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みんなちがってみんないい

年上の先生のチョコの思い出

「ほかの子には内緒だよ」年上の先生のチョコの思い出 佐藤仙務

2021年2月11日 10時00分【朝日新聞デジタル】

もうすぐバレンタイン。私には、忘れられない思い出がある。
小学6年生のころ、気になる人がいた。「クラスの女の子?」と聞かれそうだが、そうではない。学校のある先生がとても気になっていた。
その先生は当時、20代半ば。まだ12歳だった私の一回り近く年上だったが、廊下ですれ違うと、必ず声をかけてくれる優しい人柄にひかれた。

バレンタインが近づくと
ふだんの私は、クラスメートや先生たちから「おしゃべり好きのひさむくん」と言われていたが、その先生が話しかけてくれるときは決まって口数が減った。
2月になり、バレンタインが近づくにつれ、先生からどうしてもチョコレートがもらいたくなった。すると、学校でそわそわしている私を見て、別の先生が声をかけてくれた。その女性の先生は、私が気になっている先生と同い年ぐらいで姉御肌な性格なこともあり、私はよく悩みを相談していた。友だちに話せないことも、その先生には話すことができた。

私が「あの先生からチョコがほしい」と打ち明けると、その先生は「なんだ。そんなことか。じゃあ自分からチョコがほしいって言えばいいじゃないの」と言った。
私はアドバイスをもらっておきながら、「先生、わかってないね。自分からチョコがほしいって言うのはだめなんだよ」と小生意気に返した。

すると、その先生がくすっと笑い、「きみも男としてのプライドがあるんだね」とちゃかし、こう続けた。「好きって言わないと、その思いは相手のなかでは存在しないの」
私がクラスメートに相談せず、その先生に相談していた理由はこの快活さにあった。クラスメートに相談しても、きっと「大人は子どもなんて相手にしないよ」などという答えが返ってくると思ったからだ。

背中を押してもらった私は意を決し、気になる先生に「バレンタインに先生のチョコがほしいです」と言った。たまたま給食の時間で一緒になったときだった。ドギマギする私を見た先生はひと呼吸おいて、「うん、いいよ。でも、ほかの子には内緒にしてね」と言ってくれた。

チョコにも先生の優しさが
約束通り、先生はバレンタインデーにチョコを手渡してくれた。包みを開けると、ディズニーの棒付きのチョコが入っていた。
当時はまだ、私は手を動かすことができた。棒がついていれば、自分の力で食べることができるのではないかと先生は考えてくれたのだった。チョコはもちろん、先生のその優しさや気づかいが本当にうれしかった。

もったいなくて食べるかどうか、数日悩んだ。
相談に乗ってくれた先生に報告すると、「よかったね。ホワイトデーでお返しをしないとね」と自分のことのように喜んでくれた。だが、少し元気のない声で「でも卒業したら、あんまり会えなくなるね」とも言った。

そのとき、私は初めて気付いた。卒業したら、気になる先生とも相談に乗ってくれた先生ともあまり会えなくなるのだ、と。小中高一貫の養護学校とはいえ、教室の階は違うし、先生たちが転勤する可能性もある。
私は少し考え、相談に乗ってくれた先生にこう言った。「ぼく、卒業する前に手紙書く。思いはきちんと言葉にしないと、相手には伝わらないんでしょ?」

先生はにやりと笑った。
「じゃあ、ひさむくんが話した言葉を先生が手紙に書いてあげる」
そういうと先生は、かわいい便箋(びんせん)を用意してくれた。ペンで字を書くことが難しい私の代筆をしてくれたのだ。ペンを走らせ、私の思いを文字として紡いでくれた。

ホワイトデー当日。私はバレンタインのお返しと一緒に、用意した手紙を気になる先生に渡すことができた。後日もらった先生からの手紙の返事は「好きって言ってくれてうれしいけど、ごめんね」というものだった。
正直落ち込んだし、気持ちを伝えないほうがよかったのかなとも考えた。でも、相談に乗ってくれた先生が言うように「好きって言わないと、その思いは相手のなかでは存在しないの」という言葉を信じた行動だった。

今、当時気になっていた先生は結婚され、子育てに奮闘されていると聞いた。ただ、数年前、母校の文化祭で会ったときに思いがけない言葉をかけてくれた。

「今でも、ひさむの手紙を取ってあるの」
私はなんだか恥ずかしくなった。「何年前の話ですか。もう勘弁してくださいよ」と大人ぶりながら返したが、心の中でこう思った。「やっぱり、伝えておいてよかったかな」

佐藤仙務(さとう・ひさむ)
1991年愛知県生まれ。ウェブ制作会社「仙拓」社長。生まれつき難病の脊髄性筋萎縮症で体の自由が利かない。特別支援学校高等部を卒業した後、19歳で仙拓を設立。講演や執筆などにも注力。著書に「寝たきりだけど社長やってます ―十九歳で社長になった重度障がい者の物語―」(彩図社)など。ユーチューブチャンネル「ひさむちゃん寝る」では動画配信も手がける。

http://sen-taku.co.jp/

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佐藤さんの「障害は個性」とは思わないとというエッセー(「障害は個性」、それ本当? 2020/09/10)についてコメントを載せました。彼の下で働く障害者のスタッフに「障害は個性だと思うか?」と尋ねたところ、「障害は障害です」と悲壮感なく答えたという話です。そして、何か壁にぶち当たったときに「障がい者だから仕方ない」ということは決して言わないと言います。障害は個性だという言葉で自分を美化しなくても、彼らは障がい者以前に、自分自身の役割と価値を信じ、懸命に生きているからだという主張でした。

今回は、そんな佐藤さんの思春期直前の思い出です。まだ、手が動くだろうからと棒付きのチョコをお店で買う大好きな先生の姿を、佐藤さんは何度も思い描いたに違いありません。背中を押してくれた先生も粋です。「好きって言わないと、その思いは相手のなかでは存在しないの」と恋の指南をして、ラブレターの口頭筆記を引き受けた先生はどんな思いで彼の横でペンを走らせたのでしょう。なんだかぽかぽかと温かいものがこみ上げてきます。障害は障害でしかないけど、障害があるから恋ができないわけじゃないと、佐藤さんはバレンタインデーのあの日に、失恋したホワイトデーのあの日に二人の先生から学んだのかもしれません。

教科担任制

小学校の教科担任制

2021年2月10日【宮崎日日新聞】

◆優秀な人材確保へ支援を◆
これからの小中高校教育の在り方について、中教審が答申をまとめた。小学校は学級担任がほぼ全教科を教えてきたが、中学のように各教科を専門の教員が教える教科担任制を5、6年生に本格導入することが柱だ。ほかにも高校普通科の再編や、情報通信技術(ICT)への対応、いじめ対策、特別支援教育の充実などさまざまな課題の処方箋を並べた。

鍵は、学校が多忙な「ブラック職場」とされて志望者が減る中で、優秀な教員をより多く集め子どもの能力を引き出せる環境をつくれるかどうかだ。日本の将来を支えるため、国は人材確保に全力を尽くすべきだ。

答申は、2022年度をめどに教科担任制の本格導入を求め、英語と理科、算数を例示した。きめ細かな指導による授業の質の向上が狙いだが、実は、より本質的な面でも効果が期待できる。

担任が一日中、一緒の小学校は「学級王国」とも呼ばれる。担任が指導力を発揮できる半面、学級外からの干渉を認めずに絶対的な存在になる恐れがある。複数の目で評価すれば公平性が保たれ、児童の小さな変化にも気づける。担任が一人で問題を抱え込む危険も減る。

ただ、小学校には英語、理科、算数に精通する教員は少ない。小規模で教員が少ない学校での実現も容易ではない。地域内の他の小中学校と専門の教員を融通し合うような工夫が求められる。

さらに21年度からは小学校の1クラスの上限を5年かけて35人とすることが決まった。既に35人の1年生を除けば、現在、2~6年生は40人で、上限の一律引き下げは約40年ぶりだ。少人数化は教育現場の悲願で、財政難を理由に財務省が拒んできた。だが、新型コロナウイルス禍で教室の「密」を避けて感染防止を求める声が自治体や与野党から上がり、実現した。

小中で30人学級を求める文部科学省が財務省と折衝して今回の形に落ち着いた。よりきめ細かな指導を考えれば、さらなる少人数化を進めたい。

学級数が増える分、新たに5年で約1万4千人の教員が必要だ。公立小の教員採用試験の競争率は年々下がっている。受験者が減り、大量採用世代の退職で採用増が続いたためだ。根本的な解決策は、学校をいかにやりがいのある職場にできるかにかかっている。

精神的に病み、休職する教員は19年度に過去最多を更新した。労働環境を改善し、子どもに向き合う時間を増やせれば、人を育てる仕事の魅力が増し、志望者も増えるのではないか。そのために国は最大限の支援をする必要がある。

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優秀な人材とは何が優秀なのでしょう。学級指導も教科教育も保護者対応も向かうところ敵なしの教師はいません。むしろ問題は、時代はどんどん進んで変化しいるのに何から何まで昔と同じように現場の仕事としてきた教職と言う仕事が制度疲労を起こしているのでしょう。

国算理社体図音習道9教科に、新しく増えた英語にプログラミング、40人の学習進度を見極め生徒指導を行い保護者対応して学校イベントの準備をする。併せて発達障害の子どもの合理的配慮まで法的に課せられています。こんなに忙しくては全教科の勉強ができるわけがないと思います。

でも、昔から教科の教え方の勉強をしている先生は、研究授業の前の先生か新人以外見たことがありません。学年会や様々な打ち合わせと、学級通信を書きテストや宿題の丸付けで8時間の勤務時間は昔から足りていません。

それでも、昔はそこそこ学校は成り立っていました。居残りで勉強した子どももその家族も先生をあてにしてくれました。今は、勉強は学校に期待されていないのです。お金を払って塾に行きます。大阪などは塾費用に月1万円補助してくれる自治体も出てきました。

これほど学校があてにされなくなった今、我こそはとオールマイティーの優秀な人材が集まるとは思えません。学校の仕組みを変え、従来の学校観をかえるしか道はないように思います。制度が現実に合わなくなっているのに個人の責任にするのは改革を遠ざけるトップがよくやることです。そして、制度を変えようとすると既得権益を守ろうとして反対する勢力も、結局改革を遠ざけている人たちと同じです。

 

発達障害児童向けオンライン指導

国内外の発達障害児童教育の格差を無くす! 株式会社AXTが「発達障害児童向けオンライン指導」を海外展開

2021.02.09 11:00【プレスリリース配信 @Press】

株式会社AXT(所在地:東京都新宿区、代表取締役:津嘉山 晋弥、以下 当社)が運営する発達障害・グレーゾーン専門の学習塾「個別指導のコーチング1」は2021年2月より、「発達障害児童向けオンライン指導」の対象を海外在住の日本人へ拡大し、海外展開を開始しました。
これにより国内外の発達障害児童教育における格差を解消する一翼を担うことができます。
詳細は以下の通りです。

■1. オンライン指導を海外展開する理由
海外の日本人学校における発達障害児童教育は日本国内に比べて不十分であり、特別支援教室が設置されている日本人学校は世界で10校ほどしかなく、教室での学習を助ける学習支援員がいる学校もほとんどありません。

また、民間の学習支援についても、海外進出している一般的な学習塾が一部あるとはいえ発達障害の特性に配慮した指導は難しく、隠れた教育格差が存在しています。
このような現実を踏まえ、当社は「発達障害児童向けオンライン指導」を海外在住の日本人へ提供することによって、国内外の教育格差を解消したいという考えに至りました。

■2. オンライン指導の特徴
◎海外在住の発達障害児童に対して完全マンツーマン学習指導を提供
これまで国内で行ってきたオンライン指導を海外在住の発達障害・グレーゾーン児童に対して提供可能となります。
また、オンライン指導は全て完全マンツーマン指導で、新型コロナウイルスの感染リスクが低い自宅で学習することができます。

◎創業10年で5,920件の相談・指導実績に基づいた受験対策・進学支援
当社は受験対策・進学支援を行う学習指導に特化した発達障害専門の学習塾です。
創業10年で5,920件の相談・指導実績があり、この実績に基づいたノウハウを以って生徒の特性の分析や具体的な指導方針、志望校対策などを提案し、帰国後の受験や進学の選択における教育格差の解消を目指します。

◎専門知識が必要な発達検査の解釈および活用
発達検査を受けたにも関わらず、検査を行った臨床心理士や医師から教育における具体的・実践的な助言を貰えることは少ないです。
臨床心理士や医師が、職域を超える教育的助言を控えるのは仕方がないことですが、多くの生徒・保護者は検査結果の活用方法が分からずに困っています。

当社には検査結果を解釈する専門知識がありますので、検査結果を学習指導に反映するだけでなく、家庭での保護者の関わり方や学校の先生との連携方法も提案し、総合的な教育格差の解消を目指します。

■3. 今後の業績見通し

本件に伴う業績への影響等につきましては、必要に応じて速やかにお知らせします。

【会社概要】
商号  : 個別指導のコーチング1(株式会社AXT)
所在地 : 東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワーN30階
代表者 : 代表取締役 津嘉山 晋弥
事業概要: 発達障害・グレーゾーン専門の学習塾・家庭教師の運営
URL   : https://www.juku-coaching01.com/

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検査をしてアセスメントをしてから支援しようというのは当たり前のことですが、発達障害児の学習やSSTをやってるよという放デイでもあまり前面に打ち出しません。というかやみくもにプログラムを展開している感じもあります。当法人のじゃんぷではアセスメントを大事にすることを打ち出していますが、これは放デイ事業のサービス内容ではないので実費で請求しています。

しかし、大阪東京の個別指導塾とはいえ、アセスメントも指導料も結構な値段です。検査料金は14,000~15,000円となり、提携している心理士がおり、塾には検査結果を支援に読み込めるスタッフが揃っているそうです。じゃんぷは心理士がスタッフにいますのでアセスメントと指導はダイレクトにつながりますし、料金も半額以下です。指導料は週1回で月18000円ほどだそうですが、放デイなら週1回90分来ておやつ代込みで月3000円くらいです。塾か放デイかの区別はあまり関係なく、発達障害の生活や学習の困難さを軽減するエビデンスに基づいたプログラムは同じです。

これをリモート学習で、海外在住の日本人子弟まで広げるというのですから需要が見込めるのでしょう。考えてみればリモートなら国内も海外も関係がありません。ネット環境さえ整っていれば地球の裏側でも時差はあるにせよ指導は同じです。いいところに目を付けていると思います。

 

消える公立高願書の性別欄

消える公立高願書の性別欄男女の見た目統一に懸念も

2021.2.8 10:45 【産経新聞】

公立高校の入試の入学願書から男女を問う性別欄を廃止する動きが近年、全国で加速している。体と心の性が一致しないトランスジェンダーの生徒への配慮を背景に、「願書に性別を記載する必要性はない」という判断からだ。大阪府や京都府などが以前から廃止しているほか、兵庫県など今年度から撤廃するところもある。一方で、「性別による統計自体は必要」との指摘もあり、制服などで形式的に男女の見た目を統一化する「ジェンダーレス化」を懸念する声も上がっている。(藤井沙織、地主明世)

大阪府教育庁は平成30年、全庁的に行政文書での「不必要な性別記載欄」を見直した際に願書の性別欄を廃止。担当者は「自認する性別とは異なる戸籍上の性別を書くことは、生徒にとって苦痛。高校に男女別の定員もなく、必要ないと判断した」と話す。

性別欄の廃止は、学校におけるトランスジェンダーの児童生徒への配慮を求めた27年4月の文部科学省の通知をきっかけに広まった。兵庫県教委も「県全体で行った不必要な性別欄の見直しの一環」として今年度から廃止。同じく今年度からの富山県教委と、昨年度に廃止した京都府教委は「精神的な負担の軽減。全国的な動きを踏まえた」とする。ただし、いずれの教委も「体調不良の際の対応など入試運営に必要」(大阪府教育庁)などとして、中学校が作成して願書と一緒に高校に提出する調査書には男女の記載がある。

■「性別による統計自体は必要」
願書に限らず文書の性別欄の必要性を見直す自治体は多いが、本当に不要なのか。奈良女子大の三成美保教授(ジェンダー法学)によると、「事案の調査や分析のため、性別による統計自体は何事においても必要」という。こうした統計がなければ、例えば性別を理由にした不当な扱いにも気づけない。しかし、入試の調査書のように別の書類で統計がとれる場合は必要最低限にすべきだとし、「必要な場合も、『答えない』など男女以外の選択肢を」と訴える。

トランスジェンダーの当事者で講演などの啓発活動をしている山崎あおいさん(50)は「当事者は性別欄にどちらの性別を書けばいいかと悩み、現実を突きつけられて苦しむ。年を重ねれば割り切れるようにもなるが、未成年には難しい」と、不要な性別欄の廃止を歓迎する。

一方、願書の性別欄を残す自治体もある。千葉県教委の担当者は「なくしてほしいという要望を受けていないので廃止していないが、書きたくなければ空欄でいいと学校を通じて説明している」。東京都教委の担当者は「各校で男女別の定員があり、願書に基づいて男性か女性かを判別した上で合否判定を行っているため、性別は必要な項目だ」と話している。

■性差なくす「ジェンダーレス化」に懸念
トランスジェンダーへの配慮は入学願書の性別欄だけでなく、更衣室やトイレの個室化など社会全体に広まりつつある。そんな中、学校現場で導入が進んでいるのが、女子生徒もズボンをはけるなど、男女でデザインに性差のない「ジェンダーレス制服」だ。出生時の性別に違和感のある生徒が、そのことを意識せずに過ごせるようにという意図がある。しかし当事者の山崎あおいさんは、トランスジェンダーへの配慮を理由に男女の見た目を統一化することには懸念を抱く。

近年は、子供の名前を男女どちらでも通用するものにしたり、男性も化粧をしたりするなど、性別にとらわれない「ジェンダーレス」の考え方が広まっている。また、性的マイノリティーを表す言葉として「LGBT」という言葉も定着し、多様な性の存在が認識されるようになった。

しかし山崎さんは「男女で同じ見た目を求めるジェンダーレス化は、『性別にとらわれない』ではなく、性の統一化。多様性とは逆行する」と指摘。その上で「かっこいい服、かわいい服を着たいという気持ちは、私たち当事者も同じ」と話す。

三成美保教授も「大切なのは性差をなくすことではなく、誰もが自由に服装や振る舞い、言葉遣いで自分の性を表現できる社会にすることだ」と強調する。性認識は男性か女性かの両極ではなく、グラデーションのように多彩だからだ。

学校によっては、性別を問わず制服のスカートとズボンを選べる例もある。しかし、実際に男子が周囲の目を気にせずスカートをはくのは難しい。そんな現状を変えるために、三成教授は「学校でトランスジェンダーの当事者の話を聞かせるなど、子供の頃から多様な性があると教えることが大事だ」と話している。

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東京都教委の性別が必要な理由として・各校で男女別の定員・男女を判別し合否判定というのには驚きました。性差で合格ラインの差別をしているわけです。こう言えばきっと「女子の方が成績が高い」から「男子が少なくなる」と言うのでしょうか。だから男には下駄をはかせて合格させてやろうというわけです。時代錯誤も甚だしいです。高校に男女の人数差があってもかまわないと思います。試験結果が男女不平等の方がはるかにおかしいと思います。

今回はこの発言に驚いて他の情報が入ってこない感じですが、多様性社会は統一化社会ではないという論調に賛成です。結局、男女以外が書き込めないことへの配慮といいつつ厄介なことから逃げたい役人根性が見え隠れします。そして、性別を書かないことで子どもたちはどのようにこれを理解するか教育論議はなされたのでしょうか。確かに、男女のどちらかを聞かれたときにどちらでもないと感じる人はいるでしょう。

だからと言って、「その他」の項目を設けないのは、それはそれで少数者のカミングアウトを強制していると言われかねないからです。しかし、教室ではこのことを議論してほしいのです。多様性社会を目指すと言っても、子どもたちの中では性差をネタにした遊びやいじめが蔓延しています。このことに立ち向かっていかなければ、結局、面倒なことは書かさなければいい、表に出さなければいいとネガティブに理解されてしまうのではないかと思います。

香港政府が国安法の学校指導要領

香港政府が国安法の学校指導要領、6歳から法規定を勉強

2021年2月5日 午後3:58【香港ロイター】

香港政府は、昨年施行した国家安全維持法(国安法)について学校向けのガイドラインを出した。国安法で禁じる外国勢力の介入や政権転覆について6歳から教えることなどが盛り込まれている。

4日夜に公表された教育局のガイドラインは、民主化運動が盛んな香港を中国共産党の路線に沿うよう社会変革を目指す内容。

「国家の安全は非常に重要である。教師はこれを議論の余地のある問題として扱うべきでない」とし、教師は「国家の安全を守ることは全国民の責務であり、国家の安全について議論や妥協の余地がないと明確に指摘」すべきだとしている。

初等学校では、国歌の斉唱や「敬意をもって聴く」方法を教えるほか、警察や人民解放軍を香港を防衛してくれる機関として教える。国家分裂、テロリズムなど国安法で定める4つの処罰対象も教える。

中等学校では、中国が国際社会で直面する課題や機会、国安法の4つの罪について教育する。

インターナショナル・スクールや私立学校には異なるカリキュラムを認めるが、国家の安全の概念を正しく理解させる責任を負うとした。

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盗人猛々しいとはこのことです。自分たちは国際法も国際慣習も従わぬとして、東シナ海も南シナ海も占有して、武漢風邪でWHOが調査に入るというとWHO加盟の最大国にもかかわらず1年間も調査を遅らせて証拠を隠滅しました。チベットやウィグル、内モンゴル自治区での民族弾圧は人権意識などみじんもありません。そして、中国は香港特別行政区基本法で「1国2制度」を定めたのにそれも反故にしてしまいます。子どもに法は守るべきものだと言っても中国共産党の無法ぶりが際立つだけです。

そればかりか、中国共産党は自分の国以外での中国政府への批判も、今回の香港国安法で「外国の国家、機関、組織もしくは個人から直接的あるいは間接的に指示や統制を受けたり、資金やその他の援助を得る者」について、特定の活動を遂行することで国家安全保障に敵対しているとみなされた場合、当事者も支援者も有罪とするとしました。中国共産党が国家安全に敵対すると指定すれば何でもかんでも違法扱いするぞと言うのです。自分は国際法にも従わないが、自分の国の悪口を言うやつは国外でも処罰するという法に世界中が従えというのです。こんな法律を子どもに守れという国は、終わりが近いか世界を呑み込むかどちらかだと思います。

健康状態集約アプリ

集団感染の兆候つかめ企業や学校で健康状態集約アプリ

2021年2月4日 16時30分【朝日新聞】

新型コロナウイルスの集団感染の兆候をいち早くつかむためのスマホのアプリ普及を、長崎県が進めている。コロナにみられる症状の有無を毎日一人ひとり入力し、集団全体の健康状態を「見える化」する仕組みだ。介護施設をはじめ県内の1千超の企業や団体、学校が、無償提供を受けたアプリを活用。異変の兆しがないか注視を続ける。

昨年末、県内のデイサービス施設で、利用者1人の陽性が判明し、職員の間に緊張が走った。接触した可能性がある職員や利用者計約120人の陰性をひとまず確認した。だが、隠れた感染者が本当にいないのか、不安はぬぐえない。

そこで職員が頼りにしたのが、県が提供するアプリ「N―CHAT」だ。体温だけでなく、全身のだるさや頭痛など18項目に及ぶ症状がある人の増減をパソコン上でグラフ化できる。敷地内の別の施設も含め職員110人分の症状を毎日アプリを通じて集約し、観察し続けた。その後、異変はなかった。

職員の女性は「以前は検温でその日に異常がないかだけしか分からなかった。アプリで変化に注意できるようになった」と言う。

県提供のアプリは昨春、長崎港に停泊中の大型クルーズ船であった計149人の集団感染をきっかけに誕生した。チャット式で症状を入力するアプリを富士通(東京)の協力で開発。船内の乗員の健康状態をアプリを通じて毎日集約した。

厚生労働省クラスター対策班として対応に当たった山藤栄一郎・前長崎大熱帯医学研究所助教(40)=現福島県立医科大教授=は「発熱を訴えた人は初めの頃だけ。症状全般が減っていくのを見て、感染の広がりが収まったと確信できた。コロナは無症状の人がいる以上、ウイルスの侵入を完全には防げない。集団内の異変の早期発見に生かせると思った」と話す。

このアプリの効果を目の当たりにした長崎県は、県内での普及を決定。富士通と契約し、昨年8月末から無償提供を始めた。

地域医療の崩壊を防ぐには、高齢者施設でのクラスター(感染者集団)発生を抑えることが鍵だ。導入先の7割近くが介護施設。先のデイサービスを含む3カ所で感染者が出たものの、いずれもクラスターには発展しなかったという。

活用の幅は広がっている。長崎市の長崎歯科衛生士専門学校は昨秋、学生約100人の健康状態の把握のために導入。手書きと転記の手間が消えた。日本水泳連盟学生委員会九州支部(熊本市)や長崎県バスケットボール協会は、試合2週間前から選手らに健康状態を入力してもらい、開催可否の判断材料にした。他県から県に問い合わせも来ているという。

県はさらに普及を進めるため、無償提供を当面続ける予定だ。県福祉保健課は「『長崎モデル』が全国にも広がっていってほしい」としている。(小川直樹)
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一方で、感染拡大を防ぐ政府の「切り札」として導入された接触確認アプリ「COCOA」。利用者の約3割を占めるアンドロイド版が昨年9月末から4カ月以上、機能していないことが分かって大騒ぎになっています。原因はあまりにプライバシーの保護を厳密にした結果、不具合までがわからなくなったといいます。接触者情報が濃厚接触者でなくても反応してしまう不具合を直しているうちに、アンドロイド携帯用は濃厚接触にも反応しなくなったといいます。

海外の政府が提供する感染監視アプリではGPSで個人の追跡まで行うものがあります。プライバシーの保護が大事かクラスター感染で死者を出さないことが大事かという選択で、日本政府はプライバシー保護を選んだのです。これには憲法に国民の権利を一時抑制する国家非常事態宣言の条項がないからだそうです。ならば、仕方がないです。この憲法下ではプライバシーを守るために、結果的にはポンコツアプリしか提供ができなかったわけです。

ところが長崎ではこのプライバシーの垣根をやすやすと越えてしまうアプリが導入されていたのです。結局、自治体の長やその下で働く職員の本気次第だということかもしれません。役人が本気なら県民も本気で応えてくれるということだと思います。

EdTech導入実証事業の事例共有会

「すららドリル」 EdTech導入実証事業の事例共有会を開催 一人一台端末未整備校やコロナ休校時における家庭学習の工夫を共有

2021年2月4日 10時00分【すららネット】

株式会社すららネット(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:湯野川孝彦)は、EdTech導入補助金活用校を対象に、AI×アダプティブ教材「すららドリル」の事例共有会を実施し、一人一台端末未整備校やコロナ休校時における家庭学習の工夫など、EdTech導入実証事業における活用校の事例を共有しました。

すららネットは、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念とし、AI×アダプティブ 教材「すらら」を、国内では 約 2,100校の塾、学校等に提供しています。全国の有名私立中高、大手塾での活用が広がる一方で、発達障がいや学習障がい、不登校、経済的困窮世帯を含む生徒に学習の機会を提供するなど日本の教育課題の解決を図ることで成長を続け代表的な EdTech スタートアップ企業として2017年に東証マザーズに上場しました。

AI×アダプティブラーニング教材「すらら」は小学校から高校までの国語、算数/数学、英語、理科、社会 5教科の学習を、先生役のアニメーションキャラクターと一緒に、一人一人の理解度に合わせて進めることができるアダプティブな e-ラーニング教材です。レクチャー機能、ドリル機能、テスト機能により、一人一人の習熟度に応じて理解→定着→活用のサイクルを繰り返し、学習内容の定着をワンストップで実現できます。初めて学習する分野でも一人で学習を進めることができる特長を生かし、小・中・高校、学習塾をはじめ、放課後等デイサービス等においても活用が広がっています。すららドリルは、アダプティブなドリルと自動作問・採点機能を有するテストにより、学びの個別最適化を実現する「すらら」の姉妹版という位置づけで、主に公立小中学校で活用されることを想定し提供を開始しています。

2020年8月に経済産業省の令和元年度補正 先端的教育ソフトウェア導入実証事業(以下、EdTech導入実証事業)の補助金交付が決定し、672校、約25万人の生徒が「すらら」または「すららドリル」での学習を開始しています。

新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校を経て、GIGAスクール構想*による全国小中学校への一人一台端末整備の計画が加速し、2020年度内には配布が完了する見込みです。一方、学校現場においては、急な休校に伴う学習継続手段確保やオンライン授業の準備、また、再度登校が始まってからの感染防止対策や行事の見直しなど、これまでにも増して対応すべき課題が山積し、教員の負担が増大しています。「すららドリル」の導入により、児童生徒の学習の効率化とともに、教員の働き方改革が期待されています。このたびの事例共有会は、「すららドリル」活用が始まった学校間で事例を共有することにより、全国の教育委員会や学校間でさまざまな体験を共有し、ともに効果を高めあい、学校間の横のつながりを強化することを目的として開催しました。

オンラインで開催した事例共有会には80名以上が参加し、全国の4校から現状や課題、これからの展望について紹介がありました。

茨城県つくばみらい市立小張小学校 田上 和久校長は「市内の学校と連携した進め方」と題し、導入に至るまでの教育委員会や市内他校との連携や、一人一台環境の整備が完了していない中で時間割を工夫して取り組んだ様子を発表しました。使い方を先に学んだ上級生が下級生に操作方法を教えるといった学びあいの工夫についても紹介しました。

大分県玖珠町立くす星翔中学校 ICT支援員 江藤舞氏は「ICT支援員より事前研修での気づきの共有」と題し、教員が「すらら」をよく知り、生徒の取り組みを促す軌跡について発表しました。生徒の活用を促すには、教員が特性をよく知ることが重要であること、まずは恐れずやってみるという姿勢で臨むことといったポイントについても紹介しました。

神奈川県鎌倉市立小坂小学校 波多野 芳宏先生は「1人1台端末の管理と活用の工夫」と題し、導入当初からメディアリテラシーのルールを共有し、端末利用に慣れるに従い開放時間を増やしたことによりトラブルなく利用できるようになった経緯について発表しました。その結果、朝時間などの一斉利用にとどまらず、休み時間や隙間時間に自分に合った学習に取り組めている様子も紹介しました。

滋賀県守山市立守山北中学校は「中学3年生の受験に向けた使い方」と題し、「すららドリル」のテスト機能を利用し、生徒一人ひとりに個別最適化された学習を実現した点について発表しました(すららネットスタッフによる事例紹介)。一方で、現状の授業前5分学習のみでは学習時間が不足しており、今後は学校のカリキュラムに合わせ生徒の学習意欲向上に向けた取り組みが求められるといった課題についても紹介しました。

まとめとして、経済産業省 商務・サービスグループ サービス政策課長(兼)教育産業室長浅野大介氏より、「OECD Education 2030**」で謳われている1.新しい価値の創造 2.ジレンマの克服 3.責任ある行動 を実現するための、教育の再デザインの第一歩として一人一台端末とインターネット環境が必須である、というGIGAスクール構想の着想と実現に向けた経緯について紹介がありました。また「すららドリル」が「自律調整型の学びへの変換」のきっかけとなる点を指摘し、「すららドリル」での学習をきっかけに自ら学ぶ子どもたちと、子どもたちをサポートする先生たちに激励の言葉を贈りました。

受講した教員からは、今後の活用について「自習の時間や家庭での課題に活用するのが有効的だと感じました。また、自分の苦手な課題を繰り返し学習できることや、前の学年の復習を行えると、学習が積み重なっていくので使っていきたいと思います。」といったコメントや、「一人一台端末が3月に可能になるようなので、すぐに使えるように環境を整えていきたいと考えます。また、OECD Education 2030もしっかり解釈し,子供たちに返していきたいと考えます。」といった今後への意気込みが寄せられました。

すららネットは今後も、新しい学習体験を届ける事業活動を通じ、学習者に「大人になっても役に立つ真の学力」と「努力をすれば結果が出るという自信」を提供していきます。

*GIGAスクール構想
文部科学省が主導する、1人1台端末とクラウド活用、それらに必要な高速通信ネットワーク環境の実現を目指す5年間の計画
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm

**OECD Education 2030
OECD(経済協力開発機構)が推進する、新時代の教育のための事業計画
https://www.oecd.org/education/2030-project/about/documents/OECD-Education-2030-Position-Paper_Japanese.pdf

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GIGAスクール構想に武漢風邪による学校休校が追い風になって我が国ではものすごい速さでICT教育導入が進み始めています。すでに、小さな自治体からタブレット端末やPCノートの全児童生徒配布が始まっています。ところが、以前にも述べたようにiPad届いたのに制限だらけ 01/19 それを使う教師や大人の頭と、使う環境が全く追い付いていません。日本人は同調圧力の文化なので様子を見るのが長すぎます。様子をうかがっているうちに我が国よりはるかに生産力の低い国にも追い越されて、トップの欧米とは20年の差がついてしまいました。

横一列にならないと新しいことに手が出せなかった結果、GOOGLE等他国の一民間企業のプラットフォームを公教育が選ばざるを得ないという情けない事態も招いています。その中で国内で順調に利用者を伸ばしているのが「すらら」です。スタンダードがまだ定まってない業界は早い者勝ちの世界です。ぜひとも、国産のICT教育産業が海外資本を打ち破るよう応援したいと思います。教育は未来の安全保障と大きく結びついていると思うからです。

また、学習障害とICT教育は親和性が高いですから、療育にも役立つものですが、これを支援に使う人たちの頭が追い付いてきていません。また、発達障害に特化するということから需要が少ないのでいくつものアプリが生まれては消えてきました。他国の発達障害支援ICTの動向を見ていると、発達障害一本で成り立たせようというのに無理があり、関連企業が支えたり、クラウドファンディングで支えたりするようです。「すらら」にも小学校低学年までの発達障害バージョンがありますが、カスタマイズ機能がないので誰にもというわけにはいかないようです。こちらも、関連企業や関係者が関わりながら開発が進められるような「なんでもあり」の取組が求められます。

授業の詰め込み

内田樹「コロナによる授業の詰め込みで、学校が“荒れている”のではないか」

2021.2.3 07:00【AERA】

高校生の自殺者が増えている。厚生労働省は進路の悩みや学業不振が要因だと説明しているが、主因はコロナによる学校生活の変化だと私は思う。高校生たちはこの1年間修学旅行も運動会も文化祭も部活も、学業以外のほとんどの活動の自粛を余儀なくされてきた。そして、全国一斉休校の余波で遅れた授業時間数を取り戻すために、学校によっては6限を超えて7限まで授業を行っていると聞いた。

学習指導要領に定められた内容を教え切るために、詰め込めるだけ詰め込むタイプの授業をしていると子どもたちは壊れてゆく。「ゆとり」以前の、学習内容が最多であった時期にどれほど学校が荒廃したかを多くの日本人はまだ記憶しているはずである。教えることが多すぎて、教師は生徒たちが授業内容を理解するまで時間をかけることができなかった。授業についてゆけない生徒たちは自分が教室にいることの意味がわからなくなった。周りからはまるで「存在しない人間」のように扱われた。自尊感情を深く傷つけられた生徒たちは「私はここにいる」と訴えるように「荒れた」。

今それと似たことが起きているのではないか。短期間に学習指導要領どおりの内容を教え切ろうと無理をしているせいで、教員たちには生徒一人ひとりをケアするだけの余力がない。授業が理解できず脱落する生徒たちを支援する手立てがない。先日友人が「何年ぶりかに暴走族を見た」と驚いていた。「荒れる」高校生と「自殺する」高校生は同じ教育環境の産物であるように私には思われる。

大学ではオンライン授業で、教師と学生との個人的なメールのやりとりが制度的に担保され、対面授業のときよりもむしろていねいな個別指導ができるようになったそうである。これまでだったら早い時期に授業から脱落したはずの学生が学期最後まで受講して、きちんと課題を出し、試験に通るようになったと聞いた。

ことは子どもたちの命にかかわることである。一斉休校と詰め込み授業のせいで中高の生徒たちがいま味わっている苦しみについて、教育行政の担当者はもう少し本気で想像力を働かせて欲しい。

内田樹(うちだ・たつる)/1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい内田樹の大市民講座』『アジア辺境論これが日本の生きる道』など多数

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大人の都合で、ゆとりで学習内容が少ないと言われたり、多いから想像力が育たないと言われたり、挙句感染症で休校だからと内容は減らさず行事を減らして詰め込んだりおおよそ児童中心とは言い難いです。人間性の育ちに大事なものは人との良い関係性です。多様な人から教えてもらったり教えたりの関係はゆとりがなければできないことです。

知識はこの関係性を通して伝わるのです。確かにAIなら一定の教え方で授業者に合わせて教えてくれるでしょう。それは様々な学習者の情報から解析されて最もマッチするものを提供するのですから、そこらの駆け出しの教員にはできないことでしょう。しかし、それでも生活の中にAIは存在することはできません。

悲しみや迷い困惑や恥じらいなど微妙な学習者の感情や理由を解析するAIが今後開発されたにしても、バーチャルな関係性と生身の関係性は違います。学びの場所は従来の学校に固定する必要はないにしても、学び合う関係性はそう簡単に置き換えられるものではないと思います。学び合う関係にはゆとりが必要だと思います。追い立てても良い結果にはなりません。何しろ日本中の事なのですから、文科省が休校の分だけ後学年に回す判断をすれば済む話です。良いものを創り出すには余裕と「遊び」が必要です。

学校苦慮・・・緊急事態延長で見通し立たず

<新型コロナ>校外学習や修学旅行はどうなるの?学校苦慮・・・緊急事態延長で見通し立たず

2021年2月2日 06時00分【東京新聞】

新型コロナウイルス対策で緊急事態宣言が3月上旬まで延長される見通しとなったことで、学校現場では校外学習や修学旅行が実施できない可能性が高まり、頭を悩ませている。宣言解除を一つの目安と考えている学校もあり、コロナ禍での感染防止対策と学びの保障との両立に苦慮している。(奥野斐)

「宣言の期間が延びると校外行事は難しい。対応をどうするか悩む」。東京都江東区の区立小学校に勤務する男性教諭(46)はため息を漏らす。同校では毎年、近隣企業の協力を得て、校外で英語を学んだり職業体験をしたりする機会を設けてきたが、今年はコロナ禍で延期になった。

江東区教委は、区立学校向けガイドラインで、遠足や社会科見学などは原則中止とし、修学旅行の代替として行う「想い出に残る行事」は宣言解除後にするよう明記している。男性教諭は「今年はコロナで何もできなかっただけに、6年生だけはなんとか実施させてあげたい」と話した。

緊急事態宣言に伴い、1月から分散時差登下校をしている豊島区立仰高小では、宣言延長でこの態勢をしばらく続ける予定。各クラスを2グループに分け、それぞれの登校時間を決めており、新井裕校長は「仲の良い友達と自由に登校したい子もいると思うが、もう少し我慢」と理解を求める。

今月に行う「6年生を送る会」は、感染防止対策から他学年の出し物などは離れた教室から同時中継したり、事前収録したりする。新井校長は「宣言が解除になれば多少やり方を緩めることも考えたが、できる範囲でやりたい」と話す。

修学旅行の中止を決めている地域も多い中、対応に苦慮するのは墨田区。区立中10校の約半数は昨秋に修学旅行を実施したが、残る学校は2月下旬から3月上旬に予定している。区教委の担当者は「教育的な意義と安全性をふまえて再度検討する」と話した。

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今回の宣言や延長は世論に押された政権のリスク回避の判断ともいわれます。すでに1月緊急宣言前に陽性者のピークアウトは過ぎていたという事実や、結果論だが緊急宣言を出した自治体だけでなくすべての自治体で同じような減少カーブを描いていることからも、宣言発出の根拠が薄いという見解もあります。その結果、飲食業に関わる流通業や生産者も含めて店を閉める事態になり、そこに関わる就労者も失業して行き場を失っています。失業者の増加は自殺者を増やし、明確な統計値で死亡数が示されています。

政府は様々な失業防止策を講じているとは言われますが、GDP予測はすでに前年度にはるかに届かないというのですから、需要そのものが落ち込んでおり、品物を減らす生産調整をしないと値崩れが起こります。生産調整とは簡単に言えば人手を減らすことで失業者が増えるというわけです。武漢肺炎の日本の死亡者は10万人あたりで5人で、ほぼ高齢者ですが、完全失業率が1%上昇すると、10万人あたり約25人の自殺者増加につながり、多くは働き盛りの方が自殺するのです。

子どもが困るのは、大人の事情で行われる学校の感染防止策です。先日も鹿児島の学校で、感染情報から差別が生じないようにと気遣いをして、身内にも知らせないように担任が保護者に要請した報道がありました。昨年は、感染予防と称してクレーム回避を意識したような運動会や修学旅行が報道されました。風評被害対策に学校と子どもが巻き込まれていると言う図です。

該当地域や校内に感染者がでて対策を講じる状態があるなら様々な自粛や予防策が講じられるのはわかります。しかし、感染者もいないのに転ばぬ先の杖として行事や校外活動を中止するのは、今の政権と同じように、感染者が出たとき学校側の責任が問われるリスクを回避をしているように見えます。子どもには風邪程度の実害しかない感染症なのに、お年寄りのためだと言って過剰な自粛を強いるのは教育的にも良いこととは思えません。こうなっては、早い時期に繰り上げ解除が実現するように願うばかりです。

消えた「はだ色」、聖徳太子の名称変更

消えた「はだ色」、聖徳太子の名称変更小学校の「新常識」

1/29(金) 17:00【週刊朝日】

昭和・平成・令和と三つも元号が変われば、世の「常識」もガラリと変わり、気づけば浦島太郎状態に──。なかでも教育現場は、そんな「新常識」のオンパレードだ。たまには、子や孫の教科書をめくり、学校の話を聞いてみてはどうだろう。

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「はだ色のクレヨン、取ってちょうだい」
東京都内在住の女性は、小学1年生の娘が学校で使うクレヨンに一本一本、「お名前シール」を貼っていた。すると、娘からは思わぬ言葉が返ってきた。
「はだ色は、ないよ」
不思議に思って「はだ色」を手に取ると、クレヨンに巻かれた紙には「うすだいだい」と印字があった。

総合文具メーカーのサクラクレパスの広報担当者が説明する。「20年ほど前に、『多様な国籍の人が暮らす時代において、差別的だと感じる人もいる』との問題提起があり、業界全体で『はだ色』の名称は使わなくなりました」

教育現場でも、国籍や男女の垣根は消えつつある。クラス名簿は、男女混合の50音順が主流に。「蒼」や「葵」で「あおい」と読む男の子の名前も一般的で、名簿で男女の区別はつかない。運動会も変わった。受験を控える小学6年や中学3年の保護者は、ケガで勉強に支障が出るのを嫌がる。「名物だった組み体操のピラミッドやタワーをやめる学校は、年々増えています」(都内小学校の女性教員)

安全性への配慮は手厚くなった。理科の実験でおなじみだったアルコールランプも、カセットコンロに移りつつある。アルコールランプに使われる液体のメタノールは、気化しやすく爆発の危険があるためだ。「マッチを触ったことがなく、火をつけられない子どもが増えたという背景もあります」(大手科学教室のスタッフ)というから、将来がちょっと心配になる。

校庭の白い「ライン引き」に使うライン材も、中身が変わった。2007年、文部科学省は全国の教育委員会などに、強アルカリ性の消石灰系のライン材は目に入ると視力障害を残す危険性があると指摘した。それを受けて、弱アルカリ性の炭酸カルシウム系のライン材に移った。

みさき眼科クリニック(東京都渋谷区)の石岡みさき院長が警告する。
「消石灰系のライン材は、漂白剤の『ハイター』が目に入るのと同じくらい危ない。目の角膜が再生できないほどの視力障害を負ったケースもあります。炭酸カルシウムも、弱いとはいえアルカリ性。風で舞った際に目に入らないよう、気をつけて」

消えた「昭和のアイテム」といえば、プールの腰洗い槽と目の洗浄用蛇口もある。腰洗い槽は肌寒い日、“苦行”の代名詞だった。塩素入りの腰洗い槽は時代とともに、大腸菌で汚染される可能性が知られていった。数十秒のシャワーで同じような殺菌効果が得られ、濾過(ろか)装置付きのプールが各地で増えるようになり、退場を余儀なくされた。

小さい穴つきの蛇口が上を向いた、洗眼用の水道蛇口もいまは昔。
変化の背景には、日本眼科医会の、塩素や排尿やふん便、鳥が泳ぐなどして汚染されたプールの水が角膜に悪影響を与えるとの指摘も大きい。

前出の石岡院長は、研究グループのメンバーとしてこの問題に取り組んでいた。洗眼は戦後の日本でたくさんの失明者を出した眼感染症、トラコーマ予防策の名残だとしたうえで、次のように説明する。「ゴーグルを装着すれば洗眼の必要はありません。プールや水道水の消毒に欠かせない塩素が、角膜を傷つけることもある」小学校の学習指導要領には、「水にもぐって目を開ける」という指導例があるが、水泳時には小学生でもゴーグルを着用してほしい。

教科書も変わった。
改めて読むと、昭和世代には驚くことばかりだ。その象徴的なものは、死後の呼称である「聖徳太子」から、「厩戸王(うまやとおう)」への変更だろう。10人の言葉を一度に聞き分け、十七条憲法を制定したり、巨大帝国だった隋を相手に“対等外交”を主導したりしたスーパーヒーローだ。

『逆転した日本史』などの著書がある歴史研究家、河合敦氏が話す。
「小中学校の教科書は、学習指導要領の関係から聖徳太子の名称とともにヒーローのままですが、近年の高校の教科書は、政治の主役は推古天皇で、厩戸王(聖徳太子)はその協力者に変わっていた」

歴史上の人物の肖像画の「別人説」も次々に浮上している。
旧1万円札の肖像でおなじみだった聖徳太子像。原画となった宮内庁所蔵の「唐本御影」肖像画もその一つだ。「高校の教科書から件(くだん)の肖像画は消え、中学の歴史教科書では、『聖徳太子と伝えられる肖像画』と、自信なさそうな表現に変わりました」(河合氏)

国宝「伝源頼朝像」は、足利尊氏の弟、直義だとの研究もなされている。足利尊氏像と覚えた「騎馬武者像」も、別人だった疑いが強まった。ここまで教科書が変わった背景には、学習指導要領の影響もある。「政治史の王道、『江戸の三大改革』を実行した徳川吉宗、松平定信、水野忠邦の名前が小学校の教科書から消えたことでもわかりますが、いまの教科書は政治史から文化史や外交史に重点が置かれています。また、新しい研究の成果がより反映されている印象です。新説はまず本文外の脚注に載り、それが定説になると、本文に“昇格”していきます」(同)

かつては「士農工商」で教えられた江戸時代の身分制度の記載も、歴史教科書からなくなった。武士(士)・百姓(農)・職人(工)・商人(商)という固定的身分が存在するのではなく、武士が支配階級として君臨し、その下に百姓や職人、町人がゆるやかに並列して連なっていたイメージだったようだ。養子縁組で町人が武士になるなど、それなりの“自由”もあったという。

江戸幕府の「鎖国」も、実際は長崎や対馬、薩摩を窓口にオランダや中国などと交易していたとされるから悩ましい。「誤解を生みやすい『鎖国』の用語について、文科省は改訂を試みましたが反対が強く、いまだに使われています」(同)

機会があれば、子や孫の教科書をめくってみると、世相の変化や新たな発見に出会えそうだ。(本誌・永井貴子)

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昭和生まれの知識では子どもたちに「古ぅ~」と言われそうです。「肌色の何が悪い、ちびくろサンボの廃止は焚書や文化大革命と同じだ」とポリティカルコレクトネスには意見がありますが、教えられなくなった言葉を使う事で、子どもたちに「おっちゃんは昭和やから…」ともいわれたくないです。ただ、運動会でひたすらピラミッドの底辺を支えてきた者にとってはよくぞ廃止してくれたと思うところもあります。カセットコンロと言えばすき焼き・水炊きと相場が決まっており、理科室とは相性が合わないです。マッチが擦れないと、アウトドアで山ガールに鼻で笑われそうです。けれども、その一方で火おこし動画が花盛りなので人力着火はすたれることはないと思います。

消石灰系のライン材で毎日コートを引いてきた者にとっては怒り心頭に発します。消石灰の強アルカリ性は昭和から分かっていたはずなのになんで子どもに使わせたのか疑問ですが、塩素消毒したプールの中で「目を開けて!」と指導されたことから考えると、先生たちも知らなかったようです。でもラグビーと水泳部の顧問は化学の先生だったので、知っていたけど長いものに巻かれていたのかもしれません。

「聖徳太子」と「厩戸王(うまやとおう)」は昭和の1万円札を知るものにとってはさみしい限りですが、聖徳太子の逸話は作り話に決まっているような話でしたからやっぱりねとは思います。徳川吉宗の話も盛りに盛った歴史話とすれば暴れん坊将軍のドラマはどうなるんでしょうと心配したりしていますが、子どもたちは「は?それ何?」と知らないのです。実にジェネレーションギャップを感じる今日この頃です。