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パラ開催の意義。 「アギト」って何?

パラ開催の意義。 「アギト」って何?【二宮清純スポーツの嵐】

2021/09/17 【ラブすぽ 】

1964年の東京大会では出場は53人だった
パラリンピック開幕の6時間前、都内上空を7機のブルーインパルスが飛行した。
夏空に描かれた赤、青、黄の3色のカラースモークは、パラリンピックのシンボルである「スリーアギト」にちなんだものだ。

アギトとはラテン語で「私が動く!」の意味。困難なことがあっても諦めず、前に進む――。そんな意味が込められていた。1964年の東京大会でもパラリンピックは開催されたが、日本からの出場選手は53人にとどまった。

<53人はほとんどが国立病院・療養所の患者や訓練生で、仕事をしていたのは自営の5人だけ。スポーツの経験もなく、この大会のために短い練習期間で間に合わせていた>(笹川スポーツ財団HP)

日本の選手たちが一番驚いたのは、外国の選手の多くが職を持ち、結婚し、人生を謳歌していたことである。というのも、当時、日本における障害者は病院や療養所の世話になる「患者」であり、すなわち行政的には「保護の対象」でしかなかったからだ。

日本における“障害者スポーツの父”と呼ばれる故・中村裕医師は、障害者にスポーツを薦めると「障害者をさらし者にするな!それでも医者か!」と周囲から随分、反発を受けたという。まだ、そんな時代だったのである。

2011年8月に施行された「スポーツ基本法」には、<スポーツは、障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進されなければならない>と明記されている。

しかし、現実はどうか。こんな話を聞いた。
「私も公園でつらい思いをしたことがあります。息子が公園で遊んでいると管理人さんに“危ないから遊んではダメだ”と注意されることが多かった。それ以上につらいのが、保護者たちの視線でた。“近付いてはダメ”“見てはダメ”。そんなささやき声が聞こえてくることがあり、親としても精神的に堪えます。それも障害のある子どもの“公園離れ”の一因です。“障害”に対する理解を深め、社会を変えていかなければいけないと思っています」(※一般社団法人日本車いすスポーツ協会代表理事・坂口剛)

今回のパラリンピックで、日本がいくらメダルを獲得したところで、障害者に対する理解が深まったり、スポーツをする環境が改善されないことには開催した意味がない。
問題があれば、「私が動く!」。その意識を国民全員が共有することが肝要だ。

初出=週刊漫画ゴラク2021年9月10日発売号
※<坂口剛(さかぐち・つよし)プロフィール>
一般社団法人日本車いすスポーツ協会代表理事。1975年、福岡県出身。2006年、長男が交通事故に遭い、車いす生活になったことを機に、車いす利用者に環境のいい土地に移り住む。2009年に浦安ジュニア車いすテニスクラブ(現・車いすスポーツクラブ ウラテク)を創設。パラスポーツ参加を推進すべく、さまざまな活動に関わる。2017年には日本車いすスポーツ協会を立ち上げた。好きなスポーツは、かつてサッカーとゴルフだったが、今はテニス。

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私が動く=アギト。パラシンボルに込められた思いが伝わります。思い出したのが、「私たちのことを私たち抜きで決めないで(Nothing About us without us)」でした。国際連合の人権条約、「障害者の権利に関する条約 2006 年」採択への原動力となった、世界中の当事者の合言葉でした。障害者やその関係者が自発的に動いてこそ理解は本物になるのだと思います。

「スポーツ基本法」の「障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう、障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進」する主語は行政ですが、地域の公園や広場で障害者がスポーツを日常に楽しむ姿がなければ、社会は動きません。発達障害に伴うDCD(発達性協調運動障害)を持つ子にもスポーツを楽しむ権利はあります。でも、DCDのない子どもと一緒にゲームをしてもスポーツの楽しさは味わいにくいです。

パラスポーツは、一つの種目でも何段階にも障害のレベルを分けて公平に競技ができるように設定されます。或いは、車いすバスケや車いすラグビーなどのチーム戦なら、個別の障害の重さでポイント数を決めて、チームの総合ポイント数が同じになるようにして対戦するルールとなっています。スポーツは戦う相手が同程度の条件でなければ勝っても面白くありません。トランスジェンダー選手の女子競技への参加問題がスポーツ界を賑わしていますが、そもそも性ホルモンの違いで筋力差があるもの同士が戦っても、試合をする人も見ている人も面白くないのと同じです。

DCDの子ども同士が、不器用を気にせずゲームができるコートがあったらきっとスポーツ好きになれるはずです。このパラリンピックを機に「私が動く!」必要があると思いました。サッカーでもラグビーでも、バレーボールやバスケットボールでもDCDや知的障害専用のコートとコーチが欲しいです。その前提として、放デイの子どもたちが公園に出てスポーツを楽しむ日常があり、それを普通に知っている地域の人たちの理解の広がりが大事だと思います。今日も公園でスポーツをみんなで「アギト」しよう。

「小6女子いじめ自殺」事件に向き合わなかった名物校長

「小6女子いじめ自殺」事件に向き合わなかった名物校長は、教育長に栄転した
保護者たちが校長の対応に憤るワケ

2021/09/16 【PRESIDENT Online】

昨年11月、東京都町田市の小学校で、小6の女の子がいじめを苦に自殺した。この学校はICT推進校で、全国に先駆けて「一人一台端末」を配り、校長はその旗振り役として有名だった。しかし、いじめの背景に端末の存在があったことから、校長は「いじめは解決していた」と事実を否認。保護者たちはその態度に憤るようになる。

死から2カ月半後に重大事態の発生を報告
1月19日、山根達彦さん(仮名)、山根弘美さん(仮名)夫妻は代表委員会に出席して、娘の詩織さん(仮名)がいじめを苦に自殺をしたことを学校関係者に伝えた。

参加者は、PTA役員とクラス委員を務める保護者たち。これまでさまざまな臆測が飛び交っていたが、初めて、亡くなった本当の理由を伝えることができた。それを聞いた保護者たちは学校の対応への不満を口にした。

「詩織さんはいじめられていたことを9月の心のアンケートに書いていたのに、それがいかされなかったことは残念でなりません。いまのままでは学校に不信感が募るばかりで、このまま学校に通わせていいのか大丈夫なのか、不安です」

「正直、学校側の対応には落胆しました。今回の山根さんのことは、絶対闇に葬られてはいけません。学校側はこのまま終わらせていこうとする姿勢としか思えません。山根さん親子の声、この出来事を、子どもたちを含め全世帯で共有してこそ、私たちも次に進める第一歩になるのではなかと思います」

「先日の代表委員会の場で、校長先生があの場を去ったことにとても違和感を覚えました。緊急事態宣言のなか、学校へ向かう意味がある、話し合いの場だと思い、足を運びました。これは一人のお子さまが亡くなっている、命の話なのに、一方的に漠然としたお話をされ、この話を代表委員の保護者にしか説明しない……というのは、どういうお考えのもとなのでしょうか。昨今は、先生方がとても忙しいように見て、ICTも大事だと思うのですが、もう少し本質的な学校の在り方を見直してほしいと思います。ぜひ、学校には形だけでなく、心の通った対応をお願いしたいです」

PTA会長はこうした声を「意見書」にまとめて、1月22日にA校長に提出した。1月27日という約束の期限から遅れて2月1日に返ってきたA校長の回答には、「遺族の意向に沿ってやってきた」という嘘が書かれていた。

山根夫妻は12月25日に「いじめの調査の第三者委員会を立ち上げてほしい」という要望を伝えている。しかし、A校長が「重大事態」が起きたことを町田市教育委員会に報告したのは、2月15日のこと。11月30日の詩織さんの死から2カ月半もの月日が経過していた。

2013年に制定された「いじめ防止対策推進法」では、第28条第1項に「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認める」事態(自殺等重大事態と呼ばれる)を「重大事態」と定義。重大事態が起こった際には速やかに教育委員会などに報告し、第三者委員会を立ち上げて調査することを求めている。A校長の対応は、法律の趣旨を無視するものだ。

「いじめで自殺は間違った噂」と保護者に説明
2月20日には全校の保護者を対象にした臨時保護者会が開かれた。ここでも詩織さんが亡くなった理由は説明されなかった。むしろA校長は、「いじめで亡くなったという“間違った噂”が流れている」と話した。

「A校長は冒頭で、『いじめで亡くなったという間違った噂が流れているので臨時保護者会を開いた』と説明されました。そして、『遺書を見て、9月にはいじめがあったことを認識していたが、10月、11月の心のアンケートには何も書いていないので、解決した。いじめと自殺は関係ない』と話されました」(PTA会長)

そして、「タブレット端末の使い方とネットトラブルの防止について」というプリントが配られた。そこには「町田市の方針で2020年11月にチャットは使用不可設定になり、本校でも使えなくなったこと」「児童のIDパスワードは家庭と学校で管理すること」などが書かれていた。

学校では昨年12月中旬、唐突に子供たちの端末のアカウントを作り直させている。

そこでは従来の方針と変わって、個別にパスワードを設定させているが、なぜ、そのように変更したのか、理由の説明は一切ない。従来のやり方に問題があったから、アカウントを作り直したのではないのか。

A校長は、メディアでの取材でICTについて「あえてルールを設けず、子供の自主性に任せて、失敗のなかで学ばせる」という方針を語っている。だが、いじめについても、端末利用のトラブルについても、どこに問題があり、どんな解決策を採ったのかを説明していない。それは「失敗のなかで学ばせる」という言葉に反しているのではないだろうか。

死から3カ月後に、初めて弔問に訪れる
2月24日。山根夫妻は、突然、A校長が副校長と6年生の担任3人を引き連れて自宅へ弔問に訪れたので、心底驚いた。これまで自宅には一切来ようとしなかったからだ。

父親の達彦さん(仮名)は、思わず「一体、どういう風の吹きまわしだい?」と聞いてしまった。詩織さんの遺影の前に無言で座るA校長らに対し、母親の弘美さん(仮名)は、「3カ月もたったのに、これまでどうしてきてくださらなかったのですか? どうして、死んでまで何もしてくれなかったのですか? 卒業まで子供たちに何をしてあげるのですか?」と泣きながら、問いかけた。

父の達彦さん(仮名)と詩織さん(仮名)。父の日の思い出のスナップ父の達彦さん(仮名)と詩織さん(仮名)。父の日の思い出のスナップ(写真=母親提供)
A校長は「私たちが本当に至らなくて、申し訳ありません。失礼な対応がいろいろあったので、謝りにきました」と説明した。「失礼な対応」とは、詩織さんの机と椅子が片付けられてしまった件を指す。詩織さんが亡くなった後、詩織さんの席に勝手に座ってしまう子供がいたため、担任のB先生が机と椅子を片付けてしまったのだ。弘美さんは「卒業まで詩織をクラスの一員でいさせてほしかった」と泣いた。

この日は加害者のC子・D子とその親も弔問に来ていた。立て続けの訪問に「今日は何かあったのかな?」と山根夫婦は顔を見合わせた。

その日に何があったかは、あとで知ることになった。この日の午前中、A校長が東京都の自治体の教育長に任命されたのだ。山根夫妻は「正式に任命されて安堵したから、弔問に来られるようになったのではないか」と受け止めた。

子供たちの心に傷を残したまま卒業
3月11日の定例の6年生保護者会では、学校側が初めて「自殺の原因の一つに、いじめがあったこと」を認め、対応を謝罪した。

事件後、詩織さんの担任のB先生は精神的に追い詰められて、学校にいけない時期もあった。謝罪した際に、副校長や6年生の担任の先生たちは目に涙を浮かべながら、深々と頭を下げていたが、「A校長だけはうんざりした様子で、下を向いてうなだれるだけで、頭を下げることはなかった」と保護者は口をそろえる。

そしてA校長は3月末に定年退職し、この4月より教育長を務めている。

詩織さんと幼なじみだった娘を持つ保護者は言う。

「詩織ちゃんが亡くなったと知ったあと、娘は一人で夜寝ることができなくなりました。夜に何度も起きて、学校であったことを思い返し、メモを取っています。熟睡できなくなってしまったんです」(加藤和江さん/仮名)

詩織さんと同じクラブ活動をしていた同級生の女の子は、卒業式が終わってすぐに全身にじんましんが出た。医師は「精神的ストレスだろう」と診断したという。学校が怖くなってしまった子供や、部屋に引きこもるようになってしまった子供もいた。

「2月下旬に『命の授業』が開かれましたが、娘のクラスでは子供たちが『こんな授業をしたって意味がないじゃないか』『いじめだって、否定したくせに』と泣き怒りして大変だったと聞きました。結局、子供たちの心に向き合わず、深い傷を残したまま、卒業となってしまいました」(加藤さん)

詩織さんの母、弘美さんは訴える。
「私たちはかけがえのない娘を失って、何があったのか、本当のことを知りたかった。学校でいじめが起きてしまうこと、それ自体は、先生たちの責任ではないと思っています。ただ、解決に向けて子どもに寄り添ったり、原因究明に真摯に向き合ってくださらなかったことに絶望しています。学校ではいじめ自殺が起きたときに、いじめの事実を隠蔽するケースがあとを絶ちません。なぜなのでしょうか? A校長が教育長に栄転したように、学校はいじめを隠蔽した人が評価される組織なのでしょうか? ことなかれ主義を変えない限り、これからもたくさんの犠牲者が出てしまうのではないかと危惧しています」


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プレジデントオンラインの取材には、いじめの実態と自殺後の校長とのやりとりなどが詳細に報道されていました。ご両親が文部科学省にまで出向き記者会見をした背景には、学校側への不信感、学校だけに任せていたら本当のことがわからないままになるという思いが強かったのだと思います。児童が亡くなり学校に原因がなかったかどうか調べて欲しいと要請されているのに、その説明責任を怠っている時点で、行政のトップが、その対応のまずさについて詫び、責任者を処分するのが普通の社会常識です。

責任者である校長を処分もせずに満額の退職金を払い渋谷区教育長への就任を黙認する町田市長も、就任させる渋谷区長も、都の学校教育を指導する都教委や都知事も、社会的な影響を考えれば、元校長に踏みとどまるように促すのがトップに立つ者の責務であり社会的な常識だと思います。そして、前回も書きましたが、これはICT教育の指導に直接の原因があるのではありません。いじめ防止対策や人権教育がどの程度行われたのか明らかにし、学校はいじめ防止法にそって粛々と対応をしたかどうかを調査することが大事です。

ピントのズレた追及をメディアはまだしていますが、責任者たちの行動を取材することの方が先です。権力者は自分に火の粉がかかるのを嫌がります。メディアが騒ぐICT教育の問題にしてくれた方が助かるのです。渋谷区で特別公務員として区長から教育長を任命され、承認した議会がどういう対応をするのか、メディアの取材はそこに集中するべきです。そして、町田市長は関係者の責任を曖昧にせずトップの姿勢を市民に示すべきです。行政が招集する第三者委員会は時間ばかりかけて責任があいまいになる可能性があります。小学生の自殺原因だけでなく学校や行政対応の不適切さも法的に明確にしたほうが、全国で起こっている公的機関の不作為に歯止めをかけるものになると思います。

 

複数児童に差別的な発言や体罰 特別支援学級で

複数児童に差別的な発言や体罰 特別支援学級で長期間繰り返す姫路の小学校教諭

2021/9/21 【神戸新聞NEXT】

兵庫県姫路市立小学校で特別支援学級を担当していた男性教諭が、同学級の複数の児童に対し、差別的な発言や体罰を長期間繰り返していたことが20日、学校関係者への取材で分かった。学校側は17日に保護者向けの説明会を開いて謝罪。人事権を持つ兵庫県教育委員会が、厳しい処分を検討しているとみられる。

関係者によると、男性教諭は数年前に同校へ赴任し、特別支援学級を担当。受け持っている児童の障害や特徴をからかうような発言を長期間、繰り返していた。ほかにも、プール指導の際にいやがる児童の顔を無理やり水に漬けたり、羽交い締めにしたりする体罰も加えていたという。

一部の保護者から教諭の行為に対する苦情が寄せられ、学校に行きたがらない児童もいたという。学校側は別の担当者らから事情を聴き、事実関係を確認した。教諭は現在、担当から外れているという。

17日にあった保護者向け説明会では、校長が事例を挙げながら経緯を説明したという。出席者の一人は「悩みを抱える児童や親に追い打ちをかけるような言葉もあった。男性教諭の行為は許せない。もう教壇に立たせないでほしい」と憤りを隠さなかった。

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「生きてる価値ない」「二度と学校に来るな」と暴言 特別支援学級で体罰の教諭

2021/9/21 続報【神戸新聞NEXT】

兵庫県姫路市立小学校の特別支援学級を担当する男性教諭(39)が児童に暴言や体罰を繰り返していた問題で、男性教諭の暴言には「生きている価値がない」「二度と学校に来るな」など、児童の人格を否定するような内容が含まれていることが分かった。本来、児童の特性に合わせた指導が求められる特別支援学級で人権侵害といえる事態が継続していたとみられ、兵庫県教育委員会は事態を重くみて、21日付で男性教諭を懲戒免職処分にした。

姫路市教委などによると、男性教諭は2011年度に採用され、16年度に同校へ赴任。18年度から特別支援学級の担任になり、自閉症や情緒障害のある児童向けのクラスを受け持っていたという。

暴言や体罰は複数年にわたり、計6人が対象になった。児童が指導に従わない場合にみられたという。男性教諭は「なかなかうまく指導できず、かっとなった」と説明。現在、心身の不調を理由に休んでいる。

同校によると、今回の問題について同校が本格的に調査を始めたのは今年6月から。暴言や体罰により学校を休んだり不登校になったりした児童はいないという。

同校では21日、全児童に校内放送で今回の問題について説明した。今後はスクールカウンセラーの枠や人員を増やして、児童のケアに当たるという。校長は「子どもにはつらい嫌な思いをさせてしまった。安心して学校に通えるよう精いっぱい対応したい」と話した。

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「またか」です。それも二重の「またか」です。また特別支援学級・学校での体罰教員、また兵庫県での虐待事例です。少なくとも障害児への暴力や暴言は「体罰」というようなグレーな言葉をメディアは使うべきではないと思います。児童虐待、傷害罪、暴行罪、侮辱罪の容疑者扱いをすべきです。こうした教員の暴力等は「初犯」ではないことが多いです。指導力不足教員は通常学級ではすぐに破綻するので、特別支援学級の担任を任せるか、支援学校に異動を勧めるケースが少なくありません。

講師なら、辞めさせることもできますが、正規教員は犯罪を起こさない限り簡単には解雇できません。公務員の既得権限と労働組合に守られているからです。時が経つまでうつ病か適応障害の診断を受けて病気休暇をとらせ、時期を見て異動させるのです。不適切な指導を何度繰り返しても、結果的には組織が自分を守ってくれるのですから、不適切指導を繰り返している教員は、自分の問題として受け止めていません。問題が表面化しても子どもや保護者が悪いと思っています。反省しているなら同じことを繰り返すわけがないのです。

また、子どもが犠牲になっているのに自己保身を優先する管理職を目の前にする教員は、不良教員を注意するのも告発するのも馬鹿らしくなります。こうして、職場は腐っていきます。自分もこれくらいないなら、あいつよりましだと子どもへの指導の質も熱意も落ちていきます。子どもの未来を担う教員に、罰を課して襟を正させるなどは本当に残念ですが、一罰百戒しかないのだろうと思います。学校教員による児童虐待には、厳しい処分で臨むべきです。

今回は懲戒免職処分となりましたが、社会的制裁を受けたとして刑事告発は受けないのでしょうか。減給10分の1か月で1か月分(5万円程度)の処分を受けた校長は「精いっぱい対応したい」と言ったのですから、暴行について刑事告発するのが筋です。解雇しても法的な瑕疵は償われていないからです。何百の児童が正しい大人とはどう決着を付けるのか見ています。現在、県教職員人事課長のみのコメントしか報道されていません。市長が即座に見解を発表しないのは、発表するほどの人権事件ではないと考えているのでしょうか。教育長では身内を切りにくいので、職員不祥事の際は市民から選ばれた教育長の解任もできる市長が相応しいと思います。最後まで姫路市の動向を見届けようと思います。

パラリンピック ボッチャで金 杉村「勝ち続け 注目集めたい」

パラリンピック ボッチャで金 杉村「勝ち続け 注目集めたい」

2021年9月21日 【NHK】

東京パラリンピックの球技、ボッチャで日本初となる金メダルを獲得した杉村英孝選手がNHKの取材に応じ「盛り上がりを一過性に終わらせないためにも勝ち続けることで注目を集めたい」と今後の決意を述べました。

ボッチャは、赤と青のボールを投げ合って白い的球にどれだけ多く近づけるかを競うパラリンピックの球技で、杉村選手は東京パラリンピックの個人で金メダル、団体で銅メダルを獲得しました。

特に金メダルはこの競技では日本選手として初の快挙で、NHKのインタビューに応じた杉村選手は「過去の自分に打ち勝つこと、そして何よりも大好きなボッチャを思い切り楽しむことをテーマに臨んだが、弱かった自分に勝てたのが決勝の結果につながった」と振り返りました。

また、障害の有無や年齢、性別に関係なくプレーできるスポーツとしてボッチャが注目を集めていることについて「東京大会が競技を知ってもらうきっかけになったことはうれしいが、この盛り上がりや勢いを一過性に終わらせないためにも、選手としては勝ち続けることで注目を集めていきたい」として今後の決意を述べました。

そのうえで「競技者としてこれからも成長していきたいし、障害がある方々が自分もやってみようかなとか、頑張ろうかなというような前に一歩進むきっかけになることができたらいい。目の前の試合を一つ一つ大事に戦ったその先にパリパラリンピックがあると思っている」と3年後を見据えていました。

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ボッチャは、白玉(ジャックボール)に近い球が多い方が勝ちと言う単純なルールですが、相手の玉を弾き飛ばしたり相手の得点進路を妨害したりと、攻防の駆け引きがあり初心者から上級者まで楽しめるスポーツです。京都では京都市障害者スポーツセンターが来年の1月に23年目のボッチャ大会を開催します。京都府では特別支援学校が東京オリパラを迎えるために取組んできています。

ボッチャは、小学生から高齢者まで取組めるスポーツで、縦12.5m横6mで丁度テニスコートの半分の広さがあればゲームができます。放デイでもコートがあれば簡単にチームゲームができるのでコロナ騒ぎが静まれば、京都府のボッチャ協会などにお願いして教えてもらうのも良いと思います。京都ではトヨタ自動車の販売店が協力してくれています。ボッチャと言えば車いすの競技のようにイメージしますが、歩ける人でも楽しめる競技なので、子どもたちと一緒に取り組んでいけたらいいなと思います。

不安和らげる工夫を 障害者に「専用ワクチン会場」

不安和らげる工夫を 障害者に「専用ワクチン会場」

9/23(木) 【テレビ朝日】

新型コロナワクチンの接種率は21日時点で、全人口のうち67.2%が1回目を終えました。2回目は55.1%と、アメリカの接種率を超えました。

こうしたなか、神奈川県相模原市は今月、障害者専用の接種会場を設置しました。接種と受けるのは、知的障害や精神障害がある人たちです。

障害者対応の経験がある医師と看護師が対応し、ゆとりを持って打てるよう、予約の間隔も15分ほど空けられています。

付き添いの親:「病院だと狭かったりするので、車いすの利便性などを考えて打つのを考えちゃうんですけど」

付き添いの親:「他の方やスタッフに気を使って頂くこともあると思うし、この子がどういう状態かも分からないので、心配もされるかなとか」

付き添いの親:「暴れてしまう子は押さえつけるので、時間がかかってしまう。(接種を)先生の方から断られてしまうこともある。今まで、それでなかなか打てない。良かったです」

22日は約90人が、接種を受けることができました。

相模原市ワクチン接種推進課・成澤正成主査:「障害のある方や家族からすると、安心して接種をしたいという思いもある。一人ひとりに寄り添った、安心して受けられる環境を整備していくのが、我々には求められているのかな」

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私たちの事業所にも、知的障害児の親が安心して子どもに接種を受けさせることができる医療施設はないかという問い合わせがあります。小さな時期は押さえつけられたけれども小学生以上になると親の力では押さえつけるのは無理だと言うケースです。今回の新型コロナ予防接種で顕在化しただけで、他にも身体が大きくなってから必要なワクチンはあります。3年生から追加接種の日本脳炎や女子なら6年生からのHPV、任意だけどインフルエンザやおたふくかぜや髄膜炎ワクチン接種もあります。

今回は、蔓延防止の観点から障害のある人の予防接種がクローズアップされましたが、痛かった思い出のある病院や白衣を見るだけで診察室にも入らない子どももいます。注射針のあるものは受けられないと言うことで、点滴すら難しいのです。もちろん生命にかかわる場合は、ベットに拘束してでも接種します。子どもの新型コロナワクチンについては、基礎疾患がなければ小学生は軽微な風邪ひき程度なので接種の必要がないという医師もいますが、困っているのは中高生の知的障害の人たちですし、他の接種でも困っているのです。なんとかインシュリン注射針のような痛みのない注射針が標準仕様になってくれないものでしょうか。

神奈川・相模原市で障害者専用のワクチン接種会場

神奈川・相模原市で障害者専用のワクチン接種会場【新型コロナ】

2021/09/15【TBS】

新型コロナワクチンの集団接種会場に行くのが難しい障害者を対象に、神奈川県相模原市では専用の会場を設けて接種を行う取り組みを行っています。

記者
「相模原市では、障害者専用の接種会場が毎週水曜日、設けられています」

この取り組みは障害があり、多くの人が集まる会場では接種が難しい人に安心して接種を受けてもらおうと、相模原市が今月から始めたものです。車いすや知的障害のある人たちが、親に付き添われて接種を受けていました。

付き添いの親
「障害があって普通の接種会場ではできないので、こういうところがあってありがたい」
「スムーズに打ててよかった。障害があるので、落ち着いてできるほうがいいのかなと。親も気を遣わなくていい」

相模原市ワクチン接種推進課 成澤正成主査
「安心して受けられる接種会場はないかという声があったので、そういう経緯から会場を設けた」

相模原市では、専用の会場であわせて300人ほどの接種を予定しているということです。

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発達・知的障害者の接種イラスト、ご褒美…不安和らげる工夫を

2021/9/13【毎日新聞】

発達障害者や知的障害者の家族の中には、新型コロナウイルスのワクチンを本人にどう接種してもらえばいいのか悩んでいる人もいる。接種の意味や手順が分からず、気持ちが乗らなくて時間通り会場に行けなかったり、注射器の針を見てパニックになってしまったりする可能性もあるためだ。

静岡県在住のイラストレーター、むらまつしおりさん(28)は、重度の知的障害がある弟の裕樹さん(24)が8月までにワクチン接種を受けた様子を軽いタッチの漫画で描き、インスタグラムなどで紹介している。

裕樹さんは、行き慣れた通所施設やかかりつけ医ではワクチン接種を受け付けていなかったため、自治体の集団接種会場でワクチンを打つことになった。

会場に行けるか不安だったが、切り札になったのは紙のカタログ。無料で配布される冊子で、商品などが掲載されている。裕樹さんは紙の感触が好きで、接種会場へはカタログを手に出かけ、スムーズに接種が受けられた。

漫画では、医師の問診の間、カタログを見て心を落ち着かせた裕樹さんの様子を描いている。裕樹さんの接種当日に、しおりさんとともに付き添った母由美子さん(56)は「カタログが心の安定剤になった」と振り返る。

1回目の接種では、由美子さんが職員に障害があることを伝えると介助に加わってくれた。2回目では職員が対応を引き継いでくれて、接種の待ち時間から終了まで別室で対応してくれたという。待機中は、マスクをとろうとする裕樹さんを、しおりさんとともに制止する場面も。由美子さんは「1人で対応していたら大変だったので、娘や職員がいてくれて心強かった」と話す。

知的障害や発達障害のある人の中には、ワクチンを接種する意味や手順を理解できない人もいる。また、痛みに敏感で、感情を抑えられずにじっとしていられないこともある。言葉や文字よりも視覚で理解する方が得意な傾向があるため、接種の流れをイラストや写真など、目で見て分かりやすく説明する方が効果的な場合もある。

自閉スペクトラム症(ASD)の当事者の家族らでつくる埼玉県自閉症協会は、ワクチン接種の流れを示したイラストの表をホームページで公開している。

ASDの人は、自分がこれから何をするのか見通しが持てないと不安になることが多い。そこで、検温▽座って待つ▽問診▽注射――といった一連の接種の流れをイラストで分かりやすく表した。接種後の副反応の様子を指さしで自分から伝えられるよう、「肩が痛い」などの体調を表すイラストを並べたものもある。

表は会長の小材由美子さん(59)が、自閉症と重度の知的障害がある長男(35)向けに試行錯誤して作成したものだ。小材さんは「イラスト表はあくまで一例。伝わりやすいイラストや見せ方は一人一人違うので、これを参考にして本人に合った方法を見つけてほしい」と話す。

障害者専用の接種会場を設ける自治体もある。東大阪市では、マスクを着けられないなどの事情で一般の集団接種会場やかかりつけ医での接種が難しい障害者を対象に、市立障害児者支援センターで集団接種をしている。接種には、普段から障害者の治療や支援にあたる医師や看護師が携わる。担当者は「落ち着いた環境で安心して接種できるようにしたい」と話す。相模原市なども、障害者を対象とした臨時の接種会場を設けている。

予防接種に詳しい「はしもと小児科」(東京都八王子市)の看護師、伊藤舞美さんによると、発達障害や知的障害のある子どもは先の見通しがはっきりしないと不安になることが多いが、接種の手順をイラストで示してあげることで和らぐことが多いという。また、注射を打つ前で緊張しがちな時は、「お昼ご飯は何を食べたの」などと尋ねて気をそらす▽接種後に褒めたり、ご褒美をあげたりする――なども恐怖感を取り除くために有効になることが多いという。

逆に絶対にしてはいけないのは、何も説明しなかったりうそをついたりして接種を受けさせることだという。本人はだまされたと思い、保護者も医療者も信頼をなくすため、今後の受診などにも影響する場合がある。

接種部分の痛みを和らげるため、麻酔の効果があるシートを活用することも勧めている。伊藤さんは「痛みを我慢するのが当たり前になってしまっているが、工夫をすることで痛みを取る方法があることも知ってほしい」と話す。【中川友希】

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障害がある人も安心してワクチン接種を 専用会場設置 相模原市

2021年9月8日 【NHK】

障害がある人に安心して新型コロナウイルスのワクチンを接種してもらおうと、相模原市は8日から専用の会場を設けて接種を始めました。

相模原市は、障害がある人が大規模接種会場などふだんと違う環境になると混乱してしまうなど、ワクチン接種が難しいケースもあることから、安心して接種してもらうための専用の会場を設けました。

会場となった市立障害者支援センターには、予約をした人たちが保護者と一緒に訪れ、医師が接種を受ける人たちに体調などを尋ねたあと、次々とワクチンを接種していました。

対象となるのは療育手帳などを持つ相模原市の12歳以上のおよそ3000人で、市では今後、毎週水曜日にそれぞれ96人を限度にワクチン接種を行うことにしています。

子どもに付き添って予防接種に訪れた40代の母親は「息子は障害の特性で周囲に合わせるのが難しく、落ち着いた環境で接種ができるのは助かります」と話していました。

相模原市新型コロナウイルスワクチン接種推進課の成澤正成さんは「障害のある方も含め、希望する方全員に安心してワクチン接種を受けてもらえるよう取り組みたい」と話していました。

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9月24日に、9月23日のテレ朝の報道(不安和らげる工夫を 障害者に「専用ワクチン会場」09/24)を、注射が怖い子どもたちの事として掲載しました。ところが、9月27日にはテレ朝のホームページから動画も一緒に記事が消えていました。テレ朝が配信しているANN系メディア各社のホームページからも全て削除されていました。おそらく、視聴者が大勢クレームをつけたので取り消したと推測できます。けれども、何もコメントしないで記事そのものを削除するのは、人のことはあれこれ言うのに自分のことになると口を閉ざすようで潔く見えません。

相模原市の専用会場設置について記事に取り上げたのはNHKが最初です。それを見て、TBSやテレ朝の順序で取材をしたという事でしょう。おそらくASDと思われる男子が暴れるのを押さえつけて接種している場面に一部の視聴者が反応したのだと思います。同じ内容のTBS動画のコメントに、虐待だとか嫌がっているのにというコメントが散見されるので掲載後に問題の箇所をカットして編集し直したのかも知れませんが、これについてもTBSのコメントは何もありませんでした。

毎日新聞の報道のように視覚支援など様々な工夫をして支援者が努力することはとても大事です。だた、支援者の努力が必要ですと書けば解決するのかというと、それだけではすぐには上手くいかない人がいるのも現実です。押さえつけての接種はけしからんと言うのは簡単ですが、それを突き付けられた支援者や医師らからは、任意なのだから嫌がって暴れる人は接種しないという見解を引き出してしまうだけです。しかし、それでは障害のある人もない人も健康に暮らせる社会を作るという目標には到達できません。

クレームをつける人たちの中には、そもそも接種そのものが無意味だと思っている方や、ワクチンの副反応が危険だと考えている方もあり、ワクチン接種の不安を煽る目的でクレームをつけているのかも知れません。しかし、映像を見て純粋にひどいじゃないか、かわいそうじゃないかと思う方もいたと思います。以前にも書いたように、今回のワクチン接種の報道で障害者医療の課題が社会に顕在化しただけのことで、必要な接種や点滴、怪我の治療についての問題は、コミュニケーションに障害のある人たちと家族がずっと抱えている問題なのです。クレームをつける人たちはそれも虐待だとは言えないと思います。

本来は、テレ朝はそのことを端折らずに報道すべきでした。NHKやTBSも綺麗に建前だけ報道するだけでなく、当事者や家族が本当に困っていることを解決するために、取材を続けて欲しいと思います。そのうえで毎日新聞で報じたような知恵がみんなに広がればいいと思います。テレビは事実を切り取って報道するので、詳しく説明できない事もありますが、たくさんの人に訴える力は絶大なのですから、コミュニケーション障害を持った方と医療の問題を煽るだけの目的のクレームやバッシングの圧力に負けないで事実を取材してほしいと思います。

3歳虐待死 摂津市「暴力放置」判定も「緊急性低い」と判断変えず

3歳虐待死 摂津市「暴力放置」判定も「緊急性低い」と判断変えず

2021/9/28 【毎日新聞】

大阪府摂津市のマンションで8月、新村桜利斗(にいむらおりと)ちゃん(3)が熱湯をかけられて死亡した事件で、市は母親から交際相手の松原拓海(たくみ)容疑者(24)=殺人容疑で逮捕=に関する暴力相談を受けた5月、児童相談所と協議し、桜利斗ちゃんの家庭について「第三者の暴力を放置している」と判定していた。ただ、桜利斗ちゃんにけががないことなどを踏まえ、「緊急性は低い」との判断を変えなかったという。

森山一正市長は28日に記者会見し、「男児の命を救えなかったことを重く受け止めている。児相に『(一時保護を含め)担当してくれ』ともっと強く言えなかったかとの思いはある」と説明。大阪府に設置される検証部会に協力するとともに、市も対応の是非について内部で調査する考えを明らかにした。

市によると、母親から5月6日、松原容疑者について「子供のほおをたたいた」と相談を受けた。母親は以前から「育児放棄」の疑いがあるとして見守り支援を続けてきた経緯があり、大阪府吹田子ども家庭センター(児相)と協議し、暴力を止められない対応も育児放棄に当たると判定したという。

しかし、松原容疑者は家庭訪問した市の担当者に「もう手を出さない」と約束。桜利斗ちゃんの母親の知人らからは6月に虐待を疑わせる訴えがあったものの、母親との面談を重ねる中で桜利斗ちゃんにけがが確認されなかったことから、市と児相は一時保護などの対応は取らなかった。桜利斗ちゃんは8月31日、熱湯をかけられたことに伴う熱傷性ショックで死亡した。

今回の事件では、市と児相が「緊急性が低い」との判断を変えなかったことから府警と情報共有していなかった。森山市長は「警察との連携は避けて通れない」と述べ、情報共有のあり方を検討する方針も示した。【郡悠介、高橋昌紀】

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3歳虐待死「行政対応の検証必要」 大阪知事が第三者部会を設置意向

2021/9/24 【毎日新聞】

大阪府摂津市のマンションで3歳の男児が熱湯をかけられて殺害された事件を受け、吉村洋文知事は24日、医師、大学教授、弁護士ら5人による第三者部会を来週にも設置し、行政機関の対応が適切だったかどうか検証する考えを示した。

吉村知事は記者団に「事件には胸が痛み、言葉がない。児童相談所(児相)も情報を共有していた案件であり、悲惨な事件を防げなかったのか検証する必要がある」と述べ、部局に指示を出したことを明らかにした。

府内では、児童虐待に関する全件の情報を児相と警察が共有する「全件共有」を行っている。しかし、今回の事件では、児相ではなく、摂津市が対応する「市町村担当事案」になったため、全件共有の対象にはなっていなかった。吉村知事は「なぜ今回は児相(が担当する)案件にならなかったのか、市町村担当事案でも全件共有しなくていいのかについても検証する」と語った。【矢追健介】

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「たっくん、いや」虐待死3歳が再三SOS 悲劇防げず知人悔い

2021/9/23 06:30【毎日新聞】

大阪府摂津市のマンションで8月、交際相手の息子だった3歳の男児に熱湯をかけて殺害したとして、大阪府警は22日、同居していた無職の松原拓海容疑者(23)を殺人の疑いで逮捕した。

亡くなった新村桜利斗(にいむら・おりと)ちゃんは事件前、「SOSのシグナル」を幾度となく発していた。虐待を疑った周囲は行政に一時保護を求めていたが、悲劇を防ぐことはできなかった。母親の知人らは「桜利斗は何も悪くない。大人が幼い命を救ってあげられなかった」と悔やんでいる。

「たっくん、いや。たっくん、いや」。知人らによると、桜利斗ちゃんはよく、たどたどしい言葉でこう訴えていた。逮捕された松原拓海容疑者は「たっくん」と呼ばれていた。桜利斗ちゃんは帰宅することを拒むような仕草を見せたこともあったという。

桜利斗ちゃんの母親は夫と離婚後の2018年10月、桜利斗ちゃんとともに大阪府内の別の自治体から摂津市内に転居。20年秋ごろから松原容疑者と交際し、同居を始めたのは事件の約3カ月前だったとされる。

知人らはマンションに遊びに行った際、松原容疑者が桜利斗ちゃんを怒鳴ったり、物を投げつけたりしている姿を目撃。顔に不自然な傷を確認したこともあった。21年6月には「虐待の可能性がある」と考え、摂津市役所の家庭児童相談課に桜利斗ちゃんの一時保護を求めていた。

市によると、母親と桜利斗ちゃんは以前から「行政による継続的な見守りが必要な母子」とされていた経緯があり、支援担当者が毎月1~2回、母親と面会を重ねていた。

母親も5月初旬、「交際相手が子どもに手を出した」と相談していたが、松原容疑者が市側に「もう手を出さない」と約束していたという。市の担当者は「緊急的な危険があるとは考えていなかった。対応に問題はなかった」と話した。

人なつっこい性格で周囲の人気者だったという桜利斗ちゃん。母親は4月、自身の写真共有アプリ「インスタグラム」に、「プレゼントもめっちゃ喜んでくれてよかった」とのメッセージを投稿。3歳の誕生日を迎えた桜利斗ちゃんがケーキの前で手を広げ、笑顔をふりまく写真も添えられていた。知人の一人は「あんなにかわいい子を救えず、悔しい気持ちしかない」と語った。【木島諒子、清水晃平】

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森山市長はこの期に及んでも、当時の役人の判断を間違っていたとは言いません。子どもが一人死んでいるのに、周囲の住民は予測がついていたから通報しているのに、市長が役人を守ろうとする意味が分かりません。吉村知事は第三者委員会を持って責任を検証するという暢気なことを言っています。まずは、この時の責任者や関係者を行政の長として処分すべきだと思います。森山市長は、市の虐待担当の担当者と責任者を、吉村知事は児相の今回の担当者と責任者をまず更迭すべきです。

組織の長が直接できることは人事しかないのですから、まず、市民に対して責任ある態度をとるべきだと思うなら役人の更迭です。解雇せよと言っているのではなく、業務の失態を指摘し配置換えをすればいいのです。もちろん格下げは仕方がないことですが、それくらいの責任を果たすべき地位と給与を与えているはずです。その責務が結果的に果たせず市民の信頼を失っているのですから更迭は当然です。

おそらく府に見習って摂津市も第三者委員会をと言い出すかもしれませんが、それでは役人は痛くもかゆくもないのです。しかも、今回のような事件は、会議をするほどの中身ではないはずです。母親だけでなく知人も訴えてきた時点で、仮に児相が取り合わなくてもいくらでも方法はあったはずです。問題は摂津市の担当者の姿勢です。幼児への暴力は死に直結します。暴力の存在を認めた時点で、役所は警察に届けるべきでした。松原拓海容疑者が市の担当者に「もう手を出さない」と約束したから許したという、小学生並みの対応を容疑者にしています。

普通なら、この時点で担当者から報告を受けた責任者が通報を決断するべきですが、漫然と部下に任せていたのですから、更迭されて当たり前なのです。メスを獲得するため少なくない野生の大型動物は子殺しをします。松原拓海容疑者はそれと同等です。野生の衝動に突き動かされて理性など働いていないのです。理性のない人に約束など通じない、そんな基本的な判断もできなかった役人には、二度と同じ部署で働いてほしくないというのが普通の市民感情だと思います。

不登校の子は「タブレット貸与」対象外

不登校の子は「タブレット貸与」対象外の学校も オンライン授業に参加させない理由

2021/09/30 【AERA2021年10月4日号】

新型コロナウイルス感染を恐れて「自主休校」する子どもと、以前から不登校の子とで学校の対応が分かれるケースが見られるという。AERA 2021年10月4日号はその現状を取材した。
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不登校の子どもたちへの対応も学校によって違う。

小学4年の娘が3年前から不登校の女性(44)は9月中旬にツイッターで、「不登校児にはオンライン授業を提供してくれない」という書き込みを見かけた。そのときは「娘の学校はまだオンライン授業さえ始まっていない」と思ったが、その直後、自主休校の児童向けに授業のオンライン配信が始まっていたことを知った。担任に連絡すると、「タブレット貸与は不登校児は対象外。外部の機器からは個人情報の関係で授業は見られない」と言われた。

「担任とは信頼関係が築けていたと思っていたのに、見捨てられたのかとショックだった。娘にどう説明したらいいのか」

小中高校生の保護者らでつくる「全国学校ハラスメント被害者連絡会」(東京都)は、オンライン学習をめぐって一部の学校が特定の子どもに差別的対応をしていることについて9月末までネットアンケートを実施し、実態調査を進めている。同会共同代表の郡司真子さんはこう指摘する。

「排除のタイプは2種類あって、一つはタブレットを配布されないケース。もう一つは、通常級に通う軽度発達障害などで手のかかるお子さんが『タブレットを配布したので学校にこないでください』と言われたケースも。排除された子どもは『自分はダメなんだ』と思い、自死に追い込まれてしまう場合もあり、大きな問題です」

登校再開につながる

不登校の子どもをオンライン授業に参加させない理由は「ますます登校しなくなるから」といったものだという。一方で、オンライン授業が登校へとつながったというデータもある。

青森市では一斉休校中だった昨年4~5月にかけて市内全校でオンライン授業を実施したところ、中学では不登校の生徒の74.5%が参加し、このうち92.5%が登校再開の5月25日以降も登校した。同市教育委員会の担当者は言う。

「登校を再開した子どもへの聞き取りでは、新しい学習形態に興味を持ったことや、周りの子どもの目を気にせず参加できたこと、決して勉強が嫌いではないことがわかりました」

熊本市も、昨春のオンライン授業は特に不登校の児童生徒に対して有効だったという。そこで今年9月、登校が難しい児童生徒を対象にオンライン学習支援事業を始めた。「支援校」のオンライン授業に参加してもらい、必要な場合は支援校の教員から個別指導も受けられる。在籍校のオンライン授業で学ぶことも可能だが、勉強が遅れている場合などは支援校の授業のほうがより手厚い指導を受けられるという。同市の遠藤洋路教育長はこう語る。

「すべての子どもたちに教育の機会を提供することが私たちの使命。多様な選択肢があるということは、子どもたちが居場所をたくさん持てるということです」
(編集部・深澤友紀)

※AERA2021年10月4日号より抜粋
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自主休校の児童向けに授業のオンライン配信が不登校児は対象外と平気で言える教員の頭の中を覗いてみたいです。手のかかる児童にタブレットを配布してやるから学校に来るなというケースも、ホンマかいな?またメディアのでっち上げと違うか?と思うくらい超非常識な学校もあるようです。それってリアルにいじめです。

不登校児にリモート学習をさせたら、そのまま学校に来ないのではないかという理屈にはエビデンスがあるわけではなく、担当の教員の感覚でものを言っているだけです。科学的な根拠もないのに勝手にルールを作るのは、新型コロナの予防策でもわかるように、わが国固有の特性です。

そして、実施後検証もしないので、一度決めたことを延々と続けるのです。人流抑制や飲食店の営業制限と何の関係もなく感染者は増減しているから自粛策は効果があるのかねと言った麻生発言を、尾身会長も八割叔父さんも知らん顔です。

1億人を巻き込んでも、一度決めたことが正しいかどうか振り返ることもできないのです。緊急事態宣言に閣僚として関わったくせに、後出しジャンケンのような発言をする麻生さんもどうかとは思いますが、知らん顔して振り返りもしない専門家チームなら科学者とは言えないと思います。

リモート学習が登校再開につながればいいですが、それにはデータが少なすぎて楽観的な期待のようにも思えます。一番大事なのはリモート学習と対面学習でどんな違いが出るのか調査をきちんとしてほしいと思います。

学力はどう変わるのか。コミュニケーション力には違いが出るのかどうか、対面学習と学力結果が同じなら、それは教え方の問題なのかどうか。そろそろ、感覚だけで判断して人心を惑わすような話は、教育界からはなくしてほしいと思います。子どもが振り回されて可愛そうです。

「聴覚障害者だけの利用禁止」は差別? ロープウェイ対応

「聴覚障害者だけの利用禁止」は差別? ロープウェイ対応めぐり議論・・・運営会社「早急に対策を」

2021年09月30日【J-CASTニュース】

横浜・みなとみらい地区に誕生したロープウェイが、「聴覚障害者だけでは搭乗できない」と伝えているとして、対応を疑問視する投稿がSNS上に寄せられた。

ロープウェイの運営会社は、緊急時に音声で案内を伝えられないためだと、搭乗禁止の理由を説明した。差別とは考えておらず、障害者だけで乗る要望があるため早急に対策を行いたいとしている。

「スタッフが同乗することで搭乗はできる」とも説明
このロープウェイ「YOKOHAMA AIR CABIN」は、日本初の都市型循環式をうたい、2021年4月22日に開業した。JR根岸線・桜木町駅前と赤レンガ倉庫などがある新港地区の運河パークを結んでいる。

投稿は、2021年9月28日にツイッターなどに寄せられ、聴覚障害者がロープウェイに行ったとき、「耳の不自由なお客様へ」と題する資料があったとした。

この資料では、ロープウェイが緊急停止したときは、客が乗る各キャビンに音声のみで案内しているため、聴覚障害者だけでの搭乗は遠慮してもらっているとあった。ただ、スタッフが同乗することで搭乗はできるので、希望があれば窓口の筆談で応じるとして、理解を求めている。

これに対し、ツイッター上などでは、聴覚障害者とみられる人たちから、「こういうことを突然、でかけ先で知ることはショック」「スキー場のゴンドラやリフトは乗れるのに」「でも、これは差別だよね」などとロープウェイ側に疑問や批判が相次いだ。緊急時の案内についても、キャビン内に電光掲示板を設置したり、スマホなどで客に知らせたりできるのではないか、との意見も出ていた。

聴覚障害者用の資料について、ロープウェイを運営する泉陽興業(大阪市)は30日、東京支社の担当者がJ-CASTニュースの取材にこう説明した。

「何らかのアクシデントでロープウェイが途中で停止して救助に向かうとき、コントロールセンターの監視室と各キャビンとは無線による双方向通信でやり取りして、お客様の不安を取り除くことにしています。やり取りが伝わらなければいけませんので、スタッフが資料をお見せしてご案内しています」

「タブレットを貸し出して連絡する準備を進めている」
聴覚障害者がロープウェイに来たときは、付き添いがいるかどうか確認しており、いない場合、「もしよろしければ、スタッフが同乗します」などと伝えているという。事前の連絡なく、いきなり行っても同乗の対応はしているそうだ。スタッフは、手話を勉強中のため、筆談ボードを持って同乗するとしている。

「障害を持つ方に対しましては、搭乗を遠慮していただくという意識はなく、楽しんでいただきたいという気持ちは一緒です」として、障害者への差別であることは否定した。

聴覚障害者だけで乗りたいという要望もあるとして、対策を行う考えも明らかにした。

「タブレットを貸し出して、万一のときはそれで連絡するようにする準備を進めています。できるだけ早く、単独やグループで乗れる手はずを整え、ご案内したいと思っています。SNSやメールなどで客に知らせるとすれば、個人情報の取り扱いについて説明しなければいけませんので、あまり現実的ではないと考えています」

なお、ロープウェイの公式サイトでは、車椅子や歩行補助器具を使用している人も、安全のために1人以上の付き添いをお願いしている。こうした人たちにも、タブレットを貸し出すようにしたいという。

神奈川県内の聴覚障害者2団体から「話が聞きたい」との申し入れがあったため、10月1日に東京支社で会う予定だといい、今回の件についても話し合われる模様だ。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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障害というくくりで差別かどうかと判断することは、話を難しくするだけです。障害のある子どもと外出すると、公共交通や遊園地で様々な「お断り」に出くわしますが、これは差別かどうかと言い始めるときりがなくなります。リフトだって子どもでも乗れますが、乗せるかどうかは保護者の責任です。事故があったときに乗せたほうが悪いなんて言い出すと「お子様単独の利用はお断り」となります。

今回問題になっているリフトは観光用の閉鎖型カプセルであって、仮に停止して救出が必要になれば、それなりの対応ができるはずです。地上と連絡が取れなければすぐさま支障が起こるとは考えにくいです。聴覚障害者はそういうリスクは理解しているし、乗せた会社が悪いなどとは言いません。当事者が差別だと感じ、第3者もそれに同意する人が少なくないなら、先回りした会社に差別の意図がなくても、障害を理由に差別をしたことになります。

ただ、知的障害や行動障害のある人たちの程度によっては、単独の乗車を断るこることは差別にはならないと思います。もちろん提訴される可能性はありますが、それは子どもやお年寄りなどその人の乗車能力を見て危険回避することは人権の侵害にはあたらないからです。しかし、障害と名がついているからと一律に断るのは差別です。当事者に障害ゆえのリスクが理解できているかどうか、ということも差別かどうかの判断にはなると思いますが、これを論じ始めるときりがなくなります。結局はその地域の文化にも左右されるのかもしれません。差別されたと感じたなら、声を上げるべきですが、そう簡単な問題でもないように思います。

店長、また話しに来たよ 河内長野の駄菓子店再開

店長、また話しに来たよ 河内長野の駄菓子店再開

2021/10/02 【読売新聞】

発達障害抱え経営 常連の子どもたちも笑顔
緊急事態宣言が解除され、行動制限が緩和された1日、休業していた河内長野市錦町の「駄菓子や ほうかご」が再開した。店は発達障害のある田仲 訓さとし さん(41)が、2年前から店長として切り盛りする。子どもたちが安心して過ごせる場所となっており、田仲さんが宿題や悩みなどの相談に乗ることも。店内は再び子どもたちの笑顔であふれている。(吉田誠一)

田仲さんは、中学生の時にぜんそくを発症して入院、病院の院内学級を卒業した。体調が回復した後、新聞配達やスーパーなどでアルバイトをしていた。

もともと人との会話が苦手で、24歳の時に発達障害の一つ、アスペルガー症候群と診断された。それでも就職しようと、何度も電器店の面接を受けたが、うまく返答できず採用されなかった。

その後定職には就いていなかったが、「雇ってもらえないのなら、自分で商売をしよう」と考えた。幼い頃、楽しみながら過ごせた駄菓子店が市内でなくなっているのに気づき、2019年6月、自宅近くの空き店舗を借りて、「ほうかご」を開店した。

店内は駄菓子を並べるだけでなく、子どもたちが遊べる場所として大型のゲーム機を置き、自宅からソファやテーブル、椅子を持ち込んだ。トランプや折り紙などもそろえた。販売する駄菓子はアメやチョコ、グミ、スナックなど約150品目。毎月、大阪市内まで仕入れに出向く。

店には放課後、近くの子どもたちが訪れる。〈常連〉は20~30人。「店長聞いてえな。今日学校でな」と話し始める子どもたちに笑顔で向き合い、宿題を教えることもある。

河内長野市内の女子児童(11)は「家から近く、気軽に立ち寄れる」。別の児童(11)も「お菓子を食べながら、店長に学校であったことをいっぱい聞いてもらえる」とうれしそうに話した。

コロナ禍だった昨年春は「子どもが感染しないように」と休業した。今年も5月と8月下旬から9月まで休んだ。店を再開した1日、店内にはたくさんの駄菓子が並び、訪れた子どもたちが田仲さんとの再会を喜んだ。今後も十分換気をするなどしっかりと感染対策をして営業する。

田仲さんは「子どもたちが大人になり、懐かしんで来店してくれるまで頑張って続けたい」と意気込む。

営業は平日午後3時~5時半、土日と祝日は午後1時~5時半。木曜定休。

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昭和の時代、駄菓子屋は子どもの社交の場でした。学校から帰ってきたら10円玉を握りしめて、タコせんべいにソースを塗ってもらい、くじ引きで一攫千金のプラモデルを狙ってギャンブラー気取りで毎日ハズレの紐を引いていました。店主の多くは高齢者で、めんどくさそうに応対し、時間を見計らって「あんたら大声で近所迷惑やから、公園に遊びに行き!」と金のなさそうな子どもは追い払われたものです。

若者の店主は見かけませんでしたが、そういう人がいても良いかもしれません。どれだけ収益が上がるのか気にはなりますが、安物のお菓子と玩具に引き付けられた子どもらが集まってくるなら、失われた地域コミュニティーの再生が期待できます。なんでもかんでも、何とかセンターや事業所でなくても、自然なコミュニケーションを子どもが学ぶ良い機会にもなると思います。

最近、チラホラと自宅の軒先に箱を並べて土日だけ店を開く様子を住宅街に見つける事があります。収益目的と言うよりは、子どもとのコミュニケーションを楽しむ趣味的なお店なのかと思います。昔はこの他にもミニカーを走らせているプラモデル屋さんや、自転車屋さん、手芸屋さん、卓球屋さん等子どもがたむろするお店がありましたが、採算が取れないのか後継者問題なのかほとんど見かけなくなりました。お店は地域再生のための大事な場所です。