みんなちがってみんないい
インクルーシブ高校教育
【インクルーシブ教育最前線】卒業生の4割が「進学」神奈川の県立パイロット3高校
09月28日【時事通信】
進路は分散
知的障害のある生徒が他の生徒と共に一般学級で学ぶ、神奈川県立のパイロット高校3校から2020年の春、1期生29人が卒業した。入学者選抜がある高校段階では全国的にも珍しい、インクルーシブ教育の実践だ。
20年度からは、受け入れ校を14校に増やして全県をカバーする。注目された卒業生の進路は、約4割が「進学」。同県の桐谷次郎教育長は「障害のある子たちの選択肢が増えた意味は大きい」と話している。
県教育委員会は、15年度に茅ケ崎、足柄、厚木西の3県立高校をパイロット校に指定。それぞれの高校と連携した近隣の各中学校の校長が、軽度知的障害相当と認めた生徒を受け入れてきた。中には、発達障害の傾向が強い生徒もいる。
3月に卒業した3校の全生徒29人の進路を見ると、4年制大学1人、専門学校3人に加え、職業訓練校へは8人と、上級学校に進んだのは全体の41.4%に上った。他は、就職が13人、就労移行支援など福祉関係の進路が4人だった。
18年度の同県立特別支援学校高等部知的障害教育部門の卒業生1038人のうち、上級学校に進んだのは16人と1.5%にすぎない。おおむね卒業生の3割が就職、7割が福祉関係の進路という現状と比べると、パイロット校3校の進学の多さが目立つ。
県教委の田所健司インクルーシブ教育推進担当部長は「特別支援学校の進路と比べると、上級学校に行きたい要望があり、それが一定程度かなっている状況が、1年目にして見えてきている」と評価した上で、背景を次のように分析した。
「一つには、進路選択をする際に、高校の教育課程で勉強することを前提にしているという意味では、進学を望む生徒が集まったのかもしれない。特別支援学校高等部のカリキュラムは、進学より就労とその後の定着を意識している。この制度で入学した生徒は、教科を満遍なくできなくても、得意な教科のある生徒も多い。高校のカリキュラムで学ぶことで進学に結び付いたのではないか」
田所部長は、さらに「ここに注目しているが、もう一つは」と続ける。
「特別支援学校では就労のウエートが高いが、高校はさまざまな進路を選択するのが特徴だ。障害があっても、他の生徒と同じ環境の中で学ぶことで、大学や専門学校に行きたいというモチベーション(意欲)を持ちやすいのだと思う」
卒業生29人全員の進路が決まった。進学以外の生徒の進路についても、田所部長は「未定者が多いと、特別支援学校の方が良かった、となりかねないが、各校が早い段階から進路を開拓し、丁寧に指導した結果だ」と言い、胸をなで下ろしている。
実際に、障害のある生徒を受け入れ、送り出したパイロット高校の現場は、この結果をどう見ているのか。
茅ケ崎高校で3年間、障害のある生徒たちを見てきた清宮太郎前校長は再任用で現在、県立高校定時制で教えている。
清宮教諭は「高校でのインクルーシブ教育は全国でも珍しい取り組み。受け入れ前には、出口(卒業後の進路)はどうなるのか、と言われた。答えはなかった。頑張ります、としか言えなかった」と振り返る。
特別支援学校は、就労に力を入れているのに対し、同校の卒業生で就職するのはごくわずか。同校は、ほとんどの生徒が進学する中で、この取り組みの当初は、障害者就労についての進路指導のノウハウも人脈も持っていなかった。
そうした不安や懸念を清宮教諭が払拭できたのは、1期生が入学した直後の保護者会だった。ある保護者が言った。
「うちは高校3年間を楽しめればいい。将来は次にまた考える」
清宮教諭は「この人たちとなら新しい社会を創れる」と強く共感した。
「生徒にとっては青春の3年間。集団の中で、部活動や学校生活を楽しむ場。将来については、3年間の中で見付けて次のステップにつなげればよい。高校は自分を探し、自分をつくる場だ。特別支援学校では、企業の特例子会社を目指すことが多いかもしれないが、生徒の可能性は無限だ」
特例子会社とは、障害者の雇用促進のために、雇用に当たって特別な配慮をする子会社のことで、認定を受ければ親会社やグループ全体の障害者雇用分として実雇用率を算定することができる。
障害者にとっては、合理的な配慮の下、障害のある仲間と一緒に働くことができるほか、最低賃金が保証され、安定した収入を得ることができるメリットがある。だが、清宮教諭はこう考えている。
「入学前、子どもたちの最大の心配事は、出口ではない。友達ができるか、勉強についていけるか、高校生活を楽しめるかだ。共に学んだ出口の段階で障害のある人だけが集まる特例子会社という小さな社会に戻らなくてもよいのではないか。急がなくてもよい。高校卒業後にワンステップ入れて、社会に出ればよい。高校でせっかく共に学んだのだから、次のステップは共に生きることだ。知的障害のある生徒が即就職、福祉施設に行く、という図式を塗り替えられたのは大きい」
神奈川県は20年度から、知的障害のある生徒を受け入れる高校を14校に拡大し、全県をカバーする体制が出来上がった。定員は、各校各学年21人。
パイロット校では、連携する中学校からの進学に限定していたが、20年度からは県内どこの中学校からも入学できるようになった。特別支援学校高等部に加え、インクルーシブ教育実践推進校14校が、新たな進学先として広がった。
20年度の入学者は190人。各校5~19人とばらつきはあるが、全体の定員294人に対し、64.6%が埋まった形だ。
県教委の田所部長は「率直に言うと、不合格者が出るような、定員超過のスタートでなくてよかった。制度としては選抜なので、不合格者が出ることもあるが、心情的には不合格者が出て、違う進路を選択せざるを得ないのは残念。そういう意味では、不合格者が出ない形でスタートできた。入学者が少ない学校もあるが、必要とされていない状況というわけではない。進路選択の一つとして一定の評価は得られたと感じている」と語る。
パイロット校3校は、丁寧な指導を行ってきた。茅ケ崎高校では例えば、主要教科など習熟度に差がつきやすい科目では2人の教員が配置され、チーム・ティーチング(TT)を行っている。そうした3校の経験から得られた知見も大きい。
田所部長が続ける。
「1年生で入学した段階の支援と、2、3年生と進級していく中での支援は必要度が変わってくることが、生徒も教師も分かった。すべての授業がTTである必要はない。特別視する必要はない、と感じた教員も多い。パイロット校の成果を広めていきたい」
〔横浜総局・田幡秀之〕(時事通信社「内外教育」2020年7月17日号より)
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後のことは後で考えればいいという親の意見に、平等と公平を行きつ戻りつしてきた昭和の障害児統合教育の戸惑いを思い出します。支援学校と普通高校を比べるのも無理があります。支援学校は高校卒業の資格はないので入学の目的が違います。知的遅れや発達の凸凹があっても学習がしたいという本人の希望があるならば、それはかなえられるべきとは思います。しかし、それが一律に教育課程の定められた後期中等教育や高等教育なのかどうかは別の問題ではないかなとも思います。一つの学校の中に個性に応じた異なる教育課程の存在を認めて行けばよいことですが、文科省はまだそこまでは言い切っていません。
インクルーシブ教育というならもっと小さな年齢から実現すべきで、高校からというのは違和感があります。少子化私学志向で公立校への入学志望者が減ってくる中で、支援学校の高等部だけが膨れ上がり、慢性的な教室不足に対する苦肉の策ではないかとも勘繰ってしまいます。高校時代、青春時代を普通高校で謳歌してほしいというのも、特別支援学校の高等部の人が聞けば妙な感じがするかもしれません。
進路については親の希望もありますが、高校生活に適応できる人から中学で推薦したのですから、進路の結果は妥当な結果だと思います。逆に卒業時点の進路先だけを見れば、就労支援に特化した高等支援学校と大差ないという見方もできるので、経過調査など質的な比較も同時に調査する必要性を感じます。上級学校進学といっても、何か就労モラトリアムような感じもしますし、特性に応じた教育が引き継がれたかどうかも気になります。
ただ、記事にもあるように、これまで支援学校の進路指導は就労のハードルを高くして福祉進路に傾斜していたのは事実です。全国的にはこの課題を、高等支援学校設立で100%就労を目指し、その流れに各支援学校が追随してくるような仕掛けを作って障害者就労を伸ばすようにしていました。神奈川の場合は、ここにインクルーシブな高校教育で仕掛けてきた構図になっているのです。
どのやり方が正解というわけではありません。障害者就労をもっと伸ばすことで、どんな職場にも障害のある人やマイノリティーの方がいて当然という社会の実現は、私たちが目指す社会ではあることは確かです。
カサンドラの妻
「夫も診断してほしい」 カサンドラの妻
井上雅彦・鳥取大学大学院医学系研究科臨床心理学講座教授
2020年9月18日【毎日新聞】
発達障害やその疑いのある人の配偶者などに多い「カサンドラ症候群」について聞かれることが増えてきました。私の相談室にも時折、カサンドラ症候群について相談したいという方が来られます。
カサンドラ症候群とは、家族やパートナーなど生活の身近にいる人が自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群、以下ASD)であるために、情緒的な相互関係を築くことが難しく、心的ストレスから不安障害や抑うつ状態、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの心身症状が起きている状態を指す言葉です。正式な疾患名ではありません。カサンドラ症候群の方は女性が多いのですが、これはパートナーである男性にASDが多いことによるのではないかと思います。
息子の診断をきっかけに気づいた夫の特性
Aさんは結婚歴10年の専業主婦でした。息子さんがアスペルガー症候群と診断され、自閉症の特性や対応について学ばれたことから、自分のパートナー(夫)も息子と似たところがあることに気づき、夫に対する対応の難しさを改めて感じたということでした。Aさんは真面目できちょうめんで忍耐強く面倒見が良いタイプの方でした。このため息子さんの対応については母親としてとても優等生で、発達障害の子育てのサークルや親の会でも他の親にアドバイスをするなどリーダー的な存在でした。息子さんもAさんの工夫によりかんしゃくを起こすことが減り、さまざまなことができるようになっていったのですが、夫のほうはそんなAさんの子育ての工夫や努力を認めるどころか「そんなことまでしなくてよい」と否定してしまっていました。
夫は、会社では、融通の利かないところはあるものの真面目できちょうめんな人物として評価され勤務を続けてきましたが、帰宅すると好きなゲームに没頭し、子育てに協力しないばかりか、ゲームがうまくいかなかったり、息子が大声をだしたりすると、家具を倒したり、息子やAさんに感情的に当たったりしていました。お金の使い方も自分の趣味には糸目をつけずお金をつぎ込む半面、子どもの教育費や生活費については極度に細かい部分まで口を出し、「節約をしろ」と指示を出していたため、Aさんは強いストレスを抱いていました。
子どもができるまでの夫婦だけの生活では、それぞれがマイペースで暮らしても生活が成り立っていたのですが、子どもが生まれ、その子どもに発達障害があることがわかると状況が変わります。さまざまな子育ての不安の中で、夫に相談したり理解してもらったりすることができず、療育のことから幼稚園との連携まですべてAさんが行っていました。そんな中で、夫の息子への関わり方についてAさんが注意したり、夫の考え方に反論したりすると、夫はそのたび激しく興奮するので、今度はうまくなだめるのに苦労するとのことでした。最近ではAさんも限界を感じ、徐々にストレスがたまり無力感や不安感が募り、離婚も考える毎日で、夫も診断してほしい、相談に連れてきたいと言われるようになりました。
私は「旦那さんはご自分の性格や行動の特徴について何か悩んでおられますか」とお聞きしましたが、Aさんの答えは「何も悩んでいない、むしろ私(妻)を何とかしてほしいと思っているだろう」ということでした。またAさんの夫は、他人に相談することは何より嫌なことと感じているらしいこともわかりました。私は無理に夫を病院に行かせて診断を受けるように勧めるよりも、まず第三者の専門相談機関で子どもさんの事について話を聞き、夫の話も受け止めたうえで、彼にできそうなことを家でしていただくようにしませんかと提案いたしました。
第三者を交えた場で肯定的に子育てを振り返る
その後数週間して夫はAさんに促されて私と会うことになり、子育てについて一緒に話を聞く機会をもうけることができました。夫は、どうせ自分が批判されるのだろうと感じていたのでしょう。最初はいぶかしげな表情で私を見つめておられました。
私はAさんと夫のお話を聞き、お二人の今までの子育ての苦労をねぎらいました。加えて、現在ご家庭で行われている支援は理想的な支援であること▽旦那様もそんな奥様の努力を理解し見守っておられること▽旦那様は子どもの将来の自立を何よりも考えておられること▽子どもさんの今の姿をしっかり見ておられる奥様と、少し遠くを見ておられる旦那様とは相互にコミュニケーションをとっていくことでよりよい組み合わせになること――など、夫を否定しないように肯定的にこれまでの子育てを振り返ってもらうようにしました。
「旦那様が子どもさんのことを理解できるのは、旦那様も似たところがあるからではないでしょうか。ご自分が子どもの頃、されて嫌だったことや、してほしかったことを思い出しながら接していくとよいのではないでしょうか」とお話しし、息子や自分に対してわかりやすいルールを考え家庭内の約束を決めることや、塾の帰りに楽しい話をすること、週末は一緒にゲームをすることなど、夫にとって無理のない役割を考えてもらいました。
その後、Aさんによると、夫は自分を認められたと感じ、子どもと好きな遊びを一緒にしたり、子どもを褒めたりすることが増えていったそうです。
私はAさんに対しては、「子どもさんへの対応がうまくできているということは、旦那様へのさりげない対応もやればできるのではないでしょうか。それは今の旦那さんに対してしようとすると、手間もかかり腹も立つかもしれません。でも、やがて子どもさんが思春期になったときに役立つ経験だと思えば、とても参考になるのではないでしょうか」とお話ししました。
その後、私は、Aさんと同じような立場にあり、かつてパートナーのことでつらい思いをされていた方の許可を得て、合同面接の機会を作りました。やがてAさんは少しずつ前向きな気持ちを取り戻していかれました。
診断を強要するリスクも……
カサンドラ症候群といわれる状態像は、パートナーを含めた家族の中に、ASD特性などによる困難があり、パートナーとの関係において情緒的交流が乏しいことからくる激しい対立関係や、精神または身体の虐待、人間関係への満足感の低下が生じている状態です。
Aさんは息子の子育てを通して夫の特性をよく理解しており、Aさんの話を聴いた限りでは、夫がASD特性を持った方であると推察できました。しかし、今の二人の関係性の中で、Aさんが夫にASDの診断を強要すると、夫の気持ちを傷つけて、夫はより感情的になり、関係もさらにこじれてしまうリスクが考えられました。夫は職場では適応しており、相談へのニーズは持っておらず、むしろAさんに問題があると思っている可能性さえあったからです。
Aさんのケースでは、夫婦が私と会って、子育てのそれぞれの苦労を肯定的に振り返る中で、息子の特性や症状について話し合えたことで、夫自身が、自分にも息子と似た特性があると面接の場で語ることができたため、息子への対応について、少しずつ客観的な見方ができるようになっていったようです。
夫自身が今まで乗り越えてきた努力や工夫の中で適切なものは肯定し、息子さんにも良い対応であるという認識を私と夫婦とで共有し、生活の中で息子さんにどうかかわったらよいかの約束事を夫婦のルールとして決めることで実行しやすくなりました。
夫も息子と同じように、感情的に注意されると人格を否定されたと思い込んでしまう特性があったため、第三者である私を交えた肯定される場の中で具体的な対応について自ら考えていただくことができたのがよかったのでしょう。
妻のAさんは、ASDの対応はよく勉強されていました。その努力を、一番身近な夫から認められないことで自尊心が傷つけられ、無力感から抑うつ状態に陥っていました。夫の操縦法を考えるのもよいのですが、これをセラピストが行うと、うまくできない時に大きなストレスになります。私はカウンセラーとして夫も含めてAさんの努力をしっかりと受け止めることに徹し、Aさんにはかつて同じ悩みを持っていた元相談者を紹介しました。同じ体験を共有することで孤立感や無力感は薄められていったと考えられます。
最終的に、Aさんは夫との間にも生活上のルールを決め、週末は二人でティータイムをつくることで互いに向き合い、お互いの意見を尊重することができるようになったそうです。
「カサンドラ症候群」の「カサンドラ」は、ギリシア神話に登場する未来予知の能力がありながらその言葉を誰にも信じてもらえないという境遇にあったトロイの王女の名前からとられたものだそうです。症状の回復は、まさに今の頑張りを認められていると感じられるようになることから始まるのだと思います。
(事例はいくつかのケースを組み合わせたものです)
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カサンドラの妻ですと言われるお母さんの中には、御主人の傍若無人(ぼうじゃくぶじん)勝手放題、好き放題、自分勝手、好き勝手を延々とお話しされます。本当にしんどくなっている方もいるので、一概には言えませんが、「ん?男性ってそんなもんだよ」と思うこともあります。カサンドラの妻の逆バージョンも少なからずあるような気もします。でも、困っていることは間違いないので、一方だけのお話を聞いていても埒があきません。お二人とも呼んで、どちらかが悪いという話は断じてせず、どうすればうまくいくのか話し合います。
ASDの御主人なら筋を通せば抵抗なく出てきてくれる方が少なくありません。しかし、「行かない」とかたくなに拒否をする方は、実は自分の対応の問題に気付いておられることが多いので、もう少し遠めの目標、例えば進路や進学について話すというふうにして、自分がやり玉にあげられないという安心感を持ってもらうことが大事なこともあります。
厚生労働省のマスクアナウンス
厚労省、マスク着用が難しい人への理解を呼びかけフェイスシールド等の着用が困難なことも
10/25(日) 21:30【ねとらぼ】配信
厚生労働省は、「マスク等の着用が困難な方に対する国民の皆様のご理解をお願いいたします」と呼びかける周知文をWebサイト上に掲載。またマスクの代わりとなるフェイスシールドなどについても、その人の状態や特性の程度等により着用が困難な場合があると説明しています。
周知文では、発達障害のある方に多いとされる感覚過敏等から、マスク等の着用が困難な状態にある人々がいることを伝えています。子どもだけでなく、成人に至っても継続する場合が想定されるとしており、そういった方への理解を呼びかけています。
※感覚過敏……聴覚・視覚・触覚・嗅覚・味覚等について、非常に敏感になっている状態。発達障害のある方に多いとされ、状態や程度によっては日常の生活に大きな支障をきたすことがある。
また世界保健機関(WHO)によるアドバイスから、「発達上の障害や他の障害、またはマスク着用に支障をきたす可能性のある特定の健康状態をもつ子どもに対しては、マスクの使用を強制するべきではない」といった内容を引用しつつ、マスク着用に代わる選択肢として挙げられている「フェイスシールド」などについても「重度の知的障害など障害特性によっては困難な場合があります」と伝えています。
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厚生労働省
マスク等の着用が困難な状態にある発達障害のある方等への理解について
発達障害のある方については、触覚・嗅覚等の感覚過敏(*1)といった障害特性により、マスク等の着用が困難な状態にある場合があります。
WHOの「COVID-19に関連した地域社会の子どものためのマスク使用に関するアドバイス」(*2)においては、「発達上の障害や他の障害、またはマスク着用に支障をきたす可能性のある特定の健康状態をもつ子どもに対しては、マスクの使用を強制するべきではない」「フェイスシールドなどのマスク着用に代わる選択肢を与えるべき」としています。
また、WHO「Q&A:COVID-19に関連する子どもとマスク」(*3) の中の「発達上の障害のある子どもはマスクを着用すべきか?」という項目では、「発達上の障害、その他の障害、またはその他の特定の健康状態のあるあらゆる年齢の子どもにマスクを使用することは必須ではなく、子どもの親、保護者、教育者、医療提供者、またはそのいずれかによってケースバイケースで評価されるべきである。 いずれの場合でも、マスクを容認することが困難な重度の認知障害または呼吸障害のある子どもは、マスクを着用する必要はない。」とされています。
発達上の障害に係るマスク着用の困難性には感覚過敏の特性によるものが含まれ、子どものみならず、成人に至っても継続する場合も想定されます。
また、フェイスシールドなどのマスク着用に代わる方法についても、重度の知的障害など障害特性によっては困難な場合があります。
こうした障害特性により、マスク等の着用が困難な方に対する国民の皆様のご理解をお願いいたします。
参考
(*1)感覚過敏とは、聴覚・視覚・触覚・嗅覚・味覚等について、非常に敏感になっている状態であり、発達障害のある方に多いとされる特性である。その状態や程度は人それぞれであり、感覚過敏により日常の生活に大きな支障をきたすことがある。
(*2)Advice on the use of masks for children in the community in the context of COVID-19
(https://www.who.int/publications/i/item/WHO-2019-nCoV-IPC_Masks-Children-2020.1)
(*3)Q&A: Children and masks related to COVID-19
(https://www.who.int/news-room/q-a-detail/q-a-children-and-masks-related-to-covid-19)
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この程度の発信を、いちいちWHOから引用しないと広報できないというのが情けないです。こんな話は2月の段階でもできたことです。障害のある人の感覚過敏やルーティンワークにこだわるのは武漢風邪のせいではありません。もっと前から専門家ならだれでも知っていることです。
さらに、フェイスシールドは大阪府医師会が言うように相手に対する予防効果はほとんどありません。飛んでくる感染飛沫を避けるという医療施設のスタッフの感染予防のためのものです。プラスティックシールドは歪んでいるので、長時間利用すると視力低下のリスクを知った上での利用が求められるし、子どもには使うべきものではありません。
子どもが抱える「サイコ・ソーシャルの問題」
「心のサポート」を受けられない日本の子ども 小児科医が支援の体制を
10/21(水) 11:50【メディカルノート】配信
◇少子化時代の小児科医療【2】
心理・社会的支援を得る機会が少ない日本の子どもたち
病気をしないことだけが“健康”ではありません。「心身の発達」という言葉もあるように、体とともに心も健全に育つことが真の健康につながります。ところが日本では、子どもから若年成人にかけてのこころの健全な発達をサポートする仕組みがありません。国立成育医療研究センターの五十嵐隆理事長に小児科医療の現状と今後求められることについて聞くインタビューの第2回は、子どものこころの問題に小児科医が果たすべき役割と、あるべき仕組みを取り上げます。
◇子どもが抱える「サイコ・ソーシャルの問題」
10~20代の人たちは「最も医療費を使わない」世代です。では“健康”なのかというと、実際にはそんなことはありません。
とくに病気ではなくても、例えば両親が離婚して片親となったために貧困の影響を受けている▽発達障害の人は学校生活や日常生活をするうえでとても生きにくい――といったサイコ・ソーシャル(心理・社会的)の問題を抱えている子どもはたくさんいます。
日本の新生児死亡率は1000人あたり0.9、1歳までの乳児死亡率は同1.9と、世界で1、2位で、日本の小児科医療がバイオロジカル(身体的)な対応の面ではよくできていたと言えるでしょう。では、子どもの健康を守るという観点からはどうでしょうか。
生まれてから小学校に入るまでは「乳幼児健診」があり、学校では内科、耳鼻科、眼科、心臓病、検尿などさまざまな健診があります。ところがこれらをよく見ると、乳幼児健診のうち法律で決まっているのは「1歳6カ月健診」「3歳児健診」だけ。ほかにも「1カ月健診」「5歳児健診」など地域によっていろいろと行われますが、これは自治体がお金を出してやっているもので、国は日本の子どもの健診にお金をかけていません。
学校で行われる健診はどうでしょうか。例えば検尿は、多くは春に行われます。なぜかというと、昔は腎炎でプールに入れない子がかなりいたので、それを見つけるのが目的でした。ほかの健診も、学校生活を送るうえでバイオロジカルな問題がある子どもを見つける、スクリーニングすることが大きな柱になっているのです。そこにはひとり一人の子どもが抱えるサイコ・ソーシャルな問題を見つけ、解決しようという観点はありません。
医学教育の中でもこのような視点の重要性が教えられる事はこれまであまりありませんでした。また、小児科医が臨床現場で子どもひとり一人を身体・心理・社会的に捉える健診を行おうとしても、正当な対価が払われる制度がわが国にはありません。
学校健診の内科検診では1人あたりにかける時間は1~2分で、聴診をしたらそれで終わり。その子がどんなことに悩んでいるか、どんな障害や困難があるか――具体的には、虐待を受けているとか、きちんと食べさせてもらえないとか、勉強についていけないとか、学校でのいじめ、性の問題などを聴くといった、子どもひとり一人の立場に立った健診ではないのです。子どもたちにとっては、トラブルが起こってスクールカウンセラーが対応するまでの中間的仕組みがありません。
◇「21歳まで毎年1回30分」―アメリカの手厚い制度
アメリカでは、この点で手厚いサポートをしています。1990年からhealth supervision(個別健康相談)を受ける機会が乳児期に7回、12~30カ月に5回あり、3歳以降は21歳になるまで年に1回30分、個別健診を受けます。そのうち10分は日本でやっているような体のことや予防接種をして、後の20分はサイコ・ソーシャルな問題について、小さい時は保護者と一緒に、大きくなったら保護者とは別に相談を受けます。10歳を過ぎると、小さい時から自分のことを知っていて信頼できる大人になら、親に言えないようなことも相談できるかもしれません。個々の子どもの状態に応じたさまざまな問題に対して、医学的知識があるしっかりした大人が成長とともに伴走してくれる――。それがこの健診の目的なのです。
21歳までこの健診を受けている人は70%以上とのことで、非常に進んだやり方だと思っています。
◇10歳以降に問題が増大
一方日本では、先ほど述べたようにバイオロジカルな面はともかく、サイコ・ソーシャルな面に配慮する力も余裕も不十分です。
思春期の子どものこころと体には劇的な変化が生じます。私たちが行った調査では10歳以降にこころの問題と薬物依存の問題が増大することは明らかです。
ところが、これまでわが国の小児科医の守備範囲は15歳までで、それ以上の年齢の思春期の子どもへの保健や診療を担ってきませんでした。そのため、この年齢層の人への対応が不十分となっています。
医学教育の面でもこの分野のカバーは遅れています。思春期の子どもの医療には妊娠、性、非行、うつのようなメンタルヘルスなども含まれますが、乳幼児中心の医療を担ってきたわが国の多くの小児科医の得意とする分野ではありません。しかし、小児科の守備範囲を超えた若年層の保健・医療に、これまで以上に小児保健・医療の関係者の貢献が求められているのです。
成育医療研究センターこころの診療部では、こころの問題をもつ子どもの診療、診療スタッフの育成に務めています。また、学習障害児の中の読み書き障害を改善するためのツールを作成し、公表しています。
さらに、アメリカの個別健康相談の教科書を成育医療センターのメンバーが翻訳し、「乳児、小児、青年のための個別健康相談ポケットガイド<http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20180516_1.pdf>」として日本医師会のウェブサイトで公開しています。また、子どもの健診を改善するための、厚生労働省の研究班にも協力しています。
◇思春期まで続く健診制度作りを
わが国の多くの小児保健・医療関係者も、病気の有無にかかわらず身体・心理・社会性(biopsychosocial)の面から子どもと家族を支援し、子どものリスクに対応することの重要性を認識しています。ところが、残念ながら日本の健康保険は予防医学にお金を出せない仕組みになっています。一方で、妊娠・出産に関する制度では、妊娠中に14回、出産後に4回、自己負担3割で健診が受けられることになっています。こうした制度も参考に、思春期までをカバーする健診制度を作っていくことが絶対に必要だと思っています。
日本の子どもたちには、こころの問題を持っていても相談する相手が少なく、早期に適切な支援を受ける仕組みが不足しています。何かトラブルが起こってから、あるいは事件が起こってから初めて対応するという後手後手の状態になっています。“夢物語”と思われるかもしれませんが、家庭のこと、子どものこと、親のことなど全部分かったうえで子どもの成長を支援していく、アドバイスをするという仕組みを作っていかなければなりません。
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子どもが医師に気兼ねなくソーシャルについて相談する場面。思い浮かぶのは「Dr.コトー診療所」(2003~2006年フジTV)です。志木那島でただ一人の医師、五島健助(吉岡秀隆)に、漁師の原剛利(時任三郎)の息子、原剛洋(富岡涼)が相談している場面が要所要所で観られます。
たいてい、剛洋は家族の話や進路の話を父子家庭を支えている父の剛利ではなく五島先生にしているのです。でも、これはドラマの話で、あんなゆっくり医師が子どもの話を聞いてあげられる環境などありません。五島先生は精神科医でも小児科医でもない外科医ですが、言葉少なに子どもの話を聞きます。あんな先生が地域いたらどんなに子どもは心強いかと思います。
幼稚園と支援施設の提携
発達障害児、協力して療育三田の3幼稚園と支援施設が提携
2020/10/30 05:30【神戸新聞NEXT】
学校法人湊川相野学園(兵庫県三田市四ツ辻)が運営する三田市内の3幼稚園と医療法人社団青山(せいざん)会(すずかけ台1)は、発達障害の子どもたちの療育を相互に進める業務提携を結んだ。同会は市内最大規模の障害児通所支援施設「ぞうさんの足音」を運営する。同施設に通う子どもが幼稚園で過ごす様子などを双方の職員が情報共有する。こうした取り組みは市内や近隣地域では珍しいという。(高見雄樹)
対象となるのは同法人の北摂第一幼稚園(武庫が丘4)、北摂中央幼稚園(すずかけ台2)、北摂学園幼稚園(学園7)の3園。発達障害などで同施設に通う未就学児50人のうち、13人が3園に在籍している。
北摂第一幼稚園によると、発達障害などの子どもたちは5年前の2倍に増えている。集団生活が苦手な子が多く、以前に比べてより一人一人の状況に合わせた保育や教育が求められるという。同園は全クラスに副担任を置くなどして対応している。
一方、療育施設の利用希望者も年々増えている。同施設では1日20人の定員がいっぱいになる日が続いているという。
こうした状況で、発達障害の子どものよりよい成長を後押しするには、施設と幼稚園の情報共有が不可欠と判断。2年ほど前から、北摂第一幼稚園と同施設の職員が互いに行き来する機会を増やしてきた。
業務提携により、幼稚園教諭は療育施設を訪れて療育の様子を見ることができ、子どもが達成できている事柄を確認できる。療育施設の職員は子どもと教諭とのやりとりを把握し、子どもが集団の環境に適応しやすいような手伝いをする。
園と施設の関係者は提携を機に、ほかの幼稚園、保育所や通所支援施設にも同様の取り組みが広がることを期待する。療育施設への送迎などで親の負担が増えており、連携して行政にも支援を求める方針だ。
ぞうさんの足音で管理責任者を務める大前美寿々さん(40)は「幼稚園と支援施設が連携することで子どもが毎日をより過ごしやすくなり、できることが一つ一つ増えていくとうれしい」と、目標を見据える。
北摂第一幼稚園の大前通代園長(75)は「互いの職員が心を通じ合わせることで、支援が必要な子を周りの子どもたちが共に支え、育てていく環境を幼稚園の間からつくりたい」と話している。
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当たり前に思えるこの連携ですが、決して簡単ではありません。療育側は問題ないですが、就学前施設は、民間経営なら自治体の管轄も療育施設と違う事が少なくありません。経営ラインが違うと、建前がどうのこうのとケチをつける人が出てきます。京都でもこんな関係が結べているのは福知山市くらいではないかと思います。結局、教育長や市長レベルで号令をかけないとなかなか持続可能な連携にはなりにくいのです。民間では小さなレベルでは双方の園長や所長さんに理解があって職員のニーズになっている場合はうまくいくのでしょう。
博報賞
障害特性考慮し性教育、高評価国分教諭に「博報賞」
2020/10/30 16:30【静岡新聞】
優れた教育研究や実践活動に取り組む学校や団体、個人を顕彰する第51回博報賞(博報堂教育財団主催)の受賞者がこのほど発表され、県内から清水特別支援学校の国分聡子教諭が奨励賞に選ばれた。
国分教諭は知的障害や発達障害がある思春期の児童・生徒に性教育を20年以上実践する。「すてきな大人になろう」を合言葉に単元学習や個別指導を展開。障害特性を考慮した独自の教材教具を開発し、子どもたちが安心して思春期に起こる体や心の変化を学べるよう注力している。
また指導の工夫や成果をデータ蓄積し、教育現場で共有する仕組みを構築。教員同士で性教育への共通理解を深めるのに貢献し、子どもの生きる力を育む持続的な取り組みとして高く評価された。国分教諭は「性関連の情報が世にあふれる中、子どもたちに正しく生きていける十分な知識を伝える活動に今後も励みたい」と語った。
今年の博報賞には20個人・団体が選ばれた。
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その中に京都で受賞した「博報賞」がありました。
障がいのある生徒が、多くの仲間と「共に生きる」ことを目指して
京都市立朱雀中学校
活動内容
障がい理解推進と、他者の良さを探し認め尊重できる生徒の育成
盲学校小学部に通う弱視の児童が、「地域の中学校で多くの人と過ごし、さまざまな経験をしたい」と、希望したことをきっかけに、本校、盲学校、朱雀中学校区の小学校と連携。6年生時から交流学習や体験入学などに校区の児童たちと参加して、スムーズな進学につなげた。
入学後は、全教員がさまざまな立場から当該生徒に関わる体制を構築し、本人が取り組みやすい方法を盲学校の教員にアドバイスを求め模索しながら、教科によって柔軟な配慮に努めている。また学習面では、「障がいのある人と共に生きる」をテーマに、視覚障がいの見え方体験や困り感・想いを共有する人権学習、テーマを踏まえた地域調べを総合的な学習の時間で行うなど、障がい理解を深める活動に全生徒・教員で取り組んでいる。
仲間として共に過ごすうちに、「何でもやってあげよう」と気遣い・気遣われる関係から、本音を言い合える対等な関係に変化。障がいも一つの個性と捉え、一緒に行事を楽しむための方法や活動を生徒たちが考え出すなど、大きく成長した。さらに、他人のいいところを探し、認め、褒める「今週のきらりさん」活動が生徒らの自己有用感を高め、認め合う言動を習慣化。学校全体で多様性を寛容する精神を育んでいる。
審査委員より
特別支援学校(視覚障がい)小学部卒業後に、公立中学校に入学した弱視生徒を対象として、本人の想いと保護者の願いを踏まえた上で、特別支援学校からの助言・援助のもと、全教職員が障がい理解を深め特別支援教育の専門性を高めながら、工夫された独自の教育実践を展開している。また、この中学校で学ぶ生徒が、障がいがある生徒と共に学校生活を送ることによって、人間性豊かに成長していく姿が顕著である。インクルーシブ教育システムの充実に向けた新奇性のある先駆的教育実践であり、今後、他の学校への波及も大いに期待できる。
https://www.hakuhodofoundation.or.jp/prize/
心の成長を妨げないために
心の成長を妨げないために… 決断した薬の投与 副作用も見極め上手に付き合う
10/30(金) 12:11【朝日新聞EduA】配信
発達障害の診断を受けると、程度や困難にもよりますが薬を勧められることがあります。発達障害がある子どもへの対応は、周りの理解と環境調節が第一となりますが、それだけでは追いつかない場合の一つの方法です。必ず薬が必要なわけではなく、その人の状態や環境により薬がなくても大丈夫な場合が多いと聞いています。
もちろん薬が必要かどうかの判断は医師がすることですが、向精神薬の投与については様々な偏見や不安も付きまといます。ましてや自分自身ではなく子どもに飲ませるのです。その決断は親がすることになります。
私も最初は随分と悩んだ上での決断でした。私と同じくお子さんへの投薬に悩む方は多いと思いますので、一つの事例として我が家の経験談をお話ししたいと思います。
娘はADHDと自閉症スペクトラムの診断を受けています。多動と衝動、不注意があり、4歳で診断された時には親子ともども疲弊しきった状態でした。そこを緩和するべく、最初にリスペリドンという抗精神病薬の投与を勧められました。興奮を抑え、刺激の受けやすさを和らげてくれる薬です。
診断がついてまだ間もない頃でしたので、私もほとんど知識がなく、子どもに飲ませてよいものかどうか、随分と悩みました。ネットで調べると依存症や怖い話がたくさん出てきます。10年以上前なので今のように発達障害に対して正確な医療情報がネット上に少なかった時代でした。主治医の先生は私の不安に一つひとつ答えてくれ、無理に勧めることもなく、時間をかけて現在でわかっていることを正確に教えてくれました。
もちろんお薬ですので、どんなものでも絶対安全はありません。胃薬だろうが痛み止めだろうが、場合によっては副作用、まれに重篤な副作用が起きる可能性もあります。主治医に何度も相談しながら半年くらい考えた末、娘に薬を飲ませることにしました。
最大の理由は娘の飛び出しです。衝動性の高い娘は道を歩いていても、車道側に気になるものがあれば(たとえば草花)、何も見ないでいきなりとんで行きます。頭で考えればそれが危険であることは知っています。車にひかれたらどうなるかも知っています。それでもその瞬間は気になるもののことで頭が埋め尽くされ、飛び出てしまうのです。
外を歩くときは常に手をつないでいたので引っ張り戻すことが出来ていましたが、一生そういうわけにもいきません。何度も何度も話して聞かせましたが、なかなか自分で抑えきれません。就学を控えて、これではいつか事故にあってしまう。下の子の幼稚園と時間が微妙にずれていることもあり、毎日の送り迎えが不可能でした。
薬によって衝動性や授業中の多動を抑えられれば、座っている苦痛も和らげられるかもしれない。そう思って投薬に踏み切りました。リスクもあるかもしれないけれど、娘の命には代えられません。そうして4歳から、娘の頭の中の刺激の受けやすさを静かにしてくれるリスペリドンと、6歳からADHD治療薬(メチルフェニデート塩酸塩徐放錠)を飲むことになりました。
発達障害は生まれつきの脳のタイプ、性質ですので、薬を飲んだからといって治るものではありません。痛み止めやアレルギーの薬のように、効いている間は症状を抑えるというものです。
薬で症状を抑えることによって、落ち着いて学習ができたり、過敏症状を軽減したりできます。繰り返す失敗で自信をなくしたり、叱られたりするシーンも減らせます。本人が少しでも楽に社会生活を営めるというメリットがあります。
もちろん障害によって起きる困難を全て無しにしてしまうような魔法の薬ではありません。最初は変化に驚くこともありますが、決して人格まで変えてしまうような薬でもありません。日常生活で少しでも本人の負担を軽減するために飲んでいます
心の成長を障害の困難によって妨げられないようにする、そういった感じでしょうか。ですので、ずっと継続して薬が必要なケースばかりでなく、成長の過程で一時的に薬でコンディションを調整する場合も多いそうです。多動に関しては小学校高学年くらいにおさまるお子さんもいると聞きました。実際に周りのお子さんを見ていてもそのようなタイプは多いと感じます。
うちの娘に関しては、多動は今のところおさまる兆候はなく、おそらく一生続くものかと思われます。よく考えれば、娘とそっくりな性質の父親は多弁多動で不注意だらけです。我が家の場合はどうみても娘と父親の特性が似ているので、この先も薬と付き合っていくことになるだろうと思っています。
同じ薬でも効果には個人差
発達凸凹の子の中学受験
子どもに継続して向精神薬を飲ませることに対して、賛否両論あることは知っております。これは我が家の場合の話であって、すべてのケースに投薬を勧めるわけではありません。
時折、学校から投薬を勧められるケースを聞きますが、向精神薬はあくまで医師の判断で処方され、本人のために飲むものです。結果として集団生活に適応しやすくはなりますが、周りの都合で集団生活に適応させるために飲ませるものではありません。
ADHD治療薬(メチルフェニデート塩酸塩徐放錠)に関しては、依存症を心配される方も多くいらっしゃいます。私もその点は非常に気にしていました。
娘は現在15歳。6歳から飲み始めてもう10年が経とうとしています。それでもいまだに声をかけないと、薬を飲み忘れて学校に行ってしまいます。依存のかけらも今のところ見られません。私の知っている範囲に同じタイプのADHD治療薬を飲んでいるお子さんや成人の方は数多くいますが、依存になった話は聞いたことがありません。
副作用として代表的なものが食欲減退で、成長期においては体重の増え方などのチェックが必要です。娘も薬が効いている間は食欲が落ちたので、主治医の承諾のもと休日や長期休みに休薬をして体重のコントロールをしていました。娘にはこのタイプのADHD治療薬とリスペリドンの組み合わせはとても合っているようです。今ではADHD治療薬も種類が増えてタイプによって色々と試せるようになっています。
一方、2歳で自閉症スペクトラムの診断がついた息子は、特に投薬を勧められることもなくきていました。ところが、就学してから刺激の受けやすさが強くなり眠れなくなるなどの症状が出てきたため、リスペリドンを飲むようになりました。しかし、副作用の食欲増進で急激に太ってしまったので、他のタイプの抗精神病薬に変えたのですが、今度は理由なくイライラが激しくなり断念。効果は見られたのですが副作用との釣り合いが取れませんでした。今は不安を抑えるためにSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれるタイプの抗うつ薬を飲んでいます。
多動は一切なかったのですが、不注意が激しく、ランドセルを玄関に忘れて手ぶらで学校に行くような子でした。ADHDが併存していたことから一時は娘と同じタイプのADHD治療薬を処方されたこともあったのですが、こちらもイライラが出てしまい中止しました。同じ薬であっても効果も副作用も非常に個人差があり、一概に「この障害だからこの薬」とはいかないもののようです。
投薬はごく少量からスタートし、効果や副作用の様子を見ながら丁寧に調節をしていきます。合う薬、合う量を見つけるには何カ月もかかることもあります。子どもの場合、体が大きくなることや学校など環境が変わること、成長によって本人の状態も変化していくので、それにも合わせていかなければなりません。我が家の子どもたちは小さい頃からの投薬ですが、大きくなるにつれて薬による変化を子ども自身が言葉で教えてくれるようになり、本人がどうしたいのか相談しながら調節しています。
私自身は発達障害の診断は受けていませんが、長く慢性じんましんを患っており、原因不明で完治の見込みもなく、ずっと薬で症状を抑えて生活しています。薬のない状態では全身にじんましんが出て、とても日常生活が送れません。
花粉症をお持ちの方で、軽い症状であれば空気清浄機などの環境調整でなんとかなる場合もあるでしょうが、ひどい場合は薬がなければとても仕事や勉強ができる状態でないことはわかっていただけるかと思います。薬を飲まなくてもやっていけるに越したことはないのですが、発達障害で投薬が必要な場合は、花粉症の薬と同じようなものだと私は考えています。
本人にはどうしようもないことを薬で少しでも楽にしてあげられるなら、副作用との兼ね合いも慎重に見ながら、薬を使い、うまく付き合っていきたいと思っています。
なないお:発達障害のある2人の子供を育てるシングルマザーです。2005年生まれの娘(ADHD、ASD)、2007年生まれの息子(ASD)、どちらも受験し公立中高一貫校に通っています。
ブログ「うちの子流~発達障害と生きる」https://nanaio.hatenablog.com
Twitterアカウント @Nanaio627
京都府内文科省調査
いじめ重大事態が増加認知件数は減少京都府内、文科省調査
2020年10月22日 18:15【京都新聞】
京都府内の国公私立の小中高校と特別支援学校で、2019年度のいじめの認知件数は2万2429件と前年度より2412件(9・7%)減ったことが文部科学省が22日に公表した問題行動・不登校調査結果で分かった。ただ、いじめ防止対策推進法が規定する重大事態は公立分のみで、前年度より8件増えて11件あった。
いじめ認知件数の内訳は小学校が2530件減の1万8355件、中学校が151件増の3322件、高校が93件減の531件、特別支援学校は60件増の221件だった。うち京都市は小学校が53件増の1506件、中学校は158件増の1301件、高校は7件減の25件などだった。
重大事態は心身に大きな被害を受けたり、不登校になったりした案件。京都市立学校で7件、同市を除く公立の小学校で2件、中学校で1件、府立特別支援学校で1件あった。同級生から嫌がらせを受けて不登校になったなどだった。
いじめの認知件数は府教委は「嫌な思いをした」といった軽微な事案も認知件数としている一方、京都市教委は軽微な場合は継続的な指導が必要などと判断した場合に集計に含めている。府教委は「認知件数の減少に安心せず、引き続き丁寧な対応をしていく」としている。
暴力行為の発生件数は小中高校の合計で2193件と40件の減少。内訳は小学校が1045件(65件増)、中学校が963件(81件減)、高校が185件(24件減)だった。内容は生徒間暴力が計1409件(41件減)と最も多かった。小学校の暴力行為は特定の児童による繰り返しや、低年齢化が進んでいるという。
高校の中途退学者数は824人と前年度から204人減った。
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小中学校で不登校8年連続増「要因は複雑、喫緊の課題」京都府内文科省調査
2020年10月22日 17:00
京都府内の国公私立の小中学校で2019年度の不登校の児童生徒数は計3400人と前年度より400人(13・3%)増え、8年連続で増加したことが文部科学省が22日に公表した問題行動・不登校調査結果で分かった。府教育委員会は「要因は友人関係や学業、家庭問題など多様で複雑になっており、喫緊の課題」としている。
小学校が970人と前年度から248人(34・3%)増え、中学校は2430人と152人(6・7%)増えた。府内の多くを占める京都市は小学校が427人と169人(65・5%)増え、中学校は1110人と125人(12・7%)増えていた。
調査は病気や経済的な理由を除き30日以上の欠席者を不登校として集計しており、出席日数がゼロの児童生徒は小学校で31人、中学校で80人いた。高校の不登校の生徒数は771人で139人(15・3%)の減少だった。
全国の小中学校の不登校児童生徒数も前年度比10・2%増の18万1272人と増加傾向を示している。
府教委は「(学校以外の学びの場を認めた)教育機会確保法の趣旨が浸透した面もある。各市町に設置される教育支援センターなどで教育の保障もしていく」としている。
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いじめの数が全国に比べて京都が多いのは統計を取ったころからで、小さないじめも見逃さずにカウントするという方針があったからです。暴力事案が増えているのは、根拠ははっきりしませんが、教師の体罰が厳しく批判されたころから増えているような気がします。
不登校が毎年1割増えるとなると8年後には倍に増えます。京都6000人全国36万人となります。武漢風邪で臨時休校した結果、不適応による不登校ケースはさらに増えるとも言われています。京都府6000人というと向日市に通学する小中学生が5000名弱ですから全員学校に行っていないという規模です。
学校でテント泊や肝試し
修学旅行広がる新様式 学校でテント泊や肝試し
2020年11月02日 07:48【岐阜新聞】
岐阜県内の小中学校で、新型コロナウイルスの影響から中止になった修学旅行の代替行事が相次いで行われている。児童生徒らがアイデアを出し合って、校庭に1人用テントを張って過ごしたり校舎で肝試しをしたりと、学校ごとに形の違う、思い出づくりの"新様式"が生まれている。
「夜の学校に泊まってみたい」「1人ずつ分かれてテントに入れば密にならないね」。岐阜市千代田町の長良西小学校ではそんな子どもたちの意見をきっかけに、10月31日から11月1日にかけ、6年生約110人が校庭に家族らと設営した1人用テントで過ごした。題して「修学楽宿(がっしゅく)」。仲間と協力して火起こしをしたり、炊き出しをしたりして楽しんだ。
岐阜市教育委員会によると、市内で修学旅行を中止にしたのは小学校では46校のうち6校、中学校では22校のうち11校だったが、その代替行事は市内名所を巡る遠足や、児童が保護者に学校生活を見せるユーチューブでの動画配信、体育館でのパフォーマンス大会など多様だ。学校指導課の松巾昭課長は「今後は修学旅行の在り方自体が変わっていくのでは」と話す。
美濃市大矢田の昭和中学校でも生徒らがアイデアを出し合い、「夜の学校がわくわくする」という意見から肝試しを敢行。3年生45人が10班に分かれて、事前に効果音や映像などを組み合わせた仕掛けを考えた。当日は生徒4人一組で校内を巡り、真っ暗になった教室に悲鳴が響き渡った。3年生の生徒は「宿泊の旅行がなくなったのは残念だけど、今までにない企画で思い出になった」と笑顔。学年主任の小森寿美教諭は「初の試みで試行錯誤だったが、生徒の思いを後押しできた」と語った。
思い出づくりの舞台を郷土の山に求めた学校もある。土岐市鶴里町細野の濃南小学校では6年生8人が市内最高峰の曽良山(標高712メートル)へ。学校から2時間ほどかけて頂上まで歩き、仲間との絆を深めた。同行した本多直也校長は「これも一つの形。バスで遠くに行かなくても、古里の自然の中で記憶に残る活動ができたのでは」と話した。
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国中がGOTOトラベルだイートだと盛り上がり、メディアは都会の密密状況を報じています。そんな中で、ほとんど感染実害のない田舎の学校が、生真面目にも感染予防策のために修学旅行をやめ、これまたどこが感染予防かと首をひねりたくなる奇策?イベントを実施しています。
小集団で普通にホテル泊の旅行したほうがましじゃないかと思わせるような、学校宿泊、集団登山の報道が、これまた楽しそうに報じられています。建前と現実がどんどん乖離しても、理屈と行動が矛盾していても平気な子どもを育てているような気がするのは私だけでしょうか。ただ、これまで通り修学旅行に行こうが学校で泊まろうが、子どもたちにはほとんど実害がないのは統計的に明白なので、学校が何をしようが目くじらを立てるようなことではないのですが。
学校連絡電子化
学校連絡電子化 教員の負担減につなげたい
2020/11/02 05:00【読売新聞】
学校現場の業務を効率化し、教員の負担軽減につなげたい。
文部科学省が、全国の教育委員会などに、学校と保護者の連絡をなるべくデジタル化するよう求める通知を出した。
多くの小中学校は、行事の参加申し込みや進路調査などについて押印を伴う書類を作り、児童・生徒を介して保護者とやりとりしている。印刷から配布、回収、集計まで手間がかかる上、児童が紛失することも少なくない。
子供の欠席を連絡する際、保護者による電話や、連絡帳を友だちに預けて提出させることを求めている学校もある。慣例的な押印や朝の慌ただしい時間の連絡は、保護者にとっても負担となる。
デジタル化が円滑に進めば、教員の事務作業が減り、その分、教科の研究や授業の準備、生徒指導に充てる時間を増やせるのではないか。保護者にとってもメリットは大きいだろう。文科省が目指す方向性は妥当だ。
通知では、デジタル化の活用例が具体的に示されている。
たとえば、保護者へのメール配信システムがある場合は、教員が連絡事項をメールに添付し、保護者に確実に届けられる。
配信システムがなくても、回答の入力画面につながるインターネット上のアドレスやQRコードを配布物に印刷しておけば、保護者がオンライン上で回答できる。教員が回収や集計の手間を減らすことが期待される。
こうした取り組みは、私立学校が先行してきたが、公立学校でも広がり始めている。埼玉県戸田市では、QRコードで欠席を連絡するシステムが導入されている。
学校や地域の実情に合わせて、準備を進め、できることから始めるのが望ましい。各自治体がシステム構築の予算を確保し、教員や保護者が使いやすい仕組みにしていくことが課題となる。
保護者には、デジタル化の意義や手順を丁寧に説明すべきだ。オンラインでの連絡を敬遠する人や通信環境が未整備の家庭への配慮も不可欠だろう。
デジタル化によって、教員と保護者の意思疎通が希薄になってしまっては本末転倒である。
セキュリティーにも万全を期さねばならない。IDやパスワードによる保護者の本人確認を徹底し、子供や他人がなりすまして使うことがないようにしたい。
通知表など、機微な情報を含む書類をデジタル化の対象にするかどうかは慎重な検討が必要だ。
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昔は保護者とメールやLINEのやり取りをするだけで管理ができないと目くじらをたてる管理職もいました。連絡程度で電話をかけると相手の時間を拘束するし、連絡帳では時間がかかりすぎるし必ず読んでくれるとも限らないし、そういう意味でメールは便利なツールです。ただ、教員の個人アドレスでやり取りすると、クレーマー問題やセキュリティー問題でややこしくなるケースがたまにあるので、学校はこの問題を避けて通ってきた経過があります。
スマホでアクセスできる保護者用のマイWEBサイトを学校側で作って個別対応ができるようになれば双方とても便利になると思います。そうはいいつつも、保護者も職員も簡単に操作できる安全なシステムを導入しようとなるとお金がかかるのも事実です。PTA(一斉)メールを導入するだけで、毎年数万円かかるそうです。PTAのお金から捻出できるので実現していますが学校予算となるとどこから捻出するのかという声が聞こえてきそうです。
実際、放デイで30名ほどの利用者に申込予約から連絡帳管理まで一括して処理するシステムはすでに何社かで開発され売り出されています。年間100万を超える出費も痛いですが、それをうまく使いこなすスタッフも必要です。理屈はわかるのですが実現にはいくつかの壁があります。
小児科学会「休校効果は限定的」
学校再開しても子どもの感染は家庭8割、学校1割小児科学会「休校効果は限定的」
2020年11月1日 05時50分【東京新聞】
新型コロナウイルスに感染した子どもの感染場所は家庭が約8割で、学校や保育園・幼稚園は約1割だったことが、日本小児科学会の調査で分かった。今春の小中学校の休校時期だけでなく、学校が再開していた8月以降も同じ傾向で、休校効果は限定的だったと評価している。(原田遼)
全国の約150病院にアンケートし、1月~10月上旬に感染した472人の状況を報告してもらった。ほとんどは中学生以下だが、高校生以上(20歳未満)も複数含まれる。
感染場所が判明している423人のうち、329人(78%)が家庭だった。幼稚園・保育園は31人(7%)、学校が22人(5%)、ほかは塾や習い事など。
◆大人同様に増えた子どもの感染者数
3月~5月は安倍晋三首相(当時)の要請と緊急事態宣言で全国的な一斉休校になり、保育施設なども休園が続いたが、「第一波」のピークだった4月は大人と同じように感染者が増えた。休校期間を含む1月~10月上旬を通し、感染場所は家庭が約8割だった。
学校が再開した6月以降、大人の感染者が再び増えたのと同様に、子どもの新規感染者も増加。ピークの8月以降だけを見ても、感染場所は家庭内が約8割を占めており、学会は「学校や保育園よりも家庭内で感染する子どもの方が多く、休校の効果には限界がある」とみている。
調査結果に対し、文部科学省は「学校内の感染が抑えられているのは、マスク着用や消毒などを徹底した効果もあるのでは」と指摘した。今春の一斉休校の時期には、マスクや消毒液が不足していた。
調査を担当した聖マリアンナ医科大の勝田友博講師は「小児は新型コロナに感染しにくいという報告がある。一斉休校はデメリットも多く、今後は慎重に判断するべきだ」と指摘した。
◆休校明け、子どもたちは自身の50メートル走のタイムに驚いた
今春の小中学校の休校措置が、新型コロナの感染拡大防止にどの程度効果があったかは不明だ。ただ、3カ月近くに及んだ長期休校が、子どもたちの心身に悪影響を与えたと感じる教員は少なくない。
「こんなに体力が落ちるのか」。休校明けの6月、東京都内の小学校で低学年を受け持つ教諭は驚いた。体育の授業でリレーや鬼ごっこを始めると、子どもたちがすぐに疲れた。50メートル走では、多くが自身のタイムの遅さにびっくりしていたという。
算数や国語の授業などでも、後半になると椅子にもたれかかったり、足を開いたりと、集中力が持続しない子どもが目立った。
◆「休校措置は代償が大きい」教育現場の声
都内の別の小学校教諭も「自粛期間中にゲーム漬けになったせいで、授業中にボーッとする」「親の付き添いがないと学校に来られない」「親子げんかが増えた」などの報告があったと明かす。「休校措置は代償が大きい。今後はやめてほしい」
「最近になって明らかに保健室相談が増えた。2学期が普段より長いからではないか」と話すのは、都内の高校の養護教諭。2学期が8月下旬に始まった一方、文化祭や体育祭は軒並み中止になった。「気分を切り替える行事がなく、授業だけが淡々と進む。冬休みもまだ遠く、生徒が精神的に息切れを起こしているのでは」と心配する。
文科省の健康教育・食育課の担当者は「休校による悪影響は把握している。今後、感染がまん延した際は、学びの保障という観点も踏まえて、休校措置を取るべきか考える」と話した。
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メディアが意識的に書かない自由というのは民主主義の土台を蝕んでいきます。米国大統領選挙で起こっている不正も民主党を不利にするものは全てメディアにスルーされ、検閲されているそうです。既存のメディアだけでなく、ツイッターなどSNSですらその傾向が顕著だそうです。
この記事も、武漢風邪による休校が子どもの健康に良くないということを、子どもの体力、精神力、学力低下と遠回しに批判しただけに終わっています。もっとも重要なことは、武漢風邪にかかった子どもの病状が休校を全国的に実施するほどのものであったかどうかということです。医師の学会報告でありながら、病状には一行も触れていないのは不自然極まりないです。
どんなに学力が落ちようが、体力が落ちようが、子どもの生命や健康を著しく脅かすものであれば、厳しい外出制限も仕方のないことです。しかし、今回の武漢風邪は子どもの健康を著しく脅かすものではなかったということに踏み込まなければ、休校による子どもの保健衛生を論じたものにはなりません。その事実を示すことを控えたのは小児科学会なのかメディアなのかはわかりませんが、親や関係者が一番知りたいことは、ほんの1か月前までメディアが毎日毎日煽りにあおった感染報道が、少なくとも子どもには当てはまらないという感染症状の事実です。
「シェアハート」発足8年
発達障害、仲間と悩み共有「シェアハート」発足8年に
2020/11/8 18:00 【熊本日日新聞】
熊本県内の発達障害者でつくる団体「シェアハート」が、8日に開く例会で発足8年を迎える。毎月の例会は、対人関係がうまく築けず生きづらさを抱える当事者が、心を開いて話せるよりどころとなってきた。「発達障害の特性に苦しみ、孤独でいる人の力になりたい」。そんな思いで活動の輪を広げている。
「急にスケジュールを変更されるのがすごく苦手。コロナ禍で予定を立てづらく、不安が募った」
男性が告白すると、参加者が「いいね!」「分かる」と書いた紙を掲げた。人前での発言が苦手な人のために作ったコミュニケーションカード。共感を示し、安心して話せる環境をつくり出す工夫だ。
設立メンバーの井上裕介さん(36)=熊本市=は「良い所を褒め共感し合うことで、受け入れてもらえたという自信につながる。自分を変える大きなきっかけになる」と語る。
井上さんは大学卒業後、社会福祉士として高齢者施設に就職。しかし、入所者との意思疎通がうまくいかず、同時に複数をこなす仕事にもついていけずに1カ月で退職を勧められた。
その後、アスペルガー症候群と診断。「子どもの頃からコミュニケーションが苦手で、生きづらさに悩んできた。障害を知って自分のせいではなかったと思い、すっきりした」と振り返る。
ただ、周囲に同じ障害の人は見当たらず、悩みを打ち明ける場もない。「仲間と出会いたい」との思いから2012年11月、シェアハートを立ち上げた。月例会は毎回20人程度が参加する。
発足時から通う今坂祐太郎さん(33)=菊陽町=は小学生の頃からコミュニケーションが苦手。仲良くなりたいと思うほど余分な発言をし「しつこい」「うっとうしい」と毛嫌いされた。「場違いな発言で嫌な空気になった過去がフラッシュバックし、今でも苦しい」と打ち明ける。
江上房孝さん(31)=熊本市=は突然の大きな音が苦手で、運動会のピストル音や避難訓練の火災報知機の音に驚く度[たび]、周囲にばかにされた。冗談が通じず、ちょっとしたからかいも真に受けてしまい周囲から疎まれた。
メンバーの多くは自分に自信が持てず、人との関わりを避けてきた。職場でも孤立し、長続きしないなどの課題を抱えるが、シェアハートに通うことで「自分が変われた」という人は多い。
今坂さんは人との距離感がつかめなかったが「話を聞いてもらえることで、徐々に自分をコントロールできるようになった。自分自身と向き合うことを知った」。江上さんも「同じ悩みを持った人と出会い、発達障害者のいろんな特性を知ることができた。コミュニケーション能力が改善した」と話す。
月例会は新型コロナウイルス感染拡大で計4カ月間開けなかったが、再開を求める声が相次いだ。井上さんは「一人一人のニーズに応えようとこだわってやってきた。それぞれの長所を伸ばし、生かせる場としてこれからも仲間を増やしていきたい」と意欲的だ。(福井一基)
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発達障害のある人たちだけで運営する自助団体はSNSの中でもいくつも立ち上がってきましたが、長く続いているところをあまり知りません。最初はお互いの悩みをうちあけあうのですが、それをうまく調整する人がいないと自然消滅してしまいます。調整役の人も一人では難しく善意だけでは難しそうな印象がありました。
8年も続いているところがあるのは初めて知りました。主催者が根気強く開催してきたことに参加者の信頼が集まり、SNSではなく実際にみんなが会って、そこでも構造化支援などの配慮が見えるところが長続きの秘訣ではないかと思います。対人関係の困難があるからこそ、実際に会う工夫をすると言う逆説的な努力が功を奏したと思います。
障害のある子どもをプログラマーに
障害のある子どもをプログラマーに 福岡のIT企業
2020/11/10 20:00【日経新聞】
ソフトウエア開発や障害者の就労支援をするカムラック(福岡市)は発達障害など障害を持つ子どもに、プログラミングを教える事業を始める。2021年4月にも参入する、放課後等デイサービス事業の中で実施する。IT(情報技術)の基礎知識や技能を身につけることで将来はIT企業に就職して自立しやすくするとともに、IT業界の人手不足の緩和にもつなげる。
放課後等デイサービスの事業所を、福岡市東区に開設する。学習支援や生活能力向上訓練などに加え、初歩的なプログラミングやデザインの技術を教える。実際にプログラムを作成し、おもちゃのロボットを動かせるようにすることなどを目指す。10~20人程度の子どもの受け入れを予定する。利用料はおやつ代を含め月6000円程度を想定し、プログラミングを学ぶための追加料金は取らない。
基礎を学ぶことでITへの関心を高める。専門的な知識や技能を身につけたいと思った人には同社に入社してもらい、働きながら知識や技能を高められるようにする。
IT技術者になることで、自立もしやすくなる。国の障害者雇用実態調査(18年度版)によると、月額平均賃金は発達障害者が12万7000円、知的障害者は11万7000円、精神障害者が12万5000円と、約26万円の常用労働者をいずれも下回っている。カムラックの賀村研社長は「成長産業であるIT企業に就職すれば高収入を得ることが可能で、障害者の社会進出をさらに進めることができる」とする。
障害者がIT企業に就職することで、人手不足の緩和にもなる。IT業界ではスマートフォンの普及やウェブ広告の増加などを受け、プログラマーやデザイナーの不足が深刻になっている。経済産業省によると、IT人材は20年時点で推計30万人不足しており、30年には45万人以上に膨れ上がる可能性もあるという。
カムラックではこれまで、IT事業を通じてプログラマーやデザイナーを社内で育成してきたほか、障害者向けの就労支援にも取り組んできた。就労支援プログラムなどを通じ、毎年15人ほどが他のIT企業へプログラマーなどとして就職に成功している。放課後等デイサービスの事業所は3年以内に、福岡市内で5カ所程度開設する計画だ。
(荒木望)
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読んでいると、放デイがプログラミング教育に特化して療育をしているのか、その枠を超えて塾として独立したのか、はたまた成人期への就労支援として会社機能を特定子会社に拡大したのかよくわからないのですが、とりあえずはプログラミングに療育内容を特化した放デイを作ったということでしょう。報道している負担額は、放デイの個人負担額(1割負担)で週3回ほどの出席の標準額を示しています。
就労を見越した児童支援があってもいいとは思いますが、中身は科学教室のようなものだということでしょう。ただそれを、出資会社の社員が教えるのかどうかはわかりませんが、そのリクルートはどうするのかは興味のあるところです。最近ちょくちょく、民間会社が出資する「プログラミング療育?」の放デイが出てくるので、実際に見学してみたいなぁとは思います。発達障害の多くがパソコンオタクだと勘違いしているのではないかという不安もありますが、パソコンをサバイバル・ツールにすることは、そう間違いでもないと思います。
卒業生と雇用企業、長期勤続・雇用を表彰
支援学校卒業生、長期勤続を表彰京都、雇用企業も/京都
2020年11月12日【毎日新聞】
「障害のある市民の雇用フォーラム」が11日、京都市下京区の市総合教育センターであった。市立の総合支援学校と京都教育大付属特別支援学校を出て就職し、勤続10年・5年を迎えた卒業生計70人に表彰状が、雇用主の企業など計62団体に感謝状が贈られた。
20の団体による「総合支援学校生徒の進路開拓をめざす『巣立ちのネットWORK』」が発足した1994年度から開催。代表を務める鈴鹿且久・聖護院八ツ橋総本店社長は、あいさつで「コロナ禍で(雇用を守るのは)大変な状況だが、支えさせていただきたい」と述べた。就労は年々進んでいるが、期間を区切らない雇用は少ないという。
勤続10年の表彰者を代表し、九条ネギを生産加工する「こと京都」(伏見区)に勤める中村健太さん(29)が「無事に楽しく仕事ができている。頑張って続けたい」と決意表明。上司の山内修一・向島工場長は「彼には人間的な魅力がある。あと10年、20年と会社を支えてほしい」と期待を寄せた。【南陽子】
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小中学部のない高等支援学校は就労支援に特化した支援学校です。ほぼ全員を就労させている学校も少なくありません。しかし、一方で就労はしたけど長続きしない場合もあります。会社から本人を解雇することはほとんどありませんが、対人関係や家庭事情、余暇支援の薄さから就業が長続きしないそうです。
仕事だけなら続けることは可能かもしれませんが、仕事も含めた生活の質、恋愛や結婚も含めた生活は、学校だけでは教えようがありません。昔の中小企業の社長は就労した卒業生の生活の隅々にまで目配せして育ててくれる方もいました。障害があろうがなかろうが、小さな企業は人手を失うまいと若者の生活にまで目配せしていました。
今はそんな時代ではないので長く雇用してくれるだけでありがたいというのが記事の趣旨でしょうが、就労した卒業生の自立のためには、プライバシーの問題を解決しつつも生活を支える仕組みが必要です。
のだめカンタービレ
野田あすか、新曲はヒットメーカー西尾芳彦プロデューサーが手掛けたポップソング
11/12(木) 15:00【株式会社イータレントバンク】配信
発達障害と向き合うピアニスト野田あすかが、絢香や家入レオ、YUIらを手掛けたプロデューサー西尾芳彦氏と手を組んだ作品「Happy Together ~いつか見たあの場所へ~」が配信リリースとなった。
22歳で発達障害と診断されるまで人とのコミュニケーションがうまくとれず、友達や仲間のいない時を送ってきた野田あすか。これまでに演奏してきた楽曲は、クラシック、インスト楽曲など、ソロでの活動が中心だった。しかし今回の新曲「Happy Together ~いつか見たあの場所へ~」は、これまでの「ひとり」から、「with Friends」と銘打って、音楽で出会った仲間とのつながりの中で作り出す新境地となるポップ・ソング。
ボーカルには、西尾氏が塾長を務める“音楽塾ヴォイス”の原石、佐藤春香を迎えている。仲間と一緒に作った野田あすかの音楽が、今度は言葉をまとって新しい扉を開く。
野田あすかコメント
「ポップスの世界は、知らないことがいっぱいあって、プロデューサーの西尾さんからたくさん教えてもらっています。まだまだ『入り口』に立っている段階なので、たくさんの事は語れませんが、いろいろな楽器や声で『友達と一緒に音楽を作る』っていう事をしてこなかった私にとっては、遠く離れたところにいる友達が私のために歌ってくれたり弾いてくれたりしてくれたことがすごく嬉しく、ありがたいと思います。
新型コロナウイルスで直接は会えないけれど、私の見えないところで誰かがリモートで演奏して、それが自分の演奏に加わって、積み重なってこういう形になって。自分は自分のパートしか弾いてないけれど、聴いてくれる方には全部の力が合わさった音楽として伝えられるのが、素敵だなと思います。
クラシックは私にとって音楽のスタートの場所だから、凄く大事なもの。だからそれを捨ててポップスに飛び込むのではなく、クラシックは大事にしていきながら、まだ全部を見ていないポップスの世界の勉強をして、もっといろんな曲を作れるようになりたい。西尾さんに導かれながら、これから先もどんな曲ができていくのか、心配も不安も楽しみも、全部あります。」
西尾芳彦プロデューサーコメント
「野田あすかさんと初めてお会いしたのは2019年6月でした。思い切ってスタジオのドアを開けてみたら、困惑したような顔のあすかさんがピアノの前に座っていました。
『どうもこんにちは!』と軽く握手すると、コードで曲を作る事は初めてだけど、とても興味があると言ってくれたので、最初から音楽で会話するつもりでした。すぐに横に並んでピアノを弾き始め、『ここのBメロはちょっと長いから短くしませんか?』、『このサビはもったいないので、前後にこんな感じで音符を足してみたらいかが?』と、いつも通りに音楽を始めると、あすかさんも少しずつ乗ってきて、手でリズムを取りながら歌い、サビを一緒に作ったりもしました。
驚いたのはポップスの領域でのレスポンスの速さと正確さ。僕がギターを弾きだしても何も怖がらずに、ピアノでメロディを弾き出したんです。正直、目の前にいるあすかさんが発達障害を持っておられるなんて全然分からなかった程です。初対面で音楽のやり取りをしていくうちに、ポップスの領域で野田あすかを全面に押し出してみたいと強く感じました。是非、多くの方にこの想いを伝えたいです」
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野田あすかさんは、宮崎県在住の発達障害を抱えるピアニストです。子どもの頃から人とのコミュニケーションがうまくとれず、たびたび特異な行動をとり、それが原因でいじめを受け、自傷行為が始まり、転校を余儀なくされました。宮崎大学に入学しますが、人間関係によるストレスで過呼吸発作を起こし、たびたび倒れて入退院を繰り返して、大学を中退します。本人は、「なぜ、まわりの人とうまくいかないのか?」と悩みつづけたそうです。
その後、宮崎学園短期大学音楽科の長期履修生となります。この頃に恩師となる田中幸子先生と出会い、自分の心をピアノで表現することができるようになります。短期留学したウイーンでも倒れ、22歳で初めて「発達障害」であると診断されました。また、その頃、パニックで自宅2階から飛び降りて、右足を粉砕骨折し、ピアノのペダルを踏めなくなりますが、現在では、工夫して左足で踏んでいます。
たくさんの苦しみを抱え、自分の障害と向き合ってきたことで、野田あすかさんの奏でる「やさしいピアノ」は多くの人の感動をよぶようになります。ドラマにもなった漫画「のだめカンタービレ」の主人公である野田恵は実在する音大生ですが、テレビドラマで上野樹里が演じる「のだめ」モデルは「野田あすか」だろうと言われています。
校則
中学校則「下着は白」、教員が目視で確認…弁護士会「明らかな人権侵害」
2020/11/13 09:07【読売新聞】
下着は白、マフラー禁止、髪形のツーブロック禁止――。中学校の校則の見直しに向け、佐賀県弁護士会(富永洋一会長)が、判断基準などを示した提言書をまとめた。13日に県教委に提出し、県内各市町教委や県PTA連合会にも送る。(森陸)
提言は3項目。「規制の目的と手段(指導)が合理的なものか」との基準を示したほか、「子どもの権利を明言すること」や「策定・改定の際に子どもが関与できる仕組み作り」からなる。
提言書は、県弁護士会憲法委員会(東島浩幸委員長)が中心となって作成した。今年4~10月、情報公開請求で収集した中学校22校(県立4校、佐賀市立18校)の校則を精査。また、中学生男女4人、生徒指導担当教諭2人にヒアリング調査を行うなどした。
中学生へのヒアリングでは、定期検査の際に教員が下着を目視で確認する指導が現在も行われていることが判明したという。同委員会の稲村蓉子弁護士は「明らかな人権侵害だ」と指摘。
また、多くの学校で、制服や髪形が、男女別に細かく定められていることについて、「性的少数者(LGBT)や障害者、異なる文化や宗教を背景に持つ子どもたちを社会がいかに受け入れ、多様性を確保するのかという視点が欠落している。子どもたちが納得できない、学校側が理屈を説明できない校則は改定を検討すべきだ」とした。
東島委員長は、子どもの基本的人権を保障した「子どもの権利条約」を日本も批准していることに触れた上で、「学校、子ども、保護者の3者が自主的な議論を通じて、高校や小学校も含め、よりよい校則のあり方を考えるきっかけにしてほしい」と話している。
校則については、山口知事や落合裕二県教育長、民間の教育関係者らが出席した昨年11月の県総合教育会議でも議題に。「誰のための校則なのか」「校則に抑圧され、支配されるのではなく、自分で考えて動ける校則を作るべきだ」などと、疑問の声が相次いだ。県教委が今年3月、校則見直しを呼びかける通知を出したのを受け、県立中4校は今年度、見直しを予定していると回答した。
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校則問題は平成の時代にトンデモ校則が告発される中で、ある程度淘汰されたと思っていましたが、まだまだあるようです。「服装の乱れは心の乱れ」と信じている大人がまだいる一方で、最近の子どもたちは普通に制服を着る子がメジャーになってきています。崩して着るのがダサいそうです。
これと併せて相乗効果となっている有力な理由は、高校の場合は私学入試だそうです。学校推薦型+総合型の入試入学者の比率が高まっている中、関東圏内だけでも慶応を除き早稲田、学習院、立教、青学、上智と入学者の4割を占めるようになっていることです。もちろんこれに伴い私立高校も同じような選抜傾向になり中学生に与える影響も大きいと思われます。つまり半数近くが学校推薦が必要な入試になってきたということだそうです。
ただ、こんな議論をしているわが国は平和だなとも思います。香港では先の民主化デモに参加した中高生が、いつ中国共産党に因縁をつけられるかと毎日おびえて暮らしていると言います。着衣の着こなしは、相手に不快感や威圧感を与えない意味で大人が教える必要があります。教えるという事と強制することは対極にあります。これも大人が教えるべきことです。
ハッピーの魔法
芸歴20年のお笑いマジシャンは公務員 特別支援学校に「ハッピーの魔法」
2020年11月15日 10時00分【毎日新聞】
社会福祉士の資格を持つ兵庫県尼崎市職員で、芸歴20年の技を仕事に生かすお笑いマジシャンがいる。関西で10年間続いたお笑いバトル大会で2012年、ゆりやんレトリィバァさんを抑えて優勝したハッピー浅田(本名・浅田智一)さん(44)=大阪府茨木市。この秋、新型コロナウイルスの影響で修学旅行が中止された尼崎市内の特別支援学校の代替イベントに登場し、笑いの渦を巻き起こした。マジックを伝えるのが難しい視覚障害のある生徒らも含め、どんな“魔法”でハッピーにしたのか。その技と工夫、思いを明かす。
同校は例年、大阪市内で1泊の修学旅行をしていたが、今年は新型コロナ禍で中止に。思い出作りにと教員らが企画した校内での「修学旅行」に招かれ、初めての訪問だった。生徒は重度の肢体不自由や知的障害、視覚障害があり、マジックを楽しんでもらうには工夫が必要だ。浅田さんは会ったばかりの生徒たちの障害の程度や反応に合わせて演目を決め、臨機応変に道具や構成を変更した。
リンゴを手のひらに落とすマジックでは手が不自由な生徒に紙袋を持たせた。視覚障害の生徒にも分かるようマジックで変化した様子はできるだけ言葉で説明する。触覚でも楽しめるよう、増えるスポンジボールを生徒の手に握らせるなど、ひとりひとりが参加できる工夫を凝らした。
生徒会長の阪本唯斗さん(18)は、トンカチで打った指が大きくなるシーンで大ウケ。母弘子さん(41)は「変化が分かりやすかったので、よく理解できて笑っていた。楽しい思い出ができて本当に良かった」と喜んだ。浅田さんは「視覚障害の子の前でやるのは初めて。どう楽しんでもらうかを悩んだけれど、今回経験できたのでもう大丈夫」と笑う。
浅田さんのもう一つの顔は、障害者らを支援する福祉の専門職だ。尼崎市役所入庁22年目のベテラン職員で、今は尼崎市子どもの育ち支援センター「いくしあ」で、児童ケースワーカーの指導役を務める。
マジックを始めたのは入庁2年目の2000年。引きこもっていた20代男性の自宅を訪れ、母親から相談を受けたことがきっかけだ。男性が面白いことが好きだと聞き、懇親会の2次会用にたまたま持っていたマジック道具で花を出してみせた。喜んだ母親は男性を呼び、「面白い人やで」と浅田さんを紹介。部屋から出てきた男性と関係を築いて、病院を受診してもらうことができた。
その体験から少しずつマジック道具をそろえ、精神疾患を持つ人のグループ活動で披露したり、口コミで民間の作業所や祭りに呼ばれたりするようになった。17年には公務員芸人の仲間と社会人演芸サークル「公共の利益」を結成、自主公演も開いている。いずれも報酬なしのボランティアだ。
浅田さんの芸は、マジックを披露しながらとぼけた話術を繰り広げるスタイル。「どんな立場の人も楽しませられる」と語る。普段の仕事では相談を受けて指導や支援をすることが多く、どうしても「上」の立場で話すことになりがちと感じる。だが、芸を披露する時の相手は誰もが「お客様」。「相手の気持ちを考え、ハプニングにもアドリブで対応することが、相談者との関係作りや支援の仕事に役立った」と振り返る。
05年から「ハッピー浅田」として数々のお笑い芸人の賞レースに参戦してきた。中でも12年のお笑いバトル「ボルケーノ茨木」で、その後に人気芸人となる、ゆりやんレトリィバァさんを抑えて優勝したことは一番の自慢だ。
芸人活動は職場でも役立ち、16~19年には毎年、自前の衣装と小道具で「けんけつ係長」に変身。市役所に献血バスが来る日、「職員が50人献血に来なかったら辞める」と宣言して市庁舎1階でPRし続けた。達成できなかった時には「係長」を一旦引退し、髪の色が緑に変わってパワーアップした「スーパーけんけつ係長」として復活した。
公務員としてふざけていると言われることはないのか?記者が尋ねると、「誰かに怒られたことは一度もない」と浅田さんは即答した。「言われないだけの仕事を普段している」と胸を張る。
「審査員を笑わせるより、お客さんとやり取りしながら笑わせたい」。今後しばらくは賞レースから離れ、声をかけられたイベントに注力していくつもりだ。特別支援学校でのステージで新たな方向性も見え始めた。「僕の集大成ともいえる仕事となった。全国の特別支援学校に呼んでもらえたらハッピーですね」。お笑いで人々に奉仕していくのは、公務員としての心意気とも重なっている。【稲田佳代】
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笑いは、前に進む力を与えてくれます。小難しいことをいくら並べても気持ちは前に出ませんが、笑いは「ほなやってみてみよか」という自然な感情を引き出します。お笑いは時として安価で根拠のないテレビ制作にも使われ批判されますが、優れたお笑い番組として思いつくのがNHKのバリバラです。
バリバラは、「日本初の障害者のためのバラエティ番組」と銘打ち、障害者自身が(時には自らの障害をネタにして)笑わせることを目指した番組で「バリアフリーバラエティ」の略称です。報道機関やマスメディアでの障害者の描かれ方が、『一生懸命頑張っている障害者の部分を一面に強調しすぎて画一的である』という「障害を抱えている視聴者からの苦情」を、テーマとして取り上げたことがきっかけに作られた番組です。
この企画を立ち上げるに当たり、障害(者)を笑うのではなく、障害者と一緒に笑いあいながら、バリアフリーを考える番組を目指したとプロデューサーは言います。障害者をメインに据えたバラエティ番組の制作については「障害者を見せ物にしている」などの批判もありましたが、9割近くを好意的な意見が占めたそうです。笑いはポジティブな関係性を作り出すという事だと思います。お笑いネタは子どもたちも大好きです。
30人学級
少人数学級、文科省vs財務省再び30年動かぬ“山”は動くのか
2020年11月17日 08時00分【毎日新聞】
「コロナ禍」を機に少人数学級の導入論が熱を帯びている。現行の定員は小1が35人、小2以上は40人。文部科学省は与野党や地方の声を背に、2021年度の予算編成でこの引き下げに必要な経費を要求した。ただ、バブル期から約30年間、義務教育の学級基準の一律引き下げは実現しておらず、省内では「一筋縄ではいかない」との声も聞かれる。この間、少人数学級を阻んできたものは何なのか。そして、今度こそ山は動くのか。【大久保昂/東京社会部】
「まだ5合目」慎重な文科省幹部
「ここまでは順調に来た。ただ、今後は巻き返しの動きが出てくるだろう」
21年度予算の概算要求を控えた9月上旬。取材に応じた文科省幹部は、言葉を選びながら話した。
この頃、文科省の長年の悲願である少人数学級には、追い風が吹いていた。新型コロナウイルスの感染拡大によって長期休校を余儀なくされた反省から、身体的距離を確保するために学級基準の引き下げが必要だとの声が高まっていた。
6月末に公明党幹部が安倍晋三首相(当時)の元を訪れ、30人学級の導入を提案した。それから3日後には、全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方3団体の代表者が萩生田光一文科相と面会し、やはり少人数学級の必要性を訴えた。
この流れに乗って、政府が7月17日に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」に「少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備」が盛り込まれた。9月8日には、政府の教育再生実行会議のワーキンググループが、来年度の予算編成において、関係省庁で少人数学級の導入を検討するよう促している。
与野党、自治体、政府の有識者会議の方向性は一致していた。
だが――。これだけ条件がそろっても文科省幹部は慎重だった。「登山で言うとまだ5合目くらい」何しろ約30年間、文科省は何度も導入の必要性を訴えながら、なかなか前に進まなかった政策なのだ。
50人→45人→40人バブル崩壊で停滞
戦後、これほど長期にわたって学級基準の引き下げが停滞した時期はない。歴史を振り返ってみよう。日本は敗戦後、当時のアメリカの教育制度をモデルとして「6・3・3・4制」を採用。小中学校の1学級当たりの児童生徒数の上限は、学校教育法の施行規則で「50人」と定められた。
ただ、規則には50人を超える学級編成を認める例外規定もあり、財政状態の厳しい自治体ではこうした状態が放置された。そこで政府は1958年度、義務教育標準法を制定し、50人学級を法制化するとともに、必要な教員の人件費を国が措置することにしたのだ。
旧文部省はこれで満足しなかった。「教職員定数改善計画」を策定して計画的に教育環境の改善を進めた。これまで7次にわたる計画の中で、普通学級の規模を一律に引き下げたのは2回ある。
64年度から5年かけて「45人」学級を実現した第2次計画と、80年度から12年かけて現行の「40人」学級を完成させた第5次計画だ。ベビーブーム世代の卒業で生まれた余剰教員を活用し、段階的に進めていった点が共通している。ところが、バブル崩壊で日本経済が失速すると、軌を一にするように学級規模の引き下げの議論も停滞していく。
「平成」になってから策定された第6次計画(93~00年度)と第7次計画(01~05年度)は、複数の教員で指導をする「チームティーチング」や習熟度別授業のための教員配置に主眼が置かれた。大幅な教員増が必要となる少人数学級ではなく、狙いを持った追加配置(加配)によって教育環境を改善する道を選んだのだ。
第7次計画が終了すると、定数改善計画そのものが作られなくなった。文科省は05年度に第8次計画の案を練り上げたが、財政構造改革を掲げる当時の小泉純一郎政権に退けられた。文科省が巻き返しを図ったのは、09年に自民党から旧民主党へ政権交代が起きたタイミングだった。日本教職員組合の後押しを受ける民主党政権は、少人数学級の導入に前向きだった。文科省はすぐに具体的な制度設計に着手し、政権交代から約1年後の10年8月、久しぶりに定数改善計画案を公表する。
それは、11年度から8年かけて小1、小2で30人学級、小3以上で35人学級を導入する内容だった。ところが、この案も政府内では採用されなかった。11年度から小1の35人学級が法制化され、翌12年度には小2も財政措置によって事実上の35人学級が実現したが、進展はここまで。旧民主党政権の瓦解(がかい)もあって、その後は足踏み状態だ。
最大の壁は「お隣さん」
「お隣の役所が首を縦に振ってくれるかどうか……」「財務省さんは一筋縄ではいきませんよ」――。文科省で少人数学級の議論を取材する際、官僚からこうした説明をよく受ける。財務省とは道一つ挟んで向かい合う。この「最強官庁」こそが、最大の壁だというわけだ。
文科省の事務方トップである藤原誠事務次官は初等中等教育局長だった17年3月、定数改善計画が策定されなくなった経緯を国会で追及され、率直に答弁した。
「文部科学省としましては、数次にわたりまして計画的な定数改善を要求してまいりましたが、残念ながら財務省の厚い壁があり、長期的な定数改善計画は策定するに至らなかったという経緯がございます」
旧大蔵省時代から財務省は教員の大幅な増員には厳しい姿勢を示してきた。
「教職員の配置については、今後子供の数が減っていくことを考えると、これ以上の改善を行う必要があるかどうか疑問が出されています」
バブル崩壊後の財政収支の悪化を背景に、96年に財政制度審議会(蔵相の諮問機関)の財政構造改革特別部会と旧大蔵省主計局の合作として刊行された「財政構造改革白書」(東洋経済新報社)にはこう記されている。
旧民主党政権の誕生以降、文科省が中3までの少人数学級の実現を目指した際も、財務省は「学力向上などの効果が明確ではない」と一貫して慎重な姿勢を取り続けた。14年には、幼児教育無償化の財源を捻出するため、小1を35人から40人学級に戻すべきだと主張して物議を醸した。
平成、「援軍」が消えた
45人学級や40人学級が実現した時代も、旧大蔵省の力は強かったはずだ。「平成」の時代に少人数学級が進まなかった理由は他にもあるのではないか。この疑問を専門家にぶつけると、こんな答えが返ってきた。
「90年代以降に財政赤字が急速に拡大したことで、大蔵省、財務省の危機感が過去とは比べものにならないほど強かったというのが一つ。それと、文科省を取り巻くさまざまな環境の変化もあるでしょう」
こう語るのは、教育財政学を専門とする奈良教育大の井深雄二名誉教授。今年2月、財政の観点から戦後の日本の教育制度の変遷を追った「現代日本教育費政策史」(勁草書房)を刊行した。
井深氏によると、45人学級や40人学級が実現した際、旧文部省には総務省の前身である旧自治省や国会の与野党といった「援軍」がいた。対立関係にあった日教組とも、少人数学級の推進という点では考え方が一致していた。
ところが、90年代以降はこうした勢力図は塗り替えられた。総務省は地方分権改革において財務省と共同歩調を取るようになり、衆院選で小選挙区制が導入された後は族議員などの政治の力は弱まった。日教組の影響力も低下した。
「最も力を持った役所である財務省に対し、文科省が独力で要求を通すのは難しい。少人数学級をやりたくても、なかなか機会がなかったのが実情でしょう」
巻き返しに文科相も応戦
冒頭の文科省幹部が予想した通り、21年度の予算編成では、財務省の巻き返しが始まっている。
10月26日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の作業部会。財務省は少人数学級の導入論をけん制する資料を提出した。
「平成以降、児童生徒数の減少ほど教職員定数は減少していない」「日本は諸外国に比べ学級規模が大きいとの指摘があるが、担任外教員が多く、教員1人当たりの児童生徒数は主要先進国並み」……。
文科省はすかさず、翌27日、反論をホームページに掲載する。
「教職員定数が減少していないのは、特別支援学校・特別支援学級に通う児童生徒数の増加によるものが大きい」「担任外教員は特別な支援が必要な児童生徒への対応や専科指導に充てられており、引き続きこうしたニーズに対応する教職員の配置が必要」……。
両者の見解は真っ向から対立している。ただ、こうした応酬は数年前から繰り返されてきた。
私は文科省が反論を掲載した日の閣議後記者会見で、萩生田文科相に挑発的な質問をした。「議論が平行線になった時は財布を握っている人が強いというのが、ずっと続いてきた。学級の小規模化を実現するには力が必要だと思うが、どのように実現しようと考えているのか」と。過去と同じ議論を繰り返していては、財務省が押し切る可能性が高いと感じたからだ。
萩生田氏は少人数学級の必要性についてひとしきり述べた後、こう言った。
「財布を持っている方が強いっていうのは、世の中的にはそうかもしれませんけど、それに負けないために文科大臣になったつもりでおりますんで、しっかり戦ってまいりたい」
最後は文教族の実力者である萩生田氏と財務省の力比べなのか。萩生田氏は今月13日、「30人学級を目指すべきだと考えている」とさらに踏み込んだ。決着は12月下旬の来年度予算案の閣議決定の直前までもつれそうな情勢だ。水面下で続く激しいつばぜり合いから目が離せない。
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30人学級とは、児童が30人を超えれば2学級になるということです。現在は最低が20人クラスですが15人クラスが登場するわけで平均22~23人を意味します。これは学校の規模も小さくする方向に向かいます。
日本では、公立小中学校の標準規模は12~18学級、1学級の児童・生徒数の標準は現在40人(小学校1年生は35人)と定められています。いま進められている学校統廃合は、多くの場合、学校の「標準規模」(12~18学級/校)を目標に計画されていますから、1つの学校の児童・生徒数が480人~720人というような世界に例を見ない大規模校をめざしていることになるのです。
財務省の「学校規模の最適化に関する調査(2007年7月)」によれば、1校12~18学級の中学校が2倍以上に、小学校は1.3倍に増えています。19学級以上の小学校も数は多くありませんが3倍(2校→6校)に増えています。
財務省は、こうした結果、「小中合計で約170億円の効率化」ができたと「成果」を強調し、今後、地方自治体や国をあげて学校統廃合を促進させる方向を提起しています。学校規模を小さくする世界の流れに逆行し、学校経費の効率化のため学校規模を維持もしくは大きくしようというのが、いまの日本での学校統廃合の動きなのです。人が多いほうが競争の励みになる等という古臭い競争原理まで持ち込んで統廃合を後押しする動きすらあります。
諸外国で学校規模が小さいのは、それだけ教育効果が高いからです。「小さな学校」「小さなクラス」ほど、学習意欲や態度が積極的になり、子どもたちの人格形成・人間的成長にとっても効果的であることが実証されています。学校・学級の規模と教育効果の関係についての研究報告としては、学校の規模が小さいほど教育効果が高まることを実証した「コールマン報告」(1966年)学級の規模が小さいほど教育効果が高まることを実証した「グラス・スミス曲線」(1982年)などがあります。また、WHO(世界保健機関)は生徒100人を上回らない学校規模を勧告しています。
これからの時代、単なる知識の詰め込みだけの受身の教育では役に立ちません。知識を応用し、いろいろな課題解決に取り組む力、集団の中で自らの能力を主体的・積極的に発揮する力が求められます。そうした力を培うには、いきなり大集団ではなく、みんなにチャンスが回ってくる小さな学校の方が有利です。教育効果があがる要因は、学校や学級規模だけではなく、学校の権限や教員の力量など様々なものが関係してきますが、日本では児童数の少ない北陸や東北の教育、世界では北欧の教育が成果を上げていることからも、小さいだけが全てではないが比較的有利らしいというのは納得できそうです。
※ OECD「図表で見る教育2013年版」 より作成。
特支学校設置基準
特支学校設置基準策定へ請願書県議会に7団体国などに提出求め/茨城
2020年11月17日【毎日新聞】
教室不足が課題となっている特別支援学校について、全国障害者問題研究会茨城支部など7団体は16日、県議会に対し、学校の設置基準の策定を促す意見書を国などに提出するよう請願書を提出した。特別支援学校には小中学校や高校で定められている設置基準がなく、過密化しても法令違反にならないなどの問題が指摘されている。
請願書では、県内の県立特別支援学校で89の普通教室が不足しており、学級が100クラスに及ぶ学校もあることを指摘。教室確保のために音楽室や美術室などの特別教室を転用したり、教室をパーティションで分割したりして対応しているという。
県立つくば特別支援学校の教員で研究会の寺門宏倫支部長は「特別教室がなくなることで、体験による学びがないがしろになっている。コロナ禍もあり少人数学級の実現は切実な課題だ」と話す。NPO法人「茨城の専攻科を考える会」の船橋秀彦理事長は「障害のある子どもがいる一部の親だけでなく、県民の皆さんに現状を知ってほしい」と話した。
文部科学省の審議会は9月、設置基準を設ける方針をまとめている。請願書は県議会の委員会が審査し、本会議で採択・不採択を議決する。団体は「請願の採択により、文科省の一歩を確実なものにしてほしい」としている。【韮澤琴音】
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特別支援学校では児童生徒の在籍数の急増に学校の新増設が追いつかず、全国各地で過大・過密が進んでいます。過大・過密が進んだ学校では、音楽室などの特別教室が普通教室に転用されたりしています。これは、他の全ての学校にある設置基準の法律が特別支援学校にないことが問題の背景にあります。政府も法律が必要だとやっと認識し始めてているようです。
子どもが減少しているのに特別支援学校の在籍者が増えているのは、軽度の高等部生と軽度の小学生です。前者は就労や将来の進路を考えて中学校の支援学級の進路指導が支援学校を選択肢に広げていることです。小学生の軽度の子どもたちは保護者が子どものいじめの懸念や手厚い指導を望んで、支援学校に途中転入するくらいなら就学を機に入学する傾向が増えてきていることも増加の原因です。
また、地域の小学校も特別支援教室に知的に遅れのない発達障害の子どもが入級してきて従来在籍していた中軽度の障害の子どもの対応が手薄になると、支援学校に転出してしまうことも原因として推測されています。
暑い!
京都、観測史上最も遅い夏日に111年ぶりの記録更新、25度超える「暑さ」
2020年11月19日 12:13【京都新聞】
朝から良く晴れた19日、京都府内各地は季節外れの「暑さ」となった。京都市では、午前11時57分に気温が25度となり、111年ぶりに観測史上最も遅い夏日の記録を更新した。
気象庁によると、正午までの最高気温は京都市で25度、京都府北部の舞鶴市と宮津市で25.7度。舞鶴市と宮津市も、史上最も遅い夏日となった。
京都市東山区の蹴上付近では、紅葉した木々の下、上着を脱いで手に持って歩く観光客の姿が見られた。
京都地方気象台によると、午前中は移動性高気圧に覆われて良く晴れたことに加え、朝鮮半島北部を東進する低気圧に向かって南から暖気が流入し、記録的に気温が上昇したという。
最高気温25度以上の夏日の最も遅い記録は、これまで京都市で1909年11月9日、舞鶴市で1957年11月11日だった。京都市は11月中旬では史上初の夏日となった。京都市の11月の史上最高気温は1923年11月1日の26.9度となっている。
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暑い暑いと暑がりのスタッフが言うので、「また暑い暑い言うて…」と温度計を見ると室内は27度!そら暑いわ。全員半そでになって過ごしました。この間、寒い寒いと布団から起きだせなかった子どもも今日は布団を蹴飛ばして早起きしたことだと思います。