すてっぷ・じゃんぷ日記

2023年1月の記事一覧

アプリを使って漢字を覚えよう

じゃんぷで学習している子どもの中に,「常用漢字筆順辞典」というアプリを使って漢字の学習をしている子どもがいます。このアプリは漢字を様々な方法で検索でき,その漢字の読み方や書き順などを学ぶことが出来ます。

以前「言葉の手がかりを使って漢字を覚えよう! 投稿日時 : 2022/11/14」で紹介した子どもも今,このアプリを使って学習を進めています。個別学習の中で一年間にならった漢字のまとめ小テストをし,書けなかった,もしくは間違えた問題をこのアプリで音声検索をして正しい漢字を覚えています。

初めの方,漢字のへんとつくりが逆になっていたり,似た漢字を書いたりと「おしい!」という間違いをしていましたが,正しい漢字の書き順を順番に丁寧に取り組んでいます。じゃんぷに来て取り組む漢字の小テストも正答率が8割を超えることがほとんどとなり,成果が見えてきました。

上に挙げた子どもは継次処理が得意な子どもなので,「順番に」おちうやり方がぴったり合いました。反対に同時処理が得意な子どもには音声検索で漢字を検索させ,正しい漢字を見た上で漢字の特徴を一緒に探します。その上で漢字の作りを言葉で覚えます。イメージは「オジンオズボーン」という芸人のネタに近いような形です。

このように子どもの得意に合わせた教え方が出来るアプリが最近はよく出てきています。まさに「かがくのちからってすげー!」

メンテナンスとブログの一旦休止のお知らせ

 

日頃よりお世話になっております。

Webサーバの保守・点検作業を行っており,ブログの掲載を停止させて頂いております。
ご迷惑お掛け致しますが,今しばらくお待ちいただきたく存じます。

ブログについては何か別の方法で掲載できないか検討中ですので,決まり次第こちらでお知らせいたします。

「前よりも分かることが増えたよ」

 支援学校中学部のLくんと高等部のMくんの二人で、先日『街コロ』に取り組みました。二人で設定遊びに取り組むことは久々でしたが、支援学校で同じクラスだったこともあってか、何をするかスムーズに相談を始めました。Mくんははじめ、「『ワードバスケット』はどう?」とLくんに聞きました。そばにいた職員は、Lくんはどう答えるだろうと不安げに聞いていました。

 Lくんが小学生の友だちとボードゲームで遊んでいたときに、小学生の友だちがよくリクエストしていたのが『ワードバスケット』。言葉やアイディアを発想・表出したり、1ゲームの時間が短かったりという理由で小学生は『ワードバスケット』が好きだったのですが、Lくんは反対に発想・表出が苦手、でもじっくり考えて積み上げていくゲームが好み。でもLくんは小学生の友だちのリクエストを断れず、「いいよー」と受け入れて遊んでいくうちに、しんどさが積みあがっていってしまったということがありました。

 さてMくんにはLくんはどう答えるだろうと職員がそばで見守っていると、Lくんは「それはぼくは苦手だからできないよ」と答えたのです! 職員はその成長に驚きました。Mくんはその言葉を聞き入れ、「じゃあ『街コロ』は?」と聞くと、Lくんは「それならいいよ」と答え、『街コロ』をすることに決まりました。

 一方のMくんはボードゲーム自体が久々。高等部ということもあり、パソコン課題や作業課題など、個人の課題を優先してきました。ただ数年前に当時の小学生たちとボードゲームに取り組んだ時は、負けることへの耐性が低く、また運が悪いと投げやりになってしまいがちだったため、勝ち負けのあるボードゲームを避けていたという経緯がありました。『街コロ』はサイコロを毎回振るので運のよしあしがあり、また勝ち負けがはっきりつくゲームです。ですがMくんは、サイコロの運一つ一つは気にせずゲームを進め、落ち着いて最後までできたのです! 結果はMくんの勝ちだったので、負けのしんどさはなかったかもしれませんが、それでも終わりの振り返りのときに、「前にしたのは2、3年前だったし、前よりもわかることが増えててよかった。作戦も考えることができるようになってるし、理解もできるようになってて嬉しかった。2人だけど、このメンバーで出来てよかった。」とコメントしたことに、職員はMくんの成長を感じずにはいられませんでした。

 すてっぷの1年目から在籍しているLくんとMくんの日々の頑張りが、積み重なった成果として表れたんだと職員全員が感じられた取り組みでした。

社会で活躍する人間を10歳から育てる

先日Y先生から「studioあお」という京都市上京区にある学習塾について教えてもらいました。「LIFE~夢のカタチ~」というテレビ朝日で放送している番組で特集されており,紹介してもらいました。

幸いTVerで見逃し配信をしていたので筆者も視聴をしました。そこは「勉強を教えない学習塾」ということで,簡単に書くと通う子ども達が様々な企画を考え,大人たちはそれを全力でバックアップをする,といったところです。

学校の中では中々難しいことがありますが,子ども達にはたくさんの面白いアイデアがあります。教室でいろんな意見を聞き,「それいいね!」と思うアイデアがあっても学校の中でしようとすると難しいこともあります。そういったことを実際に挑戦できる,というのは子ども達にとって貴重な体験になります。

2020年度の新学習指導要領から「キャリア教育」が入り,文部科学省から手引きやガイドが出ました。しかし学校現場の中で日々の授業と別にキャリア教育をしていくのはどうすればいいか,混乱しながら進めているところも少なくありません。筆者が勤めていた京都市は先行してキャリア教育をしていこう,となっていたのですが「何をどうしよう」とはっきりとわかっていないまま取り組んでいた記憶があります。学校現場ももう少し柔軟になってもらえればな…と思うこともあるのですが…こういった取り組みが広まり,子ども達が面白いアイデアを自由に,どんどん挑戦できるような場所が増えればな,と感じた瞬間でした。

【LIFE~夢のカタチ~】

https://tver.jp/episodes/epde108eub

※該当する回は1月21日(土)までの配信となっています。ご注意ください。

 

夢バトルしようぜ夢バトル!

子どもが学習が始まる少し前のちょっとした時間に「夢バトルしようぜ!」と言っていました。

「あ,チェンソーマン見てるんだな。」とすぐにわかりましたが…個別の時間中,「さっきのセリフ(夢バトル)って何?」と聞きました。「俺チェンソーマン見てるねん。」と答えてくれたので,知っていたのですがわざと「どんなやつなん?」と聞きました。

その子は一生懸命に説明しようとし,この場面が好き,このキャラが好き,と話してくれました。その子は普段国語の学習中,登場人物の気持ちの変化や場面の転換等の読み取りが苦手な子だったので「これはチャンスだぞ」と感じました。

次の週,「前言ってたの見たで,おもしろいな。なんで〇〇は最後あんな行動したん?」と聞きました。すると「え?助けてもらったからかなぁ…借り作りたくないって言ってたし…」「でも仲良い訳じゃないよね」「でも『お前に貸しは作りたくない』って言ってたで」と,登場人物の気持ちを考えていました。「しっかり気持ち考えようとしてるやん!」と言うと「そうかなぁ」と言っていましたが…

国語の教科書を読んでいる時,「気持ちが変化したのを表しているのは?」と聞くと「これかなぁ」と答えるようになってきました。チェンソーマンの話が自信になってきているようです。

子どもがハマっていることを聞くことはよくある場面です。それを学習との架け橋になるような工夫を少ししてあげると,子どもの学習への意欲が少し向上します。どんなことでも大切なのです。

 

※チェンソーマンの画像を載せようとしたのですが放課後等デイサービスのブログにはあまりふさわしくないと思ったので載せていません。気になった方は自己責任で調べてみてください。

「2対2でもキックベース!」

 先日、公園でキックベースに取り組みました。今の小学生メンバーがキックベースに取り組むのはほぼ初めて。最初に子ども3人がチームになり、職員との対戦形式で練習してルールを確認しました。中には小学校でやった時の苦手意識がある子もいましたが、これ以前に一度練習していて、そこで成功体験を積めたことが功を奏したのか、スムーズに参加出来ました。ルールを確認しながらでしたが、対戦形式で進めたこともあり、子どもたちは大盛り上がり。次は2対2でしたいと要望がすぐに出て、チームに分かれて試合形式で遊びました。

 野球やキックベースの良い点の1つが、攻撃守備が分かれていて、同じチームでの動きが分かりやすいということです。特にすてっぷに来ている子には全体を見ることが苦手な子がいます。サッカーなど自分チームと相手チームが同じ場にいると、混乱してしまうことが少なくありません。それに対し、野球やキックベースは攻撃チームと守備チームが混ざることは、ランナーを除いてありません。そのため、自分が攻撃チームなら順番にバッターボックスに立ち、ピッチャーの球を打つ。ランナーになったらベースを回って走るというわかりやすい行動をすればよいです。守備だと少しややこしいですが、ランナーがベースに走ってくる前にボールを先回りさせるということが基本になります。

 一方で野球やキックベースになかなか取り組めない理由もあります。ボール遊びをしてよい広い公園が必要という点や、道具の準備が必要という点もあります。ですが一番大きいのは、チーム戦をするためには多くの人数が必要ということです。すてっぷで取り組むときは、多くても4対4。普通のルールでは対戦がなかなか成立しません。

 そこで職員の間で提案しているのが三角ベースやタイベン形式です。三角ベースは1塁と3塁、本塁だけにするもので、小学校の体育などでもよく取り組まれています。タイベンは筆者が子どものころによく遊んでいて、その形式をそのまま紹介しました。ベースは本塁だけ。打球を守備が捕ったら、その位置から本塁にいる味方に投げます。本塁を踏んでいる味方が取れたらアウト。取れなかったら攻撃チームに1点が入るというルールです。そのままでは難しいかもしれないので、本塁の周りに円を描き、その範囲で捕れたらOKにするなどの工夫が必要かもしれません。さてすてっぷの小学生たちにはどんな方法がヒットするでしょうか。また経過を報告したいと思います。

4x²-4x-1=0

4x²-4x-1=0

さて,この問題を解いてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パッと解けたでしょうか?

恥ずかしながら筆者は「あれ?どうやってやるんやったけ!?あれ!?」と混乱してしまいました。

この問題はとある京都の高校の入試問題に出てくるものです。中学数学の教科書にも出てくるレベルで,基礎中の基礎問題であると思われます。

こういった問題を学習障害の子ども達に教える時,職員間で非常に悩むことが多いです。じゃんぷの限られた時間の中で「ポイント教える」としているのですが,中学数学はどこまで教えるかを悩んでいます。今回は「因数分解を使うパターン」と「解の公式を使うパターン」の2つがあるよ,ということになりましたが…

算数,数学等はどうしても継次的な処理になりがちです。同時処理を生かした教え方も学ばなければならない,と感じた瞬間でした。

「『田んぼの田』ならいいよ」

 すてっぷの小学生たちは公園遊びが大好き。特に鬼ごっこが好きという子が何人もいます。ただ、公園によっては広すぎて鬼ごっこをしても鬼がずっと捕まえられないままということがありますし、逆に狭い公園では面白みに欠けたり衝突の危険があったりということもあります。

 そんなときに職員が提案するのが『田んぼの田』。このブログでも何度か紹介していますが、4m四方ほどの田の字を書いて、鬼は線上だけを移動して追いかけ、逃げる人は逆に線を踏まないように移動するという、鬼ごっこの遊びの一種です。狭い公園でも遊ぶことができ、また人数が少なくてもOK。子どものリクエストで、子どもと職員との1対1で取り組んだこともあります。3分や5分と時間を決めてカウントすると、子どもも興奮して走り回り、結構ハードな運動になります。逃げるときは右回りにするなど方向を決めることで、逃げる人同士が衝突しないように気をつけて遊んでいます。

 先日、Gくん、Hくん、Iくんと職員とで公園に行ったときも、この『田んぼの田』に取り組みました。はじめに何をしたいか職員が3人に聞くと、GくんとHくんは鬼ごっこがしたいと言いました。ですがIくんは、「広いからイヤだ」と主張。確かにこの公園はとても広いです。職員がGくんとHくんに「どうする?」と聞くと、Gくんは「初めの鬼を増やそう」、Hくんは「エリアを区切ろう」と、それぞれアイディアを出しました。そのアイディアも大変良かったのですが、それでもIくんは納得しません。そこで職員が、「1回目は『田んぼの田』をしよう。そして2回目はエリアを区切った鬼ごっこにしよう」と提案。Iくんに「2回目は見学していいよ」と伝えました。するとIくんは納得し、『田んぼの田』に参加。Iくんを含めた3人はテンション高くスタートし、どんどんと白熱していきます。職員も負けじと参加し、最初に決めた5分があっという間に終わりました。熱気が冷めやらない中、職員がIくんに「二回目は見学でもいいけど、どうする?」と聞くと、Iくんは「やる」と宣言。最初は嫌がっていた鬼ごっこに参加することができました。

 Iくんも含め、すてっぷの小学生たちの多くは、友だちといっしょに遊ぶことを課題としてます。一見簡単そうなことに見えますが、友だちと折り合いをつけることは、理解力、交渉力、感情コントロールなど、さまざまな力が必要となります。今回はIくんの感情コントロールができやすいように、Iくんが楽しめそうだなという遊び=『田んぼの田』を職員から提案しました。よほど楽しかったのか、最後の自由遊びの時もHくんを誘って『田んぼの田』で遊んだIくん。次は自分から提案して交渉できるように支援したいと思います。

漢字の練習

じゃんぷで子ども達の冬休みの宿題を見ていく中で,漢字の宿題に苦手意識がある子どもがいました。その子自身は漢字が嫌いというわけではありませんが,「何回も書くのがなぁ…」と言っていました。冬休みの宿題で間違えた漢字をノートに練習する,という宿題でした。「嫌やなぁ」と言いつつもしっかりと集中してやり切っています。

以前から紹介している白石範考先生の著書には「練習させるのは三回以内」と書いていました。例えば「一つの漢字を十回書きなさい」「二十回書きなさい」と言われた時に「それは楽しそうだ!」と思う子どもは少ないでしょう。ただ漢字を覚えるためには書いて練習する必要があります。白石先生は「三回」がちょうど良い,と考えているようです。確かに回数より,子どもが「なんのために書いているのか」と意識する方が大切です。

一回目は手本を見ながらゆっくりと書く。ゆっくりと書くと「あれ,ここはどうなっているんだろう」と疑問に気づきやすいです。二回目は一回目に疑問に思ったことや間違えそうになったところを意識しながら書く。三回目は,手本を見ずに書きます。ここでもし間違えた時はもう一度書きます。

何をするのか,どう書くのかを意識しながら書くことが大切ですね。

(参考・引用 「新国語授業を変える漢字指導」 著 白石範考 文溪堂)