みんなちがってみんないい
不便を便利にするあゆみ
自閉症支援における構造化は、生活や学習のさまざまな場面で、その意味を理解し、自分に何が求められているのかをわかりやすく伝えるための方法です。「自閉症」は、「自閉症スペクトラム障害=ASD」を意味しており、知的障害の合併の有無は関係ありません。また、構造化のことを自立課題やスケジュールカードのこととしか理解していない方がいますが、構造化は机の上も、机の周りも、部屋の中も、生活の中で意味を説明しなければならないすべてのものに適用するのものです。構造化はカードや衝立などモノをさすものではなく、視覚による意味の伝え方です。
下図は、「必要な支援により成長を促すための一番の土台は、教育や療育の環境であり、その土台の上に特性に応じた工夫が、またその上に学習を支える学びがあり、この土台の上に学習内容が位置づくのだ」というものになります。このように、「視覚的に表現する」ことの効果は、わかりやすさにあるということです。ただし、視覚化は細かな情報を伝えにくい面もあり、何もかもを視覚化できるわけではありません。「自閉症教育の基本構造」は、自閉症教育というより「すべての教育や療育の基本構造」と考えても良いものです。
教育・療育における構造化の利点を言い換えれば、当事者にとって便利で快適だということです。
1) 支援を受ける側の方々が、理解しやすい、不必要な混乱をしなくてすむ
2) 効率的に学習するのを助ける
3) 安心して自信を持って学習、生活できる
4) 必要な情報に注意を集中しやすくする
5) 地域でできるだけ自立して生活する
6) 行動をマネジメントする
3)~6)で示していることは、構造化は教育や療育の場だけで利用するものではなく、家庭や地域社会、職場でも利用できる考え方と言えます。誰でも構造化された方が自立しやすいのは当たり前です。一人でも多く自立すればそれだけ生産量や消費量が向上します。だからこそ世の中はどんどん便利になっていくのです。人類の歴史は、いつも不便を便利にして新しい価値の創造や次の目標を見出してきたのです。
グレタ・トゥーンベリさん
9月23日にニューヨークの国連本部で行った演説が、大きな反響を呼んでいるグレタ・トゥーンベリさん。しかし、彼女が動かしているのは、温暖化問題への人々の関心や行動だけではありません。その強い意思と行動力は、「障がいとは何なのか」という問いを全世界に投げかけているようにも思います。彼女は、スウェーデン出身のグレタ・トゥーンベリさん(16歳)。地球温暖化対策を訴える行動が評価され、2018年3月にはノーベル平和賞にノミネートもされました。
彼女の呼びかけはシンプルです。「地球温暖化が私たちの生存を脅かす重大な問題ならば、どうして私たちは行動しないのでしょう」というものです。スウェーデンで総選挙が迫っていた2018年8月。グレタさんは、「気候のためのスクールストライキ」というプラカードを掲げて、ストックホルムの国会議事堂の前で座り込みました。ストライキは総選挙までの2週間、毎日続けました。その後も、毎週金曜日には学校を休んで、座り込みを続けています。彼女の行動はまたたく間に世界中に広がり、地球温暖化対策を求める大規模な抗議運動へと発展しました。
「#FridayForFuture (未来のための金曜日)」というハッシュタグと共に、欧米を中心に多くの若者が運動に参加し、その様子をSNSで発信しています。グレタさんは12月には、ポーランドで開かれた会議COP24(通称:国連気候会議)、2019年1月にはダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)で演説しています。
グレタさんは、アスペルガー症候群と強迫性障害、場面緘黙であることを公表しています。Twitterのプロフィールは「16歳のアスペルガーの環境活動家」です。アスペルガー症候群とは、知的障害を伴わない自閉症のことです。対人コミュニケーションが苦手、興味の対象が限定的、などが主な症状です。 しかし、グレタさんは「アスペルガーは病気ではなく、1つの才能。アスペルガーでなかったら、こうして立ち上がることはなかったでしょう」とFacebookに書いています。
「アスペルガーだからこそ、人とは違った視点で世界が見れるのです。もし私がアスペルガーでなかったら、そんな風に世界を『外側から』見れなかったでしょう。私のようなアスペルガーの人間にとっては、ほとんど全てのことが白黒どちらかなのです。私たちは嘘をつくのがあまり上手ではありません。(中略)私にとってこれ(地球温暖化)は白か黒かの問題です。生き残りの問題となればグレーな部分はありません」と言います。
「正直すぎること」もアスペルガー症候群の特徴の1つです。これは、コミュニケーションにおいては「空気が読めない」という欠点にもなりますが、「社会のルールや常識にとらわれず、思ったことをはっきり言える」という利点にもなります。グレダさんの「温暖化は深刻な問題なのに、なぜ私たちは行動を起こさないの」というまっすぐな問いかけは、「正直で」「白黒つけないと気が済まない」というアスペルガー症候群の彼女の個性からきているのかもしれなません。
一方で、グレタさんは障がい者としての生きづらさも語っています。「自閉症であることは、学校や職場、そしていじめとの終わりなき闘いです。それでも、正しい環境下で、正しく適応すれば、(自閉症であることは)スーパーパワーとなり得ます」とFacebookで語り、「アスペルガーは才能」「アスペルガーであることは私の誇りです」とTwitterに投稿しています。
9月病
長い夏季休暇が明け慌ただしい日常に戻るとき、変化に順応できず気分がふさいでしまうことを、欧米では9月病と言われてきました。日本でも、9月に調子の悪さを感じる人がふえ、9月病と言われるようになってきました。体の症状は、疲れが抜けない、過食(食べすぎる)、眠れない、過眠(眠りすぎる)、体や頭が重い、だるさがつづく、頭痛がする等です。心の症状は、気分がおちこむ、やる気がでない、元気がでない、楽しくない、悲しい、めんどくさい、心配になる、焦燥感(どうしていいのかわからない)、イライラしてる、けんかばかりする等です。大きく分けて、5月病の秋バージョンの「秋うつ」タイプと、夏の疲れからくる「秋バテ」タイプに分けられます。
秋うつタイプの9月病は、秋になるとなんとなく悲しい気分になったりする季節性感情障害(SAD)という病気があります。もともとの9月病はこのタイプで、日照時間なども関係して脳の働きが不調になるようです。秋うつタイプの特徴としては、気分が沈みがちということに加え、過眠・過食がみられます。秋バテタイプの9月病は、エアコンの効いた部屋での体の冷やしすぎが大きな原因です。秋バテタイプの9月病の特徴は、夏の疲れが蓄積された疲労感です。体温調整の乱れが原因のことも多く、夏の間に冷たいものを食べる習慣がついて胃腸の調子が悪くなっている人もいます。そして、両者に共通するのは自律神経の乱れです。
秋うつタイプの9月病の子どもの気持ちは、長い夏休みを終え、新学期が始まり、「早起きが嫌だ」「だるい」「夏休みの生活が良かった」などの思いがとても強くなってしまった状態です。秋バテタイプの9月病の子どもは、冷えが原因で、アイスの食べすぎだったり、涼しくなったのにタオルケット1枚で寝ている場合などです。共通する自律神経の乱れを正すには、規則正しい生活(睡眠・食事・適度な運動)です。でも、9月病で体調が悪いから生活が乱れているのですから、そう簡単には直せません。それでも、楽しい活動を朝方に用意する、お日様の下で活動する、ぬるめの風呂にゆっくり浸かるなど、体内バランスの正常化が何より大切です。そして夜中のブルーライト(PC等液晶の光)は脳の混乱の長期化につながりますので、何はともあれ、しばらく禁止してみましょう。眠れぬ人は無理に眠ろうとしなくていいので、布団に包まって癒し系の音楽を流すとか、それでも眠れぬ過ごしが辛いなら、落語や一人語りのオーディオブックをかけてみるとかして、酷使してきた視覚系を休めて聴覚系の入力に切り替える工夫をしましょう。ラベンダーの香りが嫌いでないならこれもオススメです。
秋のおすすめ講演会
スポーツの秋、行楽の秋、食欲の秋、読書の秋。秋には様々な講演会も開かれます。普段は講演会なんて行く暇がないのですが、秋にはちょっと出かけて講義を聞いてみませんか。きっといいヒントが見つかるかもしれません。
◆『内山登紀夫先生 講演会』
日 時: 2019年10月13日(日) 13:20~16:00
場 所: ドーンセンター 4F 大会議室(大阪市中央区大手前1-3-49)
内 容: 青年・成人期の実態調査から見て、大切なこと、必要なこと
これからの自閉症支援 現在から未来へ~切れ目のない支援、ライフステージを考える~
講 師: 新澤 伸子 先生(武庫川女子大学 教授) 内山 登紀夫 先生(よこはま発達クリニック 院長)
参加費: 一般 2000円、会員 1000円
定 員: 70名
締 切: 10月6日(日)
主 催: 自閉症スペクトラム児・者を支援する親の会オアシス
申込み&問合せ: Fax.06-4862-4158 E-mail Kinenjigyo@oasc.jp
詳 細: https://oasc.jp/pickup03/10月13日%E3%80%80オアシス講演会
◆『京都府自閉症協会50周年記念大会』
日 時: 2019年11月9日(土) 10:50~16:30(開場10:30~)
場 所: KBSホール
内 容: “わたし”を取り戻す いつか親業を卒業する日のために・・・
講 師: 上野千鶴子先生(NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長)
参加費: 無料
(祝賀会 平安ホテル 18:00~20:00(受付17:30~)参加費:5.000円(洋食))
定 員: 700名
主 催: 京都府自閉症協会
申込み&問合せ: http://as-kyoto.com/?p=1207
詳 細:http://as-kyoto.com/wp-content/uploads/2019/04/追刷50周年オモテ面.pdf
詳 細:http://as-kyoto.com/wp-content/uploads/2019/04/追刷50周年裏面.pdf
ラグビー・ワールドカップ
先週、ラグビー・ワールドカップが開幕しました。初のアジア開催ということもありたいへん盛り上がっています。日本はロシアに初戦勝利です。ところで、初めて観戦した人は、日本チームを見て「え?外人チームなの」と思った方もいたかと思います。ラグビー ワールドカップ 日本代表は31人中14名の外国出身者がいます。ラグビーの場合は国際ルールで、代表チームはその国の国籍を持たない外国人選手であっても登録が認められています。その条件は、出生地がその国、両親・祖父母のうち一人がその国の出身、その国で3年以上継続して居住していることです。このいずれかの条件に該当し、他国の代表選手になっていない場合、代表チームに入ることができます。ラグビーでは「国籍よりも実際にプレーしている土地」を優先するのです。
ナショナルチーム編成のコンセプトから言えばどうでもいいことですが、日本チームは14人のうち9人が日本国籍を取得しており、他国のチームより帰化割合は高いです。ヴァルアサエリ愛やリーチマイケルは、高校で来日して高校ラグビーや大学ラグビーでも活躍し、日本ラグビー文化を体現し、帰化もした真っ当な日本代表選手です。帰化してないトンプソン ルークや南ア戦逆転トライのカーン ヘスケスは長く日本で生活し、日本のトップリーグと日本代表合宿、代表戦を経験して日の丸を背負う覚悟と誇りをもって戦ってきたのです。ルークはさすがに年齢で無理にしても、他のみんなは次回のW杯目指して頑張ってくれるだろうと思います。
ところが、外人ばかりが目立って日本チームと言えないと非難する方がいます。しかし、他国チームでも同じくらい外国人選手はいます。サモアチームやUSAチームは日本チームより外国人が多いのですが、肌の色や顔つきが同じで目立たないだけです。故郷を離れて日本で戦ううちに日本が好きになり、文字どおり、体を張って日本チームの為に活躍してくれている代表選手の活躍を素直に喜びたいと思うのです。「国家への所属」よりも「チームへの所属」を優先する。ここがオリンピックや他のスポーツと違うところで、いいところだと思うのです。がんばれニッポン!
人手不足
放課後デイの仕事の休みは日曜日だけ、土曜も祝日も全て開所しますから、ほとんど開所日です。しかし、給与は中堅で年収400万程度です。民間の平均には違いないですが、土曜祝日の年間70日の出勤日は他の職種より勤務日が多いのでみなさん敬遠されるのです。最近は給与額だけでなく休日がどれだけあり有給休暇が取りやすいかどうかが就職決定の大きな条件になります。
年間休日が60日以下のこの事業は全く人気がないのです。人を増やせば休暇も増やせますが、人が増えないことには休暇も増やせません。このジレンマに中で「すてっぷ」は持続可能性の瀬戸際に立たされています。子ども関係や福祉の仕事を考えておられるお知り合いの方がおられましたら是非ご紹介ください。来年に向け少なくとも2名の新規採用が必要ですが、このままでは新規採用への応募は大変厳しいです。どうかお知り合いの方のご紹介のご協力お願いします。求人条件は左上の「求人情報」の内容です。
ロスジェネ
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“就職氷河期世代”の採用試験 約550倍の狭き門に 兵庫 宝塚
2019年9月23日 7時28分 NHK NEWSWEB
兵庫県宝塚市で「就職氷河期」世代を対象にした正規職員の採用試験が始まり、3人程度の募集に対し、1600人を超える人たちが受験しました。「就職氷河期」に希望どおりの就職ができなかった30代半ばから40代半ばの人たちを支援しようと、兵庫県宝塚市は、この世代から正規の職員を採用する取り組みを始め、22日に1次試験となる筆記試験が行われました。3人程度の募集に対し、全国から1635人が受験して、倍率はおよそ550倍となり、市は試験会場を急きょ3か所から10か所に増やして対応しました。受験した大阪市で非正規社員として働く36歳の男性は「大学時代の就職活動では面接に進むことすら厳しかった。いろいろな仕事をしてきた経験を生かしたい」と話していました。また、尼崎市の43歳の男性は「安定した働き方をしたいと思って受験した。住民サービスなどの仕事に就きたい」と話していました。宝塚市給与労務課の廣瀬義則課長は「予想以上の方に受験していただき、関心の高さ、支援の必要性を感じている。人生を切り開こうという思いを感じたので、これまでのつらい思いをぶつけてほしい」と話していました。筆記試験を通過した人は面接試験などに進み、11月下旬までには内定者が決まるということです。
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この動きは政府の就職氷河期(ロスジェネ)支援策の一環として始まったものです。今後各地の自治体で職員募集が始まります。ロスジェネの支援対象となるのは現在35─44歳で無職とパートやフリーターなど非正規雇用者およそ400万人程度が主な対象者です。ハローワーク、大学・職業訓練機関、経済団体等が連携する協議会を立ち上げ、対象者の把握、地域ごとの事業実施計画を立てるほか、ハローワークには専門部署を置き、人生再設計、就職アドバイス、リカレント教育の情報提供、人手不足企業への就職促進や情報技術等の能力開発等も強化すべきとして政府が方針化したものの行政版が上の記事です。ただ、550倍ってことは、氷河期より超ひどい倍率じゃないかと思う人は少なくないでしょう。1800の大小の地方公共団体が平均3人ずつ氷河期フォローをしても、対象400万人に対してわずかに0.13%の5000人です。しかし、時はあまりありません、20年後から40万人づつ前期高齢者になるのです。それまでにかけた年金が少なければ、到底生活はできず生活保護受給がどんどん増えていくのです。試算ではこのうち147万人が生保予備軍となり、自己責任と言ってかたずけられない、国家規模の問題なのです。
ただ、行政の職員募集だけでの達成は焼け石状態で到底不可能ですし、経済の回り方としても不健全です。今、人手不足の民間で給与を上げて、就労人口を増やすことで、経済は好循環を起こします。消費が上向けば、GDPも上昇し、緩やかなインフレも始まり、すべてが良い方向に動き出します。なのに、10月から増税です。増税と言うブレーキを踏みながら雇用拡大というアクセルをふかしているのです。
お彼岸
昼と夜の長さがほとんど同じ長さである秋分の日は、お彼岸の中日にあたります。例年9月23日ごろが秋分の日です。秋分の日は、1948年に公布・施行された「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ日」とされています。 戦前、秋分の日は「秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)」と呼ばれていました。秋季皇霊祭とは、毎年秋分の日に宮中で、歴代の天皇や皇族の神霊をまつる儀式です。その後、庶民の間にも徐々に広がり、戦後「秋分の日」と改名されました。
秋分の日の正確な日程は、国立天文台が作成する「暦象年表」に基づいて閣議で決定されます。そのため、必ず9月23日が秋分の日であるわけではありません。天文計算上、秋分の日は2044年まで9月23日です。(うるう年に限り9月22日)
お彼岸は年に2回あり、春分の日にあるお彼岸を「春彼岸」、秋分の日にあるお彼岸を「秋彼岸」と言います。「彼岸」とは先祖がいる「極楽」を指します。反対の「此岸(しがん)」とは私たちが生きている世界のことです。仏教では、彼岸は西に位置し、此岸は東に位置すると考えられています。春分の日と秋分の日は太陽が真東から昇り真西に沈むため、彼岸と此岸が最も通じやすい日と考えられました。
「暑さ寒さも彼岸まで」というように、お彼岸は季節の変わり目を感じることができる日です。農耕生活が中心だった時代、日本人は太陽を崇拝しており、気候が良いお彼岸は五穀豊穣を祈願する絶好の時期でした。春分の日は種まきが始まる時期で、秋分の日は収穫の時期です。そのため、春には収穫を祈り、秋には収穫を感謝してお供えをしたと言われています。昔からある日本の自然信仰と仏教の教えが結びつき、お彼岸は定着しました。
秋分の日には、家族でお墓参りや寺で開かれる彼岸会(ひがんえ)に行く方もいると思います。秋分の日は、お墓周りや仏壇周りの掃除をします。秋分の日のお供え物といえば「おはぎ」が定番です。実は秋分の日にお供えするおはぎと、春分の日にお供えするぼたもちは同じもので、名前だけが異なるのです。おはぎは秋に咲く萩の花にちなんで、ぼたもちは春に咲く牡丹の花にちなんで名付けられました。日本では昔から、小豆には邪気を払う力があると信じられていました。お彼岸におはぎやぼたもちを供えることにより、祖先への供養を行います。
EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocess...
名大、睡眠中に記憶消す神経発見 起床直前の夢、忘却に関与か?
共同通信社 2019/09/20
レム睡眠と呼ばれる浅い眠りの間に、記憶を消す働きを持つ神経細胞を発見したと、名古屋大の山中章弘教授(神経科学)らのチームが19日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。起きる直前に夢を見ても、すぐに忘れてしまうのは、この神経が働くためかもしれないという。夢には記憶を整理する機能があるとされるが、とっぴなストーリーのような副産物も生じる。山中教授は「脳は睡眠中に重要でない記憶を消し、次の記憶に使える容量を増やしているのではないか」と話した。
この記事をみて、「やっぱりそうだったかー!!」と驚く人は、トラウマ治療に深い関心がある人です。EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対して、科学的に根拠のある心理療法と言われています。また、他の精神科疾患、精神衛生の問題、身体的症状の治療にも、学術雑誌などに成功例が詳細に記述されています。とはいうものの、この山中教授のような実験結果ははじめてなのです。記憶を消すメカニズムがやっとわかりそうだという事です。
例えば、震災でトラウマを負った方は。不安なことがあると地面が揺れているように感じたり、自分の意志と関係なく当時の凄惨なシーンが蘇ったりするPTSDで苦しみます。そこでEMDRを使って治療を行います。対象者は一つのトラウマ(悩まされている恐怖体験)のエピソードを頭に思い浮かべます。治療者は対象者の顔の前に指を立て、腕を左右に振り、対象者はその指先を目だけを動かして見続けてもらいます。これで目の眼球は左右に動きます。基本的にはそれだけです。そうすることにより、トラウマ記憶がどんどんと変化していきます。そして、それにともなって、トラウマ記憶にともなう認知や感情、身体感覚も変化していきます。
1990年に発表されたEMDR。嘘だろうと最初はだれもが思いました。フランシーン・シャピロという人物はとんでもないエセ心理士だという人もいました。ただ、浅い睡眠時のレム(REM:Rapid eye movement:急速眼球運動)睡眠は記憶の整理をしているという仮説は広く知られていました。「眼球運動と記憶の理屈は合っている」と考えた精神科医や心理士がやってみるとうまく治療できたケースが多かったのですが、それがどうして有効なのか物質的な証拠が見つからなかったというわけです。そして今回、その証拠かもしれない神経細胞が見つかったというのですから、30年前のシャピロの仮説が証明できるということです。
科学は根拠から出発しますが、根拠が見つからないものもあります。むしろその方が多いのかもしれません。それでも人は直感と経験を頼りに実践を切り拓きます。そして、誰でも同じ効果が得られて長く持続できたものが生き残ります。これを一枚一枚はがすように説明するのが科学の面白さでもあります。
効果のでないスケジュール
放課後等デイサービスでは、絵カードを用いたスケジューリングが行われている事が少なくありません。しかし、これが多くの場合あまり機能していないのではないかと感じています。大人はある程度1日のスケジュールを頭にイメージして行動しています。ASD児にとってのスケジュールの必要性は大人のそれとは違います。ASD児の多くは『突然』だったり『変化』だったりに対処することが苦手です。そして、その不安に押しつぶされそうになりパニックを起こしたり、易刺激性(些細なことですぐに不機嫌になる)を発揮させてしまいます。予めスケジュールを立て、見通しを持ちやすくすることで『突然』や『変化』という『不安』を極力減らしていこうというものがスケジュールです。大切なのは『個別性』。見通しが持てず不安になる子どもへの支援としての『スケジューリング』は必要なのです。
しかし、折角作ったそのスケジュールが機能的に使えていない場合が多いように思います。ただ貼ってあるだけのスケジュール、子どもは毎回同じ繰り返しなので見向きもしていないスケジュールはよく見かけます。スケジュールの目的は、忘れたり漏れを無くす為に用い、円滑に生活を送っていくために必要なものです。放課後等デイや自宅・学校で行うスケジューリングが将来、社会人としてスケジュールを確認し仕事や友人関係を円滑に行っていくことに繋がっていくように取り組むのです。子どもの予定を支配するために、おとなしくしてもらうためにあるのではないのです。スケジュールを機能的に用いるというのは、将来役立つ形で用いるということです。
支援とは日々の工夫があって生きてきます。もちろん、支援作業をルーティン化して効率化することは仕事には欠かせません。だけど、意味のない支援になってしまっては元も子もありません。だから、子ども達への支援は常に、将来にも役立つことをイメージしておく必要があります。自閉症支援では『予防』という考え方を一番重要視する必要があります。かつて「言葉がわからなくても言葉をかけてあげてください」「少し様子を見ましょう」という鉄板のフレーズで地域で暮らせない行動障害の山を作った歴史を忘れてはいけません。子どもたちにとっての予防とは、大人になった時に生活しやすいスキルを身につけておくことであり、保護者の方の心配を極力減らすことです。全ての支援は子どもたちの発達に繋がり、適切な習慣づくりに役立って意味を成します。スケジュールの使い方については間違った使い方があちこちで散見されるので機会を見てまた書きます。
「障がい」
熊谷俊人(千葉市長)について昨日コメントしました。支援学校の子どもが水遊びを自粛しても、台風で止まっている電力や水道は復旧しない。意味のない自粛の呼びかけは控えてほしいというものでした。この考えと同じようなツイートが4年前にもありました。
熊谷俊人(千葉市長)
▼「障害者」とは「社会の障害」でも「身体に障害を持つ者」でも無く、「社会との関わりの中で障害に直面している者」という意味であり、私たちはその障害を一つひとつ解消していくことが求められている、と理解しています 。
▼その考えから、私は「障害」を「障がい」と置き換えることには反対です。「障害」という言葉が引っかかるからこそ、それを社会的に解消しなければならないわけで、表現をソフトにすることは決してバリアフリー社会の実現に資するものではありません。2015年5月20日
▼表記を変えるべきとよく言われて、それに対応する時間を本来の障害者行政に割きたいので、表現を変えても意味が無いと申し上げただけです。2015年5月25日
2011年に提出された障害者基本法改正案に「障がい」を盛り込むために、かつての鳩山由紀夫内閣が設けた「障がい者制度改革推進本部」は、差別解消のために表記を「障がい者」とすることを議論しましたが、有識者らからは「『障害』が広く普及している」などの意見が出され、合意には至らず、改正案には盛り込まれませんでした。しかし、この流れからあちこちの自治体で「障がい」表記が増えました。
この流れに一石を投じたのが、先述した熊谷市長のツイートなのです。ポリティカルコレクトネス( political correctness)とは、政治的・社会的に公正・公平・中立的で、なおかつ差別・偏見が含まれていない言葉や用語をさします。看護婦ではなく看護師、保母ではなく保育士、スチュワーデスではなくキャビンアテンダント等です。障害ではなく「障がい」表記の流れもポリコレ運動の一つと言えます。
市長の意見は、今回の自粛発言と同じく、その議論に差別・偏見をなくす効果があるのか?というものでした。ポリコレがどうこうと言う前に、政府として決着を得た話に、ふたたび市役所が時間と税金をかけて「害」か「がい」かと議論していること自体に役所の仕事として意味があるのかと疑問を投げかけています。
自粛はご遠慮下さい
熊谷俊人(千葉市長)が以下のツイートをしました。
『養護学校の生徒が水遊びしていることについて「災害の中、不謹慎」との苦情が入りました(その方は停電は発生していない地域にお住い)。 確かに千葉市内を始め、県内が停電・断水な中、不謹慎と思う方もいるかもしれませんが、自粛しても意味がありません。心を寄せて頂いた上で、自粛はご遠慮下さい。13:40 - 2019年9月11日』
風台風の影響を受けて、千葉県は未だに電力や水道が復旧していない地域が少なくありません。みんなで助け合おうという声掛けは大事ですが、災害時の被害が大きければ大きいほど、「みんな」を強調するあまり全体主義の危うさを感じさせる発信が時折見受けられるのも事実です。ただ、正面からその発言を批判するのは「返り討ち」に合う恐怖感があり足踏みをしてしまうのも本音です。市長の勇気ある発言に対して多くの人が共感を寄せました。災害時は社会的弱者への偏見が顕在化します。だからこそ、「みんな」で非常事態の言動には危機管理の観点からも敏感になる必要があります。
敬老の日
今日は、敬老の日。 毎年9月15日を敬老の日としていたものを、2003年(平成15年)から9月の第3月曜日にしました。兵庫県多可郡野間谷村の村長と助役が、お年寄りを大切にし、昔から伝わる知恵を借りて村作りをしようと、昭和22年(1947年)「としよりの日」が決められました。農作業も一段落して敬老会を開くには丁度よい日取りだったようです。これが全国的に広まって、「としより」という言葉の響きが良くないということで、「老人の日」となり、昭和39年(1964年)国民の休日として「敬老の日」が制定されました。
高齢者とは、日本の統計調査では65歳以上と定めています。家族に高齢者がいる世帯は全世帯の4割を超え、その中で高齢者の一人暮らしと夫婦のみの世帯をあわせた数が半分です。病気やけがをしている高齢者は半数、生活に支障をきたすほどの重症の人は2割程です。高齢者の世帯支出は、勤労世帯で月36万、無職世帯は26万ほどが平均支出です。全世代世帯の平均支出月額は29万ですから、若年世帯と同じくらいから経済的に余裕がある範囲に入リます。
65歳から74歳までの人を「前期高齢者」といいます。前期高齢者は、64歳までと変わらず国民健康保険や被用者保険の給付を受けることができます。高年齢者雇用安定法で、本人が希望すれば65歳まで働けるようになったため、定年後も同じ職場で働き続ける人が増えています。これからはさらに現役で活躍する高齢者が増えていきます。また労働人口が減る一方で、前期高齢者に含まれる65歳から69歳までの男性の約半数が働いています。
定年後も自分の居場所を見つけ、自立した生活を送ることが大切だと言われますが、大きなお世話です。高齢者ですらない宙ぶらりんの60歳以降はそう思っています。もう少しで、ゴールだと走り続けてきたら、勝手にゴールテープを後ろに移動された感が強いのです。だったら走る(就労する)前からそう説明してほしいと思ったのは筆者だけでしょうか。昭和30年代生まれの方は、60歳で定年だと言われつつ安い賃金で65歳まで雇用されることになり、寿命が延びているのだからその後も働いて当然だと言われるのは、どうもすっきりしないという人は少なくありません。
文明の進化とともに寿命が伸びることは周知のことです。年金掛け金が収入の2割で、年金月額が生涯平均賃金の5割を支払える釣り合いの取れる答え(年数)はひとつしかありません。「(平均寿命-20)÷1.4=掛け金年数」「掛け金年数+20=支給開始時期」という小学生の算数です。最初からわかっているのこの単純な関係が説明され、「平均寿命が延びたら、掛け金期間と年金支給開始時期がのびる」「年金は長生き保険」とさえ学んでいればこんなに違和感(損した感)はなかったと思います。
国民の8人に1人が後期高齢者といわれています。そして75歳の誕生日から後期高齢者医療制度への加入が義務付けられました。75歳を過ぎると入院や長期療養が多くなり、後期高齢者の約4分の1が要介護認定を受けています。また80歳以上の約8割が経済的な不安を感じず暮らしていて、後期高齢者の半数以上が趣味やレジャーを楽しんでいるそうですが、この人たちは2004年の厚生年金保険料の引き上げ開始前に定年を迎えた方たちです。前と後ではえらい違いだと思うのは筆者だけでしょうか。敬老の日に、敬老されてるのかなぁ。高齢者ではないしなぁ。なんだかなぁという複雑な思いで一日が過ぎていきました。
自立課題
個別課題と自立課題は良く混同されて使いますが、意味が違います。個別課題と示すときは、その名の通り、子ども一人一人の課題に合わせて個別に大人に教えてもらう学習形態や内容をさしています。初めて取り組む課題や十分に身についていない課題は「個別課題」として、大人が個別に指導をします。そして、ある程度できるようになった課題は「自立課題」として、子どもが一人でできるように進んでいきます。つまり、「個別課題」→「自立課題」という図式です。確かに指導上はこうした流れをとることも多いので間違いではないのですが、コミュニケーション学習の「自立課題」はあり得ないし、集団場面で使うスキルをマンツーマンで教えてもらうことも「個別課題」にはあります。「自立課題」という言葉は「個別課題」とは全く関係なく、自閉症支援として日本に輸入された重要なキーワードなのです。
自閉症の方をはじめとする音声モードの情報処理の弱い人に、音声モードで学習や作業、生活をさせていては、何歳になっても分からないことが多すぎて、依存的になったり拒否的になったりして、結果として自立しようとする芽を摘んでいるのではないかというTEACCHの考え方が1970年頃から世界に広がりはじめました。「構造化」した環境で「自立課題」を取組むことで、ASDの方に「自分でできる」という自信と自尊心を育てることができたという実践が各地で報告され検証されました。「構造化」や「自立課題」と言う言葉は、ASDの方の自信と自尊心のキーワードとなる言葉です。そして2000年代以降もう一つの柱として、「自発のコミュニケーションスキル」が重要と言われています。これも視覚モードを使って自分で伝えるPECSを代表とするので「自分でできる」という目標は同じです。
昨日のブログでも紹介しましたが、強い指示待ちは、ASDの受動タイプの方や、高学年で行動が落ち着いてきた方に時々見受けられます。いつもの日常の生活行動なのに、強く指示して促さないと動けない緊張病(カタトニア)として医学書に紹介される症状です。原因がはっきりわかったわけではないですが、この予防策として、視覚情報モードで自立的に生活していれば、日常の生活行動に促しをかけることも減るので、予防には有効ではないかと考えられます。ただ、だからと言ってしつこく声をかけるとみんなカタトニアになるわけではありません。このことについては別に詳しく述べる機会を作ろうと思います。
指示待ちの原因
指示待ちの強い人は、行動する前に「どうしよう、どうしたらいいんだろう」と悩むので、いつまでも行動に移せません。それは自分の考えに自信がないので迷いが生じてしまうからです。自信がない原因は、自発的に行動した結果、成功体験が著しく少ないせいか、失敗体験が著しく多いせいだと考えられています。
周りの人の気持ちや状況に無関心が指示待ち人間になっている原因とも考えられます。いわゆる空気が読めない人です。空気が読める人は、周りの人の気持ちやその場の状況から自分は何をしたらいいのか、どうすることが正解なのか答えを導き出せます。しかし指示待ちの人は、例え周りの人が忙しそうに仕事をしていても、気づいていないので援助する行動がとれません。
ややこしいのは、指示があるまで「何か手伝うことはありますか?」「他にできる事はありますか」と自分から聞きに行かず余計な仕事を増やしたくないという人です。このタイプの指示待ちは合理主義で損得勘定でわざと指示を待つような態度を取ります。指示があれば文句も言わずに任せられた業務に手をつけますが、それまではわれ関せずな態度を取ります。目的をもって行動しないという意思を持っているものは指示待ちとは言いません。
マニュアルに沿って行動することは得意でも、ちょっとしたトラブルで冷静さを失ってしまい、臨機応変な対応を苦手とするタイプの指示待ち人間もいます。社会人経験の浅い若者、バイトなどで働いた経験がない人に多いです。また、今まで誰かに言われる通りに生きてきた人に多いかもしれません。親や教師の言うことを聞いていれば失敗しなかった環境から、自分で考えて行動しなければならない環境に変わったのに、切り替えられずに対応できないのです。
責任を背負いたくない人は、自分が思いついて行動したことで失敗した場合、何らかの責任を負わなければならないという状況に恐怖感すら感じます。「もしもうまくいかなかったらどうしよう、嫌われたり怒られたらどうしよう」と責任を負うことに不安を感じてしまうのです。失敗の体験から、自分で考えて行動するよりも指示を待つほうがリスクが少ないと思っているのです。
指示待ちになるのは、結局、自分のやりたい事がはっきりしていないという事です。自分のやりたい事、これを実現するために仕事や生活があります。大事なことは自分のやるべきことを自分の判断で小さなことから実現して自信を積み上げることです。そして、「報連相」と指示待ちは異質のもので、他者にイライラや怒りを誘発させるような精神的負担を負わせるのは「報連相」ではないことに早く気付くことです。
ただ、空気が読めない人のためには、明日から空気が読めるようにはならないので、もう少し配慮が必要です。なんでもかんでも人に判断してもらう指示待ちはNGだけど、どのレベルなら自分で判断すべき仕事なのか、どのレベルなら相談した方がいい仕事なのかを質問するのは、有意義な「報連相」行動だと、みんなで確認しておくことは大事です。「そのレベルは自分で判断します」「その先は相談します」という明確なガイドラインがないと、自己判断と相談のボーダーラインはグレーゾーンのことが多いので、指示待ちだった人は混乱してしまいます。指示待ち行動は、その人の責任にしても解決はしないので、関係者全員が指示待ちの人の支援にあたることが重要です。
電話対応
電話はどの職業にとっても大切な連絡ツールです。少しの工夫で、電話対応力はより磨かれます。電話応対では、顔を合わせて話ができる対面と違って、声だけで相手に気持ちを伝えなければいけません。電話の印象は、【声の表情と抑揚の付け方】で変わります。まず声の基本は、【姿勢を良く】です。何かにもたれ掛る姿勢や、猫背だといい声が出ず相手にもいい印象を残すことが出来ません。次は、【深呼吸をする】です。電話を受ける時も掛ける時も、しっかりと深呼吸して、しっかりとお腹から声を出すように意識します。最後は、【声の表情を変える】です。笑顔で「あー」と声を伸ばした時は、声の明るさや伸びが全然違うのです。顔の表情が、声の表情として、相手にも伝わります。つまり、基本的な電話対応は笑顔で明るく。クレーム対応やトラブルの際は、神妙な表情で少し声色を落とす。表情を変えることで声の表情も変わり、より誠意が相手に伝わりやすくなります。」
次に必要なことは「相手の最も伝えたい情報は何か」「相手が最も知りたい情報は何か」を即座にキャッチし、適切な返答をするということです。電話の相手は、必ず目的をもっています。その為、無駄な会話を避け、必要な情報を的確に聴きだす必要があります。【1.電話の目的の把握】【2.目的に沿った質問をし情報を引き出す】【3.内容に対する的確な返答をする】という3ステップを抑えれば、電話対応は劇的にスマートになります。
相手からクレームの電話を受けることもあります。相手は感情的になっているケースが多いです。その為、言葉使いや相槌一つとっても、細心の注意を払っていく必要があります。相手がお話をされている時には、最後まで相手の言葉を聴くことが基本です。そして、言葉と言葉の合間に、短く「はい」と相槌を入れることが大事です。ここでは、「きちんと自分の話を聴いて理解してくれている」と相手に感じてもらうことが何より重要です。相手の言葉に被せて相槌を打ったり、毎回「申し訳ありません」「すみません」など謝り続けることは、逆効果となります。「きちんと私の話を聴いてくれているのか?」「謝れば済む話をしているのではないのだが」と、相手に不快感を与えてしまうこととなり、誠意が伝わりにくくなります。
また、【クッション言葉】も大切です。例えば「恐れ入りますが」「お差し支えなければ」「ご面倒をおかけ致しますが」など会話のクッションとなる言葉です。このクッション言葉を適度に挟んで会話を続けると、相手の気持ちが和らぎ、相手の伝えたいことを正確に把握できるようになります。
放課後デイ事業所が540万円不正請求
放デイの総量規制のことを書いていたら同じ日に京都市放デイの不正請求事件が京都新聞に報道されていました。以下記事掲載します。
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放課後デイ事業所が540万円不正請求 受け入れ停止処分、京都
京都市は10日、伏見区醍醐で障害児が通う放課後等デイサービス事業所を運営する一般社団法人「ガジュマル」(同区醍醐)が人員基準に違反し、個別支援計画の未作成の状態で給付費など計約540万円を不正請求していたとして、11日から6カ月間の新規利用者受け入れ停止の行政処分を行ったと発表した。
市によると、同法人の施設「放課後デイサービス ガジュマル」で、配置義務がある現場統括役「児童発達支援管理責任者」が不在となった2018年8~11月、代わりの人員を置かず、8月分について必要な減算をせずに給付費を請求。17年8月~18年10月には、延べ217人分の個別支援計画に関して、内容や作成手順に不備があった場合の減算をせず、給付費を請求したという。
ほかにも欠席時対応の加算などを合わせると、不正請求による受取総額は約540万円に上り、市は同法人に40%の加算金と合計で約760万円を返還請求した。不正行為には改善勧告を出し、1カ月以内で報告を求めた。
市の監査に対し、同法人は「忙しくて対応を怠ったり、制度への理解が不十分だったりした」と述べているという。
【2019年09月10日 20時04分】
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要するに、放デイも必要な資格のある人をおくことで、サービスの質が維持できるとして、その条件を満たせばサービス単価を上げることができる仕組みなのですが、資格者がやめているのに単価を変更しないで不正請求したなどで、3年で540万不正に受け取ったというものです。放デイは1事業所当たり年間平均2千万から3千万の受給があるので1年で約1割程度の請求が不正だったということです。「忙しくて対応を怠ったり、制度への理解が不十分だったりした」とは事業者側の弁ですが、プロとして許される言葉ではないです。こうした不正がたびたび起こるのはほとんどの利用者が1割負担で、あとは税金で賄われるので事業者の罪の意識が薄れてしまうのかもしれません。これは、介護の世界でも医療の世界でも同じことが言えます。病院の不正レセプトも記事にすらならないほど後を絶ちません。そもそも、請求ルールが複雑と言う問題もあります。今やAIの時代です。労務管理システムと請求システムを連動させればこんな不正はできなくなります。あけても暮れても性善説に立ってあれこれ非難しているよりも、簡単に不正できないシステムを公的請求ラインで確立する方がよっぽど早いと思うのは私だけでしょうか。それが進まないのも不正受給されたお金が税金だからでしょうか?
京都市放デイ総量規制
京都市は、事業所数が急増している放課後等デイサービスについて、地域ごとの事業所の必要数を算出し、上回る場合は他地域への参入を促す「総量規制」を今年中に導入するそうです。京都市内の事業所数は2012年4月の9カ所から昨年9月に145カ所へと急増。伏見区や山科区などが多い一方、南区と東山区はいずれも3カ所と地域的な偏りが課題となっています。(5/30京都新聞)
京都市は今後、地域ごとの見込み利用者数と必要な事業所数を算出します。総量規制の導入後は、サービス供給が過剰な地域で開設を希望する事業所には別の地域で開くよう促し、市の要請に応じない場合に開設を認めるかどうかはガイドラインを決めていくそうです。
総量規制は昨年4月の改正児童福祉法の施行で可能となりました。浜松市は今年5月から本格実施しており、市が定めた上限数以上の開設を認めていません。また、山科区の事業所で給付金を不正受給していた事件を受け、本年度から放課後デイの指導、監査を担う京都市は部署を2人増員したそうです。
ただ、京都市の場合は利用者のニーズ量を調べてから事業所数を決めるものですが、乙訓の場合は利用量を最初から原則週3回と決めており、これは利用者の権利侵害に当たる可能性があります。もちろん、利用実績から予算を割り出すのはどの行政にも必要なことです。しかし、行政や事業者同士で総量を一律規制するのは新規参入を意図的に抑止することにつながる恐れがあり結果利用者の権利制限につながる可能性があり、検討を要します。
台風一過:風台風15号
台風15号は千葉市付近に上陸したあと茨城沖の海上に抜けました。台風一過の置き土産として15号が運んできた南の暑い風で東京都心で最高気温が36度、静岡、名古屋では37度、大阪、福岡でも35度の猛暑日が予想されます。この猛暑日は明日(10日)も続くそうです。
15号の猛烈な風は、一時千葉市内で最大瞬間風速が57.5メートルを観測しました。時速にすると207キロという新幹線並みで、観測史上1位を更新しました。それでも、強烈な台風が首都圏を直撃した割には、昨年の9/4に上陸した21号で関空が機能不全に陥るような風台風の大きな被害はなかったそうです。置き土産の猛暑で、9日夜も30度前後の熱帯夜が予想されます。湿度も高く、こまめ水分を取って熱中症には十分気を付けるよう気象庁は呼び掛けています。
障害児通所受給者証について
放課後等デイサービスを利用するには、「障害児通所受給者証」が必要になります。療育手帳を持ってないと、放デイには行けないと誤解されている方がいますが、発達に課題があるお子さんであれば、市町村の自治体に申請すると受給者証を発行してもらうことができ、放デイサービスが利用できます。
受給者証とは、福祉サービス等を利用するために発行される証明書です。市町村などの自治体に申請することにより、交付されます。受給者証には、児童の名前や住所の他、放課後デイサービスなどを利用できる日数(支給量)や、月額の利用料の上限額(上限負担額)が記載されています。1人の児童が複数の施設を利用できるため、利用している放課後デイサービスの名前や利用日数なども載っています。
受給者証は「福祉サービス」を受けるためのものと「医療」を受けるためのものがあります。
障害福祉サービス受給者証・地域生活支援事業受給者証・障害児通所受給者証・障害児施設受給者証
障害者医療費受給者証・自立支援医療(精神通院医療)受給者証・特定疾患医療受給者証 などです。
放課後等デイサービスを利用するには、上記の「障害児通所受給者証」を交付してもらう必要があります。
前回(7/17特別児童扶養手当)でも掲載しましたが「障害者手帳」や「療育手帳」は、障害の名前や状態、程度を証明するために都道府県から発行される証明書です。一方、「受給者証」は福祉サービスを利用するために、市町村から発行される証明書です。障がいの診断がなくても、医師の意見書などがあれば発行してもらうことができます。不登校などの場合も、お子さんの健康状態や精神状態を伝えて審査を受けると取得可能です。一度、お住まいの自治体の窓口で相談してみてください。
受給者証の申請は、下記のような流れで行います。
1. 自治体の窓口で手続き相談をする
子育て総合支援センターや区役所の保健福祉課などで、放課後デイサービスのサービス内容や計画の説明を聞き、申請手続き(申請書記入・聞き取りなど)をします。
2. 利用計画書を作成する
この利用計画書は「相談支援専門員に依頼して作成してもらうパターン」と「保護者が作成するパターン(セルフプラン)」の2種類があります。
相談支援員に計画書を作成してもらう場合、子どもの特性に合わせた専門的な意見がもらえたり、長期にわたって相談できるというメリットがあります。一方、相談支援員とのやりとりが入るため、手続きなどで時間がかかるというデメリットがあります。セルフプランの場合、手続きがスムーズに進むというのがメリットです。ただ、利用日数が多く取れないなどのデメリットが生じることもあります。自治体によっては「相談支援員がついていないと月●日以上利用できない」というようなところもあります。(乙訓近辺での自治体では聞きません)
3. 利用計画書の提出
上記の計画書を、子育て総合支援センターや区役所の保健福祉課に提出します。
4. 審査>受給者証の交付
1.の申請書と2.の計画書をもとに審査が行われ、受給が決定します。
その後、保護者に受給者証が郵送されます。自治体によって異なりますが、通常は申請してから2~3週間くらいで受給者証が交付されます。
受給者証は、基本1年毎に更新の手続きをします。更新の際は改めて診断を受ける必要はありません。
【以下は他の自治体のものですが、どこも同じような書式です】