2020年12月の記事一覧
カタトニア
J君に、大好物のおせんべいをメニューに示しているのに「おやついりません」といいます。どうも調子が悪いようです。顔色もよくありません。他の様子を観察すると、自立的なスケージュール行動はできていたはずなのに、その日はスタッフが誘導しないとなかなか動けませんでした。
J君にはカタトニアが時々出ます。カタトニアが出ているなと判断した際は、J君のタイミングで行動が切り替えられるように、いつもより本人と距離を取って待つようにしています。ただ、どれくらい待てばいいか、状況を見ていつ声掛けをするかは、本人の状態もあるしスタッフによって差があるもの事実です。
ASDにカタトニアの症状が出るのは、10代中盤の中学生ぐらいから20代前半ごろと言われ、期間も数ヶ月程度のものから数年間にわたる物まで幅広いです。カタトニアと思われる症状には、動作の停止、動作の遅れ、行動のやり直しなどが有ります。
飲食時の動作では、飲食の際に自分から動き出せずに止まってしまったり、摂取する動作が非常に遅く定められた時間内に食べられない事があります。本人のお腹の調子が悪かったり食べたくないのかと思い片付けると、「食べる」と訴え最後まで食べることもあります。場合によっては自分ではお皿から口まで食べ物を運べなくなってしまい、周りの大人が介助をして食べさせることもあります。飲食の遅れがあると時間内に食べ切れず、体重が減ってしまう事もあり注意が必要です。
室内の移動や屋外への移動、車に乗り込む際などに動けなくなったり、移動がとても遅くなる事があります。動けなくなってしまったときにカウントダウンや様々な声かけで促したりしても動くのが難しく、移動するのにとても時間がかかる事があります。自宅でも外出時には1時間ぐらい前から移動を促したりしても、学校のスクールバスなどに間に合わない事もあります。また、移動の際に部屋の敷居や段差などがあると、そこをまたごうとする行為で止まったり、何度もまたぐ動作をやり直したりする行動が見られる事もあります。
トイレで排尿の際に便器まで行きズボンとパンツを下ろしますが、そこで止まってしまい排尿をする事もパンツやズボンをあげる事もできなくなることもあります。また、本人は既に何度も行って理解している作業や動作にもかかわらず途中で止まってしまい、周りからの指示や促し、場合によっては体を押して前に進ませたりさせないと次の動作が行えなくなってしまう事もあります。
カタトニアは、指示をしても抵抗して嫌がる場合もある(周囲には嫌がっていることも伝わらない時がある)ので穏やかにかかわる必要があります。治療方法には薬(向精神薬等)による治療方法があります。カタトニアの原因や症状により治療方法や服薬する薬が変わってくるため、専門の医療機関での診断が必要です。