。どちらにしても、体罰というから善意の意図を感じさせ管理職の言い訳にもなりやすいのです。体罰は傷害罪、暴行罪として学校は告発すべきです。悪質ないじめは、治外法権のように学校でふるまう教員を真似た子どもの姿とも言えます。自治体の首長は管理責任者に、学校での暴力事件は教員生徒に関わらず刑事告訴するように指示すべきだと思います。

ドライブ・マイ・カー アカデミー賞4部門ノミネート 作品賞は初

ドライブ・マイ・カー アカデミー賞4部門ノミネート 作品賞は初

2022/2/8 【毎日新聞】

米映画界最高の栄誉とされる第94回アカデミー賞(映画芸術科学アカデミー主催)の候補が8日に発表された。濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が最高峰の作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞(旧外国語映画賞)の4部門にノミネートされた。日本作品が作品賞にノミネートされたのは初めて。受賞すれば、英語以外の作品としては韓国映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)以来2年ぶり2回目の快挙となる。

また、日本作品の監督賞ノミネートは黒沢明監督の「乱」以来36年ぶり、脚色賞は初めてで、受賞すればいずれも初。国際長編映画賞でのノミネートは「万引き家族」(是枝裕和監督)以来3年ぶりで、受賞すれば「おくりびと」(滝田洋二郎監督)以来13年ぶりとなる。

ドライブ・マイ・カーは村上春樹さんの短編小説が原作。妻を亡くした演出家(西島秀俊さん)が、専属運転手となった女性(三浦透子さん)らとの対話を重ね、妻の死と向き合っていく姿を描いた。脚本は濱口監督と大江崇允さんが手がけた。今年1月の第79回ゴールデン・グローブ賞で日本作品として62年ぶりに非英語映画賞に選ばれるなど、米国内外で受賞ラッシュが続いている。

受賞発表と授賞式は3月27日(日本時間3月28日)にある。【ロサンゼルス福永方人】

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まだノミネートだけですが筆者も興味のあった映画です。昨年、カンヌ受賞の後京都シネマに来ていたのですが、タイミングが合わずに観ることができませんでした。アカデミー賞ノミネートのおかげでアマゾンプライムでも配信が始まり先日観たところですが、アカデミー賞の発表が待ち遠しい作品です。

この映画は、村上春樹の短編小説に、チェーホフの『ワーニャ伯父さん』を劇中劇として取りこんだ作品です。この点で、チェーホフの村上春樹的解釈であるだけでなく、村上の原作を超える解釈をした映画かもしれません。パク・ユリム(ソーニャ役)は、聴覚障害者で韓国手話を使う女優役として舞台へ参加します。

ポリティカルコレクトネスとダイバーシティを狙ったと最初に観客は思うかもしれません。しかし、終盤での劇中劇でパク・ユリムは圧倒的な存在となり、そんなことは快く忘れてしまいます。また、パク・ユリムが、エレーナ役のソニア・ユアンと、屋外で立ち稽古するシーンの素晴らしさも圧巻です。

妻を喪失した失意の中で西島秀俊がワーニャ伯父さん役で本番の舞台を立ち、そのクライマックスで、ソーニャ役パク・ユリムの手話の語りは、ただただ美しく、静まり返った中での彼女の手話はスクリーンを超えて観客の心を温めます。
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生きていきましょう。長い長い日々を、長い夜を生き抜きましょう。
運命が送ってよこす試練にじっと耐えるの。
ほかの人のために、今も、年を取ってからも働きましょう。
そしてあたしたちの最期がきたら、おとなしく死んでゆきましょう。
そしてあの世で申し上げるの、あたしたちは苦しみましたって、涙を流しましたって、つらかったって。

すると神様はあたしたちのことを憐れんでくださるわ、
そして、ワーニャ伯父さんとあたしは、明るい、素晴らしい、夢のような生活を目にするのよ。
そうしてようやく、あたしたち、ほっと息がつけるんだわ。
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村上春樹がモチーフとした、ビートルズの"Drive My Car"(1965, アルバム"Rubber Soul"収録)が、この原作タイトルです。ジョンとポールは、ジョークに満ちたこの曲で
「あなた、私の車を運転しなさいよ。そうよ、私はスターになるわ。そしたら、あなたの事好きになるかも。」
と歌います。「Drive My Car / 車を運転すること」とは、「愛すること」「生きること」だと、西島と霧島・三浦・朴の3女優が演じていきます。3時間は長すぎましたが、たぶんアカデミー受賞だろうなと思わせる映画でした。パク・ユリムの美しい韓国手話(日本手話とよく似ている)を観るだけでも値打ちがあると思います。

パラリンピック メダル授与のウクライナ選手「戦争をやめて」

パラリンピック メダル授与のウクライナ選手「戦争をやめて」

2022年3月7日 【NHK】

ロシアによる軍事侵攻が続く中、北京パラリンピックのバイアスロンで7つのメダルを獲得したウクライナの選手たちが6日夜のメダル授与式で祖国や国民への思いを語りました。

5日に行われた北京パラリンピックのバイアスロンにはウクライナの選手20人が出場し、男子6キロの視覚障害のクラスではメダルを独占するなど金メダル3つ、銀メダル3つ、銅メダル1つの合わせて7つのメダルを獲得しました。

6日夜のメダル授与式で選手たちは表彰台でメダルを受け取ったあとインタビューに応じました。

このうち、男子6キロの立って滑るクラスで金メダルを獲得したグリゴリー・ボブチンスキー選手は「この金メダルはウクライナの人たちのものだ。私はウクライナ国民、そして祖国のことを考えている。多くの人たちが戦い亡くなっている」と話しました。

また、男子6キロの視覚障害のクラスで金メダルを獲得したビタリー・ルキヤネンコ選手は「国のために金メダルを獲得できたのはうれしいはずだが今のウクライナの状況を考えると素直に喜べない。家族は空爆を受けた地域に住んでいる。私の町を攻撃しないでほしい。戦争をやめてほしい」と話しました。

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大義のない戦争で多くの人が傷つき新たな障害者が作られている中では、パラリンピックを楽しむことはできません。先月24日ロシアのウクライナ侵攻から今週木曜で2週間が経とうとしています。国際大会は政治とは無縁と言いながらナショナリズムを高揚させるし、武力攻撃があればさらにその傾向は強まりスポーツを通じて双方の国民が憎しみ合うことになります。だから、オリパラから前後1週間を含め59日間は戦争は止めようと国連で決めたのです。ロシアはこの約束を3度も裏切りました。ジョージア、クリミア、今回のウクライナです。

クリミア半島への侵略などは150年も前にオスマン帝国にクリミア戦争で敗れて失った領土を取り返すというのがプーチンの本音です。ウクライナでロシアとプーチンに批判的な大統領が当選すると、クリミア半島のロシア人を守るためだとしてクリミアを「併合」したのです。たとえ話ですが、日本に親中国政権ができたからと沖縄を50年ぶりに米国に復帰併合するのを武力威嚇して併合しても良いという理屈です。

中国も南沙諸島や尖閣諸島、台湾で同じような昔話をして、元々我が領地だと言って国際ルールを守りません。共産主義国も元共産主義国も自己正当化して全て周囲が悪いと自国に都合の良い話を作ります。今度は、ウクライナが核兵器を密かに製造しているから原発を攻撃して占領したのだと誰が聞いてもわかる嘘を大真面目にプーチンは語ります。そもそも原発攻撃はジュネーブ協定で禁止されていますが、国際法など無法国家にはないに等しいのです。

ソ連邦崩壊後、ロシア・米国・英国はウクライナの安全を保障すると言って、ソ連時代からウクライナが保有していた核兵器を放棄させたのが「ブダペスト覚書」です。もちろん、ロシアがこんな国際ルールを守るわけがないことは、2014年のロシアのクリミア併合で分かっていたことです。こんな無法なロシアからの攻撃に祖国を守ろうとする人々に自衛隊の防弾チョッキを送るとした日本政府を、武器輸出に当たると非難した日本共産党は誰の敵か明らかで、プーチンと同じ穴の狢です。ルキヤネンコ選手の「国のために金メダルを獲得できたのはうれしいはずだが」と言った言葉が心に刺さります。

【北京パラ】IPCパーソンズ会長、拳握り叫んだ「ピース!」開会式でロシアの侵攻を断罪

【北京パラ】IPCパーソンズ会長、拳握り叫んだ「ピース!」開会式でロシアの侵攻を断罪

2022年3月4日【日刊スポーツ】

ロシアのウクライナ侵攻を受け、国際パラリンピック委員会(IPC)がロシアと支援したベラルーシを前日に一転除外した混乱の中、北京パラリンピックが開幕した。4日、国家体育場(通称・鳥の巣)で開会式が行われ、IPCアンドリュー・パーソンズ会長(45)が強く平和を訴えた。雪と氷の障がい者スポーツの祭典には46の国と地域から約560人が参加。5日に競技が始まり、アルペンスキーの滑降座位で金メダル候補の村岡桃佳(25)と森井大輝(41=ともにトヨタ自動車)の男女エースが登場。13日まで6競技78種目でメダルを争う。
    ◇    ◇    ◇
「ピーーース!」
IPCパーソンズ会長が両手拳を強く握り、最後に叫んだ平和の願いが、鳥の巣に響き渡った。演説の第一声ではロシアのウクライナ侵攻に触れた。「今夜はまず平和のメッセージから始めないといけない」と言い、「21世紀は対話と外交の時代のはずだ。戦争と憎しみの時代ではない」と、ロシアの侵攻を断罪した。

五輪、パラリンピック期間中の休戦決議が国連で採択されていることに「尊重し、守られるべきものであって、違反があってはいけない」と強調。46の国と地域が集まる今大会でパラアスリートがスポーツを通じて試合をするが「戦うのではない。競い合うのだ」と訴えた。

IPCはロシアとその同盟関係にあるベラルーシの選手について条件付きで一時、大会出場を認めた。しかし、各国からの反対を受け、両国を除外せざるを得なかった経緯がある。開幕ギリギリまで苦渋の決断を迫られたパーソンズ氏は思いがこみ上げた。

「パラリンピアンは知っている。対戦相手が敵である必要がないことを」とした上で、「世界各国の当局者に呼びかける。アスリートたち同様、ひとつになり平和、理解、共生を促してほしい。世界は共に生きる場であるべきだ。分断されてはならない」と力強く言った。

さらに「変化はスポーツから生まれる。それは調和をもたらし、人々の生き方、町、そして国をも変えることができる」とも熱弁。中国の観覧客からは拍手が起きた。【三須一紀、木下淳】

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ウクライナを進行しているロシアとベラルーシの選手の参加問題でIPC内でもめていたパラリンピックでしたが、結果的には受入れないことで落ち着きました。それまでの、混乱を打ち消すかのように、IPC会長の演説は感動的なものでした。演説の冒頭に国名こそ明らかにしないもののロシアの蛮行がオリパラ精神を冒涜するものだと厳しく断罪し、締めくくりの「平和を!」のシャウトは世界の人々の声を代表しているかのようでした。

案の定ですが、中国の国営放送では、パーソンズ会長がロシアのウクライナ侵攻を念頭に平和を訴えた発言をした際、中国語への翻訳が行われず、通訳が一時的に無言となる一幕があったそうです。ロシアとの友好関係を重視する中国にとって不都合な内容と判断され、意図的に中断したとみられます。

「差別、憎しみ、争いのない、よりインクルーシブな世界を目指す」と述べたところが翻訳されなかったそうです。中国共産党の正直な気持ちと言えばそれまでですが、テレビ局が習近平に恐れ慄いている様子がよくわかります。まさに愚民思想の骨頂、独裁国家たる所以です。

ロシアでも、ウクライナ侵攻を批判する言動は15年の懲役刑に処す法改正の報道もあります。結局、侵略国家は自国民の思想信条の自由すら脅かすことに結びついていくということです。ロシア軍はウクライナ最大の原発にまで砲撃を始めました。風向きによっては国境付近のロシア国民の健康まで脅かすこの戦術は、狂気の沙汰としか思えません。ウクライナ選手団は開会式の入場でこぶしを高々と上げ戦争に抗議をしました。さすがに中共もIPCもこの行動を政治的とみて介入することはできなかったようです。

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障害者雇用、東京は17年連続全国最下位 大企業に集中し、雇えぬ中小企業にペナルティーのいびつさ

障害者雇用、東京は17年連続全国最下位 大企業に集中し、雇えぬ中小企業にペナルティーのいびつさ

2022年3月4日 【東京新聞】

企業に義務付けられた障害者雇用の割合「法定雇用率」を上回った企業は東京都が30.9%で全国最下位だったことが、厚生労働省の昨年調査で分かった。全国平均47%を大きく下回った。法定雇用率が2.3%(従来2.2%)に引き上げられてから3月で1年。企業の本社が多い東京の障害者雇用は大企業に集中し、中小企業では雇えていない。(山田晃史)

政府は雇用を増やすために数年に1度、法定雇用率を引き上げている。昨年3月は引き上げに伴い、障害者を1人以上雇わなければならない対象企業の規模を従業員45.5人以上から43.5人以上に広げた。

東京労働局によると、東京の最下位は少なくとも17年連続。東京の企業に雇われる障害者は全国で最も多い約21万9500人。企業数では6.8%しかない従業員1000人以上の大企業がこのうち75%を雇う。担当者は「東京は大企業の従業員規模も圧倒的に大きいため、数少ない会社が大量に雇っている。中小の採用は厳しい」と説明する。

東京の企業全体の雇用率は2.09%で、同じく全国最下位。企業規模別で大企業のみ法定雇用率を上回った。都内の中小企業団体幹部は「比較的障害の軽い人を大企業が優先して採用し、本当に配慮が必要な人が取り残される傾向がある。中小で雇うのは設備や人員的に難しい」と明かす。

横浜市立大の影山摩子弥まこや教授は「不規則・長時間勤務の情報通信業の中小企業が東京は多く、障害者の雇用が難しい」と指摘する。

◆経営体力の格差…制度の限界
障害者雇用制度は、結果の出ない企業名の公表など「ムチ」をちらつかせて雇用を促す手法に限界が指摘され始めた。経営体力の劣る中小企業でも雇いやすいよう、専門家は短時間勤務者の雇用率への算入を認めるなど制度を柔軟化するように提案している。

「技術者の求人を出しても待遇や設備面で大手にかなわないので、なかなか来てもらえない」。東京都内のIT企業の人事担当者は現状を語る。従業員300人ほどで、障害者4人を雇う。法定雇用率の達成には、数人増やす必要があるが、採用競争は厳しく3~4年ほど不足が続く。

法定雇用率に満たない従業員100人超の企業は、不足分1人当たり月5万円の納付金が徴収される。さらに雇用状況の改善が遅れている企業には、労働局から勧告や指導があり、最終的に企業名が公表される。

担当者は「社名公表は恐ろしい。採用競争が厳しいので求職者に悪印象を持たれたくない」とおびえる。「中小向けの支援はあっても、原則、雇用後に助成金が出る。でも社内の環境が整っていないと求職者が来ない」と悩みは尽きない。

大企業はグループ内の単純事務作業などを集約し、障害者を専門に雇う「特例子会社」を設けることで雇用率を伸ばしてきた。ただ、障害者雇用に詳しい慶応大の中島隆信教授は「事務作業をまとめられるのは大企業だけで、中小では活用できない」と指摘する。

現状でも職を求める障害者の多くが就職できているわけではない。東京で求職者のうち就職できているのは3割程度で、中小での雇用拡大は急務だ。

法定雇用率は、直接雇用で週20時間以上働く人のみ算入の対象になる。中島教授は、在宅勤務などの障害者に仕事を発注した際に一定割合を雇用率に算入する「みなし雇用」や、就職が難しい精神障害者らの20時間未満の勤務も算入対象にすることを提案する。「今の制度は限界が来ている。多様な働き方も雇用率に算入して中小の雇用を増やすべきだ」と話す。

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一番の問題は、障害者の法定雇用人数分の1名当たりのペナルティー額が5万円と安すぎる問題と、そもそもペナルティーで雇用を伸ばそうとする貧困な発想です。1か月の最低賃金にも満たない罰金ですし、環境改善や担当職員を準備して障害者を雇う総経費と月5万円のペナルティーを比べればペナルティーがはるかに安いです。これは、最賃の高い東京都に限ったことではなく、全国の少なくない経営者はそう考えて普通です。東京が3割だと騒ぐよりこの期に及んで全国で半分程度しか達成していないことを記事にすべきです。

資金面で体力のある大企業だからこそ、コンプライアンスの順守ができるのであって、下請けで1円2円の発注価格にしのぎを削っている中小には、自分が生き残らなければ雇用も何もありません。障害者を雇えばその雇用に必要な費用を今のように期間限定ではなく永年補助してくれるなら話は別です。現存するペナルティーも補助もどっちつかずの中途半端な政策だから障害者雇用が進まないのだと思います。障害者雇用政策は昨日今日の政策ではなく、もう何十年も続けている政策です。

長きにわたって役所が立てた目標が達成できないのは政策の問題です。政策を見直し、ペナルティーから報奨制度に変えていく逆の発想が必要です。障害者の雇用は納税者を増やす政策です。つまり福祉に税を回すか雇用に税を回すかの違いです。雇用のハードルが高ければ福祉がその肩代わりをすると言うトレードオフの関係です。だったら、働くチャンスをみんなで作ろうとするほうが前向きです。多様性社会の実現にも寄与します。微々たる罰金とケチな助成金ではなく、抜本的な政策変更が求められていると思います。

ワクチン 時間経過で小児は感染予防効果低下か 米調査結果

ワクチン 時間経過で小児は感染予防効果低下か 米調査結果

2022年3月2日 【NHK】

アメリカ・ニューヨーク州の保健当局などは、新型コロナウイルスワクチンの接種から時間がたつと、5歳から11歳の子どもでは感染を防ぐ効果が大幅に低下するとした調査結果を公開しました。

ニューヨーク州の保健当局などの研究チームは28日、製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した5歳から17歳の子どもに対する感染や入院を防ぐ効果を調べた結果を公開しました。

それによりますと、感染を防ぐ効果は12歳から17歳はオミクロン株が主流となった去年12月中旬の時点で66%、ことし1月下旬では51%と比較的小幅な低下にとどまった一方、5歳から11歳では同じ期間に68%から12%と大幅に低下したということです。

研究チームは、5歳から11歳で感染を防ぐ効果が大幅に低下した理由について、接種するワクチンの成分の量が12歳以上の場合の3分の1と少ないことが影響している可能性があるとしています。

また、入院を防ぐ効果は1月下旬の時点で12歳から17歳で73%、5歳から11歳で48%だったということですが、重症化する子どもの数が少ないため、正確な分析をするためにはデータが不足しているとしています。

調査結果は第三者による検証を受ける前の段階のものですが、複数の専門家は今後、この年代の子どもに対し接種の成分の量を変更したり、追加の接種をしたりすることを検討すべきだとしています。

CDC「入院防ぐ効果高い」引き続き接種を推奨
アメリカCDC=疾病対策センターは1日、5歳から17歳の子どもについてファイザーの新型コロナウイルスワクチンの効果を調べた結果を発表しました。

調査は去年4月上旬からことし1月下旬までにアメリカ各地の医療機関で新型コロナウイルスに感染して救急窓口で治療を受けたり入院したりしたおよそ4万人を対象に行われました。

それによりますと2回の接種を完了した子どもでは、入院を防ぐ効果が、5歳から11歳で74%、12歳以上では接種の時期により73%から94%でした。

CDCは「時間とともに効果が低下する傾向が見られるものの、入院を防ぐ効果は高い」として引き続きこの年代への接種を推奨しています。

中山特任教授 効果減っても重症化防ぐ意義ある
アメリカ・ニューヨーク州で、オミクロン株が広がった時期に5歳から11歳を対象にした新型コロナウイルスワクチンの効果が下がっていたという結果が出されたことについて、小児科の医師でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「ファイザーのワクチンは、11歳以下では12歳以上と比べて接種する量を3分の1にしている。11歳と12歳前後で体格はそれほど変わらないが、量を減らすと効果は下がり、免疫が持続する期間が短くなるのは想定されることだ」と述べました。

その一方で、中山特任教授は「ワクチンの本来の目的は重症化を防ぐことで、入院を抑える効果は低くても50%程度と、それなりの効果が出ている。自然に感染してしまうよりもワクチンで免疫の記憶をつけたほうがいい」と述べ、接種の意義はあるとしています。

そのうえで、子どもに接種する量をどう決めるのかは課題が残るとしていて「大人に接種する量と比べて、何を基準にどのくらい減らせばよいか検討することが必要だ。年齢だけでなく体格なども含めて考えるのか、量を減らすのはより低い年齢にするのかといったことを慎重に検討する必要がある」と話しています。

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NHKの新型コロナ感染症報道は少し偏向しているように感じます。今回新たに11歳から5歳児までのワクチン接種が我が国で始まりました。米ニューヨーク州保健局発表のグラフでは(下図)、1か月を越えると予防効果はなくなり、さらに日数経過すると逆に感染しやすくなってしまうと読めます。この報告は米国児童の場合で、重症化率の低い日本人の場合、データはありませんが更に予防効果が低くなる可能性も否定できません。

なぜ、NHKは査読前とはいえ誰もが閲覧できる報告を示さないのか不可解ですし、予防効果率を重症化率に置き換えて専門家に説明させるのも意味不明で、報道の偏りを感じます。米ニューヨーク州保健局の調査では小学校1~2年生の場合1か月たてば接種での予防効果は5%になることが分かったと言えば済む話です。そして、「量を減らしたのだから免疫の持続期間は短くなるのは想定内」という医師の考えを紹介するなら、僅か1か月しか免疫機能が持続しないワクチンを接種するのは意味がないと言う医師の考え方もNHKは紹介するべきです。

子どもへのワクチン接種は重症化の可能性がある基礎疾患のある児童だけで十分で、老齢者への感染拡大を言うならそれは老齢者のワクチン接種を徹底すればよいとするべきです。5歳児までの全ての子どもに接種券を配布して同調圧力をわざわざ作り出す必要はないと思います。少なくともメディアは米ニューヨーク州保健局のグラフを説明したうえで児童の接種の是非を多様な識者に論じさせるべきです。

パラリンピック ウクライナ出身選手“ハートの国旗”つけ練習

パラリンピック ウクライナ出身選手「ハートの国旗」つけ練習

2022年3月1日(火) 【NHK】

ロシアのウクライナへの軍事侵攻が続く中、3日後に開幕が迫った北京パラリンピックの会場では、ノルディックスキーのアメリカ代表選手が出身地のウクライナの国旗をハートにかたどったマークをつけて練習に臨みました。

アメリカのオクサナ・マスターズ選手は北京大会が冬と夏通じて7回目のパラリンピック出場で、1日は河北省の張家口にある国家バイアスロンセンターで練習を行いました。

1989年にウクライナで生まれたマスターズ選手は、生まれたときから両足の長さが異なる障害があり、7歳の時にアメリカ人の養女となりました。

2012年の夏のロンドン大会以降、冬と夏合わせて6大会に連続で出場していて、冬はクロスカントリースキーとバイアスロン、夏はボートと自転車の競技に出場し、去年の東京大会でも自転車で2つの金メダルを獲得するなど、これまでのパラリンピックで10個のメダルを獲得しています。

座って滑るクラスのマスターズ選手は1日、本番の会場で行われた練習で、ビブスの左胸にウクライナの国旗をハートにかたどったマークをつけて練習に臨んでいました。

マスターズ選手は、ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めた先月24日、自身のSNSで「私の心と魂はウクライナとアメリカの両方にある。今夜、ウクライナの人々と生まれ故郷のことで胸が張り裂けそう。私はいつもいつまでもウクライナの味方です」とつづっていました。

3日後に開幕する北京パラリンピックには、ウクライナの選手20人がクロスカントリースキーなどに出場する予定で、開幕前に中国入りする見通しです。

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北京冬季オリンピックと冬季パラリンピックの間隙をついて始まったロシアのウクライナ侵攻。世界中がプーチンの「旧ソ連邦・大ロシア帝国領地復活」の狂気に非難を寄せています。この蛮行について一定の「理解」を示しているのが中国です。中国はウクライナ問題には独自の複雑で特殊な歴史的背景があるとして、自国の台湾侵攻を正当化しようと躍起です。

そんな中、アメリカ選手でありながらウクライナ出身の彼女が胸に貼ったハートのウクライナ国旗を、中国とIPC(国際パラ委員会)は正当に扱ってほしいと思います。オリパラでは政治的ムーブメントを避ける事がオリンピック憲章の第50条で規定されています。競技会場や表彰式の会場などで政治、宗教、人種に関する宣伝活動を禁止しメキシコ大会では黒人差別への抗議として表彰台で拳をあげたアメリカ選手が大会から追放された例があります。

しかし、今回のロシアのウクライナ侵攻はオリパラ精神をも踏みにじっています。競技中は休戦した五輪の歴史からも、戦争が大量の障害者を作り出すことから考えても、オリパラ期間に戦争を始めるプーチンの判断は狂気としか言いようがありません。そのオリパラ中の狂気を「理解する」中国も同罪です。どのような顔をしてパラリンピックを開催するのでしょう。ウィグルやチベット、内モンゴルの民族弾圧も知らぬ存ぜずですから平気な顔ができるのかもしれません。

それでも、ロシアの中では反戦デモが全土で一斉に始まっているだけましかもしれません。中国共産党の下ではロシアの蛮行に「理解」を示した党中央は間違いだと言うSNSすら見受けられません。世界の選手は、「ロシアの蛮行は許せない。私たちの精神はウクライナ国民と共にある」と言うでしょう。中国のパラリンピック主催者はウクライナ選手にどんな声掛けをするのでしょう。中国共産党員はニコニコ笑う仮面をつけて手を振るだけでしょうか。

幼い日に発達障害と診断、そして... 親子で目指すピアニストへの道

幼い日に発達障害と診断、そして... 親子で目指すピアニストへの道

3/1(火)【朝日新聞】

幼いころに発達障害と診断され、その後数々のピアノコンテストで優秀な成績を収める高校生がいる。札幌市の高校1年土田裕利(ゆうり)さん(16)。年初の「ショパン国際ピアノコンクール in Asia(アジア大会)」の高校生部門で金賞を獲得。プロのピアニストを目指して練習に打ち込んでいる。

1月12日のコンクールで土田さんは、ショパンの「スケルツォ第4番作品54」と「練習曲作品25―6」を演奏。高校生部門(ホール審査)の最高賞金賞2人のうち1人と、同部門ソリスト賞に選ばれた。「ミスしたところがあったので驚いた。うれしかった」と話す。

2、3歳ごろから、空気清浄機をピアノに見立てて遊ぶ「演奏会ごっこ」に熱中した。5歳のときから、きょうだいの影響でピアノ教室に通い始めた。

しかし教室ではじっと座っていられず、黒板に落書きを始めたり外の物音を気にしたり。幼稚園でもぼんやり立っていることが多かった。心配した母智美さん(47)と診察を受けたところ、発達障害の注意欠陥障害とアスペルガー症候群と診断された。

小学4年生までは特別支援学級に通った。ピアノを弾くのは得意だったが、楽譜がうまく読めず、智美さんが五線譜を指でたどって導いた。先生に「テンポが速い」「音が強いよ」と言われるとどうしていいか分からなくなってしまう。付き添った智美さんが「ゆっくり弾いて」「弱くして」と言い換えると、どんどん上達していった。

周囲の支援も受け、5年生から普通学級に。中学校では勉強のコツも覚え、成績も上がり札幌東高へ進学した。

7歳のときから指導する札幌市中央区のピアノ教師、永井礼子さん(68)は「発達障害のお子さんに教えるのは初めてだったが、しっかり話も聞けるし困ることは一つもない」。練習曲でも情感を込めて「歌う」ように弾くのが裕利さんの特徴だという。

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ピアニストで発達障害を思い出すのは漫画『のだめカンタービレ』です。TVドラマでは野田恵(のだ めぐみ)を上野樹里がASD(であろう)のピアニストをコメディータッチに描きます。原作漫画のモデルは実在しますが、テレビドラマで上野樹里が演じる「のだめ」モデルはASDピアニストの「野田あすか」ではないかと(のだめカンタービレ: 2020/11/13) で以前掲載しました。

行動問題があると、特別支援学級に入級と言うパターンが少なくないですが、ASD児の場合小学校高学年から中学生くらいで「霧がはれる」ように社会適応できるようになる人もいますから、特支級から通常級にリリースする場合もあるはずです。でも、才能の片りんはもっと小さな時期から見せていることが多いです。それを見抜くのは芸術や音楽、科学の世界の楽しさを知っている人たちです。

発達障害だから才能があると言うわけではありませんが、好きなことをとことん追求する強い癖がある人は、その世界の人たちがそばにいると音叉のように共鳴しやすいのだと思います。天才と言われる人たちの中にASD者が多いのはそのためだと言われています。

特別支援教育「全教員が2年以上の経験を」 文科省検討会議教育「全教員が2年以上の経験を」 文科...

特別支援教育「全教員が2年以上の経験を」 文科省検討会議

2/24(木) 【毎日新聞】

特別支援教育を担う教員をどう育成するかについて議論している文部科学省の検討会議は24日、すべての教員が採用後10年程度の間に、特別支援学級の担任などの経験を2年以上積むことが望ましいとする報告書案を大筋で了承した。専門性を持つ教員を育てるとともに、特別支援教育の経験を通常学級での実践に生かしてもらう狙いもある。

文科省は報告書案に基づき、全国の教育委員会に人事制度の改善などを促す。

通常の小中学校で特別支援教育を受ける児童・生徒は急増している。特別支援学級に所属したり、通常学級に籍を置きながら一部の授業を別室で行う「通級指導」を受けたりする子どもは、2011年度は約22万人だったが、21年度は約46万人と2倍以上になった。

こうした子どもは今後も増加が見込まれ、特別支援教育の担い手の育成が求められている。しかし、小中学校の校長は実践経験が乏しく、校内の一部の教員に頼るケースが多いとされる。また、特別支援学級の担任は、年度ごとに契約が更新される不安定な臨時教員の比率が高い。

報告書案はこうした現状を改善するため、「特別支援教育の経験がある教師を増やしていくことが必要」と指摘。採用から早い段階で実務経験を積むことに加え、普通学校と特別支援学校の人事交流を一層促進したり、教育委員会の幹部を登用する際に特別支援教育の経験を考慮したりすることを提案した。【大久保昂】

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昔は、と言うと「また昭和の古の話か」と思われそうですがその通りです。指導力がありリーダー格の教員が、特別支援学級の担任か教務主任かどちらかを担当するというのが、良い学校の典型でした。つまり、校長教頭は除きトップレベルの教員を支援学級担当者に充てたのです。悪い学校の典型は、支援学級の担任が経験の浅い講師であったり、通常学級で指導力不足の教員であったり、体力が持たない定年前の教員を充てる学校です。

トップレベルの教員が支援学級の担任をすることによって、学校全体の特別支援教育や多様性教育が自ずと進むのです。逆に指導力がないと職員全体から見られている教員が支援学級を担当すると、特別支援教育や人権教育が進まずいじめや生徒指導案件が噴出する傾向があったように感じました。

全ての教員が特別支援学級を担当するのは良いことですが、大事なのは適材適所だと思います。機械的に特別支援学級や通級担当者を命じられても、教科書のない特別支援学級や通級指導教室は何をどうしていいのか分からないまま1年が過ぎていきます。特に通級指導教室担当者はアセスメント力量と知的遅れのない3障害(ASD・ADHD・LD)への多くの知見が求められます。

複数で担当するなら特別支援の新米教員を数年おきに入れ替えることもできるかもしれませんが、一人担任なら子どもが迷惑です。毎年力量の低い担当者では困るのです。そもそも、通級担当者は、小さな学校では育成が困難ですから自治体の教育委員会籍で少人数のチームを作った方が良いかもしれません。教員でも指導技術は集団で学び合うという視点がないと、せっかくのアイデアも絵にかいた餅にならないように合理的なシステムを考えて欲しいと思います。

いじめストップ!ワールドアクション「ピンクシャツデー2022 in 神奈川」

いじめストップ!ワールドアクション「ピンクシャツデー2022 in 神奈川」

2/23(水) 【ヨコハマ経済新聞】

横浜駅東口地下2階の新都市プラザ(横浜市西区高島2)で「ピンクシャツデー2022 in 神奈川~いじめストップ!ワールドアクション」のパネル展示・チャリティーグッズ販売イベントが、2月23日に開催される。(ヨコハマ経済新聞)

ピンクシャツデーは、ピンクのシャツを着ることで「いじめ反対」のメッセージを送るキャンペーン。運動は2007年にカナダで始まり、バンクーバーがあるブリティッシュ・コロンビア州知事が2月の最終水曜日を「ピンクシャツデー」と宣言したことで、世界各国で活動が行われている。今年は2月23日がピンクシャツデー。

主催は、ピンクシャツデー2022 in 神奈川推進委員会と認定NPO法人「神奈川子ども未来ファンド」。キャンペーンを通して、人々の中にある「偏見や差別」と向き合い、多様性を認め合い、いじめをなくす姿勢を発信する。

カナダの2人の高校生の行動をきっかけに、2008年に始まったいじめ防止の取り組み「ピンクシャツデー」は、ピンクのシャツを着て登校した男子生徒がホモセクシュアルとからかわれ、いじめにあい、それを知った2人の上級生が、50枚のピンク色のシャツを買い込み、友人たちに配布。翌日、呼びかけに賛同した多くの生徒がピンクのシャツやピンクの小物を身に着け、学校中がピンク色に染まり、いじめは自然となくなったというエピソードから始まった。現在、SNSなどで世界中に広まり、180カ国以上で「いじめストップ!」に関するさまざまな活動が行われている。

いじめは、学校に認知された件数だけで年間54.4万件(2020年内閣府子ども・若者白書)が報告されている。気づかれなかったり、見過ごされるなどで認知にいたらない数を含めると数倍になると言われている。

そごう横浜店8階特設会場と横浜タカシマヤ1階婦人洋品売場では、2月1日から23日までピンクシャツデーのチャリティーグッズ販売が行われている。横浜ランドマークタワー、コスモクロック21、横浜市庁舎、横浜税関クイーンの塔などで、施設をピンク色にライトアップする関連イベントも行われる。

主催者は「ピンクのシャツや小物を身につけて、あなたも『いじめストップ!』の意思表明を」と参加を呼びかけている。

問合せは、ピンクシャツデー神奈川推進委員会事務局「神奈川子ども未来ファンド」(TEL 045-212-5825)まで。

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同調圧力を逆手に取ったピンクシャツムーブメントです。学校でこうしたムーブメントができたのは、私服が自由な欧米の学校の風潮もありますが、欧米の学校の人権感覚の高さがなせる業と思います。もしも日本の学校で制服の下にピンクのシャツやカッターを着たら生徒指導の先生が飛んできそうです。民主的な感覚を育てたり公正さを求めたムーブメントを起こす力は一朝一夕に成せるものではありません。世界に発信したカナダの一学校での取組も、きっとその背景にはこの二人の生徒の取組を温かく見守り続けた大人たちの姿があったに違いありません。

登別市議会本会議に、市議や市長らがピンク色のTシャツとマスクを着用していじめに臨んでいます。これは高校生が24日に市内で企画する、いじめ反対の意思を示す運動「ピンクシャツデー」に賛同したものです。また、昨年、台湾の閣僚らがピンクのマスクを着ける男の子を応援し、一大ムーブメントになったニュースがありました。このニュースはいじめの内容がピンクは女の子色だということでいじめられた男の子の訴えを政府が受け止めて議員や閣僚らがピンクマスクはかっこいいと宣伝した話です。台湾は未だに同調圧力の強い国ですが、蔡英文総統をはじめ政府官僚たちの意識が高い系です。

台湾は、中国からの侵略をいつ受けるかわからないと、香港民主化デモを中国政府が制圧してから緊張感が高まっています。その分、中国とは価値観が全く違うと、台湾の民主主義をあらゆるところでアピールして中国本土に民主主義はないと喧伝します。今、ウクライナにロシアが侵攻して占領する事実を作ってしまうと、中国の台湾侵攻も時間の問題と言われます。そして、中国の台湾侵攻は日本の領土保全や安全保障に大きく影を落としてきます。ピンクシャツムーブメントとは言え、民主主義の課題は平和の問題と大きく連動していると思います。

障がいは“異彩” アートで社会を問い直す「ヘラルボニー」【ネクストリーダー2022】

障がいは「異彩」 アートで社会を問い直す「ヘラルボニー」【ネクストリーダー2022】

2/14(月)【WWD】

双子の松田崇弥代表と松田文登副代表が率いるヘラルボニーは、知的障がいのあるアーティストの作品をアパレルやインテリアに生かすブランド事業と、アート作品のデータを幅広い用途に転用するライセンス事業を行っている。立ち上げから3年が経ち、売り上げを順調に伸ばす一方で、「障がいを“異彩”と捉える新しい価値観を広げるのが目的だから、まだスタート地点にさえ立てていない」と口をそろえる。強い意志で動く彼らの背景には、自閉症の兄の存在と、兄に向けられる視線に覚える“違和感”があった。

WWD:ヘラルボニーを立ち上げた経緯は?

松田崇弥ヘラルボニー代表(以下、崇弥):僕たちには、重度の知的障がいを伴う自閉症の兄がいる。自分のリズムが乱れるとパニックを起こすこともあるが、それが欠陥とは思わず、一緒に遊び、ときには喧嘩をして、人生を共にしてきた。でも親戚からは、「かわいそうだね」「君らは兄貴の分まで生きろよ」と言われ、冷ややかな視線を向ける人がいた。そういった、障がいを“欠陥”だと捉える反応に直面するたび、いつも気持ち悪さを抱いていた。そんなある日、障がいのある人の作品を展示する岩手の「るんびいに美術館」を訪れた。障がいを持つ人のアート表現に衝撃を受けた僕は、「こういう人と何か一緒にできないか」とすぐさま弟に連絡した。互いに別の仕事をやりながら、副業として小さなブランドを始めた。

ブランド名は「ムク(MUKU)」。最初は、障がいのある人のアート作品を柄にしたネクタイを作った。そこから、ハンカチや傘などアイテムの幅を広げ、3年前に企業としてヘラルボニーを立ち上げた。

WWD:アート作品の展示ではなく、なぜブランドから始めたのか?

崇弥:作品を展示するだけでは、“アール・ブリュット”(美術の専門教育を受けず、思いのままに創作するアート)に興味がある人にしか届けられない。僕たちは“社会の目をどう変えるか”にチャレンジしている。“障がい”や“福祉”と聞いた瞬間に耳を塞いでしまう人や、自分とは関係ないと思う人にこそ届けたい。ブランドという傘があれば、間口が広がる。

文登:ブランド以外にも、約2000点のアート作品のライセンス事業も行っている。アートデータをアパレルやノベルティに活用してもらったり、建設現場の仮囲いに使われたり。美術館やギャラリーを飛び出して、イベントや街、人々の生活にまで徐々に浸透している。

WWD:作家はどのように見つけている?

崇弥:見つけるというよりも、出会っている感覚だ。福祉施設から紹介されて出会うパターンと、自社サイトの問い合わせページで作品が送られてきて、その中で素敵だと思った人と直接やりとりして契約するパターンがある。僕らは、「障がいのある全員がアーティストだ」と発信したいわけじゃない。個性はさまざまあり、その中にすごく素敵な作品を描く人がいるだけ。その人たちを社会とコネクトさせるのが僕らの役割だ。今は153人と契約している。

文登:作品が面白くても、障がいの重さからビジネスにするのは困難だと思われている人もいる。たしかに半年に一度個展を開き、売買で利益を得るのは難しいが、データとして保管し、それを貸し出してライセンスフィーが入る仕組みなら、社会と無理なくつながることができる。

WWD:ライセンスや建設事業など、ビジネスの目のつけどころが鋭い。

崇弥:僕はかつて、小山薫堂さんの元で働いており、キャラクターライセンスの可能性を感じていた。文登は新卒でゼネコンに入社し、「仮囲いに勝機がある」と常々語っていた。どちらも前職の強みが生きている。

文登:でも、最初から順調だったわけじゃない。toB向け事業としてライセンスの話をしても、「素晴らしいことをされていますね」で終了し、受注はほとんどなかった。それでも諦めず、銀行から融資を受けて地元の百貨店に実店舗を作ったり、商品を拡充したりと、toCに振り切って活動するうちに、露出が増えてライセンスの依頼も届くようになった。

WWD:ビジネス規模が拡大し、メディアで見る機会も増えているが、“異彩を、放て。”という企業ミッションが本当の意味で伝わっている実感はあるか?

崇弥:正直、まだまだだ。今はサステナビリティやダイバーシティー、インクルージョンといった波に乗らせてもらっているだけ。この波がなくなったときに“異彩を、放て。”のメッセージが浸透しているかどうかだ。それでも、今の環境が好機であることは事実。ブームではなく、文化になれるよう、粛々と活動を行う。

WWD:今後の展望は?

崇弥:今はアートを軸にしているが、その外にも飛び出したい。究極は、障がいのある人との出会いを創ること。「ヘラルボニー」のファブリックやインテリアに包まれたカフェで、障がいのある人が働き、そこにお客さんがくる。挨拶はできないかもしれないけど、こだわりがあるからサーブや皿洗いはすごい。それを目の当たりにすれば、障がいへの考えは大きく変わる可能性がある。何かが便利になるわけでも、誰かが楽になるわけでもない。でも、生活者の思考や価値観をアップデートできたら、それこそ本当のイノベーションだ。

(WWD 美濃島 匡)
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以前も障害とアパレルに関する話題を取り上げました。今回は障害のある人の作品を社会全体に出していこう,と行動している方々です。

記事の中にもある通り,ヘラルボニーの松田崇弥代表と松田文登副代表の兄が重度の知的障害を伴う自閉症とのことでした。2人はその兄と当然のように一緒に過ごし,それが普通だと捉えていましたが周りからは冷ややかな視線を受けることがあったようです。そんな中障害のある方のアート作品に衝撃を受けた2人はそれらをハンカチ等のデザインに落とし込み,ブランドを立ち上げたそうです。

「社会の目を変える」とありますが昨今は様々な自治体や企業がインクルーシブ社会を実現するため努力をしています。しかしまだまだ「身近なこと」と感じる人は少ないようです。様々な人に目を向けてもらうため,服や小物等に障害のある方の作品を落とし込むことでより身近に感じることが出来る,と考えたそうです。

「異彩を、放て。」のキャッチコピーにある通り,障害のある方の強みを社会の中で活かし,世間にもっと浸透すればいいな,と筆者も感じます。いずれカフェを立ち上げようとしているようです。お店が出来たら,私も足を運ぼうと思います。

(右)松田崇弥(まつだ・たかや):ヘラルボニー代表。小山薫堂が率いる企画会社オレンジ・アンド・パートナーズでプランナーを経て独立し、ヘラルボニーを設立。同社のクリエイティブを統括する。“異彩を、放て。”をミッションに掲げ、福祉領域のアップデートに挑む。社名は、4歳上の兄・翔太が小学校時代に記していた謎の言葉“ヘラルボニー”から採用した。(左)松田文登(まつだ・ふみと):ヘラルボニー副代表。ゼネコンで被災地の再建に従事し、双子の崇弥代表とともにへラルボニーを設立。ヘラルボニーの営業を統括する。 PHOTO:KENTARO YOSHIDA

<リト>“葉っぱ切り絵”でフォロワー40万人超 発達障害と診断され退職、引きこもった過去も 「...

<リト>「葉っぱ切り絵」でフォロワー40万人超 発達障害と診断され退職、引きこもった過去も 「情熱大陸」で明らかに

2022年02月13日【毎日キレイ】

葉っぱ切り絵作家のリトさんが、2月13日午後11時から放送されるドキュメンタリー番組「情熱大陸」(MBS・TBS系)に出演する。会社員時代にADHD(発達障害)の診断を受け、独自のアートで生きていく道を選んだリトさんの姿に迫る。

“葉っぱ切り絵”という新たなアートを創造したリトさんは、1986年、神奈川県生まれの35歳。現在SNSのフォロワーは40万人を超える。人気の中心は30代、40代の女性。その優しい世界観がファンを増やし、作品展では涙する人も。

リトさんの作品には主に擬人化したカエルやウサギなどの動物が登場する。日常の何気ない場面を1枚の葉っぱから影絵のように切りだし、近所の公園で額縁代わりの空をバックに写真を撮れば作品は完成。SNSに投稿すると瞬く間に“いいね”がつけられていく。

ほぼ毎日、1作品を発表しているリトさん。癒やしの作品とは裏腹に意外にも毎日、苦闘していた。構想で悩み、下絵を何度も書き直す。しかしいざ、葉っぱを切り抜く段階になると一心不乱。デザインナイフ1本で1ミリに満たない穴や線を辛抱強く、確実に切り取っていく。

リトさんはここ1年でSNSの世界を飛び出し、作品展やイベントなどリアルの世界へも活動の場を広げてきた。メディアの取材も殺到し、芸能人ばりにポートレートを撮られることも。実は数年前まではサラリーマンで、失敗ばかりのダメ社員だったが、病院で診てもらうとADHD(発達障害)と診断された。退職して自分を見つめ、集中すると他のことは目に入らなくなるという短所をアートに生かそうとした。家に引きこもる彼を非難せず、支えたのが母。自分の道を見つけてほしいと、静かに見守り続けたという。

番組では、人々に癒やしと勇気を人々に与えているリトさんの姿を追いかけた。

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「大人の発達障害」に関するニュースや本が昨今多く出ています。それだけ発達障害についての認知が広まり,「自分ってもしかして…」と感じる人が増えたということでしょうか。

記事の中のリトさんはサラリーマンとして働いても失敗ばかりで,病院で診てもらった所ADHDと診断された,とのことでした。自分の集中力をアートに活かし,葉っぱ切り絵をInstagramに投稿すると様々な方の目に触れ,評判になりました。(SNS上では"バズった"というのでしょう。)

リトさん程大きく職を変えることは勇気がいるかもしれませんが,自分に合った働き方を見つけることと,それを支援する周りの存在は本当に大きいものなのだ,と感じました。それと同時に企業側もそれぞれの長所を生かし,障害のある方もそうでない方も一緒に働く工夫をする必要がある,と感じています。

リトさんの作品を見ながら,「そういえば半年くらい前は子どもが撮った写真をすてっぷのInstagramに投稿していたなぁ。」と思い出しました。子どもたちは写真を撮ることに飽きているようですが,また声をかけてみようと思います。

ワリエワ問題は防げなかったのか…「周りの大人たち」に批判殺到

ワリエワ問題は防げなかったのか...「周りの大人たち」に批判殺到

2/18(金) 【女性自身】

北京五輪フィギュアスケート女子で4位に終わったロシア五輪委員会(ROC)のカミラ・ワリエワ(15)。15日のショートプログラムでは首位となり優勝候補と目されていたが、フリーでは転倒が続きメダルを逃す結果となった。

今大会でドーピング問題を抱えながら出場したワリエワは、演技後に号泣する一幕もあった。
「昨年12月に行われたドーピング検査で、ワリエワに陽性反応が確認されました。禁止薬物に指定されている狭心症の治療薬『トリメタジジン』が検出されたのです。他にも禁止薬物ではありませんが、『ハイポキセン』『Lーカルニチン』も検出されました。一方でこれらの薬を組み合わせた服用は、疲労の軽減や持久力を上げるといった効果もあると言われています。

このことについてワリエワの弁護士は、『心臓病の薬を服用する祖父と同じグラスを使った』と説明。いったんは五輪出場の停止処分を受けましたが、一転してスポーツ仲裁裁判所(CAS)は彼女の出場を認めました。国際オリンピック委員会(IOC)はワリエワが3位以内に入った場合は、メダル授与式を大会期間中に実施しないと発表していました」(スポーツ紙記者)

■バッハ会長もトゥトベリーゼ氏を批判
様々なプレッシャーを抱えながらも、演技をやり遂げたワリエワ。だが、コーチのエテリ・トゥトベリーゼ氏は彼女を暖かく迎え入れなかったという。AFP通信によると、トゥトベリーゼ氏はワリエワに「なぜ諦めたの? なぜ戦いを止めたの? 説明して」と迫ったと報じている。

トゥトベリーゼ氏の対応に、ネット上では《思いやりに欠けるコーチだな》《コーチとしてどうかなと思う》と非難の声が相次いだ。

バッハ会長も18日の会見で、「テレビで選手が非常に冷たく迎えられるのを見て寒けがした。カミラの周辺は、あまり信頼できない印象を持った」とトゥトベリーゼ氏を批判。さらにドーピング問題についても、「15歳の未成年の体内に禁止薬物があることは事実。彼女に投与した者が有罪だ」とアントラージュ(周囲の関係者)が関与している可能性を指摘したという。

コーチとしての厳しさが目立つトゥトベリーゼ氏だが、一体どのような人物なのだろうか? 前出のスポーツ紙記者は言う。

「シングル選手の経験もある彼女は、’13年にロシアのアスリート養成学校『サンボ70』のコーチとなりました。’14年ソチ五輪では、団体戦金メダルを獲得したユリア・リプニツカヤ選手を育成したことで脚光を浴びることに。その後もエフゲニア・メドベージェワ選手やアリーナ・ザギトワ選手といったメダリストを輩出し、ロシアのフィギュア界に貢献しました。

その一方で過酷な指導法でも知られ、“氷の女王”とも呼ばれています。10代半ばの選手たちが摂食障害や怪我を理由に、短い期間でキャリアを終えていることも問題視されています」

ワリエワを取り巻く大人たち
そんなトゥトベリーゼ氏は、選手たちの健康管理にも細心の注意を払っているという。

「練習だけでなく、体重や健康状態も徹底管理しています。トゥトベリーゼ氏の元では、選手たちの体重は100グラム単位で管理されているといいます」(フィギュア関係者)

しかし、過去には薬物に関して疑わしい発言もあったというトゥトベリーゼ氏。テレビ朝日の報道によれば’16年に使用禁止された薬物「メルドニウム」について、’19年に行われたインタビューで「メルドニウムが使えなくなる日は分かっていた」「アスリートの疲労回復に役立つビタミンのようなものが必要だった。私たちは何か他の薬を探さなければならなかった」と語っていたという。

「ロシアでは過去に『ドーピングをすることで、安定した演技ができる』と明言したフィギュア選手もいました。さらに今大会ではROC選手団には、専属医としてフィリップ・シュベツキー氏が同行しています。

彼は’08年の北京五輪でロシアボート連盟の医師も務めていましたが、大会前に選手達に不正輸血を行ったため6選手が資格停止処分に。さらにロシア代表は国際ボート連盟主催の試合に、1年間の出場停止となりました。シュベツキー氏も’07年から’10年まで、反ドーピング規則違反で資格停止処分を受けたのです。

このような背景もあることから、今後、ワリエワを取り巻く“大人たち”の責任が追及されることになるでしょう」(五輪関係者)

ネット上では、15歳のワリエワを取り巻く“大人たち”に批判の声が上がっている。
《ワリエワたんの問題については彼女自身の責任もあるかもしれないけれどそれ以上に大人の責任を明確にしてほしい。 15歳がこんな針の筵に晒されるような対応もするべきではなかったと思う》
《ワリエワの栄光と将来をこんな形で潰した大人たちは本当に反省してほしいです、、、二度と取り戻せない取り返しのつかないことをしてしまった、普通の大人なら何も思わないわけがないです、、、》
《周りの大人はワリエワちゃんの人生を本当に大切に扱って欲しい》
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大人の責任を糾弾する声は当然だろうと思います。そして、今回のドーピング騒動は仕組まれたような気もします。12月末に採血されたサンプルがロシアのサンクトペテルブルクから検査機関のスウェーデンのストックホルムまで運ばれ『トリメタジジン』陽性反応発表に1か月以上要しています。馬車や帆船の時代ならまだしも、飛行機なら90分の距離です。

そもそも、ロシアの政治をはじめとする権力機構の裏側はソ連崩壊から30年以上たつのに未だに共産主義時代の謀略や陰謀の存在が日常茶飯に語られます。反プーチンを掲げて政治活動すると暗殺や毒殺が公然と企てられる国です。かつてのソ連領だったウクライナの東側国境に10万を超える兵力を動員して、ヨーロッパの覇権を暴力でもぎ取ろうとする国です。

ロシアの若年アスリートの人権や人生など考えているはずもないと言えば言いすぎでしょうか。ROCがフィギュア団体で金メダルを取ったタイミングでワリエワの陽性問題を発表して、得をする勢力が同じロシア内にいたのではないかと勘繰られても不思議ではありません。トゥトベリーゼ氏の冷酷さの報道は、アンフェアーなロシアスポーツ界の本質を覆い隠すためのものかもしれません。今日明日にでもウクライナに侵攻しようとするロシアの全てが信用できないというのが、世界の見方ではないでしょうか。

ワリエワが涙する奥で号泣「みんな金メダルを持っている! だけど、私は…」

ワリエワが涙する奥で号泣「みんな金メダルを持っている! だけど、私は...」

2022.02.18【THE ANSWER】

北京五輪は17日、フィギュアスケート女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)4位の17歳アレクサンドラ・トルソワ(ROC)は自己ベスト177.13点も及ばず、合計251.73点の銀メダル。競技後は涙を流し、大荒れに。「もう二度とリンクに戻らない!」「私はこのスポーツが大嫌い!」などと言い放ったという。その詳細をロシアメディアが伝えている。

17歳の感情は堪え切れなかった。最終滑走のSP1位カミラ・ワリエワ(ROC)にミスが相次ぎ、まさかの4位。トルソワの銀メダルが確定した。しかし、リンクサイドでワリエワがエテリ・トゥトベリーゼに抱きついて涙する後ろで、トルソワも涙ながらに何やら叫んでいる。声をかけたコーチのセルゲイ・ドゥダコフ氏に促された手を振り払う素振りも見せ、感情をむき出しにした。

中継シーンに映り、海外メディア関係者らも驚かせたシーン。ロシアメディア「championat.com」はその内容を詳報し、大荒れの理由を伝えている。ワリエワは「大嫌い!」とコーチの手を振り払いながら叫び、「人生で二度とリンクに戻らない! 私はこのスポーツが大嫌い! もうすべてが大嫌い!」と言い放ったという。

さらに「このスポーツが嫌い!」と繰り返しながら、セレモニー出席を拒否。「みんな金メダルを持っている! だけど、私は持っていない。私はこのスポーツが大嫌い。人生でもう二度とやらない」「こんなのありえない、そんなのダメよ! そんなのダメよ!」などと怒りを露わに。声をかけようとしたコーチのエテリ・トゥトベリーゼ氏に対しても「いやよ! あなたはすべて知っていた。あなたはすべて知っていた」と遮ったという。

トルソワは4回転ジャンプ5本という異次元の構成に挑戦し、自己ベストを更新。しかし、金メダルのアンナ・シェルバコワ(ROC)に次ぐ2位だった。「みんな金メダルを持っている!」との発言の心中を察すると、19-20年シーズンのシニアデビュー以来、トルソワはグランプリ(GP)ファイナル、世界選手権、ロシア選手権など主要大会は2、3位続き。ワリエワ、シェルバコワらに先を越され、悔しさが爆発したことが涙の理由のようだ。

記事では「トルソワが2位になって激しく泣いた。フィギュアスケートをやめるぞと脅し、トゥトベリーゼ氏を非難していた」と紹介。「アレクサンドラ・トルソワは信じられないことをした――完全に五輪の記録となる5本の4回転ジャンプを跳んだ。しかし、そのような達成をもってしても彼女は2位だった」とシェルバコワに及ばなかったことを伝えている。

トルソワは一度は拒否したセレモニーにしっかりと出席。冷静さを取り戻し、出席した会見では5本の4回転ジャンプを跳んだことに満足した一方、結果が及ばなかったことの怒りと失望があったことを明かしたという。

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同じ17歳のメダリストでも、「アイスや、梅干し、いかの天ぷらなどが好きなので食べたい。あとは家族と一緒にたこ焼きパーティーをして、友達にメダルを掛けてあげたい」とインタビューに応えた、スノーボード女子ビッグエア銅の村瀬心椛(ここも)選手とは大違いです。まぁ、そこまで勝ち気でないとあのロシアスケーター勢の軽やかな滑りは会得できないとも言えますが、同じ選手団の仲間までディスるとは潔さがなく興覚めです。

しかし、この言動の背景にロシアの金まみれのメダル至上主義が垣間見えます。ロシアは金メダル一つで数億の金がスポンサーから約束されています。そこにコーチや監督が群がり、若いアスリートはその道具のような扱いを受けているから、こんな発言が出てくるのだろうと思います。ドーピング違反のワリエワは競技に参加できても受賞は暫定なのでその結果如何で、スポンサーは離れ、今後どんなバッシングが続くか15歳でも十分にわかるのがロシアのスポーツ界なのでしょう。演技に失敗するほどの動揺があるのは十分に理解できます(それでも十分に美しい滑りですが・・・)。

先日のスノーボード女子ビッグエア4位の岩淵選手の、渾身のトリックへの勇気を讃えて皆が駆け寄って抱き合う光景はロシアのフィギュアスケート界にはあり得ないのだろうなとも思います。五輪アスリートは若者だけではありませんが、それでも若者の祭典には違いありません。一瞬の技に賭ける清々しいアスリート像というと傲慢な視聴者目線だと言われそうですが、岩淵選手に集まったアスリートの行動こそ子どもたちに伝えたいオリンピアン精神だというのは間違いないです。

発達障害ある弟伝える 作文入賞の高2 「みんな同じ」意識持って

発達障害ある弟伝える 作文入賞の高2 「みんな同じ」意識持って

2022年2月17日 【朝日新聞】

内閣府と宮崎県などが募集した「心の輪を広げる体験作文」に、県立妻高校2年の川崎海晴(みはる)さん(17)が発達障害のある弟について書いた「すべての人々が幸せでありますように」が県内で唯一入賞した。家族を題材にすることにためらいはあったが、「読んだ人が変わってくれたら」という願いを込めた。

作文はこうつづられる。

私が初めて弟を「普通ではない」と感じたのは小学校2年生の時だった。

友だちから特別支援クラスに通う弟のことを「障がい者なの?」と聞かれた。5年生のときにはやんちゃな同級生から「お前も同じ障がい者なんじゃないの?」と言われ、自分のことがわからなくなる。

私はそれから時々、自分は「普通の人」ではないのかもと思うようになった。

その複雑な感情は親にも友だちにも話せなかった。高校に進学し、弟のことを友だちに打ち明ける。友だちは思いを受け止め、理解してくれた。この友だちを一生大事にしたいと思った。そして、「普通の人」について考える。

私は幸せを十分に感じて過ごしている。弟も同じだ。毎日、たくさんの思い出を作って、成長している。私たちに何の違いがあるだろう。

川崎さんは誰かとかかわる時、最初から障がいの有無で区別するのではなく、まず「みんな同じだ」という意識を持ちたいという。そう思ってくれる人が増えることで世界はもっと美しくなると訴え、作文は終わる。

川崎さんは昨年12月20日に県庁で河野俊嗣知事から入賞の盾をもらった。授賞式のあと、「作文が障がいをもつ人や回りの人たちのためになればと思って書きました。読んでくれた人が心にとどめてくれたら」と話した。将来は看護師のような、人のためになる仕事に就きたいという。

作文の高校生部門には全国から436編の応募があり、9編が入賞した。入賞作品は内閣府のホームページで読むことができる。(大畠正吾)
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令和3年度「心の輪を広げる体験作文」 「障害者週間のポスター」入賞作品集

すべての人々が幸せでありますように 川﨑 海晴(宮崎県立妻高等学校2年 宮崎県)

私は五人家族だ。父、母、姉、私、そして普通とはちょっと違う弟。弟は生まれつき心臓や精神面において、人より少し気を遣わなければならない。毎朝毎晩、薬を服用しなければならない。
私が初めて弟を「普通ではない」と感じたのは小学校二年生の時だった。

「弟って障がい者なの?」
友達が放ったこの一言に、私がどのような反応をしたのか、今では全く覚えていない。弟は私と同じ小学校の特別支援クラスに通っていた。だから友達はそのような発言をしたのだろう。また幼さゆえに、相手に対する配慮も悪気もなく、思ったことを口にしたのかもしれない。私が友達の立場だったら、同じことを言ってしまったかもしれない。ただ、今回は私が言われる立場だった。そして小学五年生になった頃、私は「普通」がわからなくなっていた。

あれは私が友達と仲良く、教室でおしゃべりをしていた時だった。クラスメートのやんちゃな男子が突然こう言った。

「お前も弟と同じ障がい者なんじゃないの?。」

この言葉を聞いた瞬間、私は石のように固まってしまった。友達は私に気にしちゃダメだよと声をかけてくれた。先生はその男子を叱った。その時私は思った。言われたように私は普通ではないのではないだろうか。混乱して、自分のことが自分でもよくわからなくなってしまった。このような感情が生まれたのは初めてだった。

私はそれから時々、自分は「普通の人」ではないのかもと思うようになった。親にも姉にも友達にも、もちろん弟にも話すことはできなかった。自分がわからなくなる小学生なんているのだろうか。その時の私は、とにかく怖くてしかたなかった。

中学校を卒業し、高校に進学した。高校では私の周りは一変した。知っている人がほとんどおらず、新しい環境になった。私は楽しい毎日を送っていく中で、弟のことを極力友達に話さなかった。弟が「普通の人とは少し違う」ということを知られるのが怖かった。けれども二年生に進級した時、友達に弟がどこの高校に通っているのかと聞かれた。私はあまり話したくはなかった。しかし大切な友達に嘘はつけないし、つきたくなかった。弟のことを他人にこんなに話したのは初めてだったと思う。話した後の沈黙が恐ろしかった。もうダメだと思った時、友達は笑い出した。彼女は私に「変わらないさあ」と言った。そして私のことを大好きだと言ってくれた。私のことをいたわってくれた。これまでの私の思いを受け取って理解してくれた。私はこれまで毎日毎日怯えながら生きていたわけではない。ただ、私や弟のことを、誰かに受け止めてほしかった。私はこの友達を一生大事にしたいと痛いほど強く思った瞬間だった。

私は今、この機会に、私をこれまで大切に育ててくれた母に、初めてこのことを打ち明けたいと思っている。この文章を読んでもらいたい。母はどんな気持ちになるだろう。けれども私がずっと重く悩んでいたというように深く考えないでほしい。娘のいつものおみやげ話として読んでくれたら嬉しい。

そして私は「普通の人」って何だろうと思うようになった。私ははたして「普通の人」なのか、そうではないのか、今でも私にはよくわからない。ただ思うのは、人に障がいの有無を決定づけるのは、おそらくとても難しいということだ。私は今、生活に支障もなく毎日幸せを十分に感じて過ごしている。弟も同じだ、弟も毎日、たくさんの思い出を作って、成長している。私たちに何の違いがあるだろう。隣にいる友達や先輩と、車椅子で電車に乗っている人とどんな違いがあるだろう。皆同じように、日々喜怒哀楽を感じながら、自分の人生を一生懸命に生きている。誰かとかかわる時、最初から障がいの有無で区別するのではなく、まずは皆同じだという意識から始めたいと思う。少なくとも私はそうしたい。生きている誰しも同じ人間だから。そう考える人が増えることで、少しでも一人一人が平等である世界を築けたら、その世界はもっと美しくなるだろう。

すべての人々が幸せでありますようにと私はいつも願っている。

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障害児のきょうだいの事はこのブログでも扱いました。
障害を持つ子どもの「きょうだい児」 2020/04/02
不登校になった「きょうだい児」 2021/07/08
そこでも書いたことですが、一般的に言うきょうだい児問題は幼少期の問題ですが、障害のあるきょうだい児の問題は成人になっても続き、親亡き後の問題や、結婚問題なども深刻にとらえている人は少なくありません。家族だけで支え合うのは困難で、公的な相談支援や同じ境遇のきょうだい同士のピアカウンセリングなどをすすめていく必要があるということです。

川﨑海晴さんは、親友に話してやっと心に閉じ込めた弟の秘密を解放しました。きょうだいは、当事者と自分の関係性のことだけを考えているのではないという事が、この作文からわかります。普通とは何か、自分は普通なのかとういう問いから、もう一方で皆ぞれぞれの人生があり、それぞれに生きているという事においては全て同じでそれ自身が尊いことだと、違う事が同じだと言う多様性社会や共生概念にたどり着きます。障害者のきょうだいだからたどり着けるチャンスがあったとも言えます。

女子スノボで超大技 縦3回転挑戦の岩渕選手に各国ライバルからも称賛続々

女子スノボで超大技 縦3回転挑戦の岩渕選手に各国ライバルからも称賛続々

2/15(火) 【日テレNEWS】

北京五輪スノーボードの女子ビッグエア決勝(15日)で日本の岩渕麗楽選手が3回目の滑りで超大技を披露。惜しくも着地が乱れましたが、演技直後に各国のライバル選手も駆け寄って抱擁。日本のみならず海外からも称賛の声が集まっています。

■最後の滑走で驚きのチャレンジ

2回目までの滑りを終えて、岩渕麗楽選手は4位。メダルを目指した最終滑走、そこで繰り出したのが"縦3回転"の超大技。公式記録では「トリプルアンダーフリップ」とされる、超高難度の大技で、大会で成功すれば世界初となる挑戦でした。

■実況も絶句 滑走後はライバル選手が続々と駆け寄る

この超大技チャレンジに実況も思わず「縦に2回…3回入れてきたー!」と驚きを口にし、その後も「いやあ…」と、しばし言葉を失う場面も。そして滑走直後には、岩渕選手に各国のライバルたちが駆け寄り、取り囲んで抱擁しそのチャレンジをたたえました。

■海外から称賛の声続々

日本だけでなく、世界に驚きを与えた岩渕選手の挑戦。各国のメディアもすぐさま反応しています。オーストラリアの7+は競技映像とともに「スクロール厳禁!」とツイートし、岩渕選手の大技挑戦を速報。カナダの放送局CBCは「日本の岩渕麗楽選手が女子選手としてオリンピックで初めてトリプルアンダーフリップに挑戦しました」と速報で伝えました。

■実は骨折も・・・挑戦の舞台裏

果敢に挑んだ岩渕選手ですが、競技後のインタビューで、前日の予選で左手の甲のあたりを骨折していたことを明かしました。

また、各国のライバルが集まって抱擁してくれたシーンについては「転んだショックで何を言われたか覚えていない」とコメント。涙を流し、結果への悔しさをにじませたものの、「悔しい気持ちの方が大きいが、最後チャレンジできて良かった」と前を向きました。この前人未到のチャレンジに世界中から称賛の声が集まっています。

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スポーツっていいなぁ。若いっていいなぁ。岩淵選手のトリプルコーク(公式には「トリプルアンダーフリップ」)の後、各国のトップ選手が集まってきて岩淵選手のトリックを讃えて抱擁している映像には世界が感動しました。これは、同じ女子ビッグエアの村瀬心椛選手が銅メダルを獲得した事がかすんでしまうほどのスーパートリックだったということです。村瀬選手も日本選手としては浅田真央さんを抜いて日本で史上最年少のメダリストとなり、夏のオリパラのスケボ―と同じく10代の活躍を見せつけてくれました。

ゲレンデの友情シーンは、アイススケートでドーピング疑惑のワリエワ選手について、インタビューで一切コメントしないSP上位3位の選手達の関係とは好対照の出来事です。そもそも、フェアプレーの中でしか友情は芽生えないのだということを、不正審判続きの北京五輪に突きつけた二つのシーンでした。そして、共産主義とフェアプレーは無縁であることを、選手たちのひたむきさが教えてくれています。

10代を主力とするスノボ世代が日本から次々に育っていることが今回の冬季五輪でも証明されました。悲願の金メダルをとった平野歩夢選手の3回全てのジャンプでトリプルコークを成功させた偉業は日本のボーダーアスリートを奮い立たせたと思います。そして、オリンピックの大舞台でメダルを獲得できることは素晴らしいですが、それ以上に大切なことをアスリートは挑戦を通して私たちに、そして子どもたちにも教えてくれています。

 

スノーボード・岩渕麗楽の大技 一斉に世界の選手が駆け寄った!!

「ADHD」は6倍「学習障害」は5倍…「発達障害の子」10年で急増のワケ

「ADHD」は6倍「学習障害」は5倍…「発達障害の子」10年で急増のワケ

2022.1.26【幻冬舎ゴールドオンライン】

現在,日本において「発達障害」とされる子どもが急増しているといわれています。そこにはどのような理由があるのでしょうか。みていきましょう。

発達障害のある人への支援は国民の責務
発達障害とは,発達障害者支援法において「自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」とされています。また「その他」には,厚生労働省の省令で定められている,吃音やトゥレット症候群,選択性緘黙が含まれるとされています。

この法律ができる2004年より前は,発達障害のある人への支援を定める法律はなく,発達障害の明確な定義もありませんでした。この法律ができたことで,自閉症,アスペルガー症候群,注意欠陥多動性障害(ADHD),学習障害(LD)などが「発達障害」といわれるようになったのです。

発達障害者支援法では,障害特性やライフステージに応じた支援を行うことが国や自治体だけでなく,国民の責務として定めています。もはや「発達障害なんてよく分からない」と知らないふりをするわけにはいかないわけです。

発達障害は「社会の問題」とした発達障害者支援法。さらに発達障害の早期発見とともに,「切れ目のない支援」を行うことが明記されています。つまり就学前に始まり,小学校,中学校,高校,大学,そして職場……それぞれ独自の支援を行うだけでなく,情報共有のもと継続的に支援を行うことをうたっています。

さらに各都道府県と指定都市には,発達障害のある人に対し,総合的な支援を行う「発達障害者支援センター」の設置が義務付けられました。自治体が運営しているもののほか,社会福祉法人や特定非営利活動法人などによる事業所など,運営主体はいくつかあり,事業内容も少々異なります。どのような形態であれ,発達障害者支援の地域の中心的な役割を担い,「自分は発達障害かもしれない……」と思っている人でも相談できるところでもあります。

小中高「通級」に通う子どもは右肩あがり
障害やグレーゾーンの子どもをもつ親にとって,就学に関しては大きな不安を抱いていることでしょう。現在,小・中学校では,比較的障害の程度が軽い子どもに対して,「通級による指導」が行われています。

通級とは「通級指導教室」のこと。そこに通う子どもは,通常学級に籍を置き,学校生活のほとんどを“ほかのみんな”と一緒に過ごし,週に何時間かある通級による指導の時間だけ通級指導教室に移動して支援や指導を受けます。

通級による指導とは,小学校又は中学校の通常の学級に在籍している軽度の障害のある児童生徒に対して,主として各教科等の指導を通常の学級で行いながら,障害に応じた特別の指導を特別の指導の場で行う指導形態です。
出所:学校教育法施行規則第73条の21及び同施行規則第73条の22

通級で行われるのは,「自立活動」。障害による学習や生活上での困難を改善・克服するためのもので,指導内容はさまざま。担当教師が子ども一人ひとりに合わせて最適なことを行います。障害の程度や状態はさまざま。緩い指導のカタチが“ちょうどいい”というわけです。

文部科学省『令和元年度通級による指導実施状況調査』によると,国公私立小学校,中学校,高等学校で通級による指導を受けている児童生徒数は13万4,185人。前年から1万1,090人,10%弱の増加でした(図表)。

そのうち,発達障害(ADHD,学習障害,自閉症)は7万2,733名で,通級に通う児童生徒の半数以上が発達障害です。

さらに細かくみていくと,注目すべきは増加率。10年で,ADHDは4,013人から2万4,709人と約6倍,学習障害は4,726人から2万2,389人と約5倍,自閉症は8,064人から2万5,635人と約3倍にも増えています。

少子化が進むなか,確実に発達障害の子どもは増えています。これは前述の発達障害者支援法がつくられたことで,それまで「落ち着きのない子」などと括られていた子どもに,しっかりと診断がつけられるようになったことが大きいと考えられます。つまり「増加した」というよりも「認知が進んだ」といったほうが正しいといえるでしょう。

「発達障害」。当事者でなければ関係ないと思うかもしれませんが,その支援は国民の責務とされています。まずは知ること。それは私たちの責任です。

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発達障害への認知は年々広まっています。「普通学級の中にも支援の必要な子どもはいる」ということは当たり前になっていると思います。そのような子どもたちが安心して学習に取り組めるよう,様々な工夫がされています。

記事の中にもあるように発達障害支援センターは府と市に一つずつ設置されています。しかし,人口の1割を占める発達障害をカバーするには,260万人の京都府なら26万人となり,とても二つのセンターで背負える数ではありません。そこで,各保健所地域にも発達障害者圏域支援センターを設けていますが,この乙訓地域だけでも1万5千人のニーズがあることになりその相談機能の実効性は危ういと思います。教育にも京都府では各支援学校に相談支援センターが設置され各学校を巡回していますが,支援するのは各学校に任されているので,学校による支援のばらつきは大きいと言われます。

相談支援を行うところが多いに越したことはありませんが,大事なのは家庭,学校,支援機関と連携をすることです。案外子どもの状況を共有するだけ,ということも少なくありません。それぞれの場所で子どもが安心して過ごすことが出来るよう,支援の方法を一緒になって考え,それぞれの場所で実践する必要があります。未だに,親の子育ての責任にして自分たちが子どもたちに与えている不適切な対応に気が付かない園や学校,職場は少なくありません。少なくとも,教育機関や福祉機関では,行政が正しい支援知識を提供し現場はそれを学び,正しく支援して欲しいと思います。

「経済を回すのと同時に、子どもの教育もしっかりまわしていくことを考えるべき」東京都医師会・川上...

「経済を回すのと同時に、子どもの教育もしっかりまわしていくことを考えるべき」東京都医師会・川上理事が話す「子どもとワクチン」

2月9日(水)【TBS】

東京都医師会の川上一恵理事(小児科医)は8日に都内で行われた東京都医師会の記者会見で、新型コロナウイルスによる学級閉鎖や保育園休園、学校行事の中止などが相次いでいることを受け、感染の実態を説明するとともに「経済を回すのと同時に、子どもの教育もしっかり回していくことを考えるべき」などと話しました。

(会見の概要は以下)
■子どもの新型コロナウイルス感染 “症状”や“感染経路” 実際のところは?

川上一恵 東京都医師会理事:
小児のコロナはどんな感じなのでしょうか。これはデルタ株のときまでのデータで、日本小児科学会の「コロナ対策」のメンバーがまとめた論文から引っ張ってきました。子どものコロナは、デルタの時ですら、大多数が軽症でした。たまに、中等症、酸素が必要かな、という子が出てくるような状況です。ただ中には重症になる子が、本当に少ないがいて、それは2歳未満だったり、基礎疾患を持っている子だったということです。今回でいうと、0歳児の発症を私も沢山見ています。ただ、皆さんほとんど自宅療養できるくらいに軽くなっています。

「軽い」とはどのくらいかと言うと、子どもの場合は38~39度くらいの熱で発症します。その熱も長くは続かず、1日から長くても3日で皆さん解熱してしまいます。小学生くらいだと、喉の痛みを訴える子、熱が高い時に頭痛を訴えるお子さんが多いです。そのあとに咳がどのくらい出るかというと、軽い咳を訴える子が少しいるが、ほとんどの場合、10日間の待期期間の大半は暇を持て余して、家に閉じ込められて、その相手をする親が大変という状況で過ごしています。

では、先行感染者はどうなのか?というと、これも小児科学会のデータで2021年11月までのものだが、ほとんどはやはり70%が家族から、お父さん、お母さん、あるいは大きいお兄ちゃんやお姉ちゃんが学校や会社で貰ってきてしまって、それを家庭内でちびちゃんたちがもらっているというパターンがあって、今もほとんどがそれです。

今も、よく「保育園が閉鎖になった、保育園でうつっているんじゃないか」とか、「学校で広まっているんじゃないか」と言われるんですが、保育園や学校は対応がとても早いので、私が見ている限り、一人目の(陽性者の)発見が早ければ、それほどクラスターにはなっていません。ただ、学校とか保育園は、幼児のために濃厚接触者をしっかり見出して、濃厚接触者の指定をして、休園にしてしまうとか、学級閉鎖にしてしまうという結果で報道にあるような学級閉鎖が多発している、保育園もクラスごとに閉めているということが起きている。

■「コロナは風邪だと言い切れない疾患」まれだが血管炎の症状も

川上理事:
小児でたまに重症化があるということで、なめてかかってはいけないと思うんですね。「ただの風邪でしょ」とは言えないのは、「小児多系統炎症性症候群」という全身性の血管炎が起こります。ただ、これは発症当初ではなく、発症から2~6週、平均では28日前後経った頃に起きる、「お腹が痛い」とか熱の再燃という形で始まる全身の血管炎であると。

ここでステロイドを使われたりという治療を受ける子どもがいる。ただ、これに関しても米国のデータと比べて日本は、米国でさえ発症率は0.08%と言われる中で、日本はその25分の1である0.003%前後しかいない。いないけれども、無視はしてはいけないという意味で決してコロナは風邪だと言い切れない疾患です。

■本来、小児期に学ぶべきことが出来ていない子どもが増えている

川上理事:
このコロナ、流行が丸2年続いた。そうした中で子どもたちはどう過ごしているのかというと、臨時休校措置から始まり、学級閉鎖、濃厚接触者としての登校停止。さらに家庭内では親が家にいることで、家庭内で居場所がないとか。家にいても東京ですから、なかなか豪邸ではないです。狭い家に親子ともに一緒にいる中で、「うるさい」とか、親がリモートで会議をしているときは「だまってろ」とか、あと「勉強なぜしない」などと叱られる子が沢山いて、静かにしていればゲームしちゃうとか、生活リズムが崩れちゃうというようなお子さんが多々見られています。それから学校ではさまざまな行事が中止されています。

この2年、修学旅行も行っていない、運動会も文化祭もやっていないというような学校、保育園が多発しています。中学校高校だと3年間しか行かないのに、2年間行事が全くなくなってます。それから乳幼児それから学校でもマスクをしているために友だちの顔を全く分かっていません。人の表情を見て、人の心を読んで行動するというような本来、小児期に学ぶべきことが出来ていない子どもが増えています。

それから臨時休校措置後に分かったことですが、子どもは2か月、3か月家に閉じ込めただけで体力運動能力が落ちてしまい、すぐに座り込んでしまったり、学校が再開されたら転びやすくなってしまったりと顔にケガをする子が増えました。それから視力が低下しているというデータも上がってきています。さらにこういった状況、大人ですら、「いつになったらこの状況が終わるんだ」と思って生活している。子どもたちはその状況すら良くわからないで生活している分、鬱っぽくなったり、やる気がなくなったり、すぐちょっとしたことでキーっと感情のコントロールが出来ない子が増えたり、中高生になると自殺する子もここに来てぐっと増えています。

■5~11歳へのワクチン接種 基礎疾患ある子は「自分の身を守るため」

川上理事:まもなく5~11歳のワクチン接種が始まるが、「子どものコロナは風邪なんだからワクチンするメリットはないんじゃない?」という声もあるが、さきほど言ったように重症化しやすい、リスクのある子がいるなど、基礎疾患がある子に関してはワクチンをすることは一つ朗報。そして、これによって、学校行事の中止がもし今までのようなことが変化できるなら、行事をやってもらえるようになるのであれば、やるメリットはあるかもしれません。

ただここは国が考えることですから、保証の限りではありません。同居する家族に高齢者がいたら、その人たちを守れるじゃないかという説もあります。しかし、まずは大人は自分で自分の身を守る。その中に付随して子どもたちが、おじいちゃん、おばあちゃんのためにも自分はワクチンを接種したいという、自ら希望する子にとっては、ワクチン接種で心の安定も得られるでしょうし、本人の免疫をつけられるというメリットもあると思います。

ワクチン接種のデメリットに関して言えば、やっぱり痛いです。筋肉注射に日本の子どもは慣れていないので、特に5歳児、6歳児は初めて筋肉注射を打つことになりますから、その痛みに対する対応をどうするのか。それから接種の意義に関して、どのように説明していくかということが課題だと思います。

子どもに関して、今、オミクロンがこれだけ流行っている中ですぐに「接種しろ」とは言いません。しかし、これから先も変異株が次々出てくる可能性を考えた場合に、いつまで子どもたちが行事も出来ず、マスクをしたままの状態で生活をし続けなければいけないのか。どうやったら子どもたちの健やかな育ちを保証してあげられるのかということを、そろそろ私たち大人は考えていかないといけないのではないかと思います。今、一番の課題はここではないでしょうか。

(以下質疑)
ーー子どものワクチンについて基礎疾患を持つ子どもへ推奨しているが、基礎疾患を持たない子が打たないと学校でクラスターが発生するなど、現状とあまり変わりないようにも思うが?

川上理事:
質問の論点が2つごっちゃまぜになっている。基礎疾患のこどもにワクチンを打つのはその子自身が自分で守らせるため。それはそれで意義がある。他の子に関しては、ワクチン接種をやるか、やらないか、と言ったときに、やったらクラスターが避けられるのか、というと、大人の世界もそうだが、2回接種してもかかっている人がかなりいる状況において、今のような子どもたちの「1人発生したら濃厚接触者を10人くらい洗い出して、みんなまとめて休ませて」ということをやっていたらば、それは避けられない。

今現在も確かに、中にはクラスターというくらい陽性者が多発し学校閉鎖になっているところもあるが、かなり多くのところは1人、2人しか陽性者が出ていなくても、「濃厚接触者の子たちも10日間休ませると、学級が成り立たなくないから、じゃあ結構学級閉鎖にしよう」とか言うところが結構多い。だから学級閉鎖の基準も「こうなったら学級閉鎖です」という基準がないので、各学校の管理者と学校医の間で相談をして、「ここらへんは学級閉鎖しておいた方がまん延しなくていいかな」という形で決めていますので、基準が全く違います。ですから、今の状況を持って、学校がクラスター化していると捉えるのはちょっと違うと思う。

それからワクチンの件だが、子どもによって「やりたい」と思っている子もいます。健常児でも「接種したい」と思っている子もいるので、そういう子にはワクチン接種をさせてあげればいいと思いますが、やりたくない子にまで「やらなけれないけない」という同調圧力をかけてまでやる必要はないのではないかというのが、多くの小児科医が考えていることだと思う。

■経済回すのと同時に子どもの教育も回すことも今しっかりと考えるべき

川上理事:子どもたちがいかに、心身ともに豊かな子どもとして育っていく場にするためには、私たちは経済を回すのと同時に、子どもの教育もしっかり回していくかということを考えなければ、10年後20年後、この抑圧された状態で育った子どもたちが、大人になった時にどういう社会人になるかということも考える必要があると危惧しているところです。


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感染が減少したとは言え日本より感染者が多いイギリスやスウェーデンの政府では、すでに事実上の終息宣言をしました。国民の7割以上がワクチンの2回接種を終了していることでオミクロン株の感染があっても重症化は極めて少ないとして、社会を正常化する方向に舵を切りました。同時に、全国民に室内マスクの義務も解除しました。一体、この違いは何でしょうか?イギリスやスウェーデンのオミクロン株は我が国のものと同じものだし、症状もほとんどが無症状か軽症というのも同じです。違うのは国民の気質と政治家の姿勢です。

東京医師会の記者会見で小児科医が出てくるのは初めてだと言います。それほど、子どもの感染予防をめぐって不確かな情報が錯綜しているという事です。学級閉鎖の基準がなく判断がバラバラなのは学校医によって考え方が違うからだと、医師会の担当理事が言い出すのですから驚きです。おそらく全国の学校でも、ここ乙訓でも同じ事が起こっているはずです。もっと、びっくりするのは感染の多くは学校ではなく家庭で大人から子どもがもらっていると発表していることです。それならば学級閉鎖などしても感染防止には意味がありません。

子どものワクチン接種は同調圧力でするものではないときっぱり言い切る本音は基礎疾患のない子どもは打つ必要すらないと文脈からは読み取れますが、そうは言わないのは製薬会社に気を使っているかもしれません。川上理事の考えはほぼ英国やスウェーデンと同じなのだろうと思います。今後も変異株は出てくると思うが、それを心配して戸外に出ずにマスクを2年も3年もつけていて心身の発達に良いわけがないと言いたいのだと思います。それでも、政治家は「テレビ感染」した「コロナ脳」の有権者に媚びて、経済も子どもの教育も後回しにしていきます。

ベネッセが品川区と読み書きの発達特性に配慮したICT学習の実証試験を実施

ベネッセが品川区と読み書きの発達特性に配慮したICT学習の実証試験を実施

2022/02/08 【塾ニュース】

株式会社ベネッセコーポレーション(岡山市、小林 仁 代表取締役社長)は、東京都品川区と、区内公立小学校・義務教育学校11校にて、2021年9月2日(木)~2021年12月24日(金)の期間で、子どもの読み書きの発達特性に配慮したICT学習を活用した実証試験を行った。

この取り組みは、対象校で通常学級を含めて読み書きに関する困りのチェックテストの一斉実施を行ったうえで、ベネッセで開発している発達障害児や読み書きに困りを抱える児童向け学習アプリを、各小学校と各児童の家庭で任意に利用してもらうもの。

今後も、ベネッセで開発中の発達障害児向け学習アプリが、学校現場でより良い学習支援につながるように、品川区そのほかの自治体の協力を得ながら、機能改善を目指す。また、小学校の児童の多様性を考慮して、このたびの取り組みに加えて、首都圏のみならず、さらに多くの児童についての効果検証していくことで、より良い学習支援につながることを目指す。

【実証試験の概要】
○実証試験期間
2021年9月2日(木)~2021年12月24日(金)
※一部学校においては引き続き利用継続
○実施校・学年・人数
品川区内の公立小学校・義務教育学校37校中11校
通常級2年生児童675名、特別支援教室1~4年生児童163名、特別支援学級1~4年生児童69名
○実証試験内容
ベネッセで開発している発達障害児や読み書きに困りを抱える児童向け学習アプリを、各小学校と、各児童の家庭(任意)で利用頂く。

・品川区から各児童に配布している1人1台デバイス(iPad)を利用
・学習アプリには、チェックテストとそれに合わせて最適化されたレッスンが含まれる
・児童向け学習アプリはWEBブラウザで作動するため、各児童のデバイスからご利用いただけるように設定。教師向け機能はWEBブラウザで作動するため、各学校のデバイスからアクセスできるように設定

【実証試験の背景とねらい】
現在、通常級に在籍する児童のうち、読み書きに困りを抱えているお子さんは6.5%(*注)とされ、さらに何らかの問題を抱える子供も合わせるとより多く居るといわれている。また、学級運営と個への支援を両立することに悩む教員も多く居ると考えられている。

ベネッセでは、一人ひとりの子供の多様な特性に合わせることにより、「学び」を支え、未来を切り開く力を伸ばすために、最新の発達研究に基づいた支援技術を活用したICT教材の研究開発を進めてきた。

今回の実証試験においては、品川区で各児童に配布されているiPadを用いながら、チェックテストによって見過ごされている読み書きにおける問題を抱える児童を早期に見つけ、さらにそのテスト結果の特性に基づいたレッスンを提供することで、それぞれの児童の読み書きスキルの向上や学習意欲の向上、指導者の労務負荷の軽減や指導効果の実感、そしてそれによって保護者含む多くの支援者の安心を醸成することを目指している。

*注:知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合(『通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について』平成24年12月5日 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/__icsFiles/afieldfile/2012/12/10/1328729_01.pdf

【自治体向けモニター募集】
○モニターで利用する学習アプリ
読み書きの発達特性に合わせた児童向け学習アプリ「MARUG Land」(マルグランド)
※提供教材は小1-4 の範囲の「読み」「書き」「読解」となる。
○モニター期間
2022年4月1日~ 7月末を想定(要ご相談)
○対象児童
通常級、通級指導教室、特別支援学級在籍の1~3年生
※GIGA標準仕様のタブレットで利用可能。Webブラウザでアクセス可能で、インストール等は不要。
○利用お申込み
まずは教育委員会より、accessible@mail.benesse.co.jp へメールにて相談。
※本モニターは2023年度有償導入を見据え、導入可否のご判断をいただくことを前提としたモニター募集となる。(1自治体当たり1~2校を想定しております)。モニター数に上限があり、相談頂いた後にモニター実施ができない場合もある。

<教材の特長>
1.発達特性に合わせた調整機能
児童の学習意欲を削がないよう、問題文の読み上げ機能や問題の分量・難易度など、学年を意識することなく、特性に合わせた学習環境の調整ができる。

2.チェックテストから学習内容を自動オススメ
まずは児童の認知特性、読み書きの困りをチェックテストで確認。豊富な読み書きトレーニングから、最も子供に合っている「学び方」を自動提案する。

3.児童の取り組みを客観データとして共有可能
チェックテスト結果からの児童の特性・指導方針に加え、取組状況などを見ることができる。学習状況を学校の先生方や保護者と共有することで、共通認識ができたり、褒め励ましによって子供の自己肯定感を育んだりする。

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現在、発達障害対応の学習アプリはいくつかありますが、カスタマイズができないので何通りもある発達障害の状況に必ずしもマッチングしているは言えません。学習障害と一言で言っても、「読み」の問題か「書き」の問題か、「数量・計算」の問題なのか、そのいずれかの組み合わせかその程度も合わせると、その傾向に合わせた支援は一つや二つではないのです。

しかし、AIならビッグデータから特性集団を見つけ出し、本人が一番パフォーマンスを発揮しやすい学習内容と入出力関係をカスタマイズしてくれるはずです。すでに通常教育では、新米教師が教えるよりもネットにつながった端末でAIが学習支援したほうが学習効果が上がると言われています。

デジタル機器の得意技は膨大なデータ処理ですから、様々な苦手のある人の情報をたくさん集めて、最も効果のあがる結果を選び出すのは簡単です。もちろん、その日の気分感情や意欲までは数値化できませんが、いずれ、体温や発汗、酸素飽和度、心拍数や脳波等を集めて身体コンディションを測りながら最適な学習変数を導き出すかもしれません。ぜひ、様々な自治体で試験導入に取組んでほしいものです。

話した言葉を文字で表示してくれる「字幕表示ディスプレイ」 静岡県庁で試験導入

話した言葉を文字で表示してくれる「字幕表示ディスプレイ」 静岡県庁で試験導入 英語や中国語など60か国語の翻訳機能も 聴覚障害のある人や外国語を使う人の手助けに

2/7(月) 【静岡朝日テレビ】

こちらは最新技術の話題。会話をそのまま自動的に文字で表示してくれるディスプレイが静岡県庁で試験的に導入されました。聴覚障害のある人や外国語を使う人とのコミュニケーションを手助けします

聴覚障害者や聞き取りに不安のある高齢者の助けに
根方ゆき乃記者:「県庁の広聴広報課の窓口に設置されたこちら。ただの透明なアクリル板ではありません。『こんにちは。きょうは天気がいいですね』このように話した言葉を文字で表示してくれます」

県広聴広報課の窓口にきょう登場したのがこちら…。「字幕表示ディスプレイ」です。

会話の音声を自動で文字にしてくれるという近未来的な道具です。マスクの着用が日常となり会話の口元が見られない中、聴覚障害者や聞き取りに不安のある高齢者を助けてくれる優しいアイテムです。

広聴広報課
横石久美子主事:「県庁には様々な県民の方が来る。そうした時にその方々に応じてきめ細やかな誰にでも優しい対応をしたいということで設置を決めた」

翻訳機能は60か国語対応
さらに、翻訳機能も備えています。

職員使い方説明:「こちら側が話している音声の言語を選択できてこちら側がマイクで拾った音声を何語に翻訳するか選択できる。言語の種類がこの中から選択できるようになっていて…」

対応言語は、英語や中国語などおよそ60カ国!翻訳機能も兼ね備えるなど賢い頭脳を持っています。

韓国語と日本語やり取り
(韓国語で尋ねる)
回答:「会議室は出口を出て右側にまっすぐ行くとあります」

筑波大学×ジャパンディスプレイの共同開発
きょうはさっそく職員らが外国語を話す県民が窓口に訪ねてきたと想定し、使い方を確認していました。このアイテムの開発は、情報学などの分野で活躍する筑波大学の落合陽一准教授らによる研究グループと、日本の液晶ディスプレイメーカー・ジャパンディスプレイが共同で行い、価格はおよそ17万円。

現在、焼津市や東京都葛飾区など全国4つの市や町で試験的に導入されていて、都道府県では静岡県が初めてです。県は、来月7日まで窓口での業務や、ミーティングなどで試験的に活用した上で、今後は県民サービスセンターなどへの設置を検討しています。

広聴広報課
横石久美子主事:「いろいろな所でこういうものが活用されるとどこの窓口でも丁寧な窓口対応ができるようになるので広がっていけばいいなと思う」
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スマホなどではすでに10年程前から音声翻訳機能は搭載されていますが、ここ数年のうちに翻訳精度が飛躍的にあがっています。数年前から海外の格安ホテルで、チェックインする際に外国人だとわかったらiPadを差し出されて双方の翻訳に使っているのを見た時は驚きましたが、とうとう役所の窓口に登場したということです。

ただ、透明液晶ディスプレーが17万と高額ですが、透明なので対面して表情を見ながら話すことができるので、ただの液晶パネルでは得られない質の高い双方向性が得られると思います。通訳者一人雇うことを考えれば安いものですし、60か国語対応ですから知らない言葉の外国人が来ても対応するために職場中が右往左往することも少なくなり効率的に業務ができると思えば安い買い物かも知れません。

また、音声を記録すると記録容量が大きいですが、音声認識したテキストにすればわずかなデータ容量で記録できますし、情報の所有権さえ双方の所有物と法的に位置づけられるなら、使い方を広げて通訳テキスト記録を様々な用途に生かせる可能性もあります。聴覚機能に障害があったり聴覚モード処理の苦手な人でも視覚的に示してくれれば、コミュニケーションもスムースになると思われます。是非、役所と言わずお店なども含めパブリックな窓口に置けば、誰にでも役立つはずです。

体を動かすことが楽しい、発達障害のある子どもたちのスポーツ実施率の向上

体を動かすことが楽しい、発達障害のある子どもたちのスポーツ実施率の向上

2022年1月17日【DEPORTARE】(デポルターレ)

発達の遅れが原因で、運動の苦手・不器用な子どもたちがいます。運動は「できる」「できない」がはっきりし、相手にも見えてしまうため、彼らにとって運動の場面というのは自分のできなさを披露する「失敗の連続の場」になる可能性があります。そのため、彼ら一人ひとりの動きの特性を見極め、その子に合ったレベルで、スモールステップでの練習を楽しく続け「できる体」を作ることが大切です。また、それらを達成するために指導者の育成・保護者の理解を併用して行うことで、彼らが楽しく運動ができる環境を整えていくことにつながります。

スポーツ庁では、一人でも多くの方がスポーツに親しむ社会の実現を目指して「Sport in Lifeプロジェクト」に取り組んでいます。今年度は、スポーツ参画人口拡大のための取り組みとして、「スポーツ実施を阻害する課題解決のための実証実験」および「ターゲット横断的なスポーツ実施者の増加方策事業」の2つの委託事業の実施団体を募集しました。今回、実施団体の中から、発達障害のある幼児・小学生を対象とした運動・スポーツ意欲向上のための取り組みを行う、横浜YMCAの活動を紹介します。

段階を踏んだ指導でわかりやすく
YMCAとは、世界120の国と地域でおよそ6500万人の会員を有する、国際的非営利団体(NGO/NPO)です。今回お邪魔した施設は、「湘南とつかYMCA」。スポーツクラブやプール、英会話スクールなどを通じて社会教育を行っています。

体育館で行われたのは、横浜YMCAの主催する発達障害児のスポーツを通じた教育支援クラスです。集まったのは、およそ10名の子どもたちとその保護者。下は幼稚園の年少さんから、上は小学2年生までです。この日は、地元・横浜で活動するBリーグ所属のプロバスケットボールチーム「横浜ビー・コルセアーズ」のコーチらを招いて、バスケットボール教室が行われました。

前半の1時間は、神奈川県立保健福祉大学リハビリテーション学科の笹田哲先生(作業療法士)が指揮を執り、「からだの使い方教室」がスタート。集まった子どもたちは、先生の動きを見ながら楽しそうに動いています。

例えば、スクーターボードを使った手押し車は、「手首や体幹を鍛えることにつながります」と、笹田先生は周りで見ている保護者への説明も怠りません。どの運動にも、保護者を巻き込んで一緒に参加してもらい、親子そろっての運動機会をつくっていました。

その後、フラフープを使って、ドリブルやジャンプといった動作につなげたり、縛ったタオルを投げることで、シュートの動作につなげたりと、後半のバスケットボールの動きを取り入れた運動遊びを行いました。

「発達障がいの子どもたちに対しては、こうして動作の段階を踏んでいくことがとても重要です。とにかく、体を動かすことが楽しいと思ってもらえるように、たくさん褒めることを心がけています。ここへ来るだけで地域参加になりますし、“できた!”という体験を積んで、さらなるスポーツを通じた社会参加へつなげていきたいですね」(笹田先生)

 将来スポーツ好きな子になってもらいたい
一度休憩をはさんで、いよいよバスケットボール教室のスタートです。主に指揮を執ったのは、横浜ビー・コルセアーズの山田光佑コーチ。普段は、横浜ビー・コルセアーズが運営するスクールに通う小学5・6年生の指導を担当しています。「去年はコロナの影響でできませんでしたが、クラブで幼児クラスもやっています。その経験を少し生かして、子どもたちの発育や能力に合わせたプログラムを持ってきました」と話します。

ボールを触る前に、まずは遊びを兼ねた運動を行います。ジャンプして手をたたく、保護者とペアになってじゃんけんをして、負けたら走るなどです。基本的な動作を体に覚えさせます。

次に、実際にボールに触れてみます。座った状態でボールをたたくなどして、ボールに慣れてきたら、いよいよドリブルの練習です。子どもたちは、先ほどから段階を踏んで徐々に本動作に入ってきたので、全員が驚くほど上手にボールを扱っています。「手のひらをパーにしないで、少し指を曲げておわん型にすると、もっと上手にドリブルできるよ」と、山田コーチも子どもたちの様子を見て、的確にアドバイスします。

その後は、2チームに分かれて、リレー形式でドリブルをしながら走る練習をします。決して、チームで競っているわけではありません。あくまで子どもたち個々のペースを見守りながら、「速いね!」「うまい!」と、肯定的な声がけをしていきます。

最後は、みんなでゴールに向かってシュート練習をしました。通常のゴールでは届かない子のために、子ども用のゴールも用意。子どもたち自身が「入った!」「できた!」と、喜びながら夢中でゴールに向かってボールを投げていました。こうして、あっという間の1時間が終了。「楽しかった」と言う子が多くいました。

教室を担当した山田コーチは、「こういった教室は、子どもたちが体を動かすいい機会になるだけでなく、保護者のストレス軽減、さらには僕たちクラブで指導するコーチの指導の幅を広げることにもつながります。子どもたちに体を動かすことの楽しさを知ってもらい、将来はバスケットボール好き、ひいてはスポーツ好きになってもらうことが何よりの願いです」と話しました。

 たくさんのいい“勘違い”をさせてあげたい
教室を終えて、保護者にも話を聞きました。横浜YMCAのプールに通っており、メールでこの教室を知って参加したというお母さんは「いろんな運動も、それぞれどんな意味があるのかまで先生に教えていただきながらできたのが、とてもよかったなと思います。息子が楽しそうにしているのが何よりですが、どんなことでも経験させたいので、また通いたいです」と話してくれました。

教室を主催した横浜YMCAオルタナティブ事業本部長の山中奈子さんは、やはり子どもたちへの「成功体験」が、発達障害児支援のカギになると話します。
「この教室を通して、子どもたちにだんだん自信がついてきたことを実感しています。私たちはよく、たくさん“勘違い”して欲しいという表現をしますが、いい意味で『僕はできるんだ』『私は上手なんだ』と思い込んでもらうこと。実際にはできなくてもいいんです。『やればできるかもしれない』と思ってもらうことが大事なので、そのために私たちはたくさん褒めて、成功体験を積み重ねるようにしています」
実際、保護者からの反響もよく、リピーターが多いのだそう。

さらに、今後はバスケットボール観戦も予定していると言います。山中さんいわく、発達障害の子は、大人になってから趣味をもたず、仕事場と家との往復のみになりがちなのだそうです。そこで、子どものうちから趣味ができるように、「スポーツ観戦」に活路を見出しています。

「たとえ自分ではできなかったとしても、見ることはできますよね。それは一般の大人も同じです。それで世界がひとつ広がることにつながりますから、運動教室と並行して、スポーツの観戦会も定期的に開いていけたらなと思っています」

今回は、発達障害児への取り組みを紹介しましたが、子どもへのスポーツ指導において、「成功体験を積む」ことの大切さは共通しているといえるでしょう。今後、こうした取り組みが広がることで、より多くの子どもたちがスポーツに親しむことが期待されます。

 Sport in Life プロジェクト(その他の取り組み事例は当ホームページ内にて紹介しておりますので、是非ご覧ください)https://sportinlife.go.jp/

【DEPORTARE】(デポルターレ)=スポーツ庁広報マガジン
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素晴らしい取り組みだと思います。学校の体育の時間で「運動嫌いになった!」という話はよく聞きます。1年生の「体遊び」の単元まではどのような子どもも楽しく参加できますが,「ゴール型ゲーム」や「マット運動」の単元になると難しいと感じる子どもが増えてきます。特に自閉症の子どもは気持ちを考えることや自分で見通しを持って行動することが苦手なのでチームで協力するスポーツになると途端に緊張をしてしまいます。本人に悪気はないのですが,迷惑をかけた,と思って自己肯定感の低下にも繋がってしまうケースが多いです。

「湘南とつかYMCA」さんではスモールステップでバスケットボールを教えていく,とのことでした。初めは遊びを兼ねた体運動,次にボールに慣れるための遊び…といったように少しずつ進んでいきます。そして指導は子どもたちの様子を見ながら肯定的な声掛けをしていると書いていました。子どもたちが「楽しい!」と思える工夫を凝らしていることがよく分かります。

筆者も教員時代,「楽しい!」と思えるように体育の授業を工夫したつもりでしたがついつい「ここはこうした方がいいよ」「そうじゃなくてもっと周りを見て…」等,子どもたちを否定する言葉が多かったな,と反省しています。こういった活動が広まり,どのような子どもでも「体動かすのって楽しいね!」と思えるようになればいいな,と思います。

タブレット使わないの? 自宅待機、オンライン授業進まず

<ユースク> タブレット使わないの? 自宅待機、オンライン授業進まず

2022年2月4日 【中日新聞】

新型コロナウイルスの感染が市内の小中学校でも広がる中、自宅待機となった中学生の保護者から「ユースク」に「学校がオンライン授業をしてくれない」という投稿があった。「第六波」に向け準備を進めた学校がある一方、急激な感染拡大に混乱する現場からは「オンライン授業どころではない」との悲鳴も上がる。 (森若奈、宮崎厚志)

「何のために税金を使ってタブレット端末を全員に配備したのか。実際の有事には活用できていない」緑区の三十代女性は、国の「GIGAスクール構想」で小中学生に配備された学習端末に触れつつ、こう訴えた。

一月下旬、中学生の娘の部活で陽性者が出て、娘は約一週間の自宅待機となった。学級閉鎖ではないので娘のクラスでは対面での授業が続いていた。オンライン授業を期待したが、学校からは「テスト勉強をしておいて」と伝えられただけという。

このほか、学級閉鎖になった二人の孫と同居する南区の主婦(64)からも「以前の休校ではタブレット端末やプリントを活用した宿題が出たが、今回はそれもない。親が勉強を見られない家庭は、だらだら過ごすだけの待機期間になりそう」という声が寄せられた。

市教育委員会は一月末、コロナの影響で学校に来られない子ども向けに「タブレット端末も活用して学習指導をする」という方針を各校に通知した。ただ、実際にオンライン授業をするかどうかは各校の判断で、どのくらいの学校で実施できているかは「把握していない」(指導室)という。

感染拡大を見据え、独自に準備を進めていた学校は実際にある。市のモデル校でもある東区の矢田小学校では「第五波」の昨年九月時点で、学年ごとに交代でオンライン授業を試した。市教育センター(熱田区)でも、学校から要請があれば、専門講師がオンライン授業についての研修を行っている。

一方、市内のある市立中学校の教頭は「周辺には、同時に三、四学級で閉鎖が起きた学校もある」と話す。中学では一学級で複数の教員が授業をするため、一度生徒に陽性者が出れば、三、四人の教員が濃厚接触者とみなされ、在宅勤務になることもある。「そうなると正直、学校内の授業もままならないだろう。オンラインどころではない」と厳しい現状を明かした。

この学校でも学級閉鎖は起こっており、閉鎖しているクラス向けのオンライン授業は何とかできている。ただ、コロナ感染に関して保護者の問い合わせが相次いでいるほか、子どもの保育園の休園で在宅勤務をせざるをえない教員も増えており、出勤している教員も疲弊し始めているという。

教頭は「濃厚接触者も自宅待機する現在のやり方では、教育を止めないというのは無理なのでは」と訴えた。

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学校ばっかり責めないでよと、教頭先生の言いたいことは良く分かります。濃厚接触者は現場に来てはいけないのですから、授業はできません。でも、濃厚接触となった教員の自宅待機はお休みなのでしょうか勤務なのでしょうか。勤務だとすれば自宅からリモート授業は可能ですから、もう少し考えて欲しいとは思います。そもそも軽微な症状なのに感染者の半分が死亡するエボラ出血熱と同等の2類感染症相当の政令をいつまでも変えないから、濃厚接触を特定しなければならず、こんなにややこしいことになっているのです。

岸田首相は、政令変更しない理由を、新たな変異ウィルスが強毒性をもったら元に戻す必要があるから変えないと言うのですが、強毒性のある変異ウィルスの感染が新たに分かれば、元に戻す政令を出せばいいだけじゃないのと、小学生でもおかしな答弁をしているとわかります。頑なに変えない理由は、検査会社や薬メーカーなど、2類にしておくことで都合の良い人たちが岸田首相の周りにいるのではないかと勘繰りたくなります。

現在は、保健所はもうパンクしていて、濃厚接触者は各校・事業所で判断してほしいということに変わってきているそうです。つまり、感染者は隔離だが濃厚接触者まではとやかく言わないということです。感染法上違法な感じがするけど、いいのかなぁと思いながらも、保健所長が言うのだからいいんでしょという変なことになっています。優柔不断なリーダーの元で学校も親も困っています。

「福祉×オシャレで世の中を変える」 身体障害者の声から生まれたブランド「ボトモール」

「福祉❌オシャレで世の中を変える」 身体障害者の声から生まれたブランド「ボトモール」 

2021/04/09【WWD】川井 康平

障害があってもなくても誰でも着られるファッションを提案する「ボトモール(BOTTOMALL)」が、パリ・コレクション参加に向けて着々と準備を進めている。同ブランドを2019年に立ち上げたのは、日本障がい者ファッション協会(以下、JPFA)の平林景代表理事だ。JPFAはファッションの力で福祉を明るくするためにさまざまな活動を行い、同氏は、自他ともに認める"福祉業界のオシャレ番長”。「福祉×オシャレで世の中を変えることが生涯をかけた使命」と断言するほど、ファッションの力で福祉業界の課題や世の中の偏見に熱く立ち向かっている。「ボトモール」は、なぜパリコレを目指すのか。平林に話を聞いた。

WWD:これまでの経歴を教えてください。

平林景(以下、平林):20代のころ美容師として働いていました。ヘアスタイルが変わることで自分に自信を持てるようになったお客さまを見るうちに、“オシャレ”が持つ力を強く感じるようになっていきました。でも徐々に手荒れが悪化し、最終的にはハサミを持つこともできなくなって25歳のときに美容師を辞める決心をしました。退職後は美容専門学校の教員として10年ほど働いたのち、福祉と出合って現在に至ります。

WWD:福祉業界に携わるきっかけは?

平林:身近に発達障害を抱える人がいて、不得意なことはてんで駄目でも、得意なことには突き抜けた能力を発揮しています。そんな人たちの長所を子どものころから伸ばせれば、障害を持つ人の人生や社会全体を変えられるんじゃないかと思いました。そこで勤務先の美容専門学校を運営する学校法人に掛け合い、1年間に渡る交渉の末、2014年に個別学習塾「東京未来大学こどもみらい園」を開き、副園長を務めました。

WWD:JPFAを設立した経緯は?

平林:知人から過去に「パリコレでは、車椅子の人たちを中心にショーが行われたことがないらしい」と聞いたのがきっかけです。美容師時代に感じていた、"オシャレ"の持つ力で福祉業界も変えられるんじゃないかと思ったんです。ニューヨーク・ファッション・ウイーク(現在はアメリカン・コレクションズ・カレンダーに改称)で義手やダウン症のモデルなどがランウエイを歩いているので、パリコレでも実現できると考えました。

WWD:なぜそのような事例がないと考える?

平林:車椅子は着座しなければいけないので、立位姿勢を前提としたコレクションではファッションとして成り立ちにくいではという先入観や、障害に対するネガティブな考えもあるからではないでしょうか。障害に対する偏見はまだまだ根強い。“車椅子だからこそ格好いい”を表現できれば、そういった世間の偏見や考えが覆せるのではないかと思っています。

「オシャレのために誰かの手を煩わせたくない」
WWD:どうして福祉×ファッションにこだわる?

平林:車椅子に乗る人とお会いした時に、「若いときはファッションを楽しんでいたが、車椅子に乗る今は、お洒落を諦めてしまっている」と話していました。その理由を尋ねると「車椅子では入れない試着室がある。仮に入れたとして服を一人で着れないときは、誰かにサポートしてもらわなければいけない。『オシャレがしたい』という自分の欲求を満たすために、誰かの手を煩わせることが心苦しくなった」という答えに心を強く締め付けられました。

もし車椅子の人が簡単に着られるお洒落な服があればそんな気持ちを抱くこともなくなるんじゃないかーー。そう思い立って教育系大学の生徒や教授、福祉の現場で職員などに相談したところ、座席に広げて座るだけで着脱できる巻きスカートのアイデアが出てきたんです。本格的に製品化するにあたりファッションブランド「ボトモール」を立ち上げました。


WWD:スカートを履くことに抵抗を感じる男性も多いのでは?

平林:そもそも障害を持つ人のための服を作っているわけではありません。「ボトモール」は“障害の有無や性別、年齢なども問わず誰もが着られる機能的な服”がコンセプトです。ブランド名は「ボトム」と「オール(全員)」を組み合わせた造語に由来しています。

WWD:一般的な巻きスカートと異なる点は?

平林:車椅子に座ったときに一番きれいに見えるように前と後ろの長さをアシンメトリーにしています。また足が動かしづらいと血流が悪くなり冷えやすくなるので内側の生地を起毛素材にしたり、着脱がより楽になるようにセンターにジップを施したりしています。

WWD:巻きスカートのほかにアイテムは?

平林:両サイドにジップを施してスムーズに着脱できるパンツや、片麻痺(体の左右どちらかが麻痺する症状)の人でも、腕を通さず着られるトップスなどを作っています。また車椅子を使用するとき、一般的なジャケットでは丈が長すぎてしわがつきやすいという声を聞き、丈の短いジャケットを作りました。巻きスカートと同じ素材でセットアップとしても着用できます。

行政を巻き込んでパリコレ出展に尽力
WWD:パリ・コレクション参加に向けて具体的にどういった活動をしている?

平林:JPFAの拠点がある大阪・茨木市の福岡洋一市長と共に、経済産業省のクールジャパン政策課に出向いてパリコレ参加についてお話をしました。現在はその取り組みを“パリコレプロジェクト”と題して、正式に茨木市後援事業としてサポートとしてもらっています。また大阪府の吉村洋文知事にはフランス大使館の大使を紹介してもらい、現地での支援をお願いするなどたくさんの方々に援助していただきながら、少しずつ実現に向けて前進しています。デジタルショーも視野に入れ来年の参加を目標にモデルオーディションも進行中です。

WWD:ショーの構想は?

平林:“If…(もしも)”がテーマです。もしも世界が車椅子を乗ることに当たり前だったら、どんなデザインや未来が生まれていたのかを表現したいんです。「車椅子の方でもお洒落ができる」とうたった、障害者のためのファッションショーをするつもりは全くありません。マイナスをゼロにするのではなく、マイナスをプラスに変える「車いすだからこそ格好良いファッションは何か」を世界に向けて提示したいです。

WWD:今後の課題と展望は?

平林:障害に対する世の中のイメージを変えたいです。福祉業界の意識だけを変えても何も変わりません。世の中を変えるためにはまず地域を、地域を変えるためには市長や知事などのトップの意識が変わらないといけないんです。また「ボトモール」の認知拡大も今後の課題です。例えばファーストリテイリングなどのファストファッションの大企業と一緒に取り組むことができれば、ファッションに悩む人たちにも一気に認知を拡大できると考えています。

WWD:福士業界の課題は?

平林:福祉業界はまだまだ“きつい”“汚い”“危険”の「3K」のイメージが強い。福祉業界は、団塊世代が後期高齢者に達し、近い将来、現場の人材が大幅に不足する問題を抱えています。若者が福祉や介護に憧れて業界に入ってもらえたら、それを解決できるはず。だからこそファッションと掛け合わせて福祉業界を盛り上げたいんです。

PROFLIE:平林景(ひらばやし・けい) 一般社団法人日本障がい者ファッション協会代表理事 / 美容師を経て、美容専門学校の教員として10年間従事。その後個別学習塾「東京未来大学こどもみらい園」の副園長、東京未来大学みらいフリースクール・副スクール長を兼務し2017年1月に独立。放課後等デイサービスを運営するとっとリンクの代表取締役を務める傍ら、ファッションブランド「ボトモール」を手がける

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共生社会,インクルーシブ教育と言われている昨今,このように教育や福祉業界のみならず様々な業界の方が発達障害に目を向けています。平林さんは小学校時代,「授業中、落ち着きがない」と6年間延々と言われていた,と話しています。社会人になり,ファッション業界に関わる中で発達障害のある方も楽しめるオシャレを追求するようになったそうです。

最近はユニクロやGU等,様々なブランドから「ジェンダーレス」(男女兼用)の服が発表されるようになりました。これは世界が「性別」について社会問題にし,それに影響を受けたファッション業界が提案を始め,トレンドになっていきました。

それに続いて障害のある方でも楽しめるファッションが流行ればいいな,と思います。日本では知的障害者の方のアートを服にデザインしている「HERALBONY(ヘラルボニー)」というブランドもあります。

このように社会が多様化していくにつれ,発達障害のことをもっと社会的に知ってほしい,と思います。平林さんが出しているLOOK BOOKを見ると,まるで「Yohji Yamamoto (ヨウジヤマモト) 」や「COMME des GARCONS(コムデギャルソン)」の様で皆から愛されるかっこいいファッション,となるのではないかと筆者は思います。

「いじめ受けていた」「お金は8割以上が先輩たちに」…凍死の中2投稿、学校側は本人聴取せず

「いじめ受けていた」「お金は8割以上が先輩たちに」...凍死の中2投稿、学校側は本人聴取せず

2022/02/02 【読売新聞】

北海道旭川市の公園で昨年3月、中学2年の広瀬 爽彩(さあや)さん(当時14歳)が凍死体で見つかり、いじめが疑われている問題で、広瀬さんがSNSでいじめ被害を訴えていたことがわかった。学校側は、トラブルの有無を調べた際に広瀬さん本人への聞き取りを行っておらず、道教育委員会は学校側の調査手法を問題視していた。

遺族側の代理人弁護士によると、広瀬さんがSNSに投稿したのは、入学した中学校を転校して9か月後の2020年5月。ツイッターに「私は前の学校でいじめを受けていました。私の中に深く残っている」と書き込んだ。

また、わいせつ行為を強要されたことを明かし、「先輩たちに 奢(おご)るお金は塾に行った際のご飯と飲み物代だった」「八割以上は先輩たちへのお金になってました」とも記していた。遺族側は、広瀬さんの自宅パソコンからログインできたことなどから、本人の投稿と判断した。

広瀬さんは19年6月、ほかの生徒と言い争いになった後、川に飛び込み、学校に電話で「死にたい」と訴えた。市教委によると、学校側はトラブルがあったとみて調査を開始したが、広瀬さん本人に聴取せず、「関係生徒への聞き取りなどから、いじめとの認知には至らない」と判断した。

道教委は同10月、「学校は被害生徒の聞き取りについて、保護者に協力を求める必要がある」などとする市教委向けの指導事項をまとめていた。

市教委の第三者委員会は、いじめの有無などに関する調査を進めている。
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旭川いじめ自殺事件の記事は昨年8月に一度掲載しましたが、その後も続報が続いていました。結局、学校や教委を守ろうとする主流派勢力(旧民主党等)と事実関係を明らかにしようとする勢力で市長選が戦われて、反主流派(自民党等)が市民に選ばれて、少しづつ事実が報道されるようになっています。

この事件の裏側を想像するだけで息苦しくなります。旧民主党や日教組が前西川市長を支えていました。その在職期間中にこの事件が起こっているのに、前西川市長は昨年の衆議院議員選挙に立候補するために市長を辞職してこの問題を途中で投げだします。流石にこんな無責任な政治家が当選するはずもなく落選はしましたが、この人を選挙で担いでいる日教組が先生の労働組合だというのが腹立たしいです。

そして、新市長の今津市長が、市議会代表質問で「資料を精査し、いじめがあったと認識した」と答弁したことについて、教育への政治介入だと野党の議員たちがこの発言を問題視したのです。旭川の元市長派は根性まで腐っているとしか言いようがないです。自分たちの推してきた市長が問題を途中で投げ出して辞職した責任については何一つ触れず、現市長の極めてまともな発言を政治介入と言うレッテルを張って権力濫用だと印象操作をしているのです。

元はと言えば、日教組も支えてきた元市長派が旭川の学校や教委を不当に擁護していたから、この事件が複雑化したと思われます。日教組に支えられた市の体制がある限りは自分達の地位は安泰だと、保護者から批判されても横柄な態度を関係者が取り続けたのかも知れません。今となっては元市長派も一緒になって、学校と教委が悪いと口をそろえますが、トカゲのしっぽ切りでは根本問題は解決しません。不祥事の最後は政治家が責任をとり、トップまでの関係者を処分をすることで、関係者の襟を正させるしかないと思います。

教員が燃え尽き症候群にならないために

教員が燃え尽き症候群にならないために(今村裕の一筆両断) 

1/31(月) 【産経新聞】

大阪北区のメンタルクリニックへの放火事件で25人もの人が亡くなった事件は記憶に新しいことでしょう。犠牲者の中に、学校の先生がおられたことも話題となりました。これは氷山の一角で、隠れるようにクリニックなどに通院され、診療、カウンセリングを受けておられる方も多いことでしょう。院長を含め、犠牲者の方には心よりご冥福をお祈りします。

「バーンアウト(シンドローム)」という言葉をご存じでしょうか。日本語では「燃え尽き症候群」ともいわれています。1970年代に米国で医療、福祉の現場に携わる、人と直接関わることを主な方法として人を援助する仕事(以下、対人援助職)などに従事する方々に生じる現象として話題にされ始めました。「人を相手に働く過程で、援助者が心身のエネルギーを失い、患者さんをはじめ、同僚に対しても否定的な態度を向けたり、自分自身に否定的な評価をしたりする現象」とも言われます。これ以上専門的なことはここでは触れませんが、ヒューマン・サービスともいわれる対人援助職の方々ご自身が疲弊してしまっていることが特徴です。

日本では看護師にバーンアウトが多いことから、耳にされた方もいらっしゃることと思います。ほかに介護職、保育士からも「心身の不調で長く勤務が続かない」などの声が聞こえてきます。放火で亡くなられた教員経験者も、その傾向があったとの報道がありました。鬱(うつ)病などの精神疾患で病気休暇となった教員の数は、公立学校で令和元(2019)年度に5478人と過去最多になっています。ここ10年以上毎年5千人前後の人が精神疾患で病気休職となって高止まりしているのが現状です。

この春から、学校の教員を含め看護師など対人援助職となられる若い方にとっては夢を壊す内容になるかもしれませんが、こういう現実もあることも知ったうえで、新しい職場に向かってもらいたいと思います。

昭和41(1966)年度と平成18(2006)年度、さらに28(2016)年度に文部科学省による大規模な教員勤務実態調査が行われました。残業時間について、昭和41年度では約8時間(平日休日を含め)だったものが、平成18年度では平日は約34時間に増加、休日は8時間に増加となっています。28年度の調査では、10年前の18年度の調査と比較して、教諭については1日あたり、小学校の平日で34分、土日は49分、中学校の平日で32分、土日は1時間49分の増加が明らかになりました。残業時間だけの問題ではありません。

最近でも、さらに業務量は増え続けています。例えば令和2年度から新しく実施されている小学校新学習指導要領において、プログラミング教育の必修化、これまで5、6年生が行っていた外国語活動が3、4年生から週1~2時間で導入され、5、6年生では「外国語」として正式に教科化、週3時間程度行うようになりました。「働き方改革」と銘打たれているさまざまな動きがあるものの、逆に教員の忙しさに拍車をかけているのかもしれないと思えてくるほどです。

「チーム学校」「令和の日本型教育」「GIGAスクール構想」「アクティブ・ラーニング」「プログラミング教育」「ICT活用」「オルタナティブ教育」「グローバル化対応の教育」「SDGsに対応した教育」…。ここ10年ほどの間に学校現場で取り組むようにと、声高らかに喧伝(けんでん)されてきた言葉です。すでに消えかけているものもあります。「いじめ」や「不登校」などへの対応、さらには理不尽だと思われるような要求をする保護者との対応などはそれ以前から、喫緊の課題とされています。

肝心なことを忘れていました。毎日5~6時間分の授業の教材研究や教材作成、採点や添削、学級経営、学校行事、校務分掌、日常的な保護者対応、子供のトラブル対応、お便りや資料作成、職員会議、研修など多方面にわたり取り組んでいるのです。

おっと、これもあります。中学校には「部活動」と呼ばれる究極のボランティア活動がありました。現在はこれに「武漢コロナウイルス対応」が加わっています。

「子供たちの教育をよりよく」と考えての改革はわかりますが、それを実施する教員の業務はすでに飽和状態です。何かを増やすのであれば何かをなくさなくては、メンタルの不調を訴える教員はさらに増加することでしょう。

平成30年の春に、NHKで学校が舞台のドラマがありました。内容は「いじめ、体罰、モンスターペアレンツ、教員のブラック労働」などにスポットを当て、崩壊寸前の学校現場にスクールロイヤー(学校弁護士)が立ち向かうというものでした。ドラマだとつい脚色が過剰になり、現実との乖離(かいり)を感じますが、このドラマはなかなか現実感があったと記憶しています。ひとつ印象に残った台詞(せりふ)を紹介します。スクールロイヤーが「学校の先生方は何を求めているのか?」と尋ねたことに対し、教務主任の先生が「教師の数を増やしてほしい。ただそれだけです」というシーンがありました。もっと他に方法があるだろうと考える方もいるでしょうが、教員の問題を考えたとき最終的にたどり着くのは「人を増やしてほしい」の一言に尽きるのかもしれません。

「これだから学校の教師は甘えているといわれるんだ」と別の業界から声が聞こえてきそうです。

【今村裕(いまむら・ゆたか)】昭和31年、福岡市生まれ。福岡県立城南高校、福岡大学、兵庫教育大学大学院修士課程、福岡大学大学院博士後期課程。公立小学校教諭、福岡市教育センター、同市子ども総合相談センター、広島国際大学大学院心理科学研究科、大分大学大学院教育学研究科(教職大学院)を経て、現在開善塾福岡教育相談研究所代表。純真短期大学特任教授。臨床心理士、公認心理師。

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現代の若者には、公立学校の教師は働きがいがないと見えているようです。先の文科省調査では全国の公立学校で、2000人以上の教員が不足しているとし、公立の小中高校で1860人、特別支援学校で205人の教員が不足しているそうです。教師が配置できず、授業を実施できない中学校は16校、高校は5校にのぼっているそうです。産休や育休の取得者数や、特別支援学級の数が増えたことが主な要因と考えられるといいます。また、2021年度に全国で採用された公立小学校の教員の採用倍率は2.6倍で、3年連続で過去最低となっています。

バーンアウトする前に学校を離脱する若手教師も多いです。記事にもあるように次から次に新しい教科を増やす割には教員は緩やかにしか増えません。小学校で6時間授業をすれば一体その準備はいつやるのか、昭和までは準備もそこそこに教科書どおりに自分の知っていることを話して、子どもの出来不出来は自己責任と言うシステムで良かったのですが、情報社会は閉じた学校システムを許さず、働きの悪い教員や管理職をあぶり出すようになりました。その結果、教員同士がお互いを守ることがなくなり、孤立化させられ弱い教師は精神を病むという結果になっています。

チーム学校等と当たり前のことを言わなければならないほど、教員は孤立化し追い詰められているとも言えます。バーンアウトと言うと一生懸命頑張って燃料切れで落ちていくイメージですが、最近の傾向は、頑張る前に落ちていく教員が多いようにうかがえます。人手を増やすことは、仕事量を減らして多忙感を減らす意味では有効かもしれませんが、働き甲斐がない職場は人を育てません。管理職も先輩職員もパワハラだけを気にしていると、思ったことが言えず、結果、面倒なことは蓋をするようになっていき、若手教員を引き付ける力も失っていきます。しかし、あれこれ足りないことを言っても、余裕がなければ職場の再生は難しいですから、教員の働き方改革が焦眉の課題であることは間違いないです。

休校中のタブレット持ち帰り 徳島市の特別支援学校は実施せず 保護者「いつ使うのか」 県教委、対...

休校中のタブレット持ち帰り 徳島市の特別支援学校は実施せず 保護者「いつ使うのか」 県教委、対応のまずさ認める

1/30(日) 【徳島新聞】

新型コロナウイルス感染拡大に伴う臨時休校の間、自宅学習などに役立つとされるタブレット端末。県教委は児童生徒に端末を持ち帰らせるよう各学校に指示しているが、国府支援学校(徳島市)では情報モラル教育の不十分さなどを理由に実施していない。徳島新聞「あなたとともに~こちら特報班」には、「せっかくの端末なのに、いつ使うのか」と保護者から疑問の声が寄せられた。

保護者によると、国府支援学校では今月中旬、コロナ禍で3度目となる休校となった。子どもは外出もできずに自宅でだらだらと過ごしたという。保護者は「休校中、学校は子どもを放ったらかし。毎朝、学校と自宅をオンラインでつないで健康確認をしてもらうだけでも規則正しい生活を送れるのに」と憤る。

これに対し、橋本敦子校長は「インターネット上のトラブルや、家庭での情報通信技術(ICT)環境などクリアすべき問題も多く、検討を重ねている」と説明する。国府支援学校では以前、学校で撮影した写真を生徒が会員制交流サイト(SNS)に投稿するケースがあったという。

県内の学校で新型コロナ感染が相次いだことから、県教委は20日、臨時休校に備えてタブレット端末の持ち帰りを指導するよう県立学校長らに要請している。国府支援学校については「情報モラル教育が不十分だという理由で学校が慎重になり過ぎた」と対応のまずさを認める。

全児童生徒に1人1台の端末を配備する国のGIGAスクール構想は、新型コロナ感染拡大に伴って計画が前倒しされたという経緯がある。県内の他の特別支援学校では、端末を操作できない生徒を除いて持ち帰りが既に始まっている。

県教委特別支援教育課は、子どもたちにとって着替えなど学校でできたことを家庭で再現する「般化」は喜びにつながっており、端末は般化にぴったりのツールだとする。同課は「トラブルを恐れていては家庭学習にも遅れが生じる」と強調する。

この保護者から指摘を受け、国府支援学校は早速、保護者全員に「臨時休校中に自宅で取り組めることを考える」と通知した。近日中にもタブレット端末の持ち帰りを始めるという。保護者は「授業でも朝礼でもいいので、休校中も学校とつながることで子どもは安心できる」と、今後の学校の取り組みに期待を寄せた。

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みなさんの学校では学校配布のタブレットが有効に使われているでしょうか。特別支援学校の関係でタブレット利用が言われたのは、私たちが知る限り昨年の休校中に学校が作ったYoutube動画教材だけでした。リモートの授業がされたとは聞いていません。もちろん、小中学校の特支級も同じです。別にコロナの臨時休業を想定したからタブレットが配布されたわけではありませんが、それにしても配布完了してからもうすぐ1年です。

特支校や特支級なら人数も少ないですし、個別対応も簡単ですから、こちらのほうが担任さえその気になればリモート授業はすぐにでもできるはずです。超法規的に濃厚接触者の濃厚接触者まで出席辞退を求めるならせめてリモートで健康観察をしたり保護者に様子を聞くようなリモート対応があってもよさそうなものです。

記事の校長の弁明は言い訳にもなっていません。ネットトラブルは、ネットを使う限りつきものですし、家庭のネット環境が様々なことは配備前から分かっていたことです。しかし、全てが揃うまで何もしないのではないのではなく、できるところから実施し、実施しながら課題を解決するように指示を出せばいいのです。特別支援の教員は通常教育より人員が多いのですから、生徒が休んでいればICT教育に割く時間は容易にひねり出せます。

またSNSへの不適切利用への対策については、高等部の就学奨励費でタブレット購入が認められた何年も前から各地で取組まれていて、管理システムで解決できる事がわかっています。「学校が慎重になり過ぎた」のは、ICT教育がどうのこうのという以前に、学校管理職自身がデジタルツールを自在に使えないし経験すら少ないという、学校管理職自身のICTリテラシーが弱いことが原因です。知らないものを異常に警戒をするのは新型コロナの過剰対応と同種の心理作用です。それを知りながら、物だけ渡してあとは丸投げと言う自治体の教育行政の姿勢にも問題があります。丁寧なリモート教育の導入支援を期待します。

校休園で仕事休む保護者の支援相談窓口 体制強化検討 厚労省

校休園で仕事休む保護者の支援相談窓口 体制強化検討 厚労省

2022年1月28日 【NHK】

新型コロナウイルスによる休校や休園で仕事を休まざるをえない保護者を支援する助成金について、厚生労働省は電話相談の窓口を設置しています。しかし、感染の急拡大で相談が急増し、時間帯によってはつながりにくくなっていて、厚生労働省は体制の強化を検討しています。

厚生労働省は、新型コロナウイルスによる学校の休校や保育所の休園で仕事を休まざるをえない保護者を支援しようと、「小学校休業等対応助成金」を設けています。助成金は原則、企業が労働局に申請し、法律上の年次有給休暇とは別に有給の休暇を所得させた場合に賃金相当額を企業に支給します。

厚生労働省は、電話相談の窓口を設置し相談を受け付けていますが、感染の急拡大で休校や休園が相次ぎ相談も急増していることから時間帯によってはつながりにくくなっているということです。このため、ダイヤル回線を増やすなどの体制強化を検討しているほか、多く寄せられている質問や相談について、その回答などをLINEで確認できるようにしました。

また厚生労働省によりますと、保護者から助成金を利用したいと企業に相談しても「手続きが面倒だ」などとして申請を拒まれたという相談も寄せられているということです。企業が申請をしない場合、労働局が企業に直接、申請を促しそれでも応じない時は、個人で申請することができます。

厚生労働省は、労働局に設置された相談窓口などに相談してほしいと呼びかけるとともに、ホームページでも申請の方法などの情報を発信しています。

「小学校休業等対応助成金」とは
「小学校休業等対応助成金」は、労働基準法上の年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させた企業に、1人当たり
▽1月と2月は一日1万1000円を上限に
▽「まん延防止等重点措置」の対象地域では
一日1万5000円を上限に支給されます。

非正規雇用で働く人も対象です。
厚生労働省は全国の労働局に「特別相談窓口」を設置して、対応しているほか、電話相談の窓口を設けて相談を受け付けています。

電話相談の窓口は午前9時から午後9時までで、電話番号は「0120-60-3999」です。

“登園自粛”でも利用可
厚生労働省によりますと、「小学校休業等対応助成金」は保育園などが休園しなくても、行政や施設から登園の自粛を求められた場合も利用できるということです。対象には保育園のほかにも放課後児童クラブや放課後等デイサービスなども含まれます。ただ、保護者の判断で登園させなかった場合は助成金の対象になりません。

会社に相談しても「対応できない」の反応
保護者からは、助成金を利用したいと会社側に相談したところ、対応できないと言われたという声が聞かれます。

埼玉県に住む40代の女性は、パート従業員として事務の仕事をしています。夫が単身赴任のため、6歳と3歳の子どもの子育てや家事を1人でしています。感染の急拡大で、3歳の子どもが通う保育園は、今週に入ってから新型コロナウイルスの感染者が出たため休園が続いています。

離れて暮らす両親は、介護施設に入っていて、子どもを預けることができず、パートの仕事を休まざるをえなくなりました。女性が勤務先の社長に状況を説明し、助成金を利用したいと話したところ、労働基準法上の年次有給休暇を取得するように言われたといいます。

女性は、「“休まれると困る”とまず言われ、“助成金の話は後にしてくれ、出勤してから言って”という話しでした。忙しい時期で従業員が少ない会社なので、出勤できる人が減ってしまうことで頭がいっぱいだったのかもしれませんが、制度のことを知らないと感じました」と話していました。

保育園がいつ再開されるのか見通しもたっていないということで、「会社の言うように年次有給休暇を取得してしまうと、今後、何かあった時に休むことが難しくなってしまうと思います。6歳の子どもが通う幼稚園もいつ休園になるかわからないです。出勤できるようになったら会社に制度を利用したいと改めて伝えたいです」と話しています。

女性は、個人で労働局に申請はできるものの、最終的には会社が手続きをすることに変わりはなく制度を利用できるのかわからないと感じています。女性は、「義務までは難しいと思いますが、保護者の希望があれば企業が制度の申請の手続きをしなければならないということになれば制度が活用されると思います。制度がきちんと利用できるようになってほしい」と話していました。

また厚生労働省の電話相談の窓口については、「制度で聞きたいことがあり、何度も電話しましたが、つながりませんでした。問い合わせをしようとした企業がつながらないと申請をやめようということになってしまう可能性があるので改善してほしい」と話しています。

SNSには「労働局に連絡したらクビ」などの投稿も
「小学校休業等対応助成金」について、SNS上でも「助成金を会社にお願いしたら申請が面倒くさいって逆に怒られた」などといった投稿が相次いでいます。助成金は、個人でも労働局に申請できますが、その場合も出勤状況や直近の給与の確認などのために、労働局から企業に問い合わせがあります。

SNS上では、「労働局に連絡したらクビにする的な事を言われました。有給も無くお金がありません。助けて」といった切実な投稿もありました。実際に助成金を利用したいと会社に伝えたところ、対応が難しいと言われたという人に話を聞きました。

40代の介護福祉士の男性は、5歳の息子と2歳の娘を保育園に預けて、妻と共働きをしています。保育園で陽性者が確認されたために来月3日まで休園になり、妻と交代で仕事を休まざるをえなくなったということです。

男性は勤務先に相談したところ、「同じように休園になっても出勤している人がいる中で、助成金制度を使うと不公平になるので使わない」と言われたということです。また、名古屋市の30代のシングルマザーの女性は、小学校2年生の娘のクラスで感染者が出たために学級閉鎖になり、会社を休まざるをえなくなりました。会社に相談したところ、労働基準法上の年次有給休暇を取得するように求められ、「拒否するなら欠勤扱いにする」と言われたといいます。

女性は、「休校などで同様に休まざるをえなくなったら、有給休暇が足りなくなるかもしれないと怖さを感じています。困っている保護者が制度を使えるように、利用方法の周知と企業の理解を進めてほしいです」と話していました。日本労働弁護団「支援必要とする保護者に届くように」助成金を利用できないという保護者からの声が相次いでいることを受け、労働問題に詳しい弁護士でつくる「日本労働弁護団」は、「支援を必要とする保護者に届くようにすべきだ」と指摘しています。

弁護団は、今月19日に「小学校休業等対応助成金」の個人申請の拡充を求める声明を発表し、厚生労働省に提出したということです。この制度では、有給の休暇を取るために助成金を利用したい保護者が企業に申請の手続きを断られた場合に労働局に直接相談したうえで、労働局が企業に利用を促し、それでも拒まれた場合に個人の申請ができることになっています。

保護者が、個人の申請を行う時には企業に必要な書類に署名してもらい、休んだことを確認できる書類などを出してもらう必要があるとしています。弁護団の声明では、申請した保護者はこの間、労働基準法上の年次有給休暇を取ることができず、経済的な負担が大きいため個人で申請できるケースは極めて少ないとみられるとしています。

そのうえで、企業の署名を要件とすべきではなく、休業を確認できる書類も状況に応じて、タイムカードなども認めると個人申請の要件を緩和すべきだと指摘しています。「日本労働弁護団」の長谷川悠美弁護士は、「制度は休校や休園で生活がままならない保護者を救うものなのに企業がそれに対応できていないという実態がある。保護者が簡単に申請できるようにしてほしい。企業に申請を断られるケースがあれば労働弁護団に相談してほしい」と話していました。

「日本労働弁護団」が設置している窓口では
▽月曜日、火曜日、木曜日は午後3時から午後5時まで
▽土曜日は午後1時から午後3時まで
無料で電話相談を受け付けています。
電話番号は「03-3251-5363」です。
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非正規職員にも有給休暇は条件によって付与されます。子育てしながらのパート労働で多い1週間の所定労働時間が30時間未満で、1週間の所定労働日数が4日の場合なら半年たてば7日間の有給休暇が付与されます。しかし、パートの立場で有給休暇を申請する人は実際には少ないです。

急にシフトに穴を開けたのに有休までは申請しにくいという心理的な抵抗があります。会社も申告もないのに敢えて有給を取るように言いません。こうした悪しき慣習もあって、今回の制度をわざわざ会社にお願いして申請する人は非正規雇用の場合言いにくい人が多いのは想像がつきます。

ただ、会社にしてみれば、子どものコロナ休校でパートが休むときは国から助成金が出るのですから会社の自腹を切るよりは有利なはずですが、一人数万円以下の事であれこれ事務量が増えるくらいなら有給休暇にして自腹を切った方がましという感覚なのでしょう。しかし、労働者側にしてみれば、コロナだけで少ない有給休暇を取得してしまえばもしもの時に有給で休めなくなるのも困ります。

原因の元を作っているのは、決められない変えられない日本の政治の癖です。感染症法の分類を季節性インフルエンザ並みの「五類」に引き下げればインフルエンザ時と同じ2割感染が学級閉鎖や休校基準になるので少なくとも濃厚接触での自宅待機や少数感染者での休校はなくなります。

反対者は引き下げたら医療費の負担が生じて病院側も対応できないなど出来ない理由を並べます。しかし、そのために政治家がいるのですから、激変緩和として政府の医療費負担を始めとする財政支援は今のまま続けると政令を出せばいいのです。

それもできないなら、せめて事業者があれこれ悩まないように簡単な請求ですぐに仮払いする仕組みや、申請漏れを違反として罰金を科すか、申請したら企業が有利になるようなポイントを与える等手続きがスムースになる工夫をすれば良いのですが、これまた決められない変えられない政治の癖が前に立ちはだかります。

ドキュメンタリー映画「帆花(ほのか)」 重い障害児と家族の日常

ドキュメンタリー映画「帆花(ほのか)」 重い障害児と家族の日常

2022年1月28日 【中日新聞】

生後すぐに「脳死に近い状態」と告げられた西村帆花さん(14)。人工呼吸器やたんの吸引などの医療的ケアを受けながら、さいたま市の自宅で両親と暮らしている。「帆花がいること自体が喜び。生活は幸せに満ちている」と母親の理佐さん(45)。そんな家族の日常を描いたドキュメンタリー映画「帆花」が、全国で順次公開されている。(佐橋大)

今月中旬、理佐さんがオンラインで取材に答えてくれた。画面に映る理佐さんの後ろで、人工呼吸器を付けた帆花さんが横になっている。ベッドの周りにはたくさんのぬいぐるみも。ヘルパーがせわしなく帆花さんのたんを吸引したり、体を拭いたりする。吸引は多いときで約十分おきに必要という。

「一日は、あっという間。その間に、帆花はサチュレーション(血中の酸素飽和度)のアラームを鳴らしたり、表情を変えたりして、いろいろなことを伝えてくれる。お互いに分かり合おうとするコミュニケーションの広がりが楽しい」。理佐さんはほほ笑む。

帆花さんは生後九カ月から自宅で生活してきた。現在は障害福祉サービスにより、三人のヘルパーが交代で週に約四十時間、帆花さんのケアに対応。残りの百二十時間以上は、理佐さんと夫の秀勝さん(45)が分担している。週三日は帆花さんが在籍する特別支援学校の先生が訪れ、一回百分の授業を実施。別の場所で訪問教育を受けている友達とオンラインを通して一緒に学習することも。帆花さんは週二回の訪問入浴サービスや、体を動かすリハビリも受けている。

厚生労働省によると、日常的にたんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な子どもは推計約二万人。昨年九月に親の負担を減らすため、医療的ケア児が通う学校に看護師を置くことなどを自治体などの責務とする医療的ケア児支援法が施行された。

しかし、帆花さんのような重い障害児のケアは誰でも簡単にできるわけではなく、ヘルパーや看護師など支える担い手が不足している。帆花さんの場合、熟練したヘルパーでないと、帆花さんが求めることが正しく理解できず、逆に体調を崩してしまうこともある。そのため、短期入所など施設でのサービスは使えない状態という。

「医療的ケアが必要な子も一人一人違う。その子がどう生きていくかという子ども側の視点で考えて、ケアに関わってくれる人が増えてほしい」と理佐さん。「帆花も一人の子ども。自分の望む生き方を普通に選べ、実現できるような世の中になればいい」と願う。

命の喜び かみ締めて
映画では、帆花さんが三歳の時から特別支援学校小学部に入学するまでの家族の歩みが映し出される。両親は、言葉を発しない帆花さんの表情などから“思い”を感じ取り、帆花さんを喜ばせたいとプレゼントを買い、動物園に連れて行き、誕生日を祝う。

理佐さんは「帆花がいてくれることで生まれる出会い、さまざまな経験を共有できる喜びもある。『いのちがある』ということのありがたさを常に感じ、ささやかな幸せを毎日かみ締めている」と話す。

※映画「帆花」は72分で、東京都中野区のポレポレ東中野で上映中。名古屋市千種区の名古屋シネマテークでは2月5~11日に公開予定。その他の上映スケジュールは映画の公式サイトへ。

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支援学校の訪問教育は、移動させることが生命のリスクになる子どもたちの教育も担っています。在宅の子どもの場合、訪問してくる教員と在宅ケアをする看護師とヘルパーくらいしか外部の人との接触はありません。見過ごされがちなのは介護する家族も子どもから離れる事が出来ないので、外部の人との接触は限定されています。まして、感染症が流行し始めると感染症が命取りになる子どもたちも多いので、訪問する人も極力制限せざるを得ません。もちろん、家族も同じです。

そんな中で、訪問教育の教員は早い時期(10年以上前)からリモートで学校の教室と子どもと家族をつないできました。今、感染症でリモート授業が当たり前になることで、様々な子どもと交流する時間は逆に増えているとも言えます。教室のモニターに映し出される訪問を受ける子どもや家族の姿を多くの人が知るようになったとは言え、まだまだ一般には知られてはいません。コロナ感染が収束して大勢で鑑賞できるようになって、この映画上映が成功することを祈ります。

ドキュメンタリー映画『帆花』

京都みなみ会館 2/25(金)~

〈独自〉濃厚接触は学校判断、休校減へ 大阪府教育庁

〈独自〉濃厚接触は学校判断、休校減へ 大阪府教育庁

2022/1/26 【産経新聞】

新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大を受け、大阪府教育庁は26日、府立学校の生徒らの感染が確認された際、濃厚接触者の判断を保健所ではなく学校で行う対応に切り替えることを決め、各学校に通知した。保健所の判断を待つための休校措置を減らし、学校活動を継続しやすくする。27日から運用する。

従来は感染が確認されると、学校で濃厚接触の可能性のある生徒や教員を調べて保健所に報告した後、保健所が濃厚接触者を特定するまでは休校としていた。保健所によっては特定に時間がかかるほか、明らかに濃厚接触者がいない場合でも、保健所の判定まで休校しなければならなかった。このために何度も休校を繰り返す学校もあり、現場から改善を求める声が上がっていた。

27日からは、陽性者に加え、学校が濃厚接触者と特定した生徒のみを出席停止とした上で、休校せずに学校活動を継続する。その上で、直近3日間で陽性者と濃厚接触者が学級の15%以上に及ぶ場合は学級閉鎖▽複数の学級が閉鎖するなど、学年内で感染が広がっている可能性が高い場合は学年閉鎖▽学校内で感染が広がっている可能性が高い場合は臨時休校-とする。府立学校だけでなく、府内各市町村や私立学校にも参考として通知する。

府教育庁の担当者は「生徒の行動を一番把握しているのは学校。各学校はこれまでの保健所とのやりとりで、濃厚接触の判断のポイントもよく分かっている」としている。(藤井沙織)

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感染者より長い濃厚接触者の待機期間「なくすことも検討を」

2022/1/26 【産経新聞】

新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」が急拡大する中、感染者の濃厚接触者の待機期間について、見直しを求める声が強まっている。感染者と最後に接触したタイミングによっては、感染者の療養期間より長い最大20日間の隔離が求められるためだ。医療や介護、保育など社会機能の維持が困難になっているとして、大阪府の吉村洋文知事は26日、待機措置そのものの撤廃も検討すべきだとの考えを示した。

最大20日の隔離
厚生労働省によると、感染者は発症翌日から原則10日目まで療養。最後の3日間で回復していれば10日目をもって解除される。

一方、濃厚接触者は感染者の陽性判明後に自宅待機となり、感染者との最終接触後10日間の隔離が原則。例外として医療従事者は毎日の陰性確認を条件に出勤でき、医療従事者以外のエッセンシャルワーカー(社会機能維持者)は最終接触後6日目にPCR検査で陰性となれば解除される。

全国の新規感染者は連日、過去最多を更新し、濃厚接触者も膨大な数に上る。保育所の休園が相次ぐなどして社会活動の継続は困難になりつつある。岸田文雄首相は25日の衆院予算委員会で「科学的な知見を尊重し、社会経済活動を回す観点から待機期間の短縮を検討することが大事だ」と述べたが、吉村氏は26日、「濃厚接触者が仕事に行けず、医療機関や高齢者施設で人員が不足している。早く決断してもらいたい」と危機感をあらわにした。

府内では療養先を調整中の事例を含め、自宅待機患者が26日時点で5万6千人を超える。吉村氏は「数が増えてきたときは、濃厚接触者の待機期間をなくすことも考えるべきだ。緊急の対応として医療や介護、保育(従事者)は仕事ができる環境(を整えること)が必要だ」と述べた。

子が感染、親の待機は・・・
現行の新型コロナウイルス対策上、感染者と濃厚接触した人は検査での陰性確認を条件に、最後の接触から最短で6日目をもって自宅待機解除となる。感染者の陽性判明直後に接触を断てば早期の出勤も可能となるが、子供が感染した場合、同居する親の待機期間は長期化を余儀なくされるケースが少なくない。

「感染した娘より、濃厚接触者の親のほうが待機期間が長いなんて」。大阪市福島区の男性会社員(44)はこう憤る。

男性は妻と小学3年の長女(9)、保育園児の次女(5)の4人暮らし。17日朝に長女と次女が39度台の高熱を出し、近くの診療所の検査で陽性が判明。担当医から家族全員が自宅で待機し、保健所の連絡を待つよう指示された。

夫妻はともにエッセンシャルワーカー。娘2人は順調に回復すれば27日に療養解除、翌28日から学校や保育園へ通える。だが濃厚接触者である夫妻は27日を最終接触日として、さらに6日間の待機を求められる。2月2日の陰性確認後、翌3日に出勤できる計算だ。

区役所からは、男性か妻のいずれかが娘2人と厳密に部屋を分けて生活すれば最終接触日を前倒しできると助言された。しかし男性は「小さい子は関係なく部屋に入ってくるし、狭い家での隔離にどれだけの意味があるのか。感染したほうが早く社会復帰できる運用は、ちぐはぐに感じる」と疑問を呈す。

その後、待機を続けた男性は今月21日にのどの痛みなどを感じ、翌22日に陽性者となった。2月1日から出勤できることになり、結果的に復帰の見通しは早まった。

社会機能まひのおそれ
なぜ濃厚接触者の待機期間は感染者より長く設定されているのか。大阪健康安全基盤研究所(大安研)によると、感染者は発症後10日目までは他人にうつす可能性が捨てきれないため、濃厚接触者は感染者との最終接触日を起点にさらなる隔離が必要になるという。

大安研の朝野(ともの)和典理事長は「感染者数がインフルエンザ並みに増えており、現行の運用では社会機能がまひする」と指摘し、重症化しにくい若者と高齢者らリスクの高い人とで措置内容を変えるなど、メリハリのある対応が必要との見解を示した。

濃厚接触した医療従事者は毎日のPCR検査で陰性となれば出勤可能だが、大阪市立総合医療センター感染症内科の白野倫徳(しらの・みちのり)副部長は「検査に時間がかかり、現実的に難しい」と話し、3回目のワクチン接種を終えた医療従事者は隔離の対象外とすべきだとした。

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子どもが濃厚接触者として特定されたとき、家族全員が「濃厚接触者の濃厚接触者」だから園や学校に来てくれるなという管理者の判断は間違いだと、昨日ブログに書きました。二つ目の記事は感染したほうが濃厚接触者より復帰が早くなると言う矛盾を書いていますが、保健所の言う筋は通っているのでまだましです。一つ目の記事で、吉村知事が濃厚接触者が多すぎて保健所業務の肝心なところが止まってしまうので、学校で判断すれば済むことは学校に任せようと合理化したのは理解できます。しかし、学校に判断を任せなくとも先のような保健所でもできない規制を「協力」の名のもとに強いている様子を見ていると少し不安になります。

二つ目の記事は、エッセンシャルワーカーが濃厚接触者になるたびに休んでいては社会機能が止まってしまうという記事です。首相は「検討する」ばかりを繰り返し、混乱の根本になっている感染症類型の政令変更を行わないまま、小出しに規制を緩めるだけなので、このままで日本社会は大丈夫かと訝る人が増えているという話です。インフルエンザ相当の5類に引き下げて、ワクチン接種の推進だけに力を注げば事態は一気に改善できます。トップが間違いを正さないのですから下々の間違った判断が正されることはありません。

そんな、大人の話の中で、子どもの教育権が理不尽な「協力」の名のもとに奪われているのです。そしてこの間違いはだれも責任を取りません。「正義」のためにやったのだから、免罪されていいという理屈です。しかし、科学的でないことは正義ではありません。感染力が強いという事は、無症状の感染者が多いと言うことです。感染感受性のある人は症状が出ますが、感染感受性の弱い人は症状が出ません。しかし、症状がなくても感染させることはできます。こうして、感染感受性の高い人だけ隔離しても症状のない人は隔離しないのでどこまでも感染は増え続けると言うのが今回の感染急上昇の仕組みです。中国のように無症状の人も全て検査し陽性者を全て隔離するなら話は別ですが、社会機能がマヒする事には目をつぶらなければなりません。

障害ある子どもにオンライン家庭教師を 津田塾大プロジェクトがCF

障害ある子どもにオンライン家庭教師を 津田塾大プロジェクトがCF

2022年1月26日 【朝日新聞】

障害や学びにくさを抱えた子どもたちの学習を支援する津田塾大学(東京都小平市)のプロジェクトが、無料で利用できる「オンライン家庭教師」の実現を新たにめざしている。4月の本格的な開始に向け、クラウドファンディング(CF)で運営費を募っている。

準備を進めているのは、同大インクルーシブ教育支援室の柴田邦臣教授(48)が代表を務める「学びの危機プロジェクト」(通称・まなキキ)。2020年春から、コロナ禍の中で学習意欲がそがれたり、急速に進んだオンライン学習についていけなかったりする子どもたちに、ネット上の教材などを紹介するサイトを開設(https://learningcrisis.net/別ウインドウで開きます)している。有志の学生や院生らによる活用方法のガイドもあり、平易に、楽しく取り組めるように工夫してきた。

オンライン家庭教師を企画したのは、同大院生の浜松若葉さん(26)を中心とする大学生たち。子どもたちとオンラインでつながって学びを支えると同時に、コロナ禍で教える経験を積む場を失った学生たちにその機会をつくり、運営費からアルバイト代も出す計画という。

利用者として想定するのは、発達障害や学習障害があったり、不登校など学びにくさを抱えていたりする小学1年~中学3年生。学習を支える学生は、同大生を中心に他大学からも募集し、4月の本格的なサービス開始を予定している。

浜松さんは「障害のある子どもたちの学びを守るという趣旨に賛同いただけたらうれしい」と話す。

CFでは、障害者らの就労支援をする沖縄県の自家焙煎(ばいせん)コーヒーを主な返礼品に選んだ。CFへの出資を通して、子どもと学生、障害者の就労支援と幅広い社会貢献につながる形だ。

CF(https://www.makuake.com/project/manakiki/別ウインドウで開きます)は2月27日まで。問い合わせは同プロジェクト(050・6878・2585)。(井上恵一朗)

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一般家庭で学習塾に費やされる費用は、2018年の文科省調査では公立小学校在籍児童の平均で13万6000円です。約4割の家庭が月1万円を出費しています。公立中学校在籍生徒の平均では29万3000円。約7割の家庭が月2万5千円を出費します。もちろん発達障害の子どもたちもこの中に入っているはずですが、集団での学習では成果が上がりにくい人は家庭教師を使う家庭もあります。

しかし、そもそも学習障害があったり不注意や興味の限局などの問題があって、その障害特性を教える側が知っていないと時間の無駄になりお互いに嫌な気分になってしまう場合も少なくありません。このサービスがどれほどの支援の質を保障するかは分からないですが、少なくとも個別対応でオーダーメイドの対応をしてくれるなら素晴らしいです。オンラインでの家庭教師は増えましたし、発達障害に対応すると言うふれこみの塾もありますが、その実情はよくわかってはいません。

クラウドファンディングで資金を集め、利用者には無償で対応するとのことです。ただ、学生も経験の場として位置付けるので、必ずしもプロフェッショナルな支援ではなくその支援の質は今のところ分かりません。ただ、少なくとも先輩たちが積み上げてきたこれまでの経験を生かして学生が中心になってやろうとしていることはとても良いことだと思います。

学生の家庭教師アルバイト賃金は平均時給1800円くらいですが、返礼品のコーヒー代金も考えるとバイト料はもっと安いのだと思いますが、CFは目標額の倍以上集まっています。これで何名の志のある学生支援者を集め、延べ何時間の支援を考えているのか分かりませんが、面白いプロジェクトになりそうです。失敗は恐れないで、なんでもやってみたらいいと思います。取組んだ時間は生徒も学生もきっと貴重な財産になるはずです。

変わる部活動 学校単位から地域クラブに 指導内容も充実

変わる部活動 学校単位から地域クラブに 指導内容も充実

2022/1/25 【産経新聞】

中学校の部活動が変わり始めている。これまで教師が休日返上で指導してきた学校単位の部活動から地域単位の「地域クラブ」に変わりつつあるからだ。山形県天童市では昨年11月、市立中学4校の野球部が合同で「天童市中学生軟式野球クラブ(天童軟式野球クラブ)」をスタート。指導する町田真裕(まさひろ)代表(55)は「少子化、教師の働き方改革から生まれた新しい部活動の形。野球を通して人間育成を目指す場にしていきたい」と話す。

4中学が一つに
昨年11月、天童市立第二中学校のグラウンドには、市立の全4中学校の野球部員45人が集まった。指導者は町田代表を含めて10人。ユニホームはバラバラだが、活気のある声が一斉に響く。

夏の県大会後、3年生が引退し、各校の部員は9~14人になった。部内での練習試合はおろか、連携プレーの練習もおぼつかない状況になった。「一番少ない天童一中の部員は9人。硬式野球にいく生徒もいるが、これでは中学校で野球ができなくなる」

危機感から町田代表が中心となり天童市野球連盟などと調整し、4校の野球部を合わせた同クラブを始動させた。毎週日曜に4校の部員が1校に集まり、合同で練習する。校庭を雪が覆うようになってからは、体育館や武道場で練習を続けている。

人数が40人規模になったことで練習の幅が広がった。チーム編成が容易になり対抗戦ができるようになった。試合を運営するため、部員はルールを勉強し直し、塁審の目線を学んだ。天童市立一中1年の小座間綾士(あやと)さん(13)は「審判講習は難しかったけど、勉強になった。これからも野球をしたい」という。

幅広い指導者
同クラブには、高校野球で活躍した人ばかりでなく大学野球経験者や陸上競技経験者もいる。陸上競技経験者の天童市立一中の教諭、鈴木友輔コーチ(36)は「野球は総合スポーツ。私は走塁面で指導できますから」という。

「野球の方程式」と書いたホワイトボードを持って指導する大学野球経験者の今田(こんた)昌揮コーチ(40)は、野球と他の球技との違いを部員に丁寧に説明する。今田コーチは「試合に勝つために教えていますが勝利至上主義ではない。むしろ『勝利志向主義』です」とほほ笑む。

練習後、大勢の部員の前で「あの時のプレーだけど、どうすればよかったのかな」と今田コーチが質問する。手を上げた部員の答えに「そうだっ、その通り。それでいいんだ」と部員自らが考え気付いたことをたたえる。

部活動の意味
教師の「働き方改革」を進めるため、文科省は令和2年、「5年度以降、休日の部活動の段階的な地域移行を図る」との方針を示した。スポーツ庁は昨年10月、休日の部活動の外部委託に向けた検討を始めている。町田代表には最近、陸上やバレ―ボールなど他部や他校からも問い合わせが相次いでいる。地域クラブの取り組みが必要なのは、野球だけではないからだ。

同クラブでは雪解けを待って3月末にも、クラブ内でリーグ戦を始める予定だ。できるだけ全員が試合に出られるように工夫する。将来的には全国中学校軟式野球大会の出場も目指す。「天童市の野球をやりたい中学生に野球を続けさせたいという思いで作ったクラブ。互いに競い合い、練習試合を重ねていけば技術もきっと向上していく。野球を通して学んだことを生かせる人間になってほしいんです」と町田代表は言う。(柏崎幸三)

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前に元陸上選手の為末大さんの記事で、教師にとっても生徒にとっても地域クラブの方が主体性が高まると言う内容を掲載しました【部活動の地域移行…為末大さんが推す2つの理由:2021/12/02】。先日、教員に一律にクラブ指導を命じるのは違法だという裁判も始まりましたが、いやいや顧問をさせられている教師のもとで活動する生徒も迷惑な話です。今回は、部員が集まらない学校でやるよりみんながあちこちから集まって入部し、少年スポーツ文化を維持したいと言う強い思いを持った人たちが運営するクラブの記事です。

広いエリアをカバーすれば優秀な選手もコーチも集めやすいです。もちろん、優秀なコーチは短時間でも指導成果を上げられますし、指導される生徒も的を射たアドバイスがもらえます。クラブと学校と切り離すことで、だらだらと休みの日も一日中、学校の中でクラブをするのではなく、スポーツも遊びも勉強も、合理的に切り替える生活が期待できるのではないでしょうか。何より、自分がやりたくて集まってきていると言う点で、先の裁判の話のような、やりたくないのに職場の同調圧力でさせられている指導者はいなくなります。生徒も、学校内の関係性を引きずらずに参加したり辞めたりできるのは精神衛生上良いことです。

また、学校文化からクラブ指導のウェイトが軽くなることで、教科指導以外のところで教員能力が評価される事もなくなります。生徒指導も然りで、強いクラブの顧問が生徒指導部長を引き受けるという本末転倒な人事も減少していきます。学校職員の労働時間を減らすことが目的の地域クラブへの移行ですが、実は古い学校体質や教育体質を変えていくには最も近道の手段かも知れません。

小中学校の不登校児童が過去最多の19万人超え!コロナで学校に行けなくなった

小中学校の不登校児童が過去最多の19万人超え!コロナで学校に行けなくなった子どもたちのSOS

01/21 【週刊女性PRIME】

長引くコロナ禍のもと、子どもたちが強いストレスにさらされている。その結果、いじめや自殺として異変が現れるケースもあれば、不登校という形でSOSが出される場合もある。文部科学省によると、全国の小中学校で不登校の児童生徒数は2020年度に19万人を超え、過去最多となった(国立、私立を含む)。

不登校が増えた背景として、’20年3月の一斉休校措置から続く影響を指摘するのは、NPO法人『フリースペースたまりば』の代表・西野博之さんだ。神奈川県川崎市を拠点に、コロナ以前から子どもたちに安心して過ごせる居場所を提供してきた。

「最初に緊急事態宣言が出された’20年4月当時、学校が閉まっていました。そこへ新入学や進級の時期が重なった。一斉休校が明けてからも、友達がいないという子どもが少なくない。子どもたちにとってみれば学校がおもしろくないんです。常にマスクをしなければならず、声を出してはいけないと注意される。給食も黙って食べる“黙食”。友達と遊ぶときも、触れ合えません」(西野さん、以下同)

外出自粛が叫ばれるなかで家庭環境も様変わりした。

リモートワークで増えた夫婦ゲンカ
「リモートワークになったことで父親が家にいるようになりました。もともと不登校の子がいる家庭では、父親が仕事に行く中で不登校を気づかれずにすんだ。ところが父親が家にいると“朝、起きない”“ゲームばかりしている”子どもの姿を見て、“おまえの態度は何だ”と怒鳴ったりするわけです。さらに矛先を母親に向け、“おまえが甘やかすからだ”などと罵倒するようなケースが増えました」

混乱し、不安を感じていたのは大人たちも同じ。飲食業や宿泊業を中心に失職したり、休業に追い込まれた人もいた。親のストレスがたまると家庭内で緊張が走りやすい。

「子ども1人ではなかなか勉強しないし、オンライン授業への対応は難しいので、親が隣にいることが多く、気が抜けない。もっと“勉強しろ”と言われる。暴言を吐かれたり、手を出されることもある。そのためコロナ禍であっても、フリースペースを閉めないことにしたんです」

子どもを置いて仕事に行けない
実際、一斉休校要請が出された翌日、若い母親からこんな電話があった。

「子どもを置いて仕事に行けない。子どもとずっと一緒で、しかも3食を作らなければならない。イラついて、手が出てしまいそうだ、と」

子どもの目の前で夫婦ゲンカをすることは『面前DV』という心理的虐待にあたり、児童相談所に保護されることもある。DVまでいかなくても、「夫との関係がうまくいかない」という女性たちの相談が増えているそうだ。

厚生労働省によると、’20年度の虐待対応件数は20万5029件と前年度比で5・8%増加。初めて20万件を超え、過去最多を記録した。

「夫婦ゲンカが激しさを増し、警察が介入するケースが増えていると聞いています。こうした中で、子どもの安全を確保するための一時保護が増え、保護所がいっぱいになってしまっているのが現状です」

不登校の子どもたちを取り巻く環境にも変化が生じている。フリースクールなどに通うことで、出席扱いになるケースも増えてきた。自宅でのタブレット学習も、出席と同様にみなす学校がある。

「校長裁量ですが、出席日数が不足していても中学を卒業できるケースがほとんどです。その後、通信制高校やサポート校へ進学する子どもがとても増えました。ただし、本人がその気になっていないのに、親が先回りして手続きをあせらないことが大事。親の言いなりで入った高校を中退したり、卒業後に再びひきこもる相談が急増しています」

一方、学校現場で子どもたちと日々対峙する教師は、どう感じているのだろうか。

「マスクを着用しているので、子ども同士も、子どもと先生の間でも、相手がどんな表情をし、感情を出しているのかわかり合えないんです」

そう話すのは、小学校で講師として授業を行う渡邉信二さんだ。長年にわたり公立小学校の教諭を務めたほか、教育委員会でいじめ自殺の調査に関わった経験も持つ。

渡邉さんは、「コロナ禍で不登校が増えるのは当たり前」と言い切る。

「コロナ疲れで週に何度か学校を休むケースが目立ちます。ストレスが強まり、いじめを生むこともあります。私が関わった学校でもいじめがあり、対応に追われた担任は休職しました」(渡邉さん、以下同)

文科省の定義によると、不登校とは、年間30日以上の欠席をした児童や生徒(病気や経済的理由を除く)を指す。前述のとおり不登校の数は過去最多を更新、今では1クラスに1人以上、不登校の子どもがいる状態だ。

「それだけ子どもたちは疲れているし、コロナ禍で不安を覚えています。しかも、不登校になると、学校側は再登校させることばかりを考えてしまいがちです。問題を担任や学年任せにせず、学校として対応しないといけません」

現在、渡邉さんはいくつかの学校を回って講演をしたり、講師として小学校で授業も行ったりしている。マスクで表情が隠れ、コミュニケーションが難しい状況であっても、さまざまな工夫を凝らす。

「例えば、子どもたちは机を教卓のほうに向けて授業を受けることが多いのですが、私は子ども同士が対話をしながら授業を行うのが好きで、以前は円形に机を配置していました。現在は感染対策のためV字形に机を並べ、ほかの子の表情や息遣いがわかるようにしています」

高校の不登校は約4万人
相手の表情がわかると、子どもたちは活発に発言し始めるという。コロナ以前からの取り組みが今に生きている。

「教師が精神的な距離感や関係性を縮めようとしたら、子どもたちにはそれが伝わります」

コロナ禍では教師と子どもたちの会話の量も減っている。そこで渡邉さんはノートを有効活用する。話したいことや伝えたいことを、子どもたちに書いてもらうのだ。

「ノートを読み、子ども各自に合わせたアドバイスを書きます。どうやって1対1の関係をつくっていくのかが重要なんです。大変ですが、時間をかけます。ノートに1行しか書かれていなくても、子どもたちから読み取ったことをコメントとして書く。すると、2行に増えたりしますね」

高校の状況はどうか。文科省によると、不登校は4万3051人。特に単位制の高校で1万4175人と多い。都内を中心に、高校で出張授業や相談を行うNPO法人『若者就職支援協会』理事長の黒沢一樹さんはこう話す。

「いまやオンラインで授業を受けることがスタンダードになりつつあります。そのためなのか、友達同士での会話が減っています。さらに文化祭や体育祭などの行事を中止したり、規模を縮小して開催する高校が多かった。コロナ感染拡大で学校に行けない期間が長かったことと、みんなで一緒に何かをする体験がないまま1年が過ぎたことが不登校に影響しているのではないでしょうか」

黒沢さんは「生徒がリアルにコミュニケーションできる場が減り、孤立しやすくなっている」として、不登校や中退対策の必要性を強調する。子どもの発するSOSをどう受け止め、つらい状況を改善させるのか、大人たちの真剣さが問われている。

取材・文/渋井哲也 ジャーナリスト。長野日報を経てフリー。若者の生きづらさ、自殺、いじめ、虐待問題などを中心に取材を重ねている。『学校が子どもを殺すとき』(論創社)ほか著書多数
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一昨日は出さないと言っていたまん防ですが、昨日の感染者の増え方に腰を抜かした知事は今日にも、京都大阪兵庫で政府に要請すると言います。どんな措置をしようと増える時は増え、減る時は減るというのがこれまでの経過で明らかになっていますので感染抑制の効果は期待できません。もう、蔓延しているのだから今更防止しても意味がないという人も多いです。これを措置することで、自粛に応じ店を閉めた業者への収入補填などが政府資金で可能になると言いますが、飲食店に食材を供給する業者も周辺で店を開く飲食以外の店にも支援はないままです。

大人は、腹をくくって明けない夜はないと思えば済むのかもしれませんが、子どもは違います。その年齢にしかないイベント、その学年でしかやらない取組、子ども時代にしか楽しめない集団遊びや友達とのやり取りがあります。これらは、全て子どもの精神発達に大きな影響を与えていきます。表情のわからないマスクで対応する子どものコミュニケーションがどれほど疲れるか、少し考えれば想像がつきそうなことですが、政府はそんなことより風邪程度の感染が広がる事の方が重大なのです。半年後に迫っている選挙でやるべきことをやらなかったと言われるのが怖くて仕方がないのです。

日本は世界の中で感染率も重症率も極めて低いのに未だに欧米と同じような措置を追いかけています。世界はもう1年も前から自粛から踏み出して景気対策に切り替え、日本を残して多くの先進国は景気を回復させています。実現するはずのないゼロコロナを求めて経済を停滞させ子どもの発達の場を奪っているのに、新型コロナと「しっかり」向き合っていくと大臣は言います。変化に対応できずに決断が遅く、一度決めたら変えられない癖、我が国の稚拙な政治は戦前と何も変わっていないではないかと言われても仕方がないような気がします。願わくば子どもたちが受けたダメージが最小限になるように私たちができることは、毎日戸外で走り回って遊ぶ支援を大事にしていくしかありません。

台湾の教育制度や病に苦悩した、天才オードリー・タンの軌跡

台湾の教育制度や病に苦悩した、天才オードリー・タンの軌跡【書評】

2022.01.19【Pen】文:今泉愛子

『オードリー・タン 母の手記「成長戦争」自分、そして世界との和解』
近藤弥生子 著 KADOKAWA ¥1,980 
近藤弥生子●1980年、福岡県生まれ。編集者、ノンフィクションライター。日本語と繁体字中国語でのコンテンツ制作を行う草月藤編集有限公司代表。おもな著書に『オードリー・タンの思考 IQよりも大切なこと』(ブックマン社)。

台湾のデジタル担当大臣として活躍するオードリー・タンは、10代の頃から天才プログラマーとして知られ、15歳で友人と会社を設立。学校教育を中学で終えている。

タンはどんな風に育ち、その天才ぶりをどのように発揮してきたのだろうか?

本書の著者、台湾在住のライターの近藤弥生子は、タンの母親である李雅卿(リー・ヤーチン)が1997年に出版した手記『成長戦争』をもとに、自身の見解、タンへのインタビューを加えて、タンの軌跡を詳細に追った一冊をつくった。

近藤は、タンの核となっているものは3つあると語る。

「心臓病を克服したこと、学校教育の場で自殺願望をもつほど追い込まれたものの、教育者や協力者との出会いによって立ち直ったこと、そして、両親が自分を受け入れ支持してくれたことです」

本書には、団体生活に馴染めなかったタンが、3つの幼稚園、6つの小学校を経験し、中学校で学校教育を終えた経過が克明に記されている。

11歳で心臓手術を受けた後、体調が大きく改善したタンは、著者のインタビューに対して「体調が改善したことから始まる“身体が弱くない”人生で、自分が過去に受けた仕打ちに対して、なにか未来に向けて貢献できないかと考えた」と答えている。

タンの幼少時代、台湾では体罰が横行し、子どもたちは競争にさらされていた。

「これからの台湾を担う若い世代は、タンの両親が我が子を守ったことが、教育の現場に風穴を開けたと感じています。これまで教育によってどれだけコントロールされてきたか、わかっている人が多いのです」と近藤。

学校生活における苦難を、社会構造の問題と捉えていたタン。本書で描かれるその姿は、自身の才能を社会に役立てようとする現在のタンと見事につながっている。

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天才プログラマーを大臣に起用する台湾ってかっこいいというのが、日本のメディアの反応でした。コロナ禍の中、マスクが買い占められないようにプログラムを開発した大臣として一躍有名になりました。2016年10月にデジタル担当の政務委員に就任して、35歳での閣僚就任は台湾史上最年少と言います。

「デジタル技術とシステムによって政府の問題解決を補佐し、民間と政府のコミュニケーションの促進と強化を行う。自分の役割は特定の団体の利益のために動くことでも、政府のために政策の広報を行うことでもなく、より多くのアイデアと力を結合させる『パイプ』となることだ。」と言うのがオードリー・タンのマニフェストです。

幼い頃からコンピューターに興味を示し、12歳のときにプログラム言語を学び始めたそうですが、学校が性に合わず何度も転校しています。14歳のとき、中学を中退して自分を支えてくれる父母や教育者らの力を借りて自学自習を始めます。19歳のときに、シリコンバレーでソフトウェア会社を起業した彼(女)は、トランスジェンダーとしてカミングアウトしている世界で唯一の大臣でもあります。

彼を登用した政府の本音はわかりませんが、少なくともビニール袋の有料化で2酸化炭素が削減できると言う若手大臣の登用とは筋が違うと思います。そして、この本が、不登校でも出世できるというような単純な立身出世本ではないことは確かです。

巨大中国に飲み込まれようとしている台湾が生き残るには、強権的なものから決別して民主主義を旗印に掲げる必要があります。台湾は民主主義のシンボルとしてオードリー・タンを登場させているようにも思えます。教育の自由は民主国家の存続と市民の自由の上に成り立ちます。「自分が過去に受けた仕打ちに対して、なにか未来に向けて貢献」したいというメッセージは広く台湾の若者に広がっているはずです。

子どもの感染拡大 募る不安…受け入れ続く「放課後施設」 発熱外来も急増…3分の1が15歳未満

子どもの感染拡大 募る不安…受け入れ続く「放課後施設」 発熱外来も急増…3分の1が15歳未満

2022年1月18日【長野放送】

子どもへの感染が急拡大し、休校なども相次いでいます。長野県松本市の放課後に子どもを預かる施設は現在も受け入れを続けていて、不安を募らせています。

病院に並んだ車。発熱外来の受診者です。こちらの医師が往診しているのは子ども。病院では年明けから受診者が増えていますが、特に急増しているのが15歳未満です。15日は1人でしたが、17日は65人中22人とおよそ3分の1を占めました。

病院も対応で負担が増しています。
子どもたちへの感染拡大。新学期が始まったことが要因と考えられ、県によりますと17日時点で県内の小中高校41校が休校や学年閉鎖などの対応をとっています。

病院では「発熱やのどの痛みなど少しでも違和感を感じたら学校には行かず検査を受けてほしい」と呼びかけています。

こちらは松本市の高宮児童センターです。現在も受け入れを続けていて18日も60人が利用しました。
高宮児童センター・太田武志館長:
「学年を超えてたくさんの子どもが集まりますので、非常に危険なリスクの高い状況と心配している」
第5波では市が保護者に対し施設の「利用の自粛」を呼びかけましたが、今回はそうした要請は出ていません。センターは市に「人数を減らすなどの対応をしてほしい」と考えていますが、今は消毒や換気などこれまで通りの対策を徹底するしかないと話します。
高宮児童センター・太田武志館長:
「(学校に比べ)センターの場合、どうしても密な状態ができてしまう。子どもたちの感染のリスクが高いことを肝に銘じて職員一同、基本的な感染防止対策をやっていかないといけない」

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感染報道の典型かなと思いました。施設側が子どもを預かって不安と表現することで、「自粛の呼びかけがない」としながらも暗に利用を控えて欲しいという誘導になります。「60人が利用」と言いますが、学校ははるかに多い子どもが活動していますし、「感染リスクが高い」といいますが、子どもの集まるところの感染リスクが高いのはこの2年間ずっと変わりません。病院の発熱外来で自家用車が長蛇の列で待機して医師が巡回してくる様子を報じる事で、この感染力の強力さを表現していますが、実際にどの程度の症状なのか医師のインタビューはせず、素人の不安インタビューを報じて印象操作をします。

今回は上気道での炎症が中心なので風邪の症状です。子どもの重症者はおらず僅かに高齢者の重症例があると言う話です。ワクチン接種者にもブレークスルー感染すると言いますが、接種者の症状例に入院を必要とする重症例はありません。大阪府では、従来の2類相当の感染として扱うと、濃厚接触者の特定や措置までしなければならないのですが保健所はもう手が回らず、学校や老人施設だけにすると決めました。政府も濃厚接触者の自宅待機期間を2週間から十日に縮めました。エッセンシャルワーカーは陰性証明を前提に更に3日縮めました。今回の感染症状の多くは軽いですが子どもが多く感染するので、施設や学校の仕事では職員が濃厚感染になる可能性が高く、子どもが感染する度に濃厚接触者扱いされるとサービスはできなくなっていきます。

症状が重いなら仕方がありませんが、重症例が極めて少なく全てのエッセシャルワーカーが接種を済ませているのに接種前と対応が変わらないのは、政治家のエクスキューズ(言い訳)のためです。厳しめに対応しておけば失敗してもクレームは少ないが、規制を緩めて感染が拡大すれば因果関係がはっきりしなくても政治生命に関わると判断しているからです。これまでの制限について科学的な効果は確認されていないのに、教育関係では再び県をまたぐ修学旅行や試合などを中止し始めました。

それをならってか、飲食関係も再び規制対象になる「まん延防止等重点措置」で客足が遠のきます。ワクチン接種証明アプリで飲食や旅行をスムースにしようと言う話も雲散霧消し政治家は誰も言わなくなっています。本当のリスク管理とは子どもが受ける社会的なリスクと感染リスクの比較によって判断する施策のはずです。大は小を兼ねるというような施策なら誰にでもできる話で政治家は必要ありません。ピークアウトする2月半ばくらいまでまた我慢の季節がやってきます。

【図.知見のまとめ:子どもの COVID-19 関連健康被害 (日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会作成)子どもは多くの場合、家庭で感染しているが、幸いほとんどの症例は軽症である。しかし、COVID-19 流行に伴う社会の変化の中で様々な被害を被っている。】

「牛乳は体にいいのか」150年論争 学校給食での提供を停止した自治体も

「牛乳は体にいいのか」150年論争 学校給食での提供を停止した自治体も

2022年1月17日【週刊ポスト】

昨年末、岸田文雄首相はコロナ禍の影響で消費が落ち込んでいる生乳の大量廃棄を回避するため、「牛乳の消費拡大」を求める異例の呼びかけに踏み切り、話題を呼んだ。牛乳というと、真っ先に思い浮かぶのが「成長や健康にいい」というイメージだ。昭和の時代には、多くの栄養を補えるといった印象が定着し、学校給食でも広く親しまれてきたが、振り返ってその“効果”を疑問視する声もある。

「母親から“背が伸びるから飲みなさい”と言われたけど、全然伸びなかった」(50代男性)
「“骨が強くなる”と言われて中学時代に毎日1リットルの牛乳を飲んでいたが、お腹がいつも緩かった」(40代男性)
「“よく噛んで飲め”と言われていたので牛乳を噛んでいたけれど、意味があったのか、いまだに分からない」(50代男性)

「牛乳は完全栄養食」と位置付けられてきた一方で、昨今は「牛乳を飲むと不健康になる」という話を耳にする機会も出てきた。都内在住の50代男性が語る。

「年末に実家に帰ったら、80代の親に『牛乳を飲むとがんになるから、孫には飲ませるな』と注意されました。コロナで健康に気を遣うようになり、『牛乳不健康説』に感化されたようです」

「骨粗しょう症になる」「がんになるリスクがある」といった牛乳不健康説も出回っている。さらに、3回目のコロナワクチン接種が近づくなかでの岸田首相の消費拡大の呼びかけに対し、「ワクチン接種後に牛乳を飲むと、免疫機能に異常が出る」といった陰謀論めいたインターネット上の書き込みまでみられた。一体、牛乳は体にいいのか、悪いのか。

「ここ15年くらいの間で論争が盛り上がり、繰り返されています」

そう指摘するのは、小田原短期大学食物栄養学科の平井千里准教授。

「近年の論争のきっかけの一つは、2005年頃から度々出版される牛乳有害説を唱える書籍の影響と言えます。それまで体にいいとされてきた牛乳に対して、“牛乳が逆に骨を脆くする”といった論がセンセーショナルに打ち出されるようになった。対する乳製品業界なども黙ってはおらず、多くの異議が唱えられて論争に発展しました」

2015年には、お笑いタレントの松嶋尚美が「牛乳を飲むと体内のカルシウムが尿で排出される」「乳製品を多く摂る欧米人は骨粗しょう症になりやすい」などの説をテレビで語り、炎上する騒ぎもあった。

学校給食でも牛乳の扱いに変化が起きている。15年、新潟県三条市は学校給食での牛乳の提供を停止した(給食時間と別に牛乳を飲む「ドリンクタイム」を設けたが、現在は停止)。

「最近では“米飯や麺類に牛乳が合わない”“そこまでして飲まなければならないものなのか”といった保護者からの意見も少なくありません。1954年に施行された『学校給食法施行規則』では牛乳の提供が定められていますが、三条市独自の判断が優先されたかたちです。論争の影響は学校給食にまで及んでいるのです」(平井氏)

遡ると、乳製品に対する論争は明治期から存在したとの視座もある。梅花女子大学食文化学科の東四柳祥子教授の研究によると、富国強兵策の一環として乳製品の摂取が注目され始めた1870年代の明治初期の段階で、安全性への疑いを持つ声もあったという。150年に及ぶ論争だが、前出の平井氏はこう見る。

「牛乳の栄養価の高さを疑う余地はありません。カルシウムやタンパク質にミネラルといった栄養素を豊富に含みます。ただし、飲み過ぎるとカロリー過多やカルシウムの過剰摂取で結石ができやすいといった不具合が起こることも考えられます。完全栄養食とは言えないが、適量を摂る分には体に悪いものではありません」

※週刊ポスト2022年1月28日号
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ここでは、牛乳が栄養食かどうかと言う議論と給食でも嗜好が大事にされてもいいのではないかという議論がごちゃ混ぜになっています。日本人の背が伸びたのが給食牛乳の成果だと言う根拠はありません。給食牛乳をしても現代の子どもの方が骨折しやすくなっているわけですからカルシウム云々の根拠にはならないです。日本の子どもの給食で牛乳を提供するという法律のおかげで、日本の畜産業が息をつないでいると言う業界の意向に押されて給食牛乳の法律は70年近く続いているのです。子どもの健康問題ではなくこの既得権益をどう考えていくかが事の本質と言えます。

筆者が給食で一番違和感を感じたのが、米飯メニューに牛乳です。食文化としてどうなのかと同僚に聞くと牛乳で米飯を炊くメニューもあるから気にしないとのことでした。世界では牛乳で米を煮るのは珍しい事ではなく、イギリスではライスプディング、ドイツはミルヒライス、インドではキール等とどれもミルク粥風で、材料は牛乳と米以外に各国様々、作り方にも違いはあれど、共通しているのは「甘い」ということです。

世界では「牛乳+米」という式には「=おやつ」という答えを出している国が多いようなので、つい米を主食にする者として、反射的に非難がましい想いがわいてきます。しかし、我が国も米にあんこをまとわせて食べていますから米に甘い味付けは日本ではありえないとは言えないなと批判はあきらめましたが、米飯メニューに牛乳が出るのと牛乳で調理するのでは意味が違うではないかと密かに思っています。

「あ~、ムリムリ」「重度障害児に眼鏡つくる意味ある?」 受診を敬遠される障害児たち

「あ~、ムリムリ」「重度障害児に眼鏡つくる意味ある?」 受診を敬遠される障害児たち〈AERA〉

1/16(日) 【AERA dot.】

障害児こそ医療が必要なのに、受診を断られるケースもあるという。適切な医療を受けるには、医療関係者や保護者たちの配慮や準備が重要になる。AERA 2022年1月17日号の記事で取り上げた。

*  *  *
「あ~、うちではムリムリ」
男性医師が明らかに嫌そうな顔を見せた。都内の女性(49)の長女(14)が幼児期に自宅で転び、おでこを切って、地元の「形成外科・皮膚科」クリニックに連れていったときのことだ。長女は知的な遅れのある自閉スペクトラム症。女性はこう振り返る。

「落ち着きがないからか、『こういう子は縫えない』と言われました。健常児だったらやってくれたと思いますが、障害児はまともな治療を受けさせてもらえないことが多いんです」

眼科も診てもらえるところが見つからず、長女が11歳のときに初めて問題なく見えていることがわかった。いま一番困っているのは歯科。近所で評判のクリニックに長女を連れていったが、嫌々診療している感じが伝わってきた。器具を口に入れて少しでも体が動いたら、即終了。2、3週間に1度のペースで通っていたのに虫歯も見逃され、長女は歯の痛みで一時食事ができなくなった。別の歯科医院に相談すると、男性歯科医は「人手は足りないし、治療中に動いて口の中を切ったら責任を持てない」と本音を明かしてくれた。

■フリーアクセスなのに
日本の医療制度の特徴の一つは、「フリーアクセス」。日本医師会のホームページには、「何の制限も受けずにどこの医療機関でも、どの医師にも自由に診てもらえて医療サービス(治療)が受けられる」とあるが、現実は、障害児はその特性から医療機関での診察や治療が難しく、受診を断られるケースもある。

脳性まひの小学3年の娘(9)がいる横浜市の女性もこう話す。
「医師の中には差別的な考えの方が多くて閉口します。娘の友人は、眼科医に『こんな重度障害児に眼鏡をつくる意味あるんですか』と言われました」

娘は脳性まひのアテトーゼ型のため、自分の意思によらない「不随意運動」があるが、理解のある医療機関は少ないという。歯科には「障害者歯科」があるので、歯並びが気になって受診したが、「障害児の中ではまだいいほうですから」と暗に矯正を断られ、通うのをやめた。

■時間とエネルギー必要
「障害のある子どもこそ、医療が必要です」
と話すのは京都市の「まさみ眼科クリニック」院長、朴真紗美医師だ。眼科領域では障害児は健常児に比べて、網膜上にピントが合わない遠視や近視などの「屈折異常」が約5倍多く、はっきりと見えていない可能性が高いため、受診がより必要だと強調する。

以前に朴さんは3年間、数カ月に1度、鹿児島の奄美大島に飛び、障害児の眼科診療をしていた。眼鏡を処方した子たちは、再診時に表情が明るくなり、言葉も増え、さまざまなことに興味を持つようになっていた。
「適切な眼鏡一つでその子の人生が変わり、家族の人生も変わる。このような医療があることを学びました」

一方で、障害児の診察を敬遠する医師たちの事情も理解する。
「障害児者の診療は何倍もの時間とエネルギーを要する上、個々の特性に合わせた技術や多くのスタッフの理解も必要です」
例えば3年前に知的障害と自閉症のある20歳の男性の白内障手術を、非常勤医として勤務する音羽病院アイセンター(京都市)で行ったときのこと。男性は大柄で片目は自傷のため失明していた。自閉症の特性で新しい場面を苦手とするため、診察室や手術室、入院病棟の様子を事前に写真で説明し、全身麻酔の導入練習だけでも数回の受診が必要だった。また、術後の感染予防対策のため、通常1泊2日の入院期間を2週間にし、病棟の看護師らは自閉症の勉強会を開くなど、病院側も受け入れ態勢を整えた。

障害者支援に詳しい川崎医療福祉大学准教授の諏訪利明さんはこう話す。
「肢体不自由の場合とは違って、障害が周囲に見えづらい自閉症や知的障害だと配慮もなく、『普通の人の基準に合わせなさい』となりがちです。障害特性として、言葉での説明が理解しづらく、自分の症状もうまく伝えられない。見通しが持ちにくいので我慢できずに待合室や診察室で騒いでしまう。感覚の過敏がある場合は治療にも配慮が必要です。治療前の準備にも診療報酬点数をつけるなど制度を整備すれば受け入れる医療機関も増えるのではないでしょうか」
(編集部・深澤友紀)
※AERA 2022年1月17日号より抜粋
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以前、新型コロナワクチンを障害者に接種する医療機関の報道で、患者を押さえつけた動画を報道側が削除したことについてコメントしました【神奈川・相模原市で障害者専用のワクチン接種会場:2021/09/28 】。治療しようとしても適切に対応できなかったとことだけが取り上げられて社会のバッシングを受けるかもしれないと考えると、積極的な治療を躊躇してしまう気持ちは理解できます。治療しないことを、医師個人の資質の問題とステレオタイプに決めつけるのも考えものです。

医師だけが、治療目的で身体を切り異物を与える権限があります。しかし、そこには効果のある治療をすることが前提なので治療をするかどうかは医師の判断によります。医師法19条で「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければこれを拒んではならない。」と、診察に応じなくてはならない応召義務が定められていますが、これには罰則はなく倫理規定だというのが定説です。

もちろん、先のワクチン接種時のように、当事者が嫌がっているのに押さえつけて注射をするのは現段階のオミクロン型の感染症状を見ていると過剰医療と言えます。しかし、半年前の世間の通説はワクチンを打てばデルタ型までは重症化せずに済むというものでした。医師が押さえつけてでも接種した際の心的外傷のリスクと重症化を防ぐベネフィット(効果)の比較では重症化を防ぐことが優先されたのだと思います。このようにわずか半年間でも、症状や世間の通説が変わってしまえば、リスクと効果の比率は変わってしまいます。

障害者の医療は通常よりコストがかかります。これは子どもや乳幼児、周産期医療にも言える事です。諏訪さんが言うように、コストがかかる医療を正当に評価して診療点数を決めればいいと思います。リスクはあるし人手もかかり診療点数も実態に見合わないとなれば、医師が敬遠しても無理もないと思います。社会の根本的な課題を明らかにせずに、誰かを悪者にして叩いていても社会は変わらないと思います。そして、リスクを取ってでも真剣に障害者医療に取組んでいる朴さんのような医師たちこそをもっとメディアに取り上げてほしいと思います。

若者が帰りたくなるまちを作る...0歳~100歳まで“ごちゃまぜ”の世代間交流を実現させた

若者が帰りたくなるまちを作る...0歳~100歳まで「ごちゃまぜ」の世代間交流を実現させたある病院の挑戦【群馬】

2022/01/14【FNNプライムオンライン】

群馬県の人口約5万人の小さな自治体で、地域の病院が子どもから高齢者、障がいのある人まで一体的にケアする取り組みが行われている。政府が進めようとする「地域包括ケアシステム」を先駆けて実践するこの病院とは?現地を取材した。

「0歳から100歳まで地域で支えるんです」
「ここでは0歳から100歳、すべての年齢を地域で支えるんです」

群馬県沼田市で2021年11月に開設した地域共生型施設「SONATARUE(以下ソナタリュー)」。筆者に施設を案内してくれた担当者はこう語った。

ソナタリューは1階に足湯や温泉、レストランにカフェ、アスレチック公園があり、一見アミューズメント施設のようだが、実は障がいのある人の生活や就労の拠点であり、障がいのある子どもたちの学童クラブもある。

この施設を開設したのは、沼田市にある医療法人大誠会内田病院(以下内田病院)だ。内田病院はいまから30年以上前に来るべき高齢社会を見据えて、当時としては珍しかった医療と介護の連携を開始した。

その後内田病院は福祉の分野にも進出し、いま医療・介護・福祉を一体化させた取り組みを行っている。ソナタリューもその1つであり、内田病院は人口5万人足らずの沼田市で、子どもから高齢者まで安心して暮らせるまちづくりの拠点となっている。

学童保育が足りないなら自分たちでつくる
安心のまちづくりにチャレンジしているのが、内田病院グループの理事長を務める田中志子さんだ。田中さんの父親は内田病院の創始者であり、当時としては珍しく介護分野に乗り出した。そのきっかけを田中さんはこう語る。

「父は1976年に有床のクリニックを開業したのですが、10年ほど経つと入院患者さんの年齢層が上がって長期入院になり、軽度の介護施設みたいな感じになりました。そこで父は1988年に当時始まったばかりの老健施設(※)を建てたのです」

(※)介護老人保健施設。介護が必要な高齢者の自立支援などを行う、病院と施設等との中間施設

父親を継いで理事長に就任した田中さんは、「誰もが生きがいをもって安心してくらせるまちづくりを」と福祉の分野にも進出した。

「2006年にNPO法人をつくりました。当初は自宅にいる一人暮らしの高齢者に配食をしていたのですが、子育て中の病院の職員が『学童保育が足りなくて働けない』というので、『では学童を作ろう』と。そのうち外部の子どもも預かるようになり、障がいのある子どもが大変そうだとこちらも預かることになりました。当初は公費が頂けず赤字続きでしたね」

居場所のない高齢者と子どもが”ごちゃまぜ”に
その後保育園やデイサービスも始めた田中さんは、高齢者から子ども、障がいのある人へのサービスを同じ施設内で行うことを決めた。こうして2017年に開設した「いきいき未来のもり」には、保育園、学童クラブのほか、障がいのある子どもを対象とした児童発達支援事業と放課後等デイサービス、要介護認定された高齢者のデイサービスが混在している。

田中さんはこう語る。
「施設は保育園の子どもがデイサービスを通らないと園庭に行けないような設計にしました。そうすると子どもはおじいちゃん、おばあちゃんに1日2回は会えて挨拶もできる。こうして“ごちゃまぜ”にすると、家で居場所がなくなっていたおばあちゃんが子どもたちの運動会のお花を作ったり、認知症の人が赤ちゃんと交流したり。また重い自閉症の子どもが健常者と交わる中で、普通クラスに通えるようになったりもしました」

“ごちゃまぜ”な世代間交流が生まれる施設
そして2021年11月に開設したのが前述のソナタリューだ。田中さんがソナタリューを作ろうと思ったのは、初めて障がいのある子を預かったときだ。

「お母さんたちがとても感謝してくれたのですが、『特別支援高校卒業後に住むところや働くところが無い』と言われて。それから16年が経って、障がいのある人のグループホームとショートステイをやっと始めることができたのですが、商業施設のように誰もが行きたがる施設にしようと考えたのです」

ここでは障がいのある人が健常の人と一緒にパンを焼き、足湯には園児もリハビリの人も、地域の人も観光客も来る。

「結果的に本当に“ごちゃまぜ”な世代間交流が自然と生まれるのです」(田中さん)

人口約5万人のまちが国に先駆ける地域ケア
いま政府は「地域包括ケアシステム」の構築を進めている。これは高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしをおくることを目的としたものだ。

内田病院は、医療だけにとどまらず介護や福祉の分野まで取り組み、まさに子どもから高齢者、障がいのある人が安心して暮らせるまちづくりを行っている。

ではなぜ田中さんは、これまで難しいと思われていた包括ケアに挑戦するのか?

「沼田市は人口が5万人程度、うちも10年前は職員300人規模の医療法人グループでした。しかし現在は600人を超える職員がいます。だからこそ『こういうやり方をすると人が集まってきて、満足度が高いエリアになる』という発信ができれば、同じ規模の自治体のモデルになれるんじゃないかと。私たちは地域への反映に約20年かかりましたけど、このノウハウがあれば他の地域でも2年くらいでやって頂けるかのではないか思っているんです」

若者が帰りたい、残りたいまちづくりとは
さらに田中さんは「実はもう1つ理由があって」と続ける。

「これは本当にエゴでしかないのですが、私には子どもが3人いますが、赤ちゃんの時にとにかく可愛くて手放したくなかった。だから子どもたちが仮に都会に行っても帰ってきたい、残りたいまちを20年かけてでもつくろうというのが発端だったんです(笑)。だから誰もが楽しく働く場所があって、子どもを育てやすい環境があって、住みたくなるまちをつくろうと。おかげさまで子どもたちは皆、ふるさとに帰る予定です」

田中さんは若い職員に「要介護者を増やさないことは社会保障費を必要以上に上げないことになる。それは自分たちの未来のためなのだから、我が事としてやりなさい」と言っているという。

医療・介護・福祉を一体化させ、子どもから高齢者まで安心して暮らせるまちをつくる。そんなまちになれば、若者が帰りたいふるさとが日本中に生まれるだろう。

【執筆:フジテレビ 解説委員 鈴木款】
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医療から出発して老人介護や精神医療から就労支援にまで拡張していくケースはよく見ますし、学童保育や放デイにまで拡大していくのは、発達障害医療から放デイと言う形で最近ちょくちょくあります。町ごと丸抱えというのは地方ならではの取組だと思います。云わば地方でこうした芋づる式に必要だから作ろうと考えて実現できるかどうかは経営者次第だということです。

医療が福祉分野に拡大していくのは穿った見方をすれば、医療ニーズが変わってくる中で顧客(患者)を離さない取組とも言えますが、それが職員の新しい職域を開発し地域の雇用ニーズを作り出し地方を活性化することにつながるなら良いことです。本来なら行政や議会が動いて地域インフラの設計図は描くことが理想ですが、既得権益にがんじがらめの政治家や今まで通り路線の役所に任せていたらいつまでたっても実現しません。

医療法人が一定の資本力を得て、地域に資本投資して地域のインフラを整備していく話は、テレビでは地元の事など目もくれず合理主義を持ち込んだ儲け主義の理事らが画策していくというドラマ展開が多いのですが、田中理事長のような方もいるのだと強く発信してほしいと思います。

しかし、その起点が医療法人である必要はありません。地域で大きくなった企業は地域にたくさんの従業員がいます。その従業員の家族には子どもや老人もいれば障害のある人もいます。乙訓地域は世界に知られる資本力の強い大企業も多いです。地元の大企業が必要な地域インフラを拡大して持続可能な地域社会を作るように動き出せば、新しい共生社会のモデルを作ることも可能です。重要なのは法人トップの事業理念だということを田中理事長は教えてくれています。

感染再拡大 新学期迎えた学校 感染対策を徹底して授業再開

感染再拡大 新学期迎えた学校 感染対策を徹底して授業再開

01月12日 【NHK】

新型コロナウイルスの感染が再拡大するなか、東京都内の学校では新学期を迎え、受験を控える6年生の児童もいることから、感染対策を徹底して授業を再開しています。

このうち、東京・大田区の区立出雲小学校では11日から3学期が始まりました。学校では、登校時の感染対策として、昇降口で教師がサーモグラフィーを使って児童の体温を測定し、発熱している人がいないか確認しています。

また、中学受験を控えた児童がいる6年生をはじめ、各教室では担任が1人1人、児童とその家族の体調に問題がないかどうか聞き取ったあと、児童は消毒して入室していました。12日は毎年この時期に行われている学校の開校記念の催しもありましたが、リモートでの開催となり、児童たちは教室の前の大画面を通じて校長の話を聞いていました。

また、毎年恒例の新年の書き初めの授業は、日にちを分散したうえで、スペースを確保しやすい体育館を活用し、できるだけ間隔を空けて行われていました。

学校行事にも引き続き影響が及んでいて、去年9月からことし3月に延期された6年生の1泊2日の校外学習も今後の感染状況を見ながら実施の可否を判断したいとしています。

中学受験を控えた6年生の男子児童は「受験まで1か月を切っているのでコロナだけでなく風邪などをひかないように引き続き気を引き締めて感染予防に努めたいです。行事が開かれない可能性もありますが、日頃からの友達と過ごす今の時間を大切にしていきたいです」と話していました。

関眞理子校長は「オミクロン株は感染力が強いとのことなので、小さな症状でも配慮するよう家庭に声かけしています。コロナ禍の生活に子どもたちも不安を感じているのでケアをしていきたい。健康で安全安心な学校生活を送れるよう、先生を含め、健康管理や感染対策をしっかり行うことを心がけています」と話しています。

文部科学省は厚生労働省とともに大学受験を控える受験生向けに作成した「受験生のみなさんへ」という文書をホームページに掲載していて、感染リスクをできる限り減らすための対策を紹介しています。

このなかでは体調がおかしいときには外に出ない自主的に検温をする外出は最小限にとどめるこまめな消毒といった受験生本人がとる基本的な感染対策のほか、受験生がいる家庭内で心がけることも掲載されています。

まず、家庭内で普段から心がけることとしてはお互いに体調を確認しあって症状がある場合は早めに医療機関を受診すること受験生の家族は会食など、外出先で感染リスクのある行動をできるだけ減らすこと家族での食事の際にも可能な範囲で距離を確保することなどをあげています。

また、もし、体調が悪い家族がいる場合には同じ部屋での食事や睡眠を避け、難しい場合は距離を保つ工夫をすること家族での会話の際にもマスクを着用することなどをあげています。

そのうえで文書では新型コロナウイルスは誰でも感染する可能性があり、感染した人を責めることなくみずからを守る行動を心がけるよう呼びかけています。

首都圏の1都3県の私立中学高等学校協会などによりますと、埼玉県では今月10日から千葉県では今月20日以降、東京都と神奈川県では来月1日以降、それぞれ私立中学の一般入試が行われます。

中学受験の模試や受験情報のとりまとめを行っている「首都圏模試センター」の調べによりますと今月6日の時点で、首都圏の1都3県の私立中学校の少なくとも70校以上が、新型コロナウイルスに感染するなどして試験を受けられなくなった人のため、追試を予定しているということです。

また、およそ18校は追試などの対応が可能かどうか学校に相談してほしいとしているということです。

首都圏模試センターは「今後の感染状況によっては、追試などの対応をとったり、入試について変更する学校も出てくると思うので志望校のホームページをこまめに確認してほしい」と話しています。

今月15日からは2日間の日程で「大学入学共通テスト」が行われるなど、首都圏では今後、高校入試や大学入試もピークを迎えます。

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中学受験まで感染リスクの管理を行う、これが今の東京の実情だと言う事がよくわかる記事です。東京では平均2割程度ですが文京区や港区では4割ほどの子どもが私立中学に行くので中学受験は珍しいことではありません。全国平均で1割程度ですから、乙訓地域では各クラスで3~4名が東京港区のクラスでは15名以上が私学に進学する感じです。

大学入試では、感染や濃厚接触で共通テストが受験できなければ各大学で試験をするように通達した事が不公平になるのではないかという議論が起こっています。理由は共通テストの点数で各大学は足きりをするのに対象者はそれをスルーできるからだそうです。筆者も含め昭和生まれの約半数は試験一発勝負の世代なので事態の重大さがわからないのですが、平成生まれの人たちはすぐに気づいたようです。

それにしても、オミクロン株の症状は風邪引きと酷似していると症例も集まってきているのに、感染者数ばかりを強調しNHKも事実上他のメディアと同じく煽っている感があります。一気に広がると入院施設が対応できないからと言いますが、次の山が来ると専門家も政治家も一様に表明していたのに、以前と全く同じ発言をして無策に悪びれる様子もありません。

そもそもエボラ出血熱と同じ扱いの2類相当を、インフルエンザ並みの5類相当に修正すれば通常の対応に戻せたはずでした。結局、重症化しないという症状に関係なく制限を強くすればするほど支持率が上がるというポピュリズムがそれも許さなかったということです。沖縄はオミクロン拡大で緊急事態宣言の要請をしていましたが、重症者は僅かでした。この騒ぎ方も、世界中で広がっている感染を米軍基地の責任にして政治的に煽っている感じがします。必要以上の制限をして必要のない休校休所で子どもを巻き込まないで欲しいと思います。

学校ができることは手洗いうがいを励行することです。重症例がほとんどないのに、新しい株が出るたびに行事を止めたり特別な措置をしていては、この先教育も福祉も成り立ちません。メディアの取り上げ方も、感染者が増えた増えたと騒いで不安を煽るのは、そろそろ終わりにしてほしいと思います。大事なのは症状と予防法をデータを示して正しく説明することだと思います。

「助言しない」意識変革を

「助言しない」意識変革を

2022/1/12 【産経WEST】

「私は臨床心理士なので、具体的なアドバイスはしない」。困難を抱える子供や保護者の支援を担う心理の専門職、スクールカウンセラー(SC)への取材を重ねる中で、何度も聞いたセリフだ。だが文部科学省は問題解決のため、SCに対して保護者に助言をするよう明確に求めている。それが、なぜそうなるのかと驚いた。

SCという名称の固有の資格はなく、文科省によると、現在のSCの大半は臨床心理士の有資格者だ。臨床心理士が心療内科などで行うカウンセリングでは、相談者が自分の考え方のクセといった問題に自ら気づけるよう、本人の話に傾聴して共感を示し、内省を促す手法が主体とされる。この一面においては、「臨床心理士はアドバイスはしない」のだろう。

だが臨床心理士の資格は個人的な背景にすぎず、自治体から採用されてSCになったのなら、「SC」としての責務を全うしてもらわなければならない。文科省の有識者会議によるガイドラインは、子供にはカウンセリング、保護者には助言をするよう明記している。このガイドラインを基に各自治体が作成する活動指針も、同様のはずだ。

保護者は悩みや不安を抱え、すがる思いで相談に訪れる。それなのに、カウンセリング手法で話を聞いて共感されるだけでは、解決の糸口すらつかめない。中学生の長女が不登校になった愛知県の女性(53)は、SCから「本人が登校する気になるのを待ちましょう」と言われるばかりで、何をして待てばいいかの助言もなく不安を募らせたという。だが、取材に「臨床心理士として言えるギリギリが、『待ちましょう』だ」と答えたSCもいた。

もちろん取材では、子供の抱える問題の原因を見立て、積極的に助言するSCにも出会った。メールで連載への感想を寄せてくれたSCの女性(56)も、保護者との面談のたびに必ず助言をするといい、「子育て期はあっという間。保護者の悩みに今、対応して解決しなければならない」と話した。だが、そんなSCはむしろ少数派だとの声もあった。

SCには心理分析の知識だけでなく、教員と連携するためのコミュニケーション能力などさまざまな資質が求められる。財務省は今年度、各省の事業の有効性や効率性を調べる「予算執行調査」で、SCについて「資質の向上が最需要事項」と指摘した。

だが、「うまく助言できない」のではなく「助言しない」と決めているのであれば、資質以前の問題だ。文科省と自治体は今一度、SCの職務内容を周知徹底してほしい。SC側も、学校にかかわる専門職として求められている役割が何かを改めて考え、意識を変える必要があるのではないか。(藤井沙織)

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傾聴して指示はしない、カウンセリング理論の基本です。ただ、保護者は生徒と親子関係にあり保護者が影響を与えている場合があるとは言え当事者ではないですから、「助言しない」という理由が不明です。「子どもに助言しない」と言う助言はありですが、親にも教員にも助言しないと頑なに拒むカウンセラーがいるとすれば、その方自身が社会性の課題を抱えていると考えるべきです。そもそも導入時から臨床心理士を学校に迎え入れるのに、傾聴だけするカウンセラーで教育相談に役に立つのかと言う議論がありました。

この懸念を抑えて押し切ったは、かつての文化庁長官河合隼雄さんの力が大きいです。不登校や引きこもり相談のパイオニアであった河合さんが臨床心理士会をてこにSCを定着させたという経緯があるのです。秘密を守ることは子どもとの信頼関係を築く第一歩ではありますが、全てではありません。他の大人とも情報共有することを子どもが安心して理解できるようにするのもSCの仕事です。

SCには生徒のカウンセリング業務以外にコンサルテーション(助言)業務が課されています。対象は保護者と学校関係者です。ところが、この人たちに向かって「助言しない」と言ったら業務放棄です。一度決めたら修正できない「お役所仕事」で全ての公立学校にSCを文科省は置いたのですが、とうとう現場の不満が爆発し、財務省の経費削減路線と合わさって「SCは役に立たない」大合唱が始まったわけです。

SC採用の際に臨床心理士会の心理士ならフリーパスと言う採用の仕方にも問題があります。今は少なくなりましたが、子どもの特性によっては傾聴が役に立たないことを知らない臨床心理士もいるのです。そして、子どものカウンセリングと関係者への助言はセットにして効果が上がるのは当たり前のことです。助言しないと言うSCは辞めてもらえばいいのです。制度そのものと運用(採用方法)の問題をすり替えないでほしいと思います。

ボードゲームの「先生」に転身 元小学校教員が専門店

ボードゲームの「先生」に転身 元小学校教員が専門店 三郷

2022年1月11日 【朝日新聞】

大人も子どもも楽しめるボードゲームの魅力を発信する店が埼玉県三郷市にある。店主の小野貴弘さん(48)は元小学校教員。クラス活動にボードゲームをとり入れたことがきっかけで「どっぷりはまって店まで出してしまった」。各地の愛好者が店に集まり、交流の場にもなっている。

みさと団地センターモール商店街の一角にある「さいころテーブル」。棚には約300種類の国内外のボードゲームやカードゲームが並び、購入したり有料で遊んだりできる。「ゲームというと勝敗を競うイメージが強いけど、一緒にミッションを達成する全員協力型もある。自分に合ったゲームを案内します」と小野さん。

2019年6月に開店する前は、約20年間、都内の小学校に勤めていた。ボードゲームとの出会いは8年前。発達障害などのある子どもが通う少人数学級を担任した時、ボードゲーム好きの同僚に勧められてクラス活動にとり入れてみた。すると、「子どもたちが見違えるように生き生きしたんです」。

推理系のカードを使って駆け引きする「ハゲタカのえじき」では、勝ち負けで驚くほど盛り上がる。それだけでなく、感情の起伏の激しい子どもでも、ルールを学んで気持ちを抑えられるようになる。コミュニケーション力と社会性を育む効果を実感し、「こんな面白いものがあったのか」と小野さん自身が夢中になった。

やがてボードゲームを紹介するブログを開設し、豊富な知識と解説がネットの話題に。「自分のやりたいことを追求したい」と思い切って19年3月に教員を辞め、3カ月後には自宅近くの団地の空き店舗を見つけて開店にこぎつけた。

異例の転身から2年半余り。この間、コロナ禍で休業した時もあったが、看板に「3さいから99歳まで」と掲げた通り、客層はじわじわと拡大しているという。

土日祝日は親子連れ客が多いが、平日の夜は大人の客が中心となる。いつしか愛好者が連絡を取り合って毎週金曜日に集まるようになった。

昨年12月17日の夜は30~40代の男女11人が参加。小野さんお勧めのボードゲームを楽しんだ。

話をやりとりしながら違うお題のカードを持つ人を当てるコミュニケーション型ゲーム「ワードウルフ」では、プレーヤー同士の心理を探り合うスリリングな会話が熱を帯びた。

春日部市から参加した30代男性は「初めてのゲームでも、店主がわかりやすく説明してくれる。気配りも上手で、さすが元小学校の先生です」と話す。

小野さんにとっても、店が小さな社交場となることは想定外だったそうだ。「ボードゲームは人が顔を合わせてはじめて成立する。ある意味でぜいたくな時間を提供しているのかもしれませんね」

店は通常、火・水定休。詳細はホームページ(https://saikoro-table.com/別ウインドウで開きます)。(米沢信義)

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良い先生だったのだろうという事がよく分かります。40代前半で教員に見切りをつけて店を出すあたりがかっこ良すぎます。ボードゲームやカードゲームにはまり込む大人は結構いますが、感心したのはボードゲーム屋一本で店を開いたところです。場所代一人15分100円で20席程、平日は16時から22時までの6時間、席稼働率が3分の1なら1日2万円の売上です。20日間営業で40万円、固定経費と新しいボードゲームを仕入れたら一人でギリギリ生活の勘定です。教員時代の収入は得られません。それでも店を開くなんてかっこいい!

放デイで、ボードゲームをたくさん用意して社会性を育みますというキャッチはあちこちで見かけますが、ボードゲームだけで社会性が育めるなら苦労はないです。ただ、子どもが自発的に興味を持つ遊びは学びが多いというのは事実です。そして最も必要なのは、子どもが興味のあることを度真剣に取組んでいる大人の存在です。子どもは遊びでも仕事でも真剣な大人が好きです。ジャンルはそれがボードゲームだろうがサッカーだろうがなんでもいいのです。その大人がやる事喋ることが全て憧れになります。

こうした大人の存在をカリスマティックアダルトと呼びます。ちょっと性格変だけど岩石にめちゃくちゃ詳しい先生や、Nゲージを語らせると一日中しゃべっている爺さんや、野山に行くと滅茶苦茶元気になる野外親父とか、引きこもっているけどファイナルファンタジーの生き字引と言われるおっちゃんなどはその道の子供の絶大な支持を受けています。そうですか小野先生やっぱり学校やめて道を究めますか。そうだろうなぁ。

国立に立ち上がったスカイツリー パラ閉会式「多様性の象徴」に

国立に立ち上がったスカイツリー パラ閉会式「多様性の象徴」に[連載・ツリーとともに](2)

2022/01/07 【読売新聞】

昨年9月5日午後8時、新宿区の国立競技場。13日間にわたって世界中の人々を魅了した障害者アスリートたちによる祭典・東京パラリンピックの閉会式が始まった。

国旗の掲揚や君が代の斉唱が厳かに終わった後、各国選手団の旗手が入場。横たわった東京スカイツリーのオブジェに近づき、手のひらサイズの円形の鏡を次々に貼り付けていく。

無数の鏡でキラキラ光るスカイツリー。パフォーマーたちが引っ張り起こそうとするが、あえなく倒れてしまう。多くの人たちが加わり、さらに選手たちの声援が後押しとなって、スカイツリーはついに立ち上がった。全ての違いが輝く街「ダイバーシティー」の完成。それを祝うように、スタジアムから一斉に花火が打ち上がった。

鏡は大会で輝きを放った選手たちの象徴で、選手たちが東京の街に輝きを与える――。総合演出を手がけた小橋賢児さん(42)は式を見届けると、「あらゆることをやりつくした。みんなの願いが通じたようだ」と感涙にむせんだ。

考え抜き行き着いたのは「調和のとれた不協和音」
パラリンピック閉会式の演出依頼は突然だった。本番まで1年もない時期、スマートフォンに大会関係者からメッセージが届いた。「まさか自分が……」と鳥肌が立った。

子役の頃から俳優として活躍してきた。ただ、俳優業をこのまま続けることに不安を抱き、27歳で休業。米国へ留学した。大陸を横断中、フロリダ州で野外コンサートに出掛けた時のこと。みすぼらしい服装の人もそうでない人も、いろんな肌、いろんな国の何万という人たちが体を揺らしてともに音楽を楽しんでいた。「違いを持つ人たちも、互いに共鳴しあえる場が作れるんだ」。演出の世界へ進み、10年あまりの歳月が過ぎていた。

パラリンピックという、異なる障害を持つ選手たちが競い合う場をどう表現するか。数週間考え続け、たどりついたテーマが「調和のとれた不協和音」だった。強さや速さを追い求めるだけではなく、個々の違いをありのままに出すことで、人々が感動を共有できる場になるはず、とのメッセージを込めた。

東京スカイツリーなら国立のフィールドで
このテーマを国立競技場のフィールドで形にする方法は、大道具の職人にいたるまですべての制作スタッフから意見を募った。

あるスタッフが口にした「東京スカイツリーなら、高いところから広く選手の活躍を届けられる」というアイデアに思わず膝を打った。

新型コロナウイルス感染防止のため、海外からやってくる選手たちは、競技以外は選手村から出ることさえ許されない。閉会式で東京の街並みを出現させれば、選手たちをそこへ案内できる。ツリーの白いフォルムは、何色にも染まる「多様性の象徴」にも見えた。ツリーのオブジェの周りにカラフルな毛糸やフリル、バルーンでビルや花々、橋を作り、個性を表現した。

本番を迎えるまで、ゲストの出演交渉が決裂したり、コロナ禍で出演者が大勢集まる機会が減ったりと多くの困難に直面した。それでも「楽しむことが大切」という信念は曲げず、現場のスタッフたちには笑顔で接することを心がけた。

スタッフや出演者らは、障害者のために振り付けを工夫し、夜遅くまでパフォーマンスの練習を繰り返すなど、要求に応えてくれた。「違いを認め合い、心からやりたいことができるのは素晴らしい」と心の底から感じた。

大会後、3年後に催される大阪・関西万博のイベント統括を任せられた。「また人生を豊かにするような、出会いが生まれるといいな」。どうやってもう一度、世界に日本をアピールしようか、心を躍らせている。

歌舞伎にも 絵本にも
東京のシンボルとなったスカイツリーは、イベントにとどまらず、舞台や書籍など幅広い分野で登場するようになった。

ツリー開業を前に、浅草の隅田川沿いに仮設された芝居小屋「平成中村座」では、歌舞伎の演目中、舞台奥の大扉が開くと、隅田川越しにスカイツリーが借景になる演出が行われた。

また、2012年出版の絵本「ゆめのスカイツリー」(金の星社)では、子どもたちが夢で見たという、パリのエッフェル塔を肩車したり、月に届くほど背が伸びたりするツリーが描かれている。16年リオデジャネイロ五輪の閉会式では、東京をPRするショーでツリーの模型が登場した。

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オリパラ閉幕からほんの3か月程しかたたないのに、遠い過去のように感じます。それでも、競泳男子100平山口の世界新金メダルやボッチャ杉村の金メダル、メダリストにはならなかったけどパラアスリートの奮闘に対する感動は鮮明に覚えています。パラの開会式も閉会式も世界的に高い評価を得たのも嬉しいことです。

裏舞台で懸命に働いていた関係者の方々の思いもこの記事で知ることができました。オリパラ開会前は、障害者いじめに関与していたという演出者の話で炎上して開催そのものが危ぶまれていましたが、パラのイベントでしっかりリカバリーできて胸をなでおろした関係者は少なくなかったと思います。

思えば開催を前にして、オリパラの開催を危ぶむような報道が続きました。森会長の不適切発言も議事録をよく読むと、女性は優秀な方が多いので、今度も女性理事を入れてほしいという趣旨の発言でした。女性の話が長いという旨が趣旨ではないことは全文を読めば分かることですが、メディアはこれを切り取って書き立て、オリパラ反対の政治家たちも後に続きました。

気になるのは、フェミニズムや少数民族擁護、少数者の権利擁護の看板が大きな政治家ほど、20世紀にあり得ない女性権利の侵害や民族弾圧、人権侵害について批判の発信が弱いことです。たかがオリパラの会長発言とは言いませんが、森会長を罵ったメディアや政治家が、アフガンのアクンザダ師や中国の習近平について執拗に批判している姿は見たことがありません。タリバーンや中国共産党の人権侵害を暴き非難しても視聴率や支持率向上にはつながらないからだと思います。こうして、同じ事でも一方を非難し、他方は非難しないことを二重基準=ダブルスタンダードとか二枚舌とかいいます。

オリパラをはじめとするスポーツ競技は多様性社会を保障する民主主義の象徴でもあります。冬季北京五輪は来月ですが、パラ開催式に中国がどんな演出をするのか見てみたいものです。片方で人権蹂躙や国際法を平気で破りながら、もう片方で民族自決と国際平和などと嘯く二枚舌は共産主義国家や独裁国家のお家芸です。多様性社会を映し出したスカイツリーはこうした二枚舌の言動も包み隠さず映し出します。

伴走者が陸上トラックの内側を走る理由 ~パラ陸上伴走者・中田崇志

伴走者が陸上トラックの内側を走る理由 ~パラ陸上伴走者・中田崇志

1/5(水) 【ニッポン放送】

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(12月29日放送)にパラ陸上伴走者・パラスポーツメッセンジャーの中田崇志が出演。伴走者として走る楽しさ、また気を付けていることについて語った。

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。12月27日(月)~12月31日(金)のゲストはパラ陸上伴走者・パラスポーツメッセンジャーの中田崇志。3日目は、伴走者として走る楽しさ、また気を付けていることについて―

黒木)伴走者としての楽しさはどういうところにありますか?

中田)「選手が力を出し切れるように走れたな」と思えたときは嬉しいです。自分1人であれば、自分がいま苦しいかどうかは自分でわかります。でも選手が苦しいかどうかは外から見るだけなので、難しいです。「いまここでスパートしても、選手は最後まで持つかな」などと思うのですけれど、そこをいつもの練習のなかで、「こうなれば選手が苦しい」ということが感じ取ることができると、本番でもうまく行きます。

黒木)そのときの阿吽の呼吸みたいなものはどうやって培うのですか?

中田)伴走ロープが2人の呼吸を合わせてくれるのです。伴走ロープが、あるとき「グッ」と固くなることがあります。選手が疲れて来ると、腕の振りが小さくなり、「あれ、いつもと変わった」ということが、その瞬間に感じるのです。

黒木)固くなったときに。

中田)伴走ロープはただの「もの」ではなく、2人の間をつないでくれるものなのです。

黒木)走っているとき、中田さんの場合は、選手の内側に入るというころです。選手が縁石を踏むのが怖いと伺いましたが、それはどういう意味ですか?

中田)400メートルの陸上競技場のトラックは、内側に10センチくらい出っ張っている縁石があるのです。

黒木)10センチもあるのですか。

中田)そうなのです。踏んでしまうと転倒する可能性もあります。だから視覚障害の選手をあえて外側にして、私が縁石のギリギリを走るようにしています。そうすると選手は安心して一歩を踏み出せるのです。内側を走る方が距離は短くなるのですが、外側であれば安心して走れます。どちらがいいかは、選手によって異なります。

黒木)縁石は10センチもあるのですか、怖いですね。

中田)私たちがメダルを獲ったアジア大会でも、1位の選手が最後の200メートルで内側に一歩入ってしまって失格になりました。

黒木)そういうこともあるのですね。

中田)ですので、私たちは伴走者が内側を走ることにしています。

黒木)日本では、伴走者が内側を走ることが多いのですか?

中田)世界では半々くらいです。意外なことに、短距離の選手は伴走者が内側の方が多いです。ものすごいスピードで走るので、一緒にコントロールするのが難しいのですね。

黒木)そうでなくても危険を伴う、早さを競い合う陸上競技ですからね。

中田)早さも大切ですが、何よりも選手が安心して安全に走れるということが最も求められることです。

黒木)中田さんはいろいろな経験をなさったアスリートでいらっしゃるのですけれど、どなたでも伴走者になれるのですか?

中田)伴走者に資格はありません。黒木さんもいま、視覚障害の人と走ろうと思えばすぐに走れます。大会も出られます。

黒木)具体体に、どういうことを声かけなさっているのですか?

中田)走るときには大きく2つあります。まずは安全面。コースで、「30メートル先、右90度カーブです。20メートル、10メートル、5、4、3、2、1。はい曲がります。はい曲がり終わりました」というような声かけが1つです。

黒木)コースの状態ですね。

中田)もう1つは、周りの選手の状況を伝えています。「ケニアの選手があと10メートルまで迫って来ましたよ。ちょっとずつ迫って来ました。もう少し、ジワジワ追いかけて来ますよ」というように実況する場面もあります。


中田崇志(なかた・たかし)/ パラ陸上伴走者・パラスポーツメッセンジャー

■1979年・宮城県仙台市出身。
■中学時代に陸上競技を始め、大学時代には日本インカレ・3000m障害で7位入賞。
■東京学芸大学卒業後、NTTデータに勤務しながら、陸上競技を継続。
■2003年にパラ陸上長距離の伴走に取り組む。
■2004年、高橋勇市選手と共にアテネパラリンピックに出場。マラソンで優勝。
■2012年、ロンドンパラリンピックでは、和田伸也選手と共に出場。5000mで長距離立位初となる銅メダルを獲得した。
■2021年の東京パラリンピックでは、パラ陸上にかかわるきっかけとなった髙橋勇市とともにパラトライアスロンの伴走者として出場を目指した。
■パラ陸上における百戦錬磨の伴走者であり、パラ陸上のスペシャリストである。

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この記事を読んだとき、聴覚的支援も視覚的支援も同じだなと感じました。聴覚的支援は視覚に比べ聴覚が相対的に優れた方に、視覚的支援は聴覚に比べ視覚が相対的に優れた方に行う支援です。感覚的には真逆の支援ですが、認知的には同じ支援です。声掛けをするとありますが、要するに周囲の状況や今後の見通しを聴覚で伝えるか視覚で伝えるかの違いで、伝えていることは同じです。

伴走者が内側を走って縁石で躓かないようにというのも、環境の調整として構造化したり嫌な刺激を少なくする配慮を支援者が先回りしているASD支援に似ています。視覚障害者への伴走ロープの役割は、ASD者にとっては支援者への発信です。表出コミュニケーションの絵カードであったり感情表出であったりするのかもしれません。ASD者の表現で支援者は適切な支援が提供できます。逆に言えば、伴走ロープや表出コミュニケーションツールがなければ相手の体調や思いを知る術もないということです。

「伴走者に資格はありません」「視覚障害の人と走ろうと思えばすぐに走れます。大会も出られます」とは言いますが、それは中田崇志さんが縷々説明したように、支援を提供する人に適切な支援ができ、伴走ロープがあってこそだという事を忘れてはならないと思います。もちろんその他の障害の支援でもこれは同じ事です。誰でも支援はできますが、前提条件は個性に合わせた環境調整と支援を受ける側に表出手段があることです。

凍える心、温め解かした感謝の言葉 駿府学園で矯正教育を受ける少年

凍える心、温め解かした感謝の言葉 駿府学園で矯正教育を受ける少年 高齢者と交流【幸せまでの距離③】

2022年1月5日(水)【静岡新聞】

「自分はずっと社会の邪魔者だと思っていた」。県内唯一の少年院「駿府学園」(静岡市葵区)で矯正教育を受ける少年(17)は、高齢者からの感謝の手紙と写真を見て自らを振り返った。他人のために尽くし、感謝されたのは初めての経験。「自分もこの社会で生きていける」。更生を信じる周囲の支えが、凍り付いていた少年の心を解き放った。

同学園で暮らす少年たちが週1回ほど、食事介助やリハビリの手伝いなどに通っているのは、近くの特別養護老人ホーム「楽寿の園」。コロナ禍が拡大してからは訪問活動を休止している。寝たきりや障害のあるお年寄りらは、少年たちを孫のように思い、再会を待ちわびている。

交流を始めたのは43年前、高齢者との関わりが更生の手掛かりになればと、学園側から相談したことがきっかけ。力仕事も快く引き受ける少年たちに、言葉がままならない入所者が「ありがとう」を伝えようと涙を浮かべて声を震わすこともあった。今では互いになくてはならない存在になっている。

少年(17)は幼い頃に両親が離婚し、父の下で育った。兄妹はそれぞれ障害を抱え、少年自身も発達障害がある。高校までバスケットボールに打ち込んでいたが、コロナ禍で部活動が思うようにできず中退し、不良仲間と一緒に知人を殴って逮捕された。

「どんな顔をして生きていけば良いのか分からない」。目標を失って自暴自棄だった少年を変えたのは、楽寿の園の利用者との交流だった。「自分を必要としてくれる人がいる」と実感し、前を向くことができた。

敬老の日に合わせ、少年は学園内のグループ7人でプレゼントする貼り絵を制作した。デザインや色使いを決め、仲間と協力して仕上げた作品のタイトルは「支え合い」。コロナ禍で閉められたカーテンが開き、少年とお年寄りが再び交流する姿を表現した。

貼り絵を受け取った有馬良建理事長(64)は「お年寄りに心を寄り添わす彼らは、純粋な心を持っている。犯した罪の痛みを知っているからこそ、他人の痛みが分かるはず」と更生に期待を込める。

少年は2021年11月、ハローワークでとび職の仕事が見つかった。内定を出した建設会社の会長が身元引受人になってくれる。「楽寿の園のみなさんを裏切りたくない。人に役に立つことができた喜びを忘れず生きていきたい」。進むべき道は開けた。困難があっても、今度は逃げないと誓う。
(社会部・崎山美穂、写真部・小糸恵介)

<メモ>駿府学園は関東甲信越と静岡県の家庭裁判所で短期間の処分を受けた、主に14歳から17歳3カ月未満までの少年が暮らす。2021年12月24日現在、定員90人に対して入院する少年は14人。多くは窃盗や傷害・暴行、詐欺容疑で、高齢者をだました特殊詐欺の受け子もいる。

少年犯罪の背景にはさまざまな要因が複雑に絡む。学園が力を入れるのは、再犯・再非行を防ぐための居場所づくり。地元企業を招いた資格取得授業などを展開する。「楽寿の園」での職業体験は矯正教育の最終段階。43年間でトラブルはなく、連携して少年の立ち直りを支えている。
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少年犯罪を繰り返す子どもの多くが発達障害を持つと言われています。吟味しないで行動してしまう。感情のコントロールができない。何度も同じ失敗を繰り返して学習効果があがらない。相手の感情がわからない。いずれも発達障害のADHDやASDに見られる特徴です。低学力の原因が文章がすらすら読めないことで学習が苦痛になるLDの子どももおり、やってもやっても成果が上がらないので学習性無力感を持つ子どもや自尊感情の低い子どもが多いです。

そして、これまでの研究では安心できない家庭環境が、幼い子どもの脳にダメージを与え、感情をコントロールする前頭葉・言葉や文字を認識し変換する部位の機能等が著しく低下し発達障害の脳と同じようになってしまうという報告がされています。この研究は脳画像の研究から明らかになったものですが、古くはチャウシェスク症候群として知られています。

1960年代後半、ルーマニア社会主義共和国の国家元首となったチャウシェスクは人工妊娠中絶や離婚を禁止した結果、貧困と育児放棄によって産後間もなく貧困な環境の養護施設に引き取られる子どもが増えました。1989年社会主義政権崩壊後、子ども達は先進国で育てられますが、その多くは発達障害と診断されました。6カ月以上施設にあずけられた子どもには自閉症のような症状がみられ、見知らぬ人にまったく警戒心を抱かずに接近する、不注意で多動といった症状が成人期まで一貫してみられたといいます。

逆に、親子分離が6カ月以内であり、里親が育児を引き継げば、子どもは問題なく育ち、失業率も10%でした。愛着に関するもっとも感受性の高い時期は、子どもが安定した情緒的関係を築きつつある時期で、およそ6カ月から2歳頃までです。この時期に母親(養育者)との関係が断ち切られてしまうと、その影響は後々まで外傷体験として残ることは多くの専門家が知るところです。幼少期に負った心的外傷=脳機能の低下で触法行為に至った子どもたちが治療的教育で回復するのは大変険しい道のりです。しかし、駿府学園のような取組の成功例を見ると、子どもの可塑性とそれを信じて長年こつこつと実践を積み上げる関係者の愛情の深さに感動をおぼえます。

学校でのいじめ厳罰化へ 自殺なら禁錮10年 仏

学校でのいじめ厳罰化へ 自殺なら禁錮10年 仏

2021/12/29(水) 【時事通信】

フランスのマクロン大統領=17日、ブリュッセル(AFP時事)
【パリ時事】フランスで、学校でのいじめを厳罰化する動きが進んでいる。

国民議会(下院)は11月、いじめ被害者が自殺または自殺未遂した場合に最大で禁錮10年と15万ユーロ(約2000万円)の罰金を科すことなどを定めた法案を可決。来年1月には上院の審議が始まる。

現行法では、いじめ加害者が13~17歳の場合は最大で禁錮2年6月と7500ユーロ(約100万円)の罰金、18歳以上の成年なら最大で禁錮5年と7万5000ユーロ(約1000万円)の罰金が定められている。被害者が自殺または自殺未遂した場合に刑が最も重くなる。刑事責任を問われない13歳未満の加害者は罰則の対象外。

教育省報道官は時事通信の取材に対し、今回の法案について「罰則の適用年齢など詳細は今後の審議で決定される」と説明した。

ここ数年はインターネットを通じたいじめが増加している。政府は来年2月、いじめ被害者のスマートフォンに届いた嫌がらせメッセージの画面内容を保存した「スクリーンショット」などを送信できる通報アプリの運用を開始予定。子供のパソコンやスマホなどを親が管理できるようにする措置も検討している。

教育省の発表によると、フランスでは全児童・生徒の6%に当たる年間約70万人がいじめの被害に遭っている。報告されていないケースも多く、今回の法案によると、実際の被害者は80万~100万人に上るとみられている。

10月には、東部アルザス地方で14歳の少女がいじめを苦に自殺した。地元メディアによれば、同性愛者であることやモロッコ人の母親を持つ人種的ルーツに関して、女友達のグループから2年にわたり暴言を受けていた。

マクロン大統領は事件を受け、11月にインターネット交流サイト(SNS)上に投稿した動画で「いじめの被害に遭っている全ての若者へ。われわれは君たちの味方だと知ってほしい」と支援を表明した。

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日本のいじめ認知件数が50万人でフランスは70万人ということは、人口比で考えると日本の3倍近い認知率となります。フランスの深刻さはそれが移民に向けてのものが多いという事です。多様性社会のトップランナーともてはやされるフランスですが、社会の鏡と言われる学校でこの有様ですから、現実にはさらに深刻ないじめや差別が存在することは容易に推察されます。

中世から近世にかけて経済でも芸術でも世界に影響を与えたフランスのプライドは今でもフランス人の中に息づいています。未だにパリでは英語が話せてもフランス語でしか応えない年配のパリジャンは少なくありません。フランス語も話せないくせにパリに来るなと言葉では言わないかわりに、こうしたイケズをするのです。こうした古い慣習の滓と、大量の移民問題を抱えているフランスの政治的な課題が合わさって差別やいじめが起こっていることが深刻なのです。

その政治的課題が学校生活にまで及んでいるゆえに、日本からすれば考えられない量刑が課されようとしているわけです。中2(コレージュ3年)で禁固2年半ですから在学中は塀の中となります。それが少年院なのか刑務所なのかはこの記事ではわからないですが、多様性社会を守り抜くためとは言えフランスの民主主義への向かい方は半端ではありません。

中国共産党によって思想弾圧や女性の凌辱という人権弾圧が今起こっているのに、糾弾する「タイミングではない」と言う政党幹部や国会議員を見ていると情けなくなります。人権侵害を知ればその非難はタイミングで発言するようなものではなく、リスクを背負ってでも声を上げるべきものだと子どもにも教えるのが人の道です。

ハンディある人の夢かなえたい 日本科学未来館館長・浅川智恵子さん

ともに・共生社会めざして
ハンディある人の夢かなえたい 日本科学未来館館長・浅川智恵子さん

2021/12/28【毎日新聞】

日本科学未来館(東京都江東区)の館長、浅川智恵子さん(63)=IBMフェロー=は全盲の研究者だ。今春に就任し、未来館を「アクセシブル(利用しやすい)なミュージアム」として世界のロールモデル(模範)にすることを目標にする。障害者などマイノリティー(少数者)の生活に科学技術がどう貢献するのか。ダイバーシティー(多様性)との関連について、浅川さんに聞いた。【聞き手・明珍美紀】

――日本科学未来館は、新館長のもと、2030年に向けたビジョンに「あなたとともに『未来』をつくるプラットフォーム」を掲げました。

◆一方的に科学技術を享受するだけではなく、利用する方それぞれが、テクノロジーの進歩によって実現される新しい生活を想像し、社会実装に向けた活動に関わっていく。そんな思いが込められています。

――利用者自ら、実用化のために参加するのですね。

◆どんなに素晴らしい技術が発明されても利用されなければ、価値が失われてしまいます。私自身、長い間、視覚障害を中心に、アクセシビリティーの分野で研究開発に従事してきました。研究者という立場だけでなく社会実装を促進するために未来館の館長を引き受けようと決意しました。

――障害者にとって科学技術とは?

◆できなかったことを可能にするツール(道具)です。視覚障害を例に取ると、音声合成という科学技術がなければ、本を読む時は点字か録音されたものを聴く、あるいは人に読んでもらうことになります。実際にそういう時代が長く続いていました。それが、インターネットの普及でコミュニケーションの手段が変わりました。パソコンの画面の情報を音声で読み上げるソフトが開発され、目が見えなくてもキーボードを操作して文章を書き、メールで送ることができます。

また、携帯電話で写真を撮れるようになった時、それまでは周囲の人に聞くしかできませんでしたが、周りの風景を撮影して友人に送り、自分がいる場所を教えてもらうことができるようになりました。これからは、センサーを駆使することで、街を一人で歩くことが可能になるかもしれない。その一歩手前まで技術が進んできました。

――ご自身が開発中の「AIスーツケース」はその一つですね。

◆これは、視覚障害者の移動を補助するスーツケース型のロボットで、スマートフォンの専用アプリケーションを使って、目的地や途中経路を音声で案内します。ロボットにはセンサーが付いていて、危ない場所を回避したり、周囲の人と適切な距離を保って移動したりする機能を備え、未来館でも実装する準備を進めています。

年齢や国籍、障害の有無にかかわらず、まずは未来館が誰でも楽しめるアクセシブルなミュージアムとなり、展示を見に来た来館者が交流し、議論するような場にしたいと思っています。

多様性支える科学技術
――かつては日本では、女性の研究者は少なかったのではありませんか。

◆私がプログラミングの専門学校を経て日本IBMで学生研究員として研究を始めた1980年代半ばは、女性の研究者はごくわずかでした。仕事と生活の調和を図る「ワーク・ライフ・バランス」や女性の視点はほとんどなく、女性の管理職も少ない。そうした環境で、点字のデジタル化などの開発に取り組んでいたところ、当時にすれば(会社側も)大変な決断だったと思いますが、正式な研究員として採用されました。

入社後、米国IBMに出張する機会が多くありました。米国で驚いたのは、管理職に女性がいるのは当たり前だったこと。同僚には、さまざまな障害者やLGBTQなど性的少数者がいたので、視覚障害者の私が仕事に加わることを当然のように受け入れてくれました。ダイバーシティーに関しては日本よりはるかに先を行っているという印象を受けました。

――未来館は、国立研究開発法人の科学技術振興機構が運営しています。今回は、国が関わる施設のトップに女性が就いたことでも話題を呼びました。

◆女性であるというよりは、目の見えない自分が館長を引き受けることの方が大変ですし、新たなチャレンジです。見えない分を補うためには、周囲とのコミュニケーションを図り、多くの人々から意見を聞く。これらは同時に、これからの研究に役に立つことです。

――どのような未来を求めますか。

◆国連がSDGs(持続可能な開発目標)に掲げる「誰一人取り残さない」という理念のように、誰もが社会の一員として、自分らしく生きる権利を保障されることです。

私は目が見えないことは、自分の個性だと受け止めています。世の中にはいろいろな人がいて、そうした多様性によって社会が成り立っていることを理解してもらいたい。

科学技術は、ハンディキャップのある人の自立生活に役立つだけでなく、さまざまな困難を抱えた人の夢を実現できるツールになる可能性があります。その意味で、科学技術とダイバーシティーは密接なつながりがあるのです。

■人物略歴

浅川智恵子(あさかわ・ちえこ)さん
1958年大阪府生まれ。プールでの事故がもとで14歳の時に視力を失う。追手門学院大、専門学校を経て85年日本IBM入社。92年日本語デジタル点字システムを開発。97年視覚障害者向けにウェブページを読み上げる「ホームページ・リーダー」を開発し、世界の視覚障害者の情報アクセス向上に寄与。2004年東京大大学院修了、博士号(工学)取得。09年IBMの最高技術職であるIBMフェローに就任。14年米国赴任。19年全米発明家殿堂入り。21年4月に日本科学未来館の初代館長だった宇宙飛行士、毛利衛さんに続く2代目館長に就任。

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我が国は古から海外の文化を吸収して、日本風にアレンジしてその文化を我が国のものとして長く後世に伝えると言う文化スタイルをとり続けてきました。遣隋使や遣唐使は今から1500年も前に当時の中国へ派遣されました。隋や唐の先進技術や優れた社会制度を求めて、西暦600年頃から894年のおよそ300年間、計23回に渡り日本から遣わされたのです。帰ってきた彼らは、大和政権で古来の八百万神に仏教を同居させた「神仏」を文化とし、農耕・土木・加工技術をはじめとする当時の我が国にとってのハイテクを発展させたのです。

先日終了した大河ドラマ『青天を衝け』の渋沢らが駆け抜けた時代もまた、わが国独自の社会体制に西洋の民主化の流れを輸入して和製立憲君主制と言う独自の政治スタイルを作り上げました。他国の侵略を防衛するために海外技術を取り入れ生産力を高め、国防に多くの国家予算をつぎ込んで、アジアで唯一植民地化を免れて主権を守り抜きました。明治維新を前後する我が国の歴史に多くの人が共感を寄せるのは、古いものを変えていくために必要なものを吸収しアレンジして独自のものにして新しいパワーにしていく姿を分かりやすく表現しているからだと思います。

1980年代の日本のデジタルテクノロジーは国内でWindowsと競り合っていたトロンOSが開発され、日本が世界に先駆けてネットワーク化したマルチプラットホームOSの花開かせるはずの時代でした。残念ながら国防力の弱い我が国は米国との同盟関係強化と引き換えに、米国経済覇権の政治圧力に負けてしまいます。しかし、そんな時代にも米国に渡って多様性社会の洗礼を受け障害者のためのAIプログラミングを学んでいた若き研究者がいました。先進国に渡り多様性を活かす社会制度とそれを支える最先端技術を学んだ浅川館長をはじめとする現代の遣唐使が子どもたちに伝えてくれるものは、我が国の古からの伝統であり未来の可能性だと思います。

浦安市議会「手洗い条例」可決 コロナ禍長引く中で環境整備を

浦安市議会「手洗い条例」可決 コロナ禍長引く中で環境整備を

12月23日【NHK】

千葉県浦安市の市議会は、コロナ禍が長引く中、効果的な手洗いの習慣と環境を整えたいと今月、「手洗い条例」を可決しました。

浦安市の「より良い手洗い環境づくりの推進に関する条例」では、「手洗いは誰もが容易に実践できる効果的な感染症などの予防策」だとして市や学校の役割などを定めています。

具体的には、小中学校の手洗い場で直接、手で触れずに水道が使える「自動水栓」が現在は38%の普及にとどまっているのを拡大させていくことや毎月15日を「手洗いの日」と定めて手洗いへの関心を高めることなどに市が取り組んでいくとしています。

そして、条例をつくる際の調査の中で、遊びたい気持ちが先立って手洗いがおろそかになったり、見ていないときちんと手洗いをしなかったりする子どもたちがいることがわかったとして、学校などが感染症や食中毒を防止するための手洗いの重要性を伝えていくことで、学級閉鎖などにより学びの場が失われることを防ぐとしています。

手洗いに特化した条例は全国初とみられるということで、提出者の西川嘉純議員は、「新型コロナの影響が長引く中であらためて市全体で手洗いへの意識を高め、感染拡大防止につなげたい」と話しています。

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さらっと聞けば、ごく普通のニュースに聞こえますが、よく考えてみると市議会で議決して地方の法律にするようなことだろうかと思いました。予防のため手洗いはエチケットなのだからそんな大げさにと言われるかもしれません。しかし、この2年間、感染予防をめぐっての建前と本音の乖離が政治とメディアの中に何度も見られました。オリパラの観戦では千葉県は教育的な意味で積極的に児童に観戦を進めてきましたが、スタジアムなど屋外観戦に近い状態でも、児童が感染したら責任が取れるのかとメディアは世論を誘導し、結局途中で感染源は分からないままですが感染者が出て断念した経緯があります。そのオリパラの取材打ち上げで報道クルーが酒場で騒ぎ批判を浴びると言う事件がありました。

また、同じ千葉で副知事をはじめ県会議員らがスポーツ懇親会の忘年会で、酒場に長居した事が発覚してわざわざ陳謝する報道がありました。オミクロン型の拡がりはあるが重症化例はないし、感染は収まってきたと言うのが大方の本音だからという向きもあるでしょうが、公の建前に晒されると本音は言えない状況です。このように、建前と本音がかけ離れた状況で、建前をさらに突き進めるような条例制定は相応しくないと考えるのが政治の役割だと思います。

予防啓発を推進すること自体に異存はありません。しかし、エチケットやマナーに属する事柄が「地方の法律」と言える条例になじむのかということです。手洗いは予防のためのエビデンスもあり、建前とは言いませんが、家庭や学校での躾に関する内容まで、議会で条例化する必要があるのかどうか考えた議員はいたのでしょうか。啓発するだけなら、役所や学校のトップダウンで十分ですし、水栓の自動化の予算は議会で議論すればいいことです。罰則はないから良いという事ではなく、条例はそれなりに市民の意識や行動を拘束する法律であることは間違いないです。

条例制定は地方自治の権限ですが、だからと言ってなんでも条例化すればよいと言うものでもありません。先日否決となった外国人投票条例も、公平や平等という建前ばかりが前に出ていますが、外国人を入れて国防を左右する意見決議を地方議会に要請されてはまずいと、本会議になってはじめて気が付くと言う頼りない地方議会もあるのですから、市民の監視は欠かせません。政治家は市民にばかりあれこれお願いするのではなく、どこの病院でもワクチン接種ができるように医療に働きかけ、行政はその施策が速やかにできるようにすることこそ、最も予防効果があがるのではないかと思います。

「不登校の子が学校に関心」 eスポーツの教育活用、米領事館が発信

「不登校の子が学校に関心」 eスポーツの教育活用、米領事館が発信

2021年12月22日 【朝日新聞】

eスポーツと聞くと、テレビゲームのプロが高額賞金の大会で技を競うイメージがある。だが、米国の高校や大学では、チームスポーツとして採り入れ、教育ツールにしているという。この取り組みを紹介するウェブセミナーを開いた名古屋米国領事館EducationUSAアドバイザーの田中里佳さんに聞いた。

――eスポーツと教育。どう結びつくのですか。

eスポーツはテレビゲームと思われがちですが、デジタルコンテンツと考えれば教育とつながるのではないかと思います。

教育ツールとしてのeスポーツは、チームスポーツであることが前提です。生徒や学生がチームを組み、コンピューターゲームでどう攻略して成果を上げるか、ほかのチームとどう競うかを考え、議論しながら取り組む。先生やコーチがサポートします。野球のような、ふつうのスポーツと一緒です。

例えば、米国務省と北米教育eスポーツ連盟(NASEF)によるプログラム、ファームクラフト2021では、子どもたちは農場をつくるゲームに挑戦します。土地を整備し、種や苗を育て、収穫までを競います。農業生産技術をゲームで疑似体験をしながら、アグリビジネスの進め方を学ぶことができます。その他にも文化遺産を保護しながらゲームスキルのレベルアップも出来るような国際ビデオゲーム開発競技大会「ゲームジャム」なども開催されました。

ゲームに挑戦することで、チームの仲間やサポートする大人たちと関わりながら、論理的な思考(クリティカル・シンキング)やコミュニケーション能力、協調性、自分の感情をコントロールする自律や自己管理能力を育てていく。さらには、プログラミングなどのITに触れる入り口になればと考えています。

――ウェブセミナーでは米国の大学や高校が積極的にeスポーツを採用していることが紹介されました。どんな効果を期待しているのですか。

一つの例ですが、不登校の子どもがeスポーツのチームに参加することで、学校生活に関心が持てるようになりました。ふつうのスポーツや勉強が得意でなくても、ゲームなら入りやすい。家にいてもできるし、学校へ行く動機付けにもなる。チームで人間関係も学べるし、自信も持てるようになり自己肯定感が高まる。北米にはeスポーツの公認クラブがある大学も多く、奨学金もありますから、ITやAIに携わるデジタル技術者、ウェブのデザイナー、ゲームの開発者など、キャリア選択や自分自身の可能性を広げることにつながります。

一人で引きこもってテレビゲームをやっているのではなく、社会に積極的に関与できる人材を育てることが狙いです。

――なぜ名古屋米国領事館がeスポーツと教育のセミナーを開いたのですか。

米国政府はeスポーツを進める目標として「世界的な共感を高め、地域や国のつながりや理解を築き、深める」「クリティカルシンキングのスキルを奨励することで民主主義の原則を強化する」ことなどを掲げています。eスポーツが、民主主義の根幹を支える能力を育むという考え方です。

日本ではセミナーが最初の取り組みですが、米国政府はすでに台湾、インド、韓国、ニュージーランド、メキシコなど多くの国で教育eスポーツの交流に取り組んでいます。

教育eスポーツは、これまで紹介してきた効果にとどまらず、英語を習得するのにも役立つことも強調しておきます。今回のセミナーは学校の先生向けに教育eスポーツを知ってもらうことが目的でしたが、今後は日本と海外の学生がeスポーツで交流する機会をつくっていきたいと思っています。(聞き手・鈴木裕)

◇教育ICTツールとしてのeスポーツ・ウェビナー

9~11月に計3回、教員や教育行政の担当者らを対象に開かれた。名古屋米国領事館と北米教育eスポーツ連盟(NASEF)日本本部が主催。米国の高校や大学での教育eスポーツの現状や可能性、eスポーツのフィジカルとメンタルケアなどについて専門家が話した。

11月14日には、米国大使館が後援して「eスポーツ国際教育サミット2021」(主催・北米教育eスポーツ連盟日本本部)が開催された。国内の高校での教育eスポーツの取り組みの紹介のほか、高校生たちが現代社会が抱える様々な課題をeスポーツを活用し解決するアイデアを発表する「eスポーツ・クリエイティブ・チャレンジ」があった。
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デジタル王国のアメリカは百歩先の感があります。日本も半導体産業が伸びている頃は、破竹の勢いでコンピュータ産業もあらゆる分野に伸びて米国ゲーム界まで進出していました。ところが、30年前頃を境目にして、貿易摩擦の名のもとに米国に開発や進出を阻まれ、国内産業は日銀の異常な金融引き締めと政府の借金キャンペーンで産業活動そのものが30年間足踏みしました。その結果、日本の未来を背負うデジタルベンチャー企業は息の根を止められたと言っても過言ではありません。

その証拠に、日本に圧力をかけた米国はGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)というベンチャー巨大企業を登場させ中国を除いて世界制覇を成し遂げようとしています。キャッシュレス化をはじめとしたデジタル化をいつまでたっても先導できなかった役所にも責任があります。従来通りこれまで通りの役人根性が、既得権益を結果として擁護してしまい、社会のデジタル化を遅らせてしまいました。未だに、デジタルゲームの善悪を論じているのも、デジタル先進国から三十年間遅れをとった証拠とも言えます。

そんな日本でアメリカ大使館による教育eゲームのサポートとは、何とも情けない気もしますが、気を取り直して追い付け追い越せの大和魂と言うと古臭いですが、ここは日本の教育界とeスポーツ界に奮起してほしいと思います。「クリティカルシンキングで民主主義を育てたい」とすっと表現し、民主主義は論理的なものというのも言い得て妙です。ちょっと日本の教師には真似できそうにない台詞ですが、次世代の子どもたちが表現してくれることを期待して、学校公認のeスポーツクラブがあちこちに誕生すればいいなと思います。

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」四国新聞のメッセージ広告が話題

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」四国新聞のメッセージ広告が話題 「最高にロック」「凄い勇気」

2021/12/21【神戸新聞】

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」。香川県の地元紙、四国新聞の12月20日付朝刊にこんなメッセージ広告が掲載されました。子どものスマートフォンやゲームの利用時間を制限するとした香川県独自のネット・ゲーム依存症対策条例(ゲーム条例)を念頭に置いたもので、広告出稿元のゲムトレ(東京都渋谷区)は「子どもたちがサンタさんに欲しいものを「ゲーム」とお願いできるように、ゲームが障害ではなく、教育としての魅力があることを伝えたいと考えました」「ゲームを障害と考える一側面だけではなく、クリアすることで育まれる自己肯定感や世界中のユーザーとつながり感じる多様性など、正しくゲームと向き合うことで生まれる学びがあります」としています。

同社の小幡和輝代表が広告にふれたツイートには「最高にロックですね!」「かなり挑戦的な広告だなぁ」「香川県で広告出す勇気も凄いです」など賛同の声が上がり、いいね!は1万5千超。香川県民はこのメッセージ広告をどう受け止めたのでしょうか。

ゲムトレはゲームを使った教育事業を手掛け、主力事業の「ゲムトレ」では、ゲームを「楽しく脳を鍛える習い事」と位置づけ、子ども向けのゲームのオンライン講座を提供しています。同社サイトによると、例えばオンラインゲームの「FORTNITE」(フォートナイト)では、過度なグロテスク表現がなく、認知力や情報処理能力が向上するとしています。

話題になった15段の新聞広告は、文豪夏目漱石が東京帝国大学(現在の東京大学)を卒業後、当時、低俗と見られていた小説家としてデビューし、代表作『吾輩は猫である』などで文化人になったことに触れ「ゲームの捉え方も変わりはじめた」と述べています。続けて、ゲームのプレイを通じて得られる試行錯誤や仮想空間上での達成感の分かち合いを挙げ、「ゲームは人生を豊かにする力がある」と訴えています。小学低学年も読めるよう漢字にふりがなも打っています。

香川県のゲーム条例は家庭内でのゲームの利用時間を制限する全国初の条例として2020年4月施行。罰則規定はありませんが、18歳未満のゲーム時間は平日1日60分、休日90分、スマホの利用は中学生以下が午後9時まで、それ以上は午後10時までという目役を定め、保護者にルールを守らせる努力義務を課しています。報道によると、この条例の内容や制定過程に問題があるとして、県内外から反対の声が上がっており、香川県弁護士会は廃止を求める会長声明を出している他、県内の大学生が「条例は憲法違反」として、県を相手に損害賠償を求めて提訴しています。

ゲムトレのサイトによると、小幡代表は10年間の不登校を経験しましたが、その間、ゲームを通じて多くの友人に恵まれ、大会への出場を通じて自己肯定感を高められたといい、それが起業につながったと記しています。今回のメッセージ広告については、「ゲーム好きならば誰もが一度は言われたであろう、この言葉を反転させました。伝えたいメッセージは、世代間の価値観や文化の違いにより子どもたちが苦しめられているということ。子どもは野球を頑張ることと同じようにゲームを頑張っています。なぜ、野球は評価されるのに、ゲームは悪とされるのでしょうか」などとコメントしています。

メッセージ広告は、東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナード内でも12月26日まで掲示されています。

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<広告掲載文 全文>【ゲムトレHP

「勉強ばかりしてないで、ゲームしなさい」
と言われる未来があるかもしれない。

かつて、小説や漫画は毒と捉えられていた時代があった。あの夏目漱石も、小説家デビュー当時は「帝大出身のエリートが低俗な職業に就いたもんだ」と嘲笑されたと言う。しかし、今はどうだろう。人々の心を掴み、人生の糧となっている。

同様にゲームの捉え方も変わりはじめた。プレイしながら試行錯誤を繰り返して、自分の成長を実感。難しいステージをクリアすることで、自己肯定感が高まる。仮想空間上で世界中のユーザーと分かち合う。ゲームは、人生を豊かにする力がある。

日本初のゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」では、特別な体験で子どもの成長をサポート。楽しみながら、力を伸ばせるように心がけています。成長の新しいステージへ一緒に進みませんか。

②東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナード内
掲載期間:2021年12月20日(月)~12月26日(日)
※駅係員へのお問い合わせはご遠慮ください
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香川県のゲーム条例は、昨年大阪市も巻き込んで話題になりました。大阪市松井市長がすでに規制を始めるかのような報道内容でしたが、松井市長は「現場からの声はあるけど、まずは専門家を交えてエビデンスを検証してから」と答えており、記事のミスリードだったようです。「ゲーム障害」が国際診断基準に収載される予定ですが、最近になって国際的にも、その妥当性に疑義が投げかけられています。現実に治療介入が必要なゲーム依存の患者もいれば、問題なくゲームと共存する人が圧倒的多数であることも事実で、「障害」の原因だと煽ることで新たな差別・偏見の起源になる恐れもあります。

しかも、この広告自身はゲムトレ社の学習ソフトの宣伝なのですから目くじらを立てるような話ではありません。しかし、コロナ禍の下、ゲームに向かう時間が増え運動時間や学習時間が減ってて困っている家族がいることもまた現実です。引きこもりのトレードマークのようにゲームが受け止められているのは問題ですが、一概にゲーム万歳とは言えない人たちもいることは忘れてはいけないと思います。

とは言え、ゲムトレ社の社長自身も10年間の不登校経験者ですから、彼の言う事にも説得力があります。なんでも新しい娯楽は批判されるけど、確かな文化や職業になっているものは小説だけではありません。高速大量印刷社会から、世界を駆け巡るデジタル情報社会の中で、遊びもまた、テクノロジーによって高度化し、時代の人々のモノになっていきます。テレビの見過ぎが自閉症や微細脳損傷を誘発すると真面目にいわれた昭和の頃を思い出します。

昭和の子どもたちにテレビは害だと言ってきた今の高齢者かつての親たちが、毎日テレビ漬けで、テレビの垂れ流す情報を鵜呑みにしてコロナ禍で煽り報道の片棒を担がされたのも事実です。その結果、公園遊びも野外活動も、競技場でのオリパラの観戦すら否定され家籠りを余儀なくされた子どもたちに、今度は「ゲーム障害」だとエビデンスもなく煽るこの循環はどこかで断ち切る必要があります。そういう意味でゲムトレ社のメッセージは、子どもたちへの救いの言葉にも読めるのです。

発達障害の子が相談に回答…ネットで開設、悩む親に

発達障害の子が相談に回答...ネットで開設、悩む親に「当事者の思い」代弁

2021/12/20 【朝日新聞】

発達障害がある子どもが「先生」となって、同じ特性の子を育てる親の悩み相談にネットで応じる「でこぼコ・ラボ」が、今秋始まった。我が子には聞けない当事者の思いを知ることで、特性への理解を助け、親子間の関係をさらに深めてもらう狙いがある。

「ゲームがやめられず、取り上げるとけんかになる」。発達障害の息子を持つ親が「でこぼコ・ラボ」のウェブページに投稿すると、「先生」から「ちゃんと勉強した時間の分、ゲームができるルールを作る」「取り上げるのではなく、他のもので興味を引く」などの助言が返ってきた。

回答するのは、発達障害の子どもの学習支援教室「よつばCOLORS」(奈良市)に通う児童・生徒約100人。教室のスタッフだった 綾(あや) 美津子さん(53)らが今年10月、親が子どもの気持ちを理解するのを支援しようと、会員制ウェブサービスとして始めた。

背景にあるのは、発達障害のある子どもが周囲の理解が得られにくく、親も孤立しがちという現状だ。綾さんは「親は我が子の特性を自分で何とかしないといけないと、思い詰めてしまう」と指摘する。

全国の自治体では、発達障害の子を育てた経験がある親らが相談を受け付ける「ペアレントメンター」制度を導入しているが、綾さんは「子どもから思いを聞くことで、納得できることもある」と、サービスを思いついたという。

多く寄せられるのは、宿題や不登校など、学校や日常生活に関する悩み。子どもたちの回答は、それぞれの心情や経験に基づいたもので、利用した親たちからは「元気が出た」などの声が上がっている。

回答する子どもは、学習支援教室の言語能力トレーニングの一環として、質問に答えている。回答に「いいね!」と反応を返す機能もあり、「人の役に立てた」という達成感から自信を得る効果もあるという。

 綾さんは「子どもたちもしっかりと考えていることを知ってもらい、子どもの主体性に任せてみようと思ってほしい」と期待。発達障害に詳しい楠凡之・北九州市立大教授(臨床教育学)は「子どもの意見を聞くことで、我が子への見方や関わり方を冷静に振り返る機会になる」と評価している。

会員登録は無料。問い合わせは「でこぼコ・ラボ」を運営する「アンラベル」(06・6136・5609)。

発達障害  脳機能の障害で、対人関係を築くのが苦手な「自閉症スペクトラム障害」、衝動的に行動しがちな「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」、読み書きや計算が難しい「学習障害(LD)」などがある。「こだわりが強い」「順番を待つのが難しい」などが特性。文部科学省の2012年の調査では、公立小中学校の通常学級に通う児童生徒の6.5%が、発達障害の可能性がある。

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事業所の中でも、大人にとって困った子ども行動の原因を、あれこれ大人の立場から話し合うのではなく、本人はどう思っているのか聞いてみるようにしています。とても、いい取り組みだと思います。もちろん、回答する子どもは当事者ではないので確実な答えではないけれども、子どもがどう考えるのかという視点に立ち戻れるので、とても参考になると思います。

回答する子どもは子どもで、親と言うものはそんなことを心配したり、考えたりするものかと第3者的な支援で考える事ができます。普段は自己フィードバックの弱い子どもで、家ではうまく行かない事でも、このサービスでは上手く回答できるかもしれません。そういう意味で双方で学び合えると言う対等の関係がとても素敵だなと思います。

こうした関係は、事業所内でも作れたら良いなと思います。利用者の親子の考えていることが全然違う事は良くあることです。これは別に障害のありなしは関係ないことですが、親同士で話すと少し客観的に子どもが見られたり、子ども同士で話し合うと「うちの母親もいっしょや」という共感も得られます。それが他人の子だが、よく似た特性の子どもならその論理は参考になるし、腹を立ててばかりいたのが冷静に見られるなと思います。こんな素敵なシステムを考え出した綾さんも素晴らしいと思います。

放課後デイ再編 子ども本位のサービスに

社説:放課後デイ再編 子ども本位のサービスに

12/19(日) 【京都新聞】

障害のある子どもが通う「放課後等デイサービス」などの通所支援について、厚生労働省が事業所のタイプの再編など制度の見直しを進めている。保護者のニーズの高まりを受け、事業所数、利用者数は近年、ともに急増している。半面、質が低かったり、習い事のような特定のプログラムに偏ったりしたサービスも問題となっている。

支援を受ける子どもの視点に立った見直しとなるよう議論を深めてほしい。

障害児通所支援サービスには、未就学児向けの「児童発達支援」と、小中高生向けの「放課後等デイサービス」がある。関連法の改正で2012年度に制度化された。療育手帳や身体障害者手帳が必須ではなく、発達障害などの子どもも受け入れる。全国で計約40万人が利用している。事業所の設置基準が緩やかで株式会社など営利法人も参入し、子どもが身近な地域で支援を受けられるようになったのは歓迎されよう。

一方で、利益優先の事業者や不適切なケアが後を絶たない。給付金の不正受給や、職員による子どもへの虐待行為も発覚している。サービスの質の向上に向け、厚労省は、事業所のタイプを、運動や認知、コミュニケーションなど多様な面で発達を促す「総合支援型」と、理学療法士によるリハビリなど専門性の高い「特定プログラム特化型」の二つに再編する方針だ。

テレビを見せるだけなどの単なる預かりや、塾やピアノなどの習い事のような支援は公費の支給対象から外すという。ただ、事業所からは「サービスからの除外の線引きはどうするのか」「必要とする保護者もいる」などと困惑の声も上がっている。ジム機能や音楽療法など独自の特徴を打ち出したサービスを提供し、子どもの発達支援につなげている施設もある。適切な支援の在り方について、現場の実態や専門家の意見も踏まえて判断する必要があろう。

国や自治体による継続的な監視、指導も求められる。

今回の見直しでは、サービスの利用上限日数に自治体間でばらつきがあるのを是正する方向だ。現在は、障害の状態などに応じて市町村が判定しているが、平均で月5日しか認めない自治体もあれば、20日以上のケースもあり、不公平感が出ている。このため、全国共通の判定の指標やガイドラインを新たに設けるという。

負担額は、児童発達支援が19年10月から無料化され、放課後デイサービスも原則1割で上限が決められている。学校や自宅との間の送迎を行っている事業者も多く、利用しやすい。そうした背景もあってサービスの需要が高まっているとみられるが、保護者の意向だけでサービスを多く利用することは子どもの主体性を損ねてしまう、との指摘もある。子どもの利益のため、家庭と事業所、計画作成の担当者が連携をより深められる制度を目指してもらいたい。

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地元紙も社説で取り上げるくらいですから、先日の厚労省の検討会議の報告は通常の改定を通り越えた提言だったのだと思います。しかし、まず改定ありきという焦りが見え具体性に乏しいので、地方行政にしてみれば、類型をどこで線引きするのかはっきりしません。放デイ利用者の中に占める理学療法士を必要とする肢体不自由児の絶対数そのものは少なく、最も多いのは発達障害の子どもです。ここへの、専門的なプログラムができるのは理学療法士ではありません。行動療法士や言語聴覚士も必要な職種だとは思いますが、子どもに対応する人材を育てる養成学校は少なく、そもそも児童に対応するにも、教育や保育の専門性に対応した経験をもつ人材は少ないです。いったい何を想定して専門的プログラムと言っているかはっきりしないままです。

放課後デイは、小規模ですから何人も専門家は雇用できないので大きな発達療育センターのように先輩からノウハウを教えてもらう機会もありません。検討会の言っていることは理想的ではありますが、絵に描いた餅とも言えます。専門的な療育を提供するうえで資格は確かに必要ですが、資格があれば適切な療育が提供できるわけではないからです。こうした、専門家周りの環境も同時に考慮していく丁寧さが必要です。そして何よりも、給与が低すぎる事が、専門性の高い人材が集められない理由でもあります。

学習塾と学習障害支援の違いをどう見極めるのかも不明です。そもそも、学習の問題は学校に任せるべきだと言う、発達障害に学習障害が明記されていることも知らないような自治体職員もいる中でこの区別が科学的な視点で行えるとは思えません。学習障害支援は、自前で知能検査や発達性読み書き障害の検査を行ったアセスメントを前提にして、個別に療育の支援計画が実施されていることが最低条件だと思います。こうした障害支援のルーティンを踏まえたうえでの適切な線引きが行われることを期待します。

一番の問題は、9割は税金を使う公的な支援なのに、サービス利用回数があまりにも違う不公平と、その違いについて地方行政が説明責任を果たさないことです。利用者増が先か新規事業者参入が先かは鶏卵の堂々巡りですが、質の良い支援ならニーズに応じてどんどん提供すれば良いのです。児童期の質の良い投資は必ず未来に納税で返ってくるからです。

大事なことは監督する行政が低品質な放デイを認めず、質の高い放デイを優遇する方略を持つことです。国のレベルで言えることはせいぜい専門資格を持つものがいるかどうかまでしか言えません。しかし、現場を知る行政なら、何が適切な支援かどうかは見ればわかるはずです。現場に足を運びマニュアルの字面に頼らない確かな視点が行政に求められています。質が低い放デイがあるのは民間参入が原因ではなく、行政に見抜く力が不足していたと言うべきです。

障害者のスポーツ取り上げて

障害者のスポーツ取り上げて

2021/12/18 【産経WEST】

東京パラリンピックでお世話になったNPO法人「アダプテッドスポーツ・サポートセンター(ASSC)」の高橋明さんに誘われ、大阪市舞洲障がい者スポーツセンター(大阪市此花区)で開かれた「i-ボッチャ ぷっちょ杯2021」をのぞいた。

改めて簡単に説明すると、ボッチャはジャックボールと呼ばれる白い目標球に向けて赤と青のボールを投げ合い、より近づけた方が勝者となるルール。もともとは欧州で、脳性まひなどの比較的重度の障害者向けに考案されたが、年齢や障害の有無に関係なく誰でも参加できるインクルーシブ(包括的)なスポーツとして注目されている。

大会は今回が4回目。インクルーシブを示す「i」が大会名の冒頭についている通り、障害者だけで編成したチーム以外にも、健常者のチームや混成チームも参加。選手3人の合計年齢が約250歳のチームもあり、東京パラで脚光を浴びたボッチャの盛況ぶりを肌で感じることができた。ASSC副理事長で「愛ボッチャ協会」代表の岡田良広さんは「東京パラが終わってから、学校や自治体からの問い合わせが増えている。協会の審判を派遣し、体験学習会などを開催している」と話す。

今年話題になった言葉に贈られる「現代用語の基礎知識選 2021ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞には、米大リーグ、エンゼルスで活躍した大谷翔平選手の「リアル二刀流/ショータイム」が選ばれたが、東京パラのボッチャ個人で金メダルを獲得した杉村英孝選手の必殺技「スギムライジング」もトップテン入りした。

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オリパラ開催の効果で、全国各地でパラスポーツの普及が大々的に言われ始めています。ボッチャの金メダリスト杉村選手の活躍も国民にスポーツが引き出す人間の可能性を見せつけてくれました。先ごろは京都府議会で京都府ボッチャ協会のプレゼンテーションが行われ、いわゆる障害者のスポーツではなく障害のある人もない人も一緒に取り組めるユニバーサルスポーツとして普及を議会に説明がされました。

スポーツを国を挙げての取組にすると、スポーツを政治利用する危惧が言われますが、一方でスポーツにアクセスしにくい障害者や身体の弱い方にも参加できるようにすることは、公共の福祉の役割でもあります。ボランティアはどんなスポーツにも必要ですが、障害者が参加するスポーツにはたくさんのボランティアが必要です。

しかし、ボランティアや個人寄附だけでは競技場や競技場への移動支援の整備までは資金的に手が届きません。欧米では、資金力のある企業や篤志家がスポンサーになって障害者スポーツは支えられていますが、企業が巨額の寄付をして民間団体を支援する土壌は我が国には十分育っておらず公的な支援がもっと必要で議会や各自治体の力量が問われています。

障害者スポーツは民主主義の花開く中でこそ育つものです。冬季五輪の北京開催について、民族弾圧やジェノサイドを隠す中国共産党に民主主義国から批判が続いています。誰もが公平にスポーツに参加するためには思想信条、性別や民族、障害のあるなしで政治的に差別されることがあってはなりません。いったい、中国政府は北京冬季五輪のパラリンピックをどんな思いで開催するのでしょう。パラリンピックの開催で人権弾圧を覆い隠すようなことは許されません。障害者スポーツは民主主義の最高レベルの到達点でもあるからです。

 

特別支援教育の教職課程 コアカリ作成へ議論始まる

特別支援教育の教職課程 コアカリ作成へ議論始まる

2021年12月16日【教育新聞】

特別支援学校の教師の専門性向上のため導入が検討されている、特別支援学校教諭免許状の教職課程コアカリキュラムについて、文科省の「特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議」の下に設置されたワーキングループ(WG)が12月16日、初会合を開き、コアカリキュラム作成に向けた議論を開始した。今後、障害種ごとに設けられたサブWGでの議論を踏まえ、来年3月をめどに素案を取りまとめる。

今回のコアカリキュラムは教育職員免許法・同施行規則に基づき、全国全ての大学の教職課程で共通的に履修すべき資質能力を示すもので、特別支援学校学習指導要領を根拠とする自立活動、知的障害のある子供のための各教科等、重複障害者に関する教育課程の取り扱い、発達障害を位置付ける。

その中では、「心理、生理及び病理」「教育課程及び指導法」といった内容について、障害の領域ごとに、学生が理解すべき内容を示した目標を設定する。その際、全国の大学で共通的に修得すべき資質能力を示すという目的に照らし、統一感のある表現とする、達成してほしい目標をできるだけ具体的に示すなどの工夫を行う。来年2月の第2回会合では、障害種ごとのサブWGが検討結果を報告し、意見交換や調整を行う方針。

樋口一宗委員(松本大学教育学部学校教育学科教授)は「特別支援教育制度が始まって10年以上がたつが、そもそも導入の背景には、障害の重度化、重複化、多様化が挙げられる。免許制度は障害種別に構成されており、各障害種についての専門性はもちろん必要だが、重複、多様の結果としての子供たちの困難に、臨機応変に対応できる教師の姿が求められている」と、これからの課題を述べた。

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今頃、特別支援学校教諭の共通カリキュラムを検討しているとはびっくりしました。だから、支援学校や支援学級の教員に、発達障害や構造化支援の基本的な中身を知らないような方が多いのだと思います。それにしても、特別支援学校教諭免許は存在するわけですから、これまでこの免許をとった方は大学でどんな授業を受けていたのかと思います。

教育とも免許とも関係ないですが、京都府で強度行動障害の研修会報告を見ていて感じたことがあります。報告している、京都ライフサポート協会は京都の中でも自閉症支援・構造化支援の老舗の拠点事業所とも言えます。福知山学園もそれを追いかけている入所を中心とした事業所です。この報告では、構造化支援や表出コミュニケーション支援(PECS)を重視しているのです。

行政と先進事業所がタイアップして、毎年こうした研修を重ねているのですが、一向に地域に広がる気配がありません。教育も同じです、行政と先進実践校がタイアップして、全国で毎年何百回と公開授業や研究会が開かれますが、構造化支援も表出コミュニケーション支援も広がる気配がありません。つまり、行政も教委も笛吹けど現場は踊らないという図式があるのです。

それぞれの職員が、科学的な根拠を知り、実践の常識だと考えられることが必要です。そういう意味では免許の基礎となるコアカリキュラムを検討することはとても重要です。今の香港は知りませんが、10年前までの香港の学習指導要領にはPECSに取組むことと書いてあったことを思い出します。結局、公的に必要な事として新しい支援が認められることが大事だと思います。現場で科学的な根拠のあることについて、その是非を再び問うようなことは子どものためになりません。

障害者雇用した芽ネギ農園の気づき・驚き・感動…絵本に

障害者雇用した芽ネギ農園の気づき・驚き・感動…絵本に

12/16(木) 【日本農業新聞】

静岡県浜松市で障害者を積極的に雇用して芽ネギなどを生産する京丸園での実話を基に描いた絵本「めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン!」が発売された。題名の「ガ・ガ・ガーン」とは、代表の鈴木厚志さん(57)が障害者と出会っての気付きや驚き、感動を表している。

京丸園は、高齢者や障害者など多様な人がそれぞれの役割を発揮できる「ユニバーサル農業」を実践する。従業員94人のうち、22人が障害者だ。

絵本は、特別支援学校の先生が、障害のある生徒を「働かせてほしい」と連れてくる場面から始まる。鈴木さんは障害者に農作業は難しいと考え、ある職人技を見せて断ろうとする。だが先生は、生徒でもできるようにする工夫を提案する。これが最初の「ガ・ガ・ガーン」で、その後も鈴木さんはさまざまな気付きや発見を基に、誰もが働きやすい農園を作り上げていく姿を描いている。

鈴木さんは「親子で障害について考えるきっかけになってほしい。農業者に向けてのメッセージも込められている」と話す。

著者は絵本作家の多屋光孫氏。合同出版、48ページ、1980円。17日に、鈴木さんや多屋氏が出席してのオンライントークイベントを開く。

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支援学校の作業場面では当たり前の課題分析を用いた支援方法ですが、伝統を重んじる農家には革命的なアイデアだったのでしょう。もともとはファーストフードなど熟練者でなくても言葉がわからない外国人労働者でも働けるように開発された手法です。仕事はいくつかの作業で構成されています。業務を構成する作業工程を明確にし、支援対象者がどの工程でつまずいているのかなどを把握、分析することを課題分析といいます。工程の分け方は、業務の複雑さや支援対象者の理解度により異なります。

鈴木さんは、支援学校の山田先生が二人の生徒を連れてきたことによって、自分の農場の合理化にも気づいていきます。障害者を雇用することが職場の効率を高める事と結びついているのです。この絵本は、障害者雇用とは何かを端的に表現して大変分かりやすい物だと思います。子どもと一緒に障害理解やノーマライゼーションを知る機会として読むのもいいし、個人経営者など自営業の方に読んでもらって障害者雇用を考えてもらうきっかけを作るにも良い本だと思います。

合同出版社のWEBにこの本のサンプルがあるので、お読みください。

めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン! 
多屋光孫 (著, イラスト)
出版社 ‏ : ‎ 合同出版 (2021/12/3)
発売日 ‏ : ‎ 2021/12/3
大型本 ‏ : ‎ 48ページ
寸法 ‏ : ‎ 18.2 x 0.5 x 23.7 cm

京丸園株式会社
〒435-0022 静岡県浜松市南区鶴見町380-1

 

 

チーム学校 独自予算でAI活用、学校で子供支援 神戸市が全国初

チーム学校 独自予算でAI活用、学校で子供支援 神戸市が全国初 

12/14(火) 【産経新聞】

福祉的な支援が必要なのに見過ごされている子供の存在を人工知能(AI)を使って可視化し、具体的な支援につなげる取り組みが一部の自治体で始まっている。神戸市は全国で初めて独自に予算を付け、今月から本格的な活用をスタートした。鍵を握るのは、教員と教員以外の専門職が連携する「チーム学校」の取り組みだ。支援が必要とされた子供については専門職が集まる「チーム会議」で検討し、知恵を出し合う。

神戸市が活用するのは、大阪府立大の山野則子教授(児童福祉)らが開発した「AIスクリーニングシステム(YOSS)」。複数の教員が、欠席・遅刻▽身だしなみ▽健康▽いじめアンケート-など約40項目について、気になる程度を点数で入力する。データをもとに全員の状況を「スクリーニング会議」で確認し、チーム会議で検討するかを判断する。

AIはあらかじめ、全国の支援の成功例やうまくいかず事件化した事例の特徴を学習。会議での判断をサポートするとともに、必要な支援のレベルについて①学校内での支援②子供食堂など地域資源の活用③行政機関や福祉制度の活用-の3パターンから提案する。

神戸市ではYOSSを18の小中学校で試験導入し、今月から来月にかけて約7千人を対象にスクリーニング会議を実施する。教育委員会の担当者は「支援が届いていない子供がいるなら、きちんと把握すべきだ。まずは継続し、効果を検証したい」と話した。

背景には、学校で「ちょっと気になる」程度の子供が見過ごされがちだという現実がある。同府泉大津市立戎(えびす)小はAIは使わないものの、神戸市と同じ40項目のスクリーニングシートを活用し、教員の経験や勘に頼らない丁寧な検討が行われている。

「友人とのトラブルが多く、よく怒られている。無気力で自己肯定感も低く、『先生はいつもおれを悪者にする』と言っている」

今年7月に同校で行われたチーム会議。ある男子児童について担任が相談すると、教頭や生活指導担当の教員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー(SSW)らが、よりよい関わり方の検討を始めた。

会議で決まったのは、児童に「頑張っているな」などのポジティブな声かけを学年の教員全員で意識的に行うこと。出席したSSWの神谷直子さんは「子供は『いろんな大人が自分を見てくれている』と感じることが重要。あいさつや声かけだけで、ガラッと変わることも多い」と話す。

同校では低めに設定された基準点を超える児童を幅広くチーム会議で取り上げ、問題が深刻化する前に「予防」することを目指している。同校の男性教員(34)は「しんどさが表に出ていなかった子供に目が向くようになった」と手応えを口にした。

■「チームで決定」へ意識改革を

山野教授らの研究によると、小中学生のうち約30%が虐待や非行、不登校などにつながる要因を持っている。だが実際に自治体の支援対象となっているのは10%ほど。問題はあっても深刻化はしていない「グレーゾーン」にいる残りの子供を発見し、最初に手をさしのべられるのは学校だけだ。

だがこうした支援を多忙な教員だけが担うのは困難で、スクールソーシャルワーカーら専門職と協力する体制が必要だ。しかし、多くの学校では専門職の配置が不十分で、山野氏は「対応をチームで決定する文化が学校組織にないことも問題だ」と指摘する。

一方政府では、自治体の教育・福祉・医療部門などが持つ子供たちの情報をデータベース(DB)で共有し、支援に生かすことを視野に、11月にデジタル庁など4府省庁によるプロジェクトチームが発足した。組織間の連携がないために虐待などが見過ごされた事例は後を絶たず、DBは子供の状況を可視化する「スクリーニング」の切り札として期待されている。

ただ、現場で支援を行う「人」が育っていなければ情報は生かせない。山野氏は「目の前の問題への対応だけでなく、10年後、トラブルを予防できる社会になるよう考えてほしい」と話し、まずは専門職と協力する「チーム学校」の意識を学校現場に根付かせることが不可欠だと訴えている。(西山瑞穂)

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学校の不祥事続きの神戸市は、学校の力だけに頼るのではなく機械も使って学校改革に立ち上がろうとしていることは、良いことだと思います。もちろん端末処理する教員の問題意識の持ち方には左右されるとは思いますが、それは今までも同じですし、記録が残ることで状況をどう見ていたかが記録に残って次に生かせます。また、現場が正しい評価をしている証拠も残るので、管理職や上層部が見落としたり隠蔽した場合も明らかになります。このデータ管理は、校内管理ではなく、教員のオンラインシステムにのせて教委が管理すべきかと思います。

ただ、一つだけ心配なのは、AIが判定していないが気になる子どもがいるとき、近未来ドラマのように人間以上にAIを信用してしまう事が起こらないかどうかです。もちろん、このAIの導入は、失敗事例データをプログラムに学習させて手作業のスクリーニングの穴を埋めるものですからより精密なものにはなるのでしょうが、精密に疑わしいものをピックアップするので、件数が増えてしまい再確認に手間取り、教員が直感的につかむ緊急性のあるものを見落としてしまうことになっては本末転倒です。

それでも、学校現場がAIを通じて専門家とチームを組んで、学校の風通しを良くしていくことにつながれば素晴らしいことです。機械の力を借りてでも、虐待や非行、不登校につながる子どもをあぶり出して支援しようとすれば、特別な事でなく日常に必要な支援として定着し、発達障害の特性を起因とした行動問題への支援にも生かされていくものと思います。

知的障害のある長男殺害 母に懲役3年執行猶予5年

知的障害のある長男殺害 母に懲役3年執行猶予5年 京都地裁

12月13日 【NHK】

去年7月、京都市で重い知的障害のある17歳の長男を殺害した罪に問われている母親に対し、京都地方裁判所は「長男の受け入れ施設が見つからず、将来に絶望を抱きかねない状況だった」として執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。

京都市左京区の無職、坂山文野被告(54)は、去年7月、自宅のマンションで重い知的障害があり、総合支援学校高等部に通う長男のりゅうさん(17)の首をベルトのようなもので絞めて殺害したとして、殺人の罪に問われています。

裁判の中で、母親は長男を殺害したことを認めましたが、弁護側は当時、精神障害の影響で心神喪失の状態だったとして無罪を主張し、検察は懲役5年を求刑していました。

13日の判決で、京都地方裁判所の増田啓祐 裁判長は、「将来に大きな可能性のある17歳の尊い命を奪ったことはあまりに痛ましい結果だ。ノートに犯行をためらう内容を記すなど、限定的とはいえ、犯行を思いとどまる能力は残っていた」と述べ、心神喪失の状態ではなく、心神耗弱の状態だったと指摘しました。

そのうえで、「重い障害のある長男の介護に疲弊し、さまざまな手段を講じたが、卒業後の受け入れ施設が見つからず、将来に絶望を抱きかねない状況だった。動機の形成過程には同情の余地が大きく、自らも殺害を認めて反省している」として、懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。

【事件の経緯】。
事件が起きたのは去年7月17日の夜、京都市の自宅マンションで、母親の坂山被告が17歳の長男に睡眠薬を飲ませ、ベルトのようなもので首を絞めて殺害したとされています。

検察や弁護側の陳述によると、被告はひとり親で、自らもうつ病を患いながら、重い知的障害のある長男に加え、認知症の兆候のある高齢の母の介護もしていたということです。

被告が事件の前に悩んでいたのが、総合支援学校高等部を卒業したあとの長男の進路です。事件の2週間前、卒業後の就職先を探すため、京都市内の就労支援施設を見学しましたが、1人でのトイレが難しいなどの理由で、受け入れは困難だと断られました。

事件前日には、支援学校の担任と進路について面談しましたが、具体的なアドバイスが得られなかったと感じ、将来への不安を募らせたといいます。事件当日にも別の就労支援施設を見学しましたが、送迎に対応していなかったため、利用を断念しました。

その日の夜、風呂を出たあとの着替えの際に、長男が服を破いたり、被告を抱えて放り投げようとしたことで将来への絶望感をさらに深め、犯行に至ったとみられています。事件のあと、自殺未遂を図った被告はノートに遺書を書き残していました。

そこには、「何かもう疲れてしまいました。将来のことを考えると、誰に託したらいいか答えが出ず、連れていきます。ごめんなさい。ちゃんと育ててあげられなくてごめんなさい。残ったお金は少しでも障害者のためになる何かに使ってください」と記されていました。

【同級生だった保護者は】。
裁判を傍聴した子どもが同じ支援学校の同級生だった竹口宏樹さんは、「事件は起こるべくして起きたのかも知れないし、なんとかできたのかなとも思うので、僕自身、後悔や反省があります。判決の中にもご家族ご友人の名前が出てきましたが、そういう人たちとなんとかつながって、今後の人生を、しょく罪もありながらも全うしてほしい」と話していました。

また、卒業を来年3月に控える竹口さんの息子の進路もいまだに決まっていません。竹口さんは、「大変な家はたくさんありますが、もう無理となったときに、安心して暮らせる体制がつくれる、何も情報が無い人にもアクセスできる福祉がどこでも行われることがいいのではないかと思います。進路について、どういう支援ができるか考え続けてほしい」と話していました。

【専門家“支援体制づくりを”】
今回の事件について、国の障害者支援施策の調査や研究に携わってきた社会福祉法人「横浜やまびこの里」の志賀利一 理事は、「命が失われた事実を重く受け止め、福祉、医療、教育の立場からしっかりと事件を振り返って検証し、予防策を考えていくことが大切だ」と指摘しています。

そのうえで、「障害者福祉の現場で専門的な支援が提供できる施設や事業所を増やすことが必要で、都道府県や政令指定都市単位で計画的に整備していくなどの体制づくりを進めていくことが求められている」と話していました。

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30年前社会福祉の基礎構造改革が議論されていたときに懸念されたことが起こっています。戦後、長い間続いていた措置制度を契約制度に転換し、国民の自助と事業所など民間のサービスを活用し、少子高齢社会の進展に伴う社会福祉の支出の増大を抑制し、民活導入によって社会福祉の制度を構造から改革しようとしたのがこの政策です。

確かに、財政的な問題も背景にありましたが、行政が全て引き受けてしまう事によって、既得権限の中にいて競争のない世界ではサービスの中身が良くならないと言う問題がありました。民間企業が参入しやすくすることによって利用者目線で経営が行われるようになり、サービスは量的にも質的にもかなりの改善がなされたのは事実です。児童通所についても放デイ利用者が爆発的に増えているのは、民間を参入しやすくした結果です。

ただ、その一方で、障害者も地域で暮らすというノーマライゼーションの名のもとに、障害者の入所施設を経営しても収入が増えないような傾斜政策で、家族では支えきれない重度の方たちの行き場がなくなる現象が起こっています。つまり、儲けの薄いところ、儲けが今後見込めなくなるところはサービスが減るという問題が起こるのです。もちろん措置制度の時代も重度の方の施設は恒常的に不足していました。民間が参入できるようになってから障害者サービスは量的に増えているのは事実です。しかし、市場原理が働いて障害の軽重によって格差が拡がっているのは事実です。

また、重度の方にはデイサービス事業がありますが、これは10時から16時までのサービスで、就学期のように放デイサービスがないので夕方や休日は家族が介護しなければならない問題があります。そして、儲けの薄いところ、つまり行動障害など重度の利用者の入所施設は公立経営をするとか補助金を出すなどの施策を政府がさぼってきた結果が今回のような事件の背景にはあります。

また、基礎構造改革の一番大きな間違いは、我が国の家族の自助力はどんどん核家族化によって低下しているのにこの政策を進めていることです。一人親家族や家族の高齢化、家族の収入の減少などにより、とても成人の障害者を扶養するような余裕がない家庭が増えているのです。児童一人当たり10万円を家庭に給付をするくらいで「分配した」などと言っている場合ではありません。必要なのは僅かな分配ではなく、児童がいてもいなくても、障害者が家族にいてもいなくても、同じように暮らせる公平な社会です。

障害福祉、「聖職」の使命感では燃え尽きる 補助金で確実な賃上げを

障害福祉、「聖職」の使命感では燃え尽きる 補助金で確実な賃上げを

2021年12月10日 【朝日新聞】

岸田政権は介護や保育、看護、障害福祉で働く人たちの賃金を3%程度引き上げる方針を掲げています。これらの分野における待遇の低さといった問題は改善されるのでしょうか。連載の7回目は、社会保障法が専門の伊藤周平・鹿児島大教授に障害福祉について話を聞きました。

伊藤周平さんの三つの視点
1)障害福祉の人材不足を解消するには、賃金の引き上げとともに人員基準の改善が必要
2)福祉職の専門性は高い。「聖職」という考えで使命感に頼っていては燃え尽きる
3)福祉は公共財。公的責任として、国の補助金で人件費を確実に上げるべきだ

――政府は、障害福祉の職員の賃金を3%、月額で9千円程度引き上げる方針です。人材不足の解消につながるでしょうか。

人手不足の背景には、賃金の安さだけではなく、労働のきつさがあります。特にコロナ禍になってからは、職員が少ないなかで、マスクを障害のある人につけてもらったり消毒をしたり、感染症対策をしながら障害のある複数の人を支援しなくてはならず、さらに仕事がきつくなっている。賃金を上げることが効果がないわけではありませんが、一番の問題は、国が定める職員の人員基準が低いことです。

例えば、障害のある人が入所する施設で、日中の生活介護を行う場合、支援を必要とする程度が低い利用者では、6人に対して支援員1人以上。支援の程度が高い利用者でも3人に対して支援員が1人以上という基準になっています。これでは一人ひとりへのきめ細かなケアや、外出まで手が回らない、という声を聞きます。障害のある人は世代が広く、障害の特性も多様で個別性が高く、なかにはパニック障害などを伴う人もいて、高齢者介護や保育よりも体力的にきつく、人手不足は深刻かもしれません。

人件費だけに使える国の補助金の仕組みを
せめて、職員1人が利用者2人を支援する基準にすべきでしょう。もちろん、国の基準よりも手厚い配置にすることはでき、実際そうしている事業者も少なくありません。ただ、独自の財源からの持ち出しで職員の賃金を支払うため、経営が苦しいのが実情です。国は人員基準を見直し、必要なお金を投入すべきだと思います。そうしなければ、賃金を上げても抜本的な人材不足の解消にはならないでしょう。

政府が障害福祉の職員を、障害のある人が基本的な生活をするのに不可欠な「エッセンシャルワーカー」と認識しているなら、賃金の引き上げと同時に人員基準を改善することが必要です。

――政府の会議の資料では、介護分野の職員の賃金は29万3千円、全産業では35万2千円(いずれも基本給に残業代や手当、賞与を含めた月収換算。役職者を除く)とされ、大きな開きがあります。

待遇を考えるのであれば、基本給で比較すべきで、仮にこの数字で比較するとしても29万円は平均でしかなく、実態とかけ離れているように思います。また、手当や賞与をひっくるめての数字で、高齢者施設などで働く介護職員も含まれています。きちんとした基礎統計を土台に議論を進めてほしい。

今回の賃上げは、まずは来年2月から9月までといわれていますが、時限付きなら一時金くらいにしかならないのではないでしょうか。少なくとも、全産業並みにすべきで、上げ幅が1けた少ないといってもいいでしょう。今回の経済対策は場当たり的な印象をぬぐえません。

――高齢者介護については、賃金の引き上げが保険料や利用者負担に跳ね返りかねないとの指摘もありますが、障害福祉についてはどうなのでしょうか。

原則65歳以上の人がサービスを利用する介護保険制度の総費用は、国・都道府県・市区町村が負担する公費と、40歳以上の国民が払う保険料、利用者が事業者に払う利用料から成り立っています。一方、障害福祉は、保険料はなく、公費である税金と利用者の自己負担からなっています。ただ、自己負担は軽減措置もあってほとんどない状況で、利用者への負担につながるのは一部です。賃金アップをしやすいともいえます。

――賃金を上げれば公費負担が増えることになりますが、財源はどこから捻出すればいいのでしょうか。

福祉は、それがなかったら生きていけない人の暮らしを保障する公共財です。保育も介護もそうですが、人の命を守る仕事は本来、市場原理に任せず、公的責任のもとで提供されるものです。障害福祉は、2003年3月までは「措置制度」で、自治体がサービスを提供し、措置費で人件費を出していました。支援者の賃金も公務員並みでした。

しかし、財源不足などで、市場原理が導入されると、利用者と事業者の契約でサービスが提供されることになり、自治体の責任が縮小されました。民間事業者の参入が悪いとは思いませんが、報酬が「売り上げ」という仕組みになり、人件費を抑制し、結果的に労働条件を悪化させた一面も否めません。

そこで私が提案するのは、報酬ではなく、人件費だけに使える国の補助金の仕組みをつくり、賃金を保障することです。報酬の中から事業者の判断で人件費を決めるわけではなく、また、すべての事業者が等しく人件費を受け取れます。一般的に人件費は、報酬の7~8割ですが、4~5割という例もあるのです。

また、今の報酬制度では、資格や職種など一定の要件を満たした事業者への処遇改善加算はありますが、すべての事業者には該当しません。事務も煩雑で申請を控える事業者もあります。

「財政が厳しい」といわれますが、命を守る仕事です。政治の決断と政治家の覚悟が問われています。

――障害福祉の職員の待遇が低いのはなぜなのでしょうか。

障害者支援は、女性や家族が無償で担ってきた歴史があり、だれにでもできると思われがちだからでしょう。障害者への差別や偏見もあって、家族自身が、家族が行うものだという意識も強い。でも本当は、コミュニケーションをとり、マニュアル通りにはいかない一人ひとり違う個別性にどう対応するかが問われます。その人らしい生活を維持するという専門性の高い仕事です。

ただ、医療のように疾病が治るという明確な物差しがなく、目に見えづらく数値にもしにくいので、評価が難しい。経験がものをいう仕事ですが、経験を積む前にやめていく現状では、専門性の検証もできない。専門性を高めるために研修に参加したり、制度を勉強したりする余裕がないのも問題です。

――今後の政府の議論に求めたいことはありますか。

(政府が11月に設置した)公的価格評価検討委員会で、現場で働く職員の意見を直接きちんと聞くべきです。その上で、なぜ障害福祉の現場で、労働環境が貧しい体制になっているのかを分析し、人員基準を見直してほしい。

福祉職は聖職ともいわれ、お金ではなく使命感で仕事をする意識が強い。新型コロナウイルスへの対応も、献身的な努力で乗り越えていますが、それだけでは限界です。職員の使命感や情熱に頼っていては、燃え尽きてしまう。命を守る人たちの待遇を上げるために集中的に公費をつぎこむべきで、それが政治家の務めではないでしょうか。(聞き手・森本美紀)

いとう・しゅうへい 1960年生まれ。専門は社会保障法。88年、労働省(現厚生労働省)入省。鹿児島大学法科大学院教授などを経て2017年4月から同大学法文学部法経社会学科教授。鹿児島市障害者自立支援協議会委員も務める。著書に「社会保障法 権利としての社会保障の再構築に向けて」など。

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例えば当法人の常勤職員の賞与を入れた今年の給与平均額は税込33万円ですから全職種の平均まであと一息です。ところが利用者をこれ以上増やすとなると職員をもう一人必要としますので、ほぼこれが上限という事になります。ここ1年は発達障害のニーズに合わせた新事業所を立ち上げましたがコロナの影響で利用が伸びなかったために人件費分が回収できず夏のボーナスは見送られています。法人の利益はなく赤字ぎりぎり経営でも全産業の平均給与額に届きません。人材は地域福祉・児童福祉の財産と思い、無い袖を振るようにして捻出しているのが実情です。

同情するなら金をくれとはよく言ったものです。3%アップを岸田首相が施策にしているそうですが、9千円上昇したところで、高騰する燃料代に消えていきそうです。この賃金は、日本の未来にまで深く関与しています。低賃金で福祉業界に寄り付く若者はよほど志が高い人で、多くの人は敬遠していきます。その結果、低賃金でも働いてくれる外国人の導入がもうそこまで見えています。

先月、岸田政権はいきなり外国人労働者の受入れを緩和する方針を打ち出しました。低賃金でも働く外国人を様々な力仕事=エッセシャルワークにつかせることは、産業界全体の賃金も抑え込んでしまい、賃金が上がらなければ消費も生産量も伸びず、20年以上続いたデフレからも脱却できません。その結果、求人倍率が下がり労働市場は買い手市場になりさらに賃金が抑え込まれる結果になります。せめて、この業界の平均賃金が1割アップすれば若者はもう少し流れ込んでくるでしょうが、3%アップではそれは望むべくもないというのが現場の感覚です。

オンラインは苦痛…発達障害抱える学生の“コロナ禍の学び”守るには

オンラインは苦痛...発達障害抱える学生の''コロナ禍の学び''守るには

2021/12/9 【西日本新聞】

「雑音が多くて苦痛」「情報を整理できない」...。新型コロナウイルスの感染拡大でオンライン授業が普及する中、感覚過敏などの特性から困難を感じている発達障害の学生は多い。大学側には障害者の生活上の障壁をなくす「合理的配慮」が求められるが、対応の格差は大きく、学ぶ権利を保障する取り組みは道半ばだ。 (斉藤幸奈)

「授業に付いていけなくて、昨年は1年間で8単位しか取れなかった」。そう肩を落とすのは福岡県内の私立大に通う注意欠陥多動性障害(ADHD)の20代の男子学生。好奇心旺盛でやる気はあるが、時間の管理が苦手。オンライン授業になってリポートによる評価が増え、授業ごとに締め切りも提出方法も異なるため混乱し、提出が間に合わないことが多かった。

対面授業では集中して話を聞くことができ、単位も取得してきた。オンラインだと、教科書とパソコン画面両方に目を向けるのが難しく、双方向性もないため内容がなかなか頭に入らない。大学の相談窓口に障害の特性を伝え、課題は授業中に口頭で知らせるだけでなく、メールでも伝えてほしいと要望したが「実行してくれた教員は少なかった」という。

こうした学生は各大学で目立つようになった。熊本大大学院教育学研究科の菊池哲平准教授らが3月に発表した全国の大学に対する調査(回答率31・5%)では、オンライン授業の影響で発達障害がある学生からの相談が例年より増加していると回答した大学は28・4%に上った。

「大学からのアナウンスに一貫性がなく情報の整理ができない」「画面に並ぶ友達の顔が気になって集中できない」などの相談があった。半面、必要な配慮について「全教員・職員に周知した」大学は13・9%にとどまる。

日本学生支援機構の調査(昨年度)によると、障害がある学生を支援する専門部署がある大学は全体の2割程度で、支援体制のばらつきも課題だ。福岡県の大学でこうした学生の相談に応じる公認心理師の入濱直美さんは「相談先が分からず支援につながっていない学生もいる。専用の窓口と専門知識がある担当者を置くことが望ましい」と話す。

一方、大教室での集団授業が苦手な学生らは、ストレスが減って成績が上がった事例もある。菊池准教授は「発達障害がある学生が抱える悩みは多岐にわたり、それぞれに応じた対応が必要だということがコロナ禍で改めて分かった。理解を深めるきっかけにしたい」としている。

合理的配慮 障害がある人にとっての社会的障壁を取り除くために、過度な負担にならない範囲で変更や調整を行うこと。障害者差別解消法で規定。国公立大では「義務」、私立大は「努力義務」だが、今年5月に法改正され、2024年までに私立大でも義務化される。公共交通機関や行政、災害時の避難所などでも提供が求められている。

授業録画を許可、提出期限延長…迅速だった九大の対応
発達障害がある学生への支援に力を入れるのが、九州大(福岡市)だ。「インクルージョン支援推進室」が専門窓口となって学内の調整や授業の担当教員との橋渡し役を担い、成果を上げている。

コロナ禍でも迅速に対応した。オンライン授業では集中力の持続が難しいという学生に、録画を許可、録画した教材の配布も行った。感染が拡大する以前から、授業内容の事前伝達▽視覚的に情報が取得しやすい掲示の工夫▽提出期限の延長-など、特性に応じた合理的配慮に取り組んできた。

コミュニケーションや雑談が苦手な学生は、友人や先輩からのアドバイスを受ける機会が少ないことから、学生による支援組織「ピア・サポーター」も活動。リポートを書くときの“力の抜き方”など、教員では教えられないことを助言している。

同推進室長の田中真理教授(教育心理学)は「合理的配慮に関する取り組みは『支援』と捉えられがちだが、教育の一環。共に学ぶことで他の学生も実体験として多様性を感じ、学びになる。こうした考えを学内に根付かせることが最も大事だ」と強調している。

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リモート学習は発達障害の人には教室講義より集中しやすいだろうと思っていたら、私たちには気にならない音声ノイズが気になって集中できない人もいると言う話から、そう言えば教室の蛍光灯のノイズが嫌だと言っている子がいた事を思い出しました。気になったのは、教科書と画面を見比べるのが苦痛と言う話ですが、教室で黒板やホワイトボードと手元の資料やノートを見るのはもっと大変です。おそらく、共有画面を使って巧みにプレゼンができない教授の教科書や資料だけを読んでいるような授業が頭に入らないと言っているのでしょう。それは、どんな人だって頭に入らないです。

他の学生の視線が気になると言うのも、学生PCからギャラリー画面をOFFにできないならわかりますが、通常のリモートソフトは発言している人だけを写すことは可能ですから、予めリモートソフトの使い方を教えていないのではないかと思います。発達障害の学生の相談やニーズに対応する、大学の支援室はこの10年でどんどん増えていますが、教員の頭が追い付ていないとも言われています。たしかに高齢になってからリモート操作がどうのこうのといわれても、助手が手伝ってくれないとリモート講義がうまくできないのは無理ないなとも思います。

ただ、大学には年間100万を超える授業料を納めているのですから、教授がPC操作が苦手だから我慢してほしいではすまされない話です。オンライン授業になってレポートが増えて書けない問題は発達障害の学生にとっては深刻です。好きな事ならいくらでも書けるけど、興味のないことについては全く欠けない人から、定型の設問に答えるテストは得意だが、持論もおりまぜて論じることは高校時代に教えてもらっていないので融通が利きにくい人は大変です。何から書いていいかわからないという理由で、書けないまま放置して最後に首が回らなくなって留年・退学という学生はこれまでも少なくありません。

九州大のように支援室が機動的に動いて、画一的でなく個性に合わせて支援を打ち出してくれると、発達障害学生にとっても心強いです。助けを求める事が苦手な彼らには、プッシュ型でオーダーメイドな支援が求められています。オーダーメイドとなると「合理的配慮」とは言えないという学校がありましたが、合理的かどうかは金銭的時間的な枠組はあるでしょうが、工夫の度合い、アイデアに枠組などありません。何がヒットするか当事者だってよくわかっていない場合も多いのですから、様々な工夫の手数が必要です。そして、発達障害の彼らに分かりやすい授業に工夫することは必ず学生全体の利益にもなります。診断がなくても段取の悪い学生や、不注意の多い学生はたくさんいます。大学教育のユニバーサルデザインはみんなの役に立つはずです。

 

「冬のうつ」注意 夏場は普段通りだったのに… 日光浴・適度な運動を

「冬のうつ」注意 夏場は普段通りだったのに... セロトニン分泌減が要因、日光浴・適度な運動を

12/8(水) 【中国新聞】

冬になると、気力が湧かない、いくら寝ても眠い、食べ過ぎる…。そんな心身の異変は、冬季うつ病のサインかもしれない。一般的なうつと異なる症状もあり、夏場には元気になることも多いため気付きにくい。日光を浴びる機会が減ることが一因で、巣ごもり習慣が付いた新型コロナウイルス禍では特に注意したい。

広島市に住む20代の会社員女性は大学生の時、10月から真冬にかけて頭がぼーっとしてうまく思考ができなくなった。日中も強い眠気に襲われ、ひどいときにはいったん寝ると起き上がれず、枕元のスマートフォンにも手を伸ばせなかった。駄目だと分かっていてもご飯などの炭水化物を食べ過ぎてしまい、一晩で3合の米を空にすることもあった。

冬季うつ病は季節性感情障害とも呼ばれる。気分の落ち込みや意欲低下などは通常のうつ病と同じ。しかし睡眠や食欲については真逆で、過眠や過食に陥る。春になると治まり、夏場は逆に、そう状態になる人もいる。この女性も夏は普段通り生活できていたため「まるで冬眠しているみたいでした」と振り返る。

大学卒業後、もりた心療内科クリニック(中区)を受診し、冬季うつ病と分かった。女性は学生時代ストレスを抱え、冬場は外に出る機会が少なかったという。森田幸孝院長は「主に10月から翌3月にかけ、2年以上続けて症状が現れるのが特徴。比較的女性が多い」と話す。

冬季うつ病は北欧など高緯度で冬の日照時間が短い地域に多い。国内でも、日照時間が短い日本海側の地域に症状を訴える人が多いとする調査結果もある。国立精神・神経医療研究センター(東京)睡眠・覚醒障害研究部の栗山健一部長は「日光を浴びないとセロトニンの分泌が減り、気分や意欲が落ち込んでしまう」と指摘する。

セロトニンは脳の神経伝達物質で、心の安定や頭の働きを促す。部屋にこもったり、日照時間が短かったりすると分泌が進まず、眠気も強まる。不足を補うため炭水化物を欲し、食生活も乱れる。もともと抱えるストレスと重なると、仕事や家庭生活などに与えるダメージは大きくなる。

栗山部長は「回復には、まず外に出て日光を浴びる習慣を付けることが大切」とする。朝はカーテンを開けて、日光を浴びることを勧める。また、室内で専用の照明器具の光を浴びる高照度光療法でも、セロトニン分泌につながる。近年は市販でも同療法向けの器具が増え、目覚まし時計付きもあるという。

さらに必要なのは適度な運動とされる。日中の散歩や通勤通学時に歩く距離を増やすことで、生活リズムも整い、眠気も感じにくくなる。食事もタンパク質の多い肉や魚、乳製品などをバランス良く取りたい。セロトニン生成を促す「トリプトファン」というアミノ酸を含んでいるからだ。

森田院長は「コロナ禍で外に出なくなった分、気付かないうちに症状が現れているかもしれない。規則正しい睡眠に気を配り、おかしいと感じたら受診してほしい」と呼び掛けている。

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発達障害のある人は、セロトニンやドーパミンの働きに弱さがあって、不注意や気分障害、睡眠障害等が起こりやすいと言われています。日光を浴びる時間が減ってくるこの時期はいろいろと行動の問題も起きやすいようです。障害の有無に関係なく気分障害が起こりやすくなる時期なので、神経伝達物質の働きに弱さを持っている人は、意識的に日中戸外に出て活動することが大事だと思います。

うつなのに食欲があり炭水化物が欲しくなり過食するというのは興味深い話です。冬眠を必要としない進化をとげる前の時代の行動がDNAに刻み込まれていて、日光を浴びる時間が短くなってくると遺伝子のスイッチが入って、冬眠に備えるエネルギーの蓄積行動と、春までエネルギーを温存するための省エネ行動(うつ状態)が発動されるのでしょう。

もっと興味深いのは、日中外に出て活動するとタンパク質に含まれるトリプトファンがセロトニンを合成し、セロトニンは脳の松果体でメラトニンに変換され、メラトニンは睡眠を正常にするサイクルを作り出すという見事な体内メカニズムです。その結果、DNAの冬ごもりスイッチが切れて炭水化物の大量摂取行動を止めるとともに、省エネのうつ状態から復活して活動的になるわけです。

つまり、冬眠をせずに365日活動する猿の祖先に進化するプロセスは、冬の日光浴の時間増によってアミノ酸から神経伝達物質を生成する生化学的な進化に裏付けられているわけです。このことは、人間と言えども祖先の野生動物時代の生命維持システムをベースに持っているという事をわきまえる必要があるということです。ITだのデジタルネットワークだのと言っていても、身体は生命体の摂理によって駆動していることを理解して、心身の健康と日々の活動の結びつけて考えていきたいと思います。

教員確保に退職した経験者を再び採用する制度導入へ 山梨県

教員確保に退職した経験者を再び採用する制度導入へ 山梨県

12月06日 【NHK】

優秀な教員の確保が全国的な課題となる中、県は介護や育児で一度教員を退職した経験者を再び採用する制度を新しく導入する方針を示しました。

文部科学省によりますと、令和元年度に実施された公立学校の教員採用選考試験の全国平均の倍率は3.9倍と前の年度を下回っていて、近年、全国的に倍率の減少が課題となっています。

6日、県議会で行われた2日目の代表質問で、「未来やまなし」の議員が、こうした状況を受けて、介護などの家庭の事情で退職した教員経験者の再雇用について、県は今後どのように取り組んでいくか質問しました。

これについて、県教育委員会の三井孝夫教育長は、山梨県では平成28年度から昨年度までの5年間で、83人の教員が介護や育児を理由として定年を待たずに退職していると明らかにしました。

そのうえで、「確実に優秀な職員を確保するという視点から、教員経験者が再び学校現場で活躍できる仕組みを作ることは非常に有効だ」として、一般の選考検査とは別に、介護や育児の理由で山梨県で退職した経験者を再び採用するための新たな制度を設ける方針を示しました。

県によりますと、新たな制度では、一般とは違う受けやすい形の試験の形式にすることを検討していて、早ければ来年度からの実施を目指すということです。

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倍率が下がった理由から人材確保を考えず、若手がダメなら退職教員で補充しようとする安易な発想で持続可能な人材確保ができるか疑問です。学校には教師になりたくても、講師をしながら採用試験の勉強ができないハンディがあって、採用されない有能な若手だってたくさんいるのですから、まずそこに手を付ける気はないのでしょうか。確かに、倍率が下がれば採用される職員の学力的なレベルは落ちます。しかし、ペーパーテストの得点が高くても、ブラックな学校や保護者との対人関係に疲れ果てて数年で辞めていく教員も少なくありません。

教委が今やるべきことは、教員が定時で帰宅でき、有給休暇も平日で消化できるように補充人員を学校にそろえておくことです。少々賃金が安定していても、無報酬で時間外労働を強いられるような働き方が続いたままでは、人手不足の今日で採用倍率があがるほうが不思議です。授業時間と準備時間が半々くらいで、生徒指導もチームでクラス指導にあたる体制を作ったり、保護者クレームも専門職を置いたりチームで受ける体制を作らないと今の学校は「やってられない」のです。

倍率低下から、新しい学校を作ろうと言う夢を語るのではなく、職場がブラックすぎて子育てや介護が続けられなかった退職職員をまたぞろ採用しようと言うのですから、退職教員がそのまま集まるはずがありません。現在の再任用制度を使って教員を継続する人材に優秀な人材が残りにくいのは、そうした教員の多くは燃え尽きてしまっているからだと言われます。辞めた職員の声を生かして、教育は百年先の投資なのですから、資金も投入して夢のある働きやすい職場を作るべきです。

最年少26歳「タンクトップ市議」「多様な個性を認めて」豊岡市議会

最年少26歳「タンクトップ市議」「多様な個性を認めて」豊岡市議会で初当選 高校生が選挙カーのアナウンスで応援

12/5(日) 【神戸新聞社】

兵庫県北端に位置し、東京23区の面積よりも広い市域に人口わずか8万人の兵庫県豊岡市。10月24日に投開票があった市議選の選挙期間中、市内では黄色の通学帽子をかぶった小学生たちが候補者のポスター掲示板の前にわらわらと集まっている光景が見られた。見上げる先にはあるのは、タンクトップ姿で上腕二頭筋を強調し、微笑をたたえた青年、荒木慎大郎さん(26)のポスターだ。保守色の濃い地域で異色の存在だったが、議員定数24のうち、上から7番目の1989票を獲得し、同市議会で初の20代、史上最年少で初当選を果たした。タッグを組んだのは選挙権を得たばかりの18歳の高校生。選挙カーのアナウンスを担当して支えた。珍しい2人組、一体何者?

市内約500カ所に設置された掲示板の最上段中央に貼られたポスター。顔よりも筋肉の面積の方が大きく、NHKの人気コーナーのフレーズ「筋肉は裏切らない」が思い浮かぶインパクトだ。太陽の光が降り注ぐ背景には、よく見るとなぜか小さなハトがたくさん飛び交っている。

「目を引きたくてマッチョなポスターにしましたが、筋肉は僕のほんの一面です」と、にかっと笑う荒木さん。タンクトップと短パン姿で街頭にも立ったが、「人にお願いする格好じゃない」と指摘されスーツ姿に切り替えた。

選挙前の同市議の平均年齢は65・4歳。荒木さんの倍以上だ。鍛え上げた筋肉を見せびらかしたいわけではなく、「都市部に比べて固定観念が根強い田舎だからこそ、多様な個性を認めてもらいたい。こんな姿でも選挙に参加できると若い人にも知ってほしかった」と思いを語る。

荒木さんは9歳のときに父親を亡くし、市内の母親の実家で暮らし始めた。野球のスポーツ推薦で市外の名門高校に入学するも、寮の同部屋の先輩から激しいいじめを受け、中退。地元に戻り、市内の通信制高校に編入した。大学では陸上部の円盤投げで全日本学生選手権に出場するなど好成績を収めた。

祖父が脳梗塞で倒れたことをきっかけに予防医療や健康増進に関心を抱くようになり、3年前に初心者や女性など誰でも気軽に運動できることをコンセプトにしたスポーツジムを市内にオープンさせた。

さらに、同世代の仲間とともにまちおこし団体も設立。同市では高校卒業後、大半が進学や就職で地元を離れる。「帰ってきたいと思えるようなまちにしたい」と思うともに、「若者は少数派で、声が届きにくいのではないか」と考えるようになったという。

選挙戦では「誰でも(選挙に)出やすくなるように」と低予算を心掛けた。広大な市域を巡るのは限界があるため、通常選挙カーの上部に設置する看板はやめて、市内全域に掲示されるポスターづくりに注力した。

ポスターの効果は大きく、興味を持った高校生らがインスタグラムを閲覧。活動中の様子をライブ配信すると、多いときには120人以上のアクセスがあった。リクエストのあった場所に駆け付けると、高校生が集団で待ってくれていることもあった。

選挙カーのアナウンスを担当したのは高校3年生の女子生徒(18)。荒木さんのジムに母親とともに通っている縁で、荒木さんと地元のまちづくりについて意見を交わすことも多く、トレーニング中に市議選に立候補することを聞いた。最初は「落ちたときに傷ついてほしくないし、『やめときんせえ』って止めました」という。

熱い思いを聞くうちに「友達として応援したい」と、放送部の経験を生かすことを考えた。ただ、自身が選挙活動に参加すること自体を悩んだという。「(荒木さんが)『高校生を利用している』とマイナスの印象を与えないか」「地盤の地元の(人たちの)許しがないといけないのでは」と迷惑をかけることを案じた。

「18歳選挙権」が導入されて以降、高校生にも投票を呼び掛ける動きは広まっているが、高校生が候補者の応援など選挙活動自体に携わることは珍しい。

学校に報告すると、過去にない例で心配されたが、学校からは「学外での個人の活動で、学校が制約することではない」との回答を受けた。学校構内での選挙活動は禁止されているため、注意をしながら、「友達が選挙に出るから応援する」と友人には説明。「周囲から変な子と思われたら嫌だな」という気持ちもあったが、選挙カーで通り過ぎた際に塾の窓から顔を出してくれたり、インスタライブを見てくれたりと、肯定的に受け取ってくれたという。

特にある日の出来事が特に印象的だったという。赤信号で選挙カーが止まった際、停車中はアナウンスしないことがマナーとの教えに従って黙っていたが、薄暗い中で目を凝らしてこちらを見ている制服姿の人影を発見。静かに「お待ちかねの荒木慎大郎がやって来ました」と発してみると、駆け寄ってきて、「待ってました、がんばってください」と言われた。親を連れて講演会に訪れてくれる子もいたという。

「学校で選挙の話はタブーな雰囲気だけど、荒木君のおかげで話しやすくなった」と振り返る。まだ選挙権を持っていない世代に選挙への関心を持ってもらうきっかけにもなったという。「今回は考えをよく知る人だから本人を応援したけど、(今後は)公約を見ていきたい」と話した。

地元の自治会代表の男性(66)は「ポスターは彼らしい気もした」というが、タンクトップ姿での街頭演説は面食らったという。

「地域では当初、『10年早い』『地域の会合にも出ていない』という声もあったが、若いからこそ30年後の地域を考えてくれるのでは」と、徐々に期待感に変わっていったという。荒木さんの投げた問いかけは、少しずつ地域の有権者を揺さぶっていった。

全国で20代の市議は69人(7月1日現在)で、全市議の0・4%にすぎない。 荒木さんは「若者の声を市政に反映し、議員の仕事がどういうものかも伝えていきたい」と抱負を語る。(石川 翠)

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全国の高3の生徒数は約100万人です。団塊世代の70歳は約200万人で18歳はその半分です。さらに総選挙の平均投票率は18歳は4割、70歳は6割ですから、実際の投票数では40万対120万で3倍の差があります。政治家にしてみれば政策に対する票数の見返りは1:3なのでどうしても高齢者向けの政策提案になるのは無理もないことです。そうした中で、18歳が選挙運動に参加していけば、18歳の投票行動は増え投票数の格差は減少していくとは思います。

20代の政治家がいても欧米では何も不思議ではありません。日本の地方議員は年寄りが多すぎるのです。地方議会の仕事が若者にできないような中身でもありません。年寄り向けの政策を言う代議士がいるなら構成比率は少なくても若者代表のような代議士も必要です。ただ、日本の地方政治は金まみれ利権まみれのところが、若者の参政を阻んでいます。今回の新潟の選挙区での裏金要求話も、そのやりとりの真偽は別としても比例復活を狙うならと数千万の金がかかると言うのはあながち嘘ではないような気がします。

現総理のお膝元、広島県の選挙買収事件では、県会議員から町村議員にいたるまで賄賂と知って受け取ったと公判で議員たちが証言しています。選挙で金が議員間を飛び交うのは当たり前という証拠です。議員歳費はその自治体の市民の平均年収とし、政治活動は市民が手弁当で運営するくらいのほうが、政治屋がなくなり透明性があって良いのかもしれません。

国の方向を提案する政党政治は必要ですが、地方議員は選挙のたびに支持政党がかわるくらいの無所属政治家で良いと思います。得票を巡って政治利権が生じ組織腐敗が続くのは、政党組織にいると不正や不公平を必要悪と考える様になり、告発がしにくいからだと思います。日本の未来を支える18歳を地方政治に巻き込むには政党や政治利権と無関係の若者政治家の登場が必要です。

負い目感じる母親「手が掛かる子を預けている」学校に声上げられず 姫路・特別支援学級の暴言・体罰

負い目感じる母親「手が掛かる子を預けている」学校に声上げられず 姫路・特別支援学級の暴言・体罰

12/4(土) 【神戸新聞NEXT】

兵庫県姫路市立城陽小学校で特別支援学級の担任をしていた元教諭の男性(39)が差別的な暴言や体罰を繰り返していた問題で、過去に元教諭が担任する学級に在籍していた男児の母親が3日までに神戸新聞社の取材に応じた。男児が元教諭から叱責(しっせき)されているのに気付きながら母親として声を上げられなかったといい、「安易に放置した管理職や、子どもの弱みにつけ込んだ元教諭を許すことはできない」と言葉を振り絞った。(井上 駿)

この問題が学校内で発覚してから間もなく半年となる。「息子は今は元気に通っているが、心の傷は本当に癒えたのか不安は消えない」と胸の内を明かす。

男児は集団行動が苦手で「クラスメートの邪魔をしてはいけない」と支援学級を選んだ。普通の子どもより大変だろうから、「学校に手が掛かる子を預けている」という負い目があったという。

元教諭が担任になってから、男児は「また怒られてん」と不満を漏らすようになった。本人は怒られた理由を理解できておらず、違和感が残った。息子からのSOSに気付きながら「我慢しようね」と慰めることしかできなかったという。元教諭の補助役で、暴言や体罰を管理職に告発した女性職員を慕っていたため、何とか通い続けたという。

理解できない理由で児童を叱り、親に説明もない。元教諭は支援学級には合っていないように感じたが、担任が代わることはなかった。「また怒られるから言わないで」と息子に頼まれ、学校側に苦情を言えなかったという。

女性職員は2018年度から少なくとも7回、学校側に実態を訴えたが、管理職は確認もせず、事実上放置したことに今でも納得できずにいる。

「なぜ学校はすぐに動いてくれなかったのか」「なぜ、他にも見聞きした教職員がいたのに訴えは届かなかったのか」

学校の説明会で何度も疑問をぶつけたが、現校長からは「口頭注意で直ると思っていた」という言葉しか返ってこなかった。

発覚後、個々の教員は児童のケアに一生懸命取り組んでいると感じる一方、管理職は責任を十分果たしていないように映り、わだかまりは消えない。

現在、市教育委員会が弁護士ら外部委員による検証委員会をつくり、原因や背景の調査、関係者へのヒアリングを進めている。母親は「学校現場の体質や歴代の管理職の責任まできちんと明らかにしてほしい」と願っている。

【姫路市立城陽小学校の特別支援学級での暴言・体罰問題】担任だった元教諭(39)が2018年以降、児童6人に「生きる価値がない」などの差別的な暴言や、体を押さえつけるなどの体罰を繰り返していたことが発覚。元教諭の授業をサポートする女性職員が管理職に少なくとも7回相談したが、管理職は市教育委員会に報告したり、確認したりせずに事実上放置。今年6月、女性職員が元教諭の問題行為を記録したメモを校長に提出したことで学校側が調査を始め、県教委が計34件を認定し懲戒免職とした。

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学校だからと言って暴言・体罰と言う軽い言葉を使わないでほしいです。懲戒免職になった職員は扱いの難しい児童だから児童虐待したのではないです。もともと、人権のことなど感じていない職員だったと思います。問題は管理職や自分は関係ないと頬かむりしている市教委だと思います。こうした、乱暴狼藉を働く職員は通常学級ではすぐに問題になります。それを、支援学級などに配置換えして、記事にもあるように「面倒を見てもらっている」という保護者の切ない気持ちに胡坐をかき何年も居座らせることにこそ問題があるのです。

虐待をする職員はあってはならないことですが、こうした職員の配置を考える管理職やそれを許している市教委の方がはるかに悪辣だと思います。しかも、秘密裏にではなく、職員が何度も校長に報告しているのに放置しているのですから、公然と児童虐待を管理職が認めているところに、この問題の根深さがあります。

今回の件で、管理職は減給だといいますが、暴行罪を隠蔽して犯罪をほう助したのですから同罪で懲戒免職でも誰もおかしいとは言わないでしょう。こうして一罰百戒で示しをつけ、人権意識の欠如した管理職を更迭して学校DVをなくすしかありません。「体罰」などと児童の側にも若干の問題があるかのような表現は控えるべきです。また、この教員は免職されて当たり前で、これで贖罪にはなりません。市教委はこの教員を暴行罪で刑事告訴をすべきです。

香港、「国安法」1年で5500人が学校を去る

香港、「国安法」1年で5500人が学校を去る

Posted December. 03, 2021 【東亜日報】

去る1年間で、香港で中学・高校を辞めた生徒と教師が5000人を超えたことが明らかになった。学校を辞めた生徒10人に6人は香港を離れると明らかにした。香港で反政府的な動きをした香港市民に最高で無期懲役刑を科す香港国家安全維持法(国安法)の施行などで、香港の社会環境が国安法施行の前と大きく変わった影響とみられている。

2日、香港メディア「HK01」などによると、香港の中学・高校の校長の会である香港中学校長会が1日に140の中学・高校を対象に調査した結果、2020~21学年度の1年間で生徒4460人と教師987人が学校を辞めたことが明らかになったと伝えた。1校当たり平均32人の生徒と7人の教師が辞めたことになる。1年前の調査で生徒2700人と教師498人が辞めたが、大幅に増加したのだ。

特に、学校を辞めた生徒の中で2643人(約59.2%)は香港を離れて外国に行くと明らかにした。中学校長会は、「学校を辞めて他国への移民を選択する教師も7倍以上増えた」とし、「この1年間の生徒と教師の離脱が非常に深刻な状況ということは明白な事実」と懸念を示した。

このような事態の理由として、国安法の施行で香港の全般的な社会環境が抑圧的になり、教育政策やカリキュラムも親中一色に変わり、生徒と教師が失望したためと分析されている。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために中国と香港間の往来が制限され、中国本土の生徒が香港の学校に通えないことも影響を及ぼしたとみられている。中学校長会は7月にも当局に、「多くの生徒と教師が海外に出ている」とし、対策を要請した。

金祺容 kky@donga.com
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香港は人口が750万人で、中国共産党の民主化運動の弾圧以降、昨年だけで9万人が香港を離れたと言う統計が8月にされました。香港当局は、留学やビジネスで離れているだけだと言いますが、もう香港政府はどっぷり中国共産党に支配されていますから真偽のほどはわかりません。人口の1.2%程度とは言え、日本の人口比で言えば京都市140万人が丸ごと移住していることになります。

そのうち、中高生5000人、教員1000人近くが香港から離れて行ったというのです。そして、その6割が英国をはじめ海外に移住したと言うから深刻です。乙訓の中学生全員が海外に移住したことになります。中国共産党は、そこまでしても冬季オリンピックの前に民主主義を破壊したかったのでしょう。

中華民族などと言う学術的にカテゴリーのない民族をでっちあげ、宗教と言葉と民主主義を取り上げて中国が世界の中心だと露骨な中華思想を周辺国だけでなく果てはアフリカ、中南米にまで押し付けます。それにしても香港を捨てる生徒の気持ちは如何程でしょう。家族の意向とは言え、自分の親族や友人とも離れる人生を送ることになります。子どもたちにそんな思いまでさせている中国政府の蛮行に国会決議一つできない我が国の議員達はどうなっているのかと思います。

部活動の地域移行…為末大さんが推す2つの理由

部活動の地域移行…為末大さんが推す2つの理由 指導員確保や保護者負担にも持論

2021年12月2日 【福井新聞】

部活動の未来をどう切り開けばよいのか。スポーツの社会的価値を探求している元陸上男子400メートル障害選手の為末大さん(43)にオンラインで聞いた。

-週末の部活動をスポーツクラブなどが担う地域移行が始まっている。
「2点の理由で賛成だ。一つは労働環境の側面。これまでの部活動は教員の長時間労働で成り立っていた。私がインターハイ(全国高校総合体育大会)で優勝した時、教わった先生には『ダイ』という私と同じ名前の子どもがいた。先生が3年間で費やした時間は、息子さんより私の方が長かっただろう。家庭を犠牲にする職業にさせてはいけない」

「2点目はスポーツ・文化活動の場を維持するためだ。少子化は大きな流れであり、学校単位で部活動を維持するのは無理がある。かといって部活動を廃止して全てを民間クラブにすると各家庭の経済格差がそのまま出てしまう。米国がそうだ。よって、週末移行分も含め週10時間ほどは行政が資金的にカバーする。それ以上は市場に投げて、希望者がお金を払って参加する2段階の仕組みを提案したい」

-国のガイドラインに基づき活動時間短縮が進められている。競技力が落ちないか。
「運動部は長時間練習が当たり前だった。しかし私の経験から言って週10時間ほどが発育の面でも競技力を高める上でも適切だ。早いうちから一つの競技に特化させるのも、セカンドキャリアなど将来を見据えると本当は良くない。2競技をするとか、スポーツと文化活動を両立するとか。学業も大事にしてほしい」

「練習が過熱する理由の一つに全国大会がある。欧州では全国大会を禁じ地区大会までとしている国がある。福井なら『北信越大会まで』のイメージだ。これらの国ではむしろ競技力が上がっている」

-地域移行に伴い、金銭的負担が増えることに違和感を覚える保護者もいる。
「教員の犠牲を減らすため認識を変えてもらうしかない。一方で、国として財源の創出も考えていくべきだ。最近の議論で可能性があるのはプロスポーツを対象にしたベッティング。試合の勝ち負けを賭けるギャンブルだ。欧州に続き、米国も解禁へ動いている。国が認める代わりに、収益の一部は次世代の育成に使う規定を設ける」

-人材や資金力に差があり、スムーズにクラブ移行できない地域、競技も出てくる。
「地域の力が試されている。これからはクラブの存在を理由に引っ越しする家庭が増えると予想する。ポイントは企業や行政職員の副業だ。地域のために働く日を提供できないか。ドイツの数万人都市で見た事例では、陸上クラブの先生が新聞記者だった。3日間は記者、2日間はコーチ。その間も企業から給料が出る。実質的なスポンサーだ。コーチだけど普段はJA職員です、消防士です、といったように、企業や行政も子どもの育成のために時間を融通し合う。部活動にやりがいを持つ教員もたくさんいるわけで、教員の副業も認めていく。福井県でそういうモデルができるといい」

「部活動改革は10年後、20年後の日本全体の選手強化にも響いてくる大きな話だ。従来の形に固執しては絶対に成立しない。前向きに、新しい方向をみんなで見いだしたいですね」

為末大(ためすえ・だい) 1978年広島市生まれ。法政大卒。現役中の異名は「走る哲学者」。陸上男子400メートル障害の日本記録保持者。2001年と05年の世界選手権で銅メダルを獲得し、五輪は00年シドニー大会から3大会連続で出場した。著書に「諦める力」「逃げる自由」など。

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為末さんの意見は明快で合理的です。生徒指導の一環として部活動は有効と言う意見が現場では根強いですが、それは一部の教師だけに言える事であり、どの教員にも共通するものではありません。部活動がないと生徒指導ができないという発想自身が貧困で、学習を通じて、ホームルームを通じて生徒指導は行うことが原則です。そうすると、教職員のあれこれの多忙さを原因にして生徒指導どころではないと言う意見が出てきますが、まずは、勤務時間のかなりの割合を割く部活動を校務から外さない限り時間的余裕など生まれるわけがありません。

また、練習は週10時間くらいが最も効果的だし、小さな時期は多様なことに取組むべきだと言うのもいちいち納得です。全国大会を政策的に廃止してはどうかと言うのも、優れた提案だと思います。長期休業中に家族旅行より優先される部活動、試合に明け暮れる運動部の姿は世界の中でも異常です。多感な思春期の時期にわざわざ家族から遠ざけるこの文化は家族の絆を弱めているとさえ言われます。全国大会がなければ、何とか協会だの役員会への忖度だのと言う、大人の事情のために子どもが振り回されることも少なくなるでしょう。

副業としてコーチができるように行政や企業に働き方改革を求めるというのもぶっ飛びの提案です。つまり、スポーツ指導が好きな大人もいるから、本業の勤務時間を減らして人材を生かし、その経済的負担を自治体や企業が持つと言う大胆な発想です。たぶんこれが、近未来の新しい働き方なのだと思います。一つの仕事に執着するもよし、複数の仕事をこなすのもよし、そういう社会になれば子どもたちも一つの所属に縛られるのではなく、自分で選んだ好きな場所で学んだりスポーツしたり遊んだりしてよいという価値観が育つのだと思います。

「ノーマーク」の子を見つけ支援に 箕面市、成果を報告

「ノーマーク」の子を見つけ支援に 箕面市、成果を報告

2021年11月30日【教育新聞】

こども庁データ子どもの貧困教育格差箕面市
教育・福祉など子ども関連のデータを教育委員会に一元化した大阪府箕面市の担当者が11月26日、こども庁の創設を目指す自民党議員有志の勉強会に登壇し、これまでの成果を報告した。集約した情報を定点観測することで、見守りや支援が必要であるにもかかわらず、学校で対象として認識されていなかった「ノーマーク」の子どもを発見し、支援につなげることができたと話した。

箕面市は2016年度、教委の子育て担当部門に新たに「子ども成長見守り室」を設置。市独自の調査も活用し、学力・体力、生活状況のほか、生活保護の受給状況、給食費の滞納状況などの多方面にわたるデータを収集・集約し、さらに時系列で変化を追跡できる「子ども成長見守りシステム」を構築した。

このシステムでは子どもの状況を「生活困窮判定」「学力判定」「非認知能力等判定」の3要素で判定した上で、さらにその3要素を掛け合わせ「子どもの状態の総合判定」を行い、重点的な支援が必要な順に「重点支援」「予防的措置」「見守り」に振り分けている。判定は定例で年2回行うほか、必要に応じて個別に行うこともあるという。

今回の勉強会に登壇した箕面市教委の松澤ひとみ氏によれば、18年後半に「重点支援」の対象と判定された児童生徒のリストを学校に提供して支援状況を確認したところ、そのうち25%が「見守りの対象ですらなかった」。学校では特に気になるところのない「おとなしい子」と認識されていた子どもが、システム上では、学力や一部の非認知能力の数値が乱高下する不安定な状態であることが示されたという。

また、不登校傾向など学校現場での「小さな気付き」に対し、子ども成長見守りシステムの客観的なデータを照合することで、必要な見守り・支援につなげることができたという。とりわけデータを継続的に収集していくことにより、学力が急激に悪化したなどの兆候を見逃さないようになったことを、成果として挙げた。

勉強会の参加者からは「子どもは本当に、調査に正しく答えているのか」という質問があった。松澤氏は「データから読み取れる特徴が、学校現場の認識と一致していて驚かれることがある。思ったよりも正直に答えてくれている印象だ」としつつも、「全て最も悪い選択肢に丸を付ける子どもも確かにいるが、それも一つのメッセージだと思っている。本当はSOSを出したいが、大人を信じていないのかもしれない」と応じた。

勉強会の共同事務局を務める自見英子参院議員は「あるべき姿から考えて(子ども成長見守りシステムの構築を)スタートさせている。国や他の市区町村の中で、どう取り入れていけるか考えたい」と話した。

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非認知能力(英語ではnon-cognitive skills)とは、IQや学力テスト、偏差値などのように点数や指標などで明確に認知できるものではないけど、子どもの将来や人生を豊かにする一連の能力のことです。やり抜く力、目標に向かって頑張る力、自制・自律性、自己肯定感、他者へ配慮、コミュニケーション能力、論理的な思考力などが該当します。

幼児教育で著名な東京大学名誉教授の汐見稔幸氏は、非認知能力を魚捕りで例え、罠をひたすら作り続ける集中力、罠を改善したり罠を仕掛けるポイントを考える直感力、魚が取れなくてもあきらめない忍耐力、失敗してもまあいいかと思える楽天性、友達と協力する力、間違ったことをしたら素直に謝ることができる正直さ、これらが非認知能力であると述べています。

こうした、数字で表すことのできない能力は座学では学べません。遊びや主体的な学びの中で「地頭」として身についていくものです。記事では、こうした能力に課題のある子どもは、学力や素行などでピックアップできないけれども、やがて顕在化していくので早い時期からマークしておくことが大事だという事です。

子ども庁など役所を増やしても、文科省や厚労省があるなら余計に動きが取れなくなるような気がします。結局、政治家のアピールのための施策のようにも感じますが、取りこぼし易い子どもをフォローするこのシステムは優れていると思いました。学力と素行に問題がない子を教師は可もなく不可もなくと見過ごしがちですが、実はしんどいと言えずに、または、しんどいことにも気が付かずに過ごしている子がいるのです。

杉咲花主演『恋です!』担当P、“障害を枷にしない”新しい恋愛ドラマに挑戦

杉咲花主演『恋です!』担当P、「障害を枷にしない」新しい恋愛ドラマに挑戦【インタビュー前編】

2021年11月30日 【中日新聞】

女優の杉咲花が主演する日本テレビ系ドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(毎週水曜 後10:00)。ORICONが発表する秋ドラマの満足度調査でも常に上位をキープ。杉咲演じる弱視の盲学生・ユキコとヤンキーでありながら一途にユキコを想う森生(杉野遥亮)の恋に“胸キュン”はもちろん、2人や取り巻く人々たちのほっこりあたたかな人間ドラマも毎週、反響を呼んでいる。このほど、森雅弘プロデューサーにインタビューを行い、“障害をラブストーリーの枷(かせ)にしない”という原作の軸を大切にした今作へのこだわりや、制作の裏側を語ってもらった。

今作はWEB連載での閲覧数累計が2000万PVを突破した人気漫画『ヤンキー君と白杖ガール』(うおやま/KADOKAWA)を実写化。まず、この作品ではユキコの“障害”を恋の障壁、枷として描いていない。2人が乗り越えていくことになるハードルのすべては、知らなかったこと、わかろうとしないこと、わかりたいけどわからないことから生まれ、それでも歩み寄って考えることが大切だと教えてくれているようでもある。

実写化の大きな理由について森氏は「なにより、原作の漫画がおもしろく、かつ、今の時代にピッタリだった」という。「王道のラブコメでありながら社会的マイノリティが主人公。社会的マイノリティの恋愛モノは昔からありますが、障害の持つネガティブな部分を切り取って、ハードルとして恋愛ストーリーのために使っていた。しかし、この原作はそれとは全く違っていたのが新鮮だった。二人が出会い、それぞれの「弱さ」があるからこそ、互いを認め合い、前向きにパワフルに生きている。それが凄く時代に合っていると感じました」とこの作品との出会いから手応えを感じていたそう。

だからこそ制作する上では、視覚障害について綿密な取材を行い、リアルを反映した。「実際に当事者の方と会って、話してみた感覚や彼らがなにを望んでいるかを大切にしたいと思いました。どんな人間でも枷はあるし、確かに(身体的な)障害だって枷ではある。ただ、話を展開する上でそれだけにフォーカスするのではなく、弱視として生きる主人公は“世の中との付き合い方”で健常者とは違う部分はありながらも、みな同じ人間ということを大事にしています」と矜持を明かしている。

■視覚障害がある3人の“視え方の違い”をリアルに再現
そして、実際に取材をして森氏が驚いたというのが「一口に“視覚障害”といっても、その人ごとに視え方が違う。例えば、ユキコは光と色がぼんやりわかる程度の弱視だが、同じく盲学校の同級生である空(田辺桃子)は視野が欠損するタイプの弱視、青野(細田佳央太)は生まれたときからの全盲とそれぞれに視え方が違う。3人はそれを見事に演じ分け、わかりやすく“視えない演技”ではないけれど、関係者の方からはすごくリアルだと言っていただいてます」と胸を張る。

具体的には「それぞれの視覚障害について、実際に視覚障害がある盲学校の先生にも指導していただきました。全盲の先生に細田くんが習い、杉咲さんと田辺さんは、弱視でも違う視え方をする先生御二方をそれぞれをモデルにしながら、それぞれの役の「視え方」を設定しました。現場でも、杉咲さんは自分の役の視界に合わせたメガネを作り、リハーサルではそれを付けて演技の確認をしています」と細やかな役作りが、それぞれのキャラクターに深みを与えている。

森氏も「最初は3人も不安だったと思うが、本当に見事に演じています。視覚障害のキャラクターを演じているということを忘れてしまう位、役への理解が進んでいると感じます」と感心している。

これから物語は第2章として、ユキコと森生の未来や夢へと話が進んでいく。そのなかで、どのようにキャラクターたちが動きをみせていくのか期待が高まるが、後編では、各キャストの起用理由について話を聞く。

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同じ障害名でもみんな違うというのはその通りだと思います。身体障害は車いすや装具の状態で見れば何が不自由なのかだいたいの予測はつきます。それでも、どの程度の身体感覚があるのかは本人でなければ分かりません。どう見えるのかはどう感じるのかと同じで本人にしか分からないのです。ドラマの中で、森生の元カノが白杖を持っていれば周囲の人から優しくされて不公平だと言ったことに、ユキコはそれだけで視覚障害の自分を理解されているとは思わないと反論します。

白杖は晴眼者には視覚障害者のシンボルではあるけども、視覚障害者にとっては移動のためのツールでありそれ以上でもそれ以下でもないのです。むしろ、世の中に溢れる視覚情報がどれほど視覚障害者に一人で理解できるようになっているのか考えれば、ほとんど皆無と言った方が正しいのでしょう。また、理解できるもの(聴覚情報化など)が極めて少ないと言っても視覚障害の状態によって違いがあります。

同じように、発達障害もASDやADHD、LDとありその程度や、ミックスの仕方も様々ですが、周囲の人から見ただけでは分かりません。そして、本人がカミングアウトしても障害を言い訳にしているなどとひどい言葉を投げかけられる人もいます。同じ障害でも人によって違います。支援の仕方も違うし、さまざなオーダーメイドの工夫が必要です。『恋です!』が問いかけているのは視覚障害のことだけでなく、社会が障害をどうとらえたら幸福な社会が作れるかということかもしれません。

目からウロコのドイツ流教育「小学4年の成績で人生の進路が決まる」

目からウロコのドイツ流教育「小学4年の成績で人生の進路が決まる」

11/25(木) 【NEWSポストセブン】

冬以降の感染「第6波」が懸念されている新型コロナ禍。昨年、記録的に少なかったインフルエンザの流行とともに、なおも警戒・注意が呼びかけられている。こうした新しい感染症の拡大は、大人だけでなく、子供の成長にも少なからず影響を与えている。昨年から今年にかけて、学校の臨時休校やオンライン授業への切り替えなどが相次ぎ、子供たちの中にも不安が広がった。親にとっても、学校より家で過ごすことが増えたことで、子供たちの勉強の進み具合や、やる気をなくすことを心配する声が多くあがっている。

しかし、コロナ禍も、それに伴う自粛や行動制限も、個人にはどうすることもできない。むしろ、この逆境や負担をマイナスと考えるのではなく、乗り越えるべきハードルだと考え、ポジティブに変えていったほうがいいのかもしれない。

その参考になるのがドイツでの教育システムだというのが、現地在住20年を超える留学コーディネーターのキューリング恵美子氏だ。キューリング氏は、近著『ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』の中で、「みんなが揃って進級する」日本とは正反対の、生徒一人ひとりの能力や志向によって学校や進路を変えるドイツの教育制度について解説している。

小学1年で留年もある! 「みんなちがって、みんないい」
キューリング氏によれば、ドイツの教育では、子供一人ひとりの発達状態や学習テンポを重視しているのだという。

「ドイツで小学校へ入学するには、『入学適正検査』を受けなければなりません。これは、小児科医が発育状態を見るもので、入学して『勉強する』環境に対応できるか、身体的・精神的側面の両方をチェックするのです。

もし、小学校へ行くのにはまだ早いと判断された場合、授業時間が短く少人数制の入学準備学校(クラス)を勧められます。この検査で入学が1年遅れたとしても、保護者の受け止め方は、決してネガティブではありません。むしろ、早く入学して授業についていけないよりは、準備が整ったタイミングで入学するほうが良いと考えます。そのため、小学校の入学時に年齢が上の生徒がいるのは珍しいことではありません」(キューリング氏、以下同)

入学した後も、無理をして進級させることはない。

「年2回出る成績表の結果により、小学1年生から留年があります。成績や子供の能力について先生と保護者が面談し、相談のうえで留年が決定します。しかし、留年もネガティブな意味合いではなく、授業についていけないのなら無理して進級するのではなく、その子に合ったペースで確実に学習させるための仕組みなのです」

まるで詩人・金子みすゞの「私と小鳥と鈴と」の名フレーズ「みんなちがって、みんないい」を地で行くような話だが、まさに一人ひとりが自分に合った学び方をすればいい──そんな考え方がドイツでは当たり前のようだ。

嫌がりながらする勉強は「逆効果」
さらにドイツの教育制度では、小学校の4年間を終えると、その最終成績によって進路が3つに分かれる。卒業後すぐに職業訓練を受けて働く場合と、職業専門学校などを経て事務職や専門職になるためのコース、そして大学進学を目指すコースになる。

つまり、10歳時点での成績で、人生の進路が決まってしまうのだという。
「そのため、親も子供も、無理せず現実を受け入れていきます。他人と競争する、他人と比較するのではなく、留年や転校を恥じることもなく、その子供に合った最適な道を見つけていけばいいという考え方です。

一般的にドイツ人は、特に小さなうちは成績が悪くても親は子供を責めず、いかにその子が納得して能力に合わせて学べるかを考えて支えます。子供にはそれぞれの長所や能力があり、嫌がりながらする勉強に意味はなく、むしろ逆効果になると考えています。

ちなみに、ドイツを代表する文豪のヘルマン・ヘッセは1回、トーマス・マンは2回留年をしているそうです」(キューリング氏)

ドイツでは10人中9人が「学校生活に満足」
他人と比較するあまり、子供に過度なプレッシャーをかけることになれば、かえって子供の「自己肯定感」を下げることにもなりかねない。「ほかの子は頑張っている」「平均より成績が悪い」などと周囲との比較や競争ばかり強調しすぎると、思うように成績が伸びなかった時、子供たちは深く傷つき、学校に行くのも嫌になってしまう可能性もある。

興味深い調査結果がある。内閣府の「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(2018年)によると、「あなたは、学校生活に満足していますか」の問いに「満足」「どちらかといえば満足」と答えた日本人は65.1%で、調査した7か国中で最下位だった。それに対して、ドイツは87.9%と調査国中で最も高かったという。

子供の能力に合わせた学習環境を整えて、能力以上の強制を課さないドイツの教育システムは、一見残酷に見えながら、「人生は成績がすべてではない」「あなたはあなたのままでいい」ことを幼いころから教えてくれるもののようだ。

むしろ、家庭で過ごす時間が増えた今こそ、親子のつながりを強めて、子供たちの「自己肯定感」を高めるチャンスかもしれない。親も、子供の成績に一喜一憂することなく、子供にとってベストの進路を考えるきっかけにすればいいのではないか。

【参考サイト・文献】
内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(平成30年度)」
『ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』(キューリング恵美子著・小学館新書)

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このドイツの教育システムは戦前の日本の複線型教育のモデルでもありました。戦前の日本は、初等教育を終えると、旧制中学校、高等女学校、実業学校と進路ごとに早期分岐する教育制度でした。戦後の単線型教育制度への改革は、性別や階層によってその後の進路が早期分断される制度の見直しとして、教育の「民主化」、つまりアメリカ流の機会均等がねらいでした。戦後も何度か、このドイツモデルが日本で注目されたことがありますが、教育の機会均等を掲げる憲法との整合性がないので複線型を復活させようと言う向きには動きませんでした。

ドイツの義務教育は、大学進学を目指すなら8年制(もしくは9年制)のギムナジウム、それ以外は職業訓練への道へ進みます。実科学校とよばれるレアルシューレは6年制で卒業後は全日制の職業学校へと進み、職業訓練を受けて公務員や技術者となります。手工業系の職人(美容師、板金工、パン屋など)を目指す場合は5年制のハウプトシューレとよばれる基幹学校へと進学、卒業して、職業学校入学資格を取得する必要があります

この、ギムナジウム・実技学校(レアルシューレ)・基幹学校(ハウプトシューレ)の三分岐型システムがドイツの教育制度の大きな特徴です。学校間での転学は、基幹学校からギムナジウムへの転学はほとんど例がなく、実科学校からギムナジウムへの編入を目指す生徒はいますが難易度も高いので、ほとんどが就職の道へと進むそうです。

今日ドイツでは、国内に増加する移民の子供たちの不十分な教育環境が学力格差を生み出し、ドイツ全体の学力低下が懸念されていたり、グローバル化に伴い、国際基準に合わせるため、ギムナジウムの修了年次を下げたりと試行錯誤の教育改革が行われています。また、教育制度で選別を強めると学力は子どもと親の責任となり、教え方や環境の問題となりにくいのです。今の日本も結局は経済格差が学力格差を形成しているのはドイツと変わらないですが、少なくともチャレンジの機会はあるし、教え方や環境支援によっては高学歴への道もあるわけです。

それでも、ドイツの子どもの自尊感情が高いのはうらやましい限りです。選別をしてでも人と比べなくてもいいと言う安心感を優先するのか、経済力による階級格差をなくす民主主義課題を達成するのかどちらかを選べと言うのは難しいと思います。ただ、この記事はドイツの教育制度のメリットだけを取材しており、デメリットについては触れていないので正確な情報とは言えないです。

 

「息子の人生変えてくれた」 クライミングで恩返し パラ選手の母、京都に施設計画

「息子の人生変えてくれた」 クライミングで恩返し パラ選手の母、京都に施設計画

2021/11/24【毎日新聞】

パラクライミング世界選手権で9月に金メダルを獲得した選手の母親、濱ノ上(はまのうえ)輝(てる)さん(60)=京都府京田辺市=が健常者だけでなく、障害者やその家族、子育て中の母親など“誰もが安心して集える”ユニバーサルなクライミング施設を計画している。進行性の目の難病を抱える息子を育て上げた濱ノ上さんは「還暦を迎えた今、育児に悩んだ経験を生かし、息子の人生を変えてくれたクライミングを通じ、社会に恩返しできたら」と話す。

濱ノ上さんの長男はパラクライミングの日本代表、濱ノ上文哉さん(31)。網膜色素変性症という進行性の難病で弱視のため、視覚障害者の視力などの程度に応じた分類上のB2クラスで競技をする。

病気が判明した中学1年生の頃は日常生活にさほど支障はなかったが、大学受験を控えたころに病状が悪化した。文哉さんは振り返る。「テストの文章問題が見えにくく、時間内に読み切れなかったり、自転車で運転していて溝に落ちたり、生活面に少しずつ不自由な変化がありました」

同じころから親子関係も悪化し、険悪な状態が続いたという。

濱ノ上さんが、役に立つのではないかと文哉さんに本を差し出せば、視力の低下で簡単には読めないと突き返された。親子の会話は減り、怒らせて物が飛んできたこともあった。濱ノ上さんは「病状を受け入れなければならない息子の不安の全ては理解できない。それでも、母親として何かサポートしたいと歯がゆい思いを何度もしました」と話す。

衝突を繰り返しながらも、文哉さんは大学を無事卒業し、就職が決まった。その半年後、東京転勤になった。親離れ、子離れした東京で、文哉さんは転機を迎える。視覚障害のある仲間に誘われて、2016年にクライミングに挑戦した。「障害に関係なくホールド(突起物)をつかんで登る競技で、障害者も健常者も関係のない雰囲気が、僕にはとても居心地がよかったですね」と文哉さん。ぐんぐん上達し、翌年には日本代表に選ばれた。以降は世界選手権に挑戦を続けて、今年9月に念願の金メダリストに輝いた。

そんな息子の成長に、濱ノ上さんは「子育ては終わった」と実感した。そして「何か社会に恩返しがしたい。それなら、息子が居場所を見つけたクライミングを通じて交流の場を作りたい」と考え、約3年前から計画を温めてきた。

自他ともに認めるバイタリティーあふれる濱ノ上さん。文哉さんの病気が見つかった40歳代の時に、医学的な知識を付けようと、看護専門学校を受験し、准看護師の資格を取った。現在も産婦人科のクリニックに勤務する。そのスキルを生かし、親子関係がすっかり改善された文哉さんにも協力してもらい、今回の計画を進める。

施設は、京田辺市に来年2月に開業予定だ。約85平方メートルの広さで、種目別に、高さ8メートルの「リード」用の壁2面と、高さ4メートルの「ボルダリング」用の壁3面を設置する。専門スタッフを配置し、「オートビレイ」という自動巻き上げ式の命綱を準備し、1人でも安全にクライミングを楽しめるようにする。

施設のバリアフリーにかかる費用の一部をクラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/view/495549)で募っている。

今月末までのクラウドファンディングで集めたお金は、多目的トイレなどバリアフリーにかかる費用やベビーシッタールームの整備に使う。子連れの母親らの利用を歓迎しており、准看護師の濱ノ上さんと、助産師の長女が世話をしたり、相談に乗ったりする。

濱ノ上さんは「障害のある当事者や家族、コロナ禍で不安が募っているお母さんたちなど、誰もが気軽にクライミングを楽しみ、ほっとできるような交流の場を作っていきたいです」と意気込んでいる。【生野由佳】

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クライミングで気分を晴らそうという一見奇抜な提案ですがそれくらいクライミングは誰にでも開かれたスポーツだと言う裏返しでもあります。ユニバーサルスポーツとしてクライミングを思いついた人は頭の柔軟な人なんだと思います。クライミングは自分の体一つで壁に向かい合うスポーツです。見えない人も、壁や岩の手掛かりの様子を晴眼者(ナビゲーター)と確認しながら、自分のペースで自分自身の目標に向かって高く登ることができます。障害者向けに特別にデザインされたものではなく、障害のある人もない人も同じルールで一緒に楽しめる面白さがあります。

クライミングに勝ち負けはありません。対戦相手や飛んでくるボールもありません。安全はロープや厚いマットにより確保されています。失敗を恐れずに思い切り体を動かせば良いのです。仲間と気持ち良く汗を流し、自分で答えを探し、自分の力で壁と対峙する自分だけのクライミングはユニバーサルスポーツ所以というより、自分の中で高見を目指すスポーツ本来の姿なのだと思います。

京田辺市に施設を作るとのことなので、完成すれば一度子どもたちと利用してもいいかなと思っています。ボール運動や集団遊びとはまた違った味のスポーツの楽しみ方が伝えられるかもしれません。

スクールロイヤー 法律で問題解決助けるアドバイザー

スクールロイヤー 法律で問題解決助けるアドバイザー

2021/11/24【産経WEST】吉田 智香

いじめ、虐待、不登校、校則違反-。学校現場は日々、さまざまな問題に直面している。教職員だけで解決するのが難しい場合は、「スクールロイヤー」と呼ばれる弁護士が相談に乗り、法的な視点から、事態の収拾に向けて具体的な対処法をアドバイスする。問題が深刻化するのを防ぐとともに、疲弊する学校現場の負担を軽減する。そのニーズは年々、高まっている。

「気になる生徒がいるんですが、ちょっといいですか」。2学期のある日の午後、東京都内の私立中高一貫校。非常勤の社会科教師でスクールロイヤーでもある神内聡(じんない・あきら)さん(43)に、男性教諭が声をかけた。神内さんが応じると、教諭は最近の生徒の様子や人間関係について説明し始めた。

弁護士資格を持ち、同校だけでなく複数の学校でスクールロイヤーを務める神内さんが期待されているのは、法律の専門家としてのアドバイスだ。例えばいじめであれば、学校や自治体の取り組みを示した「いじめ防止対策推進法」に基づく対応が前提。厳密に法を適用するだけでなく、個々のケースに応じた再発防止策も提示する。家庭で虐待を受けている可能性があれば、児童相談所の弁護士と連携し、家庭環境を整えるための法的な手続きをアドバイスする。

「子供だけでなく、先生にも『楽になった』『相談してよかった』と思ってもらえたとき、やりがいを感じる」。神内さんはそう話す。

本来ならいじめは、ないことが理想だろう。だが、「教師が生徒の人間関係を把握しようと努力しても、いじめを完全に防ぐのはきわめて難しい」と神内さん。だからこそスクールロイヤーには、起きてしまったいじめを適切に解決する手腕が求められるという。

そう思うようになった背景には、自身の苦い経験がある。以前は学級担任をしていた神内さんは、放課後などに積極的に生徒と雑談し、いつでも相談しやすい態勢を心がけていた。だが卒業後に生徒たちと会った際、「今だから話せるんですが」と、いじめに該当するような事実を告白された。気を配っていたつもりが、在学中はまったく気付けなかった。

神内さんによると、子供同士のトラブルは、誰が先に手を出したのか分からなかったり、複数の加害者の間に主従関係があったりと一筋縄ではいかないケースも多い。ときには被害者が「この加害者だけは許せない」と訴える場合もある。判断に迷って事態が長引けば、傷が深まることもある。そんなときこそ、スクールロイヤーの出番だ。

学校現場でのニーズは高まっている。文部科学省の平成31年3月の調査では、市町村教育委員会の76%が「法的な専門知識を有する者が必要」と回答した。

国は令和2年度から、都道府県と政令市の教育委員会が弁護士に相談する際の経費に普通交付税を活用できるようにし、弁護士の意見を聞くための金銭的なハードルを下げている。

弁護士相談 9割超メリット
国の動きに先立ち、独自にスクールロイヤーの制度を導入した自治体もある。平成25年度から取り組む大阪府は現在、11人の弁護士をスクールロイヤーに委嘱している。

学校は市町村教委を通じて相談を依頼。スクールロイヤーは法律事務所などで学校関係者と面談し、問題解決について助言する。年に数回、エリアごとの相談会も開かれている。

「子供の持ち物を壊した加害者を特定できない」「子供とトラブルになった相手の親の連絡先を教えるよう保護者に要求された」…。府教育庁小中学校課によると、令和2年度に小中学校から寄せられた相談は129件に上った。

このうちいじめが深刻化する恐れがあるなどの25件については、さまざまな専門職が集まって対応を協議するケース会議が開かれた。相談制度を活用した学校へのアンケートでは、9割超が「メリットを感じた」と回答したという。

保護者から学校に対する要求やクレームが増え、学校がしなければならないこと、そうではないことを法的根拠に基づいて整理することもスクールロイヤーの役割の一つだ。学校現場からは「法的な裏付けが得られたことで、自信を持って対応できた」との声が上がっているという。

トラブルの予測段階から支援
テレビドラマなどで広く存在が知られるようになったスクールロイヤー。各地で配置が進みつつあるが、厳密な定義はなく、さまざまな形がある。

教員免許を持ち、教諭を兼任する神内さんのような弁護士は全国的にもまれで、教育委員会や学校法人が各地域で適任と思われる弁護士をスクールロイヤーとして委嘱し、個々の相談に応じて法的な観点から助言するスタイルが主流だ。また、教育委員会が弁護士を職員として採用しているケースもある。

日本弁護士連合会は平成30年、文科相に「『スクールロイヤー』の整備を求める意見書」を提出。その中でスクールロイヤーを、「子どもの最善の利益を念頭に置きつつ、教育や福祉等の視点を取り入れながら、法的観点から継続的に学校に助言を行う弁護士」と位置づけ、トラブルが実際に発生していなくても、予測される段階から活用するよう求めている。

一方、文科省は令和2年12月に「教育行政に係る法務相談体制構築に向けた手引き」を公表。弁護士に依頼できる業務として、法的なアドバイスのほか、保護者との面談への同席などを挙げている。

公立中学校や教育委員会で生徒指導やいじめ問題に対応した経験のある鳴門教育大大学院の阪根健二特命教授(学校教育学)は、「いじめ問題などに苦慮している学校にとって、法律の見地から助言するスクールロイヤーは、頼りになる存在だ」と語る。

例えば校内で生徒が法に触れる問題を起こしたとしても、学校は普段の態度や性格、問題に至る背景を考慮し、生徒の将来に傷がつかないような「教育的な観点」から解決を図ることが多い。厳格な法律の適用は教育現場にはなじまないとされ、阪根さんは「かつては弁護士の力を借りようという発想がなかった」。

弁護士はむしろ、いじめや事故などの被害にあった子供や保護者の代理人として学校の責任を追及する立場に立つことが多く、学校と弁護士の関係は「決して良好ではなかった」という。

だが、学校側が対応を誤ることで被害者をよりいっそう傷つけ、訴訟問題に発展するケースも増えてきた。事態が深刻化する前に弁護士の意見を聞くことは「対応を考える上で役立つ」とみる。

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これまで子どもを預かる預けられる関係は善意で成り立っていました。それは学校だけでなく保育所や学童保育所、幼稚園なども同じです。ただ、行先を利用者が選べる民間はお互いの信頼関係等を理由にサービス先を変える事ができるので、事は学校ほど深刻化しません。また、法的に解決する課題があるなら早い段階でお互いに弁護士を代理人に任せることもできます。

ところが公的なサービスはこれが難しくなります。双方が善意と言う建前を崩さずに話をすると、仮にどちらかに落ち度があってもそれを隠して表面的に解決しようとするからです。実際に法的に課題のある学校の指導は存在するし、通常の苦情を通り越し法的に問われるべき保護者クレーマーも存在します。しかし、民間のように契約関係にない公立学校では、双方に信頼がなくてもこれからも付き合わなければならないというジレンマがあります。

そんな中では、困難な事例でなくても双方が引き下がるのを待つと言う、腹の中の読み合いの関係が続きます。置いてきぼりは子どもです。スクールロイヤーは学校専門家の一人として、学校の対応のあり方を法的な視点でバックアップしてくれるなら、無意味なやり取りを相当減らすことができます。お互い様志向という日本型対人行動は大事にしていきたいですが、慣習を重んじるばかりに子どもが等閑になるなら、法の下に平等という社会の仕組みを学校に持ち込むことを躊躇すべきではないと思います。

厳戒の修学旅行 接種有無聞けず、対策徹底

厳戒の修学旅行 接種有無聞けず、対策徹底

2021年11月22日 【中日新聞】

新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきたことを受け、度重なる延期を余儀なくされてきた修学旅行が再開されつつある。中学校では人混み回避で定番の「京都泊」を避ける学校が増えた。プライバシーへの配慮から、学校側は生徒のワクチン接種の有無を確認していないため、「全員接種済み」を前提としない感染対策で、「最後の思い出作り」に臨んでいる。 (久下聡美)

「車内では水分補給以外はマスクを外さず、ホテルでの食事も黙食を心掛けてください」。五月から四度の延期を経て二十~二十二日まで二泊三日で岐阜、石川、福井県を旅行している浜松市八幡中学校は、出発前の集会で生徒が注意点を確認した。実行委員長の三年山田菜摘さんは「春も夏も延期になり不安だった。やっと実現できる」と笑顔を見せた。

例年は京都・奈良を巡り歴史や伝統文化に触れてきたが、人流の多い大阪に近い京都は回避し、北陸方面に切り替えた。それでも二学期の始業式を前倒しして出発を予定した八月下旬には石川県に「まん延防止等重点措置」が発令中で、再々延期した九月は全国的な感染急拡大に重なった。三年主任の鈴木寿美江教諭は「感染状況が見通せず、県内と県外を並行して旅行先選びを進めた」と振り返る。

十二歳以上へのワクチン接種は進んだが、事情があって接種できない生徒への差別につながりかねないため、教員が生徒に接種の有無を問うことは控えている。大坪由典校長は「(修学旅行に参加する)三年生の何人が接種済みかは把握できない。検温とマスク、手洗いの徹底が基本」と語る。体温が三七・五度以上の生徒は参加を見合わせ、バスの乗車人数は定員の約半分に抑えた。

学校向けの旅行を担当する遠州鉄道旅行営業課の小澤嘉巳(よしみ)さん(57)は「行き先や行程、部屋割りを慎重に行い、陽性者が出た場合の対応も想定している。飲食や入浴の場面では、他の観光客など不特定多数との接触がないよう場所を貸し切るなど、安全を第一に考えた旅行を提供している」と話している。

◆陽性対応想定 近距離が顕著
コロナ禍では「修学旅行のマイクロツーリズム(近距離旅行)化」も顕著になった。JTBによると、二〇一八年度は関西、首都圏、沖縄が多かったが、二十一年度は、出発地と同じエリアを旅行先とする学校が増えている。陽性反応が出ても保護者が迎えに行きやすく、保健所を含めた緊急時の連携もスムーズという利点がある。浜松市内の中学校でも、修学旅行が再開され始めた十月、県内や岐阜など中部地方が目立った。

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学校は社会の同調圧力が最大圧でかかる所だと言う事です。本来の仕事以外にこうした周辺部分の仕事の煩雑さがブラックだと教員人気を落とす原因にもなると言います。昨日一昨日の観光地は観光客でごった返しています。しかし、10月に入ってから、観光客は増え続け感染者は減り続けています。テレビも感染者の話は一切取り上げなくなり、外国人入国もいつの間にか枠が広げられ、ピリピリしているのは学校と政治家だけと言うのが現実です。

つまり、世の中の人はもう感染は収まったので旅行はOKだと考えている方が大勢だという事です。名古屋工業大の開発したAIは、東京都の場合、年内は感染者が50人以下と減少傾向が続き、年末ごろから忘年会や帰省の影響などで感染者が増え始めますが、来年1月中旬のピークでも370人と予測します。感染対策を続けることが前提ですが、ワクチン接種の効果が大きく作用するとAIは計算するのかもしれません。今冬の第6波は東京だけでなく、全国的にも第5波の5分の1~10分の1に抑えられると言います。

様々な感染パターンを考えて旅行計画を立てている学校教員には頭が下がりますが、京都の街にもたくさん修学旅行生が戻ってきています。周囲の批判が気になるのは分かりますが、エビデンスもないクレームを恐れて自己規制するのは間違いですし、生徒への教育的影響も考えるべきかもしれません。また、ワクチンは結果として集団感染を減らす効果はありますが、自分の感染予防のために接種するものですから、接種したかしないかなど神経質に担任が気にする中身でないように思います。

のぞみがこども料金無料へ JR東海「家族で一緒に旅を」

のぞみがこども料金無料へ JR東海「家族で一緒に旅を」

2021年11月19日【FNNプライムオンライン

JR東海は、東海道新幹線「のぞみ」の12歳未満の子ども料金を、期間限定で実質無料にすると発表した。

実質無料となるのは、2021年11月24日から12月19日までの期間限定で、JR東海のエクスプレス会員で、大人と一緒にネット予約した場合のこども料金。

たとえば、東京 - 新大阪間の指定席を大人と予約した場合、子ども料金7,250円が乗車したあとに全額キャッシュバックとなる。

JR東海はコロナの需要回復とともに、のぞみが2022年3月に運行30周年を迎えるため、企画したという。

利用者「すごく助かりますね。子どもが2人もいるので、結構移動が大変なのでうれしいです」

利用者「子育て世代に対して、応援という意味でそういったサービスがあると、また行こうかなというきっかけになる」

コロナ禍で利用者が減っている鉄道各社だが、ほかにも、“お得”なサービスはこのようなものがある。

小田急電鉄は2022年の春から、ICカードを利用した小学生の子ども料金を全区間で一律50円にすると発表。
東急電鉄は60歳以上の人を対象に、11月の1カ月間、2,000円で乗り放題の乗車券を発売。1,000人限定の販売に対し、4,000人が応募したという。

石本沙織アナウンサー「小田急電鉄はこれをすることで2億5,000万円の減資にはなるんですが、それでもやはり『子育てしやすい沿線の実現を』ということでできたということです」

加藤綾子キャスター「小さい時からたくさん乗ってると、親しみを持ってもらえるっていうような良さもありそうですね」

石本アナウンサー「大人になってからも『やっぱりこの沿線で住みたいな』とかにつながりますよね。東急電鉄は沿線に高齢者が多く住んでいて、コロナも少し落ち着いたので『皆さんに外出してほしい』という思いで始めたそうです」

明治大学・齋藤孝教授「青春18きっぷとかありましたから、シルバーきっぷみたいなものもいいですね。鉄道会社って先を見てやるんですよね。沿線に街を作っていくっていうところまで見越して鉄道をつくったりするので、これも将来を見越しての案だと思いますね」

石本アナウンサー「ちょっと運賃を下げてでも、鉄道に乗ってそこでお金を落としてほしいという思いもあるかもしれませんよね。東急電鉄はこれから高齢者だけではなく、子育て世代などへのお得な提案もしていくということです」
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最近、車の移動が便利なのか子どもが電車に乗る経験が少なくなっているように感じます。確かに、遠出をするときなどは大人の半分とは言え結構な出費なるし、迷子や忘れ物を気遣うくらいなら車で出かけるほうがいいという選択も多いのかもしれません。特に新幹線は、子どもなら憧れの乗り物の一つではありますが、兄弟なら東京 - 新大阪間を往復すれば大枚3枚が飛んでいきます。

JR東海のエクスプレス会員で、大人と一緒にネット予約した場合とえらく条件がついているように読めますが会員になるのは無料です。登録もスマホで10分もあればできてしまいます。詳しくは「スマートEX」のHPを閲覧すれば分かりやすく案内されています。

小田急は全区間子ども50円と言うから太っ腹です。新宿から箱根湯本や江の島まで500円以上かかっていたのがほぼ1割で行けてしまうのです。往復4時間たっぷり電車の旅が楽しめて100円です。関西はまだこういうアナウンスは聞きませんが、阪急系列なら姫路あたりまで、近鉄なら伊勢や名古屋まで行けます。往復するだけなら子どもだけで電車旅をさせても高学年ならそう心配はいりません。ぜひとも関西でも鉄道会社は子どもたちに太っ腹を示してほしいものです。

大谷翔平、米大リーグMVPに イチロー以来、日本選手2人目

大谷翔平、米大リーグMVPに イチロー以来、日本選手2人目

2021年11月19日【毎日新聞】

米大リーグ最高の栄誉である今季の最優秀選手(MVP)が18日(日本時間19日)発表され、ア・リーグでは投打の「二刀流」で活躍したエンゼルスの大谷翔平(27)が初めて選ばれた。満票で選出された。日本選手としては2001年のイチロー(マリナーズ)以来20年ぶり2人目の快挙で、大谷は「すごくうれしい。支えてくれたみなさんに感謝したい」と喜びを語った。

満票で選出
MVPは新人王、投手のサイ・ヤング賞などと同様、全米野球記者協会所属の記者の投票で決まる。各球団の本拠地から2人ずつがプレーオフ前までに投票。15球団あるア・リーグは30人が投票した。大谷は、ともに最終候補に入った48本塁打で本塁打王のゲレロ、45本塁打のセミエン(いずれもブルージェイズ)の両強打者を抑えての受賞となった。

大谷は今季、投手として9勝2敗、防御率3・18、156奪三振、打者では打率2割5分7厘、46本塁打、100打点、26盗塁の好成績を残した。本塁打はリーグ3位、盗塁は同5位。選手間投票による両リーグの年間最優秀選手にも選ばれたほか、打撃のベストナインに相当するア・リーグのシルバースラッガー賞(指名打者部門)やコミッショナー特別表彰も受けている。

大谷は岩手県出身。岩手・花巻東高から13年にドラフト1位でプロ野球・日本ハムに入団。14年にプロ野球史上初の「2桁勝利、2桁本塁打」を達成し、16年には10勝、22本塁打で初めて投手、指名打者の両部門でベストナインを受賞した。18年にエンゼルス入りし、同年に4勝、22本塁打で新人王。193センチ、95キロ。右投げ左打ち。【ロサンゼルス福永方人】
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イチローや松井秀もなし得なかった、大谷の快挙とは…MVPの今季「受賞」一挙紹介

11/19(金) 【読売新聞】

米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(27)が18日(日本時間19日)、アメリカン・リーグの最優秀選手(MVP)に選ばれた。日本人では2001年のイチロー(マリナーズ)以来2人目の快挙だ。異例の投打「二刀流」で大リーグを席巻したことが高く評価された。本塁打王を2本差で逃すなど、主要タイトル獲得はならなかったが、シーズンオフは一転、受賞ラッシュに。今季の大谷の様々な「受賞歴」を紹介する。(読売新聞オンライン)

この日のMVPは、全米野球記者協会の代表者30人の投票で決まるもので、単に「MVP」と言えばこの賞のことを言う。大谷はこの日までに、これ以外にもMVP級の賞を数多く受賞していた。

10月26日には、コミッショナー特別表彰を受けた。これは毎年、誰かが表彰されるものではなく、それにふさわしい選手がいなければ選出されない。実際、創設24年目で大谷は16例目だった。日本人は05年のイチロー(マリナーズ)に次ぐ2人目。ロブ・マンフレッド・コミッショナーは「大谷が成し遂げた歴史的な業績をたたえる必要があると感じた」と述べた。

また、選手間投票と、米国の二つの野球専門誌で、両リーグを通じた「年間最優秀選手」に選ばれた。選手間投票では、ア・リーグの最優秀野手の栄誉も受けた。ポジション別の最強打者を選ぶ「シルバースラッガー賞」もア・リーグ指名打者部門で受賞。チームのMVPと最優秀投手にも選ばれた。

月間MVP(ア・リーグ野手部門)は6、7月に連続で選ばれた。日本人が月間MVPを2度受賞するのは、野茂英雄、伊良部秀輝に次ぐ3人目だが、連続受賞も、野手で2度以上選出されるのも初めてだった。イチローや松井秀喜でも2度の受賞はなかったということだ。

さらに、6~7月にはリーグ週間MVPにも2度選ばれた。オールスターには、指名打者(DH)部門で、ダントツの支持を集めファン投票で選出。選手間投票で投手としても選ばれる前代未聞の快挙となった。

歴史的な活躍は、野球界以外からも、高く評価された。
米タイム誌は9月、大谷を「世界で最も影響力がある100人」の1人に選出した。投手をしながらのシーズン40本塁打、20盗塁以上の活躍を「ベーブ・ルースでさえなしえなかった」とし、ファンやメディアに対する紳士的な対応も評価した。

また、スポーツや音楽の分野で活躍する人を支援する「服部真二文化・スポーツ財団」は、世界に挑戦する若者を表彰する「服部真二賞」に大谷らを選出。財団理事長を務めるセイコーホールディングスの服部真二会長は「誰からも愛される野球人としての素晴らしさを感じる」とたたえた。

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前回、オールスターでの二刀流実現でも大谷選手を掲載しました(大谷、球宴での二刀流が決定: 07/06)。前回も書きましたが、大谷選手の魅力は、球界の誰もが支持しない二刀流を貫いて渡米したことです。もしも、これが日本の球団のままだったらどうだろうとも思います。何でもやってみよう。やってみなけりゃ分からない。という大谷選手の振舞から、ファンはアメリカンドリームを感じたに違いありません。

大谷選手を見ていて思うのは、二刀流を貫くという硬い意志を感じるよりも、怪我をして手術をしてもオールスター後にホームラン競争から離脱してしまっても、何とかなるさという柔らかに立ち直る復元する弾力性を強く感じます。肩ひじを張らずにとはまさに大谷選手の事を言っているようです。

心理学の世界ではこれを「レジリエンス」と呼び、例えば、戦火のような最悪な環境に育っても力強く育つ子どもの一群があり、この研究から今日の精神医学や教育に活かせるものはないかという事が注目されています。逞しいと柔らかいは別の質を表す言葉ですが実は復元力と言う点ではどちらも必要な要素なのだと思います。柔らかなアメリカンドリーマーがどこまで行くのか楽しみです。

AI❎アダプティブラーニング「すらら」、放課後等デイサービスでの導入が200事業所を突破

AI❎アダプティブラーニング「すらら」、放課後等デイサービスでの導入が200事業所を突破

2021年11月18日【ICT教育ニュース】

すららネットは17日、同社のAI❎アダプティブラーニング「すらら」を導入する放課後等デイサービスが200施設を突破したと発表した。

放課後等デイサービスは、学校に通学中の障がい児に対し、生活能力向上のための訓練や社会との交流促進などを行い、放課後の居場所づくりを推進するためのサービスで、2012年に児童福祉法改正により制度化された。

近年、将来の就職を見据えた就労準備型の同デイサービスが増えており、就労準備には学習支援が不可欠と考える同デイサービス経営者が増えてきていることから、「すらら」の導入が進んでいるという。

また、複数事業所を運営する法人が複数拠点で「すらら」を導入する事例が増えていることも導入校増加の要因になっており、同デイサービスでの導入は約1年半で2倍に増え、11月10日に200施設を突破した。

「すらら」を導入している同デイサービスのスタッフは、学習支援の面では未経験ながらも、子どもたち一人ひとりに寄り添い、多方面から支援を実施。

その結果、子どもたちの学習や意欲に効果が現れ、時間を忘れて集中して学習する児童・生徒の姿が見られるようになった。

未就学児童が2桁の繰り上がりのある足し算まで学習を進め、学習面の不安なく小学校に進学する例や、意思表示はできるものの発話がほぼない中学生が黙々と「すらら」学習を行って成績向上させたといったケースも数多く出ているという。

「すらら」小学校低学年版は、子どもの発達科学研究所の監修のもと、一般の児童はもちろん、学習障がいなどの発達の課題を持つ児童でも取り組みやすく、学力を伸ばしやすいよう、カリキュラム構成や画面の見やすさ、説明の理解しやすさを考慮して制作されている。

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前回の(放課後デイサービスは2類型へ厚労省方針:10/26)でも掲載したように、こうした学習支援をただの「学習塾のような」事業所とみて放デイ認可はしないのか、2類型の一つ「特定プログラム特化型」事業所とみるか境界線は曖昧です。学習支援の面では未経験な職員がICT学習ソフトを用いているのなら特化型とは言えないので、認可を得たいならもう一つの類型である総合支援型事業所の特色の一つとするのだろうと思います。

しかし、放課後のわずか2時間ほどの間に学習ソフトでの支援時間が占める割合がどれくらいになれば「学習塾のような」事業所とみなされるのかは不明です。それでも、下手な学習塾より、学習障害支援も念頭に置いたこの学習ソフトを用いたほうが、はるかに合理的に学習ができる子どもが多いだろうというのは想像に難くないです。ただ、発達性読み書き障害の場合、このソフトがどの程度障害に合わせたカスタマイズができるのかは明示されていません。

今日のICT学習ソフトはインターネットにつながれて、膨大なビッグデーターから学習内容や到達の傾向を類型化して個に応じて支援することが可能となっています。人の手が入らなくてもAIを用いてカスタマイズが可能となってきているのです。そういう意味では、一昔前の、PC学習機とは質的に全く違う学習機器に進化する可能性があります。教育界でもデジタルインフラは海外資本に占有されていますが、学習ソフトくらいはわが国独自のAI学習ソフトが開発され普及することに期待が集まっています。

残念なことにこうしたAIソフトが、様々な力量の人が教えるより有効な場合が多いということが現場では知られていません。学力の低い子どもにはいつも人がついて学習を支援をしてもらっている姿があります。しかし、そのままではいつまで経っても自分で学習に向かうという体制にはなりません。自学自習の経験を積み上げるためにも、良質の学習ソフトが支援現場で利用される機会が増えれば良いと思います。

加賀まりこ「自閉症の息子と向き合うパートナーを見続けて・・・〈生まれてきてくれてありがとう〉」

加賀まりこ「自閉症の息子と向き合うパートナーを見続けて。だから言いたい〈生まれてきてくれてありがとう〉」

11/16(火)【婦人公論】

現在発売中の『婦人公論』11月24日号の表紙は女優の加賀まりこさんです。11月より公開の映画『梅切らぬバカ』で自閉症の息子を持つ占い師・珠子を演じている加賀さん。自身のパートナーの息子も自閉症であることから、どうしても入れたかった台詞があるそうで――。発売中の『婦人公論』から記事を掲載します。
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◆パートナーの息子がもってきてくれた役
私はテキパキして口調が強いけど悪気はないとか、しっかり者の役が多かったけど、今回の映画『梅切らぬバカ』は自閉症の息子をもつ地味な占い師。夫がいなくなってから二人で生活していて。隣の家族や地域との関わりを通じて、息子の自立を模索していくのね。

偶然なんだけど、パートナーの息子が自閉症なの。監督(和島香太郎)に45歳になるそういう子どもがいるって話したらびっくりしてた。私たち夫婦のことをまったく知らないからね。

あの子がこの役をもってきてくれたのかな。塚地武雅さん演じる息子の忠さんのような感じだもん。いつもあらぬほうを見てるのよ。視線を合わせないの。でも目はすごく綺麗。澄んだ瞳で、純真で。その子がいたから映画で塚地さんと自然に親子になれたのね。

パートナーと最初に会ったのは、三浦友和さんと共演した1980年のテレビドラマ『しあわせ戦争』。

86年の『男女7人夏物語』では、私が明石家さんまさんの義理の姉役で、関西弁の台詞を猛特訓したの。その時のディレクターだった。

◆監督に「入れてね」って言って
98年の『ハムレット』の公演中に彼と一緒に仕事する話があって、舞台を観にきたの。私が55歳の時ね。「あ、コイツ、いい顔になったなー」って思った。それから「つき合って」って言うんだけど、なかなか「うん」と言ってくれない。

でも彼をノックし続けたの。息子さんのことも、若くして離婚したのも知ってたからね。お母様が年取って弱ってきて、孫の面倒みきれなくなったし、彼の仕事は忙しいし。預けたいと探してたら見つかったの、いい学園が。それが5年後ね、私が60歳。彼、54歳。で、やっと「いいよ」って。(笑)

その学園には両親を亡くした60歳の人も元気に過ごしてる。それを見ると安心よね。救い。どうしたって親は先に逝くからね。忠さんを施設に入れるって決めた時も将来が不安だからだし。

パートナーは障害がある息子と向き合って変わったから、人間としての成長の糧になってるのよ。「息子に感謝ね」っていつも言ってる。あの子のためにと思い、あの子の力になりたくて頑張ったことがいっぱいあるのよね。忍耐強いし、優しい。

私はそれを見てるから、『梅切らぬバカ』で、忠さんに、「生まれてきてくれてありがとう」っていう台詞を言いたかったの、どうしても。監督に台本の段階で、「入れてね」って言って。

この映画を観て、障害がある人たちに優しい眼差しを向けてくれると、やった甲斐があるなぁ。忠さんは作業場でお菓子の箱作ってる。ああいうふうに仕事しながら生きていってほしいよね。

(構成=小西恵美子、撮影=鍋島徳恭)
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京都での上映館はTジョイ京都1館だけですが、月曜でも8割の入りでこの手の映画では良く入っていると思います。主役が加賀まりこ、塚地武雅。脇を固めるのが渡辺いっけい、森口瑤子、徳井 優、高島礼子のベテラン陣ですから安心して観られるというのも観客を動員するのか知れません。

桜切るバカ梅切らぬバカからとったタイトルですが、桜は切ったら木が弱るから切らぬ方が良く、梅は枝を落とせば良い実がなるというのが「常識」だが、邪魔でも梅の枝は切らぬというのが映画のテーマです。グループホームに入れた息子が地域に迷惑をかけ、反対運動につながっていく中で、住民が「私たちはただ普通の暮らしがしたいだけです」と拡声器で訴える声に「普通って何だろう」という疑問が湧いてきます。

障害者を良く知らない人は、障害者は怖い、障害者は自分の近くにはいない方がいいと思い、身近に知った人は、別に近くにいてもいいと思い始める両者のコントラストを映画は描きます。福祉法人の人がいつも申し訳なさそうに住民に詫びているのが辛いのと、塚地さんのASD役が上手すぎて個人的には鼻につくという向きはありますが、どこの街でも起こりうるグループホームをめぐる軋轢ですから是非ご覧になって、「普通」を考えるきっかけになればと思います。

妊娠、相談しやすい環境必要 知的障害者への支援提言

妊娠、相談しやすい環境必要 知的障害者への支援提言

2021年11月16日 【朝日新聞】

約2年前に佐賀県武雄市で起きたトイレのタンク内に出産直後の女児の遺体が放置され、知的障害のある母親(当時23)が逮捕された事件を受け、県が設置した検証会議の報告書がまとまった。妊娠を自覚しながらも周囲に相談できないまま命が失われた事件を検証し、障害者への支援や性教育の必要性を提言した。

報告によると、母親は2019年12月に武雄市の自宅トイレのタンクに女児を産み落とし、死亡させた。約1カ月後、トイレのくみとり業者が遺体を見つけ、事件が発覚した。20年、死体遺棄の罪に問われた母親に対し、佐賀地裁で懲役1年2カ月執行猶予3年の判決が言い渡された。

県はこれを虐待事案に認定し、大学教授や弁護士、医師など6人で構成される検証会議を設置した。当事者やその家族、保健所や特別支援学校などに聞き取りを重ね、20年11月~21年9月に6回にわたり会議を開いて報告書をまとめた。

報告書によると、母親は通った特別支援学校の同級生の男性と卒業後に交際。事件の4カ月前に検査薬で妊娠を確認して男性にも伝えたが、互いに誰にも伝えなかった。母親と父親となった男性には軽度の知的障害があったという。

報告では、①知的障害者に対する性教育と支援のあり方②知的障害者とその家族に対する支援の問題点、を挙げている。

①では、特別支援学校では妊娠したら病院を受診し、身近な人に相談するように教えられていた。だが今回、母親は妊娠が体に与える影響や赤ちゃんを育てることを理解できておらず、たとえ性教育を受けても日常生活で行動に移すのは難しい場合があると指摘している。

②では、複数の関係機関が母親の妊娠に気づけなかったことを指摘し、障害者の障害の度合いが中程度なら福祉サービスが充実している一方で、軽度の場合は本人からの相談が無いと手厚い支援をする機会が少ないとしている。

例えば、障害が軽度だったこの母親の場合、特別支援学校卒業後、国と県が業務を委託する障害者就業・生活支援センターが中心となって支援することになっていた。だが、あくまでも就業に関する支援が主で、本人からの相談が無いためプライベートな問題にまで踏み込んで支援して妊娠を把握することができなかったとした。

また、母親と同居する姉と弟の一人も母親より重い知的障害を抱えており、「比較的障害が軽度な母親に(対し母親の)両親が関わる機会が少なく、母親は両親と気軽に相談などができる関係性が築けていなかった」としている。

こうした事情を指摘したうえで報告書は、特別支援学校の卒業時に相談先をまとめた冊子を配ったり、妊婦らを支援したりする「子ども家庭総合支援拠点」を全市町に設置するように働きかけていくことなどを提言。相談しやすい環境づくりの必要性を訴えている。

報告書を受けとった県の担当者は「事案は母親が父親以外の誰にも相談できず、周りも誰も気づかないなかで起きた。相談しやすい環境や、周囲が気づいて支援に結びつく態勢の整備に努めたい」と述べた。(松岡大将)

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学校での性教育は時間通りにスライドを見せて一方的に説明してしまえば終わりというものが少なくありません。家庭や地域の生活感が薄れ、出産・子育て、介護や看取りは日常の事なのに子どもの目からはどんどん遠ざかります。今回の事件は知的障害があるからというより、カプセル化した家族や人との関係性の希薄さが原因で、そういう意味では最近の児童虐待の原因と同じように思えてなりません。

障害者や青年が相談しやすい環境といっても、私が相談員だから話してみなさいという人が何人いても話す気にはなりません。支援は小さな時期から何度も享受して上手くいった体験があるから関係性があるから受けようという気になるもので、いきなり深刻な内容を相談するには障害がなくてもハードルが高すぎます。まずは、身近な細かな困り事で何度も支援を受け相談して良かったという経験が大事です。

高等部の軽度知的障害と言われる生徒の場合、中学までは一応自立して生活やコミュニケーションができていた人も少なくありません。通所支援も受けたことのない人もいます。進路先の支援学校は高等学校よりははるかに仕事や暮らしのことについて教えてはくれますが、実生活のことまでは対応ができません。また、卒業してアフターケアーが業務として行われるわけでもなく、仲間も相談相手にはなりにくい場合が多いです。

子どもの頃から、支援を受けながら大人になっても相談できるようには現在のサービスシステムは設計されていません。生活を支える時には子どもの時に支援してもらって上手くいった経験がものを言うのではないかと思います。人生の伴走者としての支援サービスのシステム設計が必要なのだと思います。

特別支援学校のICT環境整備を共生社会モデルに 文科省会議

「特別支援学校の環境整備を共生社会モデルに」 文科省会議

2021年11月11日【教育新聞】

教育格差特別支援教育
特別支援教育の新たな学びに対応した学校施設の在り方を検討する、文科省の有識者会議の第2回会合が11月11日、オンラインで開かれ、ICT活用を見据えた学校施設の整備をテーマに、中野泰志臨時委員(慶應義塾大学経済学部教授)が報告した。中野臨時委員は、特別支援教育でのICT活用は困難さを軽減するためにいち早く進められてきた経緯に触れながら、視覚障害や聴覚障害など多様な障害を包括できるインフラ整備が教室内外で必要だと指摘。「特別支援学校の環境整備は共生社会のモデルとなるように進めるべきだ。一般社会をけん引する特別支援学校を目指してほしい」と提言した。

オンラインで行われた特別支援教育の施設の在り方を検討する会議
新たに設置された「特別支援教育の在り方を踏まえた学校施設部会」(部会長・上野淳東京都立大学名誉教授)では、▽特別支援学級と通常の学級の子供が共に学ぶ活動への対応▽ICT利活用による特別支援教育の質の向上▽医療的ケアが必要な児童生徒への対応――などについて議論を進めている。

国立特別支援教育総合研究所で主任研究官などを務めた中野臨時委員は、視覚障害や聴覚障害などのある児童生徒にとって、AI活用のナビゲーションシステムなどを搭載したICT機器は欠かせない重要なツールになっているとして、教室だけでなく学校のどこでもスマホでネット接続できる環境が必要だと指摘。こうした障害種別に応じて必要な機材が活用できる「情報保障」として、高速ネットワークや電源に加え、遮光カーテンや静かな環境への配慮も求められると強調した。

さらに非常時に聴覚障害者に文字で知らせるデジタルサイネージや、主体的な学びのためには寄宿舎などでも学習できるネット接続環境なども必要になると説明。「多様な障害を包括できる環境整備を進めて特別支援学校を共生社会のモデルとし、一般社会をけん引する形を目指してほしい」と提言した。

 これに対する質疑では、委員から「小中学校の1人1台端末は進んでいるが、障害のある子供に同じタブレット端末が配られがちで、配慮についてどう考えるべきか」「ICT環境整備について、普通学校での展開と特別支援学校の展開についてどう考えるか」といった質問が出された。

中野臨時委員は「障害の特性に応じた端末が配られているかというと、必ずしもそうなっていない。通常学級に在籍する子供も授業場面で使えるような個別の合理的配慮は不可欠だと思う。また、ICT環境整備については、理念として特別支援学校が模範になるべきで、まず重点的に整備して地域の学校に広げる形が望ましいと思う」と答えた。

同部会では、来月にかけて先進的な施設を視察した上で議論を重ね、今年度中に報告書を取りまとめて、同省の学校施設整備指針の改訂に反映させる。

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中央官庁で話されている事と、地方の現場では意識の格差を大きく感じてしまいます。高等部の生徒には10年以上前から、就学奨励費として親の代理で学校が申し込めば誰でもタブレット端末が購入できるようになっていましたが、それでも学校のWiFi環境が悪くてわざわざ無線ルーターを教室までに持って行って接続するような事が続きました。それでも、小中学生には配布されず、少ない学校予算の中からタブレットや周辺機器を購入していました。

今でも、学校中がWiFi環境にある所は数えるほどだと思います。それなのに、個々の障害にカスタマイズされたICT機器だのAI活用のナビゲーションシステムだの防災に役立てるデジタルサイネージ(電子看板)だのを学校環境に用意してはどうかという提案が現場とはあまりに違ってぶっ飛んでいて驚きました。そもそも、個性や障害に応じてカスタマイズするにもその知識を持つ人が配置されていません。

現場とかけ離れたあまりにも能天気な話とは思いましたが、障害のある人の学校にこそICTが縦横無尽に活かされることは賛成です。全ての子どもが端末を携帯し個性に応じてスケジュールやコミュニケーションデバイスとして使えるならどんなに素敵だろうと思います。ただし、教員の「便利遣い」ではさすがにカスタマイズやオーダーメイドの道は開けません。テクノロージーの普及と開発にはその道のプロフェッショナルが各校に複数は必要です。

15歳少女「エスカレーター右側しか乗れない」苦悩

15歳少女「エスカレーター右側しか乗れない」苦悩
「どいて」「なんで右に立ってんだよ」と言う人も

2021/11/10 【AERA dot.】

埼玉県で、10月1日に全国初となるエスカレーターに立ち止まって乗ることを求める条例が施行され、ひと月が経った。条例には賛否両論があったが、世の中には身体に障害を抱え、エスカレーターの片側にしか立って乗れない人もいる。その当事者である15歳の少女の現実と、両親の願いとは。

横浜市に住む高校一年生の林姫良(はやし・きら)さん(15)。生まれてすぐに脳に異常が見つかり、生後6カ月で頭部を手術した。左半身に麻痺があり上手に動かせず、歩く際はバランスを取りながら足を運ぶ。握力も、左手はとても弱い。

本来、2人乗りのエスカレーターは2列に立って、手すりを持って乗るという前提で設計されている。異常で緊急停止した際の転倒を防ぐためだ。だが、日本や世界各国では急いで歩きたい人のために片側空けの習慣が根付いており、過去には鉄道会社やメディアが乗り方のマナーとして推奨していた時期もあった。2000年以降はメーカーや業界団体などが立って乗るよう呼び掛けるようになったが、片側空けをマナーのようにとらえている人は今も多い。

身体を守るのも簡単ではない
姫良さんの住む横浜市を含め、関東は左側に立ち、右側を歩く人のために開けるのが一般的になっている。だが、姫良さんは左手でしっかり手すりをつかめない。

「もし姫良が左側に立っていて、エスカレーターが異常などで緊急停止したら、間違いなく転倒してしまいます」
父の正和さん(52)と母の太佳子さん(54)は、そう口を揃える。歩いて追い抜く人にぶつかられたら、転倒してしまう可能性もあるという。さらに転んだ時に手をついて身体を守る、ということも姫良さんには簡単ではない。

姫良さんは、「右側にしか乗れない」のだ。
脳の病気のためうまく思いを表現できないことがある姫良さんだが、エスカレーターに右側空けの慣習があることは理解している。

実際、小さいころから右側に立っていて、後ろから舌打ちされたことはしょっちゅうあったという。時には「どいて」と怒られたり、「なんで右に立ってんだよ」と言い捨てて去っていったりする人もいた。

誰が姫良さんを注意するか、後ろにいたグループがひそひそ話していたこともあった。本来の乗り方からすれば、右側に立つことは正しく、姫良さんが怒られる筋合いは何もないのだが、現実はそうではない。

エスカレーターに乗る際はいつも、親が左側、姫良さんが右側に並んで立つようにしている。後方から来た人に、事情を説明することもあるためだ。だが、姫良さんが小学校低学年くらいの頃、突然、左側の太佳子さんの一段下に移ったことがあった。

「小さいなりに、怖いと感じたんだと思います。大人だって右側に立つのは勇気がいることで、今でも後方から足音が聞こえると、怒られはしないかと私自身も怖く感じますし、長いエスカレーターだと不安がより大きくなります。姫良は今も人が多い時や、後ろから歩いてくる人の気配を感じると、遠慮して左側に移ろうとしてしまうんです」

と太佳子さん。人が多いときはしばらく乗るのを避け、タイミングを見計らって空いてから乗るようにしているという。

ヘルプマークを着けてはいるものの、効果はてきめんとは言えない。
「姫良は、ぱっと見では障害があるとはわからないので、右側に立っている事情が何かあるんじゃないかとはなかなか想像してもらえないんだと思います」(太佳子さん)

立ち止まって乗る文化の定着願う
埼玉県の条例が各地に広がって、エスカレーターに立ち止まって乗る文化が定着してほしいと願う両親だが、一筋縄ではいかない現実も理解している。取材中、正和さんと太佳子さんは「すぐには無理だと思う」「難しいですよね」という言葉を何度も口にし、考え込んだ。

苦悩は尽きないが、それでも両親の思いは切実だ。
姫良さんは赤ちゃんの時に、ハイハイした経験がない。左半身が麻痺していたため、できなかったのだ。物心もつかない幼少期から懸命のリハビリを続け、やっと立って歩けるようになった。

正和さんは当時を思う。
「リハビリの先生がスパルタで、小さな姫良はいつも泣きながら頑張ってきたんです。あのときの頑張りがなかったら大きくなっても歩けなかったでしょうし、エスカレーターにも乗れていなかったと思います。

今でも、ペットボトルのふたを、持ち方を工夫して開けるようになるなど、ハンディを抱えながらも頑張って生きていて、親として娘から教わったことはたくさんあります。だからこそ、障害がある人のことを知ってほしいですし、ハンディがある人が安心してエスカレーターに乗れる時代が来てほしいと、声を大にして言いたいんです」

太佳子さんも続ける。
「いつか姫良が親の手を離れる時、世の中がどうなっているか。姫良だけではありませんが、難しい障害がある人がいるということを、ひとりでも多くの人に知ってほしいです。知ってくれれば、時間はかかったとしても、少しずつ社会も変わっていくのではないかと思います。

エスカレーターを歩かない文化が根付くことが一番の希望ですが、まずは右側に立っている人がいたら『邪魔だ』と思うのではなく、何か事情があるのかなと思ってくれる社会になってほしいと願っています」

社会が変わらなければならない
当の姫良さんは、がまんしがちで弱音を吐かない性格もあってか、エスカレーターを歩く人たちへの考えや自分の願いは、今のところ言ったことがない。これからも、言わないかもしれない。

ずっと静かだった姫良さんだが、取材が終わった後、正和さんが「親がいなくなっても姫良はひとりで頑張っていけるかな」と聞くと、ニッコリ笑って「うん!」と答えた。

泣きながらリハビリを頑張った赤ちゃんが大きくなり、ずっと頑張り続けながらいつか親元から巣立つ。その時、どんな社会を作れているだろうか。(AERAdot.編集部・國府田英之)
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急ぐ人は元気なんだから、階段を走って上がりましょう。エスカレータ前にでっかく書いておけばどうかとすら思います。そもそも、右側空けの関東圏、左空けの関西圏、2014年のアンケート調査によると、「左に立つ」が57%、「右に立つ」は13・1%で、左に立つ関東方式が圧倒的に多く、右に立つ関西方式は少数派だそうです。

関西の左空けは、1970年開催の大阪万博のとき、他国の慣習にならって右立ち、左空けを呼び掛けたらしいです。最初の左空けは第二次世界大戦中で、ロンドンの地下鉄構内が防空施設とされたことからです。ドイツ軍の空襲で急ぐ人のために左側を空けたことに始まっています。それが世界各地に広まり、左空けの国が多かったために、日本もそれに合わせたそうです。

一方、東京では大阪よりも遅く、1980年代後半から片側空けが始まりました。左立ち、右空けが一般化したのは、古来の左側通行の歴史にしたがったからだと考えられています。日本の左側通行は、武家社会から始まったとされます。刀を持った武士が右側通行をすると、鞘さやが当たってトラブルが起こりがちだったため、これを防ごうと左側通行になったそうです。どうでもいいトリビアでしたが、時代や文化によって片方の空け方もまた文化なのです。バリアフリーの時代なのだから、エスカレータは止まって乗り、急ぐ人は階段を使えという文化になって当然です。

元看護師は「更生の道が相当」 無期懲役判決で横浜地裁

元看護師は「更生の道が相当」 無期懲役判決で横浜地裁

2021/11/09 【産経新聞】

横浜市の旧大口病院(現・横浜はじめ病院、休診中)で平成28年、入院患者3人の点滴に消毒液を混入し中毒死させたとして殺人罪などに問われ、9日の判決公判で無期懲役(求刑死刑)を言い渡された元看護師、久保木愛弓(あゆみ)被告(34)。横浜地裁の家令和典裁判長は量刑理由について「公判で自己に不利益な事情を含め素直に供述し、反社会的な傾向も認められない」とし、「死刑を科することがやむを得ないとまでは言えず、生涯をかけて更生の道を歩ませるのが相当だ」と述べた。

家令裁判長は久保木被告の責任能力について「犯行時は(発達障害の一種の)自閉スペクトラム症の特性があり、うつ状態にあった」と認定した一方、弁護側が主張した統合失調症の影響は否定。「『勤務時間中に自身が対応を迫られる事態を起こしたくない』という犯行動機は了解可能で、違法な行為であることを認識していた」として、完全責任能力があったと認めた。

被害者3人のうち1人が終末期患者ではなかったことに触れ「苦痛の中で生命が奪われ、被害結果は極めて重大」と非難。「看護師としての知見と立場を利用した犯行で計画性も認められ、動機も身勝手極まりない」と断じた。

一方、犯行動機の形成過程については、情状酌量の余地を認めた。被告は「終末期医療を中心とする大口病院であれば自分でも務まる」と考えて勤務を開始したが、患者の家族から怒鳴られて強い恐怖を感じ「視野狭窄(きょうさく)的心境に陥った」と認定。「このような動機形成過程には、被告の努力ではいかんともしがたい事情が色濃く影響している」と指摘した。

また、公判の経過とともに被告が贖罪(しょくざい)の意思を深めていったことも重視。「被告人質問では償いの仕方が分からないと述べていたが、最終陳述では死んで償いたいと述べるに至った」と認め「他者に対する攻撃的傾向もなく、更生可能性も認められる」と結論づけた。

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判決は、『勤務時間中に自身が対応を迫られる事態を起こしたくない』と、家族と対応するのを避けるために薬殺したと殺人の動機をASDの特性から説明しました。そして、被告を「公判で自己に不利益な事情を含め素直に供述し、反社会的な傾向も認めない」し更生可能性があるとして無期懲役を言い渡しました。ASDの人たちが陥りやすいロジックを公判は分かりやすく説明したと思います。

福祉・医療・教育の対人サービスで、対人関係に困難のある人が働くことになると、強烈なストレスを感じることになります。相手の立場に立って言動を考える事がとても難しいからです。その結果、対象者からも同僚からも上司からも叱責や嘲笑の対象になりやすいです。そして、誰に相談することもできず真面目さゆえに限界まで働き続け、やがて精神を病んでいきます。

もっと早く、幼少期からASDが見つけられ、支援を受けて成功した経験を持つことができれば、きっと違う進路を見つけ、真面目さと几帳面さが活かされる職種につけたはずです。医療や教育職は試験のハードルは高いのですが、記憶勝負の所があり対人関係の躓きを見つけるようなシステムを現段階では持っていません。椅子に座った採用者との面接で対人関係障害を見抜くことは不可能に近いです。

しかし、向き不向きという職業適性が客観的には判断ができたとしても決定するのは本人です。だからこそ、小さな時期から自己フィードバックのトレーニングを受け、支援を享受する様々な体験が必要です。自分の適性と働く将来の姿を考えていくキャリア教育は全ての子どもに必要ですが、中でもASDの子どもたちには最も必要な教育だと言えます。ASDの特性に関わる公判の過程を知れば知るほど、発達障害のある人の支援について幼少期からの途切れない支援の重要性を感じます。