今日の活動
「7,8、10ありがいい!」
小学校に通う子どもたちのグループで今はやっているのがトランプゲームの大富豪。ボードゲームの取り組みの際に、子ども一人ひとりがやりたいゲームを持ち寄って、みんなで遊びや順番を決める機会を作っているのですが、最近は「大富豪がいい!」と声が上がるようになりました。
大富豪はトランプ遊びでポピュラーなものですが、この1年程はすてっぷではあまり取り組んできませんでした。小学校グループの大半が入れ替わったタイミングで、みんなが知っているゲームよりも、誰も知らないゲームを導入から楽しむということを狙ってきたからです。ですが高学年も多くなり、修学旅行など普段はあまり遊ばない学校の友だちと遊ぶ機会も増えてくるだろうと、大富豪を職員から提案することにしました。
さてこの大富豪、ご存じの方も多いと思いますがローカルルールが大変多いゲームです。8切りは大富豪を知っている人ならほとんどが知っているルールだと思いますが、それ以外にも10捨て、7渡しなどのルールもよく導入されます。すてっぷでも、ここまでのルールを最初に導入しました。他には5スキップ、9リバースなど(UNOが元ネタでしょうか)調べれば調べるほどローカルルールが出てきます。ただ子どもたちには「大事なのはどのローカルルールを採用するか事前に相談して決めること」を伝えています。みんなが知っている遊びだからこそ、普段は遊ばない友だちとはすれ違いが起きる可能性があります。なのですてっぷで取り組むときも、始める前に「どのルールありにする?」と子ども同士で相談する機会を作っています。
先日も職員から子どもたちに提起したところ、「7、8、10ありがいい!」「7って何?」「なんでもいいから1枚次の人に渡す」「それ分からんからなしがいい」と次々と意見を出し合うことができました。まだ相談して決めることは難しいので職員が支援に入っています。この日は8切り、10捨てがありのルールで遊び、10捨てを駆使した子が見事1位になりました。ところで大富豪で有名なルールの革命は?というと、2枚出しならまだしも、3枚出し、4枚出しは経験が少なくてわからない!という子が多く、さらに4枚出しなら強さが入れ替わるよと言うとさらに??となるようです。まだまだすてっぷで経験を積む必要がありますが、普段は遊ばない友だちから「大富豪しよう!」と誘われたら、「いいよ! どのルールありにする?」と応えられるよう、今から少しずつ取り組んでいきたいと思います。
支援計画
先日とある研修に行きました。
放課後等デイサービス以外の、様々な福祉施設の方と一緒に相談支援計画を元に事業所内での支援計画を話し合いながら作成する、というものでした。
架空のAさんの事例を基にグループで話し合って作成していくのですが想定された事例のAさんは29歳の施設を利用している方、という設定でした。筆者は小学校教員→放課後等デイサービスで働いた経験しかないため大人の障害を持った方のことを全く知らないな、と思い知らされました。
同じグループ内には就労支援であったり作業所であったりと、大人の障害を持った方と関わる仕事をされている方が多く、筆者が思いつかないような支援が次々と出て、大変勉強になりました。それと同時にすてっぷ、じゃんぷで関わっている子ども達が将来について今より少し具体的に想像できるようになったと思います。
どの分野の方も、「子ども(利用者)中心に考え、支援計画を作る」ということを前提に考えられていました。研修はあくまで架空のものなので多少現実的ではないようなことも「これは〇〇さんにとって面白い活動なのではないか!?」とアイデアが出ましたが、利用者が望む生活、楽しめる活動を目指して計画、活動を考えることはやはり教育でも福祉でも大事なことだと改めて考えさせられた時間でした。
「これ持ってるとざんねん?」
支援学校小学部のAさんは、2~3語文で話し、タブレット端末やおやつなどのほしいものを伝えることができます。友だちにも興味があり、友だちの予定も書かれている全体のスケジュールを見ながら、「○○くん公園、(自分の名前)公園」と一緒に行きたいことを伝えてきます。最近は小学校に通う友だち(Bくんたちの集団)と遊ぶことに強いモチベーションがあり、機会を見て鬼ごっこやトランプ遊びなど集団遊びを狙ってきました。
ただ、友だちの活動の都合もあり、Aさんの要求が叶えられないことも。また集団遊びの中でAさんがなりたい『1番』になれないこともあります。そんなとき、以前のAさんはよく泣き叫んだり、怒ったりして、要求を叶えてもらおうとしていました。そこで、このブログでもたびたび紹介してきましたが、適切に要求できるようにコミュニケーション練習(PECS)を行うとともに、叶えられる要求で「まって」トレーニングに取り組んできました。少しずつ適切に要求し、待てるようになってきたAさん。次は表情と感情がセットになった絵カードを使って、さまざまな感情を表現するトレーニングに取り組みました。特に要求が叶わないときは「ざんねん」と大人に伝え、受け止めてもらえることで切り替えられることが少しずつ増えてきました。
すると先日、AさんとBくんたち3人の友だちとでトランプ遊びに取り組んだときのことです。この日はすてっぷでは二度目の挑戦になるババ抜きにチャレンジ。始める前にAさんと職員とで、カードを見えないように手札を揃える練習に取り組みました。それに合わせてルールの復習をしていると、Aさんがジョーカーのカードを見せながら職員に尋ねました。「これ持ってるとざんねん?」。ルールを『ざんねん』という言葉で理解を示しているAさんに少し驚きながらも、職員は「そうだよ」と答えました。練習や準備も終わり、いざ本番。Aさんにとっては運悪く、友だちが先に抜けていきます。するとAさんは、先に抜けた友だちに「Bくんおめでとうー」「Cくん勝ちー」と声を掛けました。そして最後の友達が抜け、Aさんの手にはジョーカーのカードが残ってしまいました。ですが負けて悔しがったり、怒ったりするでもなく、「(自分の名前)の負け―。残念―。」と言って、次の活動に切り替えたのです!
自分が好きな『1番』になれなくても、練習で身に着けた『ざんねん』という言葉を、自分から使うことができたAさん。とても素晴らしい成長を見せてくれました。その後もジェンガやアイスクラッシュなどゲームを変えながら、45分ほど友だちといっしょにボードゲームをすることが出来ました。全部遊んだ後に、職員から何が一番楽しかったかを尋ねると、Aさんは「ぜんぶ楽しかった!」と答えました。Aさん、すごい!
夏休みの宿題
お盆が明け、夏休みももう少しになりました。じゃんぷに通う子ども達は宿題をほとんど終わらせ、休みを満喫しているようです。
子ども達は夏休みの宿題を持ってきますが、形はさまざまです。学年の宿題をそのまま持ってきている子や、少し内容に配慮がされている子。〇日に〇ページをやる、と計画を作ってきている子もいれば、学校支給のタブレットに宿題が全部入っており、それが夏休みの宿題だという子もいました。(学校統一でタブレットに宿題を入れているそうです。ICT先進校は流石ですね!)
筆者が感じたことは今年の宿題は全体的に宿題が少なくなったような気がしました。教員時代どちらかといえば長期休暇の宿題を少な目に出していた身としては良い方向に進んでいるのかな、と感じました。
宿題は子ども達が自分で取り組むものなので自力で取り組めないようなレベルや量の宿題を出しては家庭の負担にもなるし本人にとって良い経験を積めません。子ども達が必ず出来る量とレベルの問題を渡し、もう少し勉強したい人は学校に私がいる日を夏休みの学級便りに載せ、ステップアッププリントを渡す、という方法をとっていました。
今年は大体の学校で読書感想文や工作が自由だったり、宿題の量も例年に比べ減っており子ども達も実感していました。みんなが黙々と自分んのペースでやっても問題ない宿題の量です。「あとちょっとやー!」「もう終わったで!」と今年はプラスの発言が子ども達から多く出たように思います。
夏季休業のお知らせ
2023年度夏季休業のお知らせです。
「育ちの広場 すてっぷ」は8月12日(土)から15日(火)まで、「学びの広場 じゃんぷ」は8月14日(月)から16日(水)まで夏季休業となります。
営業開始は「育ちの広場 すてっぷ」は8月16日(水)より、「学びの広場 じゃんぷ」は8月17日(木)よりとなります。
よろしくお願いいたします。
「ぼくもバスケシュートする!」
支援学校高等部のYくんはほしいものやしたいことの絵カードを持って渡す練習(PECS)をしています。興味のあること・ないことの差も大きく、公園では大好きな風が感じられるブランコがお気に入りですが、一方でボール遊びは興味が持てませんでした。職員が誘ってボールを渡しても、あらぬ方向へ投げて職員の反応を見ることの方が面白いと、なかなかボール遊びに進みませんでした。
そこで公園ではサッカーボールのドリブルなど自分で出来るボール遊びをすることにして、集団遊びは室内で取り組むことにしました。室内の方がスタート・ゴールを設定しやすく、また待つための椅子を分かりやすい位置に設置できます。ちょうど小学部の子ども達も集団遊びを始めていたので、体の小さなYくんも合同で行い、ここしばらくはゴールシュートに取り組んでいました。
すると先日のことです。Yくんは他の中高等部のZくんたち(普段はY君とは集団遊びを狙わないグループで、この日も別の活動をする予定でした)と一緒に、バスケゴールのある公園にお出かけしました。公園でZくんたちは順番交代でバスケシュートのゴール20本にチャレンジ中。そこへYくんは誰に言われるでもなく自分からZくんたちの近くまでやってきました。Zくんたちはついに20本達成し、休憩へ。すると空いたゴールのところには、なんとYくんが。それも転がっていたバスケットボールを持っています。そしてなんと、ゴールへシュート! しかもシュートが外れてもボールを取りに行き、またゴールの下へ。何回かシュートを繰り返して、最後は見事1本ゴールを決めたのです!
まだ一人遊びの域ではありますが、バスケシュートという友だちと共有しやすい遊びに、自分から取り組めたことは職員一同驚きの成長です。その様子を動画に撮り、帰ってからYくんと動画を見ながら職員が褒めると、Yくんはにっこり嬉しそうにうなずきました。すごい!Yくん。
「こうやって片づけたらいいんだよ」
5月からすてっぷに来ているVくんとWくん。夏休みに入り、休憩時間のお気に入りはテレビゲームです。時間を決めて友だちを誘い合い、わいわい楽しんで遊んでいます。そして休憩時間が終わり、テレビゲームを片づけることに。するとXくん(去年からすてっぷに来ていて、VくんとWくんにとってはすてっぷでの先輩です)が、職員に言われるのではなく自分から、「こうやって片づけたらいいんだよ」とVくんとWくんに片づけ方を教えていました。実はこの姿、これまではあまり見られないものでした。
以前からすてっぷでは、テレビゲームは常時置いておけないため、子どもが自分たちで準備・片づけをしていました。ゲームを始める前にバラバラで収納箱に入っている状態から取り出し、コードをつなげて設置します。そしてゲームが終わったら、コードを外し、また収納箱に片づけます。ですがこのとき、『早くゲームをしたい』『片付けをさっさと終わらせたい』という気持ちから焦り、接続・設置、分解・片付けが雑になってしまうことが多くなっていました。そして電源アダプタが故障したのを機に、ゲーム機の設置・片付け方法をリニューアルすることにしました。コードをつないだまま収納箱に入れられるよう、ゲーム機とコードをすっぽり覆う外箱を段ボールで作り、その段ボール箱ごと準備したり片づけたりできるようにしたのです。
さっそく子どもたちが新しい片付け方に挑戦。片づけ方がシンプルになったことで、より積極的に片づけに参加する子が増え、かつポンポン投げ込むようなこともなく(一つの大きいものになったので当然ですが)、丁寧に片づけるようになりました。そして思わぬメリットが前置きによかった点がもう一つ。片付け方がシンプルになり、子どもたちが自分で説明できるようになった(簡単になった)ことで、子ども同士で教え合ったり、協力して片づけたりする姿が増えたのです。
準備や片付けの手順が多かったり、そのもの自体が多かったりと乱雑な中では、なかなか子どもだけで上手に行うことは難しいものです。そこで準備片付けの手順や約束を視覚化することも一つの手ですが、今回はゲーム機やコード類を子どもだけでも片づけやすいように物理的に工夫しました。これも一種の構造化と言えるかもしれません。休憩時間の中でも、子どもたちが自分でできた!という経験を増やせるよう、工夫していきます。
手指を使った計算
計算が苦手な子どもの多くは手指を使ってたし算ひき算をしていることが多いです。ただそれには理由があり、手指を使うことが手軽ということや10の補数がわかっていないために数えているというわけではなく、10の補数を瞬時に思い浮かべることに困難さがあるなど「数的処理」を補うための外的手段として手指を使うと考えられています。
手指を使って計算している子どもの中にも大きく分けて3つのパターンがあります。そのタイプによって子どもがどこまで計算について理解をしているのかを知ることが出来ます。
①すべて数える方略
「1、2、3、4、5。。。」と被加数と加数を全て数える方略。両手指を使うことが多い。
②数え足す方略
被加数に「3、4、5」と加数のみを足していく方略。加数の指だけを使うことが多い。
③小さい方を数え足す方略
被加数と加数(例えば2と3)のうち、大きい3に小さい2を「4、5」と数え足す方略。この段階では②と同様、小さい2の数だけ手指を使って数えたり指をはっきり立てるのではなくほんの少し動かしながら計算する場合もあります。
このように一般的には手指を使用した計算とひとくくりにすることがほとんどですが、その方略にはいくつかの段階があり、それによって支援を考える必要があります。
今回は①の支援について紹介します。
①の場合、数を唱える際に被加数の次の数を瞬時に思い浮かべられないことがあります。すらすらと数を唱えるためには頭の中で数列を瞬時に思い浮かべる必要があります。したがって数をスムーズに唱えられるようにあんることを支援することから始める必要があります。数を途中から数え上げることや、ひき算で数え引きをするために必要な数え下げなど、基本的な数の理解に基づき数唱がスムーズにできるようになることを目指します。
「『よせて』って言えたよ!」
小学生のUくんは5月からすてっぷに通い始め、3か月ほど経ちました。緊張も解けてきたのか、だんだんとUくんらしさが見られるようになってきました。
先日は小学校グループが2つに分かれて、Uくんのグループは公園に行ってきました。もう一つのグループはボードゲームを終えて一足先に休憩へ。休憩時間はテレビゲームをすると言っていたUくんでしたが、公園から帰ってきたところに、先に休憩していた友だちがしているタブレットが目に入り、「タブレットがしたい!」と気持ちが変わったようです。ところが自分が続きをしたかったタブレットはすでに友だちが使 っていました。するとUくんは「なんでできないの」と泣き出してしまいました。
実はUくん、すてっぷの過ごしの中で、要求が叶わないと思うと声を上げて泣き、適切に要求することが難しいという姿が見られます。このときも職員が「友だちがテレビゲームをするのはどう?」と提案すると、Uくんは「する」と答えました。切り替えはできたUくんでしたが、「じゃあ(先にゲーム機の準備をしている)友だちに『寄せて』とお願いしに行こう」と言われると、「できない!」とより大きな声で泣きだしました。
大きな声で泣いていると、自分から動かなくても、要求が叶ったという経験があったのかもしれません。Uくんは自分から伝えに行くという行動に拒否感を示します。そこで職員は、Uくんをゲーム機が見えない場所に誘導し、カームダウンの時間を取りました。「落ち着いたらおいで。いっしょに伝えに行こう」と声をかけると、しばらく泣いていたUくんでしたが、泣き止んで職員のところにやってきました。1回目はいっしょに行くのを嫌がり、またカームダウンエリアに戻りましたが、2回目はすっと職員と一緒に友だちのところへ行きました。そして「どうしたらいい?」と職員に尋ねました。職員が用意していたメモ(『よせて』と書いていました)を見ながら、テレビゲームの手を止めUくんの方に向いてくれていた友だち(事前にお願いしていました)にUくんは見事!「よせて」と言うことができました。
無事成功体験で終えられたUくん。このときばかりと職員も大いにほめました。子どものネガティブな行動に大人が反応すると、ネガティブな行動がより増長する場合があります。このときはUくんのポジティブな行動(落ち着いた状態で自分から友だちのところに行こうとしたところ)に注目して支援したことで、成功体験に繋げられたのだと思います。
帰る時間になり、テレビゲームを終えようとした時も、「まだしたかったのに」と切り替えづらかったUくんですが、帰りの車で職員に「次は最初から(よせてと)言う」と落ち着いて伝えられました。自分から『次はこうしよう』と気づくことができたUくん。少しずつ成長しています。
新聞じゃんけん
じゃんぷの休憩時間、「新聞紙じゃんけん」をしました。
「新聞紙じゃんけん」は一枚の新聞紙の上に立ってじゃんけんし、負けた方が新聞を半分に折りたたんでその上に立つ。それを繰り返し、新聞の上に立てなくなったら負け、というルールです。
これが中々面白く、どの曜日の子ども達も大盛り上がりです。これをやる上でただ遊ぶだけ、というわけでなく、様々な視点から子ども達の様子を見ることが出来ます。
例えば片足立ちをせざるを得ない時、体幹、バランス感覚をどこまで養われているか。勝ったら新聞を広げられるルールを追加するとどこまで理解できるか、等々
遊びの中でも子ども達の発達を見ることが出来ます。ただ楽しむことが一番です。明日も楽しく遊びましょう!
「わかってくれた!」
支援学校高等部のTくんは表出が弱く、自分の思いが伝わらないと注意喚起行動や他害行動が出ることがありました。すてっぷでは絵カードコミュニケーションの練習に取り組み、トレーニングの場面(おやつ時)では自分のほしいものを要求できるようになりました。ただそれ以外の場面では自発的な表出が難しく、『暑い』や『うるさい』などTくんが苦手な状況になったときでも、自分からは伝えられません。職員が「暑いね」「うるさかったね」と声をかけると、Tくんは「暑い」「うるさい」と返事をして、共感してもらえたと落ち着くのですが、自分からしんどさを伝えることが当面の課題でした。
また昨年度から、Tくんは選択の練習に挑戦しています。以前も取り組んでいたのですが、『どっち』という言葉にこだわりが出て、選択の場面になると「どっち!?」と叫んで選択できないという状況が続きました。そこで選択の練習はいったん控え、こだわりが薄くなってきたころを見計らって、練習を再開しました。選択の練習は、休憩時間の過ごしを選ぶことに取り組んでいます。休憩時間になったら、スケジュールで休憩の代わりに貼ってある『えらぶ』カードの色を見て、同じ色の選択ボードから『ごろん(横になる事)』や『かるた』などのしたいことを選びます。したいことを選べる候補やタイミングを明確にすることで、自分で選んで向かえるようになってきました。
この選択の練習を続けてきたことで、伝わった実感が積みあがってきたのかもしれません。次第に、表出できる種類や機会が増えてきました。そして先日、なんと自分から『しんどい』カードを職員に渡し、「しんどい」と言ったのです! 熱を測ると37度以上で、その日は保護者の方がお迎えに来ることに。保護者の方といっしょに帰るTくんに、職員は「しっかり伝えられたね」と褒めて見送りました。
今では「うるさい」「あつい」と自分から伝えるようになってきたTくん。Tくんとずっと絵カードコミュニケーション練習に取り組んできてよかったと職員みんなで振り返りました。まだコミュニケーションパートナーは限られていますが、今後誰にでも伝えられるように、練習を続けていきます。
じゃんぷ夏祭り!
じゃんぷは今週夏祭り期間です!
去年は今年のじゃんぷ夏祭りは「魚釣りゲーム」をします。
ブルーのプチプチシートの上に魚を模したカードをたくさん置き、ビニールテープや送風機を使ってイソギンチャクや海草、風を表現しました。子ども達がじゃんぷに来た時に「楽しみー!」となるように工夫しました。
釣り竿作りから始めましたが、苦手な作業にも関わらず魚釣りゲームが楽しみなのでどの子も一生懸命三つ編みをしてくれました。
魚釣りゲームはすごく盛り上がり、「もう一回したーい!」という声がたくさん出てきました。
今日を含めてあと2回夏祭りをします。最後まで楽しもう!
わり算の筆算は
わり算の筆算は手順が処理が多く、悩みやすい単元です。
わり算の筆算は「たてる、かける、ひく、おろす」の4つの手順を基本で考えます。
①たてる②かける③ひく④おろすという手順をラジオ体操のように大きな動作で覚えていきます。①たてるのときは大きく上に手を上げ、②かけるのときは腕でXを作ります。③ひくのときはひき算のマイナスを表すように腕を横に伸ばし、④おろすときは下に向けておろします。
動作の際には必ずそれぞれの動きの言葉を「たてる!かける! ひく! おろす!」というように唱えます。
手順が複雑になればなるほど学習が苦手な子どもは問題を解くまでの途中でパワーを使ってしまい,疲弊ばかりしてきます。上記のように机上の学習だけでなく,少し体も動かしながら取り組んでみてもよいかもしれません。
(参考・引用 「子どものつまづきからわかる算数の教え方」 監修:平岩幹男 著:澳塩渚(合同出版) 「小学4年生までのつまずき総ざらえ算数レスキュー隊」(岩崎書店)
位取り表
4年生の算数で「一億を超える数」という単元があります。この単元では桁の大きな数を扱います。
桁の数が膨大になり、情報の処理が追い付かなくなることがあります。また、「数字に直しましょう。四十兆七千百八…」といった問題で「漢字を数字直す」→「桁を整理する」の処理の中で混乱し、苦手意識を持つ子どもも少なくありません。
最初は「位取り表」を使って、そこに一つずつ書き込みながら問題に取り組んでいきます。視覚的に情報を整理しやすくし、位取りがしやすくなっています。
こういった素敵な教材は他にもたくさんあります。筆者おすすめのサイトのリンクを下に貼ってあります。興味のある方はぜひ見てみてください。
なんで出来ないんだろう
ネガティブな話題です。
4年生のI君が「なんで僕はみんなと同じように漢字が読めないんだろう」と話してくれました。彼は読み書きが苦手なことと、中々覚えることが難しいことがあります。
子どもらしく、明るい子でじゃんぷの学習の中で漢字の読みをしても「わかりません~!」と言っていましたが、ふとそのようなことを言ってくれました。
学習が苦手な子どもでも年齢と共に周りを見る力はついてきます。さらに小学校の中学年は大人よりも子ども同士のグループを優先する「ギャングエイジ」という時期や、高学年だと周りと自分を比べることも増えてきます。
どこまで行っても学校は学習をする場です。子ども達はそこで半日以上を過ごしています。子ども達の生活の半分は学校なのです。当然が学習面を気にします。それは子ども達にとってどれほど重たいものでしょう。学習に課題を持つ子ども達にとってはそれが劣等感に繋がります。
最初の話に戻りますが、筆者は「ここで〇〇君の得意な力(聴覚から情報を処理する力)を使って漢字を覚えたり読めたりするようにしてるんだよ」と、薄っぺらい言葉しか出せませんでした。
自信を持って学習支援をしているつもりですが、本気で悩み、壁に当たった子どもに対してこんなに薄い言葉しかかけられないのか、と情けなくなりました。このような時どんな言葉をかけたらよいのか、正解がわからないですね。
興味の仕掛け
前回のブログにも書きましたが、じゃんぷでは七夕飾りを飾っていました。子ども達が短冊に思い思いのお願い事を書きました。
本物の笹を使いましたが、「リアルさ」は子どもの興味を惹きつけます。玄関に入ってきた時に「なにこれ~!」と子ども達は目をキラキラさせ、興味を持ってくれました。緑のビニールテープを使って笹に見せかけてもよかったのですがやはり本物が良い、ということで笹を準備しました。
ただ全ての活動で本物を用意できるわけではありません。今年のじゃんぷの夏祭りでは「お菓子釣り」をします。ただビニールプールに水を入れてお菓子を浮かべるわけにはいきません。
子ども達に興味を持ってもらうためにどのような工夫をするのか、考えています。夏祭りの週が終わったらこのブログにも載せますね。
ある学校の特別支援学級の取組でも、渡り廊下いっぱいに飾りをして、ホンモノの季節感を全校に発信し、子ども達の自信につながる体験をしているところがありました。
七夕
筆者がまた夏風邪にかかってしまい更新が滞ってしまいました。どれだけ医者にかかっても「重い夏風邪ですかね」としか言われず、薬を飲んでも一向に回復しないのは怖いですね。
さて、夏と言えば七夕です。じゃんぷでは毎年短冊に願いを書いて笹に飾っています。じゃんぷの職員の知り合いに笹をくれる方がいるので、本物の笹を使って七夕飾りが出来るのは雰囲気が出、子ども達も喜んでくれます。
読み書きが苦手な子が多いので、願いを書く時もあまりくどくどと長く説明はせず、来所したときに笹と短冊、筆ペンを置いておき「短冊に願いを書いてね」の一言メモだけ書いておきます。
その場ですぐに書けるように仕掛けをしているわけですね。形式ばった形だと「書かなきゃ!」と少し構え、しんどい気持ちが出てきてしまいますがラフな形にし、すぐに書いて飾って終わり!という形にした方がよいのでしょう。
今年もたくさんのお願いを書いてくれました。なんと児童発達で来た未就学の子どもも興味を持って書いてくれました!みんな、叶うといいね!
垂直と平行
4年生の子ども達は算数で「垂直・平行」を習っているところです。
そもそも「垂直」「平行」という言葉自体子ども達にとって身近な言葉ではなく、頭の中に入りにくいものです。読み書きが苦手な子どもにとってはさらに難しいのかもしれません。
今回は図に示し、「垂直」と「平行」のヒントカードを出して問題を解きました。それを続けて定着が出来る子もいますが、それだけでは中々定着が難しい子もいます。
じゃんぷに通うO君が中々覚えれず、どうしようか、と悩んでいる最中です。Y先生とも相談し、「O君は昆虫が大好きだから垂直と平行を昆虫に例えてみてはどうか」となりました。
カブトムシの角を垂直、クワガタのハサミを平行と例えて、それをヒントカードにしようかと考えています。
さて、これが有効かどうか!O君にとってわかりやすかったら、と願っています。
小6息子テストで70点で「満点やで!」と笑顔…その理由に絶賛の声 先生独自の採点に「個に応じた指導」「すてきな配慮」
小6息子テストで70点で「満点やで!」と笑顔…その理由に絶賛の声 先生独自の採点に「個に応じた指導」「すてきな配慮」
上のニュース記事は、書字障害の子どもへの配慮として、国語テストの漢字を書く部分はやらなくてよいことにし、70点満点のテストでやった、という記事です。
この子どもは漢字を読むことは出来るが自分が書くときに漢字の形を覚えることが難しく、漢字が出てこないのでしょう。おそらくひらがなカタカナでも相当苦戦したのだと思います。
最近は高校受験、大学受験でも合理的配慮としてタブレット端末を使って問題を解くことが出来るシステムを導入しているところも少なくありません。ただテストをするのではなく、子どもにとって何が大事なのか、どんな力をつけることが大切なのかを考え、既存のテストでも少し形を変えるということを柔軟に出来る教員が増えていくといいですね。
人差し指は『もう1回』
支援学校小学部のSくんは、すてっぷでPECSの手法での表出トレーニングに取り組んできました。おやつや遊びでほしいものを伝える練習から始め、公園ではブランコ遊びをするときには「押して」、公園から帰りたいときは「てをつなぐ」カードを渡すなど、職員とコミュニケーションを取ってきました。
そうして伝わったという実感が積みあがってきたおかげか、日常生活の中で手ぶりや行動での表出がだんだんと増えてきました。以前は拒否のサインと言えば寝転ぶことが多かったのですが、最近は手をパーにして『バイバイ』と同じように左右に振ります。よく見られるのが送迎時で、車のソファが心地よいSくんは家に着いても『降りたくない』と手をバイバイします。そして続けて人差し指を突き出してきます。これは『もう1回』のサイン。実際にこのサインが出た時、職員が「じゃあ友だちを先に送ろうか」と言って、一緒にもう1回ドライブしてから帰ってくると、今度はすっと降りることができました。
また先日、Sくんが公園から帰ってきたときのことです。スケジュールでは次が自立課題で、その次がおやつになっていました。ところがSくんは自立課題のカードを自分で外し、おやつを次に貼り替えたのです。それを見た職員が修正し、「自立課題ができたらおやつだよ」と伝えました。するとSくんは『はい』と言わんばかりに手をパーにして上げました。そして自立課題に取り組み始めました。
いろんなコミュニケーションが生まれてきているSくん。どういう表出なのか分かれば、絵カードでの表出に変えることで、誰にでも伝わるようにすることができます。ですが、どんな形であれ表出してきたらまずは受け止めること。Sくんが自分から表出できたことを褒め、どんどんコミュニケーションできる機会を増やしていきたいと思います。