スケジュールの間違った使い方
新しい子どもに見通しをつけさせたいと、貼り付け式のスケジュールを使う人がいます。子どもは日課に見通しを持ちますが、このスケジュール表を「魔法の表」と勘違いする子どもがいます。対人相互性(対人関係)が弱いASDの子どもはこのスケジュールが大人との関係性で契約された表だとは微塵も思っていないのです。
スケジュールを最初に教えられた子どもたちは、この表に自分の好きな玩具遊びや公園行きのプログラム絵カードを貼り始めます。そして、嫌いなプログラムを捨てます。職員は「だめでしょ」と注意したり、動かせないスケジュール表(印刷したり上から透明板で固定する等)を使わせようとします。(使えんちゅーねん!)
スケジュールスキルは、PECSでは文フレーズを作って要求するフェーズ4以降に登場する高度な社会的適応のスキルです。PECSではコミュニケーションのトレーニング段階と並行させて移動スキルや交渉スキル、要求スキルについて段階を追って教えるようにしています。「~したら~しようね」の交渉が通じない子どもに気に入らないスケジュールを示せば、スケジュール上で混乱が起こるのは自明の理です。PECSマニュアルの243ページから30ページほどは、子どもと交渉をどう成立させるか目から鱗の落ちるアイデアが満載です。ぜひお読みください。