すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

読み支援のステップ

読み書きを苦手としている子どもを支援する時,少しずつステップを踏み,その子が苦手としている部分を細かく把握するようにしています。読み書きを苦手としている子どもでも,出来るところと出来ないところがあります。そこを把握し,効果的なトレーニングをするようにしています。

ひらがなが正確に読めなかったり,読み間違いがあったりする場合にはまず「正確に」読める練習が必要です。それも見て瞬時にわかることが必要です。(読み支援と語彙 : 05/13)でも書きましたが,「ねこ」を音のまとまりとして読めるのか,文字を拾って「ね」「こ」と読むのかということです。ただ,前回も書いたように読み書きが苦手な子どもの場合知っている語彙が少ないこともあります。その時は言葉と意味を絵とマッチングさせる等をして語彙の支援から入る必要があります。

文字をまとまりとして読めれば,「ねこ」という文字を見ると猫の姿や鳴き声が瞬時にイメージできるようになります。2文字の言葉が読めるようになったら3文字,4文字…と徐々に増やしていきます。

この後文章の読みに繋がっていきますが,まずひらがなを正確に読むことが最も重要です。ただ子どもはどうしても疲れが溜まります。疲れさせないようタイミングを見計らいながら支援に取り組んでいます。

(出典、引用:「ディスレクシア発達性読み書き障害トレーニング・ブック 著 平岩幹男 発行 合同出版 2018)

「いっしょゲームせん?」

 小学生のA君と中学生のB君は、休憩時間に話すことはほとんどありません。ですが共通の趣味がありました。それは「マイクラ」です。どこかで2人が関わり合える機会を作れないかな、と職員で話し合っていました。

 先日、A君とB君を含めた3人の子どもと職員で、黒ひげ危機一髪とジェンガをして遊びました。3人とも楽しく遊べていた様子で、振り返りでもそれぞれ「楽しかった。」と言っていました。そこで職員はこの機会を逃すまいと、A君に話しかけました。職員がA君に「もしB君からゲームしようって誘われたらどうする?」と聞くとA君は「してみたい。」と答えました。「じゃあA君がB君と一緒ゲームしたいと思った時に自分から誘えるように誘う練習してみようか?何っていう?」と職員が聞くと、A君は「B君、いっしょにゲームせん?」と職員に伝えました。職員は「上手に言えたね。したくなった時に、B君にそう言ってみたらいいと思うよ。」と返しました。

 

 すてっぷではいろいろな活動や設定遊びをしていますが、休憩時間にも子ども同士でコミュニケーションを取れる機会があります。コミュニケーションをとるのが苦手な子でもその機会を逃さないように、職員はいろいろと働きかけています。例えば、子どもたち同士をお互いに認識させることです。外でパスサッカーをする時はパス先の相手の名前を呼ぶルールを入れたり、振り返りをする時はどの友だちと一緒に活動したか名前を想起させたり、顔写真カードを用意しておいて話をすすめたりしています。

 また、「こうしたら上手くいく」という見通しを持たせています。今回のケースで言うと、A君とB君は同じゲームをして楽しんだ経験が出来ました。そこで休憩時間のマイクラでもお願いしたら一緒に遊べるかもしれない、と前向きに考えられるようにします。そして職員相手に事前に伝えることで見通しが持て、抵抗が少なくなったり自信が持てたりするようにシミュレーションをしてみました。

 

 「千里の道も一歩から。」A君とB君が一緒にゲームできる日はまだ遠いかもしれませんが、毎日の休憩時間にその機会があります。その機会を逃さないよう、自分でつかめるように、職員も働きかけていきます。

読み支援と語彙

じゃんぷに行っている読み支援の一つとして「単語を音のまとまりとして読むトレーニング」に取り組んでいる子がいます。

これは例えば「ねこ」を「ね」と「こ」ではなく,「ねこ」と音のまとまりで読む練習です。

一般的には「ねこ」という文字を見た時に「ねこ」という音のまとまりとして読み,ねこの姿を思い浮かべます。それは「ねこ」を知っているからですね。音のまとまりとして読むためにはその単語を知っている,つまり語彙に入っていることが必要になります。

読み書きが苦手な子どもは読むことに対して疲弊し,どんどん文章を読まなくなります。その分語彙が少なくなってしまうことが多くあります。そして音読等,学校での学習に苦手感を持つことがあります。

いきなり文章…ではなく,まずは単音,そして2文字,3文字とスモールステップで読みの練習をし,そして語彙の意味も教えるようにしています。語彙の意味を教える中にもステップがありますが,それはまた後日…

(出典、引用:「ディスレクシア発達性読み書き障害トレーニング・ブック 著 平岩幹男 発行 合同出版 2018)

物語文の読み支援

じゃんぷの個別指導の時間,国語の教科書の物語文の読み支援に取り組んでいます。

場面ごとのカードと,挿絵のカードに分け,文にあった挿絵をマッチングさせたり,その後に物語の順に並べる,といったことに取り組んでいます。

物語文を正確に読み取るには場面を読み取ることが大切です。場面とは

・時間の変化

・場所の変化

・人物の変化

上記の3つから見分けることが出来ます。そういった言葉に線を引いたり,パソコンで文字を太くしたり等,注目がしやすいように読みます。読むことが苦手な子もいるので場合によっては大人が読むこともあります。

物語文は話の流れを正確に読み取ることが必要です。子ども達が学校で「この話分かるよ!」と思いながら学習できるように支援をすることも大切にしています。もちろんすべての子どもに合う…というわけではありませんが,読み支援の一環として紹介をします。

「好き」と「苦手」のバランス

じゃんぷに来ている中学生のG君は書くことに対して強い苦手意識を持っています。読みができるので大人はあまり気づかないのですが,実は読みの速度も書く速度も遅かったりします。これを流暢性と言います。文字を音に変えたり,音を文字に変えたりする速度のことを言います。

彼は聴覚法に取り組んでおり,今はローマ字の聴覚法に挑戦しています。初めは五十音表の中からひらがなを探すことすら難しかった彼が今はパソコンで検索する時にローマ字入力を平然としています。(キーボードの位置をまだ覚えれていないので時間はかかっていますが大きな進歩です。)

動機となったのはやはり自分の興味です。自分の好きなことを調べるためにパソコンではキーボード入力をしないといけない。じゃんぷでは周りに宿題に取り組んでいる友達もいるので音声入力をするわけにはいかない。そのためローマ字入力を頑張って出来るようになりました。

書くことについても彼の好きな分野のクロスワードを提供しています。大人でも知らないような歴史の知識を持っている子です。積極的に取り組んでいます。しかしたくさんさせすぎると嫌気が差してくるかもしれません。「好き」と「苦手」のバランスは考えながら支援をしています。