人差し指は『もう1回』
支援学校小学部のSくんは、すてっぷでPECSの手法での表出トレーニングに取り組んできました。おやつや遊びでほしいものを伝える練習から始め、公園ではブランコ遊びをするときには「押して」、公園から帰りたいときは「てをつなぐ」カードを渡すなど、職員とコミュニケーションを取ってきました。
そうして伝わったという実感が積みあがってきたおかげか、日常生活の中で手ぶりや行動での表出がだんだんと増えてきました。以前は拒否のサインと言えば寝転ぶことが多かったのですが、最近は手をパーにして『バイバイ』と同じように左右に振ります。よく見られるのが送迎時で、車のソファが心地よいSくんは家に着いても『降りたくない』と手をバイバイします。そして続けて人差し指を突き出してきます。これは『もう1回』のサイン。実際にこのサインが出た時、職員が「じゃあ友だちを先に送ろうか」と言って、一緒にもう1回ドライブしてから帰ってくると、今度はすっと降りることができました。
また先日、Sくんが公園から帰ってきたときのことです。スケジュールでは次が自立課題で、その次がおやつになっていました。ところがSくんは自立課題のカードを自分で外し、おやつを次に貼り替えたのです。それを見た職員が修正し、「自立課題ができたらおやつだよ」と伝えました。するとSくんは『はい』と言わんばかりに手をパーにして上げました。そして自立課題に取り組み始めました。
いろんなコミュニケーションが生まれてきているSくん。どういう表出なのか分かれば、絵カードでの表出に変えることで、誰にでも伝わるようにすることができます。ですが、どんな形であれ表出してきたらまずは受け止めること。Sくんが自分から表出できたことを褒め、どんどんコミュニケーションできる機会を増やしていきたいと思います。