なんで?
「最近Q君がタイマーが鳴っているのに無視してやり過ごすんです」とか「Q君みんなと一緒にけった(缶蹴り)とかしようとしないんです」などとスタッフが子どもの行動が理解できないと質問するとき、「なんで?」って聞いたのかと返すようにしています。特にASDの子どもの場合、その行動が不適切なのかどうかも意識していない場合が多いからです。
また、子どもたちに「どうして?」と聞かないスタッフの気持ちには、その場はまずいとか、悪いことだと気が付いていないなら責められたと思い傷つくかもしれないとか気を使っているのです。
その場がまずいなら、さっきのこと後で聞くから教えてねと予告すればいいのです。また、気が付いていないなら「ああ そういうことか」と素直に気が付くか、「わからん」と理解できないかどちらかです。ASDの子どもたちはとても合理的で、理屈さえわかればはっきり言った方が納得するし、逆に遠回しな言い方にはピンとこずかえって誤解をしたりします。
そして、「なんで?」と聞かれることで、彼らが「なんでやろ」と考えてくれる機会を作るところに意味があるのです。子ども達が自分を振り返ってみる機会は、こんなスタッフの問いかけが契機になったりするのです。スタッフには、「ああ、そういう考え方もあるね」という子ども観が広がる機会ともなります。