すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

「レシピを検索!」

 支援学校中学部のNくんは、文字を書いたり読んだりすることが苦手で、2学期の半ば頃まではすてっぷに帰ってきても宿題にかかりきり。漢字や記述の宿題をなんとか終わらせ、あとはパソコンのキーボード練習とおやつだけでもう帰る時間に、という日も珍しくありませんでした。

 2学期の後半くらいから、宿題の内容と量が少しずつNくんに合うように変わっていき、すてっぷでの活動時間にも余裕が出てきました。そこでキーボード練習も上達し、ICT機器の扱いも得意なNくんに、調べ物学習をしてもらうことにしました。生活に紐づいた調べ物ということで、Nくんと相談した結果、おやつ作りのレシピを調べることに。早速Nくんはどのおやつを作るか、すてっぷにある写真から「チャーハン」を選び、iPadでレシピを検索しました。

 ICT機器なら文字の入力はお手の物のNくん。すぐにチャーハンのレシピを見つけました。そのページには作り方の動画まであり、そのレシピで作ることに決定。職員が必要な材料を聞くと、Nくんは「メモ用紙ちょうだい」と職員に伝えます。メモ用紙をもらったNくんは、iPadのレシピを見ながら、材料名と量をメモ用紙に書き込みました。そして職員に渡して、おやつ作りの日を待ちました。

 おやつ作り当日は、Nくんの書いたメモ通りに職員が材料をそろえ準備万端。Nくんもすでに見つけていたレシピをiPadに表示し、動画を見ながら順調に調理を進めます。早速味見をすると、「おいしいね!」と職員に伝えます。職員も「味見していい?」とスプーンで一口分をもらって食べてみると…おいしい!お見事です。自分でICT機器を使い、文字入力やレシピの書き写しをしながら、動画通りに調理しておいしいチャーハンを作り上げたNくんに、職員一同感動しました。先日もおやつ作りに取り組み、ナポリタンスパゲッティを作り上げたNくん。このときは動画ではなく、一枚ずつの写真を見ながら完成させていました。できることがどんどん増えていっているNくんです。

小数

小学3年生の子ども達は算数で「小数」を学習しています。

教科書では最初,水のかさの図を使い,2年生で習った「L」と「dL」を使って学習を始めます。既習事項をおさらいし,「dL」の部分を小数として扱います。分数を既に習っているので,1/10L→0.1Lと教え,小数の世界に入っていきます。

じゃんぷでも同じように1/10Lが0.1Lと教え,ほとんどの子どもが小数を理解することが出来ました。ただ定規の問題(cm)になったり,計算問題等,違うパターンになるとわからなくなることがあります。

そういう時のために,事前に定規のパターンの問題でも同じように「1cmを10個に分けて,1/10は…」と教えます。また,位取りについては「すらぷり」というサイトにあるプリントが子ども達にとってわかりやすかったようです。丁寧に位取りの練習をしてから計算問題に入るとすんなり問題を解くことが出来ました。

かがみの孤城

先日「かがみの孤城」を見に行きました。

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「ドラえもん」に出てくる「どこでもドア」や「鏡の国のアリス」の鏡。向こう側の異世界に日常の救いや解決の手がかりを求めたくなるのは,今の世の中,子どもだけではない。映画「かがみの孤城」(公開中)は不登校の女子中学生,こころ(声・當真あみ)が、ある日、自室の鏡の中に誘われる。

「本屋大賞」を受賞した辻村深月の同名小説を〝泣ける〟「クレヨンしんちゃん」劇場版で知られる原恵一監督がアニメ化した。

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この映画では7人の中学生が出てくるのですが,ほとんどが不登校という設定です。それぞれに理由はあるのですが…それについてはネタバレになるので伏せます。この映画ではパンフレットに載っていましたが「たいていのことはなんとかなる。」というメッセージを伝えたいそうです。

じゃんぷに通う子ども達の中には自分の成績や学校のことについて悩んでいます。それについて真剣に向き合い,学習に臨んでいるのですが頑張りすぎて疲れてしまう子どもも少なくありません。

教えているこちら側から見ると頑張っている姿を評価します。子どもも頑張っていると評価をされるので頑張ることを続けます。それももちろん大事なのですが,こちらが思う以上にそれは子どもにとってしんどいことなのかもしれません。

そんな時,「なんとかなるよ。」と肩の力を抜いてリラックスすることも良いことなんだ,伝えたいですね。

「やさしいルール、どうする?」

 すてっぷの小学生たちが今はまっているボードゲームが「ごきぶりポーカー」です。ごきぶりというだけで、嫌なイメージのインパクトが強いかもしれません。ですがゲームとしてはシンプルで、相手が出したカードが宣言通りか、それとも嘘かを見抜くというゲームです。

 カードには8種類の生物が書かれています。どの種類も苦手な人がいるだろうという生き物ですが、どこか愛嬌のあるイラストになっています。そのカードを伏せながら対戦相手の1人に出し、それが何の生物かを宣言します。このとき、本当のことを言ってもいいですし、嘘のことを言っても構いません。出された人はその宣言が本当か嘘かを考えて返答します。本当でも嘘でも見抜けたら、カードを出した人にカードを返して、その人の手元に置きます。見抜けなかったら、そのままカードを出された人の手元に置きます。これを繰り返し続け、誰かの手元に同じ種類のカードが4枚たまるか、全8種類のカードがたまったら、その人の負けになります。

 このゲームの面白いところは、多くの人の手元にカードがたまってくる後半です。例えばごきぶりが3枚たまってきた人は、誰かにカードを出す時にごきぶりカードを選ぶと、本当でも嘘でも見抜かれたら自分の手元にごきぶりが4枚たまって負けてしまいます。それが相手にもわかっているので、本当か嘘かを見抜くときの判断材料になり、より推理がはかどります。またこのゲームは3人以上でも遊べ、すてっぷの小学生たちはむしろ5、6人で遊ぶときによくこのゲームを選んで、大人数でよりいっそう盛り上がっています。

 新年になって新しく用意したボードゲームの中で、特に子どもたちがはまってよくリクエストするようになったのが、この「ごきぶりポーカー」でした。大人数で遊べる中でも、基本的には1対1で相手が本当のことを言っているのか嘘を言っているのかを見抜くという内容がシンプルで分かりやすかったのかもしれません。また相手の言っていることを見抜く、または見抜かれないようにポーカーフェイスになるということは、すてっぷの小学生たちは苦手な傾向にありますが、だからこそおもしろいと感じて楽しめるのかもしれません。とは言っても、やはり苦手は苦手。中には6連続で見抜かれ続け、手元のカードがどんどんたまっていくという子もいました。そんなときは「やさしいルール」の提案。2連続でたまった人がいたら、次は他の人からというルールにしてみました。先日は始める前に、「やさしいルール、どうする?」と、採用するかどうか友だち同士で相談する姿も。一つのゲームから、新しくSSTの機会が生まれています。

アプリを使って漢字を覚えよう

じゃんぷで学習している子どもの中に,「常用漢字筆順辞典」というアプリを使って漢字の学習をしている子どもがいます。このアプリは漢字を様々な方法で検索でき,その漢字の読み方や書き順などを学ぶことが出来ます。

以前「言葉の手がかりを使って漢字を覚えよう! 投稿日時 : 2022/11/14」で紹介した子どもも今,このアプリを使って学習を進めています。個別学習の中で一年間にならった漢字のまとめ小テストをし,書けなかった,もしくは間違えた問題をこのアプリで音声検索をして正しい漢字を覚えています。

初めの方,漢字のへんとつくりが逆になっていたり,似た漢字を書いたりと「おしい!」という間違いをしていましたが,正しい漢字の書き順を順番に丁寧に取り組んでいます。じゃんぷに来て取り組む漢字の小テストも正答率が8割を超えることがほとんどとなり,成果が見えてきました。

上に挙げた子どもは継次処理が得意な子どもなので,「順番に」おちうやり方がぴったり合いました。反対に同時処理が得意な子どもには音声検索で漢字を検索させ,正しい漢字を見た上で漢字の特徴を一緒に探します。その上で漢字の作りを言葉で覚えます。イメージは「オジンオズボーン」という芸人のネタに近いような形です。

このように子どもの得意に合わせた教え方が出来るアプリが最近はよく出てきています。まさに「かがくのちからってすげー!」

メンテナンスとブログの一旦休止のお知らせ

 

日頃よりお世話になっております。

Webサーバの保守・点検作業を行っており,ブログの掲載を停止させて頂いております。
ご迷惑お掛け致しますが,今しばらくお待ちいただきたく存じます。

ブログについては何か別の方法で掲載できないか検討中ですので,決まり次第こちらでお知らせいたします。

「前よりも分かることが増えたよ」

 支援学校中学部のLくんと高等部のMくんの二人で、先日『街コロ』に取り組みました。二人で設定遊びに取り組むことは久々でしたが、支援学校で同じクラスだったこともあってか、何をするかスムーズに相談を始めました。Mくんははじめ、「『ワードバスケット』はどう?」とLくんに聞きました。そばにいた職員は、Lくんはどう答えるだろうと不安げに聞いていました。

 Lくんが小学生の友だちとボードゲームで遊んでいたときに、小学生の友だちがよくリクエストしていたのが『ワードバスケット』。言葉やアイディアを発想・表出したり、1ゲームの時間が短かったりという理由で小学生は『ワードバスケット』が好きだったのですが、Lくんは反対に発想・表出が苦手、でもじっくり考えて積み上げていくゲームが好み。でもLくんは小学生の友だちのリクエストを断れず、「いいよー」と受け入れて遊んでいくうちに、しんどさが積みあがっていってしまったということがありました。

 さてMくんにはLくんはどう答えるだろうと職員がそばで見守っていると、Lくんは「それはぼくは苦手だからできないよ」と答えたのです! 職員はその成長に驚きました。Mくんはその言葉を聞き入れ、「じゃあ『街コロ』は?」と聞くと、Lくんは「それならいいよ」と答え、『街コロ』をすることに決まりました。

 一方のMくんはボードゲーム自体が久々。高等部ということもあり、パソコン課題や作業課題など、個人の課題を優先してきました。ただ数年前に当時の小学生たちとボードゲームに取り組んだ時は、負けることへの耐性が低く、また運が悪いと投げやりになってしまいがちだったため、勝ち負けのあるボードゲームを避けていたという経緯がありました。『街コロ』はサイコロを毎回振るので運のよしあしがあり、また勝ち負けがはっきりつくゲームです。ですがMくんは、サイコロの運一つ一つは気にせずゲームを進め、落ち着いて最後までできたのです! 結果はMくんの勝ちだったので、負けのしんどさはなかったかもしれませんが、それでも終わりの振り返りのときに、「前にしたのは2、3年前だったし、前よりもわかることが増えててよかった。作戦も考えることができるようになってるし、理解もできるようになってて嬉しかった。2人だけど、このメンバーで出来てよかった。」とコメントしたことに、職員はMくんの成長を感じずにはいられませんでした。

 すてっぷの1年目から在籍しているLくんとMくんの日々の頑張りが、積み重なった成果として表れたんだと職員全員が感じられた取り組みでした。

社会で活躍する人間を10歳から育てる

先日Y先生から「studioあお」という京都市上京区にある学習塾について教えてもらいました。「LIFE~夢のカタチ~」というテレビ朝日で放送している番組で特集されており,紹介してもらいました。

幸いTVerで見逃し配信をしていたので筆者も視聴をしました。そこは「勉強を教えない学習塾」ということで,簡単に書くと通う子ども達が様々な企画を考え,大人たちはそれを全力でバックアップをする,といったところです。

学校の中では中々難しいことがありますが,子ども達にはたくさんの面白いアイデアがあります。教室でいろんな意見を聞き,「それいいね!」と思うアイデアがあっても学校の中でしようとすると難しいこともあります。そういったことを実際に挑戦できる,というのは子ども達にとって貴重な体験になります。

2020年度の新学習指導要領から「キャリア教育」が入り,文部科学省から手引きやガイドが出ました。しかし学校現場の中で日々の授業と別にキャリア教育をしていくのはどうすればいいか,混乱しながら進めているところも少なくありません。筆者が勤めていた京都市は先行してキャリア教育をしていこう,となっていたのですが「何をどうしよう」とはっきりとわかっていないまま取り組んでいた記憶があります。学校現場ももう少し柔軟になってもらえればな…と思うこともあるのですが…こういった取り組みが広まり,子ども達が面白いアイデアを自由に,どんどん挑戦できるような場所が増えればな,と感じた瞬間でした。

【LIFE~夢のカタチ~】

https://tver.jp/episodes/epde108eub

※該当する回は1月21日(土)までの配信となっています。ご注意ください。

 

夢バトルしようぜ夢バトル!

子どもが学習が始まる少し前のちょっとした時間に「夢バトルしようぜ!」と言っていました。

「あ,チェンソーマン見てるんだな。」とすぐにわかりましたが…個別の時間中,「さっきのセリフ(夢バトル)って何?」と聞きました。「俺チェンソーマン見てるねん。」と答えてくれたので,知っていたのですがわざと「どんなやつなん?」と聞きました。

その子は一生懸命に説明しようとし,この場面が好き,このキャラが好き,と話してくれました。その子は普段国語の学習中,登場人物の気持ちの変化や場面の転換等の読み取りが苦手な子だったので「これはチャンスだぞ」と感じました。

次の週,「前言ってたの見たで,おもしろいな。なんで〇〇は最後あんな行動したん?」と聞きました。すると「え?助けてもらったからかなぁ…借り作りたくないって言ってたし…」「でも仲良い訳じゃないよね」「でも『お前に貸しは作りたくない』って言ってたで」と,登場人物の気持ちを考えていました。「しっかり気持ち考えようとしてるやん!」と言うと「そうかなぁ」と言っていましたが…

国語の教科書を読んでいる時,「気持ちが変化したのを表しているのは?」と聞くと「これかなぁ」と答えるようになってきました。チェンソーマンの話が自信になってきているようです。

子どもがハマっていることを聞くことはよくある場面です。それを学習との架け橋になるような工夫を少ししてあげると,子どもの学習への意欲が少し向上します。どんなことでも大切なのです。

 

※チェンソーマンの画像を載せようとしたのですが放課後等デイサービスのブログにはあまりふさわしくないと思ったので載せていません。気になった方は自己責任で調べてみてください。