みんなちがってみんないい
過剰な対策はすべきではない理由
小学校でのクラスター発生 それでも過剰な対策はすべきではない理由
忽那賢志 | 感染症専門医 6/20(土) 10:17【Yahoo NEWS】
3月からほとんどの小学校・中学校・高校が新型コロナ対策として臨時休校となっていましたが、緊急事態宣言の解除を受け、各地域で学校再開が始まっています。そんなさなか、小学校でのクラスター発生の報道がありました。
北九州 集団感染の小学校 授業中や登下校時などに感染か
また、これまでにも小学校でのクラスター発生は報告されていました。
富山市の小学校でクラスターか 教室で感染可能性
我々はこの小学校でのクラスター発生事例を受けてどのように対応すればよいのでしょうか?果たして小学校での感染対策はより強化されるべきなのでしょうか?先日、私は長女の中学校の入学式に参加しましたが、すでに「新しい生活様式における入学式」が導入されていました。
生徒や保護者の椅子は適度な距離が取られ、出席者の数も制限されていました。体育館の窓は全開に開けられ換気が行われており(雨がガンガン入ってきてましたけど)、もちろん全員がマスク着用です。式典のプログラムに「国歌斉唱」がありましたが、副校長先生より「声に出さず心のなかで歌ってください」と参加者へのアナウンスがあり、心のなかで国歌を歌い、ちょっとサッカー日本代表になった気分がしました。このように、すでに学校は文部科学省から出された「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル~『学校の新しい生活様式』~」という長いタイトルのマニュアルに基づいた感染対策を行っています。
うちの子どもたちも健康観察カードが配布されて毎日検温してから登校しています。しかし、仮にこれに100%準拠したとしてもリスクはゼロにはならないでしょうし、緊急事態宣言が解除された今ではゼロリスクを学校に求めること自体が無茶というものです。ましてや対象は子どもです。マニュアルを完璧に遵守することは難しいでしょう。個人的には今回のクラスター発生によって世論が「もっと学校での感染対策を徹底しろ」という流れになることを危惧しています。
学校での感染対策を過剰に行うべきではない理由を以下に述べます。小児の感染例は国内でも、世界的にも少ない
日本では20歳未満の感染者は他の年齢層と比較して極端に少なく、国内全体のわずか4%です。確かに日本は少子高齢化が進んでいますので、そもそも子どもが少ないわけですが、それを差し引いても少ない感染者数です。
日本だけでなく、海外でも小児例は成人例よりも報告が少なく、例えば中国でも人口分布と比較しても明らかに小児の発生が少ないことが分かっています。ではなぜ小児ではこのように感染者が少ないのでしょうか。
小児の新型コロナウイルス感染症では、
・感染しても症状が出る割合が低い
・感染する割合が成人と比べて低い
・重症化する頻度が低い
ことが分かってきました。
新型コロナウイルス感染症では、感染したとしても症状が出ない"無症候性感染者"がいることが分かっています。どういう人が感染したら症状が出て、どういう人なら感染しても無症状なのか、という条件についてはまだよく分かっていませんが、小児ではこの無症候性感染者の割合が多くなるようです。
世界各国の感染者の状況の調査によって、70代以上の感染者のうち69%が有症状者になる(31%が無症状)のに対し、10代の感染者では約21%の人が有症状者になる(79%が無症状)であると報告されています。
年齢が低いほど感受性が低く、年齢が高くなるに従って感染しやすくなります。60歳くらいからはプラトーに達します。なぜ年齢によって感受性の違いが生まれるのかについては、まだ結論は出ていませんが、新型コロナウイルスが細胞内に侵入する際に結合するACE2受容体をコードする遺伝子であるACE2遺伝子の発現量が小児では少ないことが可能性の一つとして挙げられています。
さらに小児では新型コロナに感染しても重症化することは稀です。海外では新型コロナに関連した川崎病の様な病態(Multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C))が報告されており、警戒すべきではありますが、国内ではまだこのMIS-Cの報告はありません。
このように、小児では基本的にはそもそも感染者が少なく、有症状者や重症化も少ないため、ゼロリスクを求めるような学校での過剰な感染対策は避けるべきです。例えば学校閉鎖のような極端な対策も、保護者への負担が生じる一方で、流行全体に与える影響はごくわずかであることが分かってきています。今後もこのような学校でのクラスターは発生する可能性はありますが、国内全体を見渡せば流行のごく一部に過ぎません。流行を広げているのは小児ではなく我々成人です。流行の規模からすると、より注力すべきは今だと夜の街や病院でのクラスター対策でしょう。
日本小児科学会は緊急事態宣言が解除された翌日の5月26日に「新型コロナウイルス感染症に対する保育所・幼稚園・学校再開後の留意点について」という声明を発表しています。・学校での感染症対策を徹底したとしても新型コロナウイルス感染のリスクをゼロにすることは不可能です。地域の小児科や感染管理に関する医師と綿密な連携体制を構築し、刻々と変化する状況に対して適切な判断を行う必要があります。・子どもの教育、福祉、健康の源である保育所・幼稚園・学校生活は、子どもにとって最も基本的かつ大切な活動です。休所・休園・休校の問題点としては、子どもの教育の遅れ、生活習慣の乱れ、運動不足、それによる体重増加、栄養の偏り、食環境の変化、家庭内での虐待の増加、保育所・幼稚園・学校での福祉活動の低下、保護者の就労困難・失業、祖父母などの高齢者との接触機会の増加などがあげられます。
出典:新型コロナウイルス感染症に対する保育所・幼稚園・学校再開後の留意点について(日本小児科学会)
休校が子どもや保護者、社会に及ぼす影響は非常に大きいものであり、できるだけこうした処置を取らないようにコロナを意識した新しい学校での生活様式を送りながら、もしクラスターが発生してしまった場合は早期に検知し専門家の介入によって拡大を防ぐ、という対応が現実的ではないかと思います。
そして、学校でのクラスター発生のもとを辿れば成人での流行に行き着きます。我々大人が流行を広げないことが子どもたちを守ることにも繋がるのです。
問題行動への対処法=分化強化
問題行動への対処法=分化強化(DRO/DRA/DRI/NCR)
子どもの問題行動に対処する場合、①問題行動の原因(強化子)を理解する ②そのための対応方法の1つに消去(計画的無視)がありますが、それだけではうまくいきません。というのも、消去という手段だけでは現実問題は対処しきれないからです。子どもの問題行動に『強化子を与えない』という手続きが『消去』です。これに対し、『分化強化』は次の様に定義されています。「分化強化は、望ましい標的行動を増やし、望ましくない行動を減らすために、強化(第4章)と消去(第5章)の原理を応用したものである。」もう少し噛み砕いていうならば、問題行動と適切な行動を分けて考え、問題行動を消去し、適切な行動を強化します。だから、分化強化と呼ばれるわけです。
分化強化は先ほど述べた通りですが、実はこの分化強化には①DRO(他行動分化強化)②DRA(他行動分化強化)③DRI(他行動分化強化)といった3つの種類があります。
他行動分化強化/DRO
DROとは、Differential Reinforcement of Other Behaviorの略で、問題行動以外の適切な行動を強化することによって、間接的に問題行動を減らす手法です。DROの特徴は「問題行動以外のあやゆる適切な行動」が標的となる点にあります。つまり、強化すべき行動が複数あるわけです。
発達障害児に限ったことではないが、子どもと接する場合、100%問題行動(社会的に望ましくない・やめて欲しい行動)に直面する。例えば
①泣き喚く=注目
②兄弟をいじめる=自己刺激
などが考えられます。
しかし、このような行動に1つ1つ対処するのは結構な労力が必要なわけです。そこで、問題行動には消去手続きで対処し、それ以外の場面の適切な行動を褒めてあげます。具体的には、
①泣きわめいてない時のことを褒める(ご飯を食べる、早く寝るなどこちらの指示に従えた時)
②兄弟をいじめてない時を褒める(大人しくおもちゃで遊んでる時)
これがDRO(他行動分化強化)です。
代替行動分化強化/DRA
DRAは、Differential Reinforcement of Alternative behaviorの略で、問題行動の代わりとなりうる行動を選択し、それをピンポイントで強化する手法です。”ピンポイント”というのがミソで、これに対し、先ほど説明したDRAは『問題行動以外の全ての行動』を強化することにありました。例えば、会社や学校で嫌なことがあった人が、枕を顔に押し付けて「バカヤロー」とか叫んでストレス発散してる場面、これ、DRAです。枕なしで叫んだら、迷惑(問題行動)になるので、それと似た機能を果たす、より適切な行動(代替行動)を強化しています。似た行動ですから、カラオケとかもありです。これを幼児に置き換えると、自分の欲しいものが手に入らず、泣き喚いたり、人を叩いたたりすることがあります。そういう時は、『ちょうだい』とか『貸して』などのような要求言語やサインなどを代替行動として強化すると良いです。『泣き喚くから物をあげる』というのは最悪の選択です。子どもは要求が通るとわかればその行動を続けてしまいます。
対立行動分化強化/DRI
DRIは、Differential Reinforcement of Incompatible behaviorの略で、Incompatibleは、両立できないという意味です。問題行動に代わる適切な行動の中で、とくに問題行動と物理的に両立できない行動を強化する手続きになります。例えば、親指をしゃぶる子どもには、手が空いてるから親指をしゃぶってしまうと考えます。そこで、両手を使わないとできない作業、お絵かき、塗り絵、ゲームなどその子が好きなもの、あるいは、新たな楽しい遊びなどを開発することで親指しゃぶりの頻度を減らすよう働きかけます。標的行動が「指舐め」ということであればこういうのを使うのも一つの手です。
非条件強化/NCR
NCR(Non Contingent Reinforcement)も分化強化の1種らしいです。問題行動の機能となっている強化の効力をなくすことでその行動頻度を減らそうとする働きかけです。紙を破ることが不適切行動になっている人に、ずっと紙を破らせ続けるのです。要は、「飽きさせる」のです。これで上手くいくのかなとは思いますがNCRも選択肢の中には入れておきます。
このようにして、応用行動分析では子どもの行動を変容させるときに分化強化と言う手法を使います。
学習から就労を一貫支援
発達障害児ら向け 学習から就労を一貫支援 福井・坂井の企業
福井新聞 2020年6月19日(金)
発達障害などで困っている子どもの学習と就労を一貫して支援する県内初形態の事業「WALLESS(ウォレス)」を、福井県坂井市の企業が立ち上げた。学び方や人との接し方を個別指導する放課後等デイサービスを福井市内に開設。障害者雇用の企業コンサルティングを併せて手掛け、利用者とのマッチングを図る。「誰もが個性を生かして働ける社会をつくっていきたい」としている。
事業名は「WALL(壁)」と「LESS(減らす)」に由来する。運営会社を設立したのは、これまで人材育成事業を展開してきた山内喜代美代表取締役(福井市)。「障害があったり、困っていたりする子どもにとっての、社会の目に見えない壁を少しでもなくしたい」と思いを込める。
放課後等デイサービス「ウォレスアカデミー」を4月、福井市大手3丁目のビル内に開設した。預かり目的がメインで集団行動を学ぶ一般的な施設と異なり、中高生を含む6~18歳の子どもに個室でマンツーマン指導をするのが特徴。塾のようにして、週1、2回の頻度で50分ずつの利用予約を受け付ける。
学習障害(LD)や自閉症スペクトラム障害(ASD)などの子どもたちが対象。保育士や教員の資格を持つ講師が、読み書きや計算、社会でのマナーなどを教える。新型コロナウイルスの影響が落ち着いて利用は増え、現在は小中高生26人が通っている。
「ウォレスワーク」と銘打った企業向けの取り組みでは、県内の特別支援学校で就労支援の経験を積んだ専門スタッフが、職場での障害のある人への接し方や特性の生かし方を助言。アカデミー利用者の適性に照らした雇用のマッチングを目指す。来年には就労トレーニング「ウォレスジョブトレ」も始める予定。
アカデミーに通う注意欠陥多動性障害(ADHD)の小学3年男児の母親は「文字に苦手意識がある息子にあった教え方をしてくれている」と目を細める。管理者で社会福祉士の永田弘幸さんは「障害や症状だけで区分せず、オーダーメードの対応をしていきたい」と意気込んでいる。
山内代表取締役は「子どもが対人関係などで困っていても、学習に問題がなければ対処されないままで、社会に出てからつらい思いをして、ひきこもりになるケースがある。早い段階から子どもたちに向き合って、将来のためのサポートをすることが必要」と話している。
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NPOホップすてーしょんも同じようなコンセプトで新事業所を計画中です。小学校高学年から中学生までの発達障害を起因とする学びの課題に取り組むことは極めて重要な課題だと感じています。もちろん、その学びの課題の背景には学習上の困難だけでなく、対人関係の困難や行動上の困難があることも少なくありません。また、進路という視点から考えると、就労にソフトランディングすることが困難なケースが多いです。学校を卒業してから、成人してから、取り組むのではなく、早い時期から自分の特性を知り、支援を受けることで自分らしさを発揮できるのだと考えられるように取り組むことが重要だと考えています。
6歳までの適切な療育の効果
発達障害の子どもの可能性を奪う…日本の「療育施設」の現状
大坪 信之2020.7.4【幻冬舎ゴールドオンライン】
※当記事は、2018年12月4日刊行の書籍『「発達障害」という個性 AI時代に輝く――突出した才能をもつ子どもたち』から抜粋したものです。
発達障害の子どもの約4割は、療育を受けられていない
発達障害と上手につき合っていくためには、「療育」を受けるという方法があります。療育とは、治療と教育の両方を併せ持つもので、社会に出ても困らないようにするためのトレーニングです。ところが、発達障害と診断される子どもが増えるにしたがって、療育を受けられる場が足りなくなっています。
文部科学省の調査によると、発達障害とされる子どもが推計で約60万人いるとされていますが、そのうち4割弱は特別な支援を受けていません。本来、発達障害の子どもは、療育を受けることで、社会に出て活躍できる足がかりをつくることができます。にもかかわらず、多くの子どもたちが療育を受けられずにいるというのは、本人にとっても社会にとっても大きな痛手です。
それぞれの自治体には、障害のある子どもに対して、それぞれに合った治療・教育を行う場として療育センターが設けられています。療育センターには、通所支援の場として、6歳までの未就学児に発達支援を行う児童発達支援事業所・児童発達支援センター、医療型児童発達支援を行う医療型児童発達支援センター、6~18歳(場合によって20歳)が通う放課後等デイサービス、保育所等訪問支援があります。
療育センターで療育を受けようと思ったら、まずは市区町村の窓口に相談に行く必要があります。窓口には相談員がいて、必要に応じて療育センターに申し込みをすることになります。ところが、6歳以下の子どもが実際に療育センターで療育を受けるためには、3年待ちが当たり前というのが現状です。発達障害の子どもの数は増えているのに、療育センターの定員はほとんど変化がありません。療育を受けたい子ども数が増えているのに、受け皿は増えていないのです。
「6歳までの適切な療育」が子どもの生きづらさを軽減
子どもの脳は、6歳までに急激に発達していきます。6歳までに適切な療育を受けることができれば、発達障害の子どもの生きづらさは、かなりの部分が解消します。しかし、現状では、たとえば3歳児健診で発達障害だといわれたとして、すぐに療育センターに申し込んでも3年待ちが当たり前です。つまり、6歳までに療育を受けることができないのです。
ハーバード大学をはじめとして様々な研究で、6歳までに効果的な療育を受けられれば、IQを上げることができるとしています。これを受けて、日本の療育の現場でも、就学までの教育の場にしようということでつくられたのが、「児童発達支援事業所」でした。
それまで療育の場となっていたのは、「児童デイサービス」と呼ばれるものでした。児童デイサービスは、就学・未就学を問わず、通所の療育施設として設けられていました。それが、2012年に「障害者自立支援事業法」と「児童福祉法」が改正され、未就学児を対象とした教育の場である「児童発達支援事業所」と、就学児を対象とした預かりの場である「放課後等デイサービス」に分けられたのです。
とはいえ、もともとは就学・未就学問わず預かり保育の場であった「児童デイサービス」が、午前中は「児童発達支援事業所」、午後からは「放課後等デイサービス」となっただけというケースが多くあります。教育のノウハウを持っていないために、相変わらず預かるだけの場となっていることもあります。
放課後等デイサービスについては、2012年の法改正によって、株式会社も参入できるようになりました。国の目標としては中学校区に1施設で、全国で9700施設ですが、すでに10000施設を超えています。これほど増えたのは、放課後等デイサービスに関しては、場所を確保して、人手があればつくれるからです。
一方、「児童発達支援事業所」がなかなか増えないのは、専門性が必要だからです。幼児教育に専門性がある事業体となると、幼児教室の運営会社くらいでしょう。参入できる事業体の数が少ないのがボトルネックとなっています。就学までに適切な療育を受ければ、IQが上がるのですから、本当は未就学児を対象とする児童発達支援事業所の方が必要なはずなのに、こういった理由からなかなか増えていないのです。
軽度の発達障害であれば、療育の開始が遅れることも…
また、発達障害の判定ができる小児科の医師が少ないことも問題です。診断を担当する医師が発達障害に詳しくない場合、「もう少し様子を見ましょう」などといわれて、診断が先送りになれば、余計に療育の開始が遅れます。療育センターでは重度の子どもが優先されますので、軽度と見なされた子どもは、より不利になります。一般に「グレーゾーン」といわれるような子どもに至っては、療育センターに通う機会すら得られないのが現状なのです。
療育を受けられる施設は、各自治体の療育センターだけではありません。ほかの選択肢はどうなのでしょう。その一つに、病院で療育を受けるという選択肢があります。しかし、療育を行っている病院で初診の予約をとろうとしても、10か月から1年待ちは当たり前という状況です。当然、療育の開始までにはそれ以上の時間がかかることになります。
では、民間の療育機関はどうでしょう。民間の施設については、預かることがメインの「預かり型」が多く、療育を受けられる「教育型」の施設が少ないのが課題です。比率としては、預かることがメインの事業所が9割近いというのが現状です。もちろん、「預かり型」のニーズがあるのも事実です。発達障害の子どもを育てているお母さんの苦労は計り知れません。子育ては、ただでさえ大変ですが、たとえば多動傾向のある子どもを一日中追いかけているお母さんは、心身ともに疲れ切っていることも多くあります。そういうお母さんに、ひとときでも休んでもらうためには、預かり型が果たす役割は大きいといえるでしょう。
しかし、子どもの将来を長い目で見たとき、社会の中で能力を発揮していくためには、幼児期に適切な療育を受けることが大切です。教育型の施設が足りず、しかるべき時期に適切な療育が受けられないというのは、その子の将来にわたる大きな損失なのです。
療育が受けられる施設の数が足りないのと同時に問題なのが、療育の質です。自治体の療育センターの現場では、先生が自作の教材を使って、それぞれのやり方で療育を行っています。そのため、療育のノウハウが蓄積されにくいという現状があります。・・・・(後略)
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NPOホップすてーしょんも、この著書と同じような危機感を就学前の発達障害療育に対して持っています。公立の療育センターでも施設によって療育者によって療育方法が異なるし、民間の児童発達支援事業でも経営方針によって様々な療育が行われていますが、セオリー通りの療育からエビデンスがはっきりしないものまで様々です。就学前の児童発達支援も昨日掲載した高学年以降の発達障害支援と併せて新しい事業所の内容として計画中です。発表はもうしばらくお待ちください。
授業についていけない僕を救った落語
識字障害で授業についていけない僕を救った落語
柳家花緑 2020.06.28【幻冬舎PLUS】
自身の経験を軽妙につづった花緑さんの新刊『僕が手にいれた発達障害という止まり木』より、一部を公開します。
* * *
「読めない」「書けない」から、授業についていけない
僕の本名は小林九(こばやしきゅう)といいます。小学校時代のあだなは、「バカな小林くん」。いやぁ、子どもって残酷(ざんこく)ですね。まくら言葉のように、僕の名前の上に「バカな」がつくんですから。
なぜ「バカな小林くん」なのかというと、教科書が読めないから。一文字一文字追うので、ものすごく時間がかかるし、意味もつかめない。
一番つらかったのは、授業中に「小林くん、何ページの何行目から読みなさい」と、立って読まされるときです。つっかえつっかえなんとか読むのですが、緊張するとますます読めない。すると、クラスのみんなが笑うんです。
教科書が読めないと、すべての教科についていけなくなります。言葉の認識が苦手なので、思考力も育ちません。1年生でついていけないということは、2年生になると完全に落ちこぼれです。
担任の先生からは、しょっちゅう怒られていました。というのも、授業がさっぱりわからないので、ついしゃべったり、よそごとをしてしまうんですね。だから先生からしてみたら、授業を妨害(ぼうがい)する問題児です。
自分なりに、必死でついていこうとはしていたんですよ。でも、どうしてもついていけない。すると、自分でも「自分はバカなんだなぁ」と思ってしまいます。
言い換えると、自分で自分のことを、あきらめてしまうんですね。だから、「バカな小林くん」と言われても、なにも言い返せません。
宿題も、ほとんどやったことがありません。どうせわからないし、やる気も起きません。でも、「やらなきゃいけないことを、やっていない」という負い目みたいなものは、子どもながらに感じていたと思います。だから、なんかもやもやしてしまう。
そうそう、こんなこともありました。祖父の五代目柳家小さんには、大勢の弟子がいました。そのなかの一人が、柳家小三太(こさんた)師匠という先輩。当時は前座で、「小たか」と名乗っていました。で、僕が宿題をしないのを見かねてか、ある日、宿題の算数のドリルを一緒にやってくれたんです。
翌日、今日は珍しく宿題を提出できると意気揚々(いきようよう)。宿題が先生から戻ってくると……なんと答えが全部×、間違っていました(笑)。
でも、「バカな小林くん」と呼ばれても、学校には毎日行っていました。なんでかなぁ。たぶん、友だちと遊びたかったからでしょう。というより、しゃべりたかったから。それくらい、しゃべるのが大好きな子どもでした。
あっ、あと、「好きな女の子に会いたい」という気持ちも大きかったですね。小林くん、なかなかノーテンキです。
落語のおかげ
小学校5年生の通知表の所見欄には「気が散って学習に身が入りません」と書いてあります。でもその後、「心をおちつけて、絵を描くときのように、根気よく復習しましょう」と続きます。
というのも、勉強はできないけれど、図工はすごく得意だったんです。絵を描いたり工作をするのは、遊びの感覚。熱中し出すと、それこそ我を忘れてとことん熱中するので、絵を描いているときはすご~く静かです。
中学に入ると、音楽と美術はたいてい5段階の5。数学や社会、英語が1なので、そのコントラストといったら! 好きな科目のときは、ウキウキしましたね。それに助けられていた面もあります。
僕の場合、相当な落ちこぼれだったので、いじめにあっても不思議ではありません。実際、今思えば彼も発達障害だったんだろうなと思えるクラスメイトは、いじめられていました。
僕がいじめられなかったのは、落語のおかげです。9歳から落語を始め、祖父の高座に初めて出たとき、その様子がテレビで放映されたんです。すると、信じられないようなことが起きました。なんと、バレンタインデーにチョコレートをもらったんです。それも、5人から! ちなみに兄はカッコいいので、いつも山のようにチョコレートをもらっていましたが。
まぁ、当時はテレビに出たというだけで、ちょっと一目おかれた。だから、いじめられなかったのでしょう。本当に、落語には助けられました。
母は、いずれ僕を落語家にしようと心に決めていたようで、小学校2年のころから日本舞踊や三味線などの習い事をさせられました。それは、自分としては楽しかったんです。踊りや音楽はけっこう得意だし、好きだから熱中するんですね。
これは余談ですが……。
母は直感で、兄にはクラシックバレエを習わせようと思ったようです。確か当時兄は、10歳くらい。もう、恥ずかしいと思う年齢ですから、タイツなんて穿(は)いて踊るのはイヤだとゴネました。すると母は、兄にこう言いました。
「九にもやらせるから」
「それなら習いに行ってもいい」
そんなわけで、兄と一緒にバレエを習いに行くことになりました。
ところが通い始める直前に、兄が階段から落ちて腕を骨折してしまいます。しかたなく、僕だけ小林紀子バレエ団に通うように。兄の小林十市(じゅういち)は後にプロのバレエダンサーになりますが、そんなわけで実は僕、バレエに関しては兄の先輩です(笑)。
いよいよ修行開始
正式に落語の修行を始めたのは9歳のとき。最初に教えてもらったのは、『から抜け』という、与太郎(よたろう)が出てくる噺です。
与太郎とは、落語によく出てくるキャラクターで、ちょっとマヌケで、失敗が多い。人から言われたことを、一度では理解できません。でも、あいきょうがあって、人からあまりきらわれない――とまぁ、子ども時代の僕みたいなキャラクターです。
『から抜け』は、小噺(こばなし)がいくつかあるような感じで、全体で7分くらい。与太郎だけではなく、近所のおばさんや、兄弟、父親も出てくるので、キャラクターを演じわけるように、と教わった記憶があります。教えてくれたのは、叔父である、今の六代目柳家小さん。当時は柳家三語楼(さんごろう)といいました。
落語は、「口伝(くでん)」というやり方で師匠から教わります。口伝とは文字通り、「口で伝える」。つまり、師匠がしゃべるのを聞いて、覚えるわけです。
その昔、録音機器がなかった時代は、まさに師匠の一言一句を記憶するしかなかったのでしょう。僕が修行を始めたころは、カセットテープに録(と)らせてもらって、それを何度も繰り返して聞いて、マネしてしゃべっていたんだと思います。
2席目は『桃太郎』という親子の話。その後、祖父に『芋俵(いもだわら)』という泥棒の話を習いました。そのときに初めて、間(ま)というものを教わりました。祖父の口マネをしながら、「そうだ、もっとそこはゆっくりだ」といった感じで教えてもらい、繰り返し稽古をした覚えがあります。
中学に入ると、カセットを聞いてノートに書きとるようになりました。残念ながら、当時のメモは残っていません。たぶん、先輩の誰かからノートに書いたらいいと言われたのでしょう。中学校を卒業するころには、11席くらい、やれるネタがありました。
* * *
この続きは『僕が手にいれた発達障害という止まり木』(幻冬舎)で! 全国の書店で好評発売中です。
デジタル対応、世界に20年遅れ
揺らぐ「学びの保障」 デジタル対応、世界に20年遅れ
教育改革 危機が促す
【日経電子版】 (2020/7/7 5:27更新)
新型コロナウイルスの感染拡大が教育を揺るがしている。全国休校がもたらした学習格差、画一的な教育制度、再考を迫られる大学のグローバル展開――。教育の新たな形を示せるかがコロナ時代の国家の競争力をも左右する。
「自宅にいる人も見えていますか」。東京都立白鴎高校(台東区)の教員が教室内の生徒20人とパソコン画面に映る生徒20人に呼びかけた。同校は6月の分散登校期間、対面とオンライン(遠隔)の併用授業を行った。
休校中の4月に教員数人が始めた遠隔指導は全教員約70人が動画の配信をできるまでになった。生徒は宿題も遠隔で出した。田中幸徳副校長は「オンラインと対面を融合し、教育の質を高めたい」と意気込む。
デジタル技術を変革に生かすデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が学校にも押し寄せてきた。休校中に地域間などで学習機会の格差が生じ、どんな時も学びを止めない「学びの保障」が揺らいだとの悔いが現場を突き動かす。
各国は先を行く。「最も遅れていることを改めて自覚した」。3月23日の国連教育科学文化機関(ユネスコ)での教育担当の閣僚級会合。フランスやイタリアなどの発言を聞いた萩生田光一文部科学相は絶句した。参加11カ国で日本以外の全てが休校中にオンラインで指導をしていたからだ。
上智大の相沢真一准教授(教育社会学)によると「日本の学校のデジタル対応は世界から20年近く遅れている」。2000年代前半は日本の学校のコンピューター整備状況は各国と大差がなかった。しかし09年には授業中のデジタル機器の利用状況が経済協力開発機構(OECD)加盟国で最低水準となり、18年も同様だった。「日本の学校は情報機器を遊び道具とみて遠ざけたが、世界は鉛筆やノートと同じ文房具にした」
3月下旬から原則休校になったオーストラリア。広大な国土で教育格差が生じないよう10年以上前から政府などが遠隔学習に力を入れ、子ども1人に1台の情報端末を配備してきた。休校中もホームルームから授業までオンラインが広く活用された。
日本にも好例はある。3月の休校後すぐ遠隔授業を始め、4月には全小中学校に広げた熊本市だ。16年の熊本地震での休校の経験を糧に、18年度からNTTドコモなどと組み、タブレット端末の配備に力を入れてきたことが奏功した。
デジタル技術に対応した人材を育てるためにも学校教育のDXは避けて通れない。18年の国際学力調査で読解力と科学的リテラシーが世界トップ級になった欧州のエストニアは、情報技術(IT)立国を掲げて約20年前から全学校の教室にパソコンとネット環境を整備。教材も電子化する。学習履歴を基に単位を与えて飛び級を認め、優れた才能を発掘する制度も整えた。
日本もコロナ禍を受けて1人1台の端末を今年度中に配備する目標は立てた。しかし登校を再開した途端にオンライン指導をやめ、対面授業に戻る学校も相次ぐ。非常時も学びを止めず、新たな時代を生き抜く人材を育てようとする強い意志はそこにない。問われているのは危機感と覚悟だ。
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放デイも、PCやタブレット端末を子どもの余暇支援にしか使えていません。子どもたちの学びのためにシステムを導入するとなると、大手のICT教育の会社と連携するしかありませんが、使い方はそれぞれの運営に任されているのですから、明確な戦略をもって取り組むべきだと思います。新しいものを導入するとき、あれこれ批判することは簡単ですが、成果を出すには地道な努力が求められます。努力もせず、先生が使えないだの予算がないだのとICT導入の困難ばかりを言い訳にしてきたトップは、スマホが使えない大人が少なくありません。それが結局、先進国の中で日本が取り残された原因のようにも思えます。
ただ、ICT機器を利用する大人のデジタル機器への親和性は大事ですが、今や一人が一台スマホを持ち、毎日スマホを使っています。ICT教育を進めるにあたって、これ以上に大人に必要な経験はあまりないと言えます。経営者や責任者のICTへの投資の決断一つでICT教育は進むはずです。
熊本豪雨災害
決壊、浸水…豪雨の爪痕深く 橋崩落は14カ所 熊本県南部
2020/7/6 6:00【西日本新聞 熊本版】 和田 剛 郷 達也 壇 知里
熊本県南部を襲った豪雨の被災地では5日、建物や道路の破損など爪痕の大きさが徐々に明らかになってきた。ぐずついた天気が続く中、決壊した堤防の緊急工事や水没した自宅や家具の片付けなど、各地で復旧に向けた動きも出始めた。
県によると公共土木施設の被害は、道路ののり面崩落や路肩決壊など計38カ所▽橋の崩落14カ所▽土砂災害30カ所▽人吉市の公共下水道施設1カ所-など。このほか、八代市坂本庁舎1階が水没した。
道路の寸断などにより5日朝時点で8市町村に孤立集落が確認された。球磨村は78地区1432世帯が孤立するなど被害が大きく、このうち8地区では停電と断水、電話の不通が重なっているという。
肥薩おれんじ鉄道八代-出水間は二十数カ所で被害が確認。くま川鉄道は保有車両5両すべてが浸水し、球磨川第4橋梁が流失した。
医療・福祉施設の浸水被害は、医療施設28カ所▽高齢者施設18カ所▽保育所6カ所▽障害者施設2カ所-など。
芦北町の芦北高校と芦北支援学校、球磨村の渡小学校などの校舎に床上浸水した。小学校7校▽中学校4校▽高校12校▽特別支援学校2校が6~8日(一部は6日のみ)に休校する。
人吉市中神町では、球磨川の堤防が長さ約40メートル、幅約4メートル、高さ約8メートルにわたって決壊。現場では5日、ブロックなどで堤防の形に戻す緊急工事が行われた。国土交通省八代河川国道事務所人吉出張所の中村良一所長(47)は「少しの雨でも水位が上がる。雨が降っているので怖い」と茶色く濁った川面を見つめた。 (和田剛、郷達也)
「ダムによらない治水」極限まで検討したい 蒲島知事
蒲島郁夫知事は5日、県南部の豪雨被害を巡り「球磨川の氾濫を実際に見て大変ショックを受けた。改めて『ダムによらない治水』を極限まで検討したいと確信した」と述べた。人吉市や八代市を視察後、県庁で報道陣の取材に答えた。
蒲島知事は2008年の就任直後、国が五木村に建設を予定していた川辺川ダム計画の白紙撤回を求めて反対を表明。翌年に民主党政権が計画中止を表明した。国と県、流域市町村がダムに代わる治水策を協議しているが、議論はまとまっておらず、建設計画自体の廃止手続きは取られていない。
蒲島知事は「白紙撤回の決断は県民の意向だった」として「この12年間で(ダムに代わる治水策が)できなかったのが非常に悔やまれる」と話した。 (壇知里)
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自然災害で福祉施設が受けるダメージは大きなものです。特に利用者が即座に移動できない入所型施設や児童施設の災害リスクは大きいです。災害危険地域に福祉施設などを作ってはいけないという法律が施行したのはごく最近です。そして、法律施行前に作られた施設はそのままです。
ハザードマップの危険地域には少なくない福祉施設があります。福祉施設は民間経営ですから、土地価格の安価な場所に作らないと経営が成り立ちません。安価な場所は、危険地域が多いのです。
蒲島知事の(川辺川ダム建設の)「白紙撤回の決断は県民の意向だった」という発言が開き直りだという批判は多いですが、ダムができれば減災ができるかどうかは別問題だと思います。想定外の自然災害が起きればダムも堤防も防波堤も役には立たないということを、私たちは平成時代に経験してきたからです。そして、最も弱い子どもと障害者と老人にこの課題は顕在化します。
老人や障害者や子どもが利用する施設は、優先して安全地域へ施設ごと誘導する政策が必要ではないかと思います。すぐさま命を守る行動を起こすような地域ではなく、弱い人が利用する施設は避難しなくてもよい地域に移設していくのが、人口減を迎える日本の優先課題だと思います。
「社会情緒的スキル」コロナ休校前後で比較
「社会情緒的スキル」、コロナ休校前後で子どもたちを比較 京大准教授ら
【京都新聞】2020年7月5日 19:20
子どもの能力のうち将来の学力や友人関係、問題行動との関連性が示され、教育や保育の現場でも注目されている「社会情緒的スキル」。思いやりや自制心といったIQ(知能指数)では測れない能力を指し、集団生活での関わりや家庭環境に影響を受けることが研究で分かっている。新型コロナウイルス感染拡大防止で休校・休園や外出自粛を経験した子どもたちに、同スキルの変化はあったのか。調査した京都大文学研究科の森口佑介准教授(発達心理学)に聞いた。
思いやり行動増える■「影響限定的 注視は必要」
-調査について教えてほしい。
「社会情緒的スキルを調べるためのアンケートを用いて、子どもの姿を、かんしゃくを起こすなどの行動面▽不安が強いなどの情緒面▽じっとしていられないといった多動、不注意面▽友達との関係性を示す仲間関係▽他人に気遣いができるなどの向社会性-の五つの側面から分析した。調査は4~9歳までの子どもを持つ保護者420人に対し、緊急事態宣言が出ていた4月にウェブで行った。私たち研究チームは昨年、同じ内容のアンケートを同じ属性の保護者に実施しており、子どもの変化をパンデミック(世界的大流行)前後である程度比較することができた」
-子どもたちにどのような変化があったのか。
「5つの側面を総合した全体としての結果には、ほとんど差はなかった。コロナ禍を過ごした子どもについては国内外で多くの調査が行われ、精神的な健康に問題が生じたと結論付けているが、それらとは異なる結果が出た。ほとんどの調査チームがパンデミック後のみのアンケートを行っている。子どもの情緒が不安定などという結果が出たとしても、その子が元々問題を抱えていたのかもしれないし、外出自粛などの異常な状況がネガティブな回答を誘発した可能性もある。今回のような状況下では悪い方向に変化すると思いがちだが、私たちの研究結果を見ると、現時点では必ずしもそうではないと考えている」
-側面ごとの変化は。
「向社会性のみで言えば、ほとんどの年齢でパンデミック時の方がスコアが高くなった。親から見ると、子どもは思いやりのある行動をとりがちになったということになる。この点は興味深い。治療困難な感染症が広がると、一般的に自分が所属していない集団(外集団)に対する差別や攻撃、偏見が増え、所属する集団(内集団)をより好むようになることが知られている。外集団は感染症を持っているかもしれないと考えて攻撃し、その結果内集団の結束が強まるという。その心理が子どもたちに働いた可能性がある」
-今後子どもたちに影響が出る可能性はあるのだろうか。
「調査結果から現時点で日本での影響は限定的だと考えている。ただ海外で報告されているように虐待が増加したり、経済状況の悪化で家庭環境が大きく変わったりしていた場合、ダメージは深刻なものになる。今後も注意して子どもたちの様子を調査していかなければならない」
デジタルメディア扱う能力 短期に飛躍的向上
森口准教授らのチームは、社会情緒的スキルの調査と併せて、子どもたちがタブレットなどのデジタルメディアを使いこなす能力の発達についても調べた。能力は短期間で飛躍的に向上していた。
調査は0~9歳までの子どもを持つ保護者700人が対象。画面の表示ボタンを押す「タップ」やファイルを移動して貼り付ける「ドラッグドロップ」などの操作スキルと、写真を見たり撮ったりする機能スキルを調査した。
結果では両スキルとも各年齢で上達が見られ、特に4歳以上では1歳程度高い年齢に相当するスキルを獲得していた。
森口准教授は「外出自粛やオンライン授業などでデジタルメディアに触れる機会が増え、タブレットなどを扱うスキルの発達を促した可能性がある」としている。
もりぐち・ゆうすけ 京都大文学研究科博士課程修了。乳幼児期から児童期における認知機能の発達的変化を研究する。著書に「自分をコントロールする力 非認知スキルの心理学」(講談社)など。
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保護者420人へのアンケート調査を武漢熱前後で行うとはかなり規模の大きな調査と言えます。簡単に言えばほとんど変わらなかったと言う結論です。武漢熱前後で一番はっきりしたのは大人の問題です。同調圧力に弱い大人は、根拠のはっきりしないことでも「みんなが言っているから」と簡単に流れてしまう傾向があります。心ある小児科医たちが何度も子どもにはほとんど影響のない風邪だと言っているのに、休校してでもクレームをかわそうとする事なかれ主義を子どもたちが学ぶことのないようにしたいものです。
学校へのお願いの仕方の極意
発達障害の小学生ママ必見!学校へのお願いの仕方の極意とは
更新日:2020-07-06【パステル総研】
1.発達障害の子どものスムーズな学校生活には先生との連携が必須です!
6月に学校が再開して、1ヶ月以上が経ちましたね。発達障害・グレーゾーンのお子さんの学校生活はスムーズですか?
今年は異例の3ヶ月と言う長期休暇を経ての新学期です。発達障害の子どもにとってはストレスも一層強く、登校しぶりがあるなど困りごとが増えているお子さんもいるかもしれません。
ではここでお母さんに質問です。
我が子の対応について学校へのお願いは、きちんとしてありますか?
発達障害・グレーゾーンの子どもは脳の発達が未熟であるために
・集中して先生の話を聞くことができない
・指示が通りにくい
・見通しを持って行動することが苦手
など様々な特性を抱えています。そのため、学校生活ではみんなと同じようにできないことが多く自信を失う機会も増えがちです。
さらに、学校の理解がないと適切なサポートも受けられず、「努力不足だ」と誤解されて叱られてしまう可能性もあります。
つまり発達障害の子どものスムーズな学校生活には、先生との連携が必須なんです。
と言っても「うまく先生に伝える自信がない」「ちゃんと対応してもらえるのか不安…」と言うお母さんもいるかもしれませんね。
実は、学校へのお願いの仕方には「必ず押さえるべき注意点」があるんです。
2.先生のホンネと学校へのお願いの仕方の極意とは?
さて、学校へのお願いと言うと「サポートブック」などの書面形式を取ることが一般的です。
そして「あれもこれも先生に伝えないと!」と細かくたくさん記入するお母さんもいらっしゃるようです。
しかし、それは大きな誤解です。
実は、先生が求めている学校へのお願いの書面というのは、「とにかくシンプルなこと」です!
学校の先生はたくさん業務を抱えており、とにかく忙しいです。
内容が多すぎると、
・読む時間がない
・読めたとしても、35人学級を回しながら全ての要望に応えるのは無理
・「せっかく伝えたのに全然配慮してもらえていない!」とお母さんを落胆させてしまうのではと心配になる
など、先生の負担を増やしてしまうだけで効果が得られないことが多いんです。
また新学期のこの時期に渡す書面は、あくまで「先生とこれから連携を取るきっかけ作り」という位置付けです。
ですから、
・まずは先生に知ってほしい必要最低限の情報があればOK
・書面を読んだ先生に「もっと話を聞きたい!」と思ってもらえること
が重要なんです。
3.効果的なサポートレターの書き方を大公開!
◆苦手と得意はセットで!
我が子の学校生活に不安を感じて、先生に苦手なところをたくさん伝えたくなる気持ちは分かります。
しかし「〇〇ができません」「××が苦手です」とできないことばかり言われても
・「この子は大変そうだな…」と不安を感じさせてしまう
・できないところばかりに目が行くようになってしまう
などと、先生の精神的な負担を大きくしてしまうだけです。
そこでやってほしいことが、苦手なことと得意なことをセットで伝えることです。例えば
「行動の切り替えが苦手ですが、好きなことにはとことん集中して取り組みます」
「字を書くことは苦手ですが、絵を書くのは得意です」
と言う感じで、我が子の長所もきちんと伝えてほしいのです。
こうすることで、先生の気持ちも軽くなりますし、学校でもスムーズに対応してもらえやすくなります。
◆おうちでの様子や対応を伝える
2つ目は、おうちでの様子や対応をしっかりと伝えることです。
学校との連携で欠かせないのは「親の協力する姿勢」です。学校での困りごとの対応を全て先生にお任せするのではなく、
・お母さんがしっかり家で対応していること
・学校へお願いしたい対応の範囲を明確にすること
の2つを伝えることが大事です。例えば
「待つことが苦手です。家では『ちゃんと待ててるね』とこまめに褒めることできちんと待てています。学校でも待つ場面があったら一言声をかけていただけますか?」
と言うお願いの仕方をすることで
「このお母さんはおうちでも特性に合わせた対応をしているんだな」
「こうやって対応すればいいんだな」
と先生の協力を得やすくなります。
◆日頃から先生への感謝を忘れない
そして、学校へのお願いで一番大事なことは日頃から先生への感謝を忘れないことです。
先ほどもお伝えしたように、先生は1人で35人学級を回さないといけない上に業務も多く、とても忙しいです。
普段から、連絡帳や電話で
「先生のおかげで登校しぶりもなく通えています。」
「先生に褒められた!と嬉しそうに話してくれました。」
などこまめに感謝を伝えるようにしましょう。
学校へのお願いの仕方の極意とは「とにかくシンプルなこと」。
ポイントは
・苦手と得意はセットで伝える
・おうちでの様子や対応を伝える
・日頃から先生への感謝を忘れない
という3つです。
たくさん書いても先生も「対応しきれない!」となってしまうので、1つの項目につき記入することは多くて3つまでが理想です。
ADHDの診断は正しいのか
ADHDの正体―その診断は正しいのか―
岡田尊司 著
Shincho LIVE! (2020年5月号書評)finalvent
数年前から、著名人が「自分は発達障害だった」とカミングアウトするようになった。インターネット上でも自己紹介の一環のように、自身を発達障害だと語る人が目につく。実際、精神科でそのように診断される人は増えている。発達障害は子ども特有のもの、というのは昔の話だ。大人になってからの診断で、ようやくわかったという感じである。そうした大人の発達障害には、注意欠如や落ち着きのなさが特徴のADHDや、コミュニケーションが取りづらくなりがちなASD(アスペルガー症候群とも言われていた)がある。その両方を備えていることもある。
こうした世相と呼応するように、本書の第一章に興味深い症例が出てくる。64歳の男性Uさん。子どもの頃の成績は優秀だったが友だちはほとんどいなかった。テレビ業界に入ってからは目覚ましい成果も上げていたものの、ずっと生きづらさを抱え、50代で精神科を受診し、抗うつ剤を飲む日々となった。60歳で退職し無気力な日々を過ごしていたが、大人の発達障害を扱ったテレビ番組を見て、自分はこれではないかと思い至った。診断を受けたところ大人の発達障害とわかり、SSRI(抗うつ剤)に加え、コンサータが処方された。しかし、症状が改善した実感はない。
この症例は本書の問題提起を象徴的に示している。そもそも「大人の発達障害」や「大人のADHD」とは何か。近年そういう診断を受ける人が増えている背景には、どういう事情があるのか。診断・投薬を受けても、なぜ症状が改善されないのか。本書はこうした「大人の発達障害」、特に「大人のADHD」が近年増えてきた実態について、最先端の研究成果を含む医学資料の読み直しと臨床経験を基に、その仕組みや背景を、正直、ここまでするかというほどに根気よく追究している。
そもそも「大人のADHD」と診断されている実態は何か。著者が打ち出す仮説は世界の常識を一変させてしまう。「大人のADHD」は、本来子どもが診断対象であった発達障害の延長で起きる症例ではなく、別の原因による症状かもしれない、というのだ。著者はこれを仮に「疑似ADHD」として考察を深化させる。
なるほどと私は思う。先の64歳のUさんの生きづらさや診断への希求は、まさに63歳の私に重なるからだ。現状、「大人のADHD」と診断されている事例には、著者の言う「疑似ADHD」が多く含まれているのではないか。その疑念と追究は、私のような読者には衝撃的ですらあった。
「大人のADHD」という診断と投薬によって、現在の症状が改善されるなら、それでいい。それなら診断と投薬はその人を支えている。しかし、「生きづらさ」を抱えつつも、コンサータなどの投薬が効かないし、症例が改善されていないという問題を抱えている人には、本書の提言は重要な意味を持つだろう。
誤解なきように付記すれば、本書は発達障害の診断のもとになる精神疾患の国際的な基準「DSM-5」を否定するものではない。現状ADHDと診断されている実態には次の4種類があるのではないかと考察しているのである。
(1)発達障害による本来のADHD
(2)本来のADHDが環境要因で悪化している
(3)愛着障害など養育要因から疑似ADHDとなっている
(4)養育要因以外の理由で疑似ADHDとなっている
こうした精密な考察から見えてくるのは、生きづらさを実感している人それぞれの経験や環境要因を精査する必要性であろう。「あなたは大人のADHDです。このお薬で改善されます」といった明快な答えが得られないとしても、投薬の再検討により副作用を減らすこともできるし、真の問題改善の端緒が得られるかもしれない。
また本書はこうした「大人のADHD」の問題に加え、発達障害と診断された子どもにかかわる大人のあり方についても十分な提言を行っている。発達障害の子どもを抱える親や教師にも、多くの示唆が得られるだろう。例えば、発達障害の子どもの学童期には、押さえつけ型の教育をしても反発だけが大きくなる。問題点に目を向けるより、まず理解者となり、精神的な安全基地となることが大切である。また、親として否定的な態度にとらわれているときには、自分自身の親との関係を見直すことで事態を客観的に扱えるようになる。
発達障害や生きづらさに安易な答えはない。著者は「地道な内省とかかわりの先にこそ、根治への道は続いている」という。本書は強い励ましになるだろう。
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岡田 尊司(おかだ たかし)
Okada Clinic 院長
1960年、香川県に生まれる。東京大学文学部哲学科に学ぶも、象牙の塔にこもることに疑問を抱き、医学を志す。ひきこもった時期や多くの迷いを経験する。京都大学医学部で学んだ後、京都大学医学部大学院精神医学教室などで研究に従事するとともに、京都医療少年院、京都府立洛南病院などに勤務。山形大学客員教授として、研究者の社会的スキルの改善やメンタルヘルスの問題にも取り組む。著作家や作家・小笠原慧としても活動している。
スマホは学校に持ち込むべきか
スマホ普及で見直し 携帯持ち込み、学校は慎重
【時事通信】2020年07月14日07時08分
文部科学省が学校への携帯電話の持ち込みに関する通知を見直すのは、スマートフォン普及の広がりを重視したためだ。ただ、管理の難しさやインターネット交流サイト(SNS)でのトラブルへの懸念などから、現状では容認に慎重な学校も多いとみられる。
内閣府の調査によると、スマホや携帯電話の所有・利用率は、小学生で2010年に20%だったのが、17年には55%に上昇。中学生は49%から66%となり、いずれもスマホの伸びが大きい。一方、有識者会議のヒアリングでは、持ち込みを認めるべきでないと回答した中学校が569校のうち87%に上ったとする全日本中学校長会のアンケート結果が示され、「学校がスマホを管理する設備が不足している」「生徒間でのトラブルの増加は否めない」などの懸念が示された。
実際に持ち込む児童生徒が増えるかは未知数だ。全国に先駆けて小中学校への持ち込みを認めた大阪府では、4月までに府の方針通りとした自治体は3町にとどまった。容認したある町では、保護者に事前の面談と同意書への署名を求めており、希望する児童生徒は1割に満たず、小学校低学年の児童がほとんどという。
文科省幹部は「学校に必要ないものという位置付けは変わらないが、うまく付き合えるなら容認する考え方もあると示した」と説明。持ち込みの条件とした保護者らとの合意について、「クリアするのは容易ではない。実情に応じ各学校で判断してほしい」と話した。
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学校や関係者に判断を任せたら、いつまでたっても時期尚早と言い続けるのだと思います。良し悪しは別にして、今までのやり方を変えようとしないのが学校の基本形だからです。
先生たちがスマホ持ち込みで困っているのは、個人の持ち物であるスマホの管理を誰が担当するのかと言う話です。子どもが学校にもってきたものの管理は学校が責任取るのが当たり前です。この当たり前を前提にすれば、話は相当前向きになります。
だから、まずは、スマホは学校に持ち込みOKとし、そのために必要な事を考えていくという逆の発想が大事です。持ち込んでから考える、やりながら揃えるという発想です。当然、問題もおこるでしょうが、これまで学校がタッチできなかったSNSのことなどが正面から取り組めるようにもなります。学校WIFIも一気に進みフィルタリング技術やスマホ管理技術も学校が開放し大きな市場となれば必ず進みます。
学校を企業の食い物にするななどというステレオタイプなスローガンからは教育のICT進化は望めません。学校に新しい風を吹き込ませてこそ学校は変わっていくのだと思います。
漢字が書けない私が、それを「誇らしい」と思える理由
漢字が書けない私が、それを「誇らしい」と思えるようになった理由-漫画『きょうも厄日です』 山本さほ インタビュー(2)
7月15日(水)12時0分 ねとらぼ
『岡崎に捧ぐ』などの作品で知られる山本さほさんは、なぜか厄介な人たちを引き寄せてしまう謎の能力の持ち主。トラブル続きな日々をつづったエッセイ漫画『きょうも厄日です』の中から、その一部を作者インタビューと合わせて公開します。(聞き手/構成:杉本吏)
●漫画『きょうも厄日です』とは?
街を歩けば不思議な人に出くわし、電車に乗れば面倒な人に絡まれ、旅行に行けばおかしな事件に巻き込まれる……。山本さほさんの身に降りかかる災難を、“笑い時々ホラー”なタッチで描きます。
●作者プロフィール:山本さほ
1985年生まれ。幼少時代からの親友「岡崎さん」との友情や子供時代の思い出を描いた自伝的作品『岡崎に捧ぐ』がネット上で話題となり、漫画家に。現在、『きょうも厄日です』(文春オンライン)『無慈悲な8bit』(週刊ファミ通)連載中。
●書字表出障害(ディスグラフィア)
聞き手:今回は、漢字をうまく書くことができない「書字表出障害(ディスグラフィア)」に関するエピソードです。自分がこの障害かもしれないと気付いたのはいつ頃ですか?
山本:フリーターだった頃はそれほど字を書く機会がなかったんですけど、25?26歳でアパレル業界に就職したら、辞書を使わないと報告書の文章が書けなかったんですね。でも、当時はただ「自分がバカなんだ、自分の頭が悪いだけだ」って思ってました。
だから漫画家になってからですね、そういう学習障害の一種があると知って、自分がそうなんだと気付いたのは。
聞き手:周りの漫画家仲間に話したら、「実は自分もそうなんだよ」という人がものすごく多かったとか。
山本:そうなんです。あくまでも自分調べですけど、漫画家は驚異のディスグラフィア率で。だからそこで、ちょっとうれしいというか、誇らしくなっちゃって。「選ばれし者?」みたいな気持ちに(笑)。
聞き手:記憶力自体は悪くなくて、特に一度通った道の記憶なんかはずっと忘れないと描かれていました。
山本:道を覚えたり地図を読んだりっていうのは、数少ない自慢できることの一つで。何十年も前に通った道を覚えてたり、海外で人に案内されて通った道を、数年後に自分だけで完璧に歩けたりとか。
それって全部、立体的に覚えているんです。だから漫画で描いているような過去のエピソードも、「あのときはここにあの人が立っていて、こっちにはこの人が立っていて」って舞台上のように覚えているんですよ。
聞き手:脳の中で、極端に得意なことと苦手なことがあるんですね。あとはサイン会など、人前で字を書くときにプレッシャーで真っ白になってしまう、という描写もありました。
山本:はい、緊張がやばくて。普段は漢字を書くほうだけが苦手で、読むほうは大丈夫なんですけど、プレッシャーが掛かると読むほうもできなくなります。
今でも覚えてるのが、小学校の国語の授業で、一人ずつ立って一行ずつ読まされるのってありましたよね。私あれがめちゃめちゃ苦手で。自分の番の漢字が読めなかったらどうしよう、って。小学生だから、読み間違えるとみんな笑うんですよ。それで人前で何か読み上げるのがすごく嫌いになりました。
聞き手:確かに、普段の会話では普通なのに、音読のときだけガチガチになってしまう子がいた記憶があります。
山本:小学生の頃はけっこうがんばって漢字を覚えようとしてたんですけど、何百回書いても無理だったから、生まれ変わって何回やり直しても絶対覚えられない自信があります。
私が漫画家になれたのは、ネットに上げた個人的な作品がたまたま多くの人に読んでもらえて、というきっかけで本当にラッキーなだけだったんですけど、あのままアパレルで働いて、絵なんて描かない仕事を続けてたら……。今そうやってつらい思いをしてる人もいっぱいいるんだろうな、と思います。向いてないほうの仕事についちゃって。
聞き手:自分の能力が発揮できていないだけだとしても、「仕事ができない人」扱いされちゃいますもんね。
山本:そう、漫画を描くほうが向いてるのに文章をいっぱい書く仕事についちゃったりとか。私もそうだったから分かるんですけど、すごく自分がバカに思えてくるんですよ。「この漢字さっきも間違えたし、自分の頭が悪いから仕方ないんだ」って。そういう風に自分の評価を下げちゃってる人もいますよね。
聞き手:そうすると、この障害の存在を知ったというのは山本さんにとってプラスでしたか?
山本:そうですね、知ってすごくポジティブになりましたね。この障害のことが言われ始めたのってここ十数年という話もあって、まだまだ知らない人が多いと思うので、もっとみんなに知ってもらえたらいいですよね。
コロナ第2波が到来しても学校教育は継続(大阪)
コロナ第2波が到来しても学校教育は継続、大阪府が方針決定
7/4(土) 20:00【Lmaga.jp】配信
大阪府の『新型コロナウイルス対策本部会議』が7月3日に実施され、今後第2波、第3波が生じた際、府内の学校においては原則一斉臨時休校をおこなわず、分散登校とオンライン授業を組み合わせて学校教育活動を続けることを決定した。
第2波に備え、学校教育活動の方向性についても議論された今回の会議。参考としたひとつ、文部科学省の「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」では、「今後、感染リスクはゼロにならないということを受け入れつつ、感染レベルを可能な限り低減させながら学校教育活動を継続していくことが重要」と提示。
また、日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会の医学的知見では「海外のシステマティック・レビュー(データ・論文の調査分析による総括)では学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しく、逆に医療従事者が仕事を休まざるを得なくなるため、コロナの死亡率を高める可能性が推定されている」と発表されている。
これらを踏まえ、大阪府教育委員会の酒井隆行教育長は、「3カ月の休校は、子どもたちの生活の乱れや心理的不安定、学習保障に地域差が生じた。また、家庭で過ごす子どもに対する保護者の負担もある。予防策を徹底しつつ学校教育活動の継続性を確保することが、保護者の安心につながる」と説明。今後、大阪モデルのモニタリング指標に応じて教育活動を工夫するという。
まず、1週間の感染者合計が120人になるなど、黄信号が灯された場合は、平常授業はおこなわれるが、合唱などリスクの高い活動は感染症対策を徹底。さらに重症病床使用率が70%となり赤信号が灯された場合も、分散登校・短縮授業・オンライン授業を組み合わせるなど、制限されつつも教育活動は継続される。
吉村洋文知事は、「10代の感染の状況や感染経路を見ると一斉休校は基本的にしなくて良いと思う。陽性者が出た場合は、一時的に休校は必要だけれど、一斉に休校するということは逆に効果がほとんどない。学校については、できるくだけ動かす方向」と明言。
一方で、「非常事態時の赤信号になったとき、保護者の判断で行かせないと決めた場合に、オンライン授業も選択できる柔軟な運用をお願いしたい」と指示を出し、酒井教育長も了解した。
取材・文・写真/岡田由佳子
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政府のGo To トラベルは実施する。感染防止策は厳密に実施しなさいと、人が動けば感染が広まるのに予防しろと、アクセルとブレーキ両方踏むようなダブルスタンダード発言が甚だしい毎日です。なんとか、東京はステイ・TOKYOと決めたそうです。
だけど、昨今の感染対策状況を見ていると、感染なしのゼロリスクの同調圧力に流されているような気もします。感染ゼロは不可能です。例えワクチンができようとも感染は防げません。そんなことはみんな分かってはいるのだけれど、本音のウイズ・コロナでは「命をおろそかにするのか」と叩かれそうで、建前でゼロ・リスクを言っている感もあります。教育界では特に建前論を感じていた中で、大阪府の発信は勇気あるものでした。
経済が失速し失業率が1%上がると日本の場合は数千人が自死すると言われます。すでに飲食や宿泊業界は毎月数千規模で廃業していくという試算もあります。それでも「感染赤信号」の東京の人が地方に移動するのは正直恐ろしいという気持ちも道理です。それなら、近場で宿泊・飲食で良いと思います。
デジタル教科書を2024年に本格導入
小学校の学習者用デジタル教科書を2024年に本格導入へ
文:小槌 健太郎 【日経BP】2020.07.16
文部科学省は学習者(児童・生徒)用デジタル教科書を2024年度に、まず小学校の改訂教科書の使用開始に合わせて本格導入する方針を固めた。2020年7月7日に開催した有識者による「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」の初会合で、デジタル教科書導入に向けたスケジュール案を示した。
デジタル教科書導入に向けたスケジュール案。GIGAスクール構想の実現と並行してデジタル教科書の導入を拡大し、2024年度の小学校の教科書改訂に合わせてデジタル教科書を本格導入する
デジタル教科書には教員が授業の中でディスプレイなどに表示して使用する「指導者用」と、児童・生徒が紙の教科書と同じように自身のパソコンやタブレットなどの端末で使用する「学習者用」の2種類がある。これまでも指導者用デジタル教科書は導入が進んでおり、授業の中での活用も進んでいた。
一方、学習者用デジタル教科書は、2018年5月の学校教育法改正(学校教育法等の一部を改正する法律 )を受けて、2019年度から紙の教科書と同じ内容を収録したデジタル教科書であれば、紙の教科書と併用できるようになった。
ただ、児童・生徒が使用するパソコン・タブレット端末が整備されていなかったことや、学校教育法(第34条第2項)がデジタル教科書の基準として、紙の教科書が主でデジタル教科書は各教科の授業時間数の2分の1未満しか使えないという制約があった。また、紙の教科書は国費で児童・生徒に無償給与されるのに対して、デジタル教科書は無償給与の対象外で、1教科につき200円~2000円の費用は学校設置者となる教育委員会の負担となるため、導入に二の足を踏む自治体が多かった。
学習者用デジタル教科書を域内の小学校に1校でも導入している自治体は2020年度で14.7%しかない。文部科学省の調査では、小学校の学習者用デジタル教科書は、2019年度は紙の教科書の20%、2020年度には94%と大半が利用可能な状況になっている。その一方で、公立小学校で学習者用デジタル教科書を導入している自治体は2019年度で6.1%、2020年度でも14.7%にとどまっている。
2020年に入って、児童・生徒1人1台のコンピューターと高速の校内ネットワークを整備するGIGAスクール構想が新型コロナウイルス感染症対策で前倒し導入されることが決まった。文部科学省は整備された端末で使用する学習者用デジタル教科書を次の小学校の教科書改訂時期に当たる2024年度に本格導入することを視野に、デジタル教科書の位置付けや使用時間を制限する現行制度の見直しなどを含め、有識者会議で検討を行う。
会議の座長を務める東北大の堀田龍也教授は「子供たちが1人1台端末を持つ前提で、良質なコンテンツを提供し、紙と異なる使い方の検討が必要だ」と語った。会議では、2020年中にも方向性を示す予定だ。
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やっとというか、まだまだと言うか、デジタル教科書はLD児特に読みの障害のある児童には音声読みをしてくれるので有効だという事がわかっていました。いつまでたっても文科省が導入しないので「ディジー教科書」の名前で民間ベースでボランティアの力で10年以上前から作られてきました。
2008年9月17日施行の「教科用特定図書普及促進法(教科書バリアフリー法)」と「著作権法第33条の2」の改正により、LD(学習障害)等の発達障害や弱視等の視覚障害、その他の障害のある児童・生徒のための「拡大教科書」や、デジタル化された「マルチメディアデイジー教科書」等が、やっと製作できるようになったのです。
そしてあと4年でやっと全て実現するのです。だいたい、書籍も新聞もデジタル編集を始めたのは1970年代ですが、本格的にはワープロが普及をしライターがデジタル入稿する1980年代です。つまり、1990年代には教科書をはじめほとんどの出版物がデジタルで編集され保存されていたのです。それから四半世紀が経過したわけです。ディスレクシアの子どもたちにも教科書が「読める」ようになったのです。
憲法第二十六条, すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
コンサータの働き
ADHDの薬、コンサータの副作用と用量用法の注意点について
コンサータの用量と用法について
ADHDの治療薬コンサータの服用については、ガイドラインが定められているそうです。
コンサータ投与のガイドラインによると、最初にコンサータを服用する場合は、朝1回、用量は6~10歳の子供の場合は18mg、11歳以上の子供は27mgから始めること、となっています。コンサータは18mgと27mgと36mgのカプセルで、体重の重い子供の場合は、組み合わせて処方され1日54mgが限度です。最初にコンサータを処方する場合は、1~2週間で薬の効果をみていきます。
ADHDの治療薬コンサータの効果と持続時間は?
コンサータは、ADHDの症状(不注意・多動性・衝動性)を抑える作用があります。
特に衝動性や多動性には大きな効果があるといわれています。
コンサータの効果の持続時間は12時間程度なので、1日に朝1回の服用で十分で、午後に飲むことはありません。
コンサータの副作用は?
コンサータはの副作用は、頭痛、腹痛、不眠、食欲がなくなるなどの症状があらわれることがあります。
どの副作用も深刻なほどの症状ではないのですが、午後に服用すると夜に眠れなくなる可能性があるので、基本的にはコンサータの服用は朝1回にすべきだといわれています。また、コンサータの副作用で食欲がなくなり、体重が減るなどの症状が現れた場合は、薬の使用をいったん中止する必要があります。
治療薬コンサータを一生飲み続けることはない
ADHDは治療で治るような病気ではなく、治らない障害なので、薬も一生飲み続けなくてはいけないのか、と不安を感じる人も多くいると思いますが、コンサータを一生飲み続ける例はほとんどないそうです。平均すると、コンサータの服用期間は数ヶ月から数年といわれていて、薬が必要なくなっていきます。薬を飲まなくても、ADHDの子供が自分で行動や感情をコントロールしたり、ブレーキをかけることができるように成長していくからです。従って、ADHDの治療においては、コンサータを使用した薬物療法とあわせて、行動療法を並行して行うことが重要です。
薬の効果やメリットを自覚できると回復が早い
ADHDの子供が、自分で薬の効果を自覚できるようになると、自分でADHDの症状をコントロールしようとする意欲が働き、改善が早くなる傾向があります。子供が10歳前後に成長してくると、薬の効果による「違い」を実感できるようになり、自分で努力しようとする姿勢があらわれやすいです。
尚、コンサータについては今年度より管理制度が変わるので注意が必要です。
「あ」からじゃない「覚え方」
遊び 連想し「ひらがな」ながら学習 「あ」からじゃない「覚え方」に焦点
【東京新聞】2020年7月21日 07時03分
つかむの「つ」、静かにしぃーのポーズで「し」、くちばしの「く」…。埼玉県の小学校教諭佐藤智子さん(53)が、ひらがなの「覚え方」のポイントを盛り込んだ絵本を作った。ひらがな学習にこだわった背景には2人の教え子の存在があった。ひらがなの学習といえば、「あ」から始めると思われがちだが、佐藤さんは画数の少ない字から教える。形を見せ、声に出し、子どもたちに手や体を動かしてもらって、文字の形とイメージを結び付けることを大切にしている。黒板に「へのへのもへじ」の絵を描いて、文字を探させたり、両手で羽の形を作った、ひよこのポーズから「ひ」を教えたりもする。
簡単な字を覚えたら、次は足し算。「棒(|)」+「ろ」=「わ」、「ち」+「し」=「を」といった具合だ。「座らせて何度も書かせると、子どもは飽きてしまう。学習の土台となるひらがなは楽しく身に付けてもらいたい」と話す。約二十年前、佐藤さんが初めて一年生を担任した時、教科書通りに「あ」から教えると、何度やっても書けない子がいた。どうしても不格好になる。「ひらがなでこんなにも苦労する子がいると知らなかった」。先輩教諭の助言を受け、一画で、左利きの子でも簡単な「し」から工夫して教えると書けるようになった。数年後、二年生で担任をした子も習ったはずのひらがなが読めず、書けなかった。給食の準備時間に個別に一字ずつ教えると読み書きができた。「教え方一つで、ひらがなを覚えられる子が増える」と実感した。
佐藤さんは自閉症の次男の育児に手がかかり、退職を考えた時期もあった。でも、学校に行くと、ひらがなが書けなくて困っている子が待っていた。「あの子たちがいたから、仕事も続けてこられました」そんな二十年間のひらがな指導の経験や思いを詰め込んだのが、絵本「ひらがなものがたり」。ひらがなの国の王子と姫が赤い石を奪った竜と闘う物語で、全てのひらがなが入るように構成。絵本を見ながら字を探し、遊びながら覚えることを目指している。
ひらがな学習本は「あ」から、はねや止めなど書き方に力点を置いて解説する本が多いという。「覚え方や教え方に焦点を当てた本は少ないのでは」と佐藤さん。今年はコロナ禍で、家庭でひらがなを学んだ子もいるだろう。「ひらがなでつまずき、学習へ向かう心の扉を閉じる子がいないように。困っている親子に絵本を届けたい」と語る。
絵本はぶどう社刊、税込み千三百二十円。問い合わせは同社=電03(5779)3844=へ。
文・奥野斐
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視覚情報だけでなく、体性感覚やエピソード記憶で文字を指導する方法は、心ある教師があれこれと開発してきました。佐藤智子さんの取り組みもその一つです。子どもたちのまわりに何人の佐藤さんを得るかが子どもたちの学習のイメージを作ると言っても過言ではないです。子どもの学びをあれこれ言う前に、「教え方にセオリーはない」「違う学び方をする人」という柔軟な思考を指導者が学ぶ必要があります。
気になる行動の録画アプリ
気になる行動だけ録画、発達障害の幼児支援に新アプリ
2020年7月21日 10時00分【朝日新聞】
発達障害のある子どもの気になる行動だけ撮影し、動画をクラウド上に記録する。そんなアプリを新潟県内の療育施設、大学、企業が開発している。子どもの通う施設の職員と保護者、専門家らが子どもに関する情報を共有し、適切な支援につなげる狙い。AI(人工知能)を用いた自動録画も近く実現しそうだ。
「クレヨンのふたを開けます」。指導員の声に、座っていた4人の幼児が一斉に動き出す。ただ、1人だけは反応がなく、促されて初めて動き始めた。
40秒ほどの短い動画。これは、アプリ開発に加わっている新潟市中央区の療育教室で今月撮影したものだ。教室が見渡せる場所にアプリが入ったスマートフォンを置き、幼児の気になる行動があれば指導員がエプロンのポケットに入れた専用のボタンを押す。すると、その後だけでなく前にもさかのぼって計40秒間の動画がクラウド上に自動保存される。
クレヨンのふたを開ける幼児らの動画を見た長沢正樹・新潟大大学院教授(特別支援教育)は、反応が鈍かった1人について「遅れていますね」と教室の寺島亜衣子所長(47)に指摘した。指導法について「特に座学では、可能な限り個別に学習する必要がある」とも。長沢教授は昨年12月から、この教室でアプリを用いた指導の実証実験をしている。
アプリ開発には、ソフトウェア開発会社・ロレムイプサム(新潟県長岡市)と長岡技術科学大(同市)の永森正仁助教(教育工学)も加わっている。撮影・保存した動画のファイルに説明の文章を書き込む機能もあり、当時の子どもの状況を保護者にも分かりやすく伝えられるという。
この療育教室では以前から子どもの様子を撮影し、支援を検討する際の参考にしてきたが、動画編集にかかる膨大な手間が難点だった。気になる行動の時に絞って撮影する機能がなく、長時間の動画から該当する部分だけ抽出する必要があったからだ。それが、アプリを用いると作業時間が半分ほどに。今後、幼児がふだん通う保育園や保護者との情報共有にも活用するという。
長沢教授は「問題行動前の子どもの状況や、行動後の職員の対応が無駄なく記録される。効率よく支援の改善につなげられる」とアプリの利点を説明する。
今後、AIを活用して、指導員がボタンを押さなくても自動撮影されるよう改良する予定。幼児の動きや職員の声のトーンなどをAIに事前学習させ、必要な場面を自動感知して録画する仕組みだ。家族らの同意を得たうえで幼児に腕時計型端末を着け、心拍情報からストレスの度合いをAIが判断し、自動撮影することも可能という。7月、新潟県の5G活用ビジネス創出事業に選ばれ、500万円の補助が決まった。
将来的には、発達障害支援以外の用途にも活用を目指している。永森助教は「介護現場での虐待や小中学校でのいじめの防止にも力を発揮できる可能性がある」と期待している。(高浜行人)
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私たちの事業所でも、子どもの活動やトレーニング場面を動画で撮って職員で共有し、支援の在り方を検討するのに役立てています。動画はニュアンスや文脈が伝わりやすいので、職員の反応が子どもの誤解を招いていることもよくわかります。動画を共有して職員の支援レベルが上がればいいなと思います。
自分が欲しかった言葉や、してほしかったこと
障害児の保護者支援の必要性訴え 倉敷のNPO理事長が本発刊
【山陽新聞】(2020年06月30日 14時34分 更新)
倉敷市を拠点に障害児の保護者を支援する認定NPO法人「ペアレント・サポートすてっぷ」の安藤希代子理事長(50)が、これまでの活動をまとめた「ひとりじゃないよ 倉敷発・居場所づくりから始まる障がい児の保護者支援」(吉備人出版)を発刊した。自閉症の娘の育児経験などを織り交ぜながら、障害児への支援に比べて注目されることが少ない親へのサポートの必要性を訴える。
「すてっぷ」は、発達障害などを抱える子を持つ母親たちが、同じ立場の者同士で支え合おうと2012年に発足した。保護者が立ち寄れるスペースとして、市内の民家を改装して「うさぎカフェ」を開設。週2回開き、来所者の相談や交流の場になっており、年間延べ千人以上が訪れる。
「ひとりじゃないよ」は、「自分のまちでも同じような居場所をつくりたい」と多くの声が寄せられたのを受け、「グループ立ち上げのヒントになれば」と、全6章を書き下ろした。特別支援学級の保護者会で、行事参加者の顔触れがほぼ同じだった経験から、出てくる余裕がない人にも支援の手を差し伸べたいと活動を始めた経緯や、福祉サービスをまとめたガイドブック作製などこれまでの主要な活動を紹介。団体設立や運営の参考になればと、資金確保や効果的な広報活動など、実務面のアドバイスも盛り込んだ。
安藤理事長は「障害のある子を育てる保護者は多くの不安を感じているのに、支える手は本当に少ない。多くの人に支援の必要性について知ってもらい、保護者の『居場所』が増える助けになればうれしい」と話す。
四六判、254ページ。1650円。全国の書店やインターネット通販で販売している。
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著者は、専門職ではないので専門家の視点から書かれた本ではありません。娘さんの子育てを通じて経験した、「試行錯誤」「紆余曲折」「七転八倒」の日々を振り返って、困難な子育てをしている保護者(とくにお母さん)を支えるための活動がまとめられています。平成30年の西日本豪雨災害で感じた「被災した障がい児の家族」についても綴られています。
著者自身は、娘さんも成人されて「いまだから振り返ることができるんだ」「あのころ頑張っていた自分を、自分で認めてあげたいんだ」と、書かれています。子どもが小さいころ、ママ友さんたちに負けまいと、相当に背伸びをして頑張って、意地を張っていたことも赤裸々に書いておられます。そして、「まだまだ渦中にいる方には、それ(客観的に自分を見つめること)はとても困難なこと、だからこそ、誰かがそっと見えるところにいてあげることが大切」だと述べます。
これは、障がいの有無に関係ないことです。どんな人も、日々の子育てや介護、看護の中で躓いたり、心が折れそうになったことがあると思います。けれども、時間がたつと、「きれいな美しい思い出」しか残らなくなって、自分もつらかったはずなのに、真っ最中の人に、うっかり「励ましの言葉」や余計なお世話やアドバイスをしてしまったり、そういう場面に出くわすことは良くあります。でも、自分が欲しかった言葉や、してほしかったことはそうじゃない…。この本は、それをすっかり忘れていたことに、改めて気づかされます。
モスバーガー・ロボット
接客ロボット ファストフード店で実験 障害者が自宅から操作
【NHK】2020年7月22日 19時45分
ファストフード店に置いたロボットを操作して、離れたところにいる人が接客サービスにあたる、実証実験が行われることになりました。
東京 品川にあるファストフード店には、港区のベンチャー企業が開発した23センチのロボットが置かれました。
今回の実証実験では、関西地方に住む重度の身体障害がある人が、自宅からロボットを操作して、客から注文を聞く接客サービスにあたります。
接客は今月27日からおよそ1か月間、平日の午後2時から午後6時の間に行われ、実験を通じて障害者の雇用の場を広げることをめざします。
また、従業員と客との接触を少なくして、新型コロナウイルスの感染防止につなげる効果も期待しています。
ロボットを操作して接客にあたる23歳の女性は「神経性の難病で外で働くのが難しいので、ロボットを通じていろんな人と話すことは刺激になります。接客中のことばづかいが難しいですが、がんばって働きたいです」と話していました。
実験を行うモスフードサービスとベンチャー企業では、接客だけでなくロボットで決済までできるよう開発を進め、ドライブスルーなどでの活用も検討することにしています。
ベンチャー企業、オリィ研究所の吉藤健太朗所長は「障害がある人がロボットを通して働くことができれば、活躍の場が広がっていくと思う。研究を進めていきたい」と話していました。
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「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)の女性患者=京都市=から依頼を受け、薬物を投与して殺害したとして、2人の医師が嘱託殺人の容疑で京都府警に逮捕された事件がメディアで報じられていますが、一方では、こうして社会参加の道を拓こうとする人々もいます。
モスバーガーを運んでくるロボット、これに接続されたインターネットの向こう側に人がいると思うと、何か不思議な気持ちです。これまでテクノロジーは人から仕事を奪ってきましたが、テクノロジーによって新しい仕事が生まれることだってあるということです。
えほん障害者権利条約(英語版)
「19人の命忘れない」障害者権利条約の理念を伝える絵本の英訳版を発行 やまゆり園事件4年
2020年7月28日 13時50分【東京新聞】
障害者への差別禁止や社会参加を保障する「障害者権利条約」をテーマにした絵本の英訳版が、26日に全世界に向け発刊された。この日は2016年に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された日。絵本の作者は「新型コロナウイルス感染拡大の影響で、事件を考える企画が思うように進められない中、『忘れない』との気持ちを込めた」と話す。
英訳されたのは絵本「えほん障害者権利条約」(汐文社)。NPO法人の日本障害者協議会(東京)代表の藤井克徳さん(71)が15年5月に日本語版を出版した。国連で06年に採択された権利条約を日本が14年に批准したのを受け、条約が生かされれば誰もが住みやすい社会になることを幅広い世代に知ってもらうためだった。
藤井さんは生まれつき弱視で、7年前に失明した。音声が出るパソコンを使い、国連で誕生した条約が世界各国に広がっていく様子、障害の有無に関係なく、さまざまな人たちがともに暮らす街の場面を執筆した。絵は静岡市葵区の障害者施設「ラルシュかなの家」管理者の佐藤啓さん(43)が版画で描いた。
英訳版を企画したのは、難しいと敬遠されがちな条約を、世界の人たちにも絵本の形で分かりやすく伝えたいとの思いから。「欧米でも条約が社会に浸透しているとは言い難い。子どもたちだけではなく、欧米やアジアの政府関係者や障害者団体のリーダーたちにも読んでもらいたい」。翻訳は上智大准教授渡辺剛弘さんと、渡辺さんの妻暁あか里りさんが担当した。
発行日の26日は、津久井やまゆり園で殺害された入所者19人の命日。事件を起こした植松聖さとし被告への死刑判決が確定して以来、初めて迎える節目となった。事件では、植松死刑囚の「障害者は生きる意味がない」などとの優生思想的な発言が注目された。
23日には、難病患者の依頼を受け薬物を投与し患者を殺害したとして医師2人が逮捕された。医師の1人は「高齢者を『枯らす』技術」といったブログを出していたとみられる。藤井さんの法人は毎年、事件を通し優生思想などを考えるフォーラムを開いてきたが、今年はコロナの影響で開催を断念。藤井さんは「不十分だった裁判について正面から考え、問題が終わっていないと確認したかったが、せめてこの日に本を世界に発信することで、19人を弔いたい」と話している。