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障害者雇用、東京は17年連続全国最下位 大企業に集中し、雇えぬ中小企業にペナルティーのいびつさ
障害者雇用、東京は17年連続全国最下位 大企業に集中し、雇えぬ中小企業にペナルティーのいびつさ
2022年3月4日 【東京新聞】
企業に義務付けられた障害者雇用の割合「法定雇用率」を上回った企業は東京都が30.9%で全国最下位だったことが、厚生労働省の昨年調査で分かった。全国平均47%を大きく下回った。法定雇用率が2.3%(従来2.2%)に引き上げられてから3月で1年。企業の本社が多い東京の障害者雇用は大企業に集中し、中小企業では雇えていない。(山田晃史)
政府は雇用を増やすために数年に1度、法定雇用率を引き上げている。昨年3月は引き上げに伴い、障害者を1人以上雇わなければならない対象企業の規模を従業員45.5人以上から43.5人以上に広げた。
東京労働局によると、東京の最下位は少なくとも17年連続。東京の企業に雇われる障害者は全国で最も多い約21万9500人。企業数では6.8%しかない従業員1000人以上の大企業がこのうち75%を雇う。担当者は「東京は大企業の従業員規模も圧倒的に大きいため、数少ない会社が大量に雇っている。中小の採用は厳しい」と説明する。
東京の企業全体の雇用率は2.09%で、同じく全国最下位。企業規模別で大企業のみ法定雇用率を上回った。都内の中小企業団体幹部は「比較的障害の軽い人を大企業が優先して採用し、本当に配慮が必要な人が取り残される傾向がある。中小で雇うのは設備や人員的に難しい」と明かす。
横浜市立大の影山摩子弥まこや教授は「不規則・長時間勤務の情報通信業の中小企業が東京は多く、障害者の雇用が難しい」と指摘する。
◆経営体力の格差…制度の限界
障害者雇用制度は、結果の出ない企業名の公表など「ムチ」をちらつかせて雇用を促す手法に限界が指摘され始めた。経営体力の劣る中小企業でも雇いやすいよう、専門家は短時間勤務者の雇用率への算入を認めるなど制度を柔軟化するように提案している。
「技術者の求人を出しても待遇や設備面で大手にかなわないので、なかなか来てもらえない」。東京都内のIT企業の人事担当者は現状を語る。従業員300人ほどで、障害者4人を雇う。法定雇用率の達成には、数人増やす必要があるが、採用競争は厳しく3~4年ほど不足が続く。
法定雇用率に満たない従業員100人超の企業は、不足分1人当たり月5万円の納付金が徴収される。さらに雇用状況の改善が遅れている企業には、労働局から勧告や指導があり、最終的に企業名が公表される。
担当者は「社名公表は恐ろしい。採用競争が厳しいので求職者に悪印象を持たれたくない」とおびえる。「中小向けの支援はあっても、原則、雇用後に助成金が出る。でも社内の環境が整っていないと求職者が来ない」と悩みは尽きない。
大企業はグループ内の単純事務作業などを集約し、障害者を専門に雇う「特例子会社」を設けることで雇用率を伸ばしてきた。ただ、障害者雇用に詳しい慶応大の中島隆信教授は「事務作業をまとめられるのは大企業だけで、中小では活用できない」と指摘する。
現状でも職を求める障害者の多くが就職できているわけではない。東京で求職者のうち就職できているのは3割程度で、中小での雇用拡大は急務だ。
法定雇用率は、直接雇用で週20時間以上働く人のみ算入の対象になる。中島教授は、在宅勤務などの障害者に仕事を発注した際に一定割合を雇用率に算入する「みなし雇用」や、就職が難しい精神障害者らの20時間未満の勤務も算入対象にすることを提案する。「今の制度は限界が来ている。多様な働き方も雇用率に算入して中小の雇用を増やすべきだ」と話す。
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一番の問題は、障害者の法定雇用人数分の1名当たりのペナルティー額が5万円と安すぎる問題と、そもそもペナルティーで雇用を伸ばそうとする貧困な発想です。1か月の最低賃金にも満たない罰金ですし、環境改善や担当職員を準備して障害者を雇う総経費と月5万円のペナルティーを比べればペナルティーがはるかに安いです。これは、最賃の高い東京都に限ったことではなく、全国の少なくない経営者はそう考えて普通です。東京が3割だと騒ぐよりこの期に及んで全国で半分程度しか達成していないことを記事にすべきです。
資金面で体力のある大企業だからこそ、コンプライアンスの順守ができるのであって、下請けで1円2円の発注価格にしのぎを削っている中小には、自分が生き残らなければ雇用も何もありません。障害者を雇えばその雇用に必要な費用を今のように期間限定ではなく永年補助してくれるなら話は別です。現存するペナルティーも補助もどっちつかずの中途半端な政策だから障害者雇用が進まないのだと思います。障害者雇用政策は昨日今日の政策ではなく、もう何十年も続けている政策です。
長きにわたって役所が立てた目標が達成できないのは政策の問題です。政策を見直し、ペナルティーから報奨制度に変えていく逆の発想が必要です。障害者の雇用は納税者を増やす政策です。つまり福祉に税を回すか雇用に税を回すかの違いです。雇用のハードルが高ければ福祉がその肩代わりをすると言うトレードオフの関係です。だったら、働くチャンスをみんなで作ろうとするほうが前向きです。多様性社会の実現にも寄与します。微々たる罰金とケチな助成金ではなく、抜本的な政策変更が求められていると思います。