すてっぷ・じゃんぷ日記

2023年4月の記事一覧

そのうちじゃなくて今すぐがいいの♪

最近Tiktokで「新しい学校のリーダーズ」の「オトナブルー」が流行していますね。Tiktokを知っている子ども達からちょくちょく話を聞くこともあります。タイトルはその曲の歌詞ですが、本記事の内容とはほとんど関係ありません。すみません。

子どもが「〇〇をしたい!」と遊びやゲームを要求した時に「宿題をしてから」「やることをやってから」と約束することがあります。このブログで何度も書いている応用行動分析(ABA)の理論を基に、「してほしい行動」にアプローチし、それを行動した結果として「良いこと」がある=強化としているのです。

ただ子どもの発達段階によっては「~~をしてから」ということ自体が難しいことがあります。特にASDの傾向がある子どもは「0(出来ない)か100(出来る)」しか見えていません。「今できない」=「できない」となってしまうのです。つまり「そのうち」じゃなくて「今すぐ」がいいのです。そういった子にどれだけ「後から出来るよ」と伝えても良い強化には繋がらないこともあります。

そういった子にはまず「したいこと」を思い切りさせます。「したいこと」がひと段落ついた後、ほんの少しの量でいいので「してほしい行動」を提示します。この約束が子どもがパニックになる前に提示できることが一番良いですね。

基本的なセオリーは抑えつつ、子どもによって支援の形を変えることが特別支援には必要な視点だと考えています。ただ公教育ではそれが薄まってきているように思えます。これについてまたY先生と話したのでそれも後日ブログに書く予定です。

がんばりすぎに注意!

新年度になり、子ども達は張り切っています。特に普段「宿題はやりたくない~!」と話している子が今じゃんぷに来ると「宿題するわ!」と言って黙々と宿題と向き合っています。

ただ去年の4月も同じような姿を見ました。筆者は去年じゃんぷに来たばかりだったので、「話に聞いてたより全然勉強するやん」と思っていたのですが、ある日突然宿題から逃げるようになったのを今でも覚えています。つまり、新年度は新しい環境の先生に良いところを見せようと張り切っているようです。

それ自体はとても良いことです。きっかけがなんであれ、苦手なことに対して向き合って努力することは素晴らしいです。ただ恐らく多動なことも相まって「頑張る」のコントロールも難しいようです。

学習障害の子ども達は私たちが思っている以上に学習に対しての苦手感が強いです。「やっぱり限界だ~」と感じてプツンと力が切れ、さらに出来ない自分に対してのネガティブイメージもあり、自己肯定感が下がっていきます。

子ども達が頑張っていることを止めることは出来ません。努力認めつつ、「休憩してもいいんだよ」と伝え続けていこうと思っています。「いつでも休憩してOK」と最初に伝え、休憩する場所を決めてしんどくなったらそこに行っても良い、というルールを伝えています。がんばるのもOK、休憩するのもOK、とある程度枠組みを作った上でそれを伝え、それぞれ自分のペースを掴んでほしいと思っています。ホップ、ステップ、ジャンプ!

単位換算定規

じゃんぷの学習支援で使っている道具の中に「単位換算定規」があります。これは面積・長さ・液量・重さ・体積の各単位を方眼上に表記されています。中央には数字の1と0が書かれた帯が備えられ、左右にスライドできるようになっています。例えば「1」を「km」の位置で止めると、長さならば「1キロ=1000メートル=10万センチ」と読むことができ、液量ならば「1キロリットル=1000リットル=1万デシリットル」だと分かります。4年生の算数で出てくる「ヘクタール」や「アール」など、普段子ども達が日常で聞かないような単位も、すぐ平方メートルに換算できる便利な道具です。

単位の換算は学習が苦手な子どもにとっては難関となることが多いです。定型発達の子どもでもややこしくなり、間違うことが多くなる問題なのですが、「単位が変わると数字が変わる、でも量(距離)は同じ」というのがかなりややこしいです。それがいくつも出てき、その時その時で100=1になったり1000=1になったりと混乱することも少なくありません。

この道具はその複数ある単位換算を一目で見てわかるようになっています。同時処理が得意な子どもにとってはぴったりな道具だと言えます。継次処理型の子どもでも一つ一つの単位を説明し、自分で操作して量(距離)が同じとわかると覚えることが出来る子もいます。

少しずつこういった教材が増えてきています。この道具自体もそんなに高くはないのですが学校で配られる算数セットに入っているのは見た事がありません。このような道具をどんどん使って子どもが学習をしやすい環境が増えていくことを願っています。

高学年だから!

タイトルの通り、4年生になったB君が「高学年だから!」と言ってくれました。

今まで一緒に低学年の友達と同じ場所で勉強をすることがありましたが、低学年の友達は勉強が終わるとブランコをしたり遊びに入ることが多いです。そのたびに「え~ブランコやってるやんズルい~」と漏らすB君。調子の悪い時は「ブランコしたいしたいしたい~!」と駄々をこねることもありました。

今じゃんぷに通っている子どもには「新しい学年になったら〇〇なことが始まります。〇〇な力をつけていきます。」と話しています。この4月に4年生になる子ども達には「高学年になります、4年生は難しいことにも挑戦してみようとする気持ちを育てていきます。低学年のリードをすることも増えていきます。初めてのことや難しいことに多く出会う学年です。」と伝えています。先日B君は今まで通り「ブランコしたいしたい~!」となりましたが、低学年の友達にまず順番を譲り、その子が自分よりも長い時間遊べるように自分の時間を少し減らす、と話してきました。理由を聞くと「高学年だからね!」と答えてくれました。

話をしっかり覚えており、それの通りに頑張ろうとしているようです。さすが高学年!かっこいい!

デジタル教科書 国語嫌いの味方

先日の朝日新聞の記事をY先生に見せてもらいました。以下が一部抜粋です。新聞を見ながら打ち込んでいるのでかなり省略します。ご了承ください。

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熊本・山江村立山江中学校 大瀬順子先生

「国語の教科書なんだからデジタルより紙でしょ」大瀬順子先生は、依然そう思っていた。だが、デジタル端末が「1人1台」となり、2021年度からは国語の学習者用デジタル教科書を使っている。今は「国語嫌いの子から嫌なイメージを払拭してくれる道具だ」と実感している。

文部科学省の昨年の調査では、公立小中学校の通常学級の児童生徒の3,5%が「『読む』または『書く』に著しい困難を示す」とされた。つまり40人学級に1,4人程度。しかし現場の実態としてはもっと多く、近年は増えていると感じている。「読み書きが苦手なため中学入学段階で国語嫌いで授業に集中できない生徒が一定数いるんです。」

中1国語『不便益」の授業では「便利のよい面」「便利の悪い面」「不便のよい面」「不便の悪い面」の4分割に整理し、授業を進めていく。これをデジタル端末上で行い、読み書きが苦手な児童生徒も取り組めるようにした。「紙の教科書だと、読んで見つけて、抜き出してという一連の作業が嫌で、作業をしない子が必ず出ます。思考以前に拒否してしまう。」と大瀬先生。そうした子も簡単に教科書の文章を切り貼りでき、何度も修正できて負担感がないため「生き生きとした表情になる」という

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今、全国的に「1人1台」の端末が学校から支給されています。読み書きの苦手な子ども達が自分の弱点を補いながら、学習を受けることができるようにタブレット等もツールがあります。実際にデジタル端末の先行導入をしていた学校で勤めていた筆者からすると、子ども達の考えや意見を全員のタブレットに送って共有できたり、植物の成長や観察を写真に残してそれを記録していくことが出来る等、授業する側としてもやるやすい部分がありました。(植物の観察を絵に描くのは根、くき、葉に注目する、発芽後の子葉の特徴を捉える等の目的がありますが、それもリアルな写真の方が子ども達にとってもわかりやすいでしょう。何よりもどうしても絵の上手さを気にする子どもも出てくるため、本来の授業の目的から外れてしまうことが多々あります。)

子ども達が自分にあった方法で学習に取り組むことが一番大事です。まだこういった新しいことに抵抗のある教員もいるようですが、時代と共に淘汰されていくでしょう。ICTを使った授業はこれからも発展していきます。子ども達が自分にあった方法を見つけ、それぞれのスタイルで学習に臨んでいけるようになってほしいですね。