みんなちがってみんないい
LINE行政サービス停止へ
総務省 LINE通じ提供の行政サービス停止へ
03月19日 11時38分【NHK】
通信アプリのLINEが、利用者の個人情報を業務委託先の中国の会社がアクセスできる状態にしていた問題で、武田総務大臣は事実関係の把握を急ぐとともに、総務省がLINEを通じて提供している行政サービスの運用を停止する考えを示しました。
LINEをめぐっては、システムの管理を委託している中国の会社が、日本国内のサーバーに保管されている利用者の名前や電話番号といった個人情報に、アクセスできる状態になっていたことが明らかになっています。
これについて、武田総務大臣は19日午前記者団に対し、「ユーザーが安心してサービスを利用できる環境を確保する観点から、適正な事業運営が必要だ。関係省庁と連携し、事実関係を把握して適切な措置を講じていきたい」と述べました。
また、武田大臣は、総務省が現在、LINEを通じて提供している意見募集や問い合わせの対応などの行政サービスの運用を停止する考えを示しました。
さらに、保育所の入所申請や粗大ゴミの収集の受け付けなど、行政サービスにLINEを活用しているすべての自治体に対し、今月26日までにLINEの利用状況を報告するよう依頼したことを明らかにしました。
加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「政府では、LINEを含め民間企業が不特定多数の利用者向けにインターネット上で提供するサービスを利用する際には、機密情報は取り扱わないということで運用している。この基準に沿って、各省庁で対応していると認識しているが、現在、内閣官房を含め、各省庁におけるLINEの利用状況を改めて確認している」と述べました。
そのうえで「内閣官房では、個人情報などの管理上の懸念が払拭されるまでは利用を停止するなどの対応を予定している」と述べました。
-------------------------
海外の通信系アプリはやばいとLINEが広がりだしたころから言われていました。単なるおしゃべりのやり取りくらいは盗見されても問題ないから大丈夫と大勢の人は思っていました。ところが、便利だと広まった通信系アプリには色々な情報のやりとりを載せたいのが人情です。こうして行政系の個人情報までがやり取りされれば抜き取られるのは時間の問題と、アプリの開発に関わる人ならすぐにわかったのだと思います。
一昨年も国会で海外のアプリの個人情報保護は大丈夫かと言う質問がされていましたが、行政は我が国の法律や基準に合わせた運用をしていると会社が言うので大丈夫だと応えています。会社が言うから大丈夫というのは相当お人よしです。普通はやばいんじゃないかという情報をつかんだなら行政が独自に調査をするべきでした。相手のいう事を鵜呑みにするとは、我が国の安全保障は本当に大丈夫かなと思います。
気になっているのは以前から述べている(グーグル採用自治体は半数以上に02/19)多国籍IT企業のアカウントが無料で提供される教育系プラットホームです。Googleの生まれが米国で自由主義国だから大丈夫なわけではありません。LINEは生まれも育ちも自由主義国ですが、中国本土に個人情報は流れました。国産の教育系プラットホームの開発は今からでも遅くはありません。政府が音頭を取って、こういう時こそ開発費や設備費の助成金をたんまり出せばいいと思います。GIGAスクールスタートの今年、政府の姿勢一つで子どもたちの個人情報が守られるかどうかの瀬戸際だと思います。
ワクチン未接種の教師の出勤を禁じる判決
新型コロナワクチン未接種の教師に対して学校への出勤を禁じる判決が下される
2021年03月22日 12時30分【THE TIMES OF ISRAEL<GIGAZINE】
2021年3月21日(日)、イスラエル・テルアビブの労働裁判所が「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の定期検診やワクチン接種を拒否する学校教職員の出勤を禁止することができる」と、労働者の権利よりも子どもの安全が優先される判決を下しました。
イスラエル・ツルイガルの地方議会は、学校で働くすべての労働者に対してワクチン接種および新型コロナウイルスの検査を受けることを要求しました。この決定に対して、同地域にある学校でティーチングアシスタントとして働くSigal Avishai氏が、ワクチン未接種でも学校で働けるように議会の決定を覆すための訴訟を起こしました。
これに対して、3月21日に労働裁判所は「Avishai氏は仕事に戻ることができず、支払いも受け取れない」という判決を下しています。
裁判を担当した裁判官のMeirav Kleiman氏は、「Avishai氏が主張する個人の権利」と「学生や保護者、学校で働く労働者が有する権利」を比較検討した場合、「後者を優先すべきという判断になる」と判決について説明。そして、COVID-19に感染するリスクを回避するために、プライバシーと個人の自主性がある程度損なわれるのは仕方のないこととしています。
Avishai氏は従業員に対してCOVID-19検査を求めることは「ある程度不快なこと」と認めていますが、個人の医療情報を開示するという「プライバシーの侵害」は、比較的被害の少ない行為であるという見解を示しています。
今回の判決に対して、ツルイガルの地方議会で雇用法を専門とする弁護士のNaama Shabtay Bahar氏は「これは経済全体に影響を与えるであろう歓迎すべき前例です。労働裁判所は労働者の権利と一般市民の利益との間の正しいバランスを取りました。すべての労働者は予防接種を受けるか否かの権利を有していますが、すべての労働者がその決定に対する責任を負う必要があります。労働者とサービスを提供する一般消費者の両方を保護することを目標とする雇用主に、すべての責任を負わせるべきではありません」とコメントしています。
なお、イスラエルでは法律で「保健省が3カ月間にわたりCOVID-19ワクチンを接種していない人々に関する情報を地方自治体や教育省と共有すること」を許可しています。この法律は予防接種を受けていない人に予防接種を受けることを推奨することを目的としており、他の目的で予防接種に関する情報を使用することを禁止しています。
しかし、2021年3月初めにイスラエルの高等裁判所は、保健省がCOVID-19ワクチンを接種していない人々に関する情報を地方自治体に渡すことを禁じる一時的な差し止め命令を出しました。この差し止め命令において、裁判所はイスラエルにおける「プライバシーに対する憲法上の権利を害する」と主張しています。
なお、イスラエルの保健省が発表したデータによると、450万人以上のイスラエル人がCOVID-19のワクチンを接種しており、ワクチン接種率は世界でも有数です。
-----------------------------------
武漢風邪のワクチン接種で世界のトップを走るイスラエルですが、接種しない権利はあるが未接種者の教育職での就労権はないということでしょう。ワクチンアレルギーの人などはどう考えるのでしょう。ただ、この記事を読んでいると、パレスチナとの戦火やテロが収まらない戦時国家の、全体主義的なムードを感じてしまうのは考えすぎでしょうか。
確かに、高齢者や呼吸器や血液系の疾患を持つ人への直接のサービス提供者の接種が就労する前提の義務だというなら理解できますが、子どもへの感染では世界中でかぜの軽微な症状だという事実に立てば、国家規模の集団ヒステリーのようにも感じます。
子どもと保護者を守るという言葉は美しいですが子どもの実害の事実は示さず、保護者の感染可能性は学校や子どもからだけではないので非科学的で合理性がありません。実害も示さず非接種者には学校での就業を認めないというのは、生活の糧を人質にした見せしめにしか見えません。為政者は集団パニックに巻き込まれないように冷静にリーダーシップをとってほしいものです。
「お母さん」「お父さん」という表現を避ける
「お母さん」「お父さん」という表現を避けるよう、ニューヨークの学校がガイドラインを発行。インクルーシブ教育のあるべき姿とは
3/23(火) 18:01配信【FINDERS】
多様な人々が尊重される共生社会の実現は、世界的な課題だ。近年、この問題の解決を目指す「インクルーシブ教育」の注目度が高まっており、各地で取り組みが始まっている。
そんな中、ニューヨークの学校が始めたインクルーシブな取り組みを紹介したい。
「mom」、「dad」を「grown-ups」、「folks」に
これはは昨年9月、インクルーシブな学校を目指すべく、教職員向けガイドラインを発行。その中で、「mom(お母さん)」、「dad(お父さん)」、「parents(両親)」といった表現の言い換えを推奨していると、『City Journal』が今月初めに報じた。
このガイドラインの家族に関する表現の言い換えをまとめた章では、「家族はさまざまな形で形成され、構成されています。同校では、この多様性を反映したインクルーシブな言葉を使います。子どもが誰と一緒に暮らしているか、誰が子どもの世話をしているか、毎晩同じ場所で寝ているかどうか、両親に会っているかなど、決めつけないことが大切です」と記載がある。そして「mom」、「dad」、「parents」を「grown-ups(大人たち)」、「folks(両親)」、「family(家族)」、「guardians(保護者)」と言い換えるよう薦めている。片親や同性婚の両親のもとで育てられている子どもに対する配慮なのだろう。
また、ガイドラインには性別、性的指向、人種、民族に関する言葉遣いや言い換えについてもまとめられている。例えば、「boys(男の子)」、「girls(女の子)」を「people(人々)」や「friends(友達)」と言い換えたり、「What are you?(あなたは何者ですか)」、「Where are you from?(どこから来ましたか)」と聞くのではなく、「What is your cultural/ethnic background?(あなたの文化的/民族的背景は何ですか)」、「Where are your ancestors/is your family from?(あなたの先祖/家族はどこから来ましたか)」と言い換えたりするよう促している。
誤った報道に、学校側が声明文を発表
グレース・チャーチ・スクールが発行したこのガイドラインは、多くのメディアによって取り上げられ、注目を集めた。しかしその一方で、一部メディアが誤った報道をしていると同校の公式サイトで声明を発表した。
一部メディアは、このガイドラインが“教職員向け”ではなく“生徒向け”と報じたり、「mom」などの言葉の使用を“推奨”ではなく“禁止”していると伝えたりしていたという。これにより、間違った解釈が広まり、学校に批判の声も見受けられた。
同校は「人種差別に対抗し、可能な限り歓迎的で、敬意ある学習環境を提供するため、多くの構想の中の一つとして、昨年9月に教職員に対しガイドラインを提供しました。ガイドラインは、義務的なポリシー、カリキュラムの一環、学生に対する指導として発行されたものではありません。ガイドラインの意図と目的をもっと明確にするべきでした。(ガイドラインは)生徒との交流において、教職員が感性と包括性の文化を育むのに役立ち、専門的スキルの開発や継続教育のためのツールになると考えています」と述べている。
インクルーシブ教育は共生社会実現のための大きなカギとなるはずだ。しかし一方で、批判の声も上がるだろう。インクルーシブ教育の在るべき姿について、ぜひ考えてみてほしい。
------------------------------------
う~ん・・・としか声が出ません。これは、あくまでニューヨークの私立学校「グレース・チャーチ・スクール」という小さな私立学校の話であり、アメリカ全土の話ではありません。しかし、この記事を最初にピックアップした『City Journal』の狙いはなんとなく分かります。ポリティカルコレクトネス(性別・人種・民族・宗教などに基づく差別・偏見を防ぐ目的で、政治的・?社会的に公正・中立とされる言葉や表現を使用すること)を学校に持ち込む是非での炎上狙いではないかと勘繰りたくなります。
為政者は、その発言についての影響力を考えて時代に即した発言を心がけるべきでしょうが、それを社会全体で上から求めるのは間違っています。子どもにとっては、教員は教える人です。上からではなく論じ合うだけだと言いますが、そうしないと公平社会には到達しないのでしょうか。確かに様々な民族で構成された社会では、多数派の人が移民とは知らずに初対面者に「どこから来たの」は出身国を聞いているようにも受け止められ上から目線を感じるのかもしれません。「前はどこで暮らしていたの」と聞けば少し和らぐという意味でしょう。単一民族の日本人にはわからない機微はあると思います。
しかし、米国には様々な家庭があると言え「僕のお母さん」を「僕を生んだ方の大人」とでもいうのでしょうか。継母や両親ともに男性なら「僕の大人」だけでしょうか。「君どこから来たの」ではなく「君の民族的背景を教えて」と書いていますが、子どもがそんな風に話す方が気色悪いです。
家族やその背景についてや個人の特性については、違って当たり前でそれぞれの人がその出自や特性は変えようがないし、むしろ誇りを持つことは正義だという教育こそ大事だと思います。かの私立学校のガイドラインは、実母を母と呼ぶ感情よりも周囲を気遣う感情を持てというのは行き過ぎています。「みんなちがってみんないい」のインクルーシブ教育とは何の関係もないと怒り出す人がいても当然です。ブラックマターの影響かどうかは知りませんが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」と、今流行りの渋沢栄一ではないけれど紀元前からの人知である『論語』をお勧めしたくなります。
吹田市いじめ調査を研究所と協同
大阪府吹田市がいじめの大規模調査を実施。子どもの発達科学研究所と協同
[公益社団法人子どもの発達科学研究所]
2021/03/24-19:46【時事通信】
市全体で取り組む初のいじめ実態調査。講演で発表
大阪府・吹田市の要請を受け、公益社団法人子どもの発達科学研究所(大阪市北区梅田 代表理事:片山泰一)は、吹田市全体の小・中学校でいじめ調査を実施しました。市全体の小・中学校を対象にした大規模ないじめ調査は、日本では特筆すべきものになります。
なお、2021年3月23日にメイシアター(吹田市文化会館)にて「令和2年度いじめ予防推進事業講演会」が開催され、今回の調査結果をまとめた講演を、子どもの発達科学研究所の所長である和久田学が行いました。
吹田市では、令和2年度より「いじめのない学校づくり」を教育ビジョンに掲げ、「いじめ予防推進事業」を実施してきました。そのなかで、同市の教育委員会は、いじめの調査と予防を目的に、子どもの発達科学研究所が開発した「いじめ予防プログラム『TRIPLE-CHANGE』」(*1)を採用しました。
今回、子どもの発達科学研究所が発表した調査は、同研究所の特色でもある「科学的手法」をベースにしており、吹田市全体の小・中学校を対象とする大規模調査として注目されます。令和2年度に実施したTRIPLE-CHANGEプログラムでは、小・中学校の教師の方々に対し、90分の職員研修を10コマ開催しました。
リーダー研修の様子
また各学校にて、教師が生徒たちに向けてワークブックを使った「いじめ予防授業」を3時間ずつ行いました。
TRIPLE-CHANGEワークブック
調査に関しては、信頼性・妥当性を科学的に検証した調査項目を用いた「学校風土いじめ調査」(*2)を採用し、令和2年9月と令和3年2月に、吹田市全体の小・中学校の児童および生徒に対してアンケート形式で行い、データをまとめて分析をしています。このような大規模な現場調査は極めて珍しい事例として注目されています。
この調査結果については、2021年3月23日にメイシアター(吹田市文化会館)で開催した「令和2年度いじめ予防推進事業講演会」にて、子どもの発達科学研究所の所長・和久田学が発表を行いました。
■子どもの発達科学研究所およびプログラムへの問い合わせはこちら
公益社団法人 子どもの発達科学研究所
Tel/FAX:053-456-0575
E-mail:info@kodomolove.org
担当:安田・天野
■注釈(子どもの発達科学研究所の各プログラムについて)
*1:いじめ予防プログラム「TRIPLE-CHANGE」は、米国で科学的根拠があると証明されているプログラムの先行研究を活かし、子どもの発達科学研究所が日本の学校で実施可能なものとして開発した、いじめ予防プログラムです。今まで受講された皆様により、多くの学校現場で実践され、効果を上げています。このセミナーでは、たくさんの事例を通して、いじめ問題に関する「正しい知識/技法」を提供しています。また、受講後すぐに現場で取り組めるように、指導案や教材も準備しています。
URL:http://kodomolove.org/business/course/prevention
■子どもの発達科学研究所およびプログラムへの問い合わせはこちら
公益社団法人 子どもの発達科学研究所
Tel/FAX:053-456-0575
E-mail:info@kodomolove.org
担当:安田・天野
*2:学校風土いじめ調査は、学校で起こっている「いじめ」と、その学校や学級の「風土(雰囲気)」に着目した調査です。信頼性・妥当性を科学的に検証した調査項目で、「いじめ被害」と「学校風土」の実態把握を行います。子どもたち1人ひとりへの無記名のアンケート調査を行い、子どもたちの視点から「学校」や「学級」の風土(雰囲気)を数値(データ)で捉え、可視化します。それにより、教師の方々が漠然と感じていた学校や学級の「強み(長所)」や「弱み(短所)」をデータとして捉え、教師間で共有できるようになります。このようなエビデンスに基づき、課題解決に向けた具体的な学校経営や学級を行えます。
URL:http://stopijime.kodomolove.org/lp/
------------------------------
いつまでも同じ調査を続けるだけでは時間の無駄です。調査から見出された傾向を把握し積極的にいじめを防止するプログラムの実施こそが必要です。我が国の公的サービスは調査と実践が乖離しています。今回の吹田市と研究所のプランは調査と実践がセットになっています。実践したことがどれだけの効果を上げたのか、効果が上がった理由と課題を調査して、さらにプログラムに磨きをかけていきます。言ってみれば当たり前のことですが、これが日本の教育や療育はできていません。
どんなに評価の高いプログラムでもやりっぱなしでは効果があったのかなかったのかわかりません。エビデンス(科学的根拠)のある教育・療育というのは個別にも全体にも7割以上の効果を上げるものを言います。もちろん、実施前のベースライン(事前調査)も事後のデータもどのように(客観性のあるもので)取ったかも重要です。このプランとプログラムが成果を上げ日本中に広がれば良いと思います。
精神疾患ある親の子 学校に悩み相談せず
精神疾患ある親の子は8~9割が学校に悩み相談せず…支援困難の実態くっきり
2021年3月26日 12時00分【東京新聞】
精神疾患がある親の元で育った人は、小学生の頃は約9割が、中高生の頃は約8割が自らの不安や悩みを学校に相談していなかった―。そんな調査結果を埼玉県立大の横山恵子教授(精神看護学)らがまとめた。親の疾患によって困難を抱えた子どもが孤立し、支援につながりにくい実態が浮かぶ。(近藤統義)
◆「大変だった」「不安だった」…
調査は横山教授や大阪大大学院の蔭山正子准教授らが2019年10~11月、ウェブアンケートで実施。2人が立ち上げに関わった「精神疾患の親をもつ子どもの会(こどもぴあ)」の活動に参加した成人を対象とし、20代~50代以上の120人が回答した。
親に関して「大変だった」「どちらかと言えば大変だった」と答えた人は小中高時代を通して8、9割。家庭での生活体験(複数回答)では全時期で7割超が「不安だった」、5割が「心身に不調をきたした」と答えた。
18歳未満で、病気や障害のある家族の介護や家事をする「ヤングケアラー」としての役割も尋ね、小中高の全時期で、6割が親の話し相手になるなどの「情緒的ケア」を、3割が「手伝い以上の家事」を担っていた。
◆「恥ずかしい」「自覚ない」相談は1、2割
こうした状況を学校に相談したことがある人は全時期で1、2割にとどまった。相談しない理由(自由記述)では「信頼して相談できる相手がいなかった」「恥ずかしいこと、隠すべきことだと思っていた」「相談をする発想がなかった」「困っている自覚があまりなかった」が目立った。
学校などが子どもの困難さに気づくことのできるポイントについては、複数回答で「いじめられている」「親が授業参観や保護者面談に来ない」「勉強に集中できていない」「遅刻や欠席が多い」―が多かった。
◆サイン見逃さない態勢づくり急務
学校側が悩みを抱える子どもたちのサインを見逃さず対応できるよう、こどもぴあは精神疾患への理解を促す教員向けの教材作りを進める。横山教授は「精神疾患の親がいる子は自分の感情にふたをしてしまう特徴がある。話を聞いてもらうだけで救われる子もおり、教員ら周囲の大人が気にかけることが必要だ」と指摘している。
---------------------------------
親がしんどそうにしているのを毎日見ている子どもがしんどくないはずがありません。黙り込んだり怒鳴り散らしたり気分変動の激しい大人に子どもは合わせざるを得ません。誰かに相談して解決しそうにも思いませんし、誰も家庭に踏み込むのは躊躇するので遠慮して聞いてもくれません。
うすうす、周りは気づいています。でも、家庭内の事ですから児相関係に報告するくらいしかできません。大方はネグレクトでの告発になりますが、行政が機敏に動いてくれないのが見えているので告発するほうもよほどのことがない限り子どもから話を聞いて解決しようとはしません。何も相談をかけにくいと思っているのは子どもだけではないです。
教員の懲戒免職・解雇理由、官報に記載
【独自】教員の懲戒免職・解雇理由、官報に記載へ…再応募時にわいせつ処分歴などチェック
2021/03/29 15:00【読売新聞】
許すなわいせつ教員
わいせつ教員問題の対策を強化するため、文部科学省は教員が懲戒免職・解雇された理由について、「子供へのわいせつ行為」など五つに分類し、官報に判別できるようにして記載する新制度を4月1日から始める。教育委員会などが教員を採用する際、応募者が過去にわいせつ行為で処分されていないかを把握できるようにするのが狙いだ。
懲戒免職されるなどして教員免許が失効した場合、教員免許法に基づき、官報に氏名や免許状の種類などが掲載される。免許が失効しても3年たてば再取得できるため、再度、教員に応募することが可能になる。
そのため、文科省では、官報に掲載された情報を基に免職歴を調べることができるツールを、教委や私立学校を運営する学校法人に配布している。
これまでは、応募者の免職歴が確認できた場合、処分した教委にその内容を尋ねるなどしてきた。ただ、「個人情報」などを理由に教えてもらえないケースもあり、処分理由を本人に尋ねても、虚偽の申告をされたらそれ以上追及するすべはなかった。
そこで、文科省は同法施行規則(省令)を改正し、処分理由について、〈1〉18歳未満や勤務する学校の幼児・児童生徒に対するわいせつ行為・セクハラ〈2〉それ以外のわいせつ行為・セクハラ〈3〉交通法規違反や交通事故〈4〉職務に関連した違法行為など〈5〉その他――の5類型に分けたうえで、これを識別できる形にして掲載することにした。
過去には、わいせつ行為で処分されても、それを隠す目的で改名して教員に採用された例もある。そのため、各教委に対しては、改名歴のある教員については官報掲載時に旧氏名の併記も求める。
文科省では2月末から、過去40年分の免職歴を調べることができるようにツールを大幅に拡充した。ただし、今回の処分理由の付記については、4月1日以降に懲戒免職・解雇された教員から適用される。
省令改正に先だって行われたパブリック・コメント(意見公募)では、「権利の侵害に当たる」との意見も寄せられたが、文科省は「懲戒免職は行政処分であり、犯罪歴を明記するわけではない」としている。萩生田文部科学相は「適切な採用選考が行われることが期待される。実効性のある対応を引き続き講じていきたい」と話している。
-------------------------------------
現行の免許法に基づく官報記載とはよく考えたものです。わいせつ犯罪歴のある教員を二度と採用しない法律が見送りになった事は以前(子どもの性被害どう防ぐ?: 01/06)掲載しました。保育士登録も教員免許も性犯罪で失効してから最短2~3年で再取得できるという制度のほうがおかしいのに、法改正に踏み切れない行政も議会も情けないと書きました。子どもと過ごす職種であってはならない猥褻犯罪で免許を失効しながら、免許を再取得して再び教壇に立とうとするなど常識的には考えられません。
問題は、2020年度以前の処分が記載されないことです。国会などでは記録は存在しないというのが行政の口癖ですが、処分記録は全て保存されています。せめて10年遡って記載すれば、今後かなりのわいせつ犯罪者の現職復帰を防げると思います。権利侵害ではなく「懲戒免職は行政処分であり、犯罪歴を明記するわけではない」と文科省自ら言っているのですから、何年遡ろうが問題はないはずです。むしろ、遡らない方が子どもの被害が予防できず問題が大きいと思います。
文科省『#教師のバトン』ツイッター炎上
文科省企画、教員の魅力発信「#」窮状訴える投稿相次ぎ「炎上」
2021/3/30 【毎日新聞】
教員志望者が減る中、教員を目指す若者たちに仕事の魅力を伝えようと、文部科学省が教員たちの声をツイッターなどのネット交流サービス(SNS)で広げる企画を立ち上げたところ、当初の思惑と異なり、教員からは過酷な労働環境を訴える投稿が相次いだ。
萩生田光一文科相は30日の閣議後記者会見で、「『こんな職場に若い学生は来ない方がいい』みたいな意見もあって戸惑いを感じている」としつつ、「投稿いただいた先生がたの思いをしっかり受け止め、学校の『働き方改革』を進めていかなければならないとの意を強くした」と語った。
企画名は「『#教師のバトン』プロジェクト」。現場の先生たちが教育活動に懸ける思いなどを教員を目指している学生や社会人に知ってもらおうと、文科省の若手職員たちが発案した。
学校の日常の一コマや創意工夫、ちょっといい話などを「#(ハッシュタグ)教師のバトン」と付けてツイッターなどに投稿してもらおうというもので、今月26日にスタートした。
ところが、いざ投稿を呼びかけてみると、現場の窮状を訴える書き込みが相次いだ。
「20年間で削減された仕事は座高測定とギョウ虫検査しかありません」
「明日で退職です。朝から晩まで働きました。今思うと、失ったものがあまりにも多かった」
「教員の善意に甘え、保護者や社会にそんたくし、教員を守らなかった」と文科省の対応を批判する書き込みもあった。
こうした「炎上」を受け、文科省は29日、SNS上で「教員の皆さんの置かれている厳しい状況を再認識するとともに、改革を加速化させていく必要性を強く実感しています」「ご指摘いただいた通り、改革の質・量ともに全く十分ではありません」「いただいたご意見を分析し、本格的な改革につなげたいと考えております」などと釈明した。
文科省の2016年度の調査では小学校で3割以上、中学校では6割近い教員が「過労死ライン」とされる月80時間以上の残業をしていることが明らかになっている。
文科省は教員の負担軽減を図ろうと、中学校や高校の土日の部活動を学校管理下から外し、23年度から段階的に地域活動に移行させるほか、10年に1度の講習を義務づける教員免許更新制の抜本的見直しを中央教育審議会に諮問している。【大久保昂】
---------------------------------
以前にも「学校があてにされなくなった今、我こそはとオールマイティーの優秀な人材が集まるとは思えません」(教科担任制 02/10)と述べましたが、現場の少なくない職員も「この職業は勧められない」と思っているのです。こんなものをツイッターで公開すれば必ず炎上すると予測の立たない文科省官僚の感覚も相当現場とズレていることを露呈しました。確かに忙しいこともありますが、忙しくても自分の職業に誇りを持つ事はできます。一番の炎上の理由は、学校が現代に残る保守的な村社会の一つで、その障壁が変革を阻み未来を見えにくくしていることが大きいのかもしれません。
能力に見合っただけの評価もされないし、何が能力かも示されない中では、役人社会のように失敗をしないことが大事です。新しいことに取組んだりリスクのあることには近づけないような仕事は魅力がありません。民間の方がはるかに自由に創造的にリスクも背負って取組んでおり魅力的です。教員は教える専門職なのに総合職のようにあれもこれも仕事もこなさなければなりません。もちろん専門職なのですから、実践の結果が出せないなら子どもから選ばれなくなる仕組みが必要です。昔通りでは学校は変わらないのも事実です。教師が教師としてリスペクトされるにはまず教員を真の専門職とする学校制度に変えるべきだと思います。
映画「僕が跳びはねる理由」公開へ
自閉症の作家・東田直樹さんエッセー原作の映画「僕が跳びはねる理由」公開へ
2021年4月1日 12時00分【東京新聞】
作家の東田直樹さん(28)=千葉県君津市出身=が、自身の自閉症の症状や日常の思いをつづり、世界でベストセラーとなったエッセーを原作にしたドキュメンタリー映画「僕が跳びはねる理由」が、世界自閉症啓発デーの2日から公開される。東田さんは「見ている風景は同じでも、自分とは異なる物の見方や、感じ方をしている人がいることを多くの人に知ってほしい」と呼び掛ける。(柚木まり)
◆書くことは「自分がここに生きている証明」
自閉症は発達障害の1つで、社会的なコミュニケーションがうまく取れないなどの特徴がある。重度の自閉症の東田さんは、目の前にパソコンのキーボードのようにアルファベットを書いた厚紙を置き、指をさしながら読み上げて会話をする。今回は、オンラインでインタビューに応じた。
5歳の時に自閉症と診断された東田さん。幼いころから、パソコンで創作を続けてきた。原作のエッセー「自閉症の僕が跳びはねる理由」(エスコアール)は13歳で執筆し、誤解されやすい自分の行動を説明。自閉症の息子がいる英国人作家のデイヴィッド・ミッチェルさんと妻のケイコ・ヨシダさんが翻訳し、感情や思考を代弁した作品と高い評価を受け、欧米や中国など30カ国以上で出版、117万部を超えた。
映画は、英国など海外の自閉症の人たちの生活を通し、家族や社会との関わりを映し出す。音楽や映像で自閉症の人たちが感じている世界観が表現される。
東田さんにとって、文章を書くことは「自分がここに生きている証明」。「自分のことが自分でもよく分からない人はたくさんいます。僕は自分の世界観を言葉にすることで、自分らしく生きることができています」
◆コロナ禍でも「生きることが少しでも楽になれば」
新型コロナウイルス禍で、多くの人がコミュニケーションに悩む。東田さんは「人が生きる意味を見失いそうになっていると思います。僕は、いつもどうしたら幸せを感じることができるのか考えています。自分の書く文章で、生きることが少しでも楽になる人が増えてくれたら、こんなにうれしいことはありません」とつづる。
ミッチェルさんは取材に、東田さんとの出会いを「息子の閉じられた心を開く鍵を得た。息子が自閉症でない人と同じように、愛を含めたすべての感情と能力を持っていると感じられた」と振り返る。映画公開には「自閉症に尊厳を与える作品だ」と期待を込めた。
映画は、ジェリー・ロスウェル監督。角川シネマ有楽町ほか全国で順次公開。
------------------------------------
言葉を持たない、知的重度の自閉症と思われていた特別支援学校在籍の東田君。会話もできなくて「跳びはねて」いた少年の中に、こんなにも感性豊かな世界が広がっているなんてすごいなぁ。「僕が跳びはねる理由」(2007年刊行)を私が読んだときの感想です。その映画がついに完成しました。
でも、彼の言葉を信じない人は、「自閉症児はみんな実際には高い知能を持っており、なんらかの原因でそれが発揮できないだけである」という親の願望ではないか、ゴーストライターがいるのではないか、という人も少なくなかったです。それは、東田君の手にお母さんが手をそえて文字を綴るという、FC(ファシリテーティッド・コミュニケーション)の手法が使われていたことも原因の一つでした。その頃欧米では、FCによって虐待があるとして訴えられた家族や施設職員の裁判が続き、日本ではFCが懐疑的に受け止められていたからです。
東田君の言葉が本物だということがみんなに分かったのは、彼が自分でPC入力を始め、ブログをはじめたことからです。FCは卒業し自らパソコンに文を打ち込んだり、携帯用の文字盤を指で押さえながら、自らのことばで話すようになりました。質問にも、自分でポインティングしながら、ゆっくりですが、丁寧に答えられています。東田直樹君が、2010年10月から2011年8月まで、18歳の頃に書かれたブログから加筆、修正されたのが「あるがままに自閉症です 」本です。文庫本もありますのでぜひお読みください。映画上映は、まだ関西では予定されていませんが、情報が入り次第掲載したいと思います。
第14回世界自閉症啓発デー
第14回世界自閉症啓発デー(令和3年4月2日)に寄せて 厚生労働大臣メッセージ
はじめに、新型コロナウイルス感染症により日常生活が様変わりする中で、自閉症をはじめとする発達障害のある方々の生活を日々支えておられるご家族の皆様、地域で支援に携わっている関係者の皆様に心から敬意を表します。
毎年4月2日は、国連の定める「世界自閉症啓発デー」です。今年で制定から14回目を迎えます。また、我が国では4月2日から8日までを「発達障害啓発週間」としています。
未だ新型コロナウイルス感染症の状況が予断を許さない中ではありますが、日本自閉症協会をはじめとする関係団体の皆様のご尽力により、インターネットによる配信の活用など開催方法を工夫した上で、今年も、関連イベントが開催できますことに改めて御礼を申し上げます。
関連イベントとして、東京タワーや全国各地のランドマークを「癒やし」や「希望」などを表す自閉症のシンボルカラーである青色でライトアップする「ライト・イット・アップ・ブルー」などが行われます。国民の皆様には、こうしたイベントを契機として、自閉症をはじめとする発達障害への理解を深めていただきたいと思います。
発達障害は、生まれつきの脳機能の障害によるもので、親のしつけや教育が原因ではありません。その特性は一人ひとり様々であり、自分の得意なことを活かして活躍されている方が数多くおられます。
一方で、周囲の理解が十分でないことによって、その行動や態度が「自分勝手な人」、「変わった人」などと誤解され、生きづらさを感じながら生活している方もおられます。発達障害に対する正しい理解が社会に広まれば、周囲の方の接し方も変わり、そうした生きづらさも軽減されると考えています。
発達障害者支援法では、乳幼児期から高齢期までのライフステージを通じた切れ目のない支援を実施することや、家族なども含めたきめ細かな支援を推進し、身近な場所で支援が受けられる体制を構築することなどが明記されています。
厚生労働省においては、この法律の趣旨も踏まえ、ライフステージに対応する一貫した支援を行うため、各都道府県等に設置される発達障害者支援センター等において、専門人材の配置により、関係機関との連携や困難事例等への対応など地域支援機能を強化しています。また、自治体を通じて、発達障害のある方の御家族や御本人に対し、ペアレントトレーニングやペアレントプログラムといった発達障害の特性の理解や適切な対応等に係る研修等の実施や、ワークショップ等の開催など青年期の発達障害のある方の居場所づくりに取り組んでいます。
引き続き、こうした自治体を通じた取組を推進するとともに、子育て支援や教育等の分野でも適切な支援が行われるよう、関係府省と連携し、発達障害のある方がその力を発揮できる機会を増やしてまいります。
今後とも、皆様の御理解と御協力をよろしくお願いいたします。
令和3年4月2日
厚生労働大臣 田村 憲久
「世界自閉症啓発デー」に当たっての文部科学大臣メッセージ
4月2日は、国連で定められた「世界自閉症啓発デー」です。また、我が国では、4月2日から8日までの1週間を「発達障害啓発週間」とし、自閉症をはじめ、発達障害についての正しい理解が進むよう啓発活動に取り組んでおります。
文部科学省では、発達障害をはじめ、障害のある方が一生を通じて自らの可能性を追求し、その個性や能力を生かして活躍できるよう、学校教育、生涯学習、文化芸術、スポーツ等の各分野において、省内はもちろんのこと、厚生労働省等関係省庁とも連携し、横断的・総合的に関連施策を推進しております。特に、発達障害支援については、3年前に制度化された高等学校における通級による指導をはじめ、その一層の充実・整備を図っているところです。
この1年、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、私たちの日常生活は大きく変わりました。学校現場も例外ではありません。過去に例のない対応を余儀なくされている学校をしっかりと支え、全ての子供たちの学びを保障するとともに、発達障害を含め、障害のある子供たち一人一人に応じた、適切な指導及び必要な支援を行えるよう引き続き必要な施策を講じてまいります。
また、本年4月から、全国の児童生徒が1人1台端末環境での学びをスタートし「GIGAスクール元年」を迎えるほか、小学校における35人学級を段階的に実現してまいります。こうした、ICTの活用と少人数学級を車の両輪として、全ての子供たちの可能性を引き出す、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現する「令和の日本型学校教育」の構築を進めてまいります。
結びに、この「世界自閉症啓発デー」や「発達障害啓発週間」が、全ての教育関係者等にとって、発達障害等についての理解を深め、本人や保護者の方々の気持ちに寄り添った支援について真摯に考え、実践する契機となり、障害の有無に関わらず誰もがその能力を発揮し、共生社会の一員として共に認め合い、支え合い、誇りを持って生きられる社会の実現につながっていくことを強く期待いたしまして、私からのメッセージといたします。
令和3年4月2日
文部科学大臣 萩生田 光一
------------------------------------------------
国連総会(2007.12.18開催)において、カタール王国王妃の提案により、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」(World Autism Awareness Day)とすることが決議され、全世界の人々に自閉症を理解してもらう取り組みが行われています。
日本でも、世界自閉症啓発デー・日本実行委員会が組織され、自閉症をはじめとする発達障害について、広く啓発する活動を行っています。毎年、世界自閉症啓発デーの4月2日から8日を発達障害啓発週間として、シンポジウムの開催やランドマークのブルーライトアップ等の活動を行っています。京都タワーもブルーライトアップして協力しています。
自閉症をはじめとする発達障害について知っていただくこと、理解をしていただくことは、発達障害のある人だけでなく、誰もが幸せに暮らすことができる社会の実現につながるものとして、私たちNPOホップすてーしょんもこのイベントに賛同しています。セサミストリートのジュリアちゃんも自閉症キャラクターで今回のリーフやポスターのモデルになっています。
学習障害抱える児童、タブレット支えに無事卒業
学習障害抱える児童、タブレット支えに無事卒業 ノート代わりに黒板撮影、テストでも利用OK
2021年3月31日 10:30【京都新聞】
文字の読み書きが苦手な「学習障害」がある京都府長岡京市の児童が、理解を支える道具としてタブレット端末を活用し、今春小学校を卒業した。テストでの利用も認められており、国の施策で全児童生徒へのタブレット配備が本格化する中、障害がある子への対応の広がりに期待がかかる。ただ、専門家は「渡すだけでは問題が解決せず、個性に応じた補正が大切」と支援の必要性を呼び掛けている。
長法寺小に通っていた山木旬(しゅん)君(12)は、学習障害の一種「発達性ディスレクシア」と診断されている。知的能力に遅れは見られないが、漢字を枠の中に文字を収めたり、読んだりすることが苦手で、読み書きに多くの時間を要し、理解する前の段階でつまずく。「なんで自分だけできひんねやろう」と悩みは尽きなかった。
母の弥生さん(44)は、文部科学省が定める「合理的配慮」としての対応を学校と協議。文字やスペースを大きくし、ルビを打ったプリントや、ペンで触れると音声が流れる教科書に加え、6年生になるとタブレットを持参して使うことが認められた。
授業中は、読み書きを別の方法に置き換えている。ノートを取る作業の代わりに黒板を撮影。アプリを使い、画像への書き込みや自動読み上げができるようにする。画面上では自由に拡大可能なため、記入しやすくなるだけでなく、1文字ずつが認識できる利点もある。「置いてかれている」と感じていた授業が、少しずつ分かるようになった。2学期からは、一部の教科ではタブレットでのテスト受験も認められ、評価対象となった。
澄んだ空が広がった今月19日。卒業式を終えた山木君は、同級生たちと笑顔で記念写真に収まった。「しんどいこともあったけれど、楽しい6年間だった」と穏やかな表情を浮かべ、将来への思いを口にした。「夢は学校の先生になること。僕みたいな障害がある人に優しく教えてくれる先生がいたので、僕もそうなりたい」
■能力・特性に応じて調整を
文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」は、タブレットやパソコンを小中学生に1台ずつ配備する計画で、新年度から本格運用が始まる。障害がある児童生徒の情報通信技術(ICT)機器持ち込みは、自治体によって対応に差があり、活用へのハードルが軽減される可能性もある。
NPO法人「支援機器普及促進協会」(長岡京市)の高松崇さんは「視力が低い場合は眼鏡を掛けるように、学習障害がある子は、ほかの子と困り方が違うからタブレットを使うということ」と、必要性を説明する。
端末配備で、個人負担だけでなく、周囲の子や保護者が抱きがちな不公平感が、取り払われる利点があるという。その上で、「眼鏡も個人に合わせた調整が必要であるように、機器を渡せば理解できるのではなく、その子に合った補正が大切」と指摘する。機器の役割は本人の自立の支援だ。能力に応じたアプリの設定や、紙に文字を書くのと同程度の入力技術が、子ども自身で機器を使いこなす上で重要となる。
山木旬君は、ICT機器を通じた療育支援を行う放課後等デイサービス「ヴィキッズ」(向日市寺戸町)に通う。入力練習だけでなく、検索方法や、授業と日常生活に役立つアプリの使い方を学ぶ。帰宅後も、学校で撮った黒板画像で復習を繰り返し、活用技術の向上に努め、学習意欲にもつながっている。講師の岡田拓郎(たくお)さん(39)は「日進月歩の技術を使った新たなアプローチ。学習障害であることを気にせず生きていけるきっかけになれば」と見守る。
------------------------------
学習障害の子どものために、デジタル教科書やICT支援にPCやタブレットの教室持ち込みを学校に提案すると「他の子どもとの公平性の問題がある」と担任から何度も断られた経験があります。眼鏡や補聴器と同じことではないかと食い下がっても、それは社会に認められているからだと取り付く島もありませんでした。社会を変えるには学校がパイオニアになることなのに、そんな気概も学校からは失われてしまったかと悲しくなりました。
福祉行政や相談事業所にも学習障害は学校や塾が対応することだと誤解している関係者がいます。学習障害は聞けばわかるが読めないとか、喋れるが書けないというもので、教科学習以前の問題ですから、当然医療や福祉も関わるわけです。眼鏡や補聴器をはじめ障害の支援機器は福祉が扱っています。視覚障害の子どもに白杖の指導をしたり点字の支援をするのは福祉か学校かと言い合うことはありません。それと同じように考えればいいのに、かたくなに福祉支援の対象ではないと言い張る担当者が未だにいるのです。
それが、このGIGAスクールでやっと学校では支援が実現しそうです。でも支援機器の使い方はその子の特性によって違います。今後も、ICT機器の使い方が他の子どもと違うと言って特別を認めない先生が現れないか若干心配もあります。しかし、こうした記事が掲載されることで、ICT支援は学習障害への当たり前の対応だという事が広まればいいと思います。新しい放デイ事業所じゃんぷでは、「発達性ディスレクシア」に特化した療育を専門的に実施しています。特性に応じた学校での対応と同じように、家庭でも特性に応じた自学自習が必要です。アセスメントを繰り返しながら、正確で持続的な支援が必要です。詳しくは075-874-5170(学びの広場じゃんぷ)までお電話ください。