すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

注目するポイントを見極めて!

昨日の記事(左手は添えるだけ 2023/ 02/15)の続きです。今回は具体的な事例を紹介します。

2週間ほど前、自立学習をしていたRさんが「教えてください。」と質問して来ました。内容は算数の引き算の筆算です。繰り下がりの必要な問題とそうでない問題がバラバラに混ざっているプリントでした。Rさんが質問してきたのは「28-14」という問題で、プリントには十の位の「2」に斜線を引き、一の位の「8」に10をつけていました。それまでは繰り下がりの必要な問題だったので同じ処理をしたのでしょう。一の位だけで「18-4」の式になってしまい、「???」と混乱したようです。「一の位を見てみ、繰り下がりじゃなくてそのまま引けるでしょ。」と伝えると、「なんだそういうことか~」と理解した様子で自立学習に戻っていきました。

その1週間後、Rさんが同じ内容の宿題が出ていたようでまた「教えてください。」と質問をしに来ました。内容は同じです。繰り下がりが必要ない問題で繰り下がりの処理をし、混乱した様子でした。前回と同じように「一の位を見てみ、そのまま引けるでしょ~」と伝え、「あ、そうだった~」と理解して戻っていきました。

Y先生と相談し、Rさんが同じ内容の宿題を持ってきた時には「一の位を見て引けるか引けないか、そこだけに注目をさせよう。」と決めました。「一の位」をキーワードとし、そこには大人が注目をさせる。Rさんが「引ける?引けない?」を考えるようにします。子どもが何に困っているのか、どんな支援をしたら自分で出来るのかを整理し、支援をしていくことが大事ですね。

左手は添えるだけ

「左手は添えるだけ」

SLAM DUNK(作・井上雄彦 集英社)という漫画の有名なセリフです。主人公のバスケ初心者である桜木花道がシュートの練習をする時に主将からもらったアドバイスが「左手は添えるだけ」です。バスケのシュートをする時にいろんなアドバイスをもらいますが、桜木にはこのシンプルなアドバイス一つだけを徹底して頭に入れさせ、練習に打ち込みました。

じゃんぷで子ども達に学習を教える時も同じです。子ども達にあれやこれやと教えても情報量が多くて処理しきれず混乱してしまいます。それよりも学習のポイントの要点を抑え、シンプルにした方が子ども達も頭に入りやすいです。

また、教える時の要点だけでなく、ホワイトボードを使うときも出来るだけシンプルにし、子ども達に抑えてほしいポイントに注目出来るよう配慮をしています。

子どもがわからない様子を見せた時、ついつい「この教え方だったらどうだ」「この方法なら」といろいろと手を出してしまいがちです。しかしその子がどのやり方が得意なのかを分析し、子どもが混乱する前に成功体験が積めるよう支援をしていくことが大事です。「シンプル・見える化」が重要ですね。

今度は友だちと

 「いっしょにあそべたよ」(2023/2/10)で紹介したように、Qさんは友達との集団遊びをする機会がなかなか作れませんでした。支援学校小学部のメンバーはこの冬はボールシュートにチャレンジ。「ボールシュート改」(2022/11/29)で紹介したトトロの口のゴールに向かって、ボールを投げてシュートする遊びに集団で取り組んできました。

 Qさんもタイミングを見つけて、この集団遊びに参加することはありました。友だちがボールを投げるのをニコニコと見ている様子はなんとなく感じられたのですが、いざQさんの番とボールを渡しても、ポイっと端に投げるばかりで、いっしょに遊べたとはなかなか言えませんでした。

 ところが、「いっしょにあそべたよ」の経験があってから、Qさんに変化が。職員と1対1でボール遊びをしていると、職員がボールを投げる様子を見て、身構えるように手を動かします。そしてボールを受け止めて投げ返すとき、職員を見て投げているようです。そこでボールシュートのゴールを出してみると、Qさんの投げたボールがゴールに向かって飛んでいきました。これには職員みんなが驚きました。休憩時間に友だちからの関わりで生まれた遊びがきっかけで、相手やゴールを意識し始めたように感じました。

 もちろん、まだチャレンジは2回ほど。毎回ゴールに向かって投げているというわけでもなく、まだまだ職員と遊ぶ中で、できているかどうか確認していく必要があります。それでも友だちと共有できる遊びに一歩踏み出したQさん。友だちとのボールシュートにチャレンジする機会をぜひ作ってみたいと思っています。

SNSってさぁ…

「Tiktokは悪いことばかりじゃありません! 投稿日時 : 02/06」でも少しSNSのことに触れました。最近のスシロー等のこともあり,特に18時以降にじゃんぷに来る子ども達とSNSのことについて話すことがあります。

基本的には「理解できないよね~」と話していますが,「なんでそういうことをするのかな」という話題になりました。「目立ちたいから」「いいね!をもらえるから」「かっこいいことやと思ってるから」…普段あまり喋らない子も含めていろんな意見を出してくれました。

これからSNSは更に発展していきます。じゃんぷに通っている子ども達もそれに全く触れない,ということは恐らくないでしょう。しかし暗黙のルールや決まり,目に見えない相手等,SNSにはここに通う子ども達が苦手としていることが多いです。実際現在のSNSにも特に必要ないのに他人を攻撃したり,自分を存在感を上げるために他人を貶めるような書き込みをする人はいます。そういった人たちが承認欲求のためなのか,精神的に未熟なのかどうかはわかりません。ただそれがイメージの低下に繋がったりすることは事実です。

子ども達と学習以外の場ですが社会的なことを話しが出来たことは大きな意味があったように思います。

「いっしょにあそべたよ」

 「いっしょにあそぼ!」(2023/2/7)で紹介した小学生のUくんは、1年生のときからすてっぷに通っています。設定遊びなどは小学生のお兄さんお姉さんたちといっしょに取り組むことが多かったのですが、支援学校の友だちとも一緒の場で過ごしてきました。Uくん曰く、「お兄さんお姉さんに教えてもらった」そうですが、当時のお兄さんお姉さんたちよりも自然に、どの友だちにも分け隔てなく関わっていたように思います。Uくんには感覚過敏があり、友だちの状況によっては嫌がることもありましたが、我慢するのではなく友だちだから伝えようとする姿も見られました。

 また、Uくんは友だちの素晴らしいところを見つけるのも得意。「いっしょにあそぼ!」(2023/2/7)のPさんのことも、「Pちゃんはおにごっことかだるまさんがころんだが分かってなかったけど、分かるようになって交代できるようになったんやで」とお母さんに報告したそうです。そしてお母さんからそういった報告を聞いた職員はほっこり、ということが何度もありました。

 先日、取り組みも一通り終わり、ゆっくりと休憩していたときのことです。支援学校小学部のQさんは言葉でのコミュニケーションは難しく、身振り手振りで「ください」「いらない」と伝えることを職員と練習中。また遊びを見つけることが難しく、友だちと関わる機会をなかなか作れませんでした。このときも座って一人で休憩していたQさん。職員は遊びに誘おうと「ボールする?」とQさんに声をかけていました。すると近くにいたUくんが、「Qさんはボールよりもクッションがいいやろ」と、丸い大きめのクッションを持ってきたのです。そしてそのまま、クッションをQさんに渡しました。初めはポトッと落とすだけだったQさんですが、それに対してUくんは「お~!」と反応し、またクッションを渡してきます。するとQさんはUくんをしっかりと見てクッションを両手で受け止め、すぐにUくんの方へ両手で押し返しました。それを見ていた小学生の友だちが「僕もやる!」と加わり、職員と合わせて4人でクッションパスの遊びの輪が。QさんはUくんや友だちが渡してくるクッションをしっかり見て、自分に来たらUくんだけでなく友だちの方にもクッションをはじき返します。パスを受け止めた小学生たちの「やったー!」という声で遊びが盛り上がり、Qさんも遊びの雰囲気を楽しみました。

 Uくんの友だちに対する理解のし方やかかわり方は、小学生の後輩たちにも良い影響を与えています。それは支援学校の友だちのことに限らず、小学生同士でトラブルが起きがちだった関係が、ここ数か月で随分と柔らかなかかわり方に変わってきました。今の小学生たちにとっては、Uくんが「教えてくれるお兄さん」になっています。

 

今日、好きになりました。算数編

Abemaは関係ありません。

先日じゃんぷに通う小学1年生の子の宿題を見ていました。繰り下がりのひき算の問題です。その子は読み書きもですが,計算も苦手意識があり指で数えて計算をしています。

宿題をやることはやるのですが,苦手意識も相まってモチベーションは低いです。「はぁ~算数かぁ~」と言いながら宿題のプリントを出しました。小1では「5のかたまり(5になるかず)」「10のかたまり(あわせて10になるかず)」等,一つずつステップアップをしていくのですがそこがまだ定着していないようで,算数指導用のブロックを使いながら計算をしていきます。それで5のかたまりや10のかたまりを意識させながら問題に取り組んでいます。

それを続けているとある事にふと気づいたようです。「…先生,これ答え全部9やな。」と言ってきました。指を差したのは「11-2」「12-3」「13-4」です。ブロックを使いながら計算をしているうちに,「答えが9になる問題の共通点」を見つけたようです。上手く説明できるわけではないですが,「1個多かったら9やな!」と話してくれました。

自分で問題の解き方に気づき,それが正しかったという経験が自信をつけたのでしょう。「俺算数好きやわ!」と話してくれました。今も宿題に苦戦はしていますが以前ほど「嫌や~」という姿はありません。やる気を持って取り組んでいます。その日,算数を好きになったようですね。

「いっしょにあそぼ!」

 支援学校小学部のPさんは、公園遊びやタブレット遊びが大好き。そして、それぞれの遊びの中で、コミュニケーションが課題だったPさんが大きく成長した姿を見せてくれています。

 すてっぷに来た頃のPさんの公園遊びと言えば、砂場での一人遊びがほとんどでした。そこでPさんの一人遊びは保障しながらも、友だちとの集団遊びを少しずつ増やしていきました。だるまさんがころんだや鬼ごっこなど、最初は理解が難しかった遊びも、職員と1対1で取り組むことで意味が分かるようになり、自分だけでも参加できることが増えていきました。そして今では公園に行く前から、ホワイトボードを見て誰と一緒に行けるかを確認。公園に着いたら「○○くんー」とすてっぷの友だちとの集団遊びに参加したり、ときには地域の友だちとも遊んだりする姿が見られるようになりました。一方のタブレットについては、友だちとの約束(2022/2/7)で紹介しましたが、PさんとUくんとで約束を守れたという経験を積んだことで、PさんはUくんに対して信頼関係が築けたのかもしれません。Uくんのそばで過ごすことも増え、またUくんが遊んでいるタブレットのアプリやテレビゲームに興味を持つようになっていきました。

 先日、Uくんが小学生の友だちと職員とでテレビゲームの「スマブラ」で遊んでいる時のことです。PさんがUくんと職員の座るソファに一緒に座り、テレビゲームの様子を見始めました。Pさんは以前からときどき同じようにして様子を見ていたので、もしかしたらいっしょに遊べるかもしれないと職員は考え、Pさんを誘ってみました。するとPさんは「先生とチーム!」と言って参加。Uくんたちも受け入れ、試合スタートです。前半は職員が操作し、後半はPさんに交代。するとPさんはコントローラーを使い、つたないながらも技を繰り出します。その後も職員の補助がありながらも、試合が終わるまで一緒に遊ぶことができました。その後、職員は他の子の支援のため離れたのですが、帰るまでのもう一試合もPさんはそのまま参加。自分で好きなキャラを選択して試合スタートしたのです。UくんもPさんだけで参加することに驚いたようでしたが、Pさんが見やすいように座り位置を変え、一緒に最後まで遊びました。

 支援学校、小学校と違う学校の子ども同士が関われることが、放課後等デイサービスだからこそできることの1つだと考えています。そのために必要な支援を日々積み重ねていますが、Pさんの成長には目を見張るほどの驚きがあります。もちろんUくんの理解やかかわり方も大きかったと思います。Uくんが活躍したエピソードをまた紹介したいと思います。

Tiktokは悪いことばかりじゃありません!

じゃんぷに通う子ども達の中にはTiktokをよく見ている,という子どもがいます。「Tiktok」とは今若い世代(所謂Z世代ですか?)に人気の,音楽に乗ってダンスをしたりちょっとした面白い動画をアップして皆に見てもらう,というアプリです。

個別学習の時間が少し早めに終わり,最近あった楽しいことを話すことになったO君。「Tiktokで面白い手品動画があってな!それちょっと練習したいねん!」と話してくれました。読み書きが苦手で,他の人に上手に説明するのも苦手なO君ですが,「〇〇っていう人で…『封筒 手品』で検索したら出るかも!」と相手に伝わることを意識しながら説明をしてくれました。「これを休憩にしたいから,先生封筒とはさみある?出来たら貸してください!」と要求し,少し練習をしてからみんなの前で手品を披露してくれました。

最近はスシローなどの迷惑行為の動画で話題になっている動画投稿系アプリですが,子ども向けの工作や手品動画を出している投稿者もたくさんいます。今回のようにそこから自分の興味を引き出し,良い形でみんなに発信してくれることがあります。悪い方面ばかり目立ちがちですが,このように子どもにとって良い面もあります。今週は珍しい動物を扱っている人を紹介してくれるそうです。楽しみにしてるよ~!

「レシピを検索!」

 支援学校中学部のNくんは、文字を書いたり読んだりすることが苦手で、2学期の半ば頃まではすてっぷに帰ってきても宿題にかかりきり。漢字や記述の宿題をなんとか終わらせ、あとはパソコンのキーボード練習とおやつだけでもう帰る時間に、という日も珍しくありませんでした。

 2学期の後半くらいから、宿題の内容と量が少しずつNくんに合うように変わっていき、すてっぷでの活動時間にも余裕が出てきました。そこでキーボード練習も上達し、ICT機器の扱いも得意なNくんに、調べ物学習をしてもらうことにしました。生活に紐づいた調べ物ということで、Nくんと相談した結果、おやつ作りのレシピを調べることに。早速Nくんはどのおやつを作るか、すてっぷにある写真から「チャーハン」を選び、iPadでレシピを検索しました。

 ICT機器なら文字の入力はお手の物のNくん。すぐにチャーハンのレシピを見つけました。そのページには作り方の動画まであり、そのレシピで作ることに決定。職員が必要な材料を聞くと、Nくんは「メモ用紙ちょうだい」と職員に伝えます。メモ用紙をもらったNくんは、iPadのレシピを見ながら、材料名と量をメモ用紙に書き込みました。そして職員に渡して、おやつ作りの日を待ちました。

 おやつ作り当日は、Nくんの書いたメモ通りに職員が材料をそろえ準備万端。Nくんもすでに見つけていたレシピをiPadに表示し、動画を見ながら順調に調理を進めます。早速味見をすると、「おいしいね!」と職員に伝えます。職員も「味見していい?」とスプーンで一口分をもらって食べてみると…おいしい!お見事です。自分でICT機器を使い、文字入力やレシピの書き写しをしながら、動画通りに調理しておいしいチャーハンを作り上げたNくんに、職員一同感動しました。先日もおやつ作りに取り組み、ナポリタンスパゲッティを作り上げたNくん。このときは動画ではなく、一枚ずつの写真を見ながら完成させていました。できることがどんどん増えていっているNくんです。

小数

小学3年生の子ども達は算数で「小数」を学習しています。

教科書では最初,水のかさの図を使い,2年生で習った「L」と「dL」を使って学習を始めます。既習事項をおさらいし,「dL」の部分を小数として扱います。分数を既に習っているので,1/10L→0.1Lと教え,小数の世界に入っていきます。

じゃんぷでも同じように1/10Lが0.1Lと教え,ほとんどの子どもが小数を理解することが出来ました。ただ定規の問題(cm)になったり,計算問題等,違うパターンになるとわからなくなることがあります。

そういう時のために,事前に定規のパターンの問題でも同じように「1cmを10個に分けて,1/10は…」と教えます。また,位取りについては「すらぷり」というサイトにあるプリントが子ども達にとってわかりやすかったようです。丁寧に位取りの練習をしてから計算問題に入るとすんなり問題を解くことが出来ました。

かがみの孤城

先日「かがみの孤城」を見に行きました。

---------------------------------------------------------------------------------------------

「ドラえもん」に出てくる「どこでもドア」や「鏡の国のアリス」の鏡。向こう側の異世界に日常の救いや解決の手がかりを求めたくなるのは,今の世の中,子どもだけではない。映画「かがみの孤城」(公開中)は不登校の女子中学生,こころ(声・當真あみ)が、ある日、自室の鏡の中に誘われる。

「本屋大賞」を受賞した辻村深月の同名小説を〝泣ける〟「クレヨンしんちゃん」劇場版で知られる原恵一監督がアニメ化した。

-----------------------------------------------------------------------------------------------

この映画では7人の中学生が出てくるのですが,ほとんどが不登校という設定です。それぞれに理由はあるのですが…それについてはネタバレになるので伏せます。この映画ではパンフレットに載っていましたが「たいていのことはなんとかなる。」というメッセージを伝えたいそうです。

じゃんぷに通う子ども達の中には自分の成績や学校のことについて悩んでいます。それについて真剣に向き合い,学習に臨んでいるのですが頑張りすぎて疲れてしまう子どもも少なくありません。

教えているこちら側から見ると頑張っている姿を評価します。子どもも頑張っていると評価をされるので頑張ることを続けます。それももちろん大事なのですが,こちらが思う以上にそれは子どもにとってしんどいことなのかもしれません。

そんな時,「なんとかなるよ。」と肩の力を抜いてリラックスすることも良いことなんだ,伝えたいですね。

「やさしいルール、どうする?」

 すてっぷの小学生たちが今はまっているボードゲームが「ごきぶりポーカー」です。ごきぶりというだけで、嫌なイメージのインパクトが強いかもしれません。ですがゲームとしてはシンプルで、相手が出したカードが宣言通りか、それとも嘘かを見抜くというゲームです。

 カードには8種類の生物が書かれています。どの種類も苦手な人がいるだろうという生き物ですが、どこか愛嬌のあるイラストになっています。そのカードを伏せながら対戦相手の1人に出し、それが何の生物かを宣言します。このとき、本当のことを言ってもいいですし、嘘のことを言っても構いません。出された人はその宣言が本当か嘘かを考えて返答します。本当でも嘘でも見抜けたら、カードを出した人にカードを返して、その人の手元に置きます。見抜けなかったら、そのままカードを出された人の手元に置きます。これを繰り返し続け、誰かの手元に同じ種類のカードが4枚たまるか、全8種類のカードがたまったら、その人の負けになります。

 このゲームの面白いところは、多くの人の手元にカードがたまってくる後半です。例えばごきぶりが3枚たまってきた人は、誰かにカードを出す時にごきぶりカードを選ぶと、本当でも嘘でも見抜かれたら自分の手元にごきぶりが4枚たまって負けてしまいます。それが相手にもわかっているので、本当か嘘かを見抜くときの判断材料になり、より推理がはかどります。またこのゲームは3人以上でも遊べ、すてっぷの小学生たちはむしろ5、6人で遊ぶときによくこのゲームを選んで、大人数でよりいっそう盛り上がっています。

 新年になって新しく用意したボードゲームの中で、特に子どもたちがはまってよくリクエストするようになったのが、この「ごきぶりポーカー」でした。大人数で遊べる中でも、基本的には1対1で相手が本当のことを言っているのか嘘を言っているのかを見抜くという内容がシンプルで分かりやすかったのかもしれません。また相手の言っていることを見抜く、または見抜かれないようにポーカーフェイスになるということは、すてっぷの小学生たちは苦手な傾向にありますが、だからこそおもしろいと感じて楽しめるのかもしれません。とは言っても、やはり苦手は苦手。中には6連続で見抜かれ続け、手元のカードがどんどんたまっていくという子もいました。そんなときは「やさしいルール」の提案。2連続でたまった人がいたら、次は他の人からというルールにしてみました。先日は始める前に、「やさしいルール、どうする?」と、採用するかどうか友だち同士で相談する姿も。一つのゲームから、新しくSSTの機会が生まれています。

アプリを使って漢字を覚えよう

じゃんぷで学習している子どもの中に,「常用漢字筆順辞典」というアプリを使って漢字の学習をしている子どもがいます。このアプリは漢字を様々な方法で検索でき,その漢字の読み方や書き順などを学ぶことが出来ます。

以前「言葉の手がかりを使って漢字を覚えよう! 投稿日時 : 2022/11/14」で紹介した子どもも今,このアプリを使って学習を進めています。個別学習の中で一年間にならった漢字のまとめ小テストをし,書けなかった,もしくは間違えた問題をこのアプリで音声検索をして正しい漢字を覚えています。

初めの方,漢字のへんとつくりが逆になっていたり,似た漢字を書いたりと「おしい!」という間違いをしていましたが,正しい漢字の書き順を順番に丁寧に取り組んでいます。じゃんぷに来て取り組む漢字の小テストも正答率が8割を超えることがほとんどとなり,成果が見えてきました。

上に挙げた子どもは継次処理が得意な子どもなので,「順番に」おちうやり方がぴったり合いました。反対に同時処理が得意な子どもには音声検索で漢字を検索させ,正しい漢字を見た上で漢字の特徴を一緒に探します。その上で漢字の作りを言葉で覚えます。イメージは「オジンオズボーン」という芸人のネタに近いような形です。

このように子どもの得意に合わせた教え方が出来るアプリが最近はよく出てきています。まさに「かがくのちからってすげー!」

メンテナンスとブログの一旦休止のお知らせ

 

日頃よりお世話になっております。

Webサーバの保守・点検作業を行っており,ブログの掲載を停止させて頂いております。
ご迷惑お掛け致しますが,今しばらくお待ちいただきたく存じます。

ブログについては何か別の方法で掲載できないか検討中ですので,決まり次第こちらでお知らせいたします。

「前よりも分かることが増えたよ」

 支援学校中学部のLくんと高等部のMくんの二人で、先日『街コロ』に取り組みました。二人で設定遊びに取り組むことは久々でしたが、支援学校で同じクラスだったこともあってか、何をするかスムーズに相談を始めました。Mくんははじめ、「『ワードバスケット』はどう?」とLくんに聞きました。そばにいた職員は、Lくんはどう答えるだろうと不安げに聞いていました。

 Lくんが小学生の友だちとボードゲームで遊んでいたときに、小学生の友だちがよくリクエストしていたのが『ワードバスケット』。言葉やアイディアを発想・表出したり、1ゲームの時間が短かったりという理由で小学生は『ワードバスケット』が好きだったのですが、Lくんは反対に発想・表出が苦手、でもじっくり考えて積み上げていくゲームが好み。でもLくんは小学生の友だちのリクエストを断れず、「いいよー」と受け入れて遊んでいくうちに、しんどさが積みあがっていってしまったということがありました。

 さてMくんにはLくんはどう答えるだろうと職員がそばで見守っていると、Lくんは「それはぼくは苦手だからできないよ」と答えたのです! 職員はその成長に驚きました。Mくんはその言葉を聞き入れ、「じゃあ『街コロ』は?」と聞くと、Lくんは「それならいいよ」と答え、『街コロ』をすることに決まりました。

 一方のMくんはボードゲーム自体が久々。高等部ということもあり、パソコン課題や作業課題など、個人の課題を優先してきました。ただ数年前に当時の小学生たちとボードゲームに取り組んだ時は、負けることへの耐性が低く、また運が悪いと投げやりになってしまいがちだったため、勝ち負けのあるボードゲームを避けていたという経緯がありました。『街コロ』はサイコロを毎回振るので運のよしあしがあり、また勝ち負けがはっきりつくゲームです。ですがMくんは、サイコロの運一つ一つは気にせずゲームを進め、落ち着いて最後までできたのです! 結果はMくんの勝ちだったので、負けのしんどさはなかったかもしれませんが、それでも終わりの振り返りのときに、「前にしたのは2、3年前だったし、前よりもわかることが増えててよかった。作戦も考えることができるようになってるし、理解もできるようになってて嬉しかった。2人だけど、このメンバーで出来てよかった。」とコメントしたことに、職員はMくんの成長を感じずにはいられませんでした。

 すてっぷの1年目から在籍しているLくんとMくんの日々の頑張りが、積み重なった成果として表れたんだと職員全員が感じられた取り組みでした。

社会で活躍する人間を10歳から育てる

先日Y先生から「studioあお」という京都市上京区にある学習塾について教えてもらいました。「LIFE~夢のカタチ~」というテレビ朝日で放送している番組で特集されており,紹介してもらいました。

幸いTVerで見逃し配信をしていたので筆者も視聴をしました。そこは「勉強を教えない学習塾」ということで,簡単に書くと通う子ども達が様々な企画を考え,大人たちはそれを全力でバックアップをする,といったところです。

学校の中では中々難しいことがありますが,子ども達にはたくさんの面白いアイデアがあります。教室でいろんな意見を聞き,「それいいね!」と思うアイデアがあっても学校の中でしようとすると難しいこともあります。そういったことを実際に挑戦できる,というのは子ども達にとって貴重な体験になります。

2020年度の新学習指導要領から「キャリア教育」が入り,文部科学省から手引きやガイドが出ました。しかし学校現場の中で日々の授業と別にキャリア教育をしていくのはどうすればいいか,混乱しながら進めているところも少なくありません。筆者が勤めていた京都市は先行してキャリア教育をしていこう,となっていたのですが「何をどうしよう」とはっきりとわかっていないまま取り組んでいた記憶があります。学校現場ももう少し柔軟になってもらえればな…と思うこともあるのですが…こういった取り組みが広まり,子ども達が面白いアイデアを自由に,どんどん挑戦できるような場所が増えればな,と感じた瞬間でした。

【LIFE~夢のカタチ~】

https://tver.jp/episodes/epde108eub

※該当する回は1月21日(土)までの配信となっています。ご注意ください。

 

夢バトルしようぜ夢バトル!

子どもが学習が始まる少し前のちょっとした時間に「夢バトルしようぜ!」と言っていました。

「あ,チェンソーマン見てるんだな。」とすぐにわかりましたが…個別の時間中,「さっきのセリフ(夢バトル)って何?」と聞きました。「俺チェンソーマン見てるねん。」と答えてくれたので,知っていたのですがわざと「どんなやつなん?」と聞きました。

その子は一生懸命に説明しようとし,この場面が好き,このキャラが好き,と話してくれました。その子は普段国語の学習中,登場人物の気持ちの変化や場面の転換等の読み取りが苦手な子だったので「これはチャンスだぞ」と感じました。

次の週,「前言ってたの見たで,おもしろいな。なんで〇〇は最後あんな行動したん?」と聞きました。すると「え?助けてもらったからかなぁ…借り作りたくないって言ってたし…」「でも仲良い訳じゃないよね」「でも『お前に貸しは作りたくない』って言ってたで」と,登場人物の気持ちを考えていました。「しっかり気持ち考えようとしてるやん!」と言うと「そうかなぁ」と言っていましたが…

国語の教科書を読んでいる時,「気持ちが変化したのを表しているのは?」と聞くと「これかなぁ」と答えるようになってきました。チェンソーマンの話が自信になってきているようです。

子どもがハマっていることを聞くことはよくある場面です。それを学習との架け橋になるような工夫を少ししてあげると,子どもの学習への意欲が少し向上します。どんなことでも大切なのです。

 

※チェンソーマンの画像を載せようとしたのですが放課後等デイサービスのブログにはあまりふさわしくないと思ったので載せていません。気になった方は自己責任で調べてみてください。

「2対2でもキックベース!」

 先日、公園でキックベースに取り組みました。今の小学生メンバーがキックベースに取り組むのはほぼ初めて。最初に子ども3人がチームになり、職員との対戦形式で練習してルールを確認しました。中には小学校でやった時の苦手意識がある子もいましたが、これ以前に一度練習していて、そこで成功体験を積めたことが功を奏したのか、スムーズに参加出来ました。ルールを確認しながらでしたが、対戦形式で進めたこともあり、子どもたちは大盛り上がり。次は2対2でしたいと要望がすぐに出て、チームに分かれて試合形式で遊びました。

 野球やキックベースの良い点の1つが、攻撃守備が分かれていて、同じチームでの動きが分かりやすいということです。特にすてっぷに来ている子には全体を見ることが苦手な子がいます。サッカーなど自分チームと相手チームが同じ場にいると、混乱してしまうことが少なくありません。それに対し、野球やキックベースは攻撃チームと守備チームが混ざることは、ランナーを除いてありません。そのため、自分が攻撃チームなら順番にバッターボックスに立ち、ピッチャーの球を打つ。ランナーになったらベースを回って走るというわかりやすい行動をすればよいです。守備だと少しややこしいですが、ランナーがベースに走ってくる前にボールを先回りさせるということが基本になります。

 一方で野球やキックベースになかなか取り組めない理由もあります。ボール遊びをしてよい広い公園が必要という点や、道具の準備が必要という点もあります。ですが一番大きいのは、チーム戦をするためには多くの人数が必要ということです。すてっぷで取り組むときは、多くても4対4。普通のルールでは対戦がなかなか成立しません。

 そこで職員の間で提案しているのが三角ベースやタイベン形式です。三角ベースは1塁と3塁、本塁だけにするもので、小学校の体育などでもよく取り組まれています。タイベンは筆者が子どものころによく遊んでいて、その形式をそのまま紹介しました。ベースは本塁だけ。打球を守備が捕ったら、その位置から本塁にいる味方に投げます。本塁を踏んでいる味方が取れたらアウト。取れなかったら攻撃チームに1点が入るというルールです。そのままでは難しいかもしれないので、本塁の周りに円を描き、その範囲で捕れたらOKにするなどの工夫が必要かもしれません。さてすてっぷの小学生たちにはどんな方法がヒットするでしょうか。また経過を報告したいと思います。

4x²-4x-1=0

4x²-4x-1=0

さて,この問題を解いてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パッと解けたでしょうか?

恥ずかしながら筆者は「あれ?どうやってやるんやったけ!?あれ!?」と混乱してしまいました。

この問題はとある京都の高校の入試問題に出てくるものです。中学数学の教科書にも出てくるレベルで,基礎中の基礎問題であると思われます。

こういった問題を学習障害の子ども達に教える時,職員間で非常に悩むことが多いです。じゃんぷの限られた時間の中で「ポイント教える」としているのですが,中学数学はどこまで教えるかを悩んでいます。今回は「因数分解を使うパターン」と「解の公式を使うパターン」の2つがあるよ,ということになりましたが…

算数,数学等はどうしても継次的な処理になりがちです。同時処理を生かした教え方も学ばなければならない,と感じた瞬間でした。