今日の活動
「わたしもできたよ」
すてっぷでは、設定遊びとして室内の集団遊びに取り組むことがあります。多くは、順番交代で行いながら、得点を競います。ボールダーツや弓矢ダーツといった市販のおもちゃを使ったもののほか、段ボールで作ったゴールを狙うボールシュートなど、手作りのものもあります。中には得点を競うのではなく、ボールを当てたところに分割の絵を貼り、みんなで一枚絵を完成させる協力型のものもあります。これらの中から選んだり、新しく作ったりして、メンバーに合うものを準備して取り組んでいます。
支援学校小学部のRさんは、この集団遊びに参加し始めたところ。今月は「ワニワニパニック」に取り組んでいます。「ワニワニパニック」は職員がワニを操作し、子どもは仕切りの穴から飛び出してくるワニにピコピコハンマーを当てる遊びです。やったことがある子は慣れた手つきで、ワニをピコピコ叩いていきます。初めての子でも、「ねらう」「たたく」といったシンプルな活動のため、初回から、笑顔でテンポよく叩ける子も少なくないです。ところがRさんは、何度も回数を重ねても、そっぽを向いて近づこうともしません。Rさんは初めてのことが苦手だから、少しずつ取り組めるようにしていこうと職員で話し合いました。
そこでまず、参加するだけでいいというところから始めました。離れたところにいすを置き、そこに座って見ているだけでも、参加できてすごい!と褒めて、回数を重ねました。次第に友だちの活動の様子を見ることが出来ることが増えていったRさん。先日、他の子どもたちと一緒にいた職員がRさんに「こっち来る?」と誘ってみました。するとRさんは、みんなのところへ! いっしょに並んで座って参加することが出来ました。そして次のときも、みんなといっしょに座って待つRさんの姿が。そこで職員が、みんなと同じようにRさんの顔写真をホワイトボードに貼り、順番を示します。するとRさんは自分の番だとわかり、友だちから手渡されたピコピコハンマーを握ります。そして「用意スタート」の声で、飛び出してくるワニをしっかりとみて、ピコピコハンマーで叩けました!その瞬間にRさんの笑顔がこぼれました。「できたね!」の職員の声掛けにハイタッチを求めたRさんの顔は誇らしげでした。
初めてのことが苦手なRさんに、最初から全部参加させようとしても、できなかったで終わり、失敗体験を積んでしまうことになります。そこで取り組みを細分化し、最初の課題は達成しやすいもの(今回で言えば見ているだけでOKにする)から始め、それができたら次の課題は少しずつ高めていくという「スモールステップ」で、Rさんは最終的に「ワニワニパニック」に参加できるようになりました。できることを増やすことと、成功体験を積み重ねていくことが、成長の両輪になると考えています。