禁止型か提案型か?
Pさんは、手すりやガード用の鉄パイプにぶら下がったり滑り台のはしごを反対側からぶら下がるのが大好きです。ただ、心配なのは低緊張の子どもの場合、落ちた時に尻もちをつくと脊柱から頸椎に衝撃が大きくかかり、怪我につながりやすいことです。そうした理由で、Pさんが落下しないように安全に気を付けて欲しいと職員にお願いしたのです。
「気をつけてみてね」とお願いされた職員は、怪我をさせてはいけないと「危ないからそんなことしちゃいけません!」と注意をすることになります。していけないと言われれば言われるほどしたくなるのが子どもの常です。そして、昨日も書いたように、していいことに大人は注目しないが、してはいけないことに大人の注目が集まると気が付きます。そうなると「ちっとも言う事を聞かない子」になるのです。
機能的コミュニケーションの苦手な子どもに「~してはいけません」は百害あって一利なしがセオリー1です。していいことを「~しましょう」と伝えて、実行したら「えらいね」「良く切り替えたね」とほめちぎって注目するのがセオリー2です。
でも、昨日も書いたように、大人の注目を集める方法を大発見したPさんが、そんなやすやすとこちらの指示に従うはずもありません。大事なことは、こんな遊びをしましょうとPさんが好きな固有(筋肉)覚刺激系の力を入れるロープ遊びや坂遊びを開発してみんなで一緒に遊んで楽しいねという経験を積むことです。新しい遊びは教えるために大人が注目していますから一石二鳥です。子どもを「見てね」というのは、監視したり禁止すると言うより、そこに向かわないように新しい遊びを作って一緒に遊ぶということです。もちろん目を離さないで安全を確保する労力は同じですが、禁止型よりも提案型の方が子どもと仲良くなれます。