今日の活動
数のたしかさ
放デイじゃんぷでは、おやつタイムは子ども達が自分で50円になるようにお菓子を選びます。いってみれば駄菓子屋方式です。電卓を使ってもOKです。それは、細かな計算は電卓に任せても、『どれとどれを合わせたら、大体いくらになるか』『残りのお金でどのお菓子なら買えるのか』という概数を考える経験には十分だからです。
利用を開始したとき、自分の学年も、今日の日付も「知らない」と言ったAくんがいました。宿題ではくりさがり・くりあがりの計算をしています。しかし、5このおはじきのうち2つがコップの外にあるのを見ても、コップの中にあるおはじきの数は答えられません。数の操作は手続き的に理解できるのに、数の感覚や量概念はとても未熟でした。
自立課題では、具体的に数を分けたりまとめたりする、シューボックス課題(シューズボックスタスク=靴の箱を使って課題をセッティングすることを語源にしている)を取り入れました。できるだけ実際的に数を扱う課題を取り入れてみました。もちろん、おやつも50円分選んでもらっています。
A君の自立課題は1つずつかごに分けて入れているので、棚にあるかごの数が、その日のA君の課題の数です。この間、Aくん、数の力がしっかりしてきたなあと感じるやりとりがありました。「今日は勉強する気にならへん。あんなたくさんできひん」と言っていたAくんです。
「今日の勉強、いくつあるか知ってる?」と職員が聞くと「うん。5こやろ」と。「へえ、よく知ってるね」と感心すると「だって数えたもん。」とAくん。「じゃあ、3つにしようか」と言うと「うん」「…3つやったら、べんきょう嫌だけど、する気になる」と言いました。数で交渉ができるようになり、A君も指導者も同じ見通しが持ちやすくなりました。オセロやトランプのような新しい遊びが楽しめるようになったのも、数の理解の力がしっかりとしてきた賜物です。
今日は、コグトレ※教材で『まとめる』シリーズが10枚全部できたので、王冠のついたミニ賞状をゲットしました。一緒に、これまでやったプリントを数え「こんなにがんばった」とふりかえりました。数のたしかさは、子どもの世界を豊かにすると、Aくんに教えられます。
※コグトレ=認知 ○○ トレーニング(Cognitive ○○ Training)の略称で、ここでは主に基礎学力の土台作り(覚える、見つける、写す、数える、想像する)として、認知機能強化トレーニング(Cognitive Enhancement Training)のことを取り上げています。この他に、認知作業トレーニング(Cognitive Occupational Training)、認知ソーシャルトレーニング(Cognitive Social Training)があると言われています。