すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

マインドマップ

前回書いたアイデアいっぱい!マインドマップで整理しよう! ( 07/28 )で登場した「マインドマップ」について少し詳しく紹介をします。

「じゃんぷ」ではマインドマップという方法を使って読書感想文を書いたり,夏休みの思い出の作文を書いたりしています。マインドマップというのは頭の中で行っている思考プロセスを「見える化」して,思考の整理や今からしようとしていることを整理するのに役立つ方法です。一緒にホワイトボードに思いついたことを「話すだけ」,順番に話したことを「図にするだけ」,整理された内容を「書くだけ」と作業を一つにしぼって実行します。

そうすると,「こっちのことを先に書きたい」とか「ちょっと言い方(表現)を変えて書いといた」等自分なりの工夫やアイデアが浮かんできます。

「読むのがイヤ」「書くのがイヤ」「なんて書いたらいいか分からないからイヤ」と思いがちな宿題も,実は頭の中の思考を整理することの悩みだったといえます。

「わたしもできたよ」

 すてっぷでは、設定遊びとして室内の集団遊びに取り組むことがあります。多くは、順番交代で行いながら、得点を競います。ボールダーツや弓矢ダーツといった市販のおもちゃを使ったもののほか、段ボールで作ったゴールを狙うボールシュートなど、手作りのものもあります。中には得点を競うのではなく、ボールを当てたところに分割の絵を貼り、みんなで一枚絵を完成させる協力型のものもあります。これらの中から選んだり、新しく作ったりして、メンバーに合うものを準備して取り組んでいます。

 支援学校小学部のRさんは、この集団遊びに参加し始めたところ。今月は「ワニワニパニック」に取り組んでいます。「ワニワニパニック」は職員がワニを操作し、子どもは仕切りの穴から飛び出してくるワニにピコピコハンマーを当てる遊びです。やったことがある子は慣れた手つきで、ワニをピコピコ叩いていきます。初めての子でも、「ねらう」「たたく」といったシンプルな活動のため、初回から、笑顔でテンポよく叩ける子も少なくないです。ところがRさんは、何度も回数を重ねても、そっぽを向いて近づこうともしません。Rさんは初めてのことが苦手だから、少しずつ取り組めるようにしていこうと職員で話し合いました。

 そこでまず、参加するだけでいいというところから始めました。離れたところにいすを置き、そこに座って見ているだけでも、参加できてすごい!と褒めて、回数を重ねました。次第に友だちの活動の様子を見ることが出来ることが増えていったRさん。先日、他の子どもたちと一緒にいた職員がRさんに「こっち来る?」と誘ってみました。するとRさんは、みんなのところへ! いっしょに並んで座って参加することが出来ました。そして次のときも、みんなといっしょに座って待つRさんの姿が。そこで職員が、みんなと同じようにRさんの顔写真をホワイトボードに貼り、順番を示します。するとRさんは自分の番だとわかり、友だちから手渡されたピコピコハンマーを握ります。そして「用意スタート」の声で、飛び出してくるワニをしっかりとみて、ピコピコハンマーで叩けました!その瞬間にRさんの笑顔がこぼれました。「できたね!」の職員の声掛けにハイタッチを求めたRさんの顔は誇らしげでした。

 初めてのことが苦手なRさんに、最初から全部参加させようとしても、できなかったで終わり、失敗体験を積んでしまうことになります。そこで取り組みを細分化し、最初の課題は達成しやすいもの(今回で言えば見ているだけでOKにする)から始め、それができたら次の課題は少しずつ高めていくという「スモールステップ」で、Rさんは最終的に「ワニワニパニック」に参加できるようになりました。できることを増やすことと、成功体験を積み重ねていくことが、成長の両輪になると考えています。

アイデアいっぱい!マインドマップで整理しよう!

じゃんぷに通うP君が夏休みの宿題を持ってきました。先日持ってきたのは「絵日記」です。

P君は先日旅行に行った時のことを書く,ということでその時の出来事を次々と話してくれました。普段書くことが苦手なP君が鉛筆が止まらないようでした。ただ頭の中で浮かんだことを文章にすることはまだ苦手なようで,継ぎ接ぎな文章になってしまうようです。なので絵日記をじゃんぷに持ってきたとのことでした。

P君はたくさん出来事を話してくれるので,それをマインドマップにして時系列を整理し,文章の構成を組み立てました。そして文章を一緒に作り,それをP君が絵日記に書きました。

すごく達成感があったようで,「最後まで文章書けた(空白を作らず文章を埋めれたということ)の初めて!」と喜んでいました。

漢字の間違いやすいポイント

子どもたちが夏休みの宿題を持ってじゃんぷに来ます。漢字の宿題に対し,集中して取り組んでいる様子が見られます。

子どもたちの宿題やテストの様子を見ていると,やはり漢字にも間違いやすいポイントがあるようです。同じように間違いをしていることが多く見られました。今回は漢字の間違いやすいポイントについて紹介をします。

①画の長短を間違う

例として「未」の横画の長短を間違えると「末」になってしまいます。

②点の有無を間違う

「械」や「博」の点を忘れることが多く見られます。また,本来必要ない字に点をつけてしまう間違いもあります。

③線の本数を間違う

「達」のように何本かの横線が並んでいると,多くしてしまったり,少なくしてしまったりする間違いが多く見られます。「編」や「備」のように縦線と横線が交わる場合それぞれの本数を反対にしてしまうこともあります。

④似た形の字と間違う

例として「己」「巳」「乙」の混同等,形が似ている漢字との間違いはよく見られます。これは,例えば「巻」のように,ある漢字の一部となっている場合も同様です。「眼」の「つくり」を「民」「良」にしてしまうこともあります。

⑤「へん」ともとになった漢字との違いを間違う

「きへん」を,ただ「木」の横幅を狭くした形に書いてしまっていることが少なくありません。「木」の右はらいは,きへんでは「とめ」になります。

⑥「とめ・はね・はらい」を間違う

「とめ・はね・はらい」のうち、「とめ」と「はらい」は字体による違いもあり,どちらかに統一するのが難しいケースもありますが,代表的な部分についてはしっかり押さえておきます。

⑦点と棒の違いを間違う

点と棒の違いを意識しないことも少なくありません。例えば「主」の一画目は棒ではなく点です。また,「賞」の一画目は点ではなく棒です。特に「賞」の「かんむり」に見える部分を「つかんむり」にしてしまう子どもが多くいます。「つかんむり」の二画目(中央)は棒ではなく点です。

⑧出る・出ないを間違う

縦画と横画が交わる場合に十のように交わるか丁のように出ないのかについても間違いが見られます。

 

上記8つが主な間違いのポイントです。あらかじめ知っておくことで漢字を教える時に役に立つかもしれません。また,チェックポイントとしても役に立ちます。

(出典.引用 新国語授業を変える「漢字指導」 著 白石範考 出版社 文溪堂 2019)

挑戦者が現れました

 O君は『マイクラ』が大好き。すてっぷでパソコンやゲームが出来る時間はいつも『マイクラ』をしています。ですがO君以外の子ども達はあまり『マイクラ』をしません。みんなでできるテレビゲームの『スマブラ』が人気です。ゲームの趣味は人それぞれなのですが、職員は一緒に遊べるようになれるといいなと思い、O君に「一緒にしてみん?」と、日頃から『スマブラ』に誘っていました。けれど、O君は、「うーん。いいやー。パソコンする。」と誘いに乗ることはありませんでした。職員がO君に「今までどこかでしたことある?」と聞くと「2回だけある。」と言っていました。『スマブラ』は操作は簡単ですが、プレイ経験がある人とない人では実力差が出るゲームなので、勝てるように操作するのが大変だったり、負けるのが嫌だったりするのかなと考えていました。

 先週、職員と子どもたちで『スマブラ』をしているところに、O君がやってきました。その日もパソコンのゲームを選んで遊んでいたO君。見てみるとパソコンは閉じられていました。そこで「O君もする?」と聞くと、「ううん、見とく。」と言ってゲームの様子を見学していました。そして先日、『スマブラ』をしている子どもたちの輪の中に、コントローラーを握ったO君の姿が! 職員が「今日はO君もするんだね。この前、見てたからしたくなったりしたの?」と聞くと、O君は「うん。今日が3回目の『スマブラ』。」と答えてくれました。

 さて、せっかくO君が参加できた初めての『スマブラ』。楽しく遊んでほしいと思った職員は、「個人戦だったらO君が負けてしまったで終わるかもしれない。職員が入って2対2のチーム戦を提案しようかな」と考えていました。すると、職員の心を見透かしたようにP君が言いました。「O君、初心者で操作慣れてないから俺かQ君とチーム組んで2対1で遊ぼうや。」職員はすかさず「いい提案だね!」と褒めました。Q君も「O君が参加するって、『挑戦者が現れました』みたいやなぁ。」とP君の提案を受け入れ、3人で遊び始めました。

 『挑戦者』というのは、『スマブラ』で遊んでいると、CPUが割り込んできて勝負を挑んでくるシステムのことなのですが、子どもたち3人はそれになぞって遊びをどんどん盛り上げていきます。O君とチームを組むのがP君からQ君に交代したり、CPUを入れて2対2にしたり、決められたアイテムだけを使って対戦したりと、アイディアがいっぱい! 職員が提案しなくても、初めてのOくんが楽しめるように子どもたちだけで工夫できたことに感嘆の職員は見守るだけ。Oくんも操作はぎこちないですが、友だちといっしょに楽しそうに遊ぶことができていました。

 今日も『スマブラ』をしようと準備している子どもたち。その輪の中にO君もいました。職員がO君に尋ねました。「O君、今日も『スマブラ』するの?」O君は答えました。

「うん。4回目。」

挑戦者が、レギュラーメンバーになりそうです。

同音異義語

日本語の特徴の一つとして,「同音異義語」があります。一部のIT技術者の中には,日本語は音声での認識や音声での文字化が困難な言語である,と声をあげている方もいるとかいないとか…

同音異義語の場合,音を聞いただけではどの言葉かわからないので前後の文脈や言葉づかいで意味を理解しています。また,同音異義語にはひらがなも漢字もあります。

例えば「はな」は「花」と「鼻」があります。この場合,「はなをかざる」「はなをかむ」等,文脈を参考にして意味を理解してから読む練習をします。

同音異義語について苦戦している子どもはよくいます。一つ指導の参考として紹介をしました。

友だちといっしょ

小学生のMくんはここ最近、2つのマイブームがあります。一つはひそひそ声で話すこと。職員に話しかけられても、ささやくように返事をします。もう一つはおやつを持ち帰ること。なので、スケジュールで次がおやつだとわかると、職員に「もちかえります」と伝え、職員がおやつを見せて「どれがいいですか?」と聞くと、「これ」と答えます。

 先日、Mくんと支援学校高等部のNくんとがいっしょの車で公園にお出かけしました。しかしNくんは公園に着いても車から離れません。先に公園に行っていたMくんがそのことに気づくと立ち止まり、「Nくんは?」と職員に尋ねます。職員は「車かな」と答えると、Mくんは車の方を気にして動きません。「迎えに行く?」と聞くと、Mくんはうなずき、職員と一緒に車に戻りました。

 迎えに行くとNくんは車から離れ、Mくんといっしょに公園までやってきました。ですが、Nくんは見晴らしのいいところまで来ると、そこから動こうとしません。Mくんも、職員にボールで遊ぼうと誘われますが、Nくんのそばを離れません。そこで職員はMくんに、「Nくんを誘いに行く?」と尋ねました。うなずいたMくんといっしょにNくんのもとへ。職員が「Mくんがいっしょに行こうって言っているけど、どう?」と聞いてみました。するとNくんは、いいよと言わんばかりにMくんの近くに歩いてきます。そのままMくん、職員と一緒に公園を散歩して、ぐるっと大回りの一周を歩きました。

 職員が言っても動かなかったNくんが、友だちの誘いで長めの距離を歩けたこともそうですが、Nくんを気にかけたMくんにも驚いた職員。今回は職員が声をかける形になってしましましたが、次回はお誘いのカードを持って行って、Mくんが友だちに手渡しして伝えられるようにしたいと思っています。

漢字の読み方

漢字の音読みと訓読みに苦戦する子どもは多いです。「読み」が苦手な子どもにとってはなおさらです。しかし覚えるために繰り返し練習をしても中々結果が伴わず,学習が苦手になるきっかけになってしまうかもしれません。

例えば「重い」を「おもい」と読むことが出来ても,「重ねる」「体重」を読めないことがあります。「重」の漢字を習うときに「おも(い)」「かさ(ねる)」「じゅう」は習いますが,その時だけで定着するわけではありません。しかしその習った単元の中で出てくる言葉は「重い」なのです。だから「重い」は読むことが出来ても他の読み方が定着しないことがあります。

こういうときは身近に使う文章にして指導をしています。「紙を重ねる」「体重をはかる」等,日常で使える短い文章にし,それを一目で見てわかるようにプリントやホワイトボードにまとめます。子どもが一目で見て読み方がわかるように支援し,日常でも使うことで音読み,訓読みを覚えることが出来るかもしれません。

わりばし鉄砲作り!

ここ最近じゃんぷに通所してくる子ども達が夏を感じさせることを話してくれます。「セミの抜け殻見つけたで~!」「プールいきたい~!」と元気に話す子もいれば,「暑い…」「夏バテや~」と疲れた様子も見せる等,それぞれです。

さて,今年は3年ぶりに祇園祭の山鉾巡行(やまぼこじゅんこう)が行われました。子ども達に話を聞くと「祇園祭行ったことあるよ~りんご飴食べた!」「祇園祭行ったことないなぁ~」「"イオン"祭りって何?」とこれまた子ども一人一人違った反応を見せてくれます。

先日じゃんぷの放デイでは「じゃんぷ祭り2022」ということで射的遊びをしました。射的をするためのわりばし鉄砲を自分たちで作り,それを使って射的をし,当たったお菓子をもらうという活動です。

小学1年~6年まで様々な年齢の子どもがおり,工作が得意な子もいれば苦手な子もいます。なので使う道具は最小限にし,それぞれのパーツで使うものをまとめてみました。

すると「こういうの苦手やなぁ…」と話していた子も自分で手順書を見たり説明を聞いて組み立てることが出来ました。輪ゴムを留めることは難しかったようですが,そういうときはきちんと援助要求が出来ています。こういった遊びの中でも構造化をし,子どもが「自分で出来た!」という達成感を得られるように支援をしています。

「ただいま!まずはくつ!」

 すてっぷでは、帰ってくる子どもたちに「おかえり」と声をかけています。「ただいま」と答える子どもはすてっぷではそう多くありませんが、あいさつをする子はあいさつをし、到着後の活動に入っていきます。帰ってきた子はまず、靴を脱いで靴箱に片づけます。次にICカードをタッチして出席確認をして、かばんから連絡帳を取り出してかごにしまいます。最後にかばんも棚に片づけ、自分のスケジュール確認に向かいます。子どもによっては順番が変わるかもしれませんが、これらのことは到着後にしてほしいこととして職員から子どもたちに提示しています。このとき、すてっぷでは子どもが自立的にできるように、到着後にすることをイラストと文字で視覚的にわかるようにしています。これが以前から紹介しているワークシステムです。

 このワークシステムの表ですが、最近新しく2パターンのものを作ってみました。1つは、することを一つずつ1枚にイラストと文字で描き、リングでまとめて1枚ずつめくれるようにしたものです。すてっぷではおやつ作りや工作をするときの手順書を、これと同じめくり式にしていました。もう1つは、上からすることが並んでいるのですが、一つずつカードにして、輪ゴムでくくるように固定することで、1つ終わるごとに1つずつめくれるようにしたものです。めくったらカードの裏が白紙なので、せっかくだからとはなまるのイラストをつけてみました。

 新しいワークシステムの表を作ってから1か月ほど経ちましたが、変化が少しずつ見られます。Kさんは以前の表だと流れがわからず、職員が先に示すことで、次の活動に向かっていました。ですが今はめくり式を使っていて、靴を片付けたら靴のカードをめくって、次の活動を確認。ICカードだとわかって、ICカードを取りに行きます。その後も一つずつめくって次の活動に向かうことを繰り返し、職員が何もしなくても、自分だけですることを全て終えられるようになりました。またLさんは、以前の表でも流れを理解しているようでしたが、他に興味を持ったことにどんどん転導していきます。結局は職員が表ですることをLさんと一緒に確認しながら、Lさんが終えるまで側にいるという形で、到着後の活動をしていました。それが一つずつめくってはなまるが出てくる表にしてみると、Lさんは打って変わったかのように、自分から次の活動に向かいます。そして終わったら「はなまる」と嬉しそうにカードをめくります。はなまるが出てくることを楽しみに、自立的に到着後の活動ができるようになったのです。

 普段使っているワークシステムの表でも、振り返って評価してみることで、子どもがうまく活用できていないことに気づけます。「PDCAサイクル」(Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(確認)→ Act(改善)の4段階を繰り返して業務を継続的に改善する方法)という言葉が「放課後等デイサービスガイドライン」にも載っているように、福祉の現場でも意識されています。今回は改善からの計画、実行がうまくいったというケースでしたが、また次の確認のため、職員で振り返りと評価をしていきます。