みんなちがってみんないい
神経性やせ症
拒食症(神経性やせ症)は、異常な食行動を来す摂食障害の1つです。食べ物を極端に制限する摂食制限型と、たくさん食べてしまったあとに吐いたり下剤を使ったりする過食・排出型に分けられます。思春期の女性に多く見られるのは摂食制限型で、最近は低年齢化が進んでいます。
拒食症では、体重が少しでも増えることに極端な恐怖があり、十分な栄養がとれなくなってしまいます。そのため低栄養につながり、貧血、無月経、低身長などのほか、不整脈や低血糖によって死に至ることもあります。睡眠障害やうつ、自殺の危険もあります。
拒食症になりやすいのは、「努力家で優等生タイプ」「自己主張が苦手で不安や不満をため込みやすい」といったタイプです。進級や進学などの環境の変化、いじめや受験の失敗、失恋といった挫折などが発症のきっかけになります。食事の量が極端に減るほかに、「家族と食事をしない」「食べ物を細かく分ける」「食べていないのに活発に活動・運動する」「極端に体重が減ってきた、または体重の増え方が悪い」などが拒食症のサインです。サインを見逃さず早期に発見して、適切な治療を受けることが大切です。拒食症が疑われる場合は、15歳以下なら小児科を、それより上なら心療内科や精神科を受診します。
治療の柱となるのは、栄養療法と心理療法です。栄養療法は、栄養状態を改善して、健康的な体重に戻すのが目的です。低栄養で生命の危険がある場合は入院が必要になります。心理療法では、拒食という手段に頼らなくても人生とうまくつきあっていけるような考え方やノウハウを身につけさせます。
子どもの拒食症に対する心理療法では、極端な考え方や捉え方を修正する認知行動療法と、家族に子どもへの接し方を学んでもらい一緒によくなる方法を考えていく家族療法が広く行われています。子どもが拒食症になると、母親は自分の育て方が悪いと考えがちですが、それは間違いです。無理やり食べさせたり、不安をぶつけたり、食事や体型のことで注意したりせず、温かく寄り添うように見守ってあげます。家族だけで不安を抱え込まずに、医療機関を上手に利用し、医療者と一緒に解決策を考えていきます。
原始反射
赤ちゃんが産まれてすぐ、突然前触れもなくビクッとすることがあります。この動きは「モロー反射」と呼ばれています。
モロー反射とは、赤ちゃんが大きな音などの急な刺激に対して驚き、手足を大きくびくつかせ、何かに抱きつこうとする反射のことをいいます。オーストリアのエルンスト・モロー医師が発見した新生児特有の「原始反射」の一つといわれています。
赤ちゃんの顔を正面にして寝かせ、頭を支えて少し引き起こし、急に支えていた手を緩めると、赤ちゃんは誰かに抱きつき守ってもらおうと手を突っ張ります。本能的な反応なので、無意識のうちに行っているものです。モロー反射は、赤ちゃんの神経が未発達な生後4ヶ月頃まで見られます。この反応がなくなる頃に、首すわりなど首の動きが可能になるといわれています。
神経の発達過程の一つともいわれており、何度も繰り返しビクッと反応する赤ちゃんもいれば、気づかない程度の反応の赤ちゃんもいます。モロー反射は、赤ちゃんの意志とは関係なく反応するので、寝かしつけて布団に降ろしたときのわずかな刺激や、大人が気にしないような音でも反応してしまいます。それがきっかけで急に目を覚まし、大泣きしてしまうケースが多く、何度も繰り返すことに頭を悩ませる方も少なくありません。
モロー反射は、赤ちゃんが母親から離れないように探している仕草ともいわれ、咄嗟に手を伸ばしてもママが見つからないことで泣いてしまうという説もあります。そんなときは、お腹の中にいた頃のような、体を丸めた姿勢で抱きしめてあげます。落ち着きを取り戻して、再び寝てくれることもあります。
また、頻繁にモロー反射を繰り返し、続けて眠ることができないときは、おくるみを使うのがおすすめです。慣れないときは、少し大きめのバスタオルか、専用のおくるみを使うと良いです。モロー反射には個人差があり、手を伸ばしたまま声を出すなど、親が少しびっくりするほどの反応を見せる赤ちゃんも少なくありません。
モロー反射が激しいと、よく点頭てんかんや低血糖、頭蓋内出血を疑うことがありますが、親の手を掴めば治まったり、おくるみを巻いて落ち着いたりする場合はあまり心配がないといわれています。普段の様子が変わりなければ、様子を見ます。心配な場合は、1ヶ月検診などのときに医師に聞いてみると良いです。
点頭てんかんの場合、足を伸ばして手を上にあげ、体を曲げるという特徴的な症状が出ます。思い当たる反応がある場合や、それ以外で普段と異なる反応があったり、抱っこをしても治まらなかったりする場合は、小児科に一度相談します。
また稀ですが、モロー反射がなさ過ぎる場合は、新生児黄疸のひとつである核黄疸や、まったくない場合は鎖骨骨折をしていることもあるといわれています。
モロー反射をはじめとする原始反射は発達状態のバロメーターです。この点から、原始反射が強く残存している場合、脳機能への問題が考えられます。そしてそれが発達障害の兆候である可能性もあるといわれます。モロー反射が長く続くということは、外からの刺激に毎回反応してしまう、つまり刺激に対して敏感な状態が続くと解釈できます。そのため、以下の発達障害のような傾向が見られることがあります。
・音や光をはじめとする刺激に対する感覚過敏
・ADHDの症状がみられる(多動、不注意、衝動性)
・社会的未熟さ(新しい状況・環境への参加対応が難しい)
必ずしもモロー反射が長く続く=発達障害である、というわけではありません。しかし、モロー反射をはじめとする原始反射が長く続けば続くほど何らかの問題がある可能性が高まります。いざというときのために、日頃から子どもの動作をよく観察したり、場合によっては記録したりすることが大切です。
モロー反射とは0~4ヶ月で見られる原始反射の一種です。大きな刺激を受けた時に身体をびくっとさせ、両手を広げてしがみつくようにする動作は赤ちゃんならではのとても可愛らしい動作です。また、ただかわいい動作であるだけでなく、モロー反射をはじめとした原始反射は子どもの発達状態の一つの重要な指標となります。原始反射の始まりと終わりの時期や動作の特徴などで子どもの発達状態に問題がないか気づくきっかけになることがあります。
またこの原始反射を統合する運動を促すことで発達障害の症状の軽減を図ろうという民間療法もありますが、エビデンスは確立していません。ただ、この考え方は昔からよく似た発想での治療法がいくつもありますので、あながち無視はできません。要は運動によって正しい動きを作っていくことは身体の発達に良いことですし、不器用と言われる子どもたちが楽しみながら運動を学ぶはとてもいいことだとは思います。
危機管理
新型コロナウィルス騒動で、WHOや政府の初期対応への批判がメディアを賑わせています。WHOの事務局長の母国が中国の経済支援を受けた恩義から、非常事態宣言を遅らせたのではないかという批判、日本政府の渡航制限が他国に比べ緩いのは安全保障より経済を優先する国柄が出たのではないかという批判です。危機管理は決断力、リスク管理は計算力と言われますが、実際にはその両方が必要とされています。
「リスク管理」(Risk Management)の基本は、想定されるリスクが“起こらないように”、そのリスクの原因となる事象の防止策を検討し、実行に移すことです。リスク管理では、想定されるあらゆるリスクを徹底的に洗い出し、そのリスクが発生したらどのような影響があるかを分析します。そして、それぞれのリスクについて発生を抑止するための方策を検討し、影響度の大きさに従ってプライオリティをつけて、リスク防止策を実行します。つまり、究極のリスク管理は、想定されるリスクを予め抑え込んでしまうことと言えます。
一方、「危機管理」(Crisis Management)は、危機が発生した場合に、その負の影響を最小限にするとともに、いち早く危機状態からの脱出・回復を図ること、つまり必ず起きる事を前提とするのが基本となります。もちろん、防げる危機であればその発生を防ぐことが望ましいのですが、自然災害や外部要因による人的災害や事故などの中には、自助努力で防ぎえないものも多くあります。危機管理においても、リスク管理と同様に、起こりうる危機やそれに伴うリスクをリストアップすることが必須となります。しかし、危機管理の大きな特徴は、危機が発生したときに何をすればその災害や影響を最小化できるか(減災)、危機からの早期回復のためには何をすればよいかということが、検討の中心になるということです。
危機は「いつか必ず起きる」という大前提に立って検討を進めることが危機管理の第一歩です。不確定な低い確率で起きることを人は受け止めにくいものです。正常化バイアスと言って危機から目を背けるのは、人間の判断に起こりがちな心理だと言います。事故は自分のところでは起こらない、災害は他の地域で起こることだと思いたいのです。事故は起きる、災害は必ず来るという前提で事を始めるのがリスク管理を含めた危機管理です。そして、事が起これば情報の公開と思い切った早い決断が重要と言えます。
令和元年度保護者及び自己評価集計結果(公表)
今年度の保護者の皆様からの評価アンケートと事業所の自己評価の集計結果を報告します。
環境・体制整備では活動スペースが十分ではないというご意見が保護者から3割、職員から4割ありました。設置基準は満たしているものの、通常学校の利用者が増えて手狭になっているので、新事業所の立ち上げを考えています。また、職員の専門性については資格など保護者に詳しく紹介して周知したいと思います。
業務改善では、評価については第三者評価委員を委嘱していくことを検討していきます。研修については、正規職員が日曜日以外フル稼働しているのでシフト制導入によって週休二日制にしていくことや、当面は第4土曜を休所日にして自己研鑽できるよう検討していきます。
適切な支援の提供では、標準化されたアセスメントツールは知能検査をはじめ読み書き障害検査等を準備していますが、契約時の保護者との合意がなされていないので重要説明事項に加え保護者了解を得たいと思います。また、非常勤職員の方に支援計画などが十分周知されていない件については回議などで情報共有していきます。
関係機関や保護者との連携では、学校との情報共有は現場レベルで常時行っていますが、非常勤職員への周知が不十分なので文書で情報共有したいと思います。就学前や卒業後の連携については相手方からの求めがない限りは連携できていませんが、相談事業所とも協議して連携強化を検討していきます。地域の児童とは公園遊びなどで自然に交流している現状でよいと考えています。ペアトレについては契約内容にするのか希望制にするのかも含めて検討が必要ですが、事業所内相談支援加算月1回35単位では困難だと考えます。
保護者への説明等では、苦情処理の制度が契約時には説明しているが周知されていないようなので連絡帳を見れば制度が分かるようにしておくなどの工夫をします。会報は月刊、ホームページは営業日毎日更新へと改善し、昨年の2割から今年9割の方に評価を得ることができました。
非常時の対応については、昨年同様半数以下の低い評価のままです。今年度中にまずは非常時訓練を実施し、毎年2回の訓練とその報告を欠かさず行いたいと思います。職員レベルでは非常時・虐待・身体拘束・アレルギー・ヒヤリハットについてマニュアルによる周知徹底を図ります。
以上、これらの課題を改善するために職員一同努力していきたいと思います。保護者の皆さんの御理解御協力をよろしくお願いいたします。
令和2年2月15日
育ちの広場すってぷ職員一同
魅力的な声
表情豊かな歌声、深夜ラジオの心に染みる語り口……。ふと耳にした魅力的な声に、思わず耳をそばだてたことがあります。人の声は、私たちの心に思いのほか強く影響を与える。うっとりするような声に心が軽やかになったり、もっと聞いていたいと感じる一方、ゾワッとする声で不快感を覚えることもあります。影響するのは他人の声だけではありません。声は、自分の心とも密接につながっているといいます。
誰でも、その人本来のいい声を持っています。全身を使って深い呼吸をすると、体のゆがみや滞りが取れて、自然にいい声が出ます。そんな声が体の中に響くと、声を出すだけで全身が気持ちいいし、心も心地よさで満たされます。もちろん、いい声を聞いた相手にも心地よさが伝わります。
声は「体」「心」「呼吸」と直結します。いい声が出る体は凝りやゆがみがなく、呼吸も深いです。自分と相手を心地よくするので、人間関係のストレスも解消できます。しかし、実際にそんな声を出している人は少ないです。それは、私たちの体がいろいろなクセを抱えているからです。姿勢のクセ、動作のクセ……。体のどこかが常に緊張し、不自由にゆがんでいます。緊張を手放せない体は、それ自体がストレス源として知らず知らずのうちに気分を落ち込ませ、いらだたせます。
そして深く呼吸できない体が発する声は、詰まった感じで通りが悪いです。そんな声は、相手にも不快な感じを与えがち。会話は弾みにくいし、いい関係を築くのに余計な苦労がいります。いつも人間関係で悩むという人は、声の出し方の問題なのです。「声の響き」という実感をバロメーターにすれば、体の変化を自分で感じやすいです。今の声が普通と思っているから気づいていないけれども、滞りが取れて声がスコンと通れば気持ちいい事が実感できます。
いい声が出る体は、ベースに心地よさが宿り、気分が安定します。呼吸が深く、ストレスに強くなり、多少のことでは心が揺らぎにくいです。重要なのは深い呼吸とゆっくり吐く息です。そしてその声が、周りの人にも心地よさを広げます。まさにいいことずくめです。これが、子どもの支援には欠かせないのです。
城ガール
空前の大ブームを迎えている日本の城。各自治体が発表した2018年度の統計によると、有料入城者数が200万人を超えた城は、大阪城、名古屋城、二条城。これは統計を取り始めてから初めての数字で、その波に乗り遅れまいと、城を観光資源として観光客誘致を図る自治体も続々と名乗りを上げている模様です。
ここ数年、沸き起こっている世の中のブームをみると、その多くは女性たちが牽引しています。鉄道好きの“鉄子”や、広島カープが好きな“カープ女子”等々、元気があるジャンルには女性の大いなる関心が欠かせません。歴史関連のムーブメントをみると、いわゆる「歴女」、すなわち“歴史好きの女性たち”です。刀剣ブームは「刀剣女子」、神社仏閣の御朱印ブームは「御朱印ガール」と呼ばれますが、ついにこの流れが城にも及び、“城ガール”という呼び名が生まれるに至っています。実際、城でも若い女性の姿を見かけることが当たり前になりました。
昨年末に横浜で開催され、3日間で延べ約2万人が来場した城イベント「お城EXPO」。このイベントでトークショーを行った日本城郭協会理事の加藤理文氏も、「年々、会場に若い女性の姿が増えているような気がします。男性しか来なかった時代を考えると、隔世の感があります」と、女性ファンの増加に驚きを隠せません。
城をテーマにした、携帯アプリ「ニッポン城めぐり」はGPS(位置情報)を使い、訪ねた城を攻略していくソフトです。使用する16万人超が18年に訪れた城をランキング形式で発表しています。これによれば上位7城は、江戸時代までに建てられた天守が現存する城。冒頭の有料入城者数1位の大阪城はこちらでは19位に沈んでしまう。城好きになればなるほど、本物志向なのかもしれません。
戦国時代末期の日本には、およそ2万以上の城があり、柵で囲っただけの砦(とりで)のような城も含めればその数は4万~5万にも及んだともいわれています。なお、これらすべての城に、城の象徴である天守が築かれていたわけではありません。江戸時代には、幕府への遠慮から天守台を築きながらも天守は築かれなかった城も多く、実際に天守が築かれていたのは100城をわずかに超える程度でした。そんな日本の城ですが、現代までに大きくわけて3度の危機に瀕しています。
1度目は、江戸幕府を開いた徳川家康が1615年(慶長20年)に発した「一国一城令」。家康は諸大名に対して居城以外のすべての城の破却を命じました。これにより城の数は約170城に整理され、約60の天守だけが残されました。2度目の危機は、明治維新後の1873年(明治6年)に出された、「廃城令」。これにより、多くの城は天守などの建造物を売却し、城跡は官公庁用地や軍事施設に転用されてしまい、1891年(明治24年)までに40城の天守が破却されました。そして3度目が、太平洋戦争による戦禍です。開戦前には20城の天守が残されていましたが、空襲により水戸城、名古屋城、大垣城、和歌山城、岡山城、福山城、広島城の計7城の天守が焼失。戦後まで現存したのは13城、しかし、1949年(昭和24年)の失火延焼により、北海道の松前城天守が焼失してしまいます。戦後、松前城が焼失したことにより、江戸時代までに建てられた天守が現存するのは、わずか12城だけとなり、そこから、この12城を『現存十二天守』と呼ぶようになったのです。
今ではすべて「天守」とされていますが、江戸時代には弘前城や丸亀城は幕府への遠慮から天守とは呼ばず「御三階櫓」と呼んでいた。現存十二天守のなかで唯一の山城、岡山の備中松山城です。備中松山城は、大松山、天神の丸、小松山、前山、の四つの峰からなる臥牛(がぎゅう)山全域に築かれた城で、標高430メートルの小松山に二重二階の小ぶりな天守が建てられています。近年の城ブームの火付け役となった雲海に浮かぶ天空の城・竹田城と同じように、秋に気象条件(10月下旬~12月上旬の晴れた日の早朝がベスト)さえ整えば、備中松山城も天空の城となります。「日本のマチュピチュ」とも呼ばれる石垣しかない竹田城とは違い、備中松山城は天守が雲海に浮かぶ城となります。
この城ブームの土台を作ったのは、もっと細分化された門オタ垣オタ瓦オタ籠りオタという超マニアの方々です。彼らは、城そのものではなく曲輪と城門の構造や石垣の組み合わせぶりや、城瓦の発掘をしたり、日本中の城の籠城戦術を考えて城模型を組み立ててバーチャル籠城を楽しんでいます。全国各地に飛び回って、その城の構築の歴史的物理的バックボーンを含めて調べつくすなんてとても魅力的な趣味だと思います。
光明寺の梅が咲きました
先週は寒くて、縮こまった梅のつぼみが昨日の陽気で一気に開花です。梅と言えば天満宮、天満宮と言えば菅原道真、道真公と言えば飛梅伝説とその和歌です。
【和歌】東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ
【よみ】こちふかば においおこせよ うめのはな あるじなしとて はるはわすれそ
【意味】春風が吹いたら、香しい花を咲かせておくれ梅の花よ。主がいなくても、春を忘れてはいけないよ。
菅原道真が大宰府 (だざいふ) に左遷されるとき、大切にしていた庭の梅の木に上の一首をかけて去ったところ、その梅の木が道真を慕って、大宰府にまで飛んで行ったというのが飛梅伝説。また、その故事にちなんだ、太宰府市安楽寺の樹齢1000年の梅を飛梅といいます。
歌の威力を示す内容で、早くから『十訓抄(じっきんしょう)』などの説話集に取り上げられています。悲憤の死後、雷神となって天下を震撼(しんかん)させる道真の威力を、生前のできごとで印象づけるかっこうの材料となった伝説です。この伝説の背景には「飛び神信仰」があるといわれます。元来、神霊は空中を自由に飛び回り、人々の求めに応じて降臨すると考えられていました。その代表的なものが飛び神明(しんめい)です。伊勢(いせ)の神が各地に飛来してはその地の守護神となったという言い伝えがあります。このような飛び神信仰と道真の威光とが結び付いたのが飛梅伝説なのです。
クラウドファンディング
最近、クラウドファンディングで資金調達をする個人や団体が多くなってきました。ちょっと古い話では、2016年お笑い芸人キングコングの西野さんの絵本展への資金調達が有名です。入館料を無料にして子どもにも見て欲しいと寄付を求めたのです。目標金額180万円に集まった資金は49日間で4600万円でした。他にもカヤックで石垣島まで行くからと投資を求めたり、新しい機器を開発するからとプロジェクトは多種多様です。銀行のような金融業では相手にしてくれない内容は、その目的に賛同してくれる人から資金調達するという個人に開かれたネット時代の発想です。
クラウドファンディングは、インターネットの普及に伴い2000年代の米国で始まります。先駆的なサービスが次々と誕生し、市場は急速に拡大していきました。代表的なサービスには、『Indiegogo』や『Kickstarter』などがあげられます。また、日本で初めてクラウドファンディングサービスが提供されたのは2011年。その年の3月に『Readyfor』がリリースされ、6月には『CAMPFIRE』がリリースされるなど、日本で本格的な展開がスタートしました。
2011年当初は東日本大震災の年だったこともあり、新たな資金調達の手段としてだけでなく寄付をする際の新たなチャネルとして急速に浸透しました。その後、IT企業サイバーエージェントの子会社が運営する『Makuake』が参入、2014年の東京都知事選に『ShootingStar』で約740万円の資金を集めた候補者が出て話題になるなど、サービス事業者も利用用途も多岐に渡り市場拡大は続いています。現在はさらに多くの事業者が存在しており、クラウドファンディングの形式も基本的な「寄付型」、「購入型」、「融資型」、「株式型」、「ファンド型」の5つと最近新たに生まれた「ふるさと納税型」を合わせて6つのタイプが存在しています。(2019年4月現在)
ちなみに、「クラウドファンディング」という言葉自体は比較的新しいですが、不特定多数の人から資金を募り何かを実現させるという手法自体は古くから存在していました。海外では美術品などのアート分野で寄付を募る取り組みや、日本では寺院や仏像などを造営・修復するために個人から寄付を求める「勧進(かんじん)」などがその例です。
クラウドファンディングといえば、購入型や寄付型が広く知られていると思いますが、市場規模という点では融資型クラウドファンディングが大半を占めています。2017年度(2017年4月~2018年3月)の国内クラウドファンディング市場規模は、新しく生まれたプロジェクトの支援額を元に見ると、前年度と比べて127.5%増の1,700億円と推計されます。このように、手軽に参加できる購入型・寄付型の認知の広がりが寄与し、前年度と比べて倍増した延べ137万人の支援者が、合計15,321プロジェクトに支援しました。こういった市場拡大の背景には、元々よく利用されていた融資型がさらに拡大したこと、株式型クラウドファンディングのサービス提供が2017年4月から始まったことなどがあげられます。今後も地方自治体でのクラウドファンディング活用の広がりに加え、大手メディアや運輸業、製造業、物販業などからの新規参入、事業者と金融機関との事業連携などが進むことが想定されています。クラウドファンディングは、様々な団体・個人にとって資金調達の新たな方法として定着しつつあります。
では、このクラウドファンディングは従来の借金や投資とどこが違うのでしょうか。起案者と支援者の立場から考えてみると以下のようなことが言えそうです。
起案者のメリットとしては、従来の手段では資金調達が難しかったものを、クラウドファンディングによる調達可能性が広がったことは大きなメリットと言えます。また、市場に製品が出回る前にユーザーの反応を知ることができるため、テストマーケティングの場として活用することもできます。
デメリットは、クラウドファンディングの実施方式によっては、目標金額に達成せず資金調達できない可能性があります。
クラウドファンディングを始める前に、プロジェクト成立確度はどれくらいか、成立させるためにはどれくらいの人から支援を見込めそうか、それ以外に資金を集める方法はないか、といった情報を事前に調べておくことが重要です。
支援者のメリットは、クラウドファンディングでは、プロジェクトの公開前にクラウドファンディングサービス提供サイトから審査を受けているため、透明性のある仕組みの上でプロジェクトが公開されています。起案者のプロジェクトページや活動報告、SNSの発信を見ることで、一般的な通販サービスなどの取引よりも、作り手の顔が見えることにより双方向のコミュニケーションに繋がることもあります。
デメリットは、プロジェクトが目標金額に達成した際も、予期せぬトラブルでリターンが提供されないという可能性があります。国内の事例においても、商品が届かないといった支援者の声があがるケースもあるそうです。このようなケースに対応するため、「クラウドファンディング保険」というサービスも提供されています。プロジェクト支援時の不安を減らすため、安心してプロジェクトを実行・支援できる環境が整備されていく必要があると言えます。
「だいじょうぶ3組」 (2013配給:東宝)
5年3組の担任としてやってきたのは、生まれつき手足のない先生、赤尾慎之介。「フツーって何?」「1番を目指す意味は?」個性豊かな28人の子どもたちと先生は、様々な出来事を通して生きていくために本当に大切なことに気づいていきます。
「五体不満足」で多くの人の共感を呼んだ乙武洋匡さんの初の小説「だいじょうぶ3組」が映画化されたものです。赤尾先生役は実際に3年間の小学校教員経験もある乙武さん本人です。しかし、決してドキュメンタリー風ではなく、役者になりきって懸命に“演じている”ところがとてもいいです。赤尾先生の補助教員・白石優作にはTOKIOの国分太一さんです。教師の仕事を1度挫折したという役柄ですが、赤尾先生とともに子どもたちの問題に関わりながら、自分自身も成長していきます。
撮影場所が滋賀県にある豊郷小学校の旧校舎、ヴォーリスが設計した「東洋一の小学校」。京都アニメーション制作のアニメ「けいおん!」でも舞台なったモデルです。その美しさと格調の高さには目を見張ります。広い廊下、公園のような前庭、ウサギとカメのいる階段の手すり、教会のような講堂etc。そこで繰り広げられる、オーディションで選ばれた子どもたちの自然体の演技が、何ともほほえましく見る者の心を温めてくれます。
金子みすゞの詩「わたしと小鳥とすずと」の学習で、赤尾先生の配ったプリントにはこう書かれていた。「私は〔 〕だ(できない)けど、〔 〕なん(できるん)だよ。」自分はそれなりの能力とよい面を持った大切な存在なんだという自尊感情の確認。現代の日本の子どもたちはこの自尊感情がとても低い傾向にあるといいます。みんなちがって、みんないい。「感動ポルノ」に気をつかうより、このメッセージのほうが百倍説得力があります。
ネットフィルター
【2020年2月8日(土)京都新聞】
インターネットを通じて性犯罪被害に遭う子どもが増えている。被害の予防やネット時代の性教育を考えるため京都新聞社は昨年12月、子どもの性と会員制交流サイト(SNS)などの問題について意見や保護者からの悩みを双方向型報道「読者に応える」の友だち登録者などを対象にアンケートした。SNSなどの利用に大人の目が行き届かないことへの不安や氾濫するゆがんだ性情報との向き合い方に戸惑う声が目立った。
アンケートは子どもの性とネットに関する悩みを5項目から選択する1問(複数回答可)と、意見や疑問を記述する1問。京都府内を中心に345件の回答が寄せられ、内訳は64%が保護者、2%が教員、34%がその他だった。
記述は130件の回答があった。「ネットの法規制をしてほしい」(中1女子生徒らの母親)「過激な性情報に触れなくて済むよう子ども専用の端末を作るべき」(年長女児と小4女児の母親)など規制を求める声がある一方、「臭いものにふたをするのではなく、性情報との向き合い方を教える方が大切」という意見も複数あった。
性教育に携わっているという回答者は「大人が十分な性教育を受けていない」と指摘。50代教員は「幼児期から年齢に応じた性教育が必要」と記していた。
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すてっぷの利用者もスタッフもネットは毎日利用していますが、Webや動画のフィルタリングシステムが稼働しています。性描写や暴力描写等を自動的にカットしてアクセスできない仕組みです。
フィルタリングシステムは事業所設置のルーターを管理する「i-フィルター for BUFFALO」が稼働しています。2年間で6千円程ですから1日10円もかかりません。他にもアイ・オー・データの「ファミリースマイル」があります。料金はルーター購入後最長5年無料です。これらのシステムはネットの時間制限もできます。外出先での通信キャリアも利用する子どもの端末管理がしたい場合は「i-フィルター 6.0」(端末一台1日12円)等があります。
親や地域施設はこうしてインフラを整備しますが、一方で、プログラミングや道徳の時間を使って、教育を進めるのは学校の役割です。学校職員が良く知らないから教えられませんというのは、もう時代に通用しません。