すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

おばーちゃんへの手紙

U君「今日は、ばーちゃんの誕生日やねん」何か気持ちを表したいと言うので、自作のバースデーカード作成を提案しました。以前覚えたローマ字入力で「おばぁちゃん、お誕生日おめでとう。いつもご飯を作ってくれありがとう。僕にできることを言っください。おばぁちゃんいつまでも元気でいてね」と綴り、自作の封筒に入れました。

家に帰っておばぁちゃんに渡したら、じいちゃんの仏壇にお供えして、泣いて喜んでくれたことを、翌日嬉しそうに話してくれました。「僕としてはそれほど感動しているわけではないけど」と淡々と付け加えながら。

喋り派、作り派

公園の砂場でR君とS君がとダムやら川やら構造物をせっせと作って楽しんでいます。その横でT君が彼らが製作している町の構想についてべらべらと説明しています。R君とS君にしてみれば、構想の説明するくらいならT君が作ってよと思っているのですがT君は一向に手を出そうとしないので、二人は彼の話を聞かなくなりました。気分を害したT君は激高して二人に食って掛かります。

せっせと手を動かして楽しむ子と、口ばかりで動こうとしない子の典型的なケースなのですが、この人たちは相性が合わないのです。ただ、手が動かせないのは、おしゃべりに夢中というより、何もないところからモノを構成する空間認知力が弱く、その分言語性で遊びを補う場合もあります。この場合、箱庭のようにある程度空間の枠組みやキャラクターが出来上がっているもので構成遊びの支援をする場合もあります。

 

場所と事

Qちゃん今日はあまり活発ではないので、静かな場所で休憩させようと2階にいくことにしました。Qちゃんは自分で移動できるのだけど気持ちが向かないとなかなか移動しようとしません。無理に勧めると怒り出して、車いすに帰ってしまいます。ところが、2階にあがろうとすると、自分から進んで移動するのです。「えー眠たかったのではなかったの?」

よく考えてみると、Qちゃんはお昼のある時はいつも2階でご飯を食べています。このごろ昼食はパクパク食べています。2階は食事ができると覚えていたようです。このように、「場所」と「事」は統合されて記憶されます。ここに絵カード(間接的な情報)を付け加えていきます。もちろん情報は言葉でもいいのですが、言葉は瞬時に消えてしまい再確認することができません。絵カードは見直すこともできるし、「事」のある場所まで運んでいくことで関連付けを強化することもできます。「場所」と「事」を示す絵カードを理解すれば、次はこのカードを選んで要求したり、逆にこちらから「ここにいってこれをするよ」と示すことができます。これが発展してスケージュール支援に結び付きます。でも、まずは場所と事の一致がスタート地点です。

楽器遊び

Pちゃんは普段事業所に着くなり「公園公園!はじめます!」と間がありません。ところが今朝はPちゃんの目に楽器が目に入りました。「公園行きません」と朝の挨拶が終わっても外出しようとしません。楽器で遊べることは何かの経験で楽しかった思い出があるのでしょう。でも、「楽器遊び」の予告の言葉はPちゃんには入りません。通算10日ほど取り組んだスケジュールにその情報があることもまだ理解できていないようです。好きなことがいつあるのか、言葉でなくても絵や写真でわかり、「~したら~」のルールが理解できれば200%過ごしやすくなるはずです。言葉の分かりにくい人、ルールが入りにくい人にスケジュール支援は就学前療育・保育の肝と言ってもいいくらい重要です。

認知課題パズル力か色マッチング力か

ASDのNちゃんは、パズルなら10ピース以上簡単に仕上げてしまいます。非ASDのOちゃんはパズルは形状を細かく見分けることができないので4ピースでも難しいのです。ところが、おはじきの色分けはNちゃんは手続きがわからないのです。Oちゃんは直感的に同じを色を合わせるのだと理解します。部分を詳しく見るASDの人と、非ASDの人の中心的な意味を捉える(中枢性統合:CC)力との違いを見せてくれた認知課題でした。

閉鎖公園調査

長岡京市の公園が閉鎖されているというので、他の公園は大丈夫かどうか、L君とM君で公園調査をしました。乙訓中の公園を回って、わかったことは長岡京市の大きな公園だけが閉鎖をされているようです。

しかし、困りました。学校よりはるかに狭い事業所内でずっと活動するのは不可能で、それこそ3密の集・近・閉です。子どものストレス発散も重要ですが、スタッフの感染へのストレスも狭い部屋では高くなります。公園を閉鎖するのは遊具からの接触感染を防ぐためなのはわかりますが、僕らはどこへいけばいいのでしょう?

ストラックアウト

ストラックアウトは対戦型のゲームですが、負けてしまうとK君は悔しくて怒鳴ることが悪いと知りながら我慢ができなくなります。そこで、チーム戦にすることにしました。チーム戦でも負けは負けですが自分だけではないので我慢ができるみたいです。そして、仲間に「がんばれー」とか「次どうぞ」とか言えちゃうのです。このほかにもみんなでストラックアウトをして、好きなポケモンの絵を完成させるとかすると平和に一日が過ごせます。

させるのではなく自分で決めさせる

Kちゃんに公園に行く前におトイレを促すと、「いやだ~」と言います。「おトイレ行く人はカルピスあるでー」と誘うと「いきまーす」とおトイレへ。トイレから出てくるともうジュースのことは忘れていて、にこにこして「公園行こう!」です。

スタッフは「なんだよー、あれだけ文句言ってたのに~」とぼやいています。これは2歳児の「靴下マジック」と同じです。玄関でお出かけを促されて「いかへ~ん」と大の字でひっくり返る子どもに、「どっちの靴下履いて行くの?」と選ばせると選んだあとはスムースにお出かけするという現象です。要するに、大人から言われて他律的に行動するのが嫌なのです。自分で決める自律的でありたいという願いがこのころから芽生えるのです。「させるのではなく自分で決めさせる」は支援の重要なポイントです。カルピスも靴下も重要ではないのです。

そして、社会性の発達は実はこの他律と自律のぶつかり合いの中で進みます。この話はまたどこかでします。

天王山

天王山に登りました。一人は天王山のふもとの保育園で育ったH君と、もう一人はすぐに疲れてしまうJ君です。天王山の山頂には、城跡があり、H君など歴史ファンは、古城跡の土塁周辺から遺物が出土しないか探す人も少なくありません。J君にその興味がないわけではないし、標高差は200m程でそんな本格的な山道ではないですが、やはりしんどさが勝ってしまいます。行ったことがない道は見通しがないのでさらにいやになります。そんなわけで中腹で撤退してきました。

山崎城(やまざきじょう)は、山崎の戦い後、大坂城を築城するまで豊臣秀吉が本拠地としていました。別名「天王山宝寺城」や「天王山城」とも呼ばれています。 山崎城がある天王山(標高270.4m)は淀川を挟んで男山があり、宇治川、木津川、桂川の合流するところで、山城と摂津の国境にある。山麓には西国街道があり、河川を含め軍事、経済、交通の要所でした。 京都への圧力と、防備、外圧を防ぐ両面を持った地で、古来より何度か戦場となっているところです。歴史好きの子どもを連れていくには、手ごろな山です。

ごめんね

F君がおやつを持って立ち歩いているときに、肢体不自由のGちゃんの腕がF君の手に当たりました。F君大声で泣きだして「感染したらどうするんだー!だからこいつらは嫌なんだよ~」F君収まりがつかず、公衆の場でのNGワードがつぎつぎに飛び出し泣きじゃくるという一件がありました。発達障害の人たちの中には、触覚過敏の場合があり、緊張している時などはちょっと当たっただけで大騒ぎするほど刺激を感じたりする事があります。パニックとはいえ大声でNGワードはまずいので、別室に移動してもらいました。

F君、家に帰って今日あったことを家族に話し、家族からこんこんと諭されて「謝って来る」と決意しました。謝罪に来たF君は「緊張する―」と言いながら、言葉のないGちゃんに「ごめんなさい」が言えました。自分の言葉に責任を持つことを、ここで一つ一つ学んでいけばいいのだと思います。