すてっぷ・じゃんぷ日記

2020年8月の記事一覧

縦割り集団

子どもの縦割り集団の教育的効果については、多くの先達によって語りつくされています。しかし、今日では地域で生の縦割りの子ども集団を地域で見つけること自体が稀有な時代となってしまいました。学校の中では、人工的に兄弟学級やら交流やらを組織してますが、それも感染予防の昨今ではソーシャルディスタンスの名のもとに取り組みは希薄になっていると聞きます。

学童保育の中ではこの縦割りが、子どもの「管理技術」として利用される場合が多く「ジュニアリーダー」とか「リーダー会議」とか聞くとトラウマで「気分が悪くなる」という大人も少なくありません。後遺症の原因は子どもたちの遊びニーズに基づいた自然な自治ではなく、大人の介入が多かった所以かもしれません。

新しく入ってきた新1年のE君をボーリングゲームにどう迎えるかと言う話を中2のFさんと小6のG君で話し合っているのを目にしました。話の内容はあらかじめ誰が何をするかの役割分担です。普段は大人が仕切って話している内容ですが年少者が入ってきて自分たちで仕切りたくなったのだと思います。きっと達成感があったのだと思います。帰り際にG君が「話し合いができてうれしかった」と珍しく人との関係行動を振り返って気持ちが高揚したことを伝えてくれました。

 

ボーリング&外食

久々の外出企画でボーリングと外食をしてきました。ボーリングはバンパーをつけてのガーターレスですがそう簡単に得点は上がらないです。小学生なら100点そこそこそこです。でも、最初はレーンが壊れる!と思う位の投球がなんとかスムースに投げられるようになってきました。

投球補助スロープも借りることができたので、D君も自分でボールリターンストックからボールをスロープまで運んで転がすことができました。自立して転がせれば達成感は100倍です。

そのあとは、回転寿司で昼食。20皿も食べちゃう人や、牛カルビ寿司ばかりを6皿も食べちゃう人や、何故か寿司は頼まず巨峰シャーベット一点狙いの人やら、不思議注文も多かったですが、みな満足したようです。若干名消費税を読み違えて予算をオーバーする子どもがいたので、次回は消費税計算付き電卓を持参する予定です。

反抗?

スタッフが「D君は最近自我が芽生えてきたのか、おむつ替えようと勧めるとものすごく怒って反抗します」と報告してくれました。それはどんな時に起こるのか聞くと、音楽絵本を聞いている時や扇風機の羽の回転を見ている時だと言います。そりゃ、怒るでしょうね。

もう一人のスタッフが「オムツと絵本を示して、オムツ終わったらまた絵本していいよと言うと穏やかに受け入れる時もあります」と報告してくれました。それって、自我がどうこうと言っても解決しない問題だという事です。大事なのは見通しではないかなということです。

子どもが言う事を聞かない時の理由として自我の発達を理由にされる方がいますが、自我が発達したら指示に反抗するもので、子ども側の問題だと言っているようにも聞こえます。そうではなくて、指示する大人がこれまで、本人の見通しお構いなしに指示して、本人が何も言わずに従っていたのを、やっと本人が「?」と気が付いたという事です。

言葉が通じにくい彼には、オムツと絵本を順番に示してくれる人には無理やりではないことが分かり、穏やかに対応するのではないかということです。そして、この時期こそスケージュールやワークシステムを教えるチャンスでもあります。絵でなくても2段のBOXにオムツと絵本を入れて上から順に事が終わることを伝えるのです。自我と反抗は決してセット物ではありません。

 

自立課題

自立課題に多くの子どもが取り組んでいます。自立課題の報告で一番多いのが「Dさん ◇●△ができるようになりました」という内容についての報告です。こちらから聞かない限り最初から最後まで自立的に作業ができたかということはほとんど報告されません。スタッフの関心が自立課題の中身、つまりプットインであったりマッチングであったり分類であったり文字検索の出来不出来だからです。

自立課題は、認知レベルを上げることを目的にした課題ではありません。自立課題の目的は、将来、就労するにしてもしないにしても、人からあれこれ言われて作業をするのではなく、ワークシステムを整えて工夫さえすれば、一人で作業ができる人になってもらうためのトレーニングなのです。

よく、この人は重度だから横に人が寄り添えばいい、そしていつの間にか寄り添う事が重要だと本末が転倒して考えられるようになることもあります。重度の人でも思春期を境に自尊心が芽生えてきます。しかし、自分でできることがなければ自立に向かうための自尊心のエネルギーは、注目を集めようと不適切な行動で人の気を引いたり、一つ一つの課題が「できないかもしれない」と怖くなって大声を出して拒否したり暴れたりする行動に向かってしまう事があります。或いは、全てを人任せにして気力をなくしてしまったような姿を見せる人もいます。

自立課題で最も重要なのは3つです。いつ自分が課題に向かうかわかって始めようとする事。課題はどこまでやればいいか自分でわかる事。課題が終わったら自分で終了して次のやるべきことに一人で向かうことができることです。「一人で始め、一人で向かい、一人で終わって次に向かう」これができれば、その人のできることに応じて仕事量や時間は違いますが一人で成し遂げることができます。

スタッフに最初に話し合ってほしいことは、一人で始め、続け、終われたかどうかです。内容は自立的にできる内容であったかどうかが大事で、前より難しいものであっても一人でできなければその内容は不適切なのです。このワークシステムに適応する力さえ身につけば「ご苦労さま」「ありがとう」「よくできたね」とねぎらう事ができます。このような毎日があってこそ、初めて自尊心は育てられていくのだと思います。自立課題は、一人で自信をもってやれているかどうかが大事なのです。一人でできていない部分があれば、何故できなかったのかどうすればひとりでできるのかをスタッフで話し合うことが大事です。寄り添うというのはお互いが向かい合う関係ではなく、同じ方向を見て並んで歩む関係だと思います。

チューペットと山登り

休日プログラムになると夏の午前中は山登りをします。歩行不安定な人や低学年は麓の光明寺を散策します。山頂の「第2鉄塔」までは片道40分ほどかかりますが、たいていは中間の「分岐点」まで20分歩いて登ります。休憩を入れたら往復1時間程度の行程です。

山登りと言っても、「分岐点」まではコンクリートの作業道を上がっていくだけなので大したことはないのですが、汗をかいて登った後の山風が心地いいのを感じて欲しいです。と、子どもたちには勧めても「うざい」「暑い」「めんどい」と一蹴されます。

それでも、山登りの後のチューペットの味は子どもたちとも共有できます。キンキンに凍らせたチューペットを2つに折って分け分けし合って頬張るあの共感性は格別です。PAPICOのモソッと横に引きちぎる分割感よりチューペットのパキンと割れる潔さ、PAPICOの終始シャーベット感よりチューペットの最初のカチカチ感の方が、皆に愛されています。