すてっぷ・じゃんぷ日記

「20分の1は0.05!」

 「1、2、3…」と1ずつ増えていく数は『自然数』と、中学校の数学で習います。自然にある目に見えるものを数えるときに、「1つ、2つ、3つ…」と数えていくことをイメージすると、覚えやすいかもしれません。小学校で習う数も、この数から始まります。また「0」は、「あと10秒」といったカウントダウンなどで、「…2、1、0」と数える経験をしていると、自然と身についているかもしれません。「0」を知っていて書けるようになってから、「10、20、…」といった数を習っていきます。

 ただ同時に、中学校では自然では目にしない数も習います。さきほどのカウントダウンでは、「…2、1、0」と言った後で、「-1、-2…」と続ける人はほとんどいないでしょう。中学校で負の数を習うときは、温度や海抜などでマイナスを使っている場面を紹介されます。ですがそれらは、人間が数を考えやすいように、基準を0にして測っている数になります。そのため、温度計や高度計といった計りでしか、目にすることはできません。そしてさらに言えば、小学校で習う小数も同様です。身長や体重、先ほど挙げた温度などで小数はよく目にしますが、それらも1m、1g、0℃など基準を決めた上で、0と1の間の数として表れます。そのため、自然な数え方から考えようとすると、なかなかイメージしづらい数になります。

 じゃんぷに通う小学5年生のIくんは先日、小数の倍数を考える問題に取り組んでいました。20gの小麦粉は100gのケーキの何倍?というような問題です。何倍と言えば、1倍、2倍、3倍…と数えることに慣れているIくん。問題を読んですぐ、「5倍」と答えました。ところが答えは0.2倍。「なんで?」と考えるIくんに、職員は「何倍を考えるときは、1(基準)にするものを考えるよ」と教えます。Iくんは少し考えて、「ケーキ?」と答えました。「そうそう、じゃあ、どういう計算になる?」と聞かれると、Iくんはしばらく悩んで、「20÷100=…」と式を書いて答えを求めることができました。

 ただ、やはり小数の倍数はイメージしづらいようです。振り返りで改めて職員が図示化しながら整理して伝えましたが、なかなか頭に入りづらいようでした。そこで「逆が5倍ってわかったら、小数の倍数は5分の1倍になるよ。5分の1は1を5に割っている数だから、小数にすると…」と聞くと、「0.2」と答えました。そのまま、「じゃあ10分の1は? 20分の1は?」と次々聞くと、Iくんは「分かった! 2分の1は0.5だから、そのさらに10分の1の20分の1は0.05だ!」と答えました。

 実はこの考え方は分数の逆数を使って、÷ではなく×での計算に変える方法で、中学1年生で習う方法です。それも示しながらですが、Iくんの気付きや理解しやすい考えを優先しながら話を進めました。やはり見えない数のイメージはしづらく、ホワイトボードに書きながらでも言葉が入りづらい様子だったIくん。分数を小数に変えていく流れで、「∞分の1は?」「0に近づく?」「そう! これ高校や大学の勉強だよ」といったやりとりをしたのは余談になりますが、この「わかった!」という気づきとエピソードから、小数の倍数を考えるとっかかりになればよいなと思います。