みんなちがってみんないい
年上の先生のチョコの思い出
「ほかの子には内緒だよ」年上の先生のチョコの思い出 佐藤仙務
2021年2月11日 10時00分【朝日新聞デジタル】
もうすぐバレンタイン。私には、忘れられない思い出がある。
小学6年生のころ、気になる人がいた。「クラスの女の子?」と聞かれそうだが、そうではない。学校のある先生がとても気になっていた。
その先生は当時、20代半ば。まだ12歳だった私の一回り近く年上だったが、廊下ですれ違うと、必ず声をかけてくれる優しい人柄にひかれた。
バレンタインが近づくと
ふだんの私は、クラスメートや先生たちから「おしゃべり好きのひさむくん」と言われていたが、その先生が話しかけてくれるときは決まって口数が減った。
2月になり、バレンタインが近づくにつれ、先生からどうしてもチョコレートがもらいたくなった。すると、学校でそわそわしている私を見て、別の先生が声をかけてくれた。その女性の先生は、私が気になっている先生と同い年ぐらいで姉御肌な性格なこともあり、私はよく悩みを相談していた。友だちに話せないことも、その先生には話すことができた。
私が「あの先生からチョコがほしい」と打ち明けると、その先生は「なんだ。そんなことか。じゃあ自分からチョコがほしいって言えばいいじゃないの」と言った。
私はアドバイスをもらっておきながら、「先生、わかってないね。自分からチョコがほしいって言うのはだめなんだよ」と小生意気に返した。
すると、その先生がくすっと笑い、「きみも男としてのプライドがあるんだね」とちゃかし、こう続けた。「好きって言わないと、その思いは相手のなかでは存在しないの」
私がクラスメートに相談せず、その先生に相談していた理由はこの快活さにあった。クラスメートに相談しても、きっと「大人は子どもなんて相手にしないよ」などという答えが返ってくると思ったからだ。
背中を押してもらった私は意を決し、気になる先生に「バレンタインに先生のチョコがほしいです」と言った。たまたま給食の時間で一緒になったときだった。ドギマギする私を見た先生はひと呼吸おいて、「うん、いいよ。でも、ほかの子には内緒にしてね」と言ってくれた。
チョコにも先生の優しさが
約束通り、先生はバレンタインデーにチョコを手渡してくれた。包みを開けると、ディズニーの棒付きのチョコが入っていた。
当時はまだ、私は手を動かすことができた。棒がついていれば、自分の力で食べることができるのではないかと先生は考えてくれたのだった。チョコはもちろん、先生のその優しさや気づかいが本当にうれしかった。
もったいなくて食べるかどうか、数日悩んだ。
相談に乗ってくれた先生に報告すると、「よかったね。ホワイトデーでお返しをしないとね」と自分のことのように喜んでくれた。だが、少し元気のない声で「でも卒業したら、あんまり会えなくなるね」とも言った。
そのとき、私は初めて気付いた。卒業したら、気になる先生とも相談に乗ってくれた先生ともあまり会えなくなるのだ、と。小中高一貫の養護学校とはいえ、教室の階は違うし、先生たちが転勤する可能性もある。
私は少し考え、相談に乗ってくれた先生にこう言った。「ぼく、卒業する前に手紙書く。思いはきちんと言葉にしないと、相手には伝わらないんでしょ?」
先生はにやりと笑った。
「じゃあ、ひさむくんが話した言葉を先生が手紙に書いてあげる」
そういうと先生は、かわいい便箋(びんせん)を用意してくれた。ペンで字を書くことが難しい私の代筆をしてくれたのだ。ペンを走らせ、私の思いを文字として紡いでくれた。
ホワイトデー当日。私はバレンタインのお返しと一緒に、用意した手紙を気になる先生に渡すことができた。後日もらった先生からの手紙の返事は「好きって言ってくれてうれしいけど、ごめんね」というものだった。
正直落ち込んだし、気持ちを伝えないほうがよかったのかなとも考えた。でも、相談に乗ってくれた先生が言うように「好きって言わないと、その思いは相手のなかでは存在しないの」という言葉を信じた行動だった。
今、当時気になっていた先生は結婚され、子育てに奮闘されていると聞いた。ただ、数年前、母校の文化祭で会ったときに思いがけない言葉をかけてくれた。
「今でも、ひさむの手紙を取ってあるの」
私はなんだか恥ずかしくなった。「何年前の話ですか。もう勘弁してくださいよ」と大人ぶりながら返したが、心の中でこう思った。「やっぱり、伝えておいてよかったかな」
佐藤仙務(さとう・ひさむ)
1991年愛知県生まれ。ウェブ制作会社「仙拓」社長。生まれつき難病の脊髄性筋萎縮症で体の自由が利かない。特別支援学校高等部を卒業した後、19歳で仙拓を設立。講演や執筆などにも注力。著書に「寝たきりだけど社長やってます ―十九歳で社長になった重度障がい者の物語―」(彩図社)など。ユーチューブチャンネル「ひさむちゃん寝る」では動画配信も手がける。
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佐藤さんの「障害は個性」とは思わないとというエッセー(「障害は個性」、それ本当? 2020/09/10)についてコメントを載せました。彼の下で働く障害者のスタッフに「障害は個性だと思うか?」と尋ねたところ、「障害は障害です」と悲壮感なく答えたという話です。そして、何か壁にぶち当たったときに「障がい者だから仕方ない」ということは決して言わないと言います。障害は個性だという言葉で自分を美化しなくても、彼らは障がい者以前に、自分自身の役割と価値を信じ、懸命に生きているからだという主張でした。
今回は、そんな佐藤さんの思春期直前の思い出です。まだ、手が動くだろうからと棒付きのチョコをお店で買う大好きな先生の姿を、佐藤さんは何度も思い描いたに違いありません。背中を押してくれた先生も粋です。「好きって言わないと、その思いは相手のなかでは存在しないの」と恋の指南をして、ラブレターの口頭筆記を引き受けた先生はどんな思いで彼の横でペンを走らせたのでしょう。なんだかぽかぽかと温かいものがこみ上げてきます。障害は障害でしかないけど、障害があるから恋ができないわけじゃないと、佐藤さんはバレンタインデーのあの日に、失恋したホワイトデーのあの日に二人の先生から学んだのかもしれません。
教科担任制
小学校の教科担任制
2021年2月10日【宮崎日日新聞】
◆優秀な人材確保へ支援を◆
これからの小中高校教育の在り方について、中教審が答申をまとめた。小学校は学級担任がほぼ全教科を教えてきたが、中学のように各教科を専門の教員が教える教科担任制を5、6年生に本格導入することが柱だ。ほかにも高校普通科の再編や、情報通信技術(ICT)への対応、いじめ対策、特別支援教育の充実などさまざまな課題の処方箋を並べた。
鍵は、学校が多忙な「ブラック職場」とされて志望者が減る中で、優秀な教員をより多く集め子どもの能力を引き出せる環境をつくれるかどうかだ。日本の将来を支えるため、国は人材確保に全力を尽くすべきだ。
答申は、2022年度をめどに教科担任制の本格導入を求め、英語と理科、算数を例示した。きめ細かな指導による授業の質の向上が狙いだが、実は、より本質的な面でも効果が期待できる。
担任が一日中、一緒の小学校は「学級王国」とも呼ばれる。担任が指導力を発揮できる半面、学級外からの干渉を認めずに絶対的な存在になる恐れがある。複数の目で評価すれば公平性が保たれ、児童の小さな変化にも気づける。担任が一人で問題を抱え込む危険も減る。
ただ、小学校には英語、理科、算数に精通する教員は少ない。小規模で教員が少ない学校での実現も容易ではない。地域内の他の小中学校と専門の教員を融通し合うような工夫が求められる。
さらに21年度からは小学校の1クラスの上限を5年かけて35人とすることが決まった。既に35人の1年生を除けば、現在、2~6年生は40人で、上限の一律引き下げは約40年ぶりだ。少人数化は教育現場の悲願で、財政難を理由に財務省が拒んできた。だが、新型コロナウイルス禍で教室の「密」を避けて感染防止を求める声が自治体や与野党から上がり、実現した。
小中で30人学級を求める文部科学省が財務省と折衝して今回の形に落ち着いた。よりきめ細かな指導を考えれば、さらなる少人数化を進めたい。
学級数が増える分、新たに5年で約1万4千人の教員が必要だ。公立小の教員採用試験の競争率は年々下がっている。受験者が減り、大量採用世代の退職で採用増が続いたためだ。根本的な解決策は、学校をいかにやりがいのある職場にできるかにかかっている。
精神的に病み、休職する教員は19年度に過去最多を更新した。労働環境を改善し、子どもに向き合う時間を増やせれば、人を育てる仕事の魅力が増し、志望者も増えるのではないか。そのために国は最大限の支援をする必要がある。
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優秀な人材とは何が優秀なのでしょう。学級指導も教科教育も保護者対応も向かうところ敵なしの教師はいません。むしろ問題は、時代はどんどん進んで変化しいるのに何から何まで昔と同じように現場の仕事としてきた教職と言う仕事が制度疲労を起こしているのでしょう。
国算理社体図音習道9教科に、新しく増えた英語にプログラミング、40人の学習進度を見極め生徒指導を行い保護者対応して学校イベントの準備をする。併せて発達障害の子どもの合理的配慮まで法的に課せられています。こんなに忙しくては全教科の勉強ができるわけがないと思います。
でも、昔から教科の教え方の勉強をしている先生は、研究授業の前の先生か新人以外見たことがありません。学年会や様々な打ち合わせと、学級通信を書きテストや宿題の丸付けで8時間の勤務時間は昔から足りていません。
それでも、昔はそこそこ学校は成り立っていました。居残りで勉強した子どももその家族も先生をあてにしてくれました。今は、勉強は学校に期待されていないのです。お金を払って塾に行きます。大阪などは塾費用に月1万円補助してくれる自治体も出てきました。
これほど学校があてにされなくなった今、我こそはとオールマイティーの優秀な人材が集まるとは思えません。学校の仕組みを変え、従来の学校観をかえるしか道はないように思います。制度が現実に合わなくなっているのに個人の責任にするのは改革を遠ざけるトップがよくやることです。そして、制度を変えようとすると既得権益を守ろうとして反対する勢力も、結局改革を遠ざけている人たちと同じです。
発達障害児童向けオンライン指導
国内外の発達障害児童教育の格差を無くす! 株式会社AXTが「発達障害児童向けオンライン指導」を海外展開
2021.02.09 11:00【プレスリリース配信 @Press】
株式会社AXT(所在地:東京都新宿区、代表取締役:津嘉山 晋弥、以下 当社)が運営する発達障害・グレーゾーン専門の学習塾「個別指導のコーチング1」は2021年2月より、「発達障害児童向けオンライン指導」の対象を海外在住の日本人へ拡大し、海外展開を開始しました。
これにより国内外の発達障害児童教育における格差を解消する一翼を担うことができます。
詳細は以下の通りです。
■1. オンライン指導を海外展開する理由
海外の日本人学校における発達障害児童教育は日本国内に比べて不十分であり、特別支援教室が設置されている日本人学校は世界で10校ほどしかなく、教室での学習を助ける学習支援員がいる学校もほとんどありません。
また、民間の学習支援についても、海外進出している一般的な学習塾が一部あるとはいえ発達障害の特性に配慮した指導は難しく、隠れた教育格差が存在しています。
このような現実を踏まえ、当社は「発達障害児童向けオンライン指導」を海外在住の日本人へ提供することによって、国内外の教育格差を解消したいという考えに至りました。
■2. オンライン指導の特徴
◎海外在住の発達障害児童に対して完全マンツーマン学習指導を提供
これまで国内で行ってきたオンライン指導を海外在住の発達障害・グレーゾーン児童に対して提供可能となります。
また、オンライン指導は全て完全マンツーマン指導で、新型コロナウイルスの感染リスクが低い自宅で学習することができます。
◎創業10年で5,920件の相談・指導実績に基づいた受験対策・進学支援
当社は受験対策・進学支援を行う学習指導に特化した発達障害専門の学習塾です。
創業10年で5,920件の相談・指導実績があり、この実績に基づいたノウハウを以って生徒の特性の分析や具体的な指導方針、志望校対策などを提案し、帰国後の受験や進学の選択における教育格差の解消を目指します。
◎専門知識が必要な発達検査の解釈および活用
発達検査を受けたにも関わらず、検査を行った臨床心理士や医師から教育における具体的・実践的な助言を貰えることは少ないです。
臨床心理士や医師が、職域を超える教育的助言を控えるのは仕方がないことですが、多くの生徒・保護者は検査結果の活用方法が分からずに困っています。
当社には検査結果を解釈する専門知識がありますので、検査結果を学習指導に反映するだけでなく、家庭での保護者の関わり方や学校の先生との連携方法も提案し、総合的な教育格差の解消を目指します。
■3. 今後の業績見通し
本件に伴う業績への影響等につきましては、必要に応じて速やかにお知らせします。
【会社概要】
商号 : 個別指導のコーチング1(株式会社AXT)
所在地 : 東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワーN30階
代表者 : 代表取締役 津嘉山 晋弥
事業概要: 発達障害・グレーゾーン専門の学習塾・家庭教師の運営
URL : https://www.juku-coaching01.com/
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検査をしてアセスメントをしてから支援しようというのは当たり前のことですが、発達障害児の学習やSSTをやってるよという放デイでもあまり前面に打ち出しません。というかやみくもにプログラムを展開している感じもあります。当法人のじゃんぷではアセスメントを大事にすることを打ち出していますが、これは放デイ事業のサービス内容ではないので実費で請求しています。
しかし、大阪東京の個別指導塾とはいえ、アセスメントも指導料も結構な値段です。検査料金は14,000~15,000円となり、提携している心理士がおり、塾には検査結果を支援に読み込めるスタッフが揃っているそうです。じゃんぷは心理士がスタッフにいますのでアセスメントと指導はダイレクトにつながりますし、料金も半額以下です。指導料は週1回で月18000円ほどだそうですが、放デイなら週1回90分来ておやつ代込みで月3000円くらいです。塾か放デイかの区別はあまり関係なく、発達障害の生活や学習の困難さを軽減するエビデンスに基づいたプログラムは同じです。
これをリモート学習で、海外在住の日本人子弟まで広げるというのですから需要が見込めるのでしょう。考えてみればリモートなら国内も海外も関係がありません。ネット環境さえ整っていれば地球の裏側でも時差はあるにせよ指導は同じです。いいところに目を付けていると思います。
消える公立高願書の性別欄
消える公立高願書の性別欄男女の見た目統一に懸念も
2021.2.8 10:45 【産経新聞】
公立高校の入試の入学願書から男女を問う性別欄を廃止する動きが近年、全国で加速している。体と心の性が一致しないトランスジェンダーの生徒への配慮を背景に、「願書に性別を記載する必要性はない」という判断からだ。大阪府や京都府などが以前から廃止しているほか、兵庫県など今年度から撤廃するところもある。一方で、「性別による統計自体は必要」との指摘もあり、制服などで形式的に男女の見た目を統一化する「ジェンダーレス化」を懸念する声も上がっている。(藤井沙織、地主明世)
大阪府教育庁は平成30年、全庁的に行政文書での「不必要な性別記載欄」を見直した際に願書の性別欄を廃止。担当者は「自認する性別とは異なる戸籍上の性別を書くことは、生徒にとって苦痛。高校に男女別の定員もなく、必要ないと判断した」と話す。
性別欄の廃止は、学校におけるトランスジェンダーの児童生徒への配慮を求めた27年4月の文部科学省の通知をきっかけに広まった。兵庫県教委も「県全体で行った不必要な性別欄の見直しの一環」として今年度から廃止。同じく今年度からの富山県教委と、昨年度に廃止した京都府教委は「精神的な負担の軽減。全国的な動きを踏まえた」とする。ただし、いずれの教委も「体調不良の際の対応など入試運営に必要」(大阪府教育庁)などとして、中学校が作成して願書と一緒に高校に提出する調査書には男女の記載がある。
■「性別による統計自体は必要」
願書に限らず文書の性別欄の必要性を見直す自治体は多いが、本当に不要なのか。奈良女子大の三成美保教授(ジェンダー法学)によると、「事案の調査や分析のため、性別による統計自体は何事においても必要」という。こうした統計がなければ、例えば性別を理由にした不当な扱いにも気づけない。しかし、入試の調査書のように別の書類で統計がとれる場合は必要最低限にすべきだとし、「必要な場合も、『答えない』など男女以外の選択肢を」と訴える。
トランスジェンダーの当事者で講演などの啓発活動をしている山崎あおいさん(50)は「当事者は性別欄にどちらの性別を書けばいいかと悩み、現実を突きつけられて苦しむ。年を重ねれば割り切れるようにもなるが、未成年には難しい」と、不要な性別欄の廃止を歓迎する。
一方、願書の性別欄を残す自治体もある。千葉県教委の担当者は「なくしてほしいという要望を受けていないので廃止していないが、書きたくなければ空欄でいいと学校を通じて説明している」。東京都教委の担当者は「各校で男女別の定員があり、願書に基づいて男性か女性かを判別した上で合否判定を行っているため、性別は必要な項目だ」と話している。
■性差なくす「ジェンダーレス化」に懸念
トランスジェンダーへの配慮は入学願書の性別欄だけでなく、更衣室やトイレの個室化など社会全体に広まりつつある。そんな中、学校現場で導入が進んでいるのが、女子生徒もズボンをはけるなど、男女でデザインに性差のない「ジェンダーレス制服」だ。出生時の性別に違和感のある生徒が、そのことを意識せずに過ごせるようにという意図がある。しかし当事者の山崎あおいさんは、トランスジェンダーへの配慮を理由に男女の見た目を統一化することには懸念を抱く。
近年は、子供の名前を男女どちらでも通用するものにしたり、男性も化粧をしたりするなど、性別にとらわれない「ジェンダーレス」の考え方が広まっている。また、性的マイノリティーを表す言葉として「LGBT」という言葉も定着し、多様な性の存在が認識されるようになった。
しかし山崎さんは「男女で同じ見た目を求めるジェンダーレス化は、『性別にとらわれない』ではなく、性の統一化。多様性とは逆行する」と指摘。その上で「かっこいい服、かわいい服を着たいという気持ちは、私たち当事者も同じ」と話す。
三成美保教授も「大切なのは性差をなくすことではなく、誰もが自由に服装や振る舞い、言葉遣いで自分の性を表現できる社会にすることだ」と強調する。性認識は男性か女性かの両極ではなく、グラデーションのように多彩だからだ。
学校によっては、性別を問わず制服のスカートとズボンを選べる例もある。しかし、実際に男子が周囲の目を気にせずスカートをはくのは難しい。そんな現状を変えるために、三成教授は「学校でトランスジェンダーの当事者の話を聞かせるなど、子供の頃から多様な性があると教えることが大事だ」と話している。
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東京都教委の性別が必要な理由として・各校で男女別の定員・男女を判別し合否判定というのには驚きました。性差で合格ラインの差別をしているわけです。こう言えばきっと「女子の方が成績が高い」から「男子が少なくなる」と言うのでしょうか。だから男には下駄をはかせて合格させてやろうというわけです。時代錯誤も甚だしいです。高校に男女の人数差があってもかまわないと思います。試験結果が男女不平等の方がはるかにおかしいと思います。
今回はこの発言に驚いて他の情報が入ってこない感じですが、多様性社会は統一化社会ではないという論調に賛成です。結局、男女以外が書き込めないことへの配慮といいつつ厄介なことから逃げたい役人根性が見え隠れします。そして、性別を書かないことで子どもたちはどのようにこれを理解するか教育論議はなされたのでしょうか。確かに、男女のどちらかを聞かれたときにどちらでもないと感じる人はいるでしょう。
だからと言って、「その他」の項目を設けないのは、それはそれで少数者のカミングアウトを強制していると言われかねないからです。しかし、教室ではこのことを議論してほしいのです。多様性社会を目指すと言っても、子どもたちの中では性差をネタにした遊びやいじめが蔓延しています。このことに立ち向かっていかなければ、結局、面倒なことは書かさなければいい、表に出さなければいいとネガティブに理解されてしまうのではないかと思います。
香港政府が国安法の学校指導要領
香港政府が国安法の学校指導要領、6歳から法規定を勉強
2021年2月5日 午後3:58【香港ロイター】
香港政府は、昨年施行した国家安全維持法(国安法)について学校向けのガイドラインを出した。国安法で禁じる外国勢力の介入や政権転覆について6歳から教えることなどが盛り込まれている。
4日夜に公表された教育局のガイドラインは、民主化運動が盛んな香港を中国共産党の路線に沿うよう社会変革を目指す内容。
「国家の安全は非常に重要である。教師はこれを議論の余地のある問題として扱うべきでない」とし、教師は「国家の安全を守ることは全国民の責務であり、国家の安全について議論や妥協の余地がないと明確に指摘」すべきだとしている。
初等学校では、国歌の斉唱や「敬意をもって聴く」方法を教えるほか、警察や人民解放軍を香港を防衛してくれる機関として教える。国家分裂、テロリズムなど国安法で定める4つの処罰対象も教える。
中等学校では、中国が国際社会で直面する課題や機会、国安法の4つの罪について教育する。
インターナショナル・スクールや私立学校には異なるカリキュラムを認めるが、国家の安全の概念を正しく理解させる責任を負うとした。
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盗人猛々しいとはこのことです。自分たちは国際法も国際慣習も従わぬとして、東シナ海も南シナ海も占有して、武漢風邪でWHOが調査に入るというとWHO加盟の最大国にもかかわらず1年間も調査を遅らせて証拠を隠滅しました。チベットやウィグル、内モンゴル自治区での民族弾圧は人権意識などみじんもありません。そして、中国は香港特別行政区基本法で「1国2制度」を定めたのにそれも反故にしてしまいます。子どもに法は守るべきものだと言っても中国共産党の無法ぶりが際立つだけです。
そればかりか、中国共産党は自分の国以外での中国政府への批判も、今回の香港国安法で「外国の国家、機関、組織もしくは個人から直接的あるいは間接的に指示や統制を受けたり、資金やその他の援助を得る者」について、特定の活動を遂行することで国家安全保障に敵対しているとみなされた場合、当事者も支援者も有罪とするとしました。中国共産党が国家安全に敵対すると指定すれば何でもかんでも違法扱いするぞと言うのです。自分は国際法にも従わないが、自分の国の悪口を言うやつは国外でも処罰するという法に世界中が従えというのです。こんな法律を子どもに守れという国は、終わりが近いか世界を呑み込むかどちらかだと思います。
健康状態集約アプリ
集団感染の兆候つかめ企業や学校で健康状態集約アプリ
2021年2月4日 16時30分【朝日新聞】
新型コロナウイルスの集団感染の兆候をいち早くつかむためのスマホのアプリ普及を、長崎県が進めている。コロナにみられる症状の有無を毎日一人ひとり入力し、集団全体の健康状態を「見える化」する仕組みだ。介護施設をはじめ県内の1千超の企業や団体、学校が、無償提供を受けたアプリを活用。異変の兆しがないか注視を続ける。
昨年末、県内のデイサービス施設で、利用者1人の陽性が判明し、職員の間に緊張が走った。接触した可能性がある職員や利用者計約120人の陰性をひとまず確認した。だが、隠れた感染者が本当にいないのか、不安はぬぐえない。
そこで職員が頼りにしたのが、県が提供するアプリ「N―CHAT」だ。体温だけでなく、全身のだるさや頭痛など18項目に及ぶ症状がある人の増減をパソコン上でグラフ化できる。敷地内の別の施設も含め職員110人分の症状を毎日アプリを通じて集約し、観察し続けた。その後、異変はなかった。
職員の女性は「以前は検温でその日に異常がないかだけしか分からなかった。アプリで変化に注意できるようになった」と言う。
県提供のアプリは昨春、長崎港に停泊中の大型クルーズ船であった計149人の集団感染をきっかけに誕生した。チャット式で症状を入力するアプリを富士通(東京)の協力で開発。船内の乗員の健康状態をアプリを通じて毎日集約した。
厚生労働省クラスター対策班として対応に当たった山藤栄一郎・前長崎大熱帯医学研究所助教(40)=現福島県立医科大教授=は「発熱を訴えた人は初めの頃だけ。症状全般が減っていくのを見て、感染の広がりが収まったと確信できた。コロナは無症状の人がいる以上、ウイルスの侵入を完全には防げない。集団内の異変の早期発見に生かせると思った」と話す。
このアプリの効果を目の当たりにした長崎県は、県内での普及を決定。富士通と契約し、昨年8月末から無償提供を始めた。
地域医療の崩壊を防ぐには、高齢者施設でのクラスター(感染者集団)発生を抑えることが鍵だ。導入先の7割近くが介護施設。先のデイサービスを含む3カ所で感染者が出たものの、いずれもクラスターには発展しなかったという。
活用の幅は広がっている。長崎市の長崎歯科衛生士専門学校は昨秋、学生約100人の健康状態の把握のために導入。手書きと転記の手間が消えた。日本水泳連盟学生委員会九州支部(熊本市)や長崎県バスケットボール協会は、試合2週間前から選手らに健康状態を入力してもらい、開催可否の判断材料にした。他県から県に問い合わせも来ているという。
県はさらに普及を進めるため、無償提供を当面続ける予定だ。県福祉保健課は「『長崎モデル』が全国にも広がっていってほしい」としている。(小川直樹)
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一方で、感染拡大を防ぐ政府の「切り札」として導入された接触確認アプリ「COCOA」。利用者の約3割を占めるアンドロイド版が昨年9月末から4カ月以上、機能していないことが分かって大騒ぎになっています。原因はあまりにプライバシーの保護を厳密にした結果、不具合までがわからなくなったといいます。接触者情報が濃厚接触者でなくても反応してしまう不具合を直しているうちに、アンドロイド携帯用は濃厚接触にも反応しなくなったといいます。
海外の政府が提供する感染監視アプリではGPSで個人の追跡まで行うものがあります。プライバシーの保護が大事かクラスター感染で死者を出さないことが大事かという選択で、日本政府はプライバシー保護を選んだのです。これには憲法に国民の権利を一時抑制する国家非常事態宣言の条項がないからだそうです。ならば、仕方がないです。この憲法下ではプライバシーを守るために、結果的にはポンコツアプリしか提供ができなかったわけです。
ところが長崎ではこのプライバシーの垣根をやすやすと越えてしまうアプリが導入されていたのです。結局、自治体の長やその下で働く職員の本気次第だということかもしれません。役人が本気なら県民も本気で応えてくれるということだと思います。
EdTech導入実証事業の事例共有会
「すららドリル」 EdTech導入実証事業の事例共有会を開催 一人一台端末未整備校やコロナ休校時における家庭学習の工夫を共有
2021年2月4日 10時00分【すららネット】
株式会社すららネット(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:湯野川孝彦)は、EdTech導入補助金活用校を対象に、AI×アダプティブ教材「すららドリル」の事例共有会を実施し、一人一台端末未整備校やコロナ休校時における家庭学習の工夫など、EdTech導入実証事業における活用校の事例を共有しました。
すららネットは、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念とし、AI×アダプティブ 教材「すらら」を、国内では 約 2,100校の塾、学校等に提供しています。全国の有名私立中高、大手塾での活用が広がる一方で、発達障がいや学習障がい、不登校、経済的困窮世帯を含む生徒に学習の機会を提供するなど日本の教育課題の解決を図ることで成長を続け代表的な EdTech スタートアップ企業として2017年に東証マザーズに上場しました。
AI×アダプティブラーニング教材「すらら」は小学校から高校までの国語、算数/数学、英語、理科、社会 5教科の学習を、先生役のアニメーションキャラクターと一緒に、一人一人の理解度に合わせて進めることができるアダプティブな e-ラーニング教材です。レクチャー機能、ドリル機能、テスト機能により、一人一人の習熟度に応じて理解→定着→活用のサイクルを繰り返し、学習内容の定着をワンストップで実現できます。初めて学習する分野でも一人で学習を進めることができる特長を生かし、小・中・高校、学習塾をはじめ、放課後等デイサービス等においても活用が広がっています。すららドリルは、アダプティブなドリルと自動作問・採点機能を有するテストにより、学びの個別最適化を実現する「すらら」の姉妹版という位置づけで、主に公立小中学校で活用されることを想定し提供を開始しています。
2020年8月に経済産業省の令和元年度補正 先端的教育ソフトウェア導入実証事業(以下、EdTech導入実証事業)の補助金交付が決定し、672校、約25万人の生徒が「すらら」または「すららドリル」での学習を開始しています。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校を経て、GIGAスクール構想*による全国小中学校への一人一台端末整備の計画が加速し、2020年度内には配布が完了する見込みです。一方、学校現場においては、急な休校に伴う学習継続手段確保やオンライン授業の準備、また、再度登校が始まってからの感染防止対策や行事の見直しなど、これまでにも増して対応すべき課題が山積し、教員の負担が増大しています。「すららドリル」の導入により、児童生徒の学習の効率化とともに、教員の働き方改革が期待されています。このたびの事例共有会は、「すららドリル」活用が始まった学校間で事例を共有することにより、全国の教育委員会や学校間でさまざまな体験を共有し、ともに効果を高めあい、学校間の横のつながりを強化することを目的として開催しました。
オンラインで開催した事例共有会には80名以上が参加し、全国の4校から現状や課題、これからの展望について紹介がありました。
茨城県つくばみらい市立小張小学校 田上 和久校長は「市内の学校と連携した進め方」と題し、導入に至るまでの教育委員会や市内他校との連携や、一人一台環境の整備が完了していない中で時間割を工夫して取り組んだ様子を発表しました。使い方を先に学んだ上級生が下級生に操作方法を教えるといった学びあいの工夫についても紹介しました。
大分県玖珠町立くす星翔中学校 ICT支援員 江藤舞氏は「ICT支援員より事前研修での気づきの共有」と題し、教員が「すらら」をよく知り、生徒の取り組みを促す軌跡について発表しました。生徒の活用を促すには、教員が特性をよく知ることが重要であること、まずは恐れずやってみるという姿勢で臨むことといったポイントについても紹介しました。
神奈川県鎌倉市立小坂小学校 波多野 芳宏先生は「1人1台端末の管理と活用の工夫」と題し、導入当初からメディアリテラシーのルールを共有し、端末利用に慣れるに従い開放時間を増やしたことによりトラブルなく利用できるようになった経緯について発表しました。その結果、朝時間などの一斉利用にとどまらず、休み時間や隙間時間に自分に合った学習に取り組めている様子も紹介しました。
滋賀県守山市立守山北中学校は「中学3年生の受験に向けた使い方」と題し、「すららドリル」のテスト機能を利用し、生徒一人ひとりに個別最適化された学習を実現した点について発表しました(すららネットスタッフによる事例紹介)。一方で、現状の授業前5分学習のみでは学習時間が不足しており、今後は学校のカリキュラムに合わせ生徒の学習意欲向上に向けた取り組みが求められるといった課題についても紹介しました。
まとめとして、経済産業省 商務・サービスグループ サービス政策課長(兼)教育産業室長浅野大介氏より、「OECD Education 2030**」で謳われている1.新しい価値の創造 2.ジレンマの克服 3.責任ある行動 を実現するための、教育の再デザインの第一歩として一人一台端末とインターネット環境が必須である、というGIGAスクール構想の着想と実現に向けた経緯について紹介がありました。また「すららドリル」が「自律調整型の学びへの変換」のきっかけとなる点を指摘し、「すららドリル」での学習をきっかけに自ら学ぶ子どもたちと、子どもたちをサポートする先生たちに激励の言葉を贈りました。
受講した教員からは、今後の活用について「自習の時間や家庭での課題に活用するのが有効的だと感じました。また、自分の苦手な課題を繰り返し学習できることや、前の学年の復習を行えると、学習が積み重なっていくので使っていきたいと思います。」といったコメントや、「一人一台端末が3月に可能になるようなので、すぐに使えるように環境を整えていきたいと考えます。また、OECD Education 2030もしっかり解釈し,子供たちに返していきたいと考えます。」といった今後への意気込みが寄せられました。
すららネットは今後も、新しい学習体験を届ける事業活動を通じ、学習者に「大人になっても役に立つ真の学力」と「努力をすれば結果が出るという自信」を提供していきます。
*GIGAスクール構想
文部科学省が主導する、1人1台端末とクラウド活用、それらに必要な高速通信ネットワーク環境の実現を目指す5年間の計画
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm
**OECD Education 2030
OECD(経済協力開発機構)が推進する、新時代の教育のための事業計画
https://www.oecd.org/education/2030-project/about/documents/OECD-Education-2030-Position-Paper_Japanese.pdf
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GIGAスクール構想に武漢風邪による学校休校が追い風になって我が国ではものすごい速さでICT教育導入が進み始めています。すでに、小さな自治体からタブレット端末やPCノートの全児童生徒配布が始まっています。ところが、以前にも述べたように(iPad届いたのに制限だらけ 01/19 )それを使う教師や大人の頭と、使う環境が全く追い付いていません。日本人は同調圧力の文化なので様子を見るのが長すぎます。様子をうかがっているうちに我が国よりはるかに生産力の低い国にも追い越されて、トップの欧米とは20年の差がついてしまいました。
横一列にならないと新しいことに手が出せなかった結果、GOOGLE等他国の一民間企業のプラットフォームを公教育が選ばざるを得ないという情けない事態も招いています。その中で国内で順調に利用者を伸ばしているのが「すらら」です。スタンダードがまだ定まってない業界は早い者勝ちの世界です。ぜひとも、国産のICT教育産業が海外資本を打ち破るよう応援したいと思います。教育は未来の安全保障と大きく結びついていると思うからです。
また、学習障害とICT教育は親和性が高いですから、療育にも役立つものですが、これを支援に使う人たちの頭が追い付いてきていません。また、発達障害に特化するということから需要が少ないのでいくつものアプリが生まれては消えてきました。他国の発達障害支援ICTの動向を見ていると、発達障害一本で成り立たせようというのに無理があり、関連企業が支えたり、クラウドファンディングで支えたりするようです。「すらら」にも小学校低学年までの発達障害バージョンがありますが、カスタマイズ機能がないので誰にもというわけにはいかないようです。こちらも、関連企業や関係者が関わりながら開発が進められるような「なんでもあり」の取組が求められます。
授業の詰め込み
内田樹「コロナによる授業の詰め込みで、学校が“荒れている”のではないか」
2021.2.3 07:00【AERA】
高校生の自殺者が増えている。厚生労働省は進路の悩みや学業不振が要因だと説明しているが、主因はコロナによる学校生活の変化だと私は思う。高校生たちはこの1年間修学旅行も運動会も文化祭も部活も、学業以外のほとんどの活動の自粛を余儀なくされてきた。そして、全国一斉休校の余波で遅れた授業時間数を取り戻すために、学校によっては6限を超えて7限まで授業を行っていると聞いた。
学習指導要領に定められた内容を教え切るために、詰め込めるだけ詰め込むタイプの授業をしていると子どもたちは壊れてゆく。「ゆとり」以前の、学習内容が最多であった時期にどれほど学校が荒廃したかを多くの日本人はまだ記憶しているはずである。教えることが多すぎて、教師は生徒たちが授業内容を理解するまで時間をかけることができなかった。授業についてゆけない生徒たちは自分が教室にいることの意味がわからなくなった。周りからはまるで「存在しない人間」のように扱われた。自尊感情を深く傷つけられた生徒たちは「私はここにいる」と訴えるように「荒れた」。
今それと似たことが起きているのではないか。短期間に学習指導要領どおりの内容を教え切ろうと無理をしているせいで、教員たちには生徒一人ひとりをケアするだけの余力がない。授業が理解できず脱落する生徒たちを支援する手立てがない。先日友人が「何年ぶりかに暴走族を見た」と驚いていた。「荒れる」高校生と「自殺する」高校生は同じ教育環境の産物であるように私には思われる。
大学ではオンライン授業で、教師と学生との個人的なメールのやりとりが制度的に担保され、対面授業のときよりもむしろていねいな個別指導ができるようになったそうである。これまでだったら早い時期に授業から脱落したはずの学生が学期最後まで受講して、きちんと課題を出し、試験に通るようになったと聞いた。
ことは子どもたちの命にかかわることである。一斉休校と詰め込み授業のせいで中高の生徒たちがいま味わっている苦しみについて、教育行政の担当者はもう少し本気で想像力を働かせて欲しい。
内田樹(うちだ・たつる)/1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい内田樹の大市民講座』『アジア辺境論これが日本の生きる道』など多数
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大人の都合で、ゆとりで学習内容が少ないと言われたり、多いから想像力が育たないと言われたり、挙句感染症で休校だからと内容は減らさず行事を減らして詰め込んだりおおよそ児童中心とは言い難いです。人間性の育ちに大事なものは人との良い関係性です。多様な人から教えてもらったり教えたりの関係はゆとりがなければできないことです。
知識はこの関係性を通して伝わるのです。確かにAIなら一定の教え方で授業者に合わせて教えてくれるでしょう。それは様々な学習者の情報から解析されて最もマッチするものを提供するのですから、そこらの駆け出しの教員にはできないことでしょう。しかし、それでも生活の中にAIは存在することはできません。
悲しみや迷い困惑や恥じらいなど微妙な学習者の感情や理由を解析するAIが今後開発されたにしても、バーチャルな関係性と生身の関係性は違います。学びの場所は従来の学校に固定する必要はないにしても、学び合う関係性はそう簡単に置き換えられるものではないと思います。学び合う関係にはゆとりが必要だと思います。追い立てても良い結果にはなりません。何しろ日本中の事なのですから、文科省が休校の分だけ後学年に回す判断をすれば済む話です。良いものを創り出すには余裕と「遊び」が必要です。
学校苦慮・・・緊急事態延長で見通し立たず
<新型コロナ>校外学習や修学旅行はどうなるの?学校苦慮・・・緊急事態延長で見通し立たず
2021年2月2日 06時00分【東京新聞】
新型コロナウイルス対策で緊急事態宣言が3月上旬まで延長される見通しとなったことで、学校現場では校外学習や修学旅行が実施できない可能性が高まり、頭を悩ませている。宣言解除を一つの目安と考えている学校もあり、コロナ禍での感染防止対策と学びの保障との両立に苦慮している。(奥野斐)
「宣言の期間が延びると校外行事は難しい。対応をどうするか悩む」。東京都江東区の区立小学校に勤務する男性教諭(46)はため息を漏らす。同校では毎年、近隣企業の協力を得て、校外で英語を学んだり職業体験をしたりする機会を設けてきたが、今年はコロナ禍で延期になった。
江東区教委は、区立学校向けガイドラインで、遠足や社会科見学などは原則中止とし、修学旅行の代替として行う「想い出に残る行事」は宣言解除後にするよう明記している。男性教諭は「今年はコロナで何もできなかっただけに、6年生だけはなんとか実施させてあげたい」と話した。
緊急事態宣言に伴い、1月から分散時差登下校をしている豊島区立仰高小では、宣言延長でこの態勢をしばらく続ける予定。各クラスを2グループに分け、それぞれの登校時間を決めており、新井裕校長は「仲の良い友達と自由に登校したい子もいると思うが、もう少し我慢」と理解を求める。
今月に行う「6年生を送る会」は、感染防止対策から他学年の出し物などは離れた教室から同時中継したり、事前収録したりする。新井校長は「宣言が解除になれば多少やり方を緩めることも考えたが、できる範囲でやりたい」と話す。
修学旅行の中止を決めている地域も多い中、対応に苦慮するのは墨田区。区立中10校の約半数は昨秋に修学旅行を実施したが、残る学校は2月下旬から3月上旬に予定している。区教委の担当者は「教育的な意義と安全性をふまえて再度検討する」と話した。
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今回の宣言や延長は世論に押された政権のリスク回避の判断ともいわれます。すでに1月緊急宣言前に陽性者のピークアウトは過ぎていたという事実や、結果論だが緊急宣言を出した自治体だけでなくすべての自治体で同じような減少カーブを描いていることからも、宣言発出の根拠が薄いという見解もあります。その結果、飲食業に関わる流通業や生産者も含めて店を閉める事態になり、そこに関わる就労者も失業して行き場を失っています。失業者の増加は自殺者を増やし、明確な統計値で死亡数が示されています。
政府は様々な失業防止策を講じているとは言われますが、GDP予測はすでに前年度にはるかに届かないというのですから、需要そのものが落ち込んでおり、品物を減らす生産調整をしないと値崩れが起こります。生産調整とは簡単に言えば人手を減らすことで失業者が増えるというわけです。武漢肺炎の日本の死亡者は10万人あたりで5人で、ほぼ高齢者ですが、完全失業率が1%上昇すると、10万人あたり約25人の自殺者増加につながり、多くは働き盛りの方が自殺するのです。
子どもが困るのは、大人の事情で行われる学校の感染防止策です。先日も鹿児島の学校で、感染情報から差別が生じないようにと気遣いをして、身内にも知らせないように担任が保護者に要請した報道がありました。昨年は、感染予防と称してクレーム回避を意識したような運動会や修学旅行が報道されました。風評被害対策に学校と子どもが巻き込まれていると言う図です。
該当地域や校内に感染者がでて対策を講じる状態があるなら様々な自粛や予防策が講じられるのはわかります。しかし、感染者もいないのに転ばぬ先の杖として行事や校外活動を中止するのは、今の政権と同じように、感染者が出たとき学校側の責任が問われるリスクを回避をしているように見えます。子どもには風邪程度の実害しかない感染症なのに、お年寄りのためだと言って過剰な自粛を強いるのは教育的にも良いこととは思えません。こうなっては、早い時期に繰り上げ解除が実現するように願うばかりです。
消えた「はだ色」、聖徳太子の名称変更
消えた「はだ色」、聖徳太子の名称変更小学校の「新常識」
1/29(金) 17:00【週刊朝日】
昭和・平成・令和と三つも元号が変われば、世の「常識」もガラリと変わり、気づけば浦島太郎状態に──。なかでも教育現場は、そんな「新常識」のオンパレードだ。たまには、子や孫の教科書をめくり、学校の話を聞いてみてはどうだろう。
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「はだ色のクレヨン、取ってちょうだい」
東京都内在住の女性は、小学1年生の娘が学校で使うクレヨンに一本一本、「お名前シール」を貼っていた。すると、娘からは思わぬ言葉が返ってきた。
「はだ色は、ないよ」
不思議に思って「はだ色」を手に取ると、クレヨンに巻かれた紙には「うすだいだい」と印字があった。
総合文具メーカーのサクラクレパスの広報担当者が説明する。「20年ほど前に、『多様な国籍の人が暮らす時代において、差別的だと感じる人もいる』との問題提起があり、業界全体で『はだ色』の名称は使わなくなりました」
教育現場でも、国籍や男女の垣根は消えつつある。クラス名簿は、男女混合の50音順が主流に。「蒼」や「葵」で「あおい」と読む男の子の名前も一般的で、名簿で男女の区別はつかない。運動会も変わった。受験を控える小学6年や中学3年の保護者は、ケガで勉強に支障が出るのを嫌がる。「名物だった組み体操のピラミッドやタワーをやめる学校は、年々増えています」(都内小学校の女性教員)
安全性への配慮は手厚くなった。理科の実験でおなじみだったアルコールランプも、カセットコンロに移りつつある。アルコールランプに使われる液体のメタノールは、気化しやすく爆発の危険があるためだ。「マッチを触ったことがなく、火をつけられない子どもが増えたという背景もあります」(大手科学教室のスタッフ)というから、将来がちょっと心配になる。
校庭の白い「ライン引き」に使うライン材も、中身が変わった。2007年、文部科学省は全国の教育委員会などに、強アルカリ性の消石灰系のライン材は目に入ると視力障害を残す危険性があると指摘した。それを受けて、弱アルカリ性の炭酸カルシウム系のライン材に移った。
みさき眼科クリニック(東京都渋谷区)の石岡みさき院長が警告する。
「消石灰系のライン材は、漂白剤の『ハイター』が目に入るのと同じくらい危ない。目の角膜が再生できないほどの視力障害を負ったケースもあります。炭酸カルシウムも、弱いとはいえアルカリ性。風で舞った際に目に入らないよう、気をつけて」
消えた「昭和のアイテム」といえば、プールの腰洗い槽と目の洗浄用蛇口もある。腰洗い槽は肌寒い日、“苦行”の代名詞だった。塩素入りの腰洗い槽は時代とともに、大腸菌で汚染される可能性が知られていった。数十秒のシャワーで同じような殺菌効果が得られ、濾過(ろか)装置付きのプールが各地で増えるようになり、退場を余儀なくされた。
小さい穴つきの蛇口が上を向いた、洗眼用の水道蛇口もいまは昔。
変化の背景には、日本眼科医会の、塩素や排尿やふん便、鳥が泳ぐなどして汚染されたプールの水が角膜に悪影響を与えるとの指摘も大きい。
前出の石岡院長は、研究グループのメンバーとしてこの問題に取り組んでいた。洗眼は戦後の日本でたくさんの失明者を出した眼感染症、トラコーマ予防策の名残だとしたうえで、次のように説明する。「ゴーグルを装着すれば洗眼の必要はありません。プールや水道水の消毒に欠かせない塩素が、角膜を傷つけることもある」小学校の学習指導要領には、「水にもぐって目を開ける」という指導例があるが、水泳時には小学生でもゴーグルを着用してほしい。
教科書も変わった。
改めて読むと、昭和世代には驚くことばかりだ。その象徴的なものは、死後の呼称である「聖徳太子」から、「厩戸王(うまやとおう)」への変更だろう。10人の言葉を一度に聞き分け、十七条憲法を制定したり、巨大帝国だった隋を相手に“対等外交”を主導したりしたスーパーヒーローだ。
『逆転した日本史』などの著書がある歴史研究家、河合敦氏が話す。
「小中学校の教科書は、学習指導要領の関係から聖徳太子の名称とともにヒーローのままですが、近年の高校の教科書は、政治の主役は推古天皇で、厩戸王(聖徳太子)はその協力者に変わっていた」
歴史上の人物の肖像画の「別人説」も次々に浮上している。
旧1万円札の肖像でおなじみだった聖徳太子像。原画となった宮内庁所蔵の「唐本御影」肖像画もその一つだ。「高校の教科書から件(くだん)の肖像画は消え、中学の歴史教科書では、『聖徳太子と伝えられる肖像画』と、自信なさそうな表現に変わりました」(河合氏)
国宝「伝源頼朝像」は、足利尊氏の弟、直義だとの研究もなされている。足利尊氏像と覚えた「騎馬武者像」も、別人だった疑いが強まった。ここまで教科書が変わった背景には、学習指導要領の影響もある。「政治史の王道、『江戸の三大改革』を実行した徳川吉宗、松平定信、水野忠邦の名前が小学校の教科書から消えたことでもわかりますが、いまの教科書は政治史から文化史や外交史に重点が置かれています。また、新しい研究の成果がより反映されている印象です。新説はまず本文外の脚注に載り、それが定説になると、本文に“昇格”していきます」(同)
かつては「士農工商」で教えられた江戸時代の身分制度の記載も、歴史教科書からなくなった。武士(士)・百姓(農)・職人(工)・商人(商)という固定的身分が存在するのではなく、武士が支配階級として君臨し、その下に百姓や職人、町人がゆるやかに並列して連なっていたイメージだったようだ。養子縁組で町人が武士になるなど、それなりの“自由”もあったという。
江戸幕府の「鎖国」も、実際は長崎や対馬、薩摩を窓口にオランダや中国などと交易していたとされるから悩ましい。「誤解を生みやすい『鎖国』の用語について、文科省は改訂を試みましたが反対が強く、いまだに使われています」(同)
機会があれば、子や孫の教科書をめくってみると、世相の変化や新たな発見に出会えそうだ。(本誌・永井貴子)
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昭和生まれの知識では子どもたちに「古ぅ~」と言われそうです。「肌色の何が悪い、ちびくろサンボの廃止は焚書や文化大革命と同じだ」とポリティカルコレクトネスには意見がありますが、教えられなくなった言葉を使う事で、子どもたちに「おっちゃんは昭和やから…」ともいわれたくないです。ただ、運動会でひたすらピラミッドの底辺を支えてきた者にとってはよくぞ廃止してくれたと思うところもあります。カセットコンロと言えばすき焼き・水炊きと相場が決まっており、理科室とは相性が合わないです。マッチが擦れないと、アウトドアで山ガールに鼻で笑われそうです。けれども、その一方で火おこし動画が花盛りなので人力着火はすたれることはないと思います。
消石灰系のライン材で毎日コートを引いてきた者にとっては怒り心頭に発します。消石灰の強アルカリ性は昭和から分かっていたはずなのになんで子どもに使わせたのか疑問ですが、塩素消毒したプールの中で「目を開けて!」と指導されたことから考えると、先生たちも知らなかったようです。でもラグビーと水泳部の顧問は化学の先生だったので、知っていたけど長いものに巻かれていたのかもしれません。
「聖徳太子」と「厩戸王(うまやとおう)」は昭和の1万円札を知るものにとってはさみしい限りですが、聖徳太子の逸話は作り話に決まっているような話でしたからやっぱりねとは思います。徳川吉宗の話も盛りに盛った歴史話とすれば暴れん坊将軍のドラマはどうなるんでしょうと心配したりしていますが、子どもたちは「は?それ何?」と知らないのです。実にジェネレーションギャップを感じる今日この頃です。
感染情報、身内にも秘密に 鹿児島市教委が口止め
コロナ感染情報、身内にも秘密に鹿児島市教委が口止め文書児童生徒や保護者対象に学校へ連絡
2021/01/29 08:20【南日本新聞】
新型コロナウイルスを巡り、鹿児島市教育委員会が、感染者が確認された学校に対し、その事実やPCR検査受診を「身内にも口外しない」旨を児童生徒や保護者に伝えるよう文書で連絡していたことが28日、南日本新聞の取材で分かった。学校現場からは「過度な情報統制は不安の増大につながる」と対応を疑問視する声が上がっており、市教委は「誤解を招いたのなら改める」として文書見直しを検討する考えを示した。
市教委によると、文書は、市保健所の助言を受けて送付。市保健所の吉住嘉代子参事は「不要な不安をあおるのを防ぐために適切な対応。身内の範囲は人それぞれ」との考えを示し保育所や企業などにも身内へ他言を控えるよう助言したと認めた。
市以外の県内13保健所を管轄する県は、親族に事実関係の口外を控えるよう指導はしていないとしている。
市教委などによると、遅くとも昨年秋ごろから感染者が出た学校に文書を送付。「身内をはじめ、地域住民や他の保護者らへ他言しない」との内容。市教委保健体育課の池田隆課長は「誹謗(ひぼう)中傷を防ぐためで、身内としては同居しない親族を想定」とした上で「保健所と協議し、改めて学校側に連絡する」と話した。
市内の学校では、PCR検査を受ける児童の保護者に対し、祖母ら親族にも伝えないよう連絡した教員もいた。感染者が確認された学校には、保護者から「会社に伝えていいのか」などの問い合わせもあった。市教委の文書に従った学校長の一人は「検査結果が出ないまま、あいまいな情報が広がることを懸念した。配慮に欠けていた」と釈明した。
感染症による社会的影響に詳しい関西福祉大学の勝田吉彰教授=渡航医学=は「身内と情報を共有しなければ、さまざまな情報が出回り、逆に不安や臆測が広がる」として中傷防止につながらないとの見解を示した。
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鹿児島の1/27の陽性者数は10名で、100万人当たりの陽性者数では日本は3000人、鹿児島県は約3分の1の979名です。それでもテレビ中継は東京から全国ネットで配信される番組がほとんどですから、地方の視聴者でも東京の事態を自分のことのように受け止めるのかもしれません。また、お年寄りと同居される家族が多い地方では感染には皆がナーバスになるのも分かります。だから祖父母にも知らせるなと言う教員もいたのでしょう。以前にも書きましたが、武漢風邪の症状や感染分類、感染防止策についてはいろいろな意見がありますが、これだけマスメディアに恐怖感をあおられてしまえば、知らせないことが集団パニックの引き金になります。
まだ検査結果も出ていないから知らせないという配慮のつもりが、学校は感染を隠しているという中傷につながります。SNSが誰にでも使える現在、情報漏れだけでなく、情報が捻じ曲げられたり、捏造されてばらまかれることも少なくありません。そこに煽って大騒ぎしてくれることを楽しむ愉快犯も便乗してきます。こういう時は、トップが正確な情報を発信して、その都度、感染に関わる人権侵害が生じている事態も伝えながら、感染はお互いさまで個人を責める問題ではないとアナウンスし、冷静に事態の対処をしている態度を見せ続け、市民に信頼を得ることが大事なのだと思います。
教育再生へ大きな宿題 東須磨小暴行
「学校組織改革を」神戸の教育再生へ大きな宿題東須磨小暴行
2021/1/27 21:55【神戸新聞NEXT】
どこの学校でも起こりうる-。神戸市立東須磨小学校の教員間暴力の再発防止策として、専門家委員会が27日発表した報告書。教員の気質や職場の風土に踏み込み、「学校組織を変えていくべき」と迫った。社会に衝撃を与えた問題から1年余。神戸の教育再生に向け、学校現場や教育委員会に大きな宿題が課せられた。
■「まさか先生が」
「教員間のハラスメントは起こるという前提に立ち、システムで抑止するという『フェイルセーフ』の考え方に立つ必要がある」報告書に記された「フェイルセーフ」という言葉は、鉄道や航空機などの設計で使われる。万一のトラブルがあっても、安全を保つ考え方だ。
「『まさか先生がそんなことしないだろう』というように、間違えない『無謬性』にとらわれていたのが学校という組織。フェイルセーフの考え方は妥当」組織論が専門の同志社大の太田肇教授は感想を述べた。「教員が積極的に市民の中に入っていくことも必要。他地域や私立学校との人事交流や専門家の招聘など、流動性が高い組織に変えていくべきだ」
■管理職への期待
報告書では「管理職のマネジメント力不足」も指摘された。一般社団法人「職場のハラスメント研究所」の金子雅臣代表は「管理職が校長と教頭だけであとは横並び。権限や責任が一部に集中している組織はマネジメントが機能しづらく、問題も起きやすい」とする。「主幹教諭など中間管理職的なポジションを増やすなど、学校組織を内側から変えていく視点もいる」と話す。
神戸市内の小学校長(60)は「今でも管理職は山ほど仕事がある。働き方改革を後回しにしないと、求められることは到底できない」と漏らす。「校長や教頭がやりがいのある仕事と思えるかどうかが鍵」と説く。
■特効薬はない
一方、家庭訪問や生徒指導など手厚く行ってきた神戸の教育については、「一定の効果を上げたが、教員同士の関係性を濃くし、公私の領域を混在させてきた」と指摘された。元市教委参与で、神戸親和女子大の洲脇一郎教授(72)は「神戸の学校が誇ってきた長所が時代や環境の変化に適応できず問題になっている。信頼回復に全力を挙げてほしい」と期待を込めた。
数々の再発防止策について、市教委の担当者は「どうすれば実効性の高い取り組みにできるのか、正直難しい。すぐに改善できるという特効薬もないし、優先順位を付けるのも難しい」と頭を悩ませる。外部講師による研修の実施などすでに取り組む内容も多い。「さらに改善するよう求められているということ。地道に積み重ねていくしかない」と話した。
(斉藤絵美、井上駿、長谷部崇)
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どこの学校でも起こりうる???読んでいて、頭がクラクラします。人の目に異物を入れるのは傷害罪。人の車の上を飛び跳ね車体をへこませたら器物損壊罪。上司に訴えたことを脅して止めさせるのは脅迫罪。義務のない行為を無理矢理に行わせたら強要罪です。しかし、悪質性の高い行為を行っていた元教諭については、警察としても刑事裁判への立件を視野に入れていたのに、すでに懲戒免職処分となり、社会的制裁を受けていることから立件を見送ったといいます。学校の中で教職員の犯罪が見て見ぬふりをされ、隠蔽されてきたのであり、ハラスメントがどうのこうのと言う話ではないと思うのです。
その犯罪が、校内で長く生じていたことについて、「神戸の学校が誇ってきた長所が時代や環境の変化に適応できなかった」等と「良いところもあるのだから頑張ればなんとかなる」というような感覚でこの事件を見るべきではないだろうと思います。そういう感覚でいるから、時間がないからできないなどと平気で言う管理職が出てくるのです。犯罪は告発して処罰すべきだし隠蔽も犯罪なのです。学校は治外法権ではないのです。
不正請求の2業者を指定取り消し 京都市
放課後デイサービス、不正請求の2業者を指定取り消し 京都市、自治体の指導追い付かぬ実態
2021/01/26 16:51【京都新聞社】
京都市は25日、市内の放課後等デイサービス2カ所で給付費の不正請求などがあったとして、運営する2事業者に対し、指定取り消し処分を行った。市は両事業者に対し、給付費の返還を求め、利用児童計32人の受け入れ先を調整するよう指導している。
処分を受けたのは、放課後等デイサービス「ChauChau」(東山区)を運営する株式会社SEIBU観光企画(同区)と、「なちゅらるはうす」(伏見区)を運営する株式会社トゥルー・セルフ(京田辺市)。ともに通報を受けた市が昨年から監査を行っており、指定取り消しは4月1日付。
「ChauChau」は、指定申請時に常勤が不可能な職員を管理責任者として届け出たほか、職員の配置基準を満たしていなかった。また個別支援計画などの不備に伴う減算を適用せず、給付費を不正請求していた。加算金を含めた返還請求額は約636万円。
「なちゅらるはうす」では、退職した管理責任者の印鑑を用いて個別支援計画が適切に作成されたかのように偽装し、給付費を不正請求していた。返還請求額は約1874万円。
市によると、両事業者とも不正の事実を認め、給付費を返還する意向を示しているという。
放課後等デイサービスを巡っては、開設が相次ぐ一方で自治体の指導が追い付いていない。国は新規事業所は開設から1年、その他は3年に1度程度の実地指導を自治体に求めているが、今回処分を受けた2事業者は開設から2年以上たつが、1度も実地指導は行われていなかった。市は「通報が先にあり監査を行う結果となったが、本年度中には指導予定だった」と説明している。
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京都市は相談事業所が少なく保護者の作成したセルフプランを行政が直接受けて支給量が決定します。支給量は保護者が正当に必要とする申請がほぼ認められますから、月27日という支給量の方も少なくありません。京都市は所得の制限がありますが、ほとんど人は1割負担上限額の月4600円のうち2300円以上の補助があることから利用者も多いのです。支給量が多いという事はサービス提供量も多いので放デイ事業所もたくさん必要です。需要があるかぎり供給側は増えますから、中には不届き者も出てくるという図です。
今回の不正は、相変わらずの職員配置基準を満たさないままの運営と、支援計画を形式的に作成して存在しない責任者の認印を押印して偽造文書を作るという悪質なものでした。放デイの事業検査の仕組みは2年目と以降3年に1回の保健所の実地指導ですが、これは半日ほどの書類検査と面談なので、悪意のある不正文書は見抜くことが難しいです。結局、ほとんどの不正は内部告発で発覚しているそうです。
福祉の世界に会社法人が参入してくるから儲け主義になり不正の温床となるという方もいますが、どんな法人形態で経営しているかは関係ないと思います。むしろ、社会福祉団体の既得権益を改革していく90年代の福祉の構造改革があったから、様々なサービスが生まれてきたのも事実です。現在、保護者や従業員アンケートから自己評価を行っているように、利用者の意見公開を義務付けることで運営の透明性を担保しようとしています。しかし、収益の9割を税金で賄う制度ですからもう少し公的オンブズマン制度のような査定を行う第三者機関を制度として位置づけることが必要だと思います。
外出自粛でゲーム依存の相談急増
外出自粛でゲーム依存の相談急増「成績下がり、学校に行けなくなった」
2021/01/26 10:43【読売新聞】
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の影響で、パソコンなどのゲームにのめり込む子供らが増えてゲーム依存症が拡大する懸念が高まっている。依存症患者の支援組織には親からの相談も相次ぐ。
大阪市の主婦(43)は、昨春の一斉休校を機に小学1年の次男(6)がゲームをする時間が増えたと心配する。兄が使わなくなった携帯ゲーム機で遊ぶようになり、学校再開後も毎日1~3時間ほど必ず手にとる。
外で遊ばせるのが心配な上、現在は学校や習い事に行く前にゲームをやめ、宿題も真面目にこなすため、静かに見守るが、「将来スマートフォンを持ち始めると親のコントロールができなくなるかも、と考えてしまう」と不安を漏らす。
ゲーム依存症からの回復支援などに取り組む「MIRA―i(ミライ)」(東京都)ではコロナ禍の影響で昨夏以降、子供のゲーム依存に悩む親の相談が2倍ほどに急増した。「ゲームから離れられず、生活リズムが戻らない」「成績が下がり、学校に行けなくなった」などの声が寄せられる。
国民生活センターによると、オンラインゲームの課金絡みのトラブルも増加。2020年4~12月の関連相談は4544件と前年同期比で1・3倍に増えた。
ゲームやネット依存の専門外来がある国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県)が昨年5~6月、通院患者80人(12~44歳)を対象に実施した調査によると、感染拡大前の昨年2月に3・9時間だった1日平均のゲーム時間(オンライン)が5・4時間になり、半数前後は「ひきこもり」や「睡眠障害」などが悪化したという。
厚生労働省研究班の17年度の調査では、ゲームやネットに依存しているとみられる中高生は93万人と推計される。センターの樋口進院長は「依存症患者の実態は不明だが、外出自粛で在宅時間の増加が続けば、患者数はさらに増える可能性がある」と指摘する。
世界保健機関(WHO)は19年5月、ゲームにのめり込んで生活や健康に深刻な影響が出た状態を「ゲーム障害」と名付け、ゲーム依存を、アルコールやギャンブルなどの依存症と同じ精神疾患と位置づけた。▽時間や頻度を制御できない▽他の生活上の関心事よりゲームを優先する――などが主な症状の特徴だ。
「MIRA―i」でカウンセラーを務める臨床心理士の森山沙耶さんは「子供の頑張りに目を向け、コミュニケーションをとりながらゲームの時間を決めるなど、一緒にルールを作ることが大切」と助言する。
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ここ数年PCゲームをあまり見ていなかったので`久々に見てみました。とてもおもしろいです。描画や動きも超リアルになっています。大人でもなかなかやめることは難しいなぁと感じるゲームも多いです。親の言い分はいろいろあるかもしれませんが、オンラインゲームの無料提供で一度体験してみると子どもがはまってしまうわけも分かると思います。
オンラインゲームに火をつけたのは、2017年リリースのフォートナイトです。世界で3億5000万のユーザーがいると言われる世界規模の巨大ゲームです。スイッチにもプレステにも移植されダウンロードさえすれば基本プレイは無料なので子どもたちが群がるわけです。
子どもの外遊びは誰も自粛せよなどとは言っていません。むしろ外に出て外気に触れましょうと文科省も学校も進めています。今回の自粛ではさすがに公園の大型遊具を禁止する自治体もなくなりました。家籠りをあおっているとすればテレビをはじめとするマスメディアです。
また、ほとんどのオンラインゲームはWiFi環境が必要なので家庭用Wifiルーターを保護者がコントロールすることは可能です。子ども用の端末にはWiFiが通じないようにもできます。こういうことを全く知らずに子どもにネットワーク環境を提供してしまっている保護者は少なくありません。
子どもネット環境の管理は保護者の責任だという前提のもとに、大人向けのWiFi管理講座などを無料で学校や自治体が主催してゲーム管理は大人の責任であることをリードして伝えていくべきだと思います。デジタルネットワーク社会に対応する保護者や大人の課題であるのに、子どもの成績や生活態度が乱れる原因までもがデジタルゲームの責任にすり替えられているように思えます。
再任用教員ツイッターに差別投稿
「障害者の子、いない方がまし」特別支援学校教員が投稿
2021年1月21日 18時53分【朝日新聞】
群馬県西部の特別支援学校に勤務する60代の女性教員が、ツイッターに障害者を差別する内容の投稿をしていたことがわかった。県教育委員会も事実を把握し、女性教員の処分も含めて検討している。
県教委によると、女性教員は昨年10月中旬にツイッターのアカウントを開設。「障害者や犯罪者が子供でいたらいない方がまし」「労災にならないように気をつけます。いきなり強くつかんだり殴ったりする障害のある人」などと投稿。校内の取り組みにも触れ、上司や同僚の実名を挙げて批判していた。
問題の投稿が発覚したのは今月中旬。女性教員の同僚が、知人からの指摘で投稿を知ったという。学校側は勤務記録や投稿内容などから女性教員を特定した。学校や県教委の調査に対し、女性教員は投稿の事実を認め、県教委の指導で問題の投稿を19日に削除した。「個人的な記録として投稿していた」「誰でも読める認識がなかった」と話しているという。
女性教員は定年退職後に再任用され、2019年からこの特別支援学校で勤務しているという。県教委学校人事課の鈴木佳子課長は「指導する教員の立場にある者が差別的な内容の投稿をしたことは非常に不適切であり、あってはならないことだ」と述べた。県教委は今後、SNSでの投稿について注意喚起をするとしている。(中村瞬)
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この再任用教員が特別支援学校経験者なら論外ですが、経験がないなら採用に無理があったのかもしれません。支援学校には行動障害のある子どももいますし、言葉が通じない子どももいますから、通常学校の指導方法では通用しない場合もあります。それなのに、通常学校でクラス指導がうまくできない教員が支援学校に異動してくることも少なくないですから、再任用でも同じことがあるのかもしれません。現場での指導能力がなく毎日の仕事が不安な人なら、障害者を要らないものとする思いが生じるのかもしれません。
モラルの問題としてはあってはならないことですが、行動問題のあるの子どもを見てこんな認識になる教員でも支援学校に再任用されていることの方が深刻です。おそらく周りの職員も管理職も気が付いていたと思われます。再任用は年金制度支給年齢の改定とあわせ、無年金期間を補完する役割で民間会社をまねて作られたものです。
でも、この採用制度は競争がなく希望すれば採用しなければならないのです。採用競争にも耐えられない教員でも再び学校に戻す可能性を残している制度といわれても仕方がありません。わいせつ教員に対する教員免許の再交付を、実質無期限にしようとする教員免許法改正ですら断念・見送りとなるくらいの国ですから、この程度はどうしようもないという事かもしれません。
クラスター確認の佐賀工高生に誹謗
<新型コロナ>登校中に「なぜ学校に行くのか」クラスター確認の佐賀工高生に誹謗、専門家「批判筋違い」
1/21 8:45 【佐賀新聞】
佐賀県内の小中高校で初めて新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が確認された佐賀市の佐賀工業高で、学校や生徒に対して「なんで学校に行けるの」「どんな指導をしてきたのか」などの誹謗(ひぼう)中傷が寄せられている。専門家は「感染した人を敵視したり、批判したりするのは筋違い」と話している。
佐賀工業高には19日午前中から、数十件の電話が寄せられたという。学校が生徒に行った聞き取りでは「通学する列車の中で避けられた」「制服で佐賀工業高の生徒だとすぐに分かる。周囲からの目線が気になった」などの声が上がった。保護者から「職場にしばらく来ないでくれと言われた」という連絡もあったという。
同校は19日から、感染が確認された1、2年生をオンライン授業にしたが、20日からは3年生でも実施するように切り替えた。生徒たちには、会員制交流サイト(SNS)で誤解を招く内容を書かないことなどを指導していくとしている。副島政史校長は、これまで以上に感染対策を徹底していくとした上で「安全で安心した生活を早く取り戻せるようにしていきたい」と話した。
■「自分事として捉えて」
人権問題を研究する佐賀大教育学部の吉岡剛彦教授(法哲学)は「感染した人をウイルスと同一視する傾向がなかなか改まらない」と指摘し、「誰が感染してもおかしくない状況で、自分が攻撃対象になる可能性もある。自分事として捉えてほしい」と警鐘を鳴らす。(小部亮介)
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<こちら報道部>学校名、報じる理由感染拡大防止へ正確な情報
1/21 9:29 【佐賀新聞】
新型コロナウイルスに関し、佐賀市の佐賀工業高でクラスター(感染者集団)が発生したことを伝える記事(19日付20面)で、複数の読者から「なぜ学校名を出したのか」「大きく報道されたことで、生徒たちが変な目で見られる」といった意見が寄せられました。
新型コロナは県内でも感染が拡大傾向にあり、1月に入ってからは学校や保育所などでもクラスターが発生しています。コロナ報道に関しては当初から「正しく恐れ、防ぐ」というスタンスで、感染拡大を防止するための正確な情報を出すように努めています。
学校名を報じた今回を含め、感染確認の情報については佐賀県の発表に基づいて記事化しています。特にクラスターに関しては関係者が多くなるため、学校名などの情報を伝えることで、気になっている人が外出を控えたり自ら検査を受けたりして感染拡大の抑止につながると考えています。正確な情報を示すことで、誤った情報の拡散やデマを防ぐことにもつながります。
興味本位で個人を特定する動きや当事者らに対する誹謗(ひぼう)中傷は、あってはならないことは当然です。一方で、情報を社会で共有しておくことも重要です。
報道部では人権に配慮しつつ、常に当事者がいることに想像を巡らせながら、今後もさまざまな視点で感染抑止に向けた情報を伝えていきます。(報道部デスク・林大介)
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関西地方は武漢風邪のテレビ報道について、煽りすぎではないかという自重ムードがまだあるのですが、地方局は全国ネットで東京からの放送がそのまま流れてくることで、東京ほど深刻ではないのに東京と同じように視聴者が考えてしまう傾向があるそうです。それにしても感染はお互いさまだというように考えられないところが不思議ですが、自宅で高齢者と生活していて心配のあまりの言動かもしれません。
でも、専門家でなくても筋違いなことはわかるので、生徒や学校をバッシングする原因を作ったのは、新聞社の学校クラスター実名報道のせいだと、佐賀新聞にもクレームがあったのです。それに対し新聞社は「感染拡大を防止するための正確な情報を出すように努力している。県が公開しているものを報道しただけで、実名を隠せばかえって誤った情報が流れる可能性がある。」と言います。
後者の事実を報道するメリットについては正しいと思います。しかし、感染の仕組みや事実について正しい情報を報道しているとは思えません。都会の満員電車の中ですら感染していない事実や、休校すれば解決するような感染状況ではなく休校のデメリットが大きいとしているWHOやユネスコ、政府発表の事実を学校クラスタ報道で同時に取り上げてはいません。日本は欧米の4パーセント弱の感染状況であることもあまり報道は触れません。実名報道が悪いのではなく、実名報道するなら今回のような誤解が生じないように徹底的に報道するメディアの責任を感じていると書くべきだったと思います。メディアが開き直ると民主社会は腐っていきます。
同じ問題を繰り返しても意味がない
最新科学が出した正しい学習法とは
「同じ問題を繰り返しても意味がない」子どもたちをダメにする間違った学習習慣3つ
2021.01.19【プレジデントオンライン】
独自のカリキュラムと最新の科学に裏付けられた学習法で、オンラインの学校でありながら、全米トップレベルの進学実績を誇る学校がある。スタンフォード大学・オンラインハイスクールだ。校長を務める星 友啓さんは、「誰もが良かれと思ってやっている学習法の中には逆効果のものも多い」と指摘。間違った学習の常識とは――。
星 友啓『スタンフォードが中高生に教えていること』(SB新書)の一部を抜粋
間違った学習習慣1 「ストレスをさける」
(略)
間違った学習習慣2 「テストで理解度や能力を測る」
(略)
間違った学習習慣3 「同じ問題を反復練習させる」
多くの子どもにとってテスト同様身近なのが、学習ドリルによる反復練習です。
足し算、引き算、図形、文字の練習。世界中でさまざまな学習ドリルが存在し、教育者や保護者、子どもたちが手に取ります。各ページに似たような問題が並び、繰り返し解いていく。特定のスキルや知識を身につけるのが目的で、特に幼児や小学校などの教育で用いられ、さまざまな学習効果が確認されています。
しかし、この「似たような問題を何度も繰り返し解く」という当たり前の学習方法が近年見直されつつあります。なんらかの反復練習は学びに欠かせないプロセスであることは間違いありません。しかし多くの学習ドリルは、反復の回数や速度を強調しすぎています。
正しいだけではなく、速くできないといけない。
10回ではなく、20回、さらにそれ以上やることで、その問題に「慣れて」素早く解けるようになる。同じような問題を解くことで、パターンに慣れて、より速く答えを出せるようになるのは疑う余地のない事実です。しかし、単純な計算や記憶問題を素早く答えていけるような能力だけでは、理解力や思考力は高まりません。
むしろ、同じような問題を同じような考え方で解いていく癖がついてしまい、柔軟な考え方や、違った視点で物事を見る力が未発達になってしまいかねません。早くできることとじっくり深く考えることは、脳科学的にも違う活動なのです。
スタンフォード大学の教育学ジョー・ボーラー教授はこの点を指摘するのに、何人かの大数学者の例を挙げています。数学の「ノーベル賞」といわれる「フィールズ賞」受賞者の中にも、子どもの頃計算が遅く、学習障害や数学苦手のレッテルを貼られた学者たちがいるというのです。
考える力をつける計算問題の解き方
それでは、どうすればじっくり考える力がつくのでしょうか?ボーラー教授が勧める学習方法で、それぞれの問題を違う方法や考え方で解いていくやり方がおすすめです。アメリカの教育現場でもだいぶ浸透してきています。
例えば、算数でいうと、ドリルから20問同じような問題を解くのではなく、5問だけを選んで、それぞれの問題を4つずつ違う解き方で解いていくようなイメージです。違った考え方で同じものを理解しようとするこのやり方で、学習の効率が上がることが脳科学的にも実証されてきました。
また、一つのことを違うやり方でできるようにしておくことで、柔軟な考え方をすることができるようになり、あるやり方で行き詰まっても他のやり方を試そうとする癖がつくのです。それから、常に違ったやり方を模索しながら考える心の習慣も養うことができます。
「はかどってる感」の恐ろしさ
20問ずつガンガン解いて、進んでいくことで、はかばかしい。ページをめくって、進んでいる気がして、やる気につながる。親も子どもも、量が多い問題をすいすいと進めていくと、「はかどってる感」が得られるので、ついついドリルに頼りがちです。
しかし、問題を解いた数とか、めくったページの数が多ければ、良い学びに繋がりやすいというわけではないのです。何事もバランスです。考える力や深い理解は、反復練習を素早くこなしていくことだけでは身につきません。多様性のある学び方を取り込んでいくことを心がけましょう。
星 友啓(ほし・ともひろ)
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長
哲学博士、EdTechコンサルタント。1977年東京生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。その後渡米し、Texas A&M大学哲学修士、スタンフォード大学哲学博士を修了。同大学哲学部の講師として教鞭をとりながらオンラインハイスクールのスタートアップに参加。2016年より校長に就任。現職の傍ら、哲学、論理学、リーダーシップの講義活動や、米国、アジアにむけて教育及び教育関連テクノロジー(EdTech)のコンサルティングにも取り組む。全米や世界各地で教育に関する講演を多数行う。著書に『スタンフォード式生き抜く力』(ダイヤモンド社)がある。
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学習ドリルによる反復練習は宿題の定番です。ルーティンワークでできるから、その子が理解している課題なら自学自習が成立します。こなす分だけ「やった」感もあり自尊感情も高まるかもしれません。ただ、当コラムで何度も書いているように、内容が十分理解できていないのは論外ですが、理解できていても当事者にとって量が多すぎたり、課題の狙いと違うところ(読み・書き)でエネルギーを使い果たして目標が達成ができない等の宿題は時間がかかるだけでなく、当事者の自立心や自尊感情を削ぐことになり自学自習にはなりにくいということです。
そして、今回の記事では、反復トレーニングは速さや流暢さの獲得が目的だが、思考力は育てないので出題のバランスが大事だという事でした。他には、間違った学習習慣1 「ストレスをさける」は、ストレスは避けるのではなく、ストレスをポジティブに解釈していくことで子どもの学習能力を最大限に引き出せると説明されていました。また、間違った学習習慣2 「テストで理解度や能力を測る」は、テストの点数は、どれだけテストに慣れているかの指標でしかないが、長期的な記憶や学習効果の向上にはつながるので、ショートテストや思い出し練習は有効だという事です。
iPad届いたのに制限だらけ
iPad届いたのに制限だらけ学校間で広がるIT格差
2021年1月18日 22時07分【朝日新聞デジタル】
各地で新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が出され、一部の学校でオンライン授業をするところも出てきた。さらなる感染拡大に備え、文部科学省は小中学生に1人1台の端末を配る「GIGAスクール構想」の前倒しを急ぐ。だが、整備はなかなか進まず、端末が届いた現場からも「制限が多すぎて使いにくい」という声があがっている。
東京都世田谷区では昨年11月、小6と中3全員に、先行で約1万台のキーボードつきiPadを配布した。もし、休校になった場合、優先して授業を進める必要がある学年だ。今月から中2、中1への配布も始めている。ただ校内の通信環境などの整備が追いつかず、学校での活用は限られているのが現状だ。
マイクロソフトの文書ソフトなどはあるが、アカウントが配布されておらず、使えない。一方、家庭で動画は見られるため、夜中にこっそり自分のスマホより大きな画面でユーチューブを見る生徒もいる。中3生の母親(51)は「iPadを買ってあげられない家庭にとっては、キーボードを打つ姿を見るだけでうれしい。ただ、なぜこの受験前に……とも思う」と複雑な心境を明かす。
ある小6生は学校で「履歴はチェックできる」と言われたため、怖くて、家では指示された学習アプリしか使わない。小6生の母親(50)は「なんだかちぐはぐ。制限を厳しくかける必要はないけれど、配布と同時に勉強も含めいろんな形で使えるように教えてほしい」。
同区教委は「最低限の制限はかけた上で、学校でも家庭でも使わせることが学びへの近道と考えている。業者も手いっぱいで端末も通信も整備がなかなか進まないが、もし休校になっても、配布された端末は、学校と家庭との連絡手段としては使える」と説明する。
東京都足立区でも昨年末、中3生にクロームブックの配布が始まった。だが、区内の男子生徒は月1回土曜に「Zoom」のリモート授業で使うだけで、それ以外は家にしまったままだ。会社員の父親(46)は「本来は文書共有やクラウドなど様々な機能が使えるのに。何のための1人1台か」と嘆く。
文部科学省は一斉休校を受けた昨年3月、GIGAスクール構想の目標達成の時期を2023年度から今年度中に前倒しすると決定。昨年8月末の同省の調査では、納品済みは36自治体(2%)にとどまり、昨年末に489自治体(27%)が、年度内に1280自治体(70・6%)が納入予定と回答した。だが、遅れている自治体も少なくない。
萩生田光一文科相は7日、首都圏4都県の緊急事態宣言に先立ち、端末やネットワーク通信の業者約40社に対し、学校への納品前倒しや端末の貸し出しなどを要請。13日には要請する地域を拡大する通知も出した。
端末が届いた学校からは、制限が多すぎて「使いにくい」との声もあがる。
千葉県の公立中に勤務する20代の男性教諭は昨年11月、全生徒に配られたノートパソコンの仕様にがっかりした。「無いよりいいけど、これじゃ不便」。Gメールや表計算ソフトなどほとんどのアプリが使えず、USBメモリーも認識しない。文書の共同編集も、生徒とのチャット機能も教育委員会の方針で無効化されていた。男性教諭は「(車が)公道を走れても時速20キロしか出せない感じ。ゼロリスクは不可能なのだから、子どもの学びのため縛りなしで使わせてほしい」。
「メールの送受信は一切できないよう教育委員会で設定しております」。高知県の私立土佐塾中学・高校の野崎浩平教諭(40)は昨年末、地元の公立小が出した通知文に驚いた。県内でグーグルの教育者グループを立ち上げており、端末の機能制限で先生が混乱している話をよく聞くという。全国20校余りの教員らに独自調査したところ、半数程度でメールやチャットの機能が制限されていた。「学校と家庭の連絡や情報管理にも便利なツールなので、あまり制限をかけないでほしい」
保管も課題だ。関西地方の男性教諭(48)が勤める公立中では、9月に1人1台配備され、グーグルのアカウントも全生徒に配布された。だが、盗難や破損への懸念から、全端末は空き教室の保管庫に入れて施錠され、管理職が鍵を管理。通信環境も整っていないため、10分の休み時間に鍵を借りて出し、全員でログインすると授業までにつながらない。「授業の妨げになるので賢い教員は使おうとしない。改善するには一つひとつ折衝しなければならず疲弊する」と嘆く。
首都圏の特別支援学校の40代の教諭も、授業で使う端末を保管庫から取り出すのに使用目的の記入と鍵が必要で、夕方までに返却していないと責任を問われることに、疑問を感じている。「これでは教員側も萎縮して授業準備もできない」
愛知県の公立小に勤める60代の男性教諭は機材環境を不安がる。遅い回線速度、電気容量が足りず時々落ちるブレーカー……。保管庫近くに電源がなく換気扇から取っている教室も。「モノは来たけど整備が追いついていない感じ」という。端末も児童にはiPadが配布されたが、教師に割り当てはなく使い回しのウィンドウズ機だ。「端末が違えば教材研究にも支障が出る。システム全体を考えて通信環境や電源など必要な整備をしないと、このままでは宝の持ち腐れになる」と危惧する。
一方、先進校はどうか。千葉県印西市立原山小学校は市の情報教育推進校で、昨春には5~6年生全員にクロームブックを配布。一斉休校中にオンライン授業をした。GIGA導入も先行しており、昨年10月には全学年に端末を配り終え、大半のソフトや機能は自由に使えるようにしている。手渡す時に「デジタル空間にもう一人の自分ができるんだよ」と伝え、ネット上の言動や振る舞いに注意するよう教えた。家庭にも持ち帰らせている。松本博幸校長は「最初からきつい制限や枠はかけない方が、学びの幅や可能性は広がる。『善きデジタル市民』になるための指導をしながら、子ども自身が学ぶ自主性を大事にしたい」と言う。
国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの豊福晋平准教授は、気負わず普段使いするところと、しまい込んだまま全く活用できないところの差が広がることを懸念する。混乱の原因について、「学校も教育委員会も、ビジョンがないまま端末を配備したところも多いことだ」と指摘。「何のための道具かを第一に考えてほしい。どんな時も子どもと学校をつなぐツールであり、家でも学校でも子ども自身が使いこなせる学びの道具にしていく必要がある。リスクを恐れすぎれば『文鎮化』してしまう」と話す。
今が、日本の子どもたちが世界のデジタル時代にふさわしい教育に追いつくラストチャンスともみる。「今回は多額の国費が投入されたが、更新時には各自で端末を買うBYOD(Bring Your Own Device)に変わる可能性もある。学びに不可欠なものだと親子に納得してもらえるような使い方ができるか。教育委員会も学校もこの数カ月が正念場と思い、頑張ってほしい」(西村悠輔、宮坂麻子)
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予想通り導入時は様々な問題が各地で沸き起こっているようです。先日も「 01/15 熱海市、全小中学校に端末配備」の件で書きましたが、教材として使う前の端末管理のところで大混乱を起こしているようです。管理する側は、できるだけ勉強以外に使えないように制限をかけようとします。しかし、記事を見ているとそれ以前の問題として、生徒にアカウント(端末を使う権限ID)を与えていないとか、逆に生徒に与えているアカウントがIT国際独占大企業のものだったりして手を抜きすぎだと感じます。
せめて、各県単位の教育委員会で管理サーバは置くべきだし、アカウントはそこで一括管理されるべきです。少なくとも教員の端末は建前上そうなっています。もちろん、教員のメールサーバーやクラウドサーバーもIT国際独占大企業のものを契約している教育委員会が多いので偉そうなことは言えませんが、少なくともドメイン名(どこの組織化の表記)は各組織名で発行されていますし、各組織の職員か委託業者が管理しています。
日本の教育制度のややこしいところは建前上、各自治体の教育委員会の権限で地方教育は成立することになっているので、小さな自治体はお金がないが小回りは効く、大きな自治体はお金はあるが気が利かない、両者の特徴をそのまま学校に持ち込むことになります。端末の導入もそんな教育制度の建付けの問題で格差が生じているように感じます。ただ、教科書検定等では、細々とした統一性を求められるのですから、端末も全国同じような仕様規則で運用すればこれほどの混乱は生じなかったかもしれません。
しかし、発展途上のデジタル教材の可能性は無限ですから、統一的な細々した規則は馴染まないというのが正しいのだと思います。結局、ICT教育に熱のある自治体は良いシステムを導入でき、右になれの自治体ではICT教育を端末無料配布の事業程度にしか考えられず結果現場は大混乱します。そうして、制限の多いシステムや頓珍漢なICT教育は自然に淘汰され、良いものが広がっていくには時間がかかるのかもしれませんが、つまらない規制や制限でICT教育発展の芽を摘むよりはましかもしれません。それにしても、アカウントくらいは教育委員会発行のものを最低限与えてほしいと思います。日本の教育が国外の勢力に乗っ取られたり盗まれたりする隙を与えないことは安全保障上重要だと思います。何度も書きますが、端末管理の人件費や委託費は絶対必須です。
療育システムの記事に反響
「子に寄り添っていない」療育システムの記事に反響初診待ち常態化
2021/1/15 15:30 【西日本新聞】
福岡市の未就学児の療育システムについて取り上げた本紙記事(昨年12月27日付朝刊:療育施設に通えず、空白の4カ月福岡市で長期手続き常態化)に反響が寄せられた。当事者家族の声も複数あり「子どもに寄り添う制度ではない」と不満がつづられていた。現場を担う施設の一つ、市立心身障がい福祉センター「あいあいセンター」(中央区)の中満達郎・療育課長に改めて市の意図を尋ねた上で、早期療育の在り方について全国発達支援通園事業連絡協議会会長の近藤直子さんに聞いた。(本田彩子)
他の機関と連携、柔軟対応を
未就学児に療育を行う国の「児童発達支援事業」は各自治体が療育の必要性を判断して受給者証を発行する仕組みだ。厚生労働省の見解では医師の診断は不可欠ではなく、乳幼児健診などを担う保健師の意見書でも可能とされる。地方には専門医が少なく診察を受けられない地域もあるため、全国どこでも支援が受けられるようにするためだ。
一方で福岡市などの大都市は専門医が一定数いることから、指定医の診断を必須とする自治体が多い。地域拠点である療育センターに専門医を配置することは発達障害に限らず医療的ケア児や重度心身障害児を支える上で大事だ。だが、医師の診断を受給者証発行の「踏み絵」にしてはならない。
全国的にも、指定医の診断を求める自治体のほとんどで2カ月~半年の初診待ちが常態化し、問題となっている。そのため名古屋市では本年度、医師の診断を待たずに療育を始める取り組みを試験的に始めた。
発達障害の子と親が求めているのは医療だけでなく、子どもの行動や気持ちをきちんと理解してくれる人を周りに増やすこと。そこで重要なのは療育センターと保健所、幼稚園や保育所の3者の連携だ。それぞれが互いに子どもの状況を把握しながら、子どもが楽しく過ごせて、親の不安も取り除く仕組みを築く。縦割り行政の垣根を越え、情報を共有して議論できる場を作るべきだ。
今回の事例では、福岡市はもっと柔軟に対応すべきだったのではないか。診断や手続きに時間がかかるなら、それまでに子どもが通える場所を別につくる。療育センターだけで対応できないなら、地域の子育て支援センターなどで診断待ちの子に対応する曜日を設けてもいい。システムが硬直化してはいけない。
全国的に未就学児の療育のニーズは急増している。福岡市の現在の仕組みと施設数では対応しきれないだろう。民間事業者の参入が増えれば療育の質の問題などが生じる恐れはあるが、だからといって封じるのではなく、全体を底上げするための研修や連携の仕組み、施策を市が責任をもって考えるべきだ。これまでの知見を生かし、関係機関が皆で知恵を絞って、全体として親と子の求めに応える体制を築いてほしい。(談)
近藤直子(こんどう・なおこ)日本福祉大名誉教授。専門は発達心理学。大阪府や名古屋市などの保健所で40年以上、乳幼児の発達相談を担当。NPO法人あいち障害者センター理事長。
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前回このコラムでも「受け止める施設がどこも空きがないというならわかりますが、手続きの段階でこんなに待たせるというのは人権侵害だという感覚が担当者にない」のではないかと書きましたが、全国でも同じように感じている人が少なくないという事です。
この記事は、医師の診断が必須だからと手続きが硬直化していると書いていますが、福岡の件は「予約の空きが出て9月末に受診が早まり「自閉スペクトラム症」と診断されたが、その後の手続きがなかなか進まない」まま年末にやっと行先が決まったというもので、診断待ちの問題ではないです。医師の診断を終えているのに療育が3か月も受けられない原因は担当者の怠慢だという記事でした。
そのため、相談にかかわる担当者は襟を正してほしいという主張をしました。ただ、民間の相談事業所も相談者利用者が満員で、利用者に負担をかけていることを書きました。解決方法は相談事業の収入の一部固定制(新規増額部分)を取り入れるなどの改革を提案しています。しかし、何よりも大事なのは事業を運用する関係者がチャイルドファーストの視点に立てるかどうかという事だと思います。
就労継続支援B パラeスポーツ
パラeスポーツに夢追う秩父の男性ら、技術磨き群馬・太田、就労支援事業所/埼玉
2021年1月16日【毎日新聞】
コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」に特化した障害者向け福祉作業所が群馬県太田市に開設された。選手の育成、ゲーム動画の配信や、関連イベントでの活躍を目指す上で必要な技術を習得する機会を提供。拡大するeスポーツ市場で夢をつかみたいという利用者を後押しする。
太田市の就労継続支援B型事業所「ワンゲーム」で2020年10月下旬、動画配信イベントが開かれた。ゲーム大手セガのプロデューサーをオンラインで招き、利用者がパズルゲーム「ぷよぷよ」で勝負。「おっと、この場面はつらい」「圧巻の勝利です!」。別の利用者が実況で盛り上げ、白熱した雰囲気に包まれた。
イベントの司会を務めたしんじさん(24)=秩父市=は難病で手足の筋力低下と感覚障害があり、14歳から車いすに乗っている。指が動かないため、手のひらでコントローラーを操作し、ゲームを楽しむ。「趣味を仕事につなげたい」と20年8月、ワンゲームに通い始めた。目標は技術を高めて動画を配信し、プロの大会に出ること。「早く実力を上げたい」と熱っぽく語る。
eスポーツは全国で競技大会が開かれ、選手や観客が増えて市場規模が拡大。ワンゲームは20年6月に開設し、選手を養成するほか、実況や解説、映像・音響などeスポーツ関連で求められる技術を磨くコースが用意されている。
同じく選手を目指す太田市の男性(25)は約5年前、発達障害と診断された。当時通っていた専門学校で、一部の課題に向き合えずに苦しんだが、ゲームや小説には夢中で取り組めた。「できないことを欠点と捉えるのではなく、視点を変えて長所を伸ばしたい」。男性は集中して物事に向き合う特性を仕事に生かしたいと考える。
ワンゲームを運営する「ワンライフ」(前橋市)最高経営責任者(CEO)の市村均弥さん(33)は「何かに挑戦して成功体験を得ることで自信につなげてほしい。100人いれば100通りの選択肢がある社会にしたい」と話した。
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なるほど、目からうろこでした。障害者就労支援制度にゲーマー養成とは、時代は変わるものです。確かにパラスポーツの選手養成があるのですから、パラeスポーツの選手養成は不思議ではないです。プロ選手なのですから就労という枠組みに入るのも頭ではわかります。しかし、そんな理屈で就労支援のB型をと開設した運営者には脱帽です。就労Bと言えば、施設内で生産作業をしている障害者を思い浮かべていた既存イメージを彼らは軽々と乗り越えていったのです。
実際にここからどんな選手や、イベンター、解説者が出てくるのか楽しみです。子どもたちともう少し詳しくeスポーツを調査してみたいと思います。