今日の活動
プログラミング学習
今年度より、小学生を対象にプログラミング学習に取り組んでいます。プログラムソフトは、学校でも使うスクラッチです。スクラッチ(Scratch)は、マサチューセッツ工科大学(アメリカ)メディアラボによって開発された、8歳から15歳の子供向けプログラミング開発環境です。
通常、プログラミングといえば構文、アルゴリズムを覚えながらひたすらキーボードを叩いてコードを書いていきます。しかし、プログラミング自体未経験な子どもにとっては、このような作業は覚えることが多く、学習の難易度が高いという問題があります。そこで開発されたのがスクラッチです。
スクラッチでは、命令が書かれたブロックを組み立てながらプログラミングしていきます。操作はドラッグ&ドロップが基本で、キーボードを使うことはありません。また、プログラミング言語特有の構文をいちいち覚える必要がなく、難易度が低いので子どものプログラミング教育として人気を集めています。
すてっぷでは、3人程で学習会をしてますが、自分のプログラムは真剣に作るが人のプレゼンは全く聞いてないとか、取り組み方が3人3様で面白いです。スクラッチは学校でも取り組んでいるものですが、プログラミングの難易度に合わせたカリキュラムまでは提供されていないので、それこそ実施機関の職員の指導力量が試されます。すてっぷでも、子どもたちと遊びながらカリキュラムを整えていきたいと思います。
当事者(小6)支援計画面談
1年のうちの前半が終わり後半が始まりました。6年生にとっては1~3月は移行期ですから、12月までを目途に中学移行前の6年生の時期の過ごし方を考えていく必要があります。すてっぷでは、通常学校の6年生は卒業です。その理由は、通常学校の中学での生活パターンは小学生と変わりますし、遊びや趣味のニーズも違います。また中学生は学習を中心に据えた生活に変わっていくからです。
すてっぷでは、以前は必要に応じて行っていた、6年生の支援計画会議への参加を、今年度より企画しようということになりました。中学でどうなりたいのか、そのために小学校の最終学年で何を目標にするのか、職員の支援計画の提案も聞きながら6年生にも考えてもらう機会です。保護者とともに話し合い、夏と冬に実施して中学の支援につなげていけたらと思います。何よりも、「私たちの事を私たち抜きで決めないで(Nothing About us without us)」が権利条約の根っこですから大事に扱いたいと思います。
以前にも、小学生の先輩から「俺ら障害があるからここに通所しているのやで」という発言を聞いて、「えー俺障害ないし、違うしー」と真剣に驚いていた様子(障害告知のタイミング: 2019/08/2)を書きました。自分とは何者かを考える時期に入っていく彼らには、学習の事だけではなく、学習も遊びも生き方も一緒に考えていくもので、切り離せないものだということを伝えていきたいと思います。そして、支援を享受してうまく生きていく方法を掴むことこそ、自分を生かす方法だという事に気付いてほしいと思います。
田んぼの田
田んぼからカエルの鳴き声が騒がしくなってきました。「田んぼの田」という鬼ごっこ遊びで職員から報告がありました。この遊びは、鬼に捕まらずに田んぼの田の文字の4つの四角部屋を通り抜けたらセーフと言う遊びです。鬼は十字の線の上しか動けません。鬼にタッチされたらその人も鬼になり、鬼同士で協力し合って移動する他の子をタッチしていきます。
この遊びをせっかく高学年が提案したのに、低学年の子どもやASDの子が面白くないということで、高学年が不貞腐れていたという報告でした。鬼ごっこはどの子も好きなので田んぼの田ものってくるかなと職員も思ったと言うのです。この遊び簡単そうですが、低学年やASDの子には難しいのです。今まで逃げていたのに、タッチされたら鬼になるのです。視点の転換の難しさのある低学年児やASDの子どもの場合、1ターンのゲームの中で役割が入れ替わる遊びは立場の切り替えができず「面白くない」のです。
鬼ごっこならなんでも面白いだろうと大人は思いがちです。子どもによって食いつきが違うのは、この役割の入れ替わりのある無しが大きく影響しています。役割交代があるから楽しい高学年児・非ASD児が、これおもろいでと示してくれたのですが、この場合は「まだ、面白さがわからんから、交代のない遊び考えてよ」という職員の支援が必要です。
お忘れ防止チェックリスト
以前、小学生の帰りの忘れ物が多すぎるので、(お帰り準備表: 06/11)に取り組んでいると書きました。4名中3名は事業所に物を忘れることはなくなったようです。まだ送りの車の中に水筒を忘れる輩がいるので、「降車チェックリスト作ろうか?」と聞くとそこまでは勘弁してくれとのことでした。ところがQ君だけ忘れ物がなくならないのです。
Q君はこれまでそんなに忘れ物が多い子ではなかったのですが、このチェックリストの取組が始まってからかえって忘れ物が増えているのです。「ひょっとしてQ君、チェックリストのボックスにチェック入れるだけの行動と勘違いしてないかな」と職員に聞いてみました。職員は「まさか」という顔をしながらも、Q君ならあり得るかもという話になりました。
Q君は、新しい行動はすぐに模倣して覚えるのですが、意味を共有することが難しいです。そのため、誤解や勘違いが多く周囲とのトラブルもおこります。このチェックリストもチェックボックスにレマークを埋めるだけの行為として理解しているかも知れません。もしも、そうなら今までの帰りのルーティンにチェックボックスを埋めると言う行動が増え帰りの行動が余計に煩雑になって忘れ物が増えているとも考えられるのです。
普通は見たらわかるだろうという場面も、場面の意味理解が苦手な子どもには、何故取り組むのかという理由と合わせて、ひとつづつ行動で教えていく必要があります。チェックリストも使い方を丁寧に教え、できたら褒めるという支援が必要です。
禁止型か提案型か?
Pさんは、手すりやガード用の鉄パイプにぶら下がったり滑り台のはしごを反対側からぶら下がるのが大好きです。ただ、心配なのは低緊張の子どもの場合、落ちた時に尻もちをつくと脊柱から頸椎に衝撃が大きくかかり、怪我につながりやすいことです。そうした理由で、Pさんが落下しないように安全に気を付けて欲しいと職員にお願いしたのです。
「気をつけてみてね」とお願いされた職員は、怪我をさせてはいけないと「危ないからそんなことしちゃいけません!」と注意をすることになります。していけないと言われれば言われるほどしたくなるのが子どもの常です。そして、昨日も書いたように、していいことに大人は注目しないが、してはいけないことに大人の注目が集まると気が付きます。そうなると「ちっとも言う事を聞かない子」になるのです。
機能的コミュニケーションの苦手な子どもに「~してはいけません」は百害あって一利なしがセオリー1です。していいことを「~しましょう」と伝えて、実行したら「えらいね」「良く切り替えたね」とほめちぎって注目するのがセオリー2です。
でも、昨日も書いたように、大人の注目を集める方法を大発見したPさんが、そんなやすやすとこちらの指示に従うはずもありません。大事なことは、こんな遊びをしましょうとPさんが好きな固有(筋肉)覚刺激系の力を入れるロープ遊びや坂遊びを開発してみんなで一緒に遊んで楽しいねという経験を積むことです。新しい遊びは教えるために大人が注目していますから一石二鳥です。子どもを「見てね」というのは、監視したり禁止すると言うより、そこに向かわないように新しい遊びを作って一緒に遊ぶということです。もちろん目を離さないで安全を確保する労力は同じですが、禁止型よりも提案型の方が子どもと仲良くなれます。
逃げる子
注意喚起行動については何度も掲載し、この予防方法は機能的コミュニケーションのトレーニングが有効と書いてきました。しかし、言うは易し行うは難しです。今年も利用者の注意喚起行動が生じています。新入生のOさんは、喃語様の発声はありますが機能的なコミュニケーションができません。でも、視覚的な認知は優れていて、構造化された環境では自分がすべきことを理解できます。通所して荷物を置いたり、外から帰って来て手洗い行動などルーティンな行動も教えれば正確にできます。
ところが先週頃からたて続けに注意喚起の逃げ出し行動が始まりました。担当者の視線が外れたとわかるとその場から逃げ出すのです。逃げる行先を考えているわけではありません。追いかけてくれるのを期待した注意喚起行動です。これは、大人に気持ちが向いてきている成長の証拠でもあるのですが、表出言語がない場合に起こりやすい行動で、長い人は思春期くらいまで続く人もいます。こうした不適切行動が起こる前に適切な要求方法を教えられれば良かったのですが、間に合いませんでした。
子どもと長く付き合う人には「本人の言いたいことはだいたいわかるから」となかなかトレーニングの必要性に気付いてもらえません。大事なのは、受け手が子どもの要求を理解することではなく、本人自身が言葉でなくても伝わって便利だと感じて使ってくれる本人側の伝達手段なのです。玩具で遊ぼう・ブランコで遊ぼうと伝えられたら、逃げる必要はないのです。ただ、逃げる行動は遊ぼうと言う表現だけでなくて、子どもにとってはとても魅力的でエキサイティングな遊びですから、注意喚起行動とセットになるとそう簡単には消去できないです。でも体が大きくなってどこまでも逃げられるようになると魅力的だから仕方がないとは言っていられません。
大人と遊びたいときに逃げれば、大人が振り向いてくれる確率は高まりますが、戸外や道路では危険な行動です。室内でも外に逃げる方が大人のリアクションが大きいので強化されやすいです。しかも、分化強化されやすい(たまに逃亡が成功するから何度も繰り返す)行動なので、大人は四六時中注目せざるを得なくなり、更に悪循環を形成していきます。Oちゃんには、PECSを導入しましょうと御家族と話していた矢先なので、家族の方にもトレーニングを受けてもらい、取り組みを開始したいと思います。
かまって
Nさんが西山登りで、かまってほしそうに職員に関わってくるので、もうおねぇちゃんだし構わないでおこうとスルーしたそうです。そうすると道端で膝を抱えて固まってしまったそうです。
他にも、かまってあげないとストライキを起こす子がいます。かまってほしい理由はそれぞれなのですが、基本はうまく伝えられずに大人に「見て見て」アピールをするのです。「どうしたの」と声をかけ続けて欲しいのです。声をかけると、しばらく頑張るのですが大人が離れるとフリーズします。
応用行動分析的に言えば、大人の注目が強化子なのです。でも、15分程度坂道上がるくらいの山道で「見て見て」が始まると「自分で頑張り」となってしまいます。注目が得られないと困りますから、もっと注目を得られる行動が始まります。移動中に固まれば、否が応でも大人は注目せざるを得ません。大人が注目をやめればやめるほど注意喚起行動は強化され、バースト(爆発)します。
つまり、注目をやめる行動と見て見ての行動の力比べは「見て見て」が勝つに決まっているのです。山に子どもを置き去りにはできないからです。このような時の解決セオリーはトークンエコノミーなどの契約制です。最初は簡単なことで契約を教え、徐々に時間を延ばしたり、ご褒美のインフレーションが起こるくらい褒美を与えていきます。この時に、誉め言葉は強化子に裏付けられてセットになるので大事です。
やがて、ご褒美を得ること以外に自分だけでできたと言う成功経験が積み上がっていきます。成功経験を積み上げて行くことで自尊感情は育ちます。成功体験を積み上げればご褒美はやがて必要なくなり達成後の本当の誉め言葉だけで自信がついていきます。時間がかかりますが双方がウィンウィンの関係性を維持しながら注意喚起を消去する方法としては、これに勝る方法を筆者は知りません。
痛いの!
1年のM君が公園のスイング遊具を元気すぎるくらい揺らして、勢い余って落ちてしまいました。見ると腕の肘を擦りむいています。M君痛くないのと職員が聞いても次の遊具に向かっていきます。何ともないような表情で遊ぶM君をつかまえて水で洗ってバンドエイドをしました。その後も、M君は「ボンさんが屁をこいた」(だるまさんが転んだ)にあまりルールも分からないのに表情も変えずに参加していました。
「痛くないんすかね?」「ASDの感覚鈍麻?」「助けてが言えない?」などと職員で問答をしていました。家に電話をしてお母さんに聞くと「擦りむいたらバンドエイドを貼るまでこだわります」とのことでした。帰宅時間になり家まで送っていくと、M君急に顔をしかめて、「イタイイタイ」とお母さんに大アピールを始めたそうです。
帰ってきた職員が「やっぱり痛かったみたいです」と報告してくれました。職員には痛いと言う援助要求のスキルがなかったのかどうかはわからないのですが、お母さんを見て「痛いアピール」をするL君に、「外では頑張っているんだなぁ緊張して暮らしているんだなぁ」と、しみじみ思いました。頑張れ1年。
学校の学習と結びつく支援を! Y先生のじゃんぷ通信4
学校の学習と結びつく支援を! Y先生のじゃんぷ通信4
その1 「蛾(が)まいこんだ!の巻」
学びの広場じゃんぷは、西向日の閑静な住宅地で、桜の並木がきれいな街の中にあります。
それで建物のなかに 突然蛾が舞い込んでくることも。
職員は超びっくり・・・ 大騒ぎです。
ちょうどそんな頃です。
実は利用している小学2年生のK君は生き物が大好きで、以前から
「ぼくアゲハ蝶をそだてているんや」
「おばあちゃんの家に柚の木があって、その葉っぱでそだてているんや」
とよく話してくれていたのです。
駅からじゃんぷまでの道も、もうK君にとっては興味の宝庫です。
「きょう 木に蜜がついているのを見つけた!」
「花の中にありがいたんやで」
「蜜を触ったらぷにゅぷにゅしていた」
「でも臭おったらくさかった。先生も臭おってみて」
と先生たちや何人かの友達を巻き込んで楽しい会話になりました。
そんな日に思わぬ蛾の出現ですから、『桜の蜜→かえで→メープルシロップ→NHK番組の科学の里で作ってた』と話題は広がります。
こんな話が出てくるときはチャンスです。
理科の生き物の学習につながったりします。
国語の3年生の教材で「ハリネズミと金貨」というお話が出てきます。
「リスが木のうろから顔をだして」
クモが「おいらがあんだもの(靴下)をあげるよ」等の表現が出てきた時に読み書き障害のある子どもたちは困ってしまいます。
『木のうろこ』『木のうら』???
『おいらが あんたにあげるよ』???
職員が学校の教材の流れをつかんで、
じゃんぷの近くで「木の洞(うろ)」を見つけて写真を撮って見せました。
クモの糸で見事にクモの巣をつくっている写真を探しておきました。
それをみていた3年生のLさんは、
「あー そういうことね!」
と文とイメージが結びついて納得した顔になりました。
学校から帰っての宿題は、家庭にとってはとても大変な時間です。
そして、子どもたちの生活のほとんどは学校の学習が多くを占めます。
その学校の流れにそって、「わかった」「なるほど」と感じながら過ごすサポートが大きな力になります。学校や家庭での生活がスムーズにできる中で、伸びる力も出てきます。
学習支援をじゃんぷが大事にするのはそのためです。
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これまで「Y先生のアイデア通信」のタイトル改め「Y先生のじゃんぷ通信」と改題しました。じゃんぷでの子どもたちの様子や、学習障害を中心とした発達障害への支援アイデアを連載しています。
子どもの学びを支える親の会「すぷらうと」訪問記
困り感を持つ子どもの保護者のピアカウンセリング・サークル
子どもの学びを支える親の会「すぷらうと」6/12訪問記
日曜の朝10時、公民館に三々五々にお母さんたちが集まってきました。参加者は会長の山木さんら8人のお母さんたちとゲストの私たち2名です。最初は子育てに関わる公民館活動の報告がありました。その後、私たちの自己紹介と訪問の経緯を話しました。
放デイを経営している私たちのNPOでは、発達性読み書き障害に特化した支援が地域に必要だと感じ、専門支援の児童発達・放デイ「学びの広場じゃんぷ」を昨年秋に新たに開設。職員は特別支援教育や発達障害支援の出身で、学習障害の子どもや通級教員とのやり取りは多いが、乙訓の保護者と情報交換した経験は少なく、学習障害児の親の思いを知る機会を得たいと考えてきた。そんな時に新聞記事(学習障害抱える児童、タブレット支えに無事卒業: 04/03)で地元に学習障害児の親の活動があると知った。たまたま「すぷらうと」のアドバイスをしている坂根先生が教員時代の仲間だったので早速取次をお願いした。という経緯を話しました。
それから、参加された全てのお母さんから子どもたちの様子を聞かせてもらいました。みなさんとても話し上手で、何度もここで話されていることが良くわかりました。小学2年から中学高校生までの子どもたちとお母さんたちのこれまでの経験や苦労を聞きました。みなさんお話になるのは特支級入級時の様々な葛藤でした。そして、一堂にお話になるのは、登校渋りなどはなくなって今は安定しているが、落ち着けばそれいいのだろうかという悩みでした。
発達障害のある子どもたちの支援級への入級のほとんどの理由は、登校渋りなど通常学級での不適応からです。中には積極的に特別支援学級入級を希望する山木さんのご家族のような場合もありますが、多くは入級希望をしたわけではないが、子どもの安心できる居場所を作らなければ何も始まらなかったというのが共通の思いのようです。けれども、親の気持ちの中では釈然としない思いもあり、それを受け止めてくれるのが「すぷらうと」の一番大きな役割のように思いました。入級した後もその思いは進化と深化を続けており、一人で背負うには重すぎる思いが、聞いてもらう事で整理がつくこともあると言われます。
私たちも保護者支援で特に必要だと感じているのが、保護者同士のピアカウンセリング(以降略称「ピアカン」)です。しかし、放デイや学校職員の仕事の中心は子どもに対する支援です。よく、放デイや学校でピアカンを推奨する先進事例が紹介されたりしますが、ピアカンは当事者である親同士の営みですから、それを第3者が組織するのは簡単ではありません。親同士の自発的なものとは言うけれど、持続性のあるものを作るには必要な条件があります。
ピアカンを実施するには、ある程度の発達障害の基礎知識や、ピアカンのカウンセリングマインドが必要です。参加者の序列化などが生じて苦痛なものにならないように、これを支援するコーディネーターの存在も欠かせません。様々な条件をクリアするには、一事業者では難しく、「すぷらうと」のような自助団体が乙訓に立ち上がるのを待つしかないなと思って半ばあきらめていました。
ところが、「すぷらうと」は2016年すでにに立ち上がり5年間も長岡京市で活動を積み重ねておられたのです。山木さんの御長男が小学1年(現在中1)の時、ひらがなが全く覚えられず、親が必死になって手を押さえ、姿勢を正させて「鬼の仕打ち」をしていた時期があったそうです。全く効果が上がらず、別の方法を探して情報を集め、診断を受けたら、発達障害の一つで、読み書きが苦手な「学習障害」とわかりました。これは、親1人が「鬼」になるくらいでは解決できる問題じゃないと思ったそうです。そして、何より思いが共有できる仲間がほしかったのでこの会を作ったと言われます。
毎月の会合は、講師を招いた勉強会と、参加する親同士の情報交換会です。会を続けて課題に感じているのは、発達障害の理解を周囲にどう広げるかです。多動で、不注意で、姿勢が悪い我が子について、他の保護者から叱って正すように求められることも少なくないそうです。聴覚や感覚の過敏性。普通には見えない行動にも意味があるので目を向けてほしい。同じ家族の中ですら意見が異なったり、「何も問題ない」「大丈夫」と気休めの言葉に心が折たりする時もあるけど、思いを分かち合って前向くことで新しい絆を作ってきた「すぷらうと」は、この地域になくてはならない存在になっています。
この会の後、山木さんにインタビューをするのですが、話が盛り上がり過ぎて書ききれないので、機会を見てまた掲載したいと思います。今回の障害福祉等報酬改定でペアトレを児童発達や放デイで実施するように保護者1名800円程度のグループ相談加算が報酬に新設されました。ペアレントトレーニングを契機にして、高まり合った親同士でピアカンが始まれば、持続可能性が高いことは様々な調査研究で分かっています。「すぷらうと」のような自助団体が地域にあれば、ピアカンを求める親の居場所にもなっていきます。一事業所、一団体の力は小さいですが、お互いが連携しあい、共通の思いを束ねることができれば大きな力になっていくと思います。