「じゃあそっちは分配法則ってこと?」
じゃんぷでは、中学生も授業後や部活後にやってきて、学習に取り組んでいます。多くの中学校では、来週から1学期の中間テスト。じゃんぷの中学生たちも、自分に合わせた勉強方法を職員と相談しながら、テスト勉強に取り組んでいます。
先日、数学ドリルに取り組んでいたIくんが手を止めました。見ると、多項式の因数分解の問題です。職員がその問題をホワイトボードに書いて、解き方を教えます。「そうなんだけど…」と納得のいかない様子で、答えまでは書きましたが、以降の問題は同じように解けません。様子を見ていると、どうやら解き方を全く知らないわけではなさそうです。続きのページにあった、足したら○、かけたら△になる数字は?という問題はすらすら解いていました。ですが、続けてまた因数分解の問題になると、多項式をさらに細かく書こうとして、()すら出てきません。
そこで職員が大きなホワイトボードに、展開と因数分解について書いていると、同級生の友だちや他の職員も参加して、ミニ講義のような形になりました。友だちが「因数分解は…」と先生と話していると、Iくんも会話に参加。「素因数分解のときは…」と友達に言います。ここで初めて、素因数分解と因数分解で解き方が混ざってしまっているのではと職員が気づきました。そこで「因数分解というのは数×数の形にすること。素因数分解は素数×素数にしているよ」と伝えると、Iくんは少し納得したようで、「じゃあそっち(展開)は分配法則ってこと?」と尋ねます。職員が「そう。分配法則を使って()を外しているよ」と答えると、納得したようでドリルに戻りました。
じゃんぷに来ている子の中には、授業で聞いたことや昔教えてもらったことが大きく残っていたり、1対1の状況では緊張が増してしまう子もいます。Iくんも初め、職員から因数分解を教えてもらっても、頭に入っていないようでした。ですが友だちや他の職員も入り、みんなで自由に話せる機会が持てたことで、1対1では言えなかったことを言うことができたり、友だちや職員がホワイトボードを見て考えているのと同じように考えて自分の意見を言うことができました。1対1の学習にこだわらずに、同級生を交えて一緒に考える雰囲気を作ることで、自分の考えや思っていることを言いやすいこともあると感じた場面でした。